東映実録映画入門 ~実話を元にしたヤクザ映画~はこちらから!
第1章 東映実録映画の基礎知識
第2章 東映実録映画の題材になった事件
『実録外伝 大阪電撃作戦』のモデルになった【明友会事件】解説
第3章 おすすめ実録映画7選
実録外伝 大阪電撃作戦 【おすすめ実録映画(ヤクザ映画)7選】
第4章 実録映画の魅力的な俳優6選
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」、「エキゾチックアニマル」、「昆虫」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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東映実録映画は、実際の事件に基づいて製作されたヤクザ映画です。そのため、複雑な人間模様を含んでおり、一見しただけでは全体像を把握することが難しい作品も多いです。
実際の事件の大まかな流れを掴んでおくことは、作品の全体像を理解する手助けとなるでしょう。
この章では東映実録映画の題材となった実際の抗争事件である【広島抗争】【明友会事件】【沖縄抗争】【三国事件】をご紹介していきます。
このページでは「沖縄やくざ戦争」「沖縄 10年戦争」などの映画の題材となった【沖縄抗争】について相関図などを交えてわかりやすくご紹介していきます。
沖縄抗争とは
沖縄抗争とは、1960年頃から始まった沖縄県の暴力団同士の抗争のことです。
沖縄抗争の流れ
1970年以前の沖縄ではコザ(現在の沖縄市)を拠点とする「山原派」と那覇を拠点とする「那覇派」に勢力が二分されていました。
1970年「那覇派」と「山原派」は団結し「沖縄連合旭琉会」が結成されました。
初代会長には山原派の長老格である仲本善忠氏が就任し、同じく山原派の新城喜史氏と那覇派の又吉世喜氏がそれぞれ理事長の座に就きます。
※文中に挿入されているイラストは、より内容を理解しやすくすることを目的としております。実際の人物とはビジュアル等は異なります。
山原派と那覇派が統合したことでようやく沖縄のやくざ社会が一本化されたように思えました。
しかし、沖縄連合旭琉会の理事で山原派の幹部・上原勇吉氏は、服役者の面倒(差し入れをしたり、服役者の家族の生活費を援助したりすること)も見ずに理事長の座でふんぞり返るばかりの新城氏を快く思っていませんでした。
上原氏が理事会に顔を出さなくなると新城氏は理事会を軽視しているとして上原氏に謹慎処分を下し、さらに上原氏の率いる上原組の重要な資金源であったトランプ賭場を強引に閉鎖させてしまいます。
以上の軋轢(あつれき)を発端として、上原組と沖縄連合旭琉会は抗争状態に突入しますが、800人以上の組員を擁する沖縄連合旭琉会に対して、上原組の組員は60人程度にすぎませんでした。(ちなみにこの時点では上原組は沖縄連合旭琉会の一員です。抗争にはその状態で突入しました。)
真正面からぶつかり合っては勝機が少ないと感じた上原氏は那覇警察署に上原組の解散届を提出し、沖縄連合旭琉会と警察の油断を誘います。
ちなみに、ここで上原組が解散届けを出し、なぜ油断するかというと「上原組は、ヤクザをやめようとしているから、何もしてこないだろう」というような考えになるからだと思われます。
そして思惑通り油断していた新城氏を急襲、射殺しました。
理事長である新城氏を射殺したことで、上原組は沖縄連合旭琉会との全面戦争に突入します。
上原氏は上原組の組員が新城氏を殺害して間もなく、上原組を実弟の上原秀吉氏に委ねると関西に姿を眩ませました。
その後「上原組」と「沖縄連合旭琉会」の抗争は激化し、両者ともに多数の怪我人と死者を出しました。
血で血を洗う抗争のさなか、上原組が沖縄連合旭琉会のもうひとりの理事長である又吉氏を射殺すると、殺害の指示を出したとして上原勇吉氏は全国指名手配となります。
その後、関西に渡っていた上原氏は山口組若頭補佐・大平一雄氏の舎弟分となり、三代目山口組の傘下に入りました。
山口組の後ろ盾を得た「上原組」は、同時期に山口組の傘下となった那覇市の「琉真会」と提携し、「沖縄連合旭琉会」に対抗していきます。
すると沖縄連合旭琉会は会長に多和田真山氏、副会長に照屋正吉氏、理事長に座安久市氏を据えて、名称を「沖縄旭琉会」と改めました。
上原組・琉真会ら山口組系勢力と沖縄旭琉会の抗争は激化の一途をたどっていきますが、警察官や近隣住民が一体となって暴力団の追放に向けて動き出すと、双方とも首脳陣が軒並み検挙され、壊滅状態に至ります。
その後、多和田氏をはじめ沖縄旭琉会の幹部らが山口組幹部と盃を交わしました。
抗争は終結したかに見えましたが、翌年、沖縄旭琉会の内部における対立が原因で多和田会長が射殺される事件が発生します。
沖縄旭琉会はその後、沖縄旭琉会と旭琉会に分裂し、警察官や一般市民をも巻きこむ苛烈な抗争へと発展していきます。
そして暴力団対策法が施行される直前の平成4年、一連の抗争はついに終結を迎えました。
沖縄抗争が題材の作品・観る方法
●沖縄やくざ戦争
・U-NEXT(31日間無料のお試し期間有り。月額利用料1990円税別で見放題)
・TSUTAYA TV (新規登録30日間0円。月額費933円税別で見放題)
・Hulu (2週間無料期間有り。月額933円税別で動画見放題)
・DVD
●沖縄 10年戦争
本項でご紹介している沖縄抗争をはじめ、広島抗争や山一抗争、北見抗争など暴力団同士の抗争事件の内情が、綿密な取材と経験に裏付けされた豊富な知識によって詳らかに記されています。
タイトルの通り抗争に焦点を当てた内容です。
そのため、それぞれの組織についてある程度の予備知識が要求されますが、抗争事件の流れが簡潔に分かりやすくまとめられています。
また、六代目山口組々長・司忍氏の肉声なども併せて収録されており、実録映画を鑑賞する際の副読本としてだけでなく、三代目以降の山口組の軌跡を俯瞰したいという方にもおすすめの一冊です。
溝口氏の著書はいずれも傑作揃いですので、興味をもたれた方はぜひ手に取ってみてください。
『東映実録映画入門』目次へ (全21ページ)
はじめに
第1章 東映実録映画の基礎知識
第2章 東映実録映画の題材になった事件
『実録外伝 大阪電撃作戦』のモデルになった【明友会事件】解説
第3章 おすすめ実録映画7選
実録外伝 大阪電撃作戦 【おすすめ実録映画(ヤクザ映画)7選】
第4章 実録映画の魅力的な俳優6選
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」、「エキゾチックアニマル」、「昆虫」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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