2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か

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2.5次元舞台はアニメやゲームを舞台化した作品であり、近年ブームが起きています。その理由や作品を知ればきっと劇場に足を運びたくなることでしょう。

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著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元舞台を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

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『2.5次元ミュージカル入門』目次へ  (全14ページ)

 

このページから第1章。第1章では2.5次元ミュージカル(舞台)をより楽しむために4ページにわけて基礎知識を解説していきます。まずは「2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か?」という【定義】について解説していきます。

<第1章のページ>
定義】(当ページ)
テニミュ
ブームと今
俳優

 

2.5次元ミュージカル(舞台)とは何か

 

2.5次元ミュージカル(舞台)とはどのようなものなのでしょうか。

『2.5次元』とは「アニメやゲームの世界である2次元と現実の世界である3次元の中間」を意味します。

つまり「2.5次元ミュージカル(舞台)」とはアニメやゲーム、漫画といった2次元の作品が原作となり舞台化(3次元化)された作品のことです。

 

※当初2.5次元の舞台作品はミュージカル形式で演じられる事が多かった為「2.5次元ミュージカル」と呼ばれるのが一般的です。しかし現在ではミュージカル以外の2.5次元作品も多数制作されているので当Webonでは「2.5次元ミュージカル=2.5次元舞台」として解説をしています。

 

しかし、この定義だと2.5次元ミュージカルと呼ばれてもいいはずなのに呼ばれていない作品が出てきてしまいます。

このようにファンの間から生まれた「2.5次元」という言葉を明確に定義することは難しいと言わざるを得ません。

定義の難しい「2.5次元」ですが、ここからは「舞台以外の作品」「ベルサイユのばら」などを紹介する事で様々な角度から「2.5次元とはなにか」ということを解き明かしていきたいと思います。

 

映画・ドラマについて

▲2.5次元ミュージカル(舞台)「刀剣乱舞」のダイジェスト映像

 

先ほども述べましたが2.5次元ミュージカル(舞台)の一番シンプルな定義は

アニメやゲーム、漫画といった2次元の作品が原作となり舞台化(3次元化)された作品

です。

しかし、これだけだと実は当てはまらないものも出てきてしまいます。

その為さらに細かく定義すると

「キャラクターに確固としたビジュアルイメージが存在し、それを舞台上で再現しようとしたもの」

が2.5次元ミュージカル(舞台)と呼ばれます。

 

 

つまり、

「ビジュアルイメージの再現を目指さない場合」

「小説原作などはっきりとしたビジュアルイメージのない作品の舞台化」

では2.5次元ミュージカル(舞台)と呼ばれないことがほとんどです。

 

また、映画やドラマについても2.5次元と呼ばれないことがほとんどですので『2.5次元』自体「舞台」で多く使われる言葉なのです。

映画やドラマが『2.5次元』と呼ばれないことの理由は映画やドラマの実写化が原作ファンである、いわゆる「オタク層」よりも役者のファンといった「ライト層」向けに作られていることが原因と考えられます。

ビジュアルイメージの無視や原作の大幅な改変は2次元を無理矢理3次元に落とし込んだだけで2.5次元ではないというわけです。

 

 

ただし、昨今では舞台版のキャストでドラマが制作された「弱虫ペダル」や映画公開が決まっている「刀剣乱舞」など、実写映画やドラマにも2.5次元の作法が広がりつつあります。

 

弱虫ペダル

週刊少年チャンピオンにて連載されており発行部数1700万部以上の人気漫画。オタクの高校生である小野田坂道が、自転車競技の世界で才能を開花していく話。BSスカパーで2016年より実写ドラマが放送された。

刀剣乱舞

DMMゲームスとニトロプラス(ゲームメーカー)が共同製作したPC版ブラウザゲーム。「刀剣男士」として擬人化された名だたる名刀を育成するゲーム。2015年にミュージカル、2016年に舞台化された。映画は2019年に公開。

 

【筆者コラム】映画やドラマでも2.5次元と呼ばれるものがある?

私の認識ですが、映画やドラマでは2.5次元と呼ばれるものは基本的にはありません。

ただ、CSで放送されたドラマ「弱虫ペダル」はほとんどのキャストが舞台版キャストからの続投で、舞台でファンになった層を取り込んでいます。この作品については2.5次元というジャンルに含めてよいと思います。

また、2017年に放送された「男水!」もテレビドラマが先行していますが、始めから舞台の上演が告知されており、出演者も2.5次元ミュージカル(舞台)で活躍したキャストが揃っていました。

▼舞台「男水」

こうした舞台作品からの派生作であるとか舞台作品を前提にしたドラマについては2.5次元と呼ばれることはありますが例外的です。 

 

宝塚歌劇団「ベルサイユのばら」

 

漫画の舞台化というと有名な作品に「ベルサイユのばら」があります。

1972年から1973年にかけてマーガレットで連載された本作品は、宝塚歌劇団によってミュージカル化され、1974年の初演以降現在も人気を博し続けています。

「ベルばら」と聞くとこの宝塚版のイメージを浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「ベルサイユのばら」のあらすじ

男装した麗人(美人な女性)オスカルと、フランス王妃マリー・アントワネットらの生涯が描かれる。フランス革命が起きる少し前から革命初期のベルサイユが舞台。宝塚歌劇を代表する演目となっている。

▼宝塚版ベルサイユのばら(画像クリックで商品詳細へ)

 

宝塚による「ベルばら」は『少女漫画の世界を忠実に再現している』という意味で2.5次元ミュージカル(舞台)の定義にぴったりとはまるように見えます。

 

しかし「2.5次元」という単語が生まれたのは2000年代以降と言われ、それ以前から上演されてきた「ベルばら」が「2.5次元ミュージカル(舞台)」と呼ばれることはあまりありません。

また、アニメや漫画の舞台化自体は以前から散発的に行われてきましたが、大きなムーブメントになったのは2003年から上演がスタートしたミュージカル「テニスの王子様」以降です。

 

テニスの王子様

1999年~2008年週刊少年ジャンプにて連絡された少年漫画。中学の名門テニス部が全国制覇を目指す話。それぞれのキャラクターが必殺技を持っており、物語が進むにつれて常人離れした必殺技が登場するのもこの漫画の持ち味。

▼ミュージカル「テニスの王子様」(画像クリックで商品詳細へ)

 

このミュージカル「テニスの王子様」のヒットやそれ以降の舞台化ブームと同時に2.5次元という単語はファンの間で広まるようになりました。

つまり、2.5次元舞台の要素を持った舞台作品は以前から存在していたものの、2.5次元舞台というカテゴリで語られるようになるのはここ10年ということです。

 

 

さらに現在の2.5次元ミュージカルは男性俳優がキャストとして出演するものがほとんどなので2.5次元ミュージカルと言えば男性キャスト中心の舞台、というイメージがあるのが一般的です。

 

結論

 

「2.5次元」という単語がファンの間で生まれ、広まっていったという経緯から、2.5次元を正確に定義することは難しいと思います。

その中で「2.5次元舞台」をあえて定義するとすれば、下記のような特徴をもった舞台の総称だと言えます。

 

  • アニメ、漫画、ゲームなどのビジュアルイメージがはっきりとある作品の舞台化であること
  • 原作のビジュアルイメージを忠実に再現しようとしていること
  • 特定の劇団による上演ではないこと
  • 男性キャストを中心とした作品であること
  • 2000年代以降の上演作品であること
※2018年11月時点の筆者の見解

 

また、一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会という団体があり、この協会が協力している作品については、2.5次元舞台と考えて良いでしょう。

 

▼一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会公式ホームページ リンク


(引用元:https://www.j25musical.jp/)

<「2.5次元ミュージカル協会」協力作品例>
ミュージカル「忍たま乱太郎」、舞台「銀河英雄伝説」、「あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ」、舞台「K」、舞台「黒子のバスケ」、舞台「刀剣乱舞」など

 

このように、ややふわっとした概念の「2.5次元」ですが、第3章では個別の作品についても紹介していきますので、実際の作品に触れながら体感していただければと思います。

 

以上、「2.5次元ミュージカルとは」でした。

次のページでは2.5次元ミュージカルを語る上で欠かせない2.5次元ミュージカルの金字塔的作品「ミュージカル『テニスの王子様』(テニミュ)」を解説をしていきます。

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