東映実録映画入門 ~実話を元にしたヤクザ映画~はこちらから!
第1章 東映実録映画の基礎知識
第2章 東映実録映画の題材になった事件
『実録外伝 大阪電撃作戦』のモデルになった【明友会事件】解説
第3章 おすすめ実録映画7選
実録外伝 大阪電撃作戦 【おすすめ実録映画(ヤクザ映画)7選】
第4章 実録映画の魅力的な俳優6選
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」、「エキゾチックアニマル」、「昆虫」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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実録映画(東映実録映画)は、東映(映画の会社)によって製作された実話をベースにしたヤクザ映画のことです。
この章では実録映画のおすすめ作品7選を紹介・解説いたします。
このページで紹介する作品は「実録外伝 大阪電撃作戦」です。
▼おすすめ実録映画7選!それぞれのページで詳しく紹介!
「実録外伝 大阪電撃作戦」とは
概要
作品名 | 実録外伝 大阪電撃作戦 |
公開 | 1976年1月31日 |
監督 | 中島貞夫 |
脚本 | 高田宏治 |
出演 | 松方弘樹、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、室田日出男、小林旭、成田三樹夫、伊吹吾郎、丹波哲郎、織本順吉、小松方正、目黒祐樹ほか |
上映時間 | 92分 |
▼予告編
「実録外伝 大阪電撃作戦」は三代目山口組と愚連隊系暴力団・明友会の抗争(通称:明友会事件)を題材に描いた実録映画です。
三代目山口組々長と中川組々長は、人気歌手の田端氏の労をねぎらうためにクラブを訪れる。そこに偶然居合わせていた明友会幹部の宋氏は、酔った勢いで歌手の田端氏に歌うことを強要し、仲裁に入った中川氏を殴ってしまう。 それが事件の発端となり、山口組はおよそ2週間で明友会を壊滅させた。 明友会事件について詳しくは第2章(ここは第3章)で解説!
明友会事件は山口組が大阪に侵攻するきっかけとなった出来事であるため「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」や「山口組外伝 九州進攻作戦」をはじめさまざまな実録映画の題材となっています。
▼「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」(画像クリックで商品詳細へ)予告編試聴可能
▼「山口組外伝 九州進攻作戦」(画像クリックで商品詳細へ)予告編試聴可能
その中でも「実録外伝 大阪電撃作戦」は、明友会事件を敗者である明友会の視点から描いているという点で、他の作品と一線を画しているといえます。
作品解説
明友会事件を最も詳しく描いている
前述したように、「実録外伝 大阪電撃作戦」は三代目山口組と愚連隊系暴力団・明友会の抗争(通称:明友会事件)を題材に描いた実録映画であり、明友会事件を敗者である明友会の視点から描いているという点で、本作は他の作品と一線を画しているといえます。
また、先に述べた明友会事件を同様に題材にしている映画「日本暴力列島 京阪神殺しの軍団」では「柳川組の活躍」と「ヤクザと在日」にまつわる問題に「山口組外伝 九州進攻作戦」では夜桜銀次こと平尾国人氏の生き様にスポットが当てられています。
しかし、本作では明友会事件そのものに主眼が置かれているため、既存の実録映画の中では明友会事件の内実をもっとも詳しく描いている作品と言えます。
豪華なキャスト陣
「実録外伝 大阪電撃作戦」は豪華なキャスト陣を起用している点でも観逃せない作品です。
主人公の双竜会(モデル:明友会)組員を演じる松方弘樹。
▼松方弘樹
川田組(モデル:山口組)組長を丹波哲郎、川田組若頭を小林旭、大東組(モデル:柳川組)組長を成田三樹夫が演じている他、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、伊吹吾郎、室田日出男、織本順吉ら東映のオールスターともいえる実力派俳優たちが多数出演しています。
さらに主演・松方弘樹の実弟である目黒祐樹が川田組の殺し屋役で出演しており、本作は松方・目黒兄弟の共演を見ることのできる数少ない作品のひとつです。
▼目黒祐樹
また、迫力のあるアクションに定評のある渡瀬恒彦は、本作でも走行中の自動車に引きずられるという危険な演技をスタントなしでこなしています。
▼渡瀬恒彦氏(銃を持っている男性)
監督/脚本家も豪華
監督である中島貞夫氏は本作の以前にも、元安藤組幹部の伝説的なヤクザ・花形敬氏の生き様を描いた「安藤組外伝 人斬り舎弟」や、実在の脱獄囚をモデルにした「脱獄広島殺人囚」、総会屋の実態をコミカルに描く「暴力金脈」など数多くの実録作品を手がけています。
また脚本家・高田宏治氏も「仁義なき戦い 完結篇」をはじめ、前出の「山口組外伝 九州進攻作戦」や、三代目山口組々長・田岡一雄氏の生き様を描いた「三代目襲名」といった実録映画を手がけた実力派です。
高田氏は本作以前にも「懲役太郎 まむしの兄弟」というアクションコメディ作品で中島監督とタッグを組んでいます。
▼中島監督と高田氏のタッグ作品「懲役太郎 まむしの兄弟」
本作では「仁義なき戦い」シリーズで知られる深作欣二監督と笠原和夫氏というコンビを強く意識して執筆に臨んだと自身の著書の中で語っています。
高田氏は本作以降も中島監督とたびたびタッグを組み、「まむしの兄弟」シリーズ続編の他、「沖縄やくざ戦争」や「日本の首領」三部作、「極道の妻たち」シリーズなど数多くの名作を世に送り出しました。
事実に基づいたリアリティある暴力描写
「実録外伝 大阪電撃作戦」の冒頭では双竜会が大阪で権勢を誇る様子を描いていますが、川田組とトラブルを起こすと状況は一転し、川田組の総力を挙げた人間狩り(=命を狙った襲撃)によって窮地へと追い詰められていきます。
人間狩りの場面では凄惨な暴力描写が散見されますが、本作も実録映画の例に漏れず膨大な知識と取材を下敷きに組み立てられております。
掌に釘を打ちこんで磔(はりつけ)にするシーンや、ドラム缶にセメントを流し火炙りにするシーンをはじめ、これらの描写はいずれも実際のエピソードを基にしているそうです。
▼ドラム缶にセメントを流し火炙りするイメージ
じつに痛ましい裏話ですが、事実に基づいたリアリティこそ実録映画の大きな魅力のひとつであり、本作は実録映画のひとつの到達点といっても過言ではない高い完成度を誇っています。
作品を観る方法
・AmazonPrimeVideo(ストリーミング)
・Hulu (2週間無料期間有り。月額933円税別で動画見放題)
・U-NEXT(31日間無料のお試し期間有り。月額利用料1990円税別で見放題)
・DVD
『東映実録映画入門』目次へ (全21ページ)
はじめに
第1章 東映実録映画の基礎知識
第2章 東映実録映画の題材になった事件
『実録外伝 大阪電撃作戦』のモデルになった【明友会事件】解説
第3章 おすすめ実録映画7選
実録外伝 大阪電撃作戦 【おすすめ実録映画(ヤクザ映画)7選】
第4章 実録映画の魅力的な俳優6選
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」、「エキゾチックアニマル」、「昆虫」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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