クラシックコンサート初心者入門こちらから!
著者:めーぷる
国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから
『クラシックコンサート初心者入門』目次へ (全13ページ)
クラシックコンサートでは「臨場感」や「リアルな音」が得られますが、それはバンドのライブなどでも同じです。しかし、クラシック音楽のコンサートというのはバンドのライブとは一線を画しているところがあります。
このページでは、バンドのライブと比較することでクラシックコンサートならではの楽しみ方を明らかにしていきます。
バンドのライブとの相違点
「ライブ」というと、一般的にはバンドのリサイタルをイメージする方が多いことでしょう。
しかし「ライブ」とはもともと英語で「生」という意味です。従って「クラシックコンサートも一種のライブである」ということが言えます。
前のページでコンサートの魅力は「音楽が生み出されるまさにその場に立ち会うことができる事である」とお伝えしましたが、バンドのライブもここは共通です。
両者の大きな違いは「お客さんと演者が一体になって盛り上がるかどうか」だと言えると思います。
一般的なバンドのライブというのは、ファンたちが、そのバンドオリジナルのうちわやタオル等のファングッズを持って一緒に盛り上がるというイメージだと思います。
ボーカルの人とファンが一緒に歌うこともできますし、音楽に合わせてジャンプするなど体を動かすことも可能です。
しかし、クラシックコンサートというのはそのようなイベントとは性質を異にしています。
クラシックコンサートでは観客は自分の席にじっと座って演奏を聴くことに集中しなければなりません。また、演奏が終わった後の拍手を除くと、演奏に対するレスポンスをコンサート中に見せるということはマナー違反になってしまいます。
したがって、クラシックコンサートというのはライブのように、演奏者とファンが一体となって作り上げられるものではありません。
クラシックコンサートでは観客はじっと座って演奏を聴くこと、集中することが求められるのです。
クラシックコンサートならではの魅力
photo by Quincena Musical
さて、クラシックコンサートではなぜ、観客はじっと座って演奏を聴くことに集中することが求められるのでしょうか。
クラシックコンサートにおいては音楽を作り上げるのは演奏者だけです。
クラシックコンサートは「作曲者のメッセージを汲み取った演奏者がそれを表現する場」なのです。演奏者が汲み取ったメッセージを表現するプロセスには、観客が介入する余地がありません。
観客に求められることは「演奏者が表現したものをありのままに受け取ろうとする姿勢」なのです。
そのように聞くと、バンドのライブが好きだという方などからすると、なんだか物足りないような気がしてしまうかもしれません。
しかし、クラシックコンサートでは「演奏者が表現したものをありのままに受け取ろうとする姿勢を求められること」にこそ魅力があると言えます。
ライブの場合は基本的に「盛り上がること」に主眼を置いており、音楽そのものの質というのはそこまで問われません。観客が最も盛り上がることができる形へ自在に変化していくわけです。
しかし、クラシックコンサートというのはどちらかというと美術館鑑賞のようなもので「受け取ったものに対して鑑賞者がどのような感じ方をするのかということ」に主眼が置かれています。
そのため、演奏者は音の一つ一つに細やかな気配りをし、演奏の質を保証する必要があるのです。
バンドにもこのような要素がない訳ではないですが、クラシック音楽ではそこにより重きが置かれているのです。
ぜひ、実際にコンサートに足を運ぶ際は、一つ一つの音に耳を傾けて演奏者の内に秘める感情の揺れ動き・自らの作品に対する解釈の発露を感じ取ってみてくださいませ。きっとそのような楽しみ方は、バンドのライブではなかなかできないものなのではないかと思います。
さて、今回はクラシックコンサートの魅力をバンドと比較してみてきましたが、次のページではCDやYouTubeと比較することで、さらにクラシックコンサートの魅力を明らかにしていきましょう。
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著者:めーぷる
国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから