ペットとしての『エキゾチックアニマル』入門はこちらから
第1章 エキゾチックアニマルを深く知る
第2章 代表的なエキゾチックアニマルの種類
代表的な飼えるエキゾチックアニマル ~爬虫類 / 両棲類編~
第3章 定番エキゾチックアニマルの飼い方
エキゾチックアニマルの飼い方 ~ダイオウサソリ / バンパイアクラブ編~
第4章 エキゾチックアニマルを飼おう
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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目次
「ベタ」はどんな動物?
ベタは「ラビリンス器官」という特殊な呼吸器官を備えています。
そのため、魚は基本的にエラ呼吸をしており水中でしか呼吸ができないのですが、ベタは水面に口を出し空気から直接酸素を取りこむことができるという特徴があります。
ラビリンス器官をもつ魚類を総称して「ラビリンス・フィッシュ」と呼び、ベタの他にグラミーやスネークヘッド(ライギョ)といったものがあります。
▼グラミー
▼スネークヘッド(ライギョ)
ショップ等でベタがコップなどの小さな容器で陳列されているのは、ラビリンス器官を備えているために水中の中に酸素が少ない環境でも生き延びられるという性質に拠ります。
ベタは別名「闘魚」とも呼ばれ、オス同士を一緒の水槽で飼うなどすると激しい争いを繰り広げる習性があります。
ベタの原産地であるタイでは賭けの対象として人々に親しまれており、より強い個体を作り出すため盛んに品種改良が行われてきました。
強い闘争心をもつ「プラカット」、半月のように尾びれが180度に展開する「ハーフムーン」、象の耳のように胸びれが発達した「ダンボ」、錦鯉のような体色をもつ「鯉ベタ」など、ひれの形状や体色によってさまざまな品種に分類されます。
▼強い闘争心を持つ「プラカット」
▼尾びれが180度展開する「ハーフムーン」
▼胸びれが発達した「ダンボ」
▼錦鯉のような体色「鯉ベタ」
全長およそ7cmと小柄で遊泳力も低く、大がかりな飼育設備を必要としないため、熱帯魚初心者にもおすすめのエキゾチックアニマルです。
▼ベタの全長:100円ライターの長さ(約7cm)
飼育下での寿命は3年前後とされています。
ベタの飼い方!必要なものについて
必要なもの一覧
・飼育水
・フィルター
・床材
・保温器具
・水温計
ベタを飼うには以上のものが必要になります。下記では、それぞれの詳細について解説いたします。
コップでも飼育できるが水槽は必要なのか?
photo by brownpau
ベタはコップなどの小さな容器でも飼育することができ、実際にショップでも小さな容器に入れて陳列されている姿をよく目にしますが、小さな容器で飼育することは水質や温度の維持が難しいため、初心者の方には決してお勧めできません。
水量が大きければ大きいほど水質も変化しづらく、外気温の影響を受けにくいため一定の水温を維持しやすいというメリットがあります。
しかしベタは遊泳力が高くないため、あまりに多い水量では生体に負担をかけることにも繋がってしまいます。
そこでお勧めなのが、一辺が20~30cm程度の水槽です。
プラケースでも構いませんが、鑑賞のしやすさを考えると透明度の高いガラス水槽がもっとも適しているといえるでしょう。
また、生体が水面から飛び出してしまう可能性を考慮すると、しっかりと蓋をしておくか、水量を容器の半分程度に抑えるなどの工夫が必要です。
著者は以前25cmキューブ水槽で飼育していましたが、十分な水量であると感じました。
▼25cmキューブ水槽(画像クリックで商品詳細へ)
飼育水の選び方
次に飼育水ですが、野生下のベタは水の底に流木や落ち葉などが堆積した止水域に棲息しています。
落ち葉は長い時間をかけて土壌中の微生物に分解されることで腐植酸を生じ、池に溜まった水のphは弱酸性を示すようになります。
流木や枯葉から染み出した腐植酸やタンニンで茶色っぽく染まった弱酸性の水はブラックウォーターと呼ばれ、ベタの飼育にもっとも適した飼育水となります。
農薬が付着しているおそれのない落ち葉や流木、不織布などに包んだピートモス(苔の一種)を水に浸けておくといった方法の他、ブラックウォーターを作るための水質調整剤も市販されておりますので、お好みの方法で用意しておいてください。
もちろん、汲み置きや市販のカルキ抜き剤などで別途塩素を中和させる必要があります。
▼ビートモス(画像クリックで商品詳細へ)
▼ブラックウォーター(画像クリックで商品詳細へ)
水質を安定させるためにフィルターは必須ですが、先述したようにベタは流れのない止水域に棲息しているため、フィルターには水流を調整しやすいスポンジフィルターがお勧めです。
スポンジフィルターの濾過能力は決して高いとはいえませんが、単独飼育が前提であるベタにおいては十分な性能であるといえます。
水流はできるかぎり弱めた状態で使用してください。
▼ベタのフィルター(画像クリックで商品詳細へ)
床材について
<床材の一例:ハムスターを飼う際には、木材をおがくず状にしたウッドチップが床材に使われることが多い>
床材(底砂)もフィルターと同様に、水質を安定させるには欠かせないものです。
好みで選んでいただいて構いませんが、素材ごとに見た目や特性が異なり、種類によってはphを変化させるものもありますので注意してください。
余談ですが、著者はベタの色鮮やかさを際立たせる目的で真っ黒な砂利を使用していました。
▼真っ黒な砂利(画像クリックで商品詳細へ)
温度についての注意点
ベタの適温は26~28℃とされており、冬場の低温や夏場の高音には注意が必要です。
熱帯魚用の水中ヒーターでも構いませんが、ベタには隙間を好む習性があるため、ヒーターと壁面のあいだに挟まって出られなくなるといったトラブルが発生するおそれがあります。
水量が多すぎなければ爬虫類向けのパネルヒーターでも十分に対応できますが、夏場の高水温対策にエアコンが必須であることを考えると、一年を通してエアコンで室内ごと温度を管理することをお勧めします。
▼パネルヒーター(画像クリックで商品詳細へ)
ちなみに、気化熱で水温を下げる高水温対策のファンなども販売されていますが、水の蒸発が早くなってしまうため水量の少ないベタの飼育にはあまり向いていません。
より「ベタ」との生活を楽しむために必要なもの
飼育に必要なものは以上ですが、ベタの美しさを堪能するために鑑賞用のライトなどを用意すると良いでしょう。
浮草や水草をレイアウトする場合にも照明は必須となります。
▼アクアリウムライト(画像クリックで商品詳細へ)
餌の選び方
餌は専用の人工飼料を一日一回、食べ残しのない量を与えます。乾燥/冷凍の赤虫をよく好みますが、水を激しく汚してしまうので水換えの前日などを選んで与えると良いでしょう。
▼赤虫の例(画像クリックで商品詳細へ)
水換え時の注意点として、飼育水の温度とphに変化が生じないように気をつけてください。
▼ベタのエサ(画像クリックで商品詳細へ)
ベタは上手に飼えば手から直接餌を食べるほど人馴れする魚で、欧米ではペット・フィッシュとして高い人気を誇っています。
輪くぐりなどの芸を覚えさせている飼育者も少なくないようで、動画サイトで検索するとベタ馴れ状態の個体が数多く紹介されています。
熱帯魚なんて眺めているだけでペットとして物足りないんじゃないの?と考えている方にこそ是非飼ってみていただきたい、おすすめのエキゾチックアニマルです。
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