ブラジルの料理・グルメの概要
ご飯(アロス)に、豆の煮物(フェイジャン)をかけ、キャッサバ(イモの一種)の粉(ファロッファ)、肉や魚、副菜を合わせて食べるのがブラジルの一般的な家庭料理です。
でも、ブラジルには頻繁には食べないが伝統的な料理や一部の地域を代表するような特殊な料理も多くあります。まずはブラジルについて軽く紹介しましょう。
ブラジルは1500年にポルトガル人によって発見されました。
先住民インディオとポルトガル、その後奴隷として入ったアフリカ系の人種、そしてイタリア・スペイン・ドイツ・ポーランド・レバノン、シリアのアラブ系・日本などのアジア系の移民によってなるブラジルはいろんな国の影響を受けて独自の食文化を培ってきました。
また、日本の25倍という面積を持つブラジルでは、それぞれの地方の特色を生かした料理が生まれています。
ここからはブラジルを代表する伝統料理について、おすすめ順に紹介していきますね。
1 フェイジョアーダ
photo by Vinicius Pinheiro Some rights reserved
エネルギッシュなブラジル人の元気の源となっているのはやはりこれのおかげ、ボリューム満点の黒インゲン豆の煮込み料理です。
豆を、豚の耳・しっぽ・足、干し肉・生ソーセージやベーコンなど普段使わないようなお肉と一緒に煮込んだものです。
ご飯(アロス)にかけて、ケール(ブロッコリーの葉)の千切りの炒めもの、ファロッファ、オレンジのスライスと一緒に食べます。
ファロッファ
キャッサバ粉を油炒めしたもの。お肉のソテーなどの付け合わせとしてブラジルの食卓では良くみる料理。
▼ファロッファの例
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▼ファロッファを体験してみよう!
奴隷の食事として、主人が食べない部位の肉や安上がりの食材を活用して作ったのが始まりと言われています。
塩が効いているのも炎天下で働く奴隷たちの塩分補給を兼ねているからだそうです。リオで発祥し、300年以上も続くブラジルを代表するグルメです。調理に時間がかかるので週末に食べられることが多いです。
2 シュハスコ(シュラスコ)
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ブラジル料理として認知度が一番高いのはこの料理かもしれません。
肉のいろいろな部位を塊で串焼きにして、粗塩をふり炭火で焼き、食べたい焼き加減・量のお肉を切り落として食べます。
牧畜業が盛んなブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州が発祥地で、牛革が売れ牛肉を消費する必要性から様々な調理法が考えられた結果生まれたのです。
休日に家族や友達で集まってするお祝いパーティーの場や、談笑したりテレビでスポーツ観戦しながらまったり過ごす時に食べられます。
3 ムケッカ
ポルトガルの魚の煮込み料理が、ブラジルの風土やアフリカの影響を受けて独自の料理になったのがムケッカです。
ブラジルには
「ムケッカ・カピシャーバ」と
「ムケッカ・バイアーナ」の2種類があります。
▼ムケッカ・カピシャーバ
ムケッカ・カピシャーバは南東のエスピリットサント州が発祥で、魚・エビ・カニ・ロブスターなどをカピシャーバ鍋(黒土とマングローブの樹液から作られる)と呼ばれる土鍋で煮込みます。
オリーブオイル、にんにく、玉ねぎ、トマト、パクチー、ネギ、ベニノキの色素(入れるとスープが鮮やかな赤色になる)などで味付けした海鮮シチューです。魚介類と野菜から出る水分だけで長時間煮込み、水分は加えません。
▼ムケッカ・バイアーナ
ムケッカ・バイアーナの方は黒人が多く入国した港町サルバドールがあるバイア州(ブラジル北東に位置する)で発祥しました。
こちらはアフリカの影響をかなり受け、オリーブオイルの代わりにパーム油(アブラヤシの果実から得られる植物油)が用いられたり、ココナッツミルクが加えられます。パーム油を用いるときれいなオレンジ色になり、独特の香りがします。
▼パーム油の例
パーム油は少しきついので好き嫌いがあると言われますが、私は大好きです。
ご飯にかけて頂きます。シチューというよりスープに近い感じですが、このスープを鍋にかけ、アツアツの所にキャッサバの粉を混ぜていくとトロミのついた状態になります。これがピランです。
キャッサバ粉自体には特に味がないのでスープと同じ味ですが、また違った感触になり二度楽しむことができるのです。寄せ鍋の後の雑炊みたいに楽しいのでおすすめです。
たまに家族が集まる時に作ったり、久しぶりに食べたいという時にレストランに行く程度で、日常食べられているわけではありませんが、時々無性に食べたくなるブラジルのグルメです。
4 アカラジェ
photo by Stephanie
こちらもバイア州でよく食べられる揚げ物です。
料理というよりは軽食で、出店や屋台で主に売られています。
バイア州では至る所に民族衣装を着たアフリカ系の女性がアカラジェを売っているのを目にすることができますが、それ以外の地域でアカラジェを見かけるのはまれで、味も本場のものには劣ります。
アカラジェとは、つぶした豆・玉ねぎ・塩をまとめた生地をパーム油で揚げ、塩辛く味付けたエビや、ビナグレッチと呼ばれるサラダ(トマト、玉ねぎ、ピーマン、パクチーを細かく切って塩と酢で混ぜ合わせたもので、シュラスコの付け合わせとしてもよく食べられる)、バタパと呼ばれるペーストを挟んで食べる軽食です。
バタパはココナッツミルクとすりつぶした豆を練ったペーストです。そこにピメンタと呼ばれる唐辛子のソースをお好みでかけて食べます。
バイアの屋台に行ってアカラジェを注文すると、必ず「熱い(Quente)のがいい?寒い(Frio)のがいい?」と聞かれます。
揚げ物は当然熱い方がいい!熱い方!と答えてしまうと後悔することもあるので気をつけてください!実は食べ物の温度を聞いているのではなく、辛いのがいいかを聞くジョークなのです。
ピメンタはタバスコのように辛いので、挑戦する場合、水の用意を忘れないでくださいね。
ブラジルグルメに欠かせない食材「キャッサバ」
▲キャッサバ
こうしてブラジルのグルメについて見てくると、ブラジル料理にどうしても欠かせない食材があったのにお気づきでしょうか?
豆類も頻繁に出てきますが、
ずばりキャッサバです!
キャッサバとはイモの一種ですが、さまざまに形を変えてブラジルの食卓に並んでいます。
ポンデケージュもパンという名前がついていますが実際小麦粉は使用せず、かわりにキャッサバのでんぷん粉で作られています。
▼ポン・デ・ケージュ
photo by Sitenl CC BY-SA 3.0
タピオカも、ファロッファも、ピランもキャッサバなしには作れません。
▼ファロッファの例
photo by Miriam Kato
もちろん茹でるだけでも、さつまいものようにもっちりした触感で、バターや肉などと一緒に食べるとおいしいですし、フライにしても美味です。
また、グルテンフリーのため健康食品としても注目されており、バイオ燃料としての注目度も高いと言われています。
バイオ燃料
再生可能な生物由来のバイオマスを原料によって作られた燃料のこと。
ブラジルはこのキャッサバの生産量が世界トップ5に入るのですから、国民の消費量が多いのも当然ですね。
地域によってアイピン、マカシェイラ、マンジョッカなどと呼び方も違っています。
ブラジルで一番美味しい料理は何か?
さて、それではブラジルで一番おいしい料理は何でしょう?
残念ながら多様性に富むブラジルではいろんな人がいるのでこれと言って決められないものかもしれません。
日本料理に興味のあるブラジル人から見ると、日系社会を発祥とした焼きそば(あんかけ焼きそばに近く、肉が豊富)が一番のグルメになるかもしれません。
photo by Juliana Dacoregio
また内陸地方では新鮮な魚介類の入手が困難なので、生牡蠣やロブスターがごちそうになりますね。
私個人としてはムケッカのスープや、肉の煮込みスープ、それらから作られるピランが大好きなのですが、あなたにとっての一番のブラジルグルメは何でしょう?
ぜひ色々食べてみて、探してみてくださいね。
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ブラジルのリアルな食生活を知りたい方は別Webon「ブラジル生活入門」より