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第1章 ピアノ編
モーツァルト「きらきら星変奏曲」 初心者にもわかりやすく解説
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」 初心者にもわかりやすく解説
フランツ・リスト「パガニーニ大練習曲第6番」 初心者にもわかりやすく解説
第2章 バイオリン編
クライスラー「前奏曲とアレグロ」 初心者にもわかりやすく解説
パガニーニ「24の奇想曲第24番」 初心者にもわかりやすく解説
ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」 初心者にもわかりやすい解説
第3章 オーケストラ編
著者:めーぷる
国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから
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<まずは聴いてみよう!>
クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!今回はクライスラーの「前奏曲とアレグロ」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。
さて、前の章ではピアノの名曲についてご紹介してきましたが、ここからは4ページに渡って「ヴァイオリンの名曲」についてご紹介していきます。
ピアノが楽器の王様と言われる一方で、ヴァイオリンは楽器の女王と称される華やかな楽器です。
たった4本の弦で様々な表情を見せてくれる「女王様」の魅力についてたっぷりご紹介していきます。
今回はその最初として、クライスラーの「前奏曲とアレグロ」についてご紹介していきます。
ヴァイオリンの魅力を知っていただくための最初の曲としてうってつけの曲です。その魅力についてさっそく紐解いていきましょう。
クライスラー
▲フリッツ・クライスラー
クライスラーはユダヤ系にルーツを持つヴァイオリニスト・作曲家です。クライスラーはウィーンで生まれました。父は医者でフロイトとも親交があったと言います。
オーストラリアの精神医学者。始めて「無意識」という意識の無い状態を精神医学で扱い、世界に大きな影響を与えた。
▼ジークムント・フロイト
クライスラーは4歳の時にヴァイオリンを始めるとすぐに才能を開花させ、7歳でウィーン高等学院に入学しました。
そこでぐんぐんと腕を磨いたクライスラーはなんと10歳で卒業します。
クライスラーはその後、一旦医学の道を志すこともありましたが、最終的にはやはり音楽家の道を選ぶことになります。
その途中で第二次世界大戦が勃発しましたが、クライスラーはアメリカへと渡り、市民権を獲得したので、直接戦争の被害に遭うことはありませんでした。
天才クライスラーの逸話
ここで一つクライスラーの凄さをよく示している逸話を紹介しましょう。
クライスラーは演奏旅行中、図書館や修道院の資料室でヴィヴァルディ(もっと前の時代の音楽家)などの大作曲家の未発掘の楽譜を発見したとし、演奏会でそれらの曲を演奏しました。
聴衆はすっかりクライスラーの演奏の虜になってしまったのですが、批評家たちは別でした。
クライスラーの演奏に関して、「作曲家は素晴らしいが、演奏はまだまだ未熟だと評したのです。」もちろんこれは本心からではなく、クライスラーへの嫉妬というのが多分に込められていました。
しかし、クライスラーが60歳の時、批評家たちの面目を丸つぶしにするような事件が起こります。
なんと、クライスラーが大作曲家たちの未発掘の作品を見つけたという話は嘘で、実際はすべてクライスラー自身が作曲したものであるとわかったのです。(今回紹介している「前奏曲とアレグロ」もそのうちの一つの作品です)
このニュースによって、批評家たちは皮肉にもクライスラーの作曲の実力を認めていたということが明らかになりました。
このエピソードはクライスラーの作曲面におけるセンスというのを如実に示しているということができるでしょう。
前奏曲とアレグロ
「前奏曲」の特徴
「前奏曲とアレグロ」は名前の通り、前奏曲(プレリュード)の部分とアレグロ(テンポの速い曲)の部分に分かれています。
この「前奏曲とアレグロ」の前奏曲は何か歴史を感じさせるような重厚感をもって始まります。
前奏曲ではE(ミ)とB(シ)の音しか使われていないところに最大の特徴があると言っていいでしょう。きわめて珍しいと言えます。
E(ミ)とB(シ)の音だけを用いることによって、よりシャープな冒頭部分を演出することができています。
クライスラーだからこそ思いついた妙案であるといってよいでしょう。
▼前奏曲とアレグロ(聴いてみるとよくわかります)
バロック期の音楽
また、アレグロは、20世紀に書かれた曲ながら、曲の途中でバロック期(バッハやヘンデルなどの時代)の音楽を彷彿とさせるような部分が登場します。
バロック期を彷彿させるような部分はアレグロの曲の全体に散りばめられています。
1600年からバッハが亡くなる1750年の150年間をバロック音楽の時代と呼びます。「バロック」は真珠や宝石などが歪んだ様子を意味するポルトガル語が由来となっていると言います。ルネサンス以前の装飾が多すぎる様を揶揄するような意味で「バロック」という名がついたと言われています。
バロック期の前にはルネサンスの運動が展開されていました。
ルネサンスが起こるまでは、ヨーローッパではキリスト教の教えが中心で、行動や考え方が神に縛られており恋愛感情も抑えられているような状況でした。ルネサンスはそうした神の支配から抜けて「キリスト教を通じてではなく世界をありのままに見よう」というような考え方を元に進められていきました。
バロック期の音楽もそのような考えを受けて、人間の感情を表現するための道具として変化していきました。現在、我々が親しみを覚えているような音楽の要素はバロック期に登場しはじめたという風に言われております。
バロック音楽の特徴は、大規模で豪華絢爛、感情の起伏も激しく劇的な作風になっているものが多く、そして曲全体を低音のパートが一貫して流れているという(少し違うかもしれませんが、ベースを連想すれば理解しやすいかも)のも特徴だと言えるでしょう。
バロック期の音楽や時代や地域によって特徴の違いがあります。バッハやヘンデルの時代は後期のバロック期に位置します。
バロック期を彷彿させるような部分が「アレグロ」の曲の全体に散りばめられている事もまた興味深い部分であると言えます。
先ほど述べた「新たな時代の到来を告げるような前奏曲」から始まり、急に「バロック期のような音楽」へと移行するという意外性もまた聴衆を惹き付けるのです。
近代的な音の響き
その一方で、アレグロには随所に近代的な音の響きというのも含まれています。
近代的な音の響きというのは、本格的に説明するとなかなか大変なのですが、たとえば、大河ドラマの音楽も近代的な響きを取り入れています。
したがって、わかりやすく説明するならば、アレグロの一部も少し大河ドラマの音楽と雰囲気が似ているということを感じられる、といったところでしょうか。
つまり、クライスラーは近代とバロック期をつなぐ音楽を築き上げたと言ってもよいのです。そのように考えると、前奏曲というのは何か示唆的なメッセージを持っていると考えられます。
このようにして聞き手に一種の謎解きを促すような曲の構成こそ、「前奏曲とアレグロ」の真骨頂なのです。
さて、今回は「前奏曲とアレグロ」について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
ぜひ、クライスラーが残したメッセージを辿りつつ、この曲を堪能してみてください。
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はじめに
第1章 ピアノ編
モーツァルト「きらきら星変奏曲」 初心者にもわかりやすく解説
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」 初心者にもわかりやすく解説
フランツ・リスト「パガニーニ大練習曲第6番」 初心者にもわかりやすく解説
第2章 バイオリン編
クライスラー「前奏曲とアレグロ」 初心者にもわかりやすく解説
パガニーニ「24の奇想曲第24番」 初心者にもわかりやすく解説
ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」 初心者にもわかりやすい解説
第3章 オーケストラ編
著者:めーぷる
国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから