スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門はこちらから!
第1章 スノーボードの大会の世界
第2章 スノーボードビデオの世界
著者:風祭健
北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから
目次
ハーフパイプの大会の楽しみ方
このページからはスノーボードの種目についてさらに掘り下げて紹介していきたいと思います。
まず最初に「ハーフパイプ」という種目について解説していきます。
ハーフパイプのルールや見どころ、注目ポイントを知ればもっと楽しくハーフパイプを観戦することができるでしょう。
ハーフパイプとは
▲ハーフパイプの会場 photo by
ハーフパイプは円柱を半分に切ったような形状のコースで、壁を利用してジャンプをして、その演技を競う競技です。
ハーフパイプのサイズは、特に決まりはなく大会ごとでサイズが異なります。
ちなみに2018年の平昌オリンピックでは、横幅20m、全長180m、高さ6.8mという最大規模のサイズで競技が行われました。
▼ハーフパイプの大会の様子
ハーフパイプの採点
ハーフパイプは「演技全体の印象」「ジャンプの高さ」「技の難易度」「技の完成度」「技の多様性」などの項目を総合的に判断して採点します。
つまり、複数回ジャンプを行うハーフパイプでは1つのジャンプだけが良くてもダメで、色々な技を高い完成度で繰り出し、総合的に優れた滑りをしなくては高得点は出ないということです。
A | B(高) | C | D(低) | E | F |
95点 | 99点 | 93点 | 90点 | 95点 | 93点 |
上のような採点が行われた場合は最高点(99点)のB審査員と最低点(90点)のD審査員を除いたA95点C93点E95点F93点の4名の平均である「94点」が得点となります。
細かい採点方法は各大会ごとによって異なりますので、一概に「どんな滑り方が良い」と決めることもできないのが難しい部分になっています。
以下では採点基準について詳しく解説していきます。
採点基準1 技と難易度
photo by Zach Dischner
ハーフパイプは空中でジャンプしながら回転する「スピントリック」が基本的な技となります。
そしてその技の難易度の高さと完成度を競うのですが、基本的にはたくさん回した方が難易度が高くなり、ポイントも高くなると考えて大丈夫です。
横方向のスピンは半回転が180(ワンエイティー)、1回転が360(スリーシックスティー)、1回転半が540(ファイブフォーティー)というような回転数に合わせた呼び方をします。
さらに、この横方向のスピンに加えて縦回転のスピンを加えることを「コーク」や「ロデオ」「マックツイスト」「クリップラー」などと呼びます。
これらはどれも「縦回転と横回転の複合技」ですが、縦回転の軸の入り方によって技名が違い、違う技となります。(判断は難しいのでとりあえず名前だけでも憶えておきましょう)
そしてさらに、縦に2回転することをダブルと言い「ダブルコーク」とか「ダブルマックツイスト」などと呼びます。
▼横回転+縦回転の例
さらに回転方向によっても名前が異なり、体の正面方向に向かって回ることを「フロントサイド」、背中側に回ることを「バックサイド」と呼び、さらに通常のスタンスと逆(レギュラーの人なら右足を前にする)で滑ることをスイッチと言います。
例えば、「スイッチフロントサイドダブルコーク1080」なら、通常と逆のスタンスに飛んで、コーク軸の回転で縦に2回転しながら横に3回転する技になります。
▼フロントサイドダブルコーク900
一般に横回転するよりも、縦回転を入れた「コーク」や「ロデオ」などの方が難易度は上とされ高得点が出ます。
現在は、(スイッチ)フロントサイドダブルコーク1440が最高難易度の技となっています。
採点基準2 技の完成度
さらに、技の完成度というものも採点する上で重要な部分で、空中でのグラブ(板を手で掴むこと)の時間や、バランスを崩して暴れたりしない方が、より完成度が高いとされ高得点が出ます。
▼グラブ
採点基準3 技の多様性
先ほど(スイッチ)フロントサイドダブルコーク1440が最高難易度と言いましたが、じゃあその技を連発すれば高得点が出るのか、と言われるとそうではありません。
様々な技をやった方が高得点がでます。
縦方向のスピンだけでも「フロントサイドスピン」「バックサイドスピン」「スイッチフロントサイドスピン」「スイッチバックサイドスピン」の4方向の回転があり、それらは全部別の技としてカウントされますし、「ロデオ」と「コーク」(これらは縦回転の違う軸回転)でも違う技になります。
それらの別の技を色々組み合わせながらルーティンを組む必要があり、選手がどんなルーティンを組んでくるのかもハーフパイプの楽しみ方の1つです。
採点基準4 ジャンプの高さ
photo by _e.t Some rights reserved
ハーフパイプの見所はなんと言ってもそのジャンプの高さです。
そしてその高さは高得点を出す上でも重要なポイントとなります。
単純に同じ技を同じルーティンで繰り出した選手がいたとしたら、ジャンプが高い方が高得点が出ると考えて良いでしょう。
ジャンプの高さは技の完成度にも繋がる部分で、高くジャンプしながら高難易度のトリックを繰り出すのは本当に難しいので、その難しいことをするのが高得点に繋がります。
ハーフパイプの注目ポイント!
オリンピックなどの世界トップレベルの大会になると、みんなすごすぎて何が高得点で何がダメなのかよくわからなくなりますよね。
そんな時にズバリ注目して欲しいのは「着地」そして「ジャンプの高さ」です。
着地に失敗すると減点の対象となるばかりか、スピードが落ちて次のジャンプで高さを出すことができなくなります。
減点にならないような細かい着地のミスだとしても、次の技に繋がらなくなり高得点を出すのが難しくなってしまいます。
どんなにすごい技をした人でも、着地が微妙で次に繋がらなくては勝つことはできません。
ですので、着地とジャンプの高さを見れば、その1本がうまくいって高得点が出そうなのかがわかるはずです。
スタイルにも注目!
photo by Nic Redhead Some rights reserved
これはスノーボーダーの習性だと思うのですが、みな高得点を狙いながらも個性を出した自分らしい滑りを忘れることがありません。
スノーボードの世界では、それを「スタイル」と呼ぶのですが、高得点を狙うだけならみんな同じルーティンの技にしてしまうでしょう。
しかし、それをせず他の人とは違う個性的な滑りを必ずどこかしらに入れてきます。
例えば、平野歩夢選手ならファーストエアー(最初のジャンプ)は、スピンをせずにとにかく高いジャンプを入れ、金メダルのショーン・ホワイト選手はルーティンの途中に、独特のグラブ(板を手で掴むこと)で魅せるフロントサイド540を必ず入れてきます。
ICHIBAN🥇🥇🥇@gopro @goprojp #gopro pic.twitter.com/ldKhr75PKy
— 平野 歩夢 (@AyumuB) 2018年3月23日
▼平野歩夢選手のハーフパイプ(ファーストエアーに注目!)
▲写真右がショーン・ホワイト選手 photo by Gina Hughes CC 表示 3.0
▼ショーン・ホワイト選手のハーフパイプ
また、腰パンで世間を騒がせた國母選手は、大きな「マックツイスト」という技を必ず入れてきました。
View this post on Instagram
これはスノーボードならでは部分だと思うので、勝敗を分ける部分以外にも是非注目してみてほしいです。
このように選手それぞれの個性的な部分に注目すれば、ハーフパイプの大会をもっと楽しく見れるでしょう。
【編集部のギモン】上級者はどこを観る?
スノーボード上級者でも、1番興奮するのは高いジャンプや高難易度のトリックなど初心者の方と変わらないと思います。優勝候補の選手が、すごい演技をミスなく見事に完走した時はレベル関係なく誰もが最も興奮します。
ただ上級者は、選手それぞれの「スタイル」に注目する人が多いです。
先にも少し書きましたが、選手それぞれの個性的な滑りを「スタイル」とスノーボードでは言います。
平昌オリンピックでも解説の方が「格好いいです」「スタイルが出ていますね」というスノーボードならでは解説をして少し話題にもなりました。
他の人がやらないような個性的なグラブや技、特徴的な滑りをする選手がいると、順位に関係なくスノーボードを実際にやっている人は興奮するのです。
はじめに
第1章 スノーボードの大会の世界
第2章 スノーボードビデオの世界
著者:風祭健
北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから