ジャニーズブームの歴史 ~90年代ジャニーズを理解する~

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ジャニーズファン歴25年で『なぜ90年代J-POPはあんなにアツかったのか?』の著者であるシン氏が90年代ジャニーズという存在を紐解く!「少年隊」「光GENJI」が築いたジャニーズの礎とは?「SMAP」「V6」「TOKIO」「KinKi Kids」の軌跡とおすすめ楽曲をジャニーズと共に青春を過ごしてきた筆者視点で語る!

『90年代ジャニーズ入門~ファン歴25年が語る~』(全15ページ)はこちらから!

著者:シン アキコ

30代前半女性。ジャニーズファン歴25年。70年代、80年代、90年代の邦楽を愛している。著書『なぜ90年代J-POPはあんなにアツかったのか?: J-POP愛して25年の著者がヒット曲を徹底分析 (Webonブックス) 』

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90年代には、SMAP、TOKIO、V6、KinKi Kidsという誰もが知る人気グループが続々とCDデビューを果たしました。

90年代当時は、活動しているジャニーズグループの母体数そのものが少なく、メディアの数も媒体も現在とはまるで異なります。

そういった要因も関連してか、2019年現在よりもメジャーな立ち位置に「ジャニーズ」は君臨していたように思います。

しかし、90年代の音楽界、あるいはアイドル市場において「ジャニーズ」の人気を不動のものとしたのは、85年デビューの少年隊、87年デビューの光GENJI、88年デビューの男闘呼組の存在と功績。

彼らの活躍と魅力を語らずして、90年代のジャニーズを語ることはできません。

 

ジャニーズ簡易年表

▼ジャニーズ簡易年表

年月 出来事
1968年9月 フォーリーブス「オリビアの調べ」でレコードデビュー
1985年12月 少年隊「仮面舞踏会」でレコードデビュー
1987年8月 光GENJI「STAR LIGHT」でレコードデビュー
1988年8月 男闘呼組「DAYBREAK」でレコードデビュー
1991年9月 SMAP「Can’t Stop!! -LOVING-」でCDデビュー
1994年9月 TOKIO「LOVE YOU ONLY」でCDデビュー
1995年11月 V6「MUSIC FOR THE PEOPLE」でCDデビュー
1997年7月 KinKi Kids「硝子の少年」、アルバム『A album』でCDデビュー

 

80年代デビューのジャニーズ

少年隊

 

1985年12月「仮面舞踏会」でデビューした少年隊は、まさにジャニー喜多川氏の夢を具現化したともいえる存在。

フォーリーブスの時代から脈々と息づくジャニーイズムは、少年隊を持ってひとたびの完成を見せたといえるでしょう。

彼らは高い身体能力と表現力を武器にミュージカルでも活躍をみせました。

 

【コラム】ジャニーイズムとは

私の主観ではありますが

  • 歌って踊る
  • オリジナルの新しさ(アイデア)がある
  • 美男子である
  • 歌、ダンスにストーリー性がある
  • 数分間のミュージカルである
  • 見て楽しめるものである

といったものにジャニーイズムを感じます。ジャニー喜多川氏自身、ミュージカル映画「ウエストサイドストーリー」に感銘を受け、エンターテインメント事業の道を進んだとのこと。歌って踊る、ストーリー性がある、見て楽しむエンタメこそジャニーイズムであると思います。

 

光GENJI

 

少年隊がデビューしてから約2年後の1987年8月に「STAR LIGHT」でデビューした光GENJIは、まさに「国民的スーパーアイドル」の代名詞的存在。

日本中の少年少女が彼らに熱狂し、社会現象をも引き起こした伝説のアイドルです。

彼らの逸話は今も語り継がれ、現役時代を知らない世代にも「光GENJI」の名やヒット曲が息づいていることでしょう。

少年隊の系譜を引き継ぎ「ジャニーズ=歌って踊れるアイドル」の定説を守りながらも、ダンスや楽曲のジャンルはまるで異なるもの。

少年隊の次に光GENJIが現れたことで、ジャニーズが持つアイドルとしての幅の広さを見せつけました。

 

男闘呼組

 

光GENJIのデビューの翌年に「DAYBREAK」でデビューした男闘呼組は、当時のジャニーズでは初のバンドスタイル。

デビュー当初こそ当てぶりであったものの、次第に自分たちでの演奏や楽曲制作を行うようになります。

主にメインボーカルをとっていた成田昭次、高橋一也の歌唱力は「ちょっと歌がうまいアイドル」の域を超え、それぞれに味をもつホンモノ。

彼らもまた、ジャニーズの表現を広げた存在です。

ジャニーズで音楽ができる。

バンドができる。

ロックができる。

男闘呼組が作ったその実績は、のちに続く少年たちの夢を広げました。

 

実際、SMAPは男闘呼組のカッコよさを何歳になっても少年のような瞳で話していましたし、KinKi Kidsはデビュー前のコンサートで男闘呼組の曲をよくカバーしていました。

ジャニーズアイドルが憧れるアイドル、それが男闘呼組でした。

たとえ未来のアイドルを夢見る少年たちであっても、素顔は思春期真っただ中の男の子。

「男らしさ」「不良っぽさ」への憧れはあって当然でしたでしょうから。

 

後継というわけではありませんが、94年にはTOKIOがバンドスタイルをとるアイドルとしてデビュー。

歌って踊らずとも「ジャニーズ」が成り立つ、男闘呼組の作った功績は大きいと思います。

 

3のグループが作った礎

 

この3つのグループには、それぞれ異なる色があります。そしてそれぞれの色が、ジャニーズの礎を作り上げました。

歴史あるジャニーズ事務所ですから、さらに遡れば数多くのアイドルやタレントが存在します。

メディアは多様化し、ブームは目まぐるしく変化する。

当然、時代によってアイドルの位置づけや、求められるスタイルは異なっていきます。

少年隊・光GENJI・男闘呼組。

彼らは、TVがメディアの主流であった時代に「ジャニーズアイドル」の可能性を見せつけた存在です。

ジャニーズはこんなことができる、と。

ジャニーズは、目で見、耳で聴き、ファンも一体となって楽しむ総合エンターテインメントであると。

近代ジャニーズに教科書があるならば、彼らはその1ぺージ的存在であると思うのです。

 

【コラム】それまでのジャニーズの傾向

私の主観ではありますが、それまでのジャニーズの傾向は…

  • 人気を得たグループはあったものの、社会現象や国民的アイドルには至らなかった。ブームまでは起こせず、短命であった。そのためソロへの移行や俳優への移行も多かった。
  • ソロ歌手は数名、爆発的人気を得た。しかし冒頭で述べたジャニーイズムを引き継ぐ存在ではなかった。
  • 高いダンススキルやパフォーマンス(見る)よりも歌唱(聞く)に長けていた。

というものがあったと考えます。

 

そして彼らのバックダンサーをつとめてきたメンバー、彼らの活躍を間近でみてきたメンバーが90年代に入り続々とデビューを果たします。

今回語るのは主に彼らのお話ですが、90年代ジャニーズの魅力をより深く味わっていただくには、やはり「ジャニーズの歴史」について知ることが不可欠なのです。

 

ジャニーズがいつの時代もスターだった理由 ~歴史や定義を守り次世代にバトンをつないでいく~

 

なぜジャニーズはいつの時代もスターだったのか。

ジャニーズという歴史や定義を大切にしながらも、時代の流れに敏感かつ柔軟であったことが、ジャニーズの成功の秘訣であると私は考えます。

ジャニーズアイドルたちは、いつの時代も先輩アイドルの曲を歌い継ぎます。

フォーリーブスの「ブルドッグ」「踊り子」といったジャニーズ創世期の楽曲も、令和を迎えた今なお歌い継がれている。

アレンジやパフォーマンスを時代によって変化させながら、先人の楽曲を繋いでいく。ジャニーズはそうして歴史を紡いできました。

 

ジャニーズの定義、それは「エンターテインメントであること」そして「アイドルであること」。

観る者に夢を与える、非日常へと連れていく、いつも笑顔で全力のパフォーマンスを見せる。

それが、ジャニーズイズムの基礎であり、ジャニーズ事務所に根付いたアイドル精神であると考えます。

そんな歴史と定義を大切に守り、次世代へバトンを繋いでいく。

その上で、ジャニーズは流行や時代の変化に実に柔軟なのです。

 

ジャニーズは流行や時代の変化に柔軟

 

音楽氷河期にデビューしたSMAPは、バラエティや体当たりの企画にも果敢に挑戦しました。

ジャニーズアイドルの領域をきちんと守りながらも、彼らは「手の届く存在」へと降りてきてくれた。

アイドルは、実際には手が届かない存在です。けれどファンタジーの住人ではない。

同じように毎日を生き、同じように年齢を重ね、悩んだり苦しんだりもする。

そういった等身大の姿を見せるというのは、80年代のアイドルブームやアイドル神話の去ったJ-POP界を生き抜く上では得策であったといえます。

 

また、当時流行していたユーロビートを積極的に取り入れ、ダンスの近代化を図ったのはV6。

ジャニーズが旧来踊ってきたシアター系のしなやかなダンスを抜け出し、ロックダンスやブレイクダンスといった新たな魅せ方を極め、アクロバティックな高いパフォーマンス力を見せつけました。

 

関西弁を話すアイドルというのも、当時はたいへんめずらしかったこと。ジャニーズは、KinKi Kidsに標準語を話すことをあえてさせませんでした。

 

今でこそ当たり前のことですが、新しい「当たり前」、後世にとっての当たり前を作るのは、いつの時代もジャニーズでありジャニー喜多川であったのではないかと思います。

90年代も後半に近づくと「いつも笑顔のキラキラ正統派アイドル」というスタイルはやや時代遅れとなっていきます。

バンドブームや洋楽、ヒップホップやR&Bといった多様な音楽スタイルがヒットチャートにのぼるようになるとますます世の「カッコイイ」は多様化していきました。

ここでもジャニーズは「正統派アイドル」の核を守りながら、流行を敏感にキャッチし柔軟に変化した。

「カッコイイ」の形をうまく時代の波に乗せ変化させることで、90年代もトップアイドルであり続けた。

そうして、ミレニアム以降のジャニーズへとバトンを繋いだのです。

 

ひとつひとつのグループに味があり、歴史があり、色がある。

それを読み解くことで「ジャニーズという文化」を俯瞰でみる面白さがあることを知っていただきたいです。

このページに続く第2章では80年代に活躍した「少年隊」「光GENJI」の2つのグループについてさらに解説してまいります。80年代の彼らの活躍を知れば、90年代ジャニーズについても理解が深まることでしょう。

そして第3章では、90年代を彩ったジャニーズアイドルの軌跡、ヒット曲を読み解きながら、ジャニーズという文化の魅力を解説していきます。

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ビーイングブームの立役者 織田哲郎の功績 【90年代邦楽のヒットメーカー解説③】

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あなたにとっての“あの頃”はいつですか?著者にとってアツかった時代「90年代」のJ-popヒット曲を生粋の邦楽ファンの著者が分析します!読めば“あの曲”を聴きたくなる事間違いナシ!!

90年代J-popヒット曲入門 ~音楽で振り返る90年代!~(全11ページ)はこちらから!

著者 シン アキコ

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この章では90年代邦楽のヒットメーカーである【小室哲哉】【つんく♂】【織田哲郎】の3人にスポットライトを当てて、当時のJ-POP界がどのようなものだったかをお伝えします。

このページでは90年代J-POPブームの立役者「織田哲郎」について紹介。

ビーイング系アーティスト、そして織田哲郎氏の作品がいかに90年代において愛されたのかが伝われば幸いです。

 

ビーイング系アーティストとは

ビーイングは1978年に設立した音楽制作やアーティストのマネージメントを行う会社です。現在は大手音楽プロダクションとして知られています。ビーイングに所属、あるいはビーイングに関わっているアーティストは「ビーイング系アーティスト」と称されます。

90年代のJ-POPを語る上で外せないトピックといえば“ビーイング系アーティストの台頭”。もはや社会現象にもなりました。

 

🎤ビーイング系とくくられるおもなアーティスト🎤

ZARD/WANDS/大黒摩季/T-BOLAN/DEEN/ MANISH/B`z

 

彼らこそ、CDバブル時代を作った存在ともいえます。団塊ジュニア世代の就職や進学、カラオケブームの波に乗り、オリコンシングルチャートの上位に次々とランクイン。

 

CDバブル時代

カラオケ・タイアップ戦略などにより若者を中心に音楽需要が高まった時代。1997年には、シングルの年間販売数が1億6782万7000枚を記録。1998年にはCDアルバムの年間販売数が3億291万3000枚とピークを記録。

 

ついには、1992年12月28日から93年7月26日までの31週間中、27週にわたってビーイング系アーティストが首位を獲得するという快挙を成し遂げます。

ドラマやCMのタイアップに多数起用され、ビーイング系アーティストの曲を耳にしない日はないと言っても過言ではなかった時代。

▼ビーイング系アーティストのタイアップの例

リリース年月 アーティスト「曲名」 タイアップ
1992年9月 大黒摩季「DA・KA・RA」 「マルちゃん・ホットヌードル」CM
1993年3月 B’z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」 日本テレビ系ドラマ『西遊記』
1993年5月 ZARD「揺れる想い」 大塚製薬「ポカリスエット」CM
1995年2月 大黒摩季「ら・ら・ら」 テレビ朝日系ドラマ『味いちもんめ』主題歌

 

TV露出を極力抑えるという戦略で、さらに世間の関心を集めました。

このページでは、そんなビーイング系アーティスト大躍進の立役者である「織田哲郎」についてお話します。

「シンセサイザーを操りダンスミュージックを日本に定着させた」のが小室哲哉であるならば、織田哲郎は「ロック」を大衆のものにしたアーティスト、プロデューサーであるといえます。

 

【筆者に聞いてみました】当時のビーイング系アーティストの印象

Q.(Webon編集部)当時ビーイング系のアーティストがテレビに出ないことをどのように感じていましたか?

A.(筆者 シン)ビーイング系アーティストは「顔がわからないこと」をよく取り上げられていた思い出があります。 ZARDの坂井泉水、大黒摩季など、みな総じて美人でもあったので、ちらっと横顔が映るくらいのことでも歌番組では話題になっていました。 ライブをした時には大きくニュースとして取り上げられていました。 不思議にも思っていましたが、アーティストのビジュアル面も重視されていた時代だったので、イメージを守るためかな?くらいには思っていました。 あくまで小学生当時の印象なのであてになりませんが、顔を見せない=同じ事務所の人、くらいの認識はあったように思います。

 

織田哲郎の基本情報

名前 織田 哲郎(おだ てつろう)
生年月日 1958年3月11日
出身地 東京都
職業 シンガーソングライター/作曲家/プロデューサー
累計4000万枚以上のシングルセールスを記録。日本音楽史上歴代作曲家売上げランキング第3位。相川七瀬「夢見る少女じゃいられない」ZARD「負けないで」TUBE「シーズン・イン・ザ・サン」中山美穂&WANDS 「世界中の誰よりきっと」B.B.クイーンズ「おどるポンポコリン」DEEN「このまま君だけを奪い去りたい」WANDS「世界が終わるまでは…」KinKi Kids「ボクの背中には羽根がある」など数多くのヒット曲を生み出している。

 

織田哲郎の楽曲の魅力・特徴

 

以下では1990年代J-POPにおけるヒット請負人であり、今も愛され続ける「織田哲郎」の魅力と、そのサウンドの特徴を5つの項目に分けて考察してみたいと思います。

以下の曲あたりを聴いていただくと、いわゆる“織田哲郎サウンド”のつかみはOKといったところでしょう。この項目で説明する5つの特徴を、以下の曲は全て兼ね備えています。

◆FEELD OF VIEW「突然」
◆ZARD「心を開いて」
◆WANDS「世界が終るまでは…」
◆DEEN「このまま君だけを奪い去りたい」

 

① 心地よいロックサウンド

 

生音にこだわった「心地よいロックサウンド」。それが織田哲郎の持ち味。

ちなみに最近見つけた“ザ・織田サウンド”は人気アイドルデュオKinKi Kidsのアルバム曲「ヒマラヤ・ブルー」。

あくまで私が思う織田哲郎節ではありますが、久しぶりに全開の織田サウンドを聴いたな、という満足感がありました。

 

意外にも彼は、プロデュース作以外の、提供した曲に関しては「曲を渡したあとはおまかせ」というスタイルだそう。

それゆえ一般のリスナーと同じタイミングで完成形を耳にすると聞いたときには衝撃を受けました。

世界観も密に共有しているのではと思うような、歌詞や声との絶妙なマッチングを数々目の当たりにしてきたからです。

 

② 清涼感のある夏っぽさ

 

織田哲郎サウンドをざっくりとした言葉で表現してみると、

「なんかCMで聴いた!」
「どこか夏っぽい」

とでも言いましょうか。

 

「夏っぽい」と言っても暑苦しいとは程遠い“清涼感”に近いものを感じませんか。

清涼飲料水のCMに起用されることが多かったのはそのせいかとも思うほど、透き通ったサウンドが特徴的です。(ちなみに彼自身のヒット曲「いつまでも変わらぬ愛を」も清涼飲料水のCMソングに採用されています。)

青春を思わせる爽快感や疾走感も彼の楽曲の持ち味といえます。

 

③ サビの場所がわかりやすい

 

織田哲郎の作る楽曲は「ここがサビ」だと分かりやすいのも特徴のひとつ。

サビのメロディがキャッチーなのはもちろん、サビまでの展開(盛り上がり)の作りかたが絶妙なのです。

ヒットの典型であるカノン方式(日本のヒット曲でよく使われるコード進行)を使うにしても、微妙な転調を使いながらサビへ向かうことで、明らかな盛り上がりを作る。

これは計算なのか、果たして天才なのか…きっといずれも当てはまることでしょう。

 

④ 日本語が映える

 

さらに織田氏の曲には日本語が乗りやすく、日本語が映えるという特徴もあります。こればかりは共同制作者との合わせ技、あるいは戦略かもしれませんが。

日本人が好きそうな、ある意味では歌謡曲的なロック。

複雑すぎず、きちんと耳に入り、繰り返し歌える。

歌謡曲とロックの出会いというのは、70年代にグループサウンズらによってすでに生まれた形ではあります。

それを90年代、当時の若者向けにブラッシュアップしたのが織田哲郎の功績かもしれません。

 

グループサウンズ

1960年代後半に活動したロックグループ。主にボーカル・エレクトリックギター・エレクトリックベース・ドラムという編成がされていた。初期人気グループには「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」「ザ・スパイダース」がいた。

▼ジャッキー吉川とブルー・コメッツの代表曲。1967年発売。レコード売上150万枚。

 

⑤ 歌いやすい

 

彼の曲は、キーがちょうど歌いやすいところにある、というのもヒットの秘訣であると考えます。

女性曲もさほど高いキーは使用せず、男性曲も低すぎるキーは使用しない。

言い方を変えれば、女性リスナーでも男性アーティストの曲を歌うことができる、逆もまたしかりということ。

時代はまさにカラオケブームに突入したころ。

歌いやすいヒット曲となれば、愛されるのは必然です。

 

メロディとは音の高低や緩急で成り立ちますから、使える音域は広ければ広いほうが、生まれる曲のバリエーションも広がります。

しかし彼はミドルの音域のなかで、絶妙に変調を使いながら、とびぬけて美しいメロディを作ってしまう。

加えてイントロや間奏、アウトロ(楽曲の終わり部分)にちりばめられた、鍵盤やギターによる特徴的で美しいリフ。

まさに曲のはじまりから終わりまで「織田哲郎の曲だ」と感じさせる要素がいくつも含まれています。

 

織田哲郎はオンリーワン

 

オンリーワンのアーティストであり、ヒットメーカー。

どれほどの数の青春を彼の曲が彩ったのか、私には想像もつきません。

 

ここまで書いても、そして調べても、織田哲郎サウンドを詳しく分かりやすく、音楽的にも直感的にも納得のいく分析に、私はまだ出会っていません。

なぜなら織田哲郎の曲はとにかく幅が広く、底が知れない。ハードロックからポピュラー、ボサノヴァまで、あらゆる音楽を生み出し、世に定着させてしまう。

そこには進化はもちろん、先ほど述べた「ヒマラヤ・ブルー」のような原点回帰を感じさせる曲もあります。

いつの時代にあっても、誰が歌おうとも揺るがない織田哲郎サウンド。

一度、頭のなかをのぞいてみたい。

彼になって美しいメロディを生み出してみたい。

そう思わずにいられないアーティストです。

 

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著者 シン アキコ

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90年代J-POPヒット曲入門 ~音楽で振り返る90年代!~


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はじめに

1990年代は「バブル経済の崩壊」「松本サリン事件」「少年犯罪の増加」など、暗いニュースが多かった時代。しかしどんなときでもエンターテイメントは屈しない、そんなエンタメ文化の「アツさ」を筆者は感じていました。

1990年代とはどんな時代だったのか?

第1章 ムーブメント

ここでは90年代J-POP界の3つの主要なムーブメントを解説!当時は現在でも活躍するバンドが多く登場し、ドラマでは野島伸司作品が物議を醸し、猿岩石・野猿などバラエティ発のヒット曲が多く生まれたそんな時代。

90年代活躍したバンド
ドラマタイアップ=ヒット 
バラエティ発のヒット曲

第2章 ヒットメーカー

ここでは90年代のブームの立役者3人を解説!「TKブーム」「つんく♂の魅力」「ビーイング系アーティストの台頭」。あの時なぜ流行っていたかはこの3人を知れば見えてくる!

小室哲哉
つんく♂
織田哲郎

第3章 ヒット曲20選

「有名な曲を改めて味わう」 をテーマに90年代感を堪能できる名曲を選出。90年代J-POP界の雰囲気を名曲とともに振り返ってみましょう。

【男性ボーカル編①】
【男性ボーカル編②】
【女性ボーカル編①】
【女性ボーカル編②】

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2.5次元ミュージカルのブームと今

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2.5次元舞台はアニメやゲームを舞台化した作品であり、近年ブームが起きています。その理由や作品を知ればきっと劇場に足を運びたくなることでしょう。

『2.5次元舞台』入門はこちらから!

著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元舞台を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

お問い合わせはこちらから
twitter【ゆうり藍】https://twitter.com/yuriran1

 

『2.5次元ミュージカル入門』目次へ  (全14ページ)

 

第1章では2.5次元ミュージカル(舞台)をより楽しむために4ページにわけて基礎知識を解説しています。このページでは2.5次元ミュージカルのブームについて解説していきます。

<第1章のページ>
定義
テニミュ
ブームと今】(当ページ)
俳優

 

2.5次元ミュージカルの作品数

 

2.5次元ミュージカル(舞台)作品の動員数・市場規模は右肩上がりで成長を続けています。

特に2012年以降の伸びは大きく、2012年に65億7700万円だった市場規模は2017年には156億円と2倍以上となっています。

 

(データ参考:https://www.oricon.co.jp/confidence/special/51523/)

 

また、2.5次元ミュージカル(舞台)のタイトル数も2012年までは50本に満たなかったのが、2012年は100本を超え、2017年には171本と増えています。

 


(データ参考:https://www.oricon.co.jp/confidence/special/51523/)

 

このような2.5次元ミュージカルの作品数の増加の背景には2つの理由があると考えられます。

 

1つは「長期シリーズとなる作品が増えた」ことです。

「テニミュ」の愛称で親しまれるミュージカル『テニスの王子様』(2003年初演)をはじめとして、

「弱虫ペダル」(2012年初演)

「薄桜鬼」(2012年初演)

「刀剣乱舞」(ミュージカル版2015年初演)

など、初演から2018年現在に至るまで、長くシリーズ化した舞台が多くなりました。

ファンが多い作品であれば、シリーズ化(続編が作られること)することで長期的に舞台作品も追いかけてくれます。

 

2つ目の理由は「新作が増えた」ことです。

女性をターゲットとしたアニメ・漫画・ゲーム作品では舞台化を念頭においたメディアミックス(=「テレビと漫画」などの異なるメディアが合わさって商品が作られる事)が行われることが多くなりました。

2018年も「文豪ストレイドッグス」や「夢色キャスト」「A3!」など多数の新作が上演されています。

 

▼文豪ストレイドッグス

漫画×舞台

▼夢色キャスト

ゲーム×舞台

▼A3!

ゲーム×舞台

 

以前は舞台化が発表されると不安や疑問の声が多く聞かれましたが、ここ数年で「あの作品は舞台になりそうだったけど、やっぱり舞台化された!」という声や、キャストの発表を楽しみにするファンも増えました。

それだけ特に女性をターゲットとした作品においては、2.5次元ミュージカルは馴染みのあるものになっているということです。

 

 

広がる作品の差

 

作品数の増加とともに人気作とそうではない作品の差も大きく広がりました。

チケットがなかなか取れず、一般発売でもすぐに売り切れという舞台もあれば、なかなかチケットが売れず客席が埋まらない作品もあります。

 

また、質の高い演技や演出が楽しめる作品がある一方で、原作ファンが納得できない舞台化もあります。

 

【コラム】原作ファンが納得できない舞台化って?

・衣装やウィッグの質が悪く、ビジュアルイメージが満足できない

・舞台オリジナルのストーリーだが、原作で受けるキャラクターのイメージとそぐわないストーリーになっている

・新人の役者が多く、演技の面でキャラクターの再現ができていない。また、歌やダンスの技術力不足

納得できない要因として大きいのは一番最後に挙げた役者の技量不足かと筆者は思っています。

作品数が増えたために、作品によってはほぼ初舞台というキャストで上演する作品もあり、お遊戯会と揶揄されることも少なくありません。 

 

2.5次元ミュージカル(舞台)はもともと原作ファンが持つ舞台化への強い抵抗感や拒否感を、作り手側の熱意や工夫によって覆してきたジャンルです。

市場規模が広がった今だからこそ、質の高い作品を制作サイドには求めていっていただきたいと思います。

 

ブームで拡大するターゲット層

男性向け作品

 

ここ2017年~2018年の特徴として、男性に人気がある作品やキャストを起用している2.5次元舞台が増えていることがあります。

「けものフレンズ」や「魔法先生ネギま!」といった女性キャストのみの作品や、女性キャスト中心の作品が上演されました。

 

▼舞台「けものフレンズ」(画像クリックで商品詳細へ)

▼舞台「魔法先生ネギま!」

 

男性向けの舞台化作品は、役者ではなく声優を舞台版キャストに起用するパターンが多いことが特徴的です。

 

また、乃木坂48版「セーラームーン」のようにアイドルグループのメンバーをキャスティングし「原作ファン」よりもむしろ「キャストファン」にたいして訴求力を高めているというケースも見られます。

 

▼乃木坂48版「セーラームーン」

 

一方で、キャストファンにたいして訴求力を高めるのではなく「Fate/Grand Order」のように原作ファンを引きつけ、続編が決まった作品もあります。

 

Fate/Grand Order

スマートフォン専用のRPGゲーム。日本ゲーム大賞2018優秀賞を受賞している。コミック化、アニメ化などメディアミックスを展開している。2017年9月に舞台化。

▼アニメ「Fate/Grand Order」(画像クリックで商品詳細へ)

この作品の解説は第3章でしています。

 

男性向け作品もこれまでの女性向け作品のように原作ファンが足を運ぶのか、2.5次元舞台へのファンが定着するのかは今後注目していきたいところです。

 

 

海外ファンからの支持

 

2.5次元ミュージカルは海外での人気も高まっています。

2015年から上演を続けているミュージカル「刀剣乱舞」は中国やフランスでも上演されており、海外のファンからも支持を受けているのがわかります。

 

刀剣乱舞

DMMゲームスとニトロプラス(ゲームメーカー)が共同製作したPC版ブラウザゲーム。「刀剣男士」として擬人化された名だたる名刀を育成するゲーム。映画は2019年に公開。2015年にはミュージカル、2016年には舞台化された。

▼ミュージカル「刀剣乱舞」映像作品(画像クリックで商品詳細へ)

ミュージカル「刀剣乱舞」については第2章で解説! ミュージカル「刀剣乱舞」については第2章で解説!

 

また、海外公演とまではいかなくてもライブビューイング(舞台公演をリアルタイムで映画館に配信し、映画館で観劇できるイベントのこと)は中国、台湾、香港などを中心に、海外の映画館に向けて配信されることが少なくありません。

 

オリジナル作品

 

2.5次元ミュージカルは「作品ファン」から「キャストファン」になり、さらに他の作品にも足を運ぶという流れが生まれています。

その流れの中で、2.5次元ミュージカルによく出演する若手俳優を起用した原作のないオリジナル舞台の制作も増えています。

 

▼作品ファンからキャストファンになる流れ

 

原作のないオリジナル舞台の制作の例でいえば、2018年に制作された「御茶ノ水ロック」はテレビドラマの放映、ドラマ終了後に同じキャストで舞台版の上演を行いました。

 

▼ドラマ「御茶ノ水ロック」(画像クリックで商品詳細へ)

 

2.5次元ミュージカルにも多く出演するキャスト陣を起用した本作は、2.5次元ミュージカルファンをターゲットにした作品だと考えられます。

ドラマ放送から始まった「御茶ノ水ロック」は、コミカライズ作品やノベライズ(小説)作品が発売され、3次元が2次元化する”逆2.5次元”ともいえる現象が起こりました。

 

【筆者に聞きました!】御茶ノ水ロックは2.5次元ミュージカル?

「御茶ノ水ロック」はコミックもリリースされていますが、テレビドラマが原作となっているので、ドラマのコミカライズ(コミック化)になります。

2.5次元ミュージカル(舞台)の定義としては漫画が原作である作品の舞台化になるので、筆者の考えとしては2.5次元ミュージカル(舞台)ではないと思っています。

ただ、キャストも含め2.5次元ミュージカルファンをメインターゲットにしているように見てえるため、人によっては2.5次元ミュージカル(舞台)にカテゴライズする人もいるのではないかと思います。 

 

2.5次元ミュージカルならではの魅力である原作世界観の表現やキャラクターが目の前にいる感覚が当たり前になってきた今、お馴染みのキャスト陣でのオリジナル作品に新たな需要が生まれているのかもしれません。

 

以上、「2.5次元ミュージカルのブームと今」でした。

次のページでは2.5次元ミュージカルを支える俳優さん達について解説をしていきます。

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麻雀ブームの歴史 ~第三次麻雀ブームへの期待~

Webon紹介目次著者
近年、インターネットの登場により麻雀の新たなブームが到来し麻雀を楽しみやすい環境が整ってきています。麻雀プロの筆者が、近年の麻雀ブームを解説すると共に麻雀の魅力をお伝えします。きっと麻雀を打ちたくなることでしょう!
「『麻雀の魅力』入門 ~インターネットが変えた現代の麻雀~」はこちらから

著者:平澤元気

1990年6月15日生まれ。CSモンド「ZOO麻雀道学生選手権」、オンライン麻雀天鳳公式ニコ生「天鳳解体新書」などの解説で好評を博す。
著書に「絶対にラスを引かない麻雀 ~ラス回避35の技術~ (マイナビ麻雀BOOKS)」「デジタルに読む麻雀 (マイナビ麻雀BOOKS)」等多数。お問い合わせはこちらから
twitter(平澤)twitter:@hira_ajmja

 

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麻雀ブームの歴史

 

現在の麻雀はどのように変わったのか。まずは日本における麻雀ブームの変遷を簡単に見ていくことで現代の麻雀について理解を深めましょう。

 

第一次麻雀ブーム ~大正時代~

 

麻雀は中国で生まれ、明治末期に日本に伝わったと言われています。

大正時代には日本各地に広がり、麻雀に親しむ人は徐々に増えて行きました。これはさしづめ「第一次麻雀ブーム」と言ったところです。

 

第二次麻雀ブーム ~昭和40年代~

 

そして爆発的に麻雀人口を増やしたのが、昭和40年代に大流行した小説「麻雀放浪記」。

この小説に憧れた多くのサラリーマンや大学生が麻雀を嗜み、第二次麻雀ブームとなります。

 

麻雀放浪記が起こした麻雀ブームについて
麻雀には「ギャンブル」「タバコ」「お酒」といったあまり良くないイメージと結びつく方もいるかと思います。「麻雀放浪記」が大ブームになったことにより麻雀=ギャンブルというイメージを形成したきっかけになりました。詳しくはこちらの記事で解説

 

▼麻雀放浪記〈1〉青春篇 (文春文庫)(画像クリックで商品詳細へ)

 

近年のブーム ~インターネット×麻雀~

 

その後麻雀は一つの文化として根付いていくわけですが、ここ近年この頃に勝るとも劣らないブームが起きつつあるのではないか、と私は感じます。

麻雀人口そのものの増加だけではなく、これまではあまり麻雀に触れる機会の少なかった中高生や若い女性といったプレイヤーが増えつつあるのです。

 

そのきっかけとなっているのがインターネット

 

これまで麻雀というのは「4人が対面して遊ぶゲーム」でした。

それはコミュニケーションを取るのに適しているという長所である反面、そもそも4人揃えるのが難しかったり、自分一人では気軽に遊べないという短所も同時に抱えていたのです。

また、麻雀をする場所、というとどうしてもタバコの煙が気になったり、4人でやるという性質上自分の都合でやめる時間を決めづらかったり、と煩わしいところもあります。

 

それに現代社会では、わざわざ仕事が終わった後に上司と一緒にゲームなんてしたくない、という人も多いですよね。

麻雀だけでなく、人が集まってやる遊び、というもののハードルが徐々に高くなって来ているのかもしれません。

 

しかしインターネットはその短所を解決してくれました。

インターネットを介して対戦する麻雀ゲームでは、ネットに繋げばすぐに対戦相手が見つかり、自分のタイミングで辞めることもできます。家事の合間や通勤の電車の中など、ちょっとした空き時間に30分だけ遊ぶ、という遊び方はリアルの麻雀ではできないことです。

 

「実際に顔を合わせないなんて味気ない」

という人もいますが、逆に純粋な知的ゲーム、ボードゲームとして楽しみたい人にとっては余計な人付き合いをしなくても良いということにもなります。

私は相手と雑談しながら打つリアルの麻雀も好きなので、それはそれで寂しい気もしますが、現代的な楽しみ方と言えるでしょう。

平日は「仕事の後にネットで1時間だけ」休日は「友達と集まって半日ワイワイと」なんて楽しみ方もできますね。

 

AbemaTVの登場

(引用元:http://mahjong.abematimes.com/)

 

前のページでも少しご紹介しましたがさらにネットにおける麻雀コンテンツとして最近大人気なのがAbemaTVの麻雀チャンネルです。

【参考リンク】AbemaTV麻雀チャンネル

 

AbemaTVというのはPCやスマホから見ることができるインターネットTVのことで、音楽、ドラマ、スポーツ、アニメ、将棋と言った専門チャンネルがあり、それぞれのジャンルの番組を24時間無料で放送しています。

その中に麻雀チャンネルがあり

「プロの真剣勝負」から「芸能人の方が参加されるバラエティ的な番組」

まで数多くの麻雀番組が放送されているのです。

 

麻雀の番組、しかもプロ同士の対局なんて本気で麻雀を勉強している「ガチ勢」しか見ないんじゃないの?

私自身はじめはそう思っていたのですが、最近では麻雀はしたことはないけどAbemaTVで麻雀をよく見ている、それをきっかけにルールを覚えたい、そんな声をよく聞くようになりました。

 

<コラム>AbemaTVの新プロジェクト「Mリーグ」でさらに変わる麻雀界!?

AbemaTVを運営する「サイバーエージェント」の藤田晋社長がチェアマンを務める麻雀プロリーグ「Mリーグ」の始動が発表されました。

このMリーグがこれまでの麻雀プロの活動と大きく違うところは、スポンサーとして電通、博報堂、コナミと言った超一流企業が参加しているところです。

優勝賞金は麻雀のタイトル戦としては最高額の5000万円。さらに出場選手は企業側から年俸が支払われるそうです。詳しくは後のページでも紹介しておりますので気になる方は下記で!

 

調べてみると将棋などでも同様の現象は起きており、自分ではプレイせずに観戦だけを楽しむファンは「観る将」と呼ばれすでに市民権を得ているようです。

確かにYoutubeやニコニコ動画と言った動画サービスでもゲーム配信というのは人気コンテンツ。

プレイするだけでなく「見て楽しむ」というのが今の時代の新しいゲームの楽しみ方なのかもしれませんね。

 

第三次麻雀ブームへの期待

 

このようにインターネットを中心に、これまで麻雀に触れてこなかった層のファンが急増しています。

そういった人が増えることで、ライトユーザー向けのコンテンツも増え、さらにはじめやすくなる、そんなスパイラルができつつあり、この調子なら第三次麻雀ブームというものがくるのでは? そんな期待をプロの一人として抱いています。

 

麻雀は「4人が集まらないと楽しめないもの」から

「一人でも・観るだけでも楽しめるゲーム」へと変わりつつあります。

 

もしあなたが麻雀っておもしろいかも、ちょっと興味あるな、と思ったならば、スマホ1台あれば

「ルールを学ぶ」

「とりあえずゲームで遊んでみる」

「どんなゲームなのか麻雀番組を見て雰囲気を掴む」

これらが全て無料でできるのです。

 

次のページでは、実際に初心者が一人で麻雀を楽しむ方法をお伝えいたします。

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目次著者

著者:平澤元気

1990年6月15日生まれ。CSモンド「ZOO麻雀道学生選手権」、オンライン麻雀天鳳公式ニコ生「天鳳解体新書」などの解説で好評を博す。
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はじめに ~一生遊べる知的ゲームとしての麻雀の魅力~

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麻雀というゲームならではの特徴とは

 

はじめまして、全日本麻雀協会(競技麻雀のプロ団体)の平澤元気と申します。

皆さんは「麻雀」というゲームにどのような印象をお持ちでしょうか。

 

おそらく4人が四角の卓を囲んで、ジャラジャラとやっているもの、というくらいはご存知の方が多いのではないかと思います。

もしくは麻雀をしたことはなくても「アカギ」「咲」と言った漫画やアニメを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 

 

▼アカギ-闇に降り立った天才-(画像クリックで商品詳細へ)

▼咲 -saki-(画像クリックで商品詳細へ)

 

麻雀は長い歴史があり、様々なコンテンツを生み出して来たゲームですが、近年、インターネットの普及により誕生した「麻雀の新しい楽しみ方」が注目されています。

この記事では、プロ雀士として活動する私が「一生遊べる知的ゲーム」としての麻雀の魅力を、少しでも皆様にお伝えできればと思います。

 

麻雀の遊び方については今後の記事で詳しくご説明するとして、ここでは麻雀の魅力について簡単にご紹介したいと思います。

 

麻雀というのは、ランダムに積まれた牌(はい)を順番に引きながら決められた役を作っていくというゲームです。

 

▼牌

 

引いて来た牌をどう組み合わせて、どんな役を作るのかという「パズル要素」

残っている牌から何を引く確率が高いかを考える「確率論」

を組み合わせて戦略を考えます。

 

その戦略を極めようとすると大変奥深く、統計学やAIを用いても未だ完璧な戦略というものは解明されていないほどです。

それでいて運の要素もあるので初心者でもプロに勝てる可能性があるというのが大きな魅力で、初心者と上級者が一緒に遊べてみんなが楽しめるというのが最大の特徴です。

 

筆者が考える麻雀最大の魅力

 

私が特に推したい麻雀の良い点が

「一生遊べる」

「どこでも遊べる」

というところです。

 

麻雀は反射神経や身体活動を必要としない、じっくり考えて楽しむゲームですから、年齢に関係なく楽しむことができます。

 

また、進学・就職や転勤などで環境がガラッと変わったとしても、大抵の街には麻雀を楽しめるお店があるので、すぐに新しい仲間を見つけることができます。

 

テレビゲームやスマホゲーム、ボードゲームなど、面白いゲームは数あれど「一生継続して楽しめるインフラが整っているゲーム」というのはなかなかありません。

 

実際私の麻雀仲間は 学生 から 還暦をすぎた大先輩 まで幅広い年齢の方がいますし、転勤族だけどその度に現地で麻雀仲間を増やしているサラリーマンもいます。

 

麻雀のよくないイメージは「麻雀放浪記」で作られた!?

 

ここまで麻雀の魅力を簡単にご紹介しまいたが、一方で中には麻雀というと「ギャンブル」「タバコ」「お酒」といったあまり良くないイメージと結びつくかたもいるかもしれませんね。

確かに麻雀はそういったイメージと結びつけられやすいゲームです。

 

これは、日本における麻雀ブームが昭和40年代、直木賞作家阿佐田哲也氏の小説「麻雀放浪記」によって引き起こされたことに起因します。

麻雀放浪記は、激動の戦後復興期を舞台に個性的な登場人物達が賭博としての麻雀で激闘を繰り広げるピカレスクロマン(悪漢小説)で、当時絶大な人気を誇りました。

 

▼麻雀放浪記〈1〉青春篇 (文春文庫)(画像クリックで商品詳細へ)

 

小説の中で騙し騙されながら真剣勝負を繰り広げる主人公達の活躍を追体験するように、当時のサラリーマン達は仕事帰りに雀荘に集まったそうです。

さらに阿佐田哲也氏は「麻雀新撰組」というユニットを作り、エンターテイメントとしての麻雀を世間にアピールしました。

これが当時大ヒットし、麻雀は一大ブームを形成したわけです。

 

麻雀放浪記は今読んでも面白い、偉大な作品ですが、ブームのきっかけがギャンブル小説、というのが麻雀=ギャンブルというイメージのきっかけになったのも1つの事実です。

 

近年変わりつつある麻雀のイメージ


(引用元:http://mahjong.abematimes.com/)

 

しかしそのイメージも、近年変わりつつあります。

インターネットTV局として人気を博すAbemaTVに「麻雀専門チャンネル」があるのを皆さんご存知でしょうか。

 

【参考リンク】AbemaTV麻雀チャンネル

 

アニメ、スポーツ、将棋、音楽などと並んで「麻雀」がメインコンテンツの1つとなっているのです。

このAbemaTVのおかげで麻雀番組を視聴する方の数は爆発的に増えています。

中には麻雀はしたことがないけど麻雀番組は熱心に見ている、というファンも生まれつつあるそうです。

 

AbemaTVの登場による麻雀界の変化について先に知りたい方はこちら!

 

 

その他にも

「飲まない・賭けない・吸わない」をテーマに掲げる健康麻雀

インターネットさえあれば一人でも麻雀を楽しめるネット麻雀

など、古くからのイメージに囚われない、麻雀の新しい楽しみ方が広がっています。

 

一生の趣味として、クリーンで知的なテーブルゲームとしての麻雀を覚えるのは非常に良い時代になっているなと感じます。

皆さんも是非、スマホ片手に手軽に楽しく、一生ものの趣味になるかもしれないゲームを始めて見ませんか。

 

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著者:平澤元気

1990年6月15日生まれ。CSモンド「ZOO麻雀道学生選手権」、オンライン麻雀天鳳公式ニコ生「天鳳解体新書」などの解説で好評を博す。
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ペットを飼うなら知っておくべき心構え

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エキゾチックアニマルはペットとしての歴史が浅く、人に馴れにくいからこその魅力があります。多数のエキゾチックアニマルを飼育してきた筆者が、種類・飼い方・会える場所などを紹介。

ペットとしての『エキゾチックアニマル』入門はこちらから

はじめに

エキゾチックアニマルとは

第1章 エキゾチックアニマルを深く知る

人類とペットの歴史 ~エキゾチックアニマルの魅力~

ペットを飼うなら知っておくべき心構え

エキゾチックアニマルを飼うなら知っておくべき心構え

第2章 代表的なエキゾチックアニマルの種類

代表的な飼えるエキゾチックアニマル  ~哺乳類編~

代表的な飼えるエキゾチックアニマル  ~爬虫類 / 両棲類編~

代表的な飼えるエキゾチックアニマル  ~鳥類 / 魚類編~

代表的な飼えるエキゾチックアニマル  ~奇蟲編~

第3章 定番エキゾチックアニマルの飼い方

エキゾチックアニマルの飼い方 ~フクロモモンガ編~

エキゾチックアニマルの飼い方 ~ヒョウモントカゲモドキ編~

エキゾチックアニマルの飼い方 ~ベタ編~

エキゾチックアニマルの飼い方 ~ダイオウサソリ / バンパイアクラブ編~

エキゾチックアニマルの飼い方 ~おすすめの飼育用品編~

第4章 エキゾチックアニマルを飼おう

エキゾチックアニマルに会いに行こう① ~動物園編~

エキゾチックアニマルに会いに行こう② ~アニマルカフェ編~

エキゾチックアニマルを飼おう① ~ペットショップ編~

エキゾチックアニマルを飼おう② ~即売会(即売イベント)編~

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷) https://www.facebook.com/masaaki.kuniya.3344

 

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日本はイヌ・ネコの飼育数が子どもの数以上!?

 

2014年に全国でおこなわれた実態調査の結果、日本にはイヌとネコだけで2000万頭以上がペットとして飼育されていることがわかりました。

当時の日本の総人口が約1億2708万3000人ですから、一人で何匹も飼っていることなどを考慮せず単純に計算するとおよそ6人にひとりの割合でイヌかネコを飼育していることになります。

また、少子高齢化が進む昨今、15歳未満の子どもの人口は2000万を大きく下回っており、イヌ・ネコの飼育数が子どもの人口を上回る「少子高齢ペット大国」ともいうべき様相を呈しています。

 

ペットブームの光と影

(写真:シベリアンハスキー)

 

過去にはコミックやTVアニメ、コマーシャル等の影響でシベリアンハスキーやチワワの他、アライグマ、リスザル、ワニガメ、エリマキトカゲ、グリーンイグアナ、ウーパールーパーといったエキゾチックアニマルが大きなブームとなったこともあります。

 

ペットブームの一例:ウーパールーパー
1985年、日清食品UFOのCMでウーパールーパーが登場し、その愛くるしい表情が支持され大ブームになる。

 

その一方で、好奇心や物珍しさが先行して正しい知識をもたない飼育者によって不幸な末路をたどるペットが続出しました。

 

家族の一員であるペットを誤った飼育方法で死なせてしまうことも充分すぎるほど悲しい出来事ですが、飼いきれなくなったペットを自然に放すことはそれ以上に許しがたい行為であるといえます。

飼育動物の流出は在来の生態系の破壊をもたらし、次世代にまでおよぶ取り返しのつかない大きな影響を与えます。

 

日本の気候に適応できない動物種であれば繁殖の心配はありませんが、海外原産の個体が日本の気候に順応し生態系を汚染してしまう可能性も少なくありません。

実際に、ミドリガメの愛称で知られるミシシッピアカミミガメは今や全国の池沼であまねく繁殖し、在来(もともと存在した)の生態系に大きな影響を及ぼしています。

 

▼ミシシッピアカガメ

 

他にも、カミツキガメやアライグマ、ハリネズミ、インコ、グリーンイグアナ、アフリカツメガエルといったペット由来のエキゾチックアニマルが日本の気候に順応し、日本各地で繁殖を繰り返しています。

 

日本のペットに関する問題点

 

そして悲しいことに、日本では子どもの人口を大きく上回る数のペットが飼育されているにも拘らず、他の先進国と比べてペットに係る法律の整備が行き届いていないため、ペットに関しては後進国であると言わざるを得ません。

 

たとえば、動物愛護先進国といわれるヨーロッパ諸国においては、イヌ・ネコはブリーダーから直接入手するか保護施設から譲り受ける場合がほとんどで、ペットショップで購入することはほとんどありません。

また、ペットショップの店頭で動物を販売するためには政府機関の認可が必要であり、認可を得るためには厳しい審査をパスしなければなりません。

その他にも、捨てイヌ・ネコの増加を防ぐためにマイクロチップの装着を義務づけたり、飼育者側にも免許制度を導入するなど、国によってさまざまな動物愛護法案が施行されています。

 

実験動物の飼育管理者として見てきたもの

 

余談ですが、筆者は以前、実験動物の飼育管理者として国立研究機関や民間製薬会社の研究を補助していたことがあります。

実験に使用した動物はデータの収集が済み次第、安楽死をもってその生を終わらせるという原則があります。もちろん実験の内容によっては多少の苦痛を伴うものも少なくありません。

 

実験動物は生体実験の対象として計画的に生産され、役目を終えると速やかに安楽死させられます。その動物種はマウスやラットだけでなく、イヌ、ネコ、サルなど多岐にわたります。

研究の世界では動物実験を実施するにあたって、動物福祉の観点から環境エンリッチメントが推奨されています。環境エンリッチメントとは、飼育環境に変化を与え、飼育動物に行動の多様性を引き出す環境を整えることを指します。

 

しかし、現場レベルで環境エンリッチメントが浸透しているとは言い難く、劣悪な環境のなかで定められた死を待つ動物たちの姿を幾度となく目にしてきました。

日本では1973年に施行された動物愛護法によって動物の虐待が法的に禁じられましたが、長らく法律上「モノ」とされていたことの名残なのか、アニマル・ライツ(=動物の権利)という考え方はいまだ定着していません。

こうした現状を脱するためには、ペット業界を取り巻く法律の改正と強化が不可欠であるといえます。

 

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著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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