スロープスタイル/ビッグエアの大会の楽しみ方

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スノーボードは滑るだけじゃない!大会や動画などの観るスノーボードだってとても面白いのです!大会・種目・おすすめスノーボードビデオの解説から、知っておくべきスノーボーダーの紹介まで!

スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門はこちらから!

著者:風祭健

北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから

 

 

 

「スロープスタイル」は2014年のソチオリンピックから、「ビッグエア」は2018年の平昌オリンピックから正式種目に加わり、そのジャンプの大きさや迫力ある滑りで話題を集めました。

このページではそんな「スロープスタイル」「ビッグエア」について、大会観戦をする際にもっと楽しむ事ができるような知識や観方を掘り下げて紹介していきます。

 

冬季オリンピックの開催年と都市
開催年 開催都市(国)
2014 ソチ(ロシア)
2018 平昌(韓国)
2022(予定) 北京(中国)

 

スロープスタイルの楽しみ方

スロープスタイルとは

▲スロープスタイルの様子

▲スロープスタイルのコースの例 photo by Sport Communities – FlickrBEO 2008 Slopestyle act 06 CC 表示-継承 2.0

種目名 スロープスタイル
同時滑走人数 1人
形式 採点

 

スロープスタイルは、キッカー(ジャンプ台)や、ジブアイテム(レールやボックスなどの雪以外でできたアイテム)などが設置されたコースを滑り、演技を競い合う競技です。

 

▼キッカー

▼レール


photo by Велислав

▼BOX


photo by James Streater

 

キッカー(ジャンプ)やレール・BOX(ジブ)などのいくつかのセクションがあり、全てのセクションの滑りが総合的に採点され、その得点で競われる種目です。

スロープスタイルではジャンプがあるので派手なジャンプばかりに目が行きがちですが、レールやBOXといった「ジブ」セクションも同じくらい得点の割合を占める重要なポイントで、勝負の分かれ目となります。

スノーボードのフリースタイル(ジャンプ技などのトリック)の総合力が試される競技と言えるでしょう。

 

 

スロープスタイルの魅力

1 大会によって違うユニークなコース

▲キッカーの様子 photo by The Camp of Champions S

 

スロープスタイルのコースは大会によって異なります。

オリンピックではジブ(レールやBOX)セクション3つ、ジャンプ(キッカー)3つくらいのオーソドックスなコースでしたが、大会によって短いハーフパイプ(下図参照)が設置されたコースや、コース上に自動車が設置されたコースなど、バラエティに富んだユニークな大会も多々あります。

▼ハーフパイプ

photo by sookie 

 

特にアメリカで人気のスノーボードの大会「X-GAMES」などは毎年ユニークなことをして、楽しませてくれます。

 

▼「X-GAMES」のスロープスタイルの様子

「X GAMES」については前のページで解説しています! 「X GAMES」については前のページで解説しています!

 

2 色々な技と個性ある滑り

 

スロープスタイルでは、コースの中で同じ技(例えば同じ方向に回転するジャンプなど)をすると得点が伸びないので各選手色々な技を繰り出します。

また、選手それぞれ個性ある滑りをしますので、ジブセクションからジャンプセクションまで見逃すことができません。

このように色々な技を見ることができるのはスロープスタイルの魅力ですので、選手それぞれの「個性ある滑り」に注目して見てもらえると、よりスロープスタイルを楽しく見れると思います。

 

 

3 勝敗を分けるポイント

 

大会毎に異なるコースで、個性ある滑りを観るだけでも楽しいですが、やはり「勝敗」も大会の醍醐味です。

勝負の分かれ目となるポイントを知ればスロープスタイルの観戦はもっと楽しめるでしょう。

 

スロープスタイルでは小さなミスが勝敗を分けます。

減点にならないような小さな着地のミスでも、スピードを落としてしまうとリズムを崩して次のセクションがうまくいかなくなったりします。

派手な競技性とは裏腹に、繊細な部分が勝敗を分けるスロープスタイルは緊張感があり、その緊迫感も注目ポイントです。

 

 

▼以上の点を踏まえてもう一度スロープスタイルを観てみよう!

 

ビッグエアの楽しみ方

ビッグエアとは

▲ビッグエアの大会

▲ビッグエアの様子

種目名 ビッグエア(ストレートジャンプ/ワンメイク)
同時滑走人数 1人
形式 採点

 

ビッグエアはキッカー(ジャンプ台)での演技を競う競技です。

ビッグエアは別名「ストレートジャンプ」や「ワンメイク」と呼ばれる場合もあります。

先ほどご紹介したスロープスタイルでもキッカー(ジャンプ台)はありますが、ビッグエアは一発のキッカーでの演技で勝負をします。

「技を競い合う」という競技の特性上、出場する選手はスロープスタイルと同じ選手ばかりなのでスロープスタイルをある程度観ていればビッグエアも楽しめると思います。

 

 

ビッグエアの魅力

1 大技やユニークな技が観られる

 

キッカー(ジャンプ台)のサイズはスロープスタイルよりも若干大きいサイズを使用します。

極端にサイズが変わるわけではありませんが、スピード調整など余計なことに気を配らずジャンプだけに集中することができるので、スロープスタイルよりも大技やユニークな技が出やすいのが魅力です。

 

 

2 大きなジャンプ

 

ビッグエアで使われるキッカーのサイズは、特に決まりがないので大会によって異なります。

世界トップ選手が繰り出す大きなジャンプはまさしく圧巻で誰もが興奮するでしょう。

 

ちなみに大会ではないのですが、スノーボードの世界記録で57mの飛距離を飛んだという記録があります。(下のYouTubeでは22:55のシーン)

Standard Films製作の「Paradox」というビデオに映像が収録されていて、まさしく圧巻です。

▼Paradoxの公式動画

 

▼以上の事を踏まえてもう一度ビッグエアの大会を観てみよう!

 

スロープスタイル・ビッグエアの技

ジャンプ技

 

ジャンプの技は基本的にはハーフパイプの技と同じですので、詳しくはハーフパイプのページを参考にしてください。

 

 

ただ、ハーフパイプよりもキッカーを使っているスロープスタイルやビッグエアの方が大きなジャンプをしやすいので、さらに高レベルのトリック(技)が繰り出されています。

 

ハーフパイプでは、ダブルコーク1440(縦2回転、横4回転のジャンプ技)が最高難易度とされていますが、キッカーではトリプルコーク1620(縦3回転、横4回転半)が標準的で、これまで最大でクワッドコーク1920(縦4回転、横5回転半)までメイク(達成)されています。

 

▼クワッドコークの例(動画はクワッドコーク1800)

 

ジブ(レール、ボックス)技

 

ジブの技としては、

ジブアイテムに対してまっすぐに両足で乗ることを「50-50(フィフティーフィフティー)」

片足で乗ることを「ノーズプレス」「テールプレス」

横にして乗ることを「ボードスライド」や「リップスライド」

などと呼びます。

 

▼50-50(フィフティーフィフティー)(まっすぐに両足で乗る)


photo by James Streater

▼ノーズプレス・テールプレス(片足で乗る)

photo by Travis Hightower Imaging

▼ボードスライド・リップスライド(ボードを横にして乗る)

photo by The Camp of Champions Snowboard & Ski Summer Camp 

 

さらにジャンプの際スピンしてからBOXなどのアイテムに乗ったり降りたりする技をon(オン)、out(アウト)などと呼びます。

 

 

例えば「270 on 270 out」というトリックなら、270°スピンしてアイテムに乗り、アイテムから降りながら270°スピンして着地します。

 

スノーボードを知らない人からすると、スノーボードのトリック名は訳がわからないような名前も多いですが、基本を知れば以外と単純でわかりやすいです。

グラブトリック(=ボードをジャンプ中に掴む技:下図参照)などはユニークな名前のものも多いですので、トリック名を覚えるだけでも結構楽しめます。

▼グラブトリックの例

 

以上、スロープスタイルとビッグエアについて掘り下げて解説をしました!これだけの知識があれば、より大会を楽しむことができるはずです!

次のページではアルペン/テクニカル種目の大会の楽しみ方をご紹介いたします!

 

 

 

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著者:風祭健

北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから

「EndlessSHOCK」鑑賞方法 【博多座での楽しみ方】

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「Endless SHOCK(エンドレスショック)」は堂本光一さん主演の日本一チケットが取れないと言われているミュージカル。「フライング」「階段落ち」などの演目も素晴らしいですが、ストーリーの素晴らしさをもっと知っていただきたい。帝国劇場での鑑賞経験はございませんが、精一杯魅力をお伝えします。

「『Endless SHOCK』入門 ~堂本光一主演ミュージカル~」はこちらから!

著者:しあ

40代後半女性。Endless SHOCKは博多座にて多数鑑賞。ライブが大好きで今まで行ったライブは数百本。全部チケットの半券をとっているのでとても大切な想い出です。私の好きなアーティストの魅力を知っていただければ、と思います。

お問い合わせはこちらから

 

『Endless SHOCK』目次へ  (全14ページ)

 

Endless SHOCK(エンドレスショック)は「東京・帝国劇場」「大阪・梅田芸術劇場」「福岡・博多座」で上演されています。(今後の予定は未定)

私はいつも博多座で観ているのですが、博多座はとても魅力的な劇場です。

博多座での楽しみ方についてご紹介します。

“「EndlessSHOCK」鑑賞方法 【博多座での楽しみ方】” の続きを読む

スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門

 

このWebonでは「観るスノーボード」つまりスノーボードの大会や動画をより面白く観る為の知識を紹介していきます!

スノーボード種目のルールや見どころ、そしておすすめ映像作品まで、読めば観たくなる事間違い無しです!

はじめに

スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』の魅力

 

第1章 スノーボードの大会の世界

スノーボードの大会種目を知ろう!

代表的なスノーボードの大会を知ろう!

ハーフパイプの大会の楽しみ方

スロープスタイル/ビッグエアの大会の楽しみ方

アルペン/スノーボードクロス/テクニカルの大会の楽しみ方

知っておきたいプロスノーボーダー14選

 

第2章 スノーボードビデオの世界

おすすめスノーボードビデオ10選 【初級編】

おすすめスノーボードビデオ10選 【上級編】

知っておきたいスノーボードビデオスター13選

5分でわかる!ハーフパイプのルールと楽しみ方!

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スノーボードは滑るだけじゃない!大会や動画などの観るスノーボードだってとても面白いのです!大会・種目・おすすめスノーボードビデオの解説から、知っておくべきスノーボーダーの紹介まで!

スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門はこちらから!

著者:風祭健

北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから

 

 

 

ハーフパイプの大会の楽しみ方

 

このページからはスノーボードの種目についてさらに掘り下げて紹介していきたいと思います。

まず最初に「ハーフパイプ」という種目について解説していきます。

ハーフパイプのルールや見どころ、注目ポイントを知ればもっと楽しくハーフパイプを観戦することができるでしょう。

 

ハーフパイプとは

▲ハーフパイプの会場 photo by sookie 

 

ハーフパイプは円柱を半分に切ったような形状のコースで、壁を利用してジャンプをして、その演技を競う競技です。

ハーフパイプのサイズは、特に決まりはなく大会ごとでサイズが異なります。

ちなみに2018年の平昌オリンピックでは、横幅20m、全長180m、高さ6.8mという最大規模のサイズで競技が行われました。

 

▼ハーフパイプの大会の様子

 

ハーフパイプの採点

 

ハーフパイプは「演技全体の印象」「ジャンプの高さ」「技の難易度」「技の完成度」「技の多様性」などの項目を総合的に判断して採点します。

つまり、複数回ジャンプを行うハーフパイプでは1つのジャンプだけが良くてもダメで、色々な技を高い完成度で繰り出し、総合的に優れた滑りをしなくては高得点は出ないということです。

 

採点方法と審査員の数
平昌五輪のハーフパイプでは(大会によって審査員の数や点数は異なります)6人の審査員がそれぞれ100点満点で審査をしました。6人の中で最も高い採点と最も低い採点を除いた4人の点数の平均がその選手の点数になります。

A B(高) C D(低) E F
95点 99点 93点 90点 95点 93点

上のような採点が行われた場合は最高点(99点)のB審査員と最低点(90点)のD審査員を除いたA95点C93点E95点F93点の4名の平均である「94点」が得点となります。

 

細かい採点方法は各大会ごとによって異なりますので、一概に「どんな滑り方が良い」と決めることもできないのが難しい部分になっています。

以下では採点基準について詳しく解説していきます。

 

採点基準1 技と難易度

photo by Zach Dischner

 

ハーフパイプは空中でジャンプしながら回転する「スピントリック」が基本的な技となります。

そしてその技の難易度の高さと完成度を競うのですが、基本的にはたくさん回した方が難易度が高くなり、ポイントも高くなると考えて大丈夫です。

 

 

横方向のスピンは半回転が180(ワンエイティー)、1回転が360(スリーシックスティー)、1回転半が540(ファイブフォーティー)というような回転数に合わせた呼び方をします。

 

 

さらに、この横方向のスピンに加えて縦回転のスピンを加えることを「コーク」や「ロデオ」「マックツイスト」「クリップラー」などと呼びます。

これらはどれも「縦回転と横回転の複合技」ですが、縦回転の軸の入り方によって技名が違い、違う技となります。(判断は難しいのでとりあえず名前だけでも憶えておきましょう)

そしてさらに、縦に2回転することをダブルと言い「ダブルコーク」とか「ダブルマックツイスト」などと呼びます。

 

▼横回転+縦回転の例

 

さらに回転方向によっても名前が異なり、体の正面方向に向かって回ることを「フロントサイド」、背中側に回ることを「バックサイド」と呼び、さらに通常のスタンスと逆(レギュラーの人なら右足を前にする)で滑ることをスイッチと言います。

 

 

例えば、「スイッチフロントサイドダブルコーク1080」なら、通常と逆のスタンスに飛んで、コーク軸の回転で縦に2回転しながら横に3回転する技になります。

 

▼フロントサイドダブルコーク900

 

一般に横回転するよりも、縦回転を入れた「コーク」や「ロデオ」などの方が難易度は上とされ高得点が出ます。

現在は、(スイッチ)フロントサイドダブルコーク1440が最高難易度の技となっています。

 

採点基準2 技の完成度

 

さらに、技の完成度というものも採点する上で重要な部分で、空中でのグラブ(板を手で掴むこと)の時間や、バランスを崩して暴れたりしない方が、より完成度が高いとされ高得点が出ます。

 

▼グラブ

 

採点基準3 技の多様性

 

先ほど(スイッチ)フロントサイドダブルコーク1440が最高難易度と言いましたが、じゃあその技を連発すれば高得点が出るのか、と言われるとそうではありません。

様々な技をやった方が高得点がでます。

 

縦方向のスピンだけでも「フロントサイドスピン」「バックサイドスピン」「スイッチフロントサイドスピン」「スイッチバックサイドスピン」の4方向の回転があり、それらは全部別の技としてカウントされますし、「ロデオ」と「コーク」(これらは縦回転の違う軸回転)でも違う技になります。

 

 

それらの別の技を色々組み合わせながらルーティンを組む必要があり、選手がどんなルーティンを組んでくるのかもハーフパイプの楽しみ方の1つです。

 

採点基準4 ジャンプの高さ

photo by _e.t Some rights reserved

 

ハーフパイプの見所はなんと言ってもそのジャンプの高さです。

そしてその高さは高得点を出す上でも重要なポイントとなります。

単純に同じ技を同じルーティンで繰り出した選手がいたとしたら、ジャンプが高い方が高得点が出ると考えて良いでしょう。

 

ジャンプの高さは技の完成度にも繋がる部分で、高くジャンプしながら高難易度のトリックを繰り出すのは本当に難しいので、その難しいことをするのが高得点に繋がります。

 

ハーフパイプの注目ポイント!

 

オリンピックなどの世界トップレベルの大会になると、みんなすごすぎて何が高得点で何がダメなのかよくわからなくなりますよね。

そんな時にズバリ注目して欲しいのは「着地」そして「ジャンプの高さ」です。

 

 

着地に失敗すると減点の対象となるばかりか、スピードが落ちて次のジャンプで高さを出すことができなくなります。

減点にならないような細かい着地のミスだとしても、次の技に繋がらなくなり高得点を出すのが難しくなってしまいます。

どんなにすごい技をした人でも、着地が微妙で次に繋がらなくては勝つことはできません。

ですので、着地とジャンプの高さを見れば、その1本がうまくいって高得点が出そうなのかがわかるはずです。

 

スタイルにも注目!

photo by Nic Redhead Some rights reserved

 

これはスノーボーダーの習性だと思うのですが、みな高得点を狙いながらも個性を出した自分らしい滑りを忘れることがありません。

スノーボードの世界では、それを「スタイル」と呼ぶのですが、高得点を狙うだけならみんな同じルーティンの技にしてしまうでしょう。

しかし、それをせず他の人とは違う個性的な滑りを必ずどこかしらに入れてきます。

 

例えば、平野歩夢選手ならファーストエアー(最初のジャンプ)は、スピンをせずにとにかく高いジャンプを入れ、金メダルのショーン・ホワイト選手はルーティンの途中に、独特のグラブ(板を手で掴むこと)で魅せるフロントサイド540を必ず入れてきます。

 

平野歩夢(1998-)
平昌五輪のハーフパイプ銀メダリスト。その他大会でも受賞歴は多数。

▼平野歩夢選手のハーフパイプ(ファーストエアーに注目!)

ショーン・ホワイト(1986-)
アメリカ出身。平昌五輪のハーフパイプ金メダリスト。

▲写真右がショーン・ホワイト選手 photo by Gina Hughes CC 表示 3.0

▼ショーン・ホワイト選手のハーフパイプ

 

また、腰パンで世間を騒がせた國母選手は、大きな「マックツイスト」という技を必ず入れてきました。

 

國母 和宏(1988-)
バンクーバー五輪8位入賞。

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これはスノーボードならでは部分だと思うので、勝敗を分ける部分以外にも是非注目してみてほしいです。

このように選手それぞれの個性的な部分に注目すれば、ハーフパイプの大会をもっと楽しく見れるでしょう。

 

【編集部のギモン】上級者はどこを観る?

 

スノーボード上級者でも、1番興奮するのは高いジャンプや高難易度のトリックなど初心者の方と変わらないと思います。優勝候補の選手が、すごい演技をミスなく見事に完走した時はレベル関係なく誰もが最も興奮します。

ただ上級者は、選手それぞれの「スタイル」に注目する人が多いです。

先にも少し書きましたが、選手それぞれの個性的な滑りを「スタイル」とスノーボードでは言います。

平昌オリンピックでも解説の方が「格好いいです」「スタイルが出ていますね」というスノーボードならでは解説をして少し話題にもなりました。

他の人がやらないような個性的なグラブや技、特徴的な滑りをする選手がいると、順位に関係なくスノーボードを実際にやっている人は興奮するのです。

 

以上のポイントを知った上でもう一度ハーフパイプを観てみよう! 以上のポイントを知った上でもう一度ハーフパイプを観てみよう!

 

 

 

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著者:風祭健

北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから

2.5次元舞台の鑑賞方法 【ライブビューイング編】

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2.5次元舞台はアニメやゲームを舞台化した作品であり、近年ブームが起きています。その理由や作品を知ればきっと劇場に足を運びたくなることでしょう。

『2.5次元舞台』入門はこちらから!

著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元舞台を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

お問い合わせはこちらから
twitter【ゆうり藍】https://twitter.com/yuriran1

 



 

いざ2.5次元舞台を観てみたいと思っても最初から劇場に足を運ぶのはなかなかハードルが高いもの。

特に地方に住んでいる方にとっては難しいかもしれません。

その場合におすすめしたいのが「ライブビューイング」です。

 

ライブビューイングとは

 

ライブビューイングとは「舞台を上演している劇場から各地の映画館に向けて同時生配信すること」です。

それぞれの映画館で舞台を楽しむことができます。

※ライブビューイング上映作品の例:ミュージカル『刀剣乱舞』公式サイト

 

料金は3500円~4000円程度で通常の映画よりは高めですが、舞台のチケットに比べれば半額程度で楽しむことができます。

また、映画館で行われるので、映画を観に行くような軽い気持ちで見ることができます。

 

▼ライブビューイングのイメージ映像「刀剣乱舞」

 

日程

 

2.5次元舞台では、ライブビューイングは千秋楽(公演の最終日)に行われることがほとんどです。

また、千秋楽は日曜日の夜公演に設定されていることが多く、ライブビューイングも日曜の夜というケースが目立ちます。

 

ただし、最近では平日に千秋楽が設定されていることもあり、その場合は「そのまま平日に上映するケース」や「千秋楽直前の土日」にライブビューイングを行うケースなど作品によっても違います。

 

チケット購入方法

 

ライブビューイングのチケットは、各プレイガイドで抽選方式の先行発売と一般発売に分けて販売されます。

 

ただし、通常の公演チケットと違い、先行発売は1~2回となっています。

たとえば、公式ファンサイト(会員向け)先行(1回目)、プレイガイド先行(2回目)という形で抽選方式の先行発売が行われます。

その後で一般発売として先着で販売されます。

通常の舞台公演だと、抽選方式の先行が「〇〇先行」という形で3~4回くらいあることも珍しくないのですが、ライブビューイングの場合は多くても2回程度です。

 

また、ライブビューイングの規模や希望する映画館にもよりますが、舞台公演のチケットに比べると競争率が低く、チケットがなかなか取れないということは少ないようです。

ただし、人気作については特に都心部を中心になかなかチケットが当たらないという話もあります。

 

なお、ライブビューイングの直前にチケットが余っている場合は、映画館のホームページや窓口でも購入することができます。

直前になって評判が良くて気になる作品があるという場合は、ライブビューイングで観てみるというのもおすすめです。

 

ライブビューイングのメリット・デメリット

メリット

 

ライブビューイングの一番大きなメリットは「気軽」ということです。

チケット代が安いことや、全国各地で行われることから、初めて舞台を観る人でも気軽に挑戦できます。

さらに、ライブビューイングを観ていると現地の雰囲気も分かるため、何も知らずに劇場に行ってみるのは不安という方は、一度ライブビューイングで雰囲気を感じてみてもいいのではないでしょうか。

 

また、ライブビューイングでは舞台全体を映すばかりでなく、シーンによっては役者をアップで映します。

そのため、実際の公演会場では「前方席でないと見ることのできない役者の表情や細かい仕草」を見ることもできます。そのため、一度現地で舞台を観たことがあってもライブビューイングは必ず行くという人もいます。

 

最近はライブビューイング限定で、出演者から公演前の意気込みや公演後の感想などが聞ける特典映像を用意している作品もあります。

 

 

デメリット

 

ライブビューイングのデメリットは「カメラワークが入ることで舞台作品の見方とは違った見方をせざるを得ない」ということです。

 

通常舞台作品は、舞台全体を視界に入れることができ「注目したいポイントや役者を自分の目で追う」という見方をします。どこに注目するかは観客の自由です。

しかし、カメラが入ることで「舞台全体が映る引きの映像」や「役者の表情を映すアップの映像」が観ている側に関係なく取捨選択されて上映されます。

 

もちろん配信される映像はプロの手で選択されていますが、舞台本来の見方とはどうしても変わってきてしまいます。

そのため、舞台作品が好きな人にとっては物足りなさや違和感を覚えることもしばしばです。

逆に言えば、舞台というよりも映画に近い見方になるため「舞台よりも映画に慣れている方に入りやすい」と言えるかもしれません。

 

 

 

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2.5次元ミュージカルのブームと今

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2.5次元舞台はアニメやゲームを舞台化した作品であり、近年ブームが起きています。その理由や作品を知ればきっと劇場に足を運びたくなることでしょう。

『2.5次元舞台』入門はこちらから!

著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元舞台を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

お問い合わせはこちらから
twitter【ゆうり藍】https://twitter.com/yuriran1

 

『2.5次元ミュージカル入門』目次へ  (全14ページ)

 

第1章では2.5次元ミュージカル(舞台)をより楽しむために4ページにわけて基礎知識を解説しています。このページでは2.5次元ミュージカルのブームについて解説していきます。

<第1章のページ>
定義
テニミュ
ブームと今】(当ページ)
俳優

 

2.5次元ミュージカルの作品数

 

2.5次元ミュージカル(舞台)作品の動員数・市場規模は右肩上がりで成長を続けています。

特に2012年以降の伸びは大きく、2012年に65億7700万円だった市場規模は2017年には156億円と2倍以上となっています。

 

(データ参考:https://www.oricon.co.jp/confidence/special/51523/)

 

また、2.5次元ミュージカル(舞台)のタイトル数も2012年までは50本に満たなかったのが、2012年は100本を超え、2017年には171本と増えています。

 


(データ参考:https://www.oricon.co.jp/confidence/special/51523/)

 

このような2.5次元ミュージカルの作品数の増加の背景には2つの理由があると考えられます。

 

1つは「長期シリーズとなる作品が増えた」ことです。

「テニミュ」の愛称で親しまれるミュージカル『テニスの王子様』(2003年初演)をはじめとして、

「弱虫ペダル」(2012年初演)

「薄桜鬼」(2012年初演)

「刀剣乱舞」(ミュージカル版2015年初演)

など、初演から2018年現在に至るまで、長くシリーズ化した舞台が多くなりました。

ファンが多い作品であれば、シリーズ化(続編が作られること)することで長期的に舞台作品も追いかけてくれます。

 

2つ目の理由は「新作が増えた」ことです。

女性をターゲットとしたアニメ・漫画・ゲーム作品では舞台化を念頭においたメディアミックス(=「テレビと漫画」などの異なるメディアが合わさって商品が作られる事)が行われることが多くなりました。

2018年も「文豪ストレイドッグス」や「夢色キャスト」「A3!」など多数の新作が上演されています。

 

▼文豪ストレイドッグス

漫画×舞台

▼夢色キャスト

ゲーム×舞台

▼A3!

ゲーム×舞台

 

以前は舞台化が発表されると不安や疑問の声が多く聞かれましたが、ここ数年で「あの作品は舞台になりそうだったけど、やっぱり舞台化された!」という声や、キャストの発表を楽しみにするファンも増えました。

それだけ特に女性をターゲットとした作品においては、2.5次元ミュージカルは馴染みのあるものになっているということです。

 

 

広がる作品の差

 

作品数の増加とともに人気作とそうではない作品の差も大きく広がりました。

チケットがなかなか取れず、一般発売でもすぐに売り切れという舞台もあれば、なかなかチケットが売れず客席が埋まらない作品もあります。

 

また、質の高い演技や演出が楽しめる作品がある一方で、原作ファンが納得できない舞台化もあります。

 

【コラム】原作ファンが納得できない舞台化って?

・衣装やウィッグの質が悪く、ビジュアルイメージが満足できない

・舞台オリジナルのストーリーだが、原作で受けるキャラクターのイメージとそぐわないストーリーになっている

・新人の役者が多く、演技の面でキャラクターの再現ができていない。また、歌やダンスの技術力不足

納得できない要因として大きいのは一番最後に挙げた役者の技量不足かと筆者は思っています。

作品数が増えたために、作品によってはほぼ初舞台というキャストで上演する作品もあり、お遊戯会と揶揄されることも少なくありません。 

 

2.5次元ミュージカル(舞台)はもともと原作ファンが持つ舞台化への強い抵抗感や拒否感を、作り手側の熱意や工夫によって覆してきたジャンルです。

市場規模が広がった今だからこそ、質の高い作品を制作サイドには求めていっていただきたいと思います。

 

ブームで拡大するターゲット層

男性向け作品

 

ここ2017年~2018年の特徴として、男性に人気がある作品やキャストを起用している2.5次元舞台が増えていることがあります。

「けものフレンズ」や「魔法先生ネギま!」といった女性キャストのみの作品や、女性キャスト中心の作品が上演されました。

 

▼舞台「けものフレンズ」(画像クリックで商品詳細へ)

▼舞台「魔法先生ネギま!」

 

男性向けの舞台化作品は、役者ではなく声優を舞台版キャストに起用するパターンが多いことが特徴的です。

 

また、乃木坂48版「セーラームーン」のようにアイドルグループのメンバーをキャスティングし「原作ファン」よりもむしろ「キャストファン」にたいして訴求力を高めているというケースも見られます。

 

▼乃木坂48版「セーラームーン」

 

一方で、キャストファンにたいして訴求力を高めるのではなく「Fate/Grand Order」のように原作ファンを引きつけ、続編が決まった作品もあります。

 

Fate/Grand Order

スマートフォン専用のRPGゲーム。日本ゲーム大賞2018優秀賞を受賞している。コミック化、アニメ化などメディアミックスを展開している。2017年9月に舞台化。

▼アニメ「Fate/Grand Order」(画像クリックで商品詳細へ)

この作品の解説は第3章でしています。

 

男性向け作品もこれまでの女性向け作品のように原作ファンが足を運ぶのか、2.5次元舞台へのファンが定着するのかは今後注目していきたいところです。

 

 

海外ファンからの支持

 

2.5次元ミュージカルは海外での人気も高まっています。

2015年から上演を続けているミュージカル「刀剣乱舞」は中国やフランスでも上演されており、海外のファンからも支持を受けているのがわかります。

 

刀剣乱舞

DMMゲームスとニトロプラス(ゲームメーカー)が共同製作したPC版ブラウザゲーム。「刀剣男士」として擬人化された名だたる名刀を育成するゲーム。映画は2019年に公開。2015年にはミュージカル、2016年には舞台化された。

▼ミュージカル「刀剣乱舞」映像作品(画像クリックで商品詳細へ)

ミュージカル「刀剣乱舞」については第2章で解説! ミュージカル「刀剣乱舞」については第2章で解説!

 

また、海外公演とまではいかなくてもライブビューイング(舞台公演をリアルタイムで映画館に配信し、映画館で観劇できるイベントのこと)は中国、台湾、香港などを中心に、海外の映画館に向けて配信されることが少なくありません。

 

オリジナル作品

 

2.5次元ミュージカルは「作品ファン」から「キャストファン」になり、さらに他の作品にも足を運ぶという流れが生まれています。

その流れの中で、2.5次元ミュージカルによく出演する若手俳優を起用した原作のないオリジナル舞台の制作も増えています。

 

▼作品ファンからキャストファンになる流れ

 

原作のないオリジナル舞台の制作の例でいえば、2018年に制作された「御茶ノ水ロック」はテレビドラマの放映、ドラマ終了後に同じキャストで舞台版の上演を行いました。

 

▼ドラマ「御茶ノ水ロック」(画像クリックで商品詳細へ)

 

2.5次元ミュージカルにも多く出演するキャスト陣を起用した本作は、2.5次元ミュージカルファンをターゲットにした作品だと考えられます。

ドラマ放送から始まった「御茶ノ水ロック」は、コミカライズ作品やノベライズ(小説)作品が発売され、3次元が2次元化する”逆2.5次元”ともいえる現象が起こりました。

 

【筆者に聞きました!】御茶ノ水ロックは2.5次元ミュージカル?

「御茶ノ水ロック」はコミックもリリースされていますが、テレビドラマが原作となっているので、ドラマのコミカライズ(コミック化)になります。

2.5次元ミュージカル(舞台)の定義としては漫画が原作である作品の舞台化になるので、筆者の考えとしては2.5次元ミュージカル(舞台)ではないと思っています。

ただ、キャストも含め2.5次元ミュージカルファンをメインターゲットにしているように見てえるため、人によっては2.5次元ミュージカル(舞台)にカテゴライズする人もいるのではないかと思います。 

 

2.5次元ミュージカルならではの魅力である原作世界観の表現やキャラクターが目の前にいる感覚が当たり前になってきた今、お馴染みのキャスト陣でのオリジナル作品に新たな需要が生まれているのかもしれません。

 

以上、「2.5次元ミュージカルのブームと今」でした。

次のページでは2.5次元ミュージカルを支える俳優さん達について解説をしていきます。

『2.5次元ミュージカル入門』目次へ  (全14ページ)

 

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2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か

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2.5次元舞台はアニメやゲームを舞台化した作品であり、近年ブームが起きています。その理由や作品を知ればきっと劇場に足を運びたくなることでしょう。

『2.5次元舞台』入門はこちらから!

著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元舞台を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

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『2.5次元ミュージカル入門』目次へ  (全14ページ)

 

このページから第1章。第1章では2.5次元ミュージカル(舞台)をより楽しむために4ページにわけて基礎知識を解説していきます。まずは「2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か?」という【定義】について解説していきます。

<第1章のページ>
定義】(当ページ)
テニミュ
ブームと今
俳優

 

2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か

 

2.5次元ミュージカル(舞台)とはどのようなものなのでしょうか。

『2.5次元』とは「アニメやゲームの世界である2次元と現実の世界である3次元の中間」を意味します。

つまり「2.5次元ミュージカル(舞台)」とはアニメやゲーム、漫画といった2次元の作品が原作となり舞台化(3次元化)された作品のことです。

 

※当初2.5次元の舞台作品はミュージカル形式で演じられる事が多かった為「2.5次元ミュージカル」と呼ばれるのが一般的です。しかし現在ではミュージカル以外の2.5次元作品も多数制作されているので当Webonでは「2.5次元ミュージカル=2.5次元舞台」として解説をしています。

 

しかし、この定義だと2.5次元ミュージカルと呼ばれてもいいはずなのに呼ばれていない作品が出てきてしまいます。

このようにファンの間から生まれた「2.5次元」という言葉を明確に定義することは難しいと言わざるを得ません。

定義の難しい「2.5次元」ですが、ここからは「舞台以外の作品」「ベルサイユのばら」などを紹介する事で様々な角度から「2.5次元とはなにか」ということを解き明かしていきたいと思います。

 

映画・ドラマについて

▲2.5次元ミュージカル(舞台)「刀剣乱舞」のダイジェスト映像

 

先ほども述べましたが2.5次元ミュージカル(舞台)の一番シンプルな定義は

アニメやゲーム、漫画といった2次元の作品が原作となり舞台化(3次元化)された作品

です。

しかし、これだけだと実は当てはまらないものも出てきてしまいます。

その為さらに細かく定義すると

「キャラクターに確固としたビジュアルイメージが存在し、それを舞台上で再現しようとしたもの」

が2.5次元ミュージカル(舞台)と呼ばれます。

 

 

つまり、

「ビジュアルイメージの再現を目指さない場合」

「小説原作などはっきりとしたビジュアルイメージのない作品の舞台化」

では2.5次元ミュージカル(舞台)と呼ばれないことがほとんどです。

 

また、映画やドラマについても2.5次元と呼ばれないことがほとんどですので『2.5次元』自体「舞台」で多く使われる言葉なのです。

映画やドラマが『2.5次元』と呼ばれないことの理由は映画やドラマの実写化が原作ファンである、いわゆる「オタク層」よりも役者のファンといった「ライト層」向けに作られていることが原因と考えられます。

ビジュアルイメージの無視や原作の大幅な改変は2次元を無理矢理3次元に落とし込んだだけで2.5次元ではないというわけです。

 

 

ただし、昨今では舞台版のキャストでドラマが制作された「弱虫ペダル」や映画公開が決まっている「刀剣乱舞」など、実写映画やドラマにも2.5次元の作法が広がりつつあります。

 

弱虫ペダル

週刊少年チャンピオンにて連載されており発行部数1700万部以上の人気漫画。オタクの高校生である小野田坂道が、自転車競技の世界で才能を開花していく話。BSスカパーで2016年より実写ドラマが放送された。

刀剣乱舞

DMMゲームスとニトロプラス(ゲームメーカー)が共同製作したPC版ブラウザゲーム。「刀剣男士」として擬人化された名だたる名刀を育成するゲーム。2015年にミュージカル、2016年に舞台化された。映画は2019年に公開。

 

【筆者コラム】映画やドラマでも2.5次元と呼ばれるものがある?

私の認識ですが、映画やドラマでは2.5次元と呼ばれるものは基本的にはありません。

ただ、CSで放送されたドラマ「弱虫ペダル」はほとんどのキャストが舞台版キャストからの続投で、舞台でファンになった層を取り込んでいます。この作品については2.5次元というジャンルに含めてよいと思います。

また、2017年に放送された「男水!」もテレビドラマが先行していますが、始めから舞台の上演が告知されており、出演者も2.5次元ミュージカル(舞台)で活躍したキャストが揃っていました。

▼舞台「男水」

こうした舞台作品からの派生作であるとか舞台作品を前提にしたドラマについては2.5次元と呼ばれることはありますが例外的です。 

 

宝塚歌劇団「ベルサイユのばら」

 

漫画の舞台化というと有名な作品に「ベルサイユのばら」があります。

1972年から1973年にかけてマーガレットで連載された本作品は、宝塚歌劇団によってミュージカル化され、1974年の初演以降現在も人気を博し続けています。

「ベルばら」と聞くとこの宝塚版のイメージを浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「ベルサイユのばら」のあらすじ

男装した麗人(美人な女性)オスカルと、フランス王妃マリー・アントワネットらの生涯が描かれる。フランス革命が起きる少し前から革命初期のベルサイユが舞台。宝塚歌劇を代表する演目となっている。

▼宝塚版ベルサイユのばら(画像クリックで商品詳細へ)

 

宝塚による「ベルばら」は『少女漫画の世界を忠実に再現している』という意味で2.5次元ミュージカル(舞台)の定義にぴったりとはまるように見えます。

 

しかし「2.5次元」という単語が生まれたのは2000年代以降と言われ、それ以前から上演されてきた「ベルばら」が「2.5次元ミュージカル(舞台)」と呼ばれることはあまりありません。

また、アニメや漫画の舞台化自体は以前から散発的に行われてきましたが、大きなムーブメントになったのは2003年から上演がスタートしたミュージカル「テニスの王子様」以降です。

 

テニスの王子様

1999年~2008年週刊少年ジャンプにて連絡された少年漫画。中学の名門テニス部が全国制覇を目指す話。それぞれのキャラクターが必殺技を持っており、物語が進むにつれて常人離れした必殺技が登場するのもこの漫画の持ち味。

▼ミュージカル「テニスの王子様」(画像クリックで商品詳細へ)

 

このミュージカル「テニスの王子様」のヒットやそれ以降の舞台化ブームと同時に2.5次元という単語はファンの間で広まるようになりました。

つまり、2.5次元舞台の要素を持った舞台作品は以前から存在していたものの、2.5次元舞台というカテゴリで語られるようになるのはここ10年ということです。

 

 

さらに現在の2.5次元ミュージカルは男性俳優がキャストとして出演するものがほとんどなので2.5次元ミュージカルと言えば男性キャスト中心の舞台、というイメージがあるのが一般的です。

 

結論

 

「2.5次元」という単語がファンの間で生まれ、広まっていったという経緯から、2.5次元を正確に定義することは難しいと思います。

その中で「2.5次元舞台」をあえて定義するとすれば、下記のような特徴をもった舞台の総称だと言えます。

 

  • アニメ、漫画、ゲームなどのビジュアルイメージがはっきりとある作品の舞台化であること
  • 原作のビジュアルイメージを忠実に再現しようとしていること
  • 特定の劇団による上演ではないこと
  • 男性キャストを中心とした作品であること
  • 2000年代以降の上演作品であること
※2018年11月時点の筆者の見解

 

また、一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会という団体があり、この協会が協力している作品については、2.5次元舞台と考えて良いでしょう。

 

▼一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会公式ホームページ リンク


(引用元:https://www.j25musical.jp/)

<「2.5次元ミュージカル協会」協力作品例>
ミュージカル「忍たま乱太郎」、舞台「銀河英雄伝説」、「あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ」、舞台「K」、舞台「黒子のバスケ」、舞台「刀剣乱舞」など

 

このように、ややふわっとした概念の「2.5次元」ですが、第3章では個別の作品についても紹介していきますので、実際の作品に触れながら体感していただければと思います。

 

以上、「2.5次元ミュージカルとは」でした。

次のページでは2.5次元ミュージカルを語る上で欠かせない2.5次元ミュージカルの金字塔的作品「ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)」を解説をしていきます。

『2.5次元ミュージカル入門』目次へ  (全14ページ)

 

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2.5次元ミュージカル(舞台)入門

著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元ミュージカル(舞台)を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

お問い合わせはこちらから
twitter【ゆうり藍】

 

2.5次元ミュージカル(舞台)は、アニメやゲームを舞台化した作品のことを指しますが、近年2.5次元ミュージカルブームが起きています。時には「コスプレみたい」などと批判にさらされることもある2.5次元ミュージカルですが、魅力を知ればきっと見方が変わることでしょう。

このWebonではブームのルーツであるミュージカル「テニスの王子様」をはじめ、定番作品の紹介、チケットの獲得方法に至るまで、2.5次元ミュージカルを中心に観劇をこよなく愛するゆうり藍氏が徹底解説いたします!

編集部注※ 当Webonでは「2.5次元ミュージカル」と表記しますがミュージカル以外の2.5次元舞台作品(=ストレートプレイ)も紹介していきます。

 

~~最近では「漫画のアニメ化」や逆に「アニメが漫画化」されるといった形で物語が複数のメディア展開されるのはよくあることになっています。しかし、その中でも舞台化が一番受け取る作り手の熱量が大きく感じます。~~
はじめに「はじめに  ~2.5次元舞台の魅力~」より

 

はじめに

「2.5次元ミュージカル(舞台)」は賛否両論にさらされてきました。「わざわざアニメを舞台化にする必要はあるのか」と思う方もいるかもしれません。2.5次元ミュージカルならではの魅力を知ると、その見方はきっと変わることでしょう。

はじめに  ~2.5次元ミュージカル(舞台)の魅力~

 

第1章 基礎知識

ここでは2.5次元ミュージカル(舞台)の「定義」「テニミュ」「ブーム」「俳優」について解説します。これらの基礎知識を理解することで2.5次元ミュージカルの全体像が見えてくることでしょう。

2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か

ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)とは

2.5次元ミュージカルのブームと今

2.5次元ミュージカルの俳優・演出家

 

第2章 主要な作品解説

ここでは2.5次元ミュージカル(舞台)の主要な作品について解説いたします。「スポーツもの」「アイドルもの」が定番である理由や「擬人化」作品の魅力、2つの制作会社が同時期に手がける「刀剣乱舞」などについてお伝えします。

2.5次元舞台の定番スポーツもの 【テニミュ/弱虫ペダル/他】

2.5次元舞台の定番アイドルもの 【あんさんぶるスターズ!/ツキウタ。/他】

2.5次元舞台の擬人化もの【ヘタリア/青春鉄道/ラブ米】

2.5次元舞台の異例の存在 【刀剣乱舞】

2.5次元舞台の男性向け作品 【けものフレンズ/Fate/Grand Order 】

 

第3章 鑑賞方法

2.5次元ミュージカル(舞台)の「劇場」「映画館」「自宅」3つの鑑賞方法を解説!「人気作のチケットを手に入れる方法」「ライブビューイングならではの楽しみ方」などを知り、実際に2.5次元ミュージカルを観てみましょう。

2.5次元舞台の鑑賞方法 【劇場編① チケット入手方法】

2.5次元舞台の鑑賞方法 【劇場編② 当日の持ち物/物販/マナー】

2.5次元舞台の鑑賞方法 【ライブビューイング編】

2.5次元舞台の鑑賞方法 【自宅編】

クラシックコンサートのマナーと服装 【鑑賞方法③】

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

クラシックコンサート初心者入門こちらから!

著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

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ここまで「クラシックコンサートの選び方」「より楽しむための4つの事前準備」についてお伝えしてきましたが、このページではクラシックコンサートの会場でのマナーについて解説します。

マナーと言ってもそれほど難しいものではありません。肩の力をスッと抜いてお読みください。

 

マナー一覧

 

マナー ポイント
服装 特に決まりはない。目立つような服や音が立つようなナイロン素材は避ける。女性ならワンピース。男性ならスーツが無難。
曲が終わるまでは極力我慢する。
寝てもよいか 寝てもよいがいびきには注意。
物音を立てない ・ビニール袋は極力避ける
・携帯はバイブレーションも注意
・パンフレットはバックか椅子の下にしまう
拍手 周りが拍手をし始めたら自分も拍手をし始め、周りの拍手がまばらになり始めたら自分も拍手をやめる。周りに合わせるのが無難。
遅刻した場合 入り口のドアの前にいる係の人に遅刻した旨を伝え、曲と曲の間にササっと入る。
トイレに行きたくなったら トイレに行くことは可能だが、できるだけ曲の間に入退出する。

 

服装

 

服装は特に規定のものはないのですが、変に目立ってしまうような服装や「ガサガサ」と音を立ててしまうナイロン製のものなどは避けたほうが無難でしょう。

不安ならば、女性はワンピース、男性はスーツやジャケットを着用すればよいのではないでしょうか。

また、そこまできちんとした服装でなくとも、国内で開かれるコンサートでは、ニットなどのカジュアルめの服装でも浮くことは全くないので大丈夫です。

一方、海外のクラシックコンサートでは、ロングドレスなど本格的な服装で行く方が多いようです。そのため、海外のコンサートに行かれる場合は、カジュアルな服装は避けた方がよいでしょう。

 

▼国内のコンサートならば下記のようなカジュアルな格好でも全く問題なし!

 

 

咳/居眠り

 

コンサートの最中に、どうしても喉がイガイガするということもあるかもしれません。

しかし、咳を我慢できそうな時には、その曲が終わるまで我慢するようにしましょう。もちろん、生理現象として突発的に出てしまう場合は仕方ありません。

ちなみに、クラシックコンサートの会場では、曲と曲の間では、それまで咳を我慢していた方や、次の曲の前にのどの調子を整えたいという方が一斉に咳をし始めます。

少々奇妙な光景である気がするかもしれませんが、これもコンサート中に他の人の鑑賞の妨げにならないための配慮なのです。

また、演奏中に寝てしまうのも問題ないですが「いびきをかく」などは迷惑になるのでそこだけは注意です。

 

物音

 

クラシックコンサートの演奏中に物音を立てるのは禁物です。

先ほどご紹介した咳もその一つです。例えば音を立てるようなビニール袋に何かを入れて持ち込むのも極力避ける方がよいでしょう。

また、ケータイに関しても、マナーモードにしていても、バイブレーションの音が迷惑になる可能性があります。極力電源を切るようにしましょう。

クラシックコンサートでは、多くの人が音を立てないように気を遣っています。音を立ててしまうと、雰囲気を壊してしまいかねません。そのため、音を立てないよう細心の注意を払いましょう。

 

音に注意するもののその他の例
・会場の入口で配布されるパンフレット等(椅子の下に入れる、バックにしまう)
・腕時計のアラーム
・音が鳴るようなキーホルダー

 

拍手

 

クラシックコンサートでは演奏が終わる毎に拍手をします。

拍手のタイミングは、周りが拍手をし始めたら自分も拍手をし始める、周りの拍手がまばらになり始めたら自分も拍手をやめる、といったように周りに合わせるのが無難です。

よく真っ先に拍手を始めようとしたり、最後まで長々と拍手をしたりしている方がいるのですが、浮いてしまうので、避けたほうが良いでしょう。

また、全演奏が終わった後の拍手中に「ブラボー!」と叫ぶ文化が地域に関係なくあるのですが、マストではありません。

実際、叫ぶ人はせいぜい数人です。

 

遅刻/トイレ

 

クラシックコンサートには時間に余裕をもって到着することが望ましいのですが、不測の事態で遅刻してしまうこともあるかもしれません。

そのような場合は、入り口のドアの前にいる係の人にその旨を伝え、曲と曲の間にササっと入るようにしましょう。

また、途中でトイレに行くことも可能ですが、できるだけ曲の間に入退出するのがマナーです。

 

ご紹介したマナーをきちんと守りつつ、クラシックコンサートを楽しんでください。

次のページでは終演後の楽しみ方についてお伝えします。事前に知っておけばよりクラシックコンサートが楽しめることでしょう。

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クラシックコンサートの楽しみ方④ 【コンサートホールの歴史】

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

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著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

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前のページの最後では「『コンサートホール』に注目すれば、よりコンサートが楽しめる」とお伝えしました。

このページでは「コンサートホール」の歴史をお伝えします。コンサートホールへの理解を深めれば、さらにクラシックコンサートの楽しみ方が広がることでしょう。

 

コンサートホールの誕生


photo by Jorge Franganillo
▲コンサートホールの例:ベルリン・フィルハーモニー

 

19世紀以前のヨーロッパではクラシック音楽というのはもともと王侯貴族が楽しむためのものでした。したがって、クラシック音楽は当時、一般市民にとってはあまり馴染みがない存在だったのです。

▼18世紀頃のヨーロッパの貴族

 

しかし、19世紀(1801年~1900年)を境にクラシック音楽というのは次第に「民衆もターゲットに含んだ娯楽」としての性格を見せ始めます。

そして、クラシック音楽がポピュラーになり始めたこの時代「一般市民でもお金さえ払えば、気軽に音楽を楽しむことのできる場所」として、コンサートホールが誕生するようになったのです。

クラシックが市民の間でも広まった理由
民衆の間でクラシック音楽がポピュラーになった要因は「産業革命」にあります。

蒸気機関の開発などの技術革新により、それまでの封建的な社会構造(簡単に言えば生まれによって貴賤が決まる極端な縦社会)が資本主義社会へと移行し、貴族に代わって市民が台頭するようになっていきました。

そして、それまではクラシック音楽は難解で市民には理解しずらいものでしたが「ホモフォニー」という、市民にもわかりやすく楽しめる表現形式が台頭してきたこと、この2点がクラシックがポピュラーになった理由と言えるでしょう。

 

19世紀に誕生したコンサートホールの例として下記のようなものがございます。

1880~1900年頃に誕生したコンサートホールの例

ベルリン・フィルハーモニー (1882)<ドイツ>
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス (1884)<ドイツ>
ウィーン楽友協会大ホール (1870)<オーストリア>
アムステルダムのコンセルトヘボウ (1888)<オランダ>
ボストンのシンフォニーホール (1900)<アメリカ>


 

アメリカのボストンにもホールが誕生していた事などからヨーロッパだけではなく、アメリカ大陸にもクラシック音楽の熱狂が伝わっていたということがわかります。

 

20世紀にはいるとコンサートホールにも少し変化が見られるようになります。具体的には聴衆が楽しむためだけではなく、コンサートを開く主催者も運営がしやすいような工夫が施されるようになったのです。

それまでのコンサートホールは、シューボックス型でした

シューボックス型は客席の場所によって音響的に良い悪いの差異が非常に大きいため、良い席というのは限られていました。そのため、空席が一定数できていたのです。

しかし、20世紀になるとヴィンヤード型という新しいタイプのコンサートホールが作られるようになり、音響的な問題が改善されました。

その結果、主催者側の収益アップにもつながったのです。

 

「シューボックス型」「ヴィンヤード型」
シューボックス型は直方体の形をしているホールで、ヴィンヤード型は席が段々畑のような形で配置されているホールとなっております。

▼シューボックス型の例(ウィーン楽友協会大ホール)


photo by Anna & Michal

▼ヴィンヤード型(ベルリン・フィルハーモニー)


photo by keriluamox Some rights reserved

 

サロンコンサート

 

ここまでコンサートホールが誕生するまでの歴史を見てきましたが、クラシック音楽の歴史をたどると、クラシック音楽のコンサートが開かれていたのは壮大なコンサートホールにおいてのみではないのです。

 


▲貴族の家にて、サロンでピアノを弾くショパン(当時19歳)の絵

 

ショパン(1810-1849)やリスト(1811-1886)が活躍していた時代というのはサロンコンサートというのも頻繁に開かれていました。

ショパン・リストが活躍していた時代
当時は、貴族が才能ある音楽家のパトロンになっていた時代。貴族たちは、音楽家たちを自分の家のサロンに招いて才能を競い合わせていたといいます。ちなみに、「ピアノの魔術師」と称されるリストに対して、ショパンは「ピアノの詩人」として両者が対比されていたことは有名な話。この話は『クラシック音楽初心者入門』のWebonで詳しく紹介。

 

サロンというのはもともとフランス語で「部屋」や「空間」を意味する言葉です。

この言葉の意味から分かるように、サロンコンサートというのはコンサートホールで開かれるような大規模なコンサートとは違います。

サロンコンサートはコンサートホールよりもはるかに狭い部屋で行われ、コンサートホールで得られるような特別な音響効果もありませんでした。

その分、サロンコンサートはコンサートホールよりも場所代が安く、よりチケット代を安く抑えることができました。そのため、一般民衆にとっても当時のクラシック音楽界のスターの演奏をお手頃に目近で聴くことのできる格好の場所だったのです。

 

そして、サロンコンサートで有名なクラシックの音楽家といえばショパン、リスト、パガニーニらが挙げられるでしょう。

▼フレデリック・ショパン

▼フランツ・リスト

▼ニコロ・パガニーニ

 

彼らは演奏家としての実力はもちろん、一種のビジネスセンスにも非常に長けていました。

そのビジネスセンスを生かし、チケットを安く抑える代わりに、より多くの聴衆を獲得することができたのです。

当然収益も相当なものでした。彼らはこのサロンコンサートを通してミュージシャンとしてのファン層を広げることに成功したのです。

最近になって、サロンコンサートの存在意義が見直され始めているようなので、クラシック音楽を楽しみたいという方はサロンコンサートも視野に入れてみるとよいのかもしれません。

 

コンサートホールの歴史の変遷一覧

年代 出来事
1830年頃 ショパン(当時19歳)が王侯貴族の家のサロンでピアノを弾く。▼その時の様子

1800年中頃 王侯貴族が楽しむための音楽だったクラシックが、一般市民にも広まる
1882年 ドイツにベルリン・フィルハーモニー誕生(ドイツ)
1884年 ドイツにケヴァントハウス誕生
1900年 アメリカのボストンに「シンフォニーホール」誕生
1960年以降 ヴィンヤード型のコンサートホールがドイツ各地に作られる。

 

コンサートホールの歴史を知ると、コンサートホールもより楽しめるかと思います。

さて、この章ではクラシックコンサートの楽しみ方について解説してまいりましたが、次の第2章からはクラシックコンサートの種類についてお伝えします。種類を知ってお気に入りのコンサートを見つけてみてくださいませ。

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