このページではカンフー映画界のレジェンド的存在である「ジミー・ウォング」がどんな人物なのかを大体5分で理解できるよう概要・魅力・おすすめ作品をお伝えします。
もちろんジミー・ウォング氏のことを5分で説明するのは困難ですので、さらに深く知りたい方は『カンフー映画入門』をご覧ください。
※このページはカンフー映画ファン歴27年のHARUKA氏による『カンフー映画入門』の内容をWebon編集部がまとめたものです。
▼『カンフー映画入門』(全38ページ)
ジミー・ウォングとは
生年月日 |
1943年3月28日(75歳) |
初期ヒット作 |
「片腕必殺剣」(1967年) |
現在 |
療養中(2019年2月現在) |
カンフー映画ブームの基礎を作ったパイオニア的存在。ブルース・リー氏などのスターが出る前から活躍していたカンフー映画界のレジェンドです。
どのようにカンフー映画の礎を築いたのか?
▲「片腕必殺剣」(画像クリックで商品詳細へ)
ジミー・ウォング氏は、主演をつとめた「片腕必殺剣」(’67)が空前のヒットを記録し、香港一のトップスターとなります。
「片腕必殺剣」は片腕を失った主人公が剣を操る剣劇アクション映画。
そんな「片腕必殺剣」の悲壮感を帯びたたたずまいと、迫力あるアクションで観客の心を掴み、「天皇巨星(天皇級のビッグスターの意)」と呼ばれるほどの人気を博し香港随一のスーパースターになりました。
その後もジミー・ウォング氏主演作品が公開され、多くの作品がヒットします。ジミー氏を次々と主演に起用した香港の映画会社であるシヨウ・ブラザーズ社はアジア最大の映画会社へと成長しました。
1970年には監督、脚本、主演を本人が担当した「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」が大ヒット。この作品が後のカンフー映画ブームの基礎を築いたと言われています。
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この作品以前のカンフー映画は刀剣アクションが中心でしたが、突きや蹴りの拳脚アクションを中心とするこの映画の大ヒットによって、1970年代の香港において熱狂的に迎えられるカンフー映画ブームを決定づけました。
1970年代~のカンフー映画の歴史の解説はこちら!
人気低迷からの復活!ジャッキー氏も逆らえない存在!?
しかし、自らの私生活における数々の不祥事によって社会的信頼を失ってしまいます。
【編集部メモ】ジミー・ウォング氏の不祥事
ジミー・ウォング氏は私生活で裏社会とのつながりが噂されたり、暴力事件、映画会社との裁判などの不祥事を起こしてしまった事が人気低迷のきっかけになったと言われている。
その後ジミー・ウォング氏は香港の映画界へと復帰。
一時期ブルース・リー氏に人気をさらわれたが、「片腕ドラゴン」(’72)、「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」(’76)で自身が監督・主演で発表しました。
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さまざまなアイデアを駆使した作品に出演し、人気を回復させます。80年代以降は台湾を本拠地として、俳優業よりもプロデューサーとして活動しますが、黒社会とのつながりは根強く、その後も香港・台湾映画界において影響力を持っていました。
ジャッキー・チェン氏、サモ・ハン・キンポー氏、アンディ・ラウ氏等の香港トップスター達も、ジミー・ウォング氏には逆らえないほどの存在です。
ジミー・ウォング氏の略歴について詳しく知りたい方はこちら!
カンフー映画マニアから観たジミー・ウォング
他のアクションスターよりも武術が飛びぬけて優れているというわけではないですが、ブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏よりも前に活躍をしていたというレジェンド的な存在かつ、香港カンフー映画ブームの基礎を作ったパイオニアとしてカンフー映画を語る上で欠かせない俳優です。
ジミー・ウォング出演のおすすめ作品
以下ではジミー・ウォング氏が出演しているおすすめカンフー映画作品を紹介します。
片腕カンフー対空飛ぶギロチン
作品名 |
片腕カンフー対空飛ぶギロチン |
公開年 |
1976年 |
主演 |
ジミー・ウォング |
監督 |
ジミー・ウォング |
備考 |
ジミー・ウォング監督&主演「片腕ドラゴン」の続編
▼片腕ドラゴン(画像クリックで動画詳細へ)
|
▼あらすじ
前作で片腕になりながらも強敵を倒した主人公は、今回は武術道場を開いている。そして参加した大武闘大会で“空飛ぶギロチン”(というより回転ノコなんだけど…)を駆使する謎の老人を見る。その老人こそ、前作で仕留めた悪漢の師匠であった!
(引用:https://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/goodsDetail.do?titleID=0080152682&pT=null)
「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」はカンフー映画のレジェンド「ジミー・ウォング」の代表作を観たい方におすすめです。
コメディ要素も満載なので「カンフー」というアクションに馴染みが無い方でも楽しく観る事ができるでしょう。中国の清の時代が舞台なので日本とは異なる文化背景も楽しむことができます。
今や購入すると中古でも5,000円以上する貴重な作品です。(TUTAYA DISCASではレンタル可能です。)
みどころのひとつはラストシーン。
作中で過去の情事により「片腕ドラゴン(ジミー・ウォング氏)」は、ヨーヨー状の円盤型ギロチンを扱う強敵「ギロチン」から復讐の的にされます。
強敵「ギロチン」は目が見えないため、片腕の人であれば「片腕ドラゴン」ではないかと疑い片端から殺していきます。
ギロチンで人の首をスパッとちょん切る様は漫画のようですが、その描写がかえって残酷に映ります。
ラストシーンの「片腕ドラゴン」VS「ギロチン」の闘いシーンはややスローモーションでハイライトのように見せているところがグッと引き込まれます。
更にDVDの特典として、ジミー・ウォング氏本人のインタビューがついているのですが、カンフー映画を知る上でとても興味深いコメントを聞くことができます。
『片腕カンフー対空飛ぶギロチン』の詳しい紹介はこちら!
捜査官X
作品名 |
捜査官X(原題:武侠) |
公開年 |
2011年 |
主演 |
ドニー・イェン&金城武 |
監督 |
ピーター・チャン |
備考 |
多くの映画祭に招待された作品
- 第64回カンヌ国際映画祭特別招待作品
- 第16回釜山国際映画祭特別招待作品
- 第7回大阪アジアン映画祭クロージング作品
- 第55回サンフランシスコ国際映画祭特別招待作品
- 第2回フランス中国映画祭上映作品
- 第28回LAアジア太平洋映画祭特別招待作品
- 第67回エディンバラ国際映画祭特別招待作品
- 第16回ファンタジア国際映画祭特別招待作品
- 第11回NYアジアン映画祭特別上映作品
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▼あらすじ
1971年、中国雲南省の小さな村で起こった強盗殺人事件をきっかけに物語は始まる。 事件を捜査するため村へ訪れた捜査官シュウ(金城武氏)は、死体を調べるうちに強盗犯人2人が指名手配中の凶悪犯であることを知る。 事件当時、製紙工場に勤める職人リウ(ドニー・イェン氏)が偶然居合わせており、リウが必死に応戦したことにより、強盗犯人2人は打ち所が悪く死亡。 しかし、シュウは入念に検死や現場検証を重ね、リウは偶然に正当防衛できたわけではなく、意図的に致命傷を狙ったのではないかと疑問を抱く。 人間の経脈やツボについての卓越した知識や、豊かな想像力でもって事件解明に挑むシュウは、やがてリウの隠された過去である凶悪な暗殺集団の一味だった事実へと辿りつく・・・
2000年代において打ち出された古き良きオーソドックスな武侠映画を観たいという方におすすめの作品です。
カンフー映画は原則として身体の技が見どころになるのに対し、武侠映画は主に刀剣を使ったアクションが見どころとなる映画。(定義には諸説あります)
カンフー映画は中華圏で流行っていた武侠映画から発展してきた背景があります。刀や剣で戦うのが中心であった武侠映画で拳を使って戦う「カンフー映画」の土台を作ったのがこの「捜査官X」に出演するジミー・ウォング氏なのです。
▼武侠映画などのカンフー映画の歴史についてはこちらのページで解説!
原題はストレートな「武侠」というタイトルの通り、ストーリーも1970年代から流行りだした古き良きオーソドックスな「カンフー映画」そのものです。
ラスボス役にはなんと初期カンフー映画ブームを生み出した「片腕ドラゴン」のジミー・ウォング氏!本作は17年ぶりの映画出演ということでした。
ラストシーンはカンフー映画通の人でしたら、少し「あ!」と感じるかもしれません。
ラスボスの「片腕ドラゴン」を過去に演じたジミー・ウォング氏相手に、主人公のドニー・イェン氏は片腕で闘いに挑むのです。
ジミー・ウォング氏へのオマージュを感じられる演出です。
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ジミー・ウォングの主な出演作品・視聴方法
発表年 |
タイトル |
1966 |
「虎侠殲仇(フーシァジィェンチヨウ)日本版(無し)英題(タイガーボーイ)」 |
1967 |
「片腕必殺剣(原題:獨臂刀(ドゥビーダオ))」
「大刺客」 |
1968 |
「大女侠(原題:金燕子(ジンイェンズー)英題:ゴールデンシャロウ)」 |
1970 |
「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー(原題:龍虎鬥)」 |
1971 |
「新・座頭市 破れ唐人剣」 |
1972 |
「片腕ドラゴン」 |
1973 |
「ドラゴン武芸帖」
「戦神灘」
「いれずみドラゴン 嵐の血斗」 |
1974 |
「怒れるドラゴン 不死身の四天王」 |
1975 |
「スカイ・ハイ」 |
1976 |
「片腕カンフー対空飛ぶギロチン」 |
2012 |
「捜査官X」 |
▼各動画配信サービスの料金とジミー・ウォング氏作品の取り揃え数を表した表です!
※〇:豊富 △:ややあり ×:ほぼ無し
以上「ジミー・ウォング」の紹介でした。ジミー・ウォング氏についてさらに詳しく知りたい方は下記のページをご覧くださいませ。
また『カンフー映画入門』ではカンフー映画の歴史やスター俳優、そして「カンフーとはどんな拳法か?」ということまでを知ることができます。ぜひともご覧くださいませ。
▼『カンフー映画入門』(全38ページ)