東映実録映画入門 ~実話を元にしたヤクザ映画~はこちらから!
第1章 東映実録映画の基礎知識
第2章 東映実録映画の題材になった事件
『実録外伝 大阪電撃作戦』のモデルになった【明友会事件】解説
第3章 おすすめ実録映画7選
実録外伝 大阪電撃作戦 【おすすめ実録映画(ヤクザ映画)7選】
第4章 実録映画の魅力的な俳優6選
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」、「エキゾチックアニマル」、「昆虫」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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『東映実録映画入門』目次へ (全21ページ)
実録映画(東映実録映画)は、東映(映画の会社)によって製作された実話をベースにしたヤクザ映画のことです。
この章では実録映画のおすすめ作品7選を紹介・解説いたします。
このページで紹介する作品は「沖縄やくざ戦争」です。
▼おすすめ実録映画7選!それぞれのページで詳しく紹介!
沖縄やくざ戦争とは
「沖縄やくざ戦争」は第四次沖縄抗争を題材にとった実録映画で、公開当時は抗争が完全には終結していなかったため、沖縄県では公開されなかったという曰くつきの作品です。
当然のことながら製作にあたる取材も抗争の最中におこなわれました。
ほとんどのシーンを内地(=沖縄以外の土地)で撮影しているにもかかわらず、沖縄特有の熱気と異国的なムードが終始画面から立ち上っているのは、製作陣の体を張った取材の成果に他ならないといえるでしょう。
概要
作品名 | 沖縄やくざ戦争 |
公開 | 1976年9月4日 |
監督 | 中島貞夫 |
脚本 | 高田宏治、神田史男 |
出演 | 松方弘樹、千葉真一、渡瀬恒彦、梅宮辰夫、室田日出男、成田三樹夫、織本順吉、地井武男、新藤恵美、尾藤イサオ、三上寛ほか |
▼予告編
作品解説
本作は東映実録路線に連なる作品の中でもひときわ異彩を放っています。
それが沖縄という舞台の特異性に根ざしていることは言うまでもありませんが、実録映画らしくないロック調のBGMや、そして本作の主役である国頭正剛を演じる千葉真一氏の怪演も作品の方向性を決定づけている要因のひとつです。
▼千葉真一
photo by Image:Sonny chiba.jpg; originally from Sonny Chiba at the Hawaii Int’l Film Festival CC 表示-継承 2.0 –
映画の題材となった事件「沖縄抗争」
「沖縄やくざ戦争」の背景にはコザ市を拠点とするコザ派と那覇市を拠点にする那覇派の対立があります。(現実はコザ派と山原派の対立)
沖縄の本土復帰を前に、両者は表面上の和解をして沖縄連合琉盛会を結成しますが、両者の関係は決して良好ではありませんでした。それどころか、コザ派の内部でも縄張り争いが起きる始末です。
そんな折、沖縄連合琉盛会は慰安で沖縄を訪れていた本土の暴力団幹部とトラブルを起こし、本土系暴力団に沖縄進攻のきっかけを与えてしまいます。
その後、コザ派・那覇派・本土系暴力団の間で血みどろの争いが展開されていくのですが、本作は暴力団同士の抗争をとおして、江戸幕府やアメリカ政府に侵略されてきた沖縄の歴史、さらには大きな暴力に蹂躙される弱者の哀しみを描いています。
千葉真一の存在感
ともすると暗くなってしまうような重いテーマを扱っていながら、本作にどこか爽やかさえ感じさせる雰囲気が漂っているのは、ひとえに作品前半の主役を演じる千葉真一の存在感に因ります。
「仁義なき戦い 広島死闘篇」で千葉真一が演じた大友勝利は半ば伝説と化していますが、本作で千葉真一が演じる国頭正剛は大友勝利を軽く凌駕する狂いっぷりです。
▼仁義なき戦い 広島死闘編(画像クリックで視聴ページへ)
縄張りを侵した舎弟分に対する制裁や、本土系暴力団に見せつけるような琉球空手の演舞も充分ドン引きするレベルです。(演舞自体よりも、劇中のあの状況でいきなり演舞をするというのがあまりに常識はずれかつ想定外の行動だと思いました。実際にご覧いただければ理解いただけるかと思います。)
また、本土系暴力団の進攻に怯える沖縄連合琉盛会上層部の面々の前で放った戦争を賛美する発言は、実録映画の歴史に残る迷言であるといえます。
死に様
千葉真一演じる国頭正剛は死に様も凄まじく、筆者は日頃から実録映画以外にもさまざまな映画を好んで鑑賞していますが、本作の国頭以上にインパクトのある死に様を他に知りません。
2位にダブルスコアをつけたぶっちぎりの1位です。
「仁義なき戦い」シリーズをはじめ、実録映画には随所にブラックユーモアが散りばめられているため、思わず笑ってしまうような場面も少なくないのですが、国頭の死に様はそんなレベルではありません。何回観ても腹を抱えて笑ってしまいます。
こればかりはとても言葉で説明することができませんので、ぜひその目で国頭の壮絶な最期をご覧になってください。
笑って泣けるエンターテイメント
「沖縄やくざ戦争」は苛烈な抗争を題材にしているだけあって暴力描写が目立ちます。
ただ、笑って泣けるエンターテイメント映画としての側面も色濃く、さすがに家族団らんのひとときに観るような作品ではありませんが、一風変わった実録映画を探している方、エンタメ寄りのヤクザ映画が好きな方、そして千葉真一ファンの方は必見です。
また、今いちど沖縄の歴史について考える良いきっかけを与えてくれる作品でもあります。
作品を観る方法
・Hulu (2週間無料期間有り。月額933円税別で動画見放題)
・U-NEXT(31日間無料のお試し期間有り。月額利用料1990円税別で見放題)
・TSUTAYA TV (新規登録30日間0円。月額費933円税別で見放題)
・DVD
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はじめに
第1章 東映実録映画の基礎知識
第2章 東映実録映画の題材になった事件
『実録外伝 大阪電撃作戦』のモデルになった【明友会事件】解説
第3章 おすすめ実録映画7選
実録外伝 大阪電撃作戦 【おすすめ実録映画(ヤクザ映画)7選】
第4章 実録映画の魅力的な俳優6選
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」、「エキゾチックアニマル」、「昆虫」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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