90年代J-POPヒット曲おすすめ20選 【男性ボーカル編②】

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あなたにとっての“あの頃”はいつですか?著者にとってアツかった時代「90年代」のJ-popヒット曲を生粋の邦楽ファンの著者が分析します!読めば“あの曲”を聴きたくなる事間違いナシ!!

90年代J-popヒット曲入門 ~音楽で振り返る90年代!~(全11ページ)はこちらから!

著者 シン アキコ

30代前半女性。邦楽ファン歴25年。70年代、80年代、90年代の邦楽を愛しています。「歌詞」「曲が生まれた背景」「当時の流行との関連性」などを分析することが好き。

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前ページに引き続き90年代J-POPのおすすめの名曲【男性ボーカル編】を紹介いたします。

 

⑥ 言えないよ(郷ひろみ) ~バラード3部作!カラオケブームを彩った名曲~

リリース年月 1994年5月1日
オリコン 週間27位
収録アルバム 「THE GREATEST HITS OF HIROMI GO VOL.2 -Ballads-」
 TBS系ドラマ「お見合いの達人」主題歌。フジテレビ系バラエイティ「上岡龍太郎にはダマされないぞ!」エンディングテーマ。オリコン100位以内には39週もランクされ、郷ひろみの最高記録となる。

 

90年代の売上トップ50にこそ入っていないものの、90年代のカラオケブームを彩り、多くの人に歌われた名曲です。

郷ひろみが1992年~1995年の間にリリースした「僕がどんなに君を好きか、君は知らない(1993)」「言えないよ(1994)」「逢いたくてしかたがない(1995)」はバラード3部作と言われています。

90年代は郷ひろみや長渕剛、松田聖子など80年代やその前から活躍していた歌手も、全盛期ほどではないにしろ、いくつものヒット曲を発表し、チャートに名を連ねていた時代でした。

 

「言えないよ」はラブソングの帝王(私がそう呼んでいるだけ)康珍化作詞の名曲。

康珍化作のラブソングといえば他にも「悲しい色やね~OSAKA BAY BLUES(上田正樹)」「全部だきしめて(KinKi Kids)」「君だけに(少年隊)」「桃色吐息(高橋真梨子)」などが有名。

一方で「ギザギザハートの子守歌(チェッカーズ)」「渚のはいから人魚(小泉今日子)」などキャッチーでコミカルな歌詞も多数手がけています。

30代という、男性が最も魅力をまとうと言っても過言ではない時期。その時期の郷ひろみが歌い上げたバラード3部作のうちの1曲「言えないよ」。

 

言えないよ 好きだなんて 誰よりもきみが近すぎて

引用:郷ひろみ「言えないよ」作詞作曲 康珍化、都志見隆

 

そんな「言えない」想いを歌う。

大切な存在であるからこそ簡単には言えない気持ち。それでももう打ち明けずにはいられない、今にもあふれそうな感情を歌詞にも、歌声にも感じます。

郷ひろみがなぜこれほど長く女性ファンに愛されているのか、この曲を聴いて以降わかるようになりました。

ぜひ一度は聴いていただきたい、珠玉のバラードです。

▼「言えないよ」収録アルバム(リンク先で試聴可能)

 

⑦ もう恋なんてしない(槇原敬之) ~20年以上経っても共感され続ける究極の失恋ソング~

リリース年月 1992年5月25日
オリコン 週間2位/1992年度年間7位
収録アルバム 「君は僕の宝物」
「10.Y.O.~THE ANNIVERSARY COLLECTION~」
「EARLY 7 ALBUMS」
 日本テレビ系ドラマ「子供が寝たあとで」の主題歌。売上総数約140万枚でミリオン達成。

 

発売から20年以上経ったいまも、共感され続ける究極の失恋ソング。

槇原敬之の歌詞の魅力は“具体性”にあります。

 

紅茶のありかがわからない、いつもより眺めがいい左…

引用:槇原敬之「もう恋なんてしない」作詞作曲 槇原敬之

 

「君」がいなくなった喪失感を、具体的なエピソードをもって語ることで「いない」という世界にリスナーをぐっとひきつけます。

 

もし君に1つだけ 強がりを言えるのなら
もう恋なんてしないなんて 言わないよ 絶対

引用:槇原敬之「もう恋なんてしない」作詞作曲 槇原敬之

 

1番ではこう歌っている主人公。「もう恋なんてしないなんて言わない」のは、強がりだといいます。しかし2番以降、彼は身の回りを片付け前に進もうとし始める。

 

こんなにいっぱいの君のぬけがら集めて
ムダなものに囲まれて 暮らすのも幸せと知った

引用:槇原敬之「もう恋なんてしない」作詞作曲 槇原敬之

 

強がりなんてもうかけらもない、情けないほどに正直な、寂しさや喪失感を抱える男。そして終盤には彼女のことを心配できるまでに落ち着いた心、自分自身もちゃんと次の恋に進もうという決心が見て取れます。

 

本当に 本当に 君が大好きだったから
もう恋なんてしないなんて 言わないよ 絶対

引用:槇原敬之「もう恋なんてしない」作詞作曲 槇原敬之

 

「もう恋なんてしないなんて言わない」理由が、曲のはじめと終わりでは異なることにお気づきでしょうか。

強がりで言っているのではなく、恋っていいものだったから、それを君が教えてくれたから、だからもう恋なんてしないなんて言わない。

失恋ソングでありながら、最後には前向きな気持ちを残す。恋を失った人ならだれもが共感できる。誰もが求めたい言葉を歌う、まさに名曲です。

もし「もう恋なんてしない」とふさぎ込み、悲しみに暮れる曲であったなら、ここまでのヒットはなかったのではないでしょうか。

▼「もう恋なんてしない」(期間限定無料聴き放題有)

 

⑧ 田園(玉置浩二) ~本人主演のドラマ主題歌、苦しみの底で作った名曲~

リリース年月 1996年7月21日
オリコン 週間2位/1996年度年間25位
収録アルバム 「CAFE JAPAN」
「田園 KOJI TAMAKI BEST」
 フジテレビ系木曜劇場「コーチ」主題歌。ソロでは初のオリコントップ3入りを果たし、92万枚を売り上げる最大のヒット曲となる。

 

「田園」のPV(玉置浩二が麦わら帽子をかぶってギターを弾いている)は印象的でした。

ランキングが入れ替わりやすい現在と異なりロングセラー(飽きられない、徐々に人気が出る)であったため、歌番組のランキングで何度も何度も目にしました。

 

玉置浩二の歌唱力は天性のもの。

「曲は毎日作れる」という、身体中が音楽でできているような人。

歌うように話し、話すように歌う。彼の歌は、満員のホールにおいても“たった一人”に届くような、そんな歌だと思います。

彼が苦しみの底にいたときに作ったというこの「田園」。

 

生きていくんだ それでいいんだ ビルに飲み込まれ 街にはじかれて
それでもこの手を離さないで
僕がいるんだ みんないるんだ
愛はここにある 君はどこへも行けない

引用:玉置浩二「田園」作詞 玉置浩二・須藤晃 作曲 玉置浩二

 

何度も繰り返される「生きていくんだ それでいいんだ」という強い言葉。誰かを励ましているようであり、自分に言い聞かせているようでもあります。

そして彼がこの曲においてもっとも伝えたかったことがまさに「生きていくんだ それでいいんだ」であるといつか話していました。

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私は個人的に、熱く励ますような曲や言葉はあまり好みません。「生きろ」だとか「がんばれ」だとか、うすっぺらい言葉を簡単に言われるのも好きではない。

ただ、玉置浩二の曲には、彼の抱える弱さや葛藤を感じます。先ほど述べたように、彼が自分自身に言い聞かせているような言葉。

でも「田園」を歌う彼はいつも笑顔です。「生きていくんだ それでいいんだ」と決めた彼が、少年のような顔でギターを鳴らし、楽しそうに歌う姿は、どんな言葉にも変えられない勇気であり希望。

あとは聴いてください。

玉置浩二の曲は私がごちゃごちゃと語るよりも一聴にしかず。

▼「田園」(期間限定無料聴き放題有)

 

【コラム】玉置浩二は最も生で歌声を聴きたいアーティスト

「玉置浩二」は私が、いま最も生でその歌声を聴きたいアーティストです。 近年になってその歌唱力が再評価されはじめていますが、表現力に優れとてつもなく歌がうまい人だと思います。

個人的な話になりますが、近年、ある程度年齢を重ねたアーティストは「見たいと思ったときに見ておく」と決めており(西城秀樹さんの急逝でそう思いました)、玉置浩二も還暦ということで「今最も見ておきたい人」(見逃すと後悔する人)と思っております。

 

⑨ BELOVED(GLAY) ~GLAYの時代のはじまりを告げた青春ソング~

リリース年月 1996年8月7日
オリコン 週間3位/1996年度年間31位
収録アルバム 「BELOVED」
「BEAT out!」
「-Ballad Best Singles- WHITE ROAD」
 TBS系ドラマ「ひと夏のプロポーズ」主題歌。GLAY初のドラマ主題歌。80万枚を超える大ヒット。

 

90年代後半はGLAYの時代であったといっても過言ではありません。

そんなGLAYの時代のはじまりを告げたのが「BELOVED」この曲ではないかと思っております。

 

全員がソングライターであるGLAYですが、90年代発表のシングル曲はリーダーであるTAKUROによるもの。

「グロリアス(1996)」「BELOVED(1996)」「SOUL LOVE(1998)」を、私はGLAY青春三部作と勝手に銘打っています。

 

やがて来るそれぞれの交差点を 迷いの中 立ち止まるけど
それでも人はまた歩き出す

引用:GLAY「BELOVED」作詞作曲 TAKURO

 

やけに青くさい、どこか堅さのある歌詞が少しむずがゆく、それがとんでもなく魅力的。

歌詞だけを見れば70年代フォークにも通ずるような、友情やイノセンス、青春の葛藤、岐路、離別、一途な愛…TAKUROの言葉を借りれば「忘れていた大切な何か」が綴られています。

ゴリゴリのロックテイスト曲でも、どこかマジメで正しいTAKURO節。

私は好きです。

そして彼がつづった美しいメロディに、HISASHIが尖りのあるリフ(繰り返し演奏される印象的なフレーズ)を乗せ、ロックンローラーJIROのベースが主張する。イントロやアウトロ(楽曲の終わり部分)まで口ずさめるような、印象深いリフの数々もGLAYの魅力です。

TERUの声の魅力は…語るまでもありませんよね。

 

当時のシングル曲はとくに正統派ロックではなかったかもしれないし、ボップスに分類する人もいると思います。しかし、ここまでくればもはや「GLAY」というジャンルと言えるでしょう。

なお「SOUL LOVE」を聴くときはぜひMVを見ていただきたいです。さらにGLAYを好きになること間違いなしです。

▼GLAY「SOUL LOVE」MV

 

【コラム】正統派ロックとGLAY

正統派ロックをざっくりと説明するならば、

◆エレクトリックギター、ベース、ドラムで構成
◆反社会的、反倫理的側面をもつ。あるいはそういったメッセージをかかげる

一方当時のGLAYのシングル曲は

◆美しいビジュアルにこだわる(いわば“ビジュアル系”と見なされていた)
◆かといってゴリゴリのビジュアル系には走らない独自のスタイル
◆日本語主体、柔和で詩的な歌詞(女性を“あなた”と表現するのも珍しい)
◆リズムギターにはときにアコースティックギターを使用
◆メロ〜分かりやすいサビ、という、むしろポップスといえる曲構成

ロックテイストを持ちつつも正統派ロックとはどこか一線を画すオンリーワンのバンドであったと思います。

 

⑩ ever free(hide with Spread Beaver) ~hideが遺した繊細な世界~

リリース年月 1998年5月27日
オリコン 週間1位/1998年6月度1位/1998年度年間23位
収録アルバム 「Ja,Zoo」
「hide BEST 〜PSYCHOMMUNITY〜」
「hide SINGLES 〜Junk Story〜」
「We Love hide 〜The Best in The World〜」
 hideが生前に完成させていた最後のシングル。CX系「ごごいち」のオープニングテーマ。

 

98年5月に33歳という若さで急逝したX JAPANのギタリストのhide。

彼はもともと楽しみの一環として、バンド時代からソロ活動を行っていました。

97年12月31日のラストライブをもってX JAPANは解散。

翌年1月1日から本格始動したソロプロジェクト「hide with Spread Beaver」で、彼は音楽を発信し続けました。これからの予定も「秒刻みで決まっている」と嬉しそうに話していたhide。

没後、予定通りに発売された「ピンクスパイダー」「ever free」。

私はこの「ever free」が大好きです。

「ROCKET DIVE」には「若いうちは失敗をおそれずにどんどん世界へ飛び出していこう」

▼「ROCKET DIVE」MV

 

「ピンクスパイダー」には「飛び出した世の中はそんなに甘くはない」

▼「ピンクスパイダー」MV

 

「ever free」には「それでも人生は何度だってやり直せる、可能性を信じて生きていこう」というメッセージが込められているそう。

hideの曲には、彼の人間らしい弱さと、ほんの少しの切なさと、寄り添うような優しさを感じます。派手な風貌で、自由に暴れまわっていたhide。

その優しい人柄は多くの人が知るところでした。

彼が紡ぎ、遺した繊細な世界は、誰にも汚されないものとして、これからも残っていくと思います。

 

デタラメと呼ばれた君の夢の 続きはまだ胸の中で震えてる

引用:hide with Spread Beaver「ever free」作詞作曲 hide

 

hideが描いていたデタラメな夢、もっともっと見せてほしかったですね。

 

以上、90年代J-POPヒット曲おすすめ20選【男性ボーカル編】でした。

続いては【女性ボーカル編】です。

 

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