日本のノワール文学と代表的作家

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ノワール文学(小説)を知っている方も知らない方も。「ノワール文学とは」から「おすすめノワール作品」までをご紹介。読めばノワール作品に興味が出る事間違い無し。

國谷正明氏による『ノワール文学(ノワール小説)入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。苦手な調味料はマヨネーズ。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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『ノワール文学入門』目次へ  (全16ページ)

 

 

日本のノワール文学

 

日本のノワールもまたフランス同様、アメリカのハードボイルド小説が邦訳されたことをきっかけに発展しました。

 

アメリカのハードボイルド小説が世界に広まっていった経緯は第1章で解説!(現在第2章)

 

日本ノワールに影響を与えた作家

結城昌治(ゆうき しょうじ)

 

日本ハードボイルドの第一人者ともいえる人物が、結城昌治(ゆうき しょうじ)です。

結城昌治(本名:田村幸雄)は、1927年生まれのミステリ作家です。

彼は早稲田大学法律科を卒業後、東京地方検察庁に就職。事務官を務めますが、就職後まもなく肺結核を患い、数年にわたって療養生活を余儀なくされます。

入院中に執筆した小説が「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」の短編コンテストに入選。その後、東京地方検察庁を退職し、ミステリ小説家としての道を歩んでいきます。

 

エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン
1941年にアメリカで創刊したミステリ小説誌。フランス・オーストラリア・日本などでも各国版の「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」が発売された。

▼復刻 エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン〈No.1‐3〉

 

「ゴメスの名はゴメス」「夜の終わる時」「暗い落日」など傑作ハードボイルド小説を数多く執筆し、1970年に上梓した短編集「軍旗はためく下に」で直木賞を受賞しました。

同作は深作欣二監督によって映画化されており、戦争映画の名作として根強い人気を誇っています。

 

深作欣二
映画監督・脚本家。千葉真一の初主演作品となる『風来坊探偵 赤い谷の惨劇』で監督デビューした。代表作に「仁義なき戦い」シリーズ・「バトルロワイアル」など。

▼深作欣二氏

▼ゴメスの名はゴメス(画像クリックで書籍詳細へ)

▼夜の終わる時(画像クリックで書籍詳細へ)

▼暗い落日(画像クリックで書籍詳細へ)

▼小説「軍旗はためく下に」(画像クリックで書籍詳細へ)

▼映画「軍旗はためく下に」(画像クリックで作品詳細へ)

 

梁石日(ヤン・ソギル 通名:梁川正雄)

 

梁石日(ヤン・ソギル 通名:梁川正雄)は、1936年生まれのノワール作家です。

在日朝鮮人二世として大阪に生まれた彼は、定時制高校在学中に挑戦文学者/詩人の金時鐘(キム・シジョン)に出会い、詩の世界に没頭します。

その後、事業の失敗を機に大阪を出奔(しゅっぽん)し、仙台へ移り住んだのち、上京してタクシードライバーとして勤務。

スナックで酒を飲みながら語っていたタクシー客とのやりとりが、偶然その場に居合わせた出版編集者の目に留まり、1981年に編集者の勧めで執筆した「タクシー狂躁曲」でデビュー。

 

 

その後も、「夜の河を渡れ」「夜を賭けて」「カオス」など上質なノワール作品を数多く執筆しています。

山本周五郎賞にも選ばれた彼の代表作「血と骨」は、ビートたけし主演で映画化し、大きな話題を呼びました。

 

山本周五郎賞
新潮社の開催する文学賞。2018年受賞作は「ゲームの王国」(著:小川哲)。2018年の選考委員に石田衣良など。

▼夜の河を渡れ(画像クリックで書籍詳細へ)

▼夜を賭けて(画像クリックで書籍詳細へ)

▼カオス(画像クリックで書籍詳細へ)

▼小説「血と骨」(画像クリックで書籍詳細へ)

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▼映画「血と骨」(画像クリックでDVD詳細へ)

 

溝口敦(みぞぐち あつし)

 

溝口敦(みぞぐち あつし)は、1942年生まれのジャーナリスト/作家です。

早稲田大学経済学部を卒業後、雑誌編集者や広告代理店勤務を経て、フリーランスのジャーナリストとして活躍。

日本における組織犯罪問題の第一人者として、20代半ばからおよそ半世紀以上にわたって暴力団を取材し続けています。

 

 

ジャーナリストとして数多くのノンフィクション作品を上梓している他、「民暴の帝王」「武闘の帝王」「修羅の帝王」「錬金の帝王」など、長年の取材活動に裏打ちされた臨場感溢れるノワール小説の執筆を手掛けています。

 

▼民暴の帝王(画像クリックで書籍詳細へ)

▼武闘の帝王(画像クリックで書籍詳細へ)

▼修羅の帝王(画像クリックで書籍詳細へ)

▼錬金の帝王(画像クリックで書籍詳細へ)

 

小川勝己(おがわ かつみ)

 

小川勝己(おがわ かつみ)は、1965年生まれのミステリ作家です。2000年、「葬列」で横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー。

 

横溝正史ミステリ大賞
株式会社KADOKAWA主催・テレビ東京協賛により行われている新人文学賞。探偵小説作家の横溝正史にちなんでミステリ作家を発掘するために開催された。2017年大賞は受賞者該当なし。

 

▼葬列(画像クリックで書籍詳細へ)

 

3、4歳の頃には既に物語を書いていたと語っており、影響を受けた作家としてジム・トンプスンと横溝正史の名を挙げています。

 

ジム・トンプスン
1906-1977。暗黒小説の巨匠として高い評価を得る。スタンリー・キューブリック監督の『突撃』の脚本も手がけている。

ジム・トンプスンは第3章で紹介!(現在第2章) ジム・トンプスンは第3章で紹介!(現在第2章)
横溝正史
推理小説家。「金田一耕助」主役の探偵小説シリーズ(八つ墓村 (角川文庫)など)で有名。

▼横溝正史

 

また、へヴィメタルのファンであることを公言しており、二作目の長編小説「彼岸の奴隷」において日本のへヴィメタルバンド『DEAD END』のヴォーカリストMorrie氏のソロ作の楽曲からタイトルを引用しているだけでなく、作中の重要な場面でも歌詞を引用するなど、激しい傾倒ぶりを示しています。

 

▼彼岸の奴隷(画像クリックで書籍詳細へ)

▼バンド「DEAD END」のヴォーカリスト「Morrie」氏

 

ジム・トンプスンやジェイムズ・エルロイがみせた狂気の模倣ともいうべき「彼岸の奴隷」は、日本ノワール史に残る傑作のひとつといえます。

 

ジェイムズ・エルロイ
(1948-)アメリカの小説家。ロス市警強盗殺人課の部長刑事「ロイド・ホプキンズ」を主人公に据えたこのシリーズで有名。

▼ジェイムズ・エルロイ

by Amadalvarez CC 表示-継承 4.0

ジェイムズ・エルロイは第3章で紹介!(現在第2章) ジェイムズ・エルロイは第3章で紹介!(現在第2章)

 

 

中村文則(なかむら ふみのり)

by CurryTime7-24 CC 表示-継承 3.0

 

また芥川賞や大江健三郎賞を受賞し、誰もが認める実力派作家である中村文則(なかむら ふみのり)が、ノワール文学の分野に貢献した作家に贈られるデイヴィッド・グーディス賞を2014年に日本人として初めて受賞するという快挙を成し遂げています。

 

▼中村文則の代表作「教団X」(画像クリックで書籍詳細へ)

デイヴィッド・グーディス賞
アメリカの文学賞。優れた犯罪小説家に贈られる。中村文則はノワール小説に貢献したとして贈られた。

 

次のページでは各国のノワール文学の特徴と代表的作家を紹介。様々な国のノワール小説に触れればきっとノワール小説をより楽しむことができるはずです。

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著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。苦手な調味料はマヨネーズ。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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