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ノワール文学(小説)を知っている方も知らない方も。「ノワール文学とは」から「おすすめノワール作品」までをご紹介。読めばノワール作品に興味が出る事間違い無し。
國谷正明氏による『ノワール文学(ノワール小説)入門』はこちらから
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。苦手な調味料はマヨネーズ。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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『ノワール文学入門』目次へ (全16ページ)
第3章ではノワール文学(ノワール小説)に興味を持ったという方に向けて4ページに渡りおすすめ作品を
【警察編】【裏社会編】【一般市民編】【探偵編】
と「主人公の職業別」に分類してご紹介していきます。
このページでは、法の番人でもアウトローでも探偵でもない、平凡に生きる一般市民を主人公に据えたノワール作品をご紹介しています。
11 転落の道標(ケント・ハリントン)
タイトル(原題) |
転落の道標(Dark Ride) |
著者 |
ケント・ハリントン(Kent Harrington) |
発表年 |
2001年 |
著者出身国 |
アメリカ |
※発表年は以下、基本日本語訳初版
アメリカの人気ミステリ作家マイクル・コナリー(Michael Connelly)が本作「転落の道標」を「ジム・トンプスンをクエンティン・タランティーノ的に解釈した作品」と評したことからもわかるように、本書はトンプスンの系譜に連なるきわめて優れたノワール作品です。
ジム・トンプスン
1906-1977。暗黒小説の巨匠として高い評価を得る。スタンリー・キューブリック監督の『突撃』の脚本も手がけている。
ジム・トンプスンの作品は前のページで紹介!
本作の翌年に発表された著者の第二長編「死者の日(Dia de los Muertos)」も併せて読んでいただくことをおすすめします。
以下、「Book」データベースより引用。
カリフォルニアの地方都市で、市長として長年権勢を誇った父親を持つジミーは、自らも大学時代はスポーツの花形選手であり、輝かしい将来を確実視されていた。
しかし父親亡きあと、今は保険代理店のしがない外交員として冴えない日々を過ごしている。
ジミーの鬱積のはけ口は、代理店経営者の妻イヴとの、覚醒剤を伴ったSMセックスだった。
やがてイヴに殺人をそそのかされたジミーは、後戻りできない暗黒の道を突き進んでいく。
人間の持つ悪の部分を容赦なく突き詰めて描いたノワール小説の傑作。
▼著者おすすめノワール小説を読む
12 キスしたいのはおまえだけ(マキシム・ジャクボヴスキー)
タイトル(原題) |
キスしたいのはおまえだけ(It’s You that I Want to Kiss) |
著者 |
マキシム・ジャクボヴスキー(Maxim Jakubowski) |
発表年 |
2002年 |
著者出身国 |
アメリカ |
本作「キスしたいのはおまえだけ」は、ミステリ評論家・アンソロジスト(詩人)・映画評論家としても知られる著者の、邦訳されている唯一の長編小説です(2018年時点)。
仄暗い(ほろぐらい)エロティシズムが全編をとおして色濃く漂っており、「エロティック・ノワール」と呼ぶに相応しいただれた雰囲気を醸しています。
また、英国在住の作家13人がロンドンを舞台に書き下ろした犯罪小説を収めたアンソロジー(詩撰)「ロンドン・ノワール(London Noir)」に、著者の短編作品「チャリング・クロス街71-73(71-73 Charing Cross Road)」が収録されていますので、そちらも併せて読んでいただくことをおすすめします。
▼ロンドン・ノワール
以下、「Book」データベースより引用。
辛い過去を背負ったジェイク、売春婦に身をやつしたアン。二人が巡り会ったのは悪魔の所業なのか?
組織のブツを横領したアンのせいで、ジェイクは逃走劇の道連れに。
“組織”の執拗な追跡、不貞を繰り返すアンに対する嫉妬、そして絶望。苦しい現実から逃れるように互いを貪りあう二人は知っていた、破滅が彼らを待ち受けていることを…。
アメリカを全力疾走する恋人たちの姿をダイナミックに描いた愛と絶望の物語。
“エロティック・スリラーの帝王”による待望の長編、ついに刊行。
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13 上司と娼婦を殺したぼくの場合(ジェイソン・スター)
タイトル(原題) |
上司と娼婦を殺したぼくの場合(Cold Caller) |
著者 |
ジェイソン・スター(Jason Starr) |
発表年 |
1999年 |
著者出身国 |
アメリカ |
本作「上司と娼婦を殺したぼくの場合」は、ニューヨークで働くごく普通の会社員を主人公に据えたノワール作品です。
著者の実体験が少なからず反映されているようで、都会に生きる社会人の悲哀を自虐気味に描いています。
当Webon第2章の「アメリカのノワール文学と代表的作家」のページ(現在第3章)でもご紹介しましたアメリカの犯罪小説家エドワード・バンカー(Edward Bunker)も、本書を
「タフでクールでエレガント……会社社会を舞台にした必読の犯罪小説!」
と絶賛しています。
▼エドワード・バンカー
2002年の文庫化にあたり「あんな上司は死ねばいい」と改題されました。
以下、「Book」データベースより引用。
ニューヨークの広告代理店の副部長職を追われ、アルバイトの電話営業をはじめて2年、ビル・モスの会社人生はすこしずつくるいはじめていた。
「ちょっと!すみませんけど」―たいていの日だったらなにも言わなかっただろうが、その朝の彼は違った。
出勤時の地下鉄で車両の奥に移動しようとした時にかけたちょっとした言葉と身振りを痴漢に間違われ、ついには同乗していた男に強烈な拳を見舞われることに。
そんな誰にでも起こりうる出来事が、彼の人生を破綻へと導いていく。
懲りないビジネスマンのリストラ・ミステリー。
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14 斧(ドナルド・E・ウェストレイク)
タイトル(原題) |
斧(The Ax) |
著者 |
ドナルド・E・ウェストレイク(Donald Edwin Westlake) |
発表年 |
1997年 |
著者出身国 |
アメリカ |
本作「斧」は、会社を解雇された男が再就職のために悪事に手を染めていく様を描いた犯罪小説で、ウェストレイクらしい一筋縄ではいかない筆致(ひっち:文章などの書きぶり)で読者に恐怖と黒い笑いを催させます。
パルプ・マガジン系のノワールが好きな方には手放しでおすすめできる傑作です。
パルプ・マガジン
1900~1950年頃にアメリカで広く流通していた大衆娯楽雑誌の総称。粗悪なパルプ紙を使用していたことからそう呼ばれた。
ハードボイルドだけでなくホラーやSFなど、さまざまなジャンル小説の発展を大きく促した。代表的なものに、ウィアード・テイルズ、アメイジング・ストーリーズ、ダイム・ディテクティヴなどがある
以下、「Book」データベースより引用。
わたしは今、人を殺そうとしている。再就職のライバルとなる元同業者6人を皆殺しにする。
この苦境を脱する手は他にないのだ―
リストラで失職したビジネスマンが打った乾坤一擲の大博打は、やがて彼の中の“殺人者”を目覚めさせてゆく。ハイスミスやトンプスンに比肩する戦慄のノワール。
ミステリの名匠の新たなる代表作。
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15 殺人の代償(ハリイ・ホイッティントン)
タイトル(原題) |
殺人の代償(Web of Murder) |
著者 |
ハリイ・ホイッティントン(Harry Whittington) |
発表年 |
2003年 |
著者出身国 |
アメリカ |
ハリイ・ホイッティントンは猛烈な多作ぶりで知られ、12もの名義を使い分けながら200以上の作品を遺しました。
1958年に出版された本作「殺人の代償」は、当時の犯罪小説の魅力を凝縮したような優れたノワール作品です。
※2003年は日本語訳初版
ペーパーバック(ソフトカバー)の発展に大きく寄与したとして、アメリカのみならずフランスでも高い人気を誇っている著者ですが、日本語に翻訳されている作品は本書ただ一冊(2018年時点)であり、他作品の翻訳が待たれます。
以下、「Book」データベースより引用。
妻の資産のおかげで、弁護士として地位を築いたチャーリーだが、冷淡な妻が次第に重荷になっていた。
しかし、秘書ローラとはげしい恋に落ち、人生の軌道は狂いだす。
妻との別れ話はもつれ、ついにチャーリーは殺人を決意。緻密で巧妙な計画を進める彼を、驚くべき事態が襲う!
その瞬間、みずから作りあげた殺人計画が、自分を縛る罠と化した―
ひりひりするスリルと、予想外の結末へ一気に突き進むサスペンス。
「ペイパーバックの王者」と称される著者の傑作犯罪小説登場。
▼著者おすすめノワール小説を読む
次のページではおすすめノワール小説「探偵編」をご紹介。
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著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。苦手な調味料はマヨネーズ。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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