五代目 柳家小さん 【おすすめ落語名人9選】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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この章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「蕎麦をすする動作は落語界随一」と謳われた落語家「柳家小さん(やなぎや こさん)」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

五代目 柳家小さんとは

名前 五代目 柳家小さん(ごだいめ やなぎや こさん)
本名 小林 盛夫(こばやし もりお)
生年月日 1915年(大正4年)1月2日/没年2002年
家族 息子:6代目柳家小さん
娘:小林喜美子(元タレント)
孫:柳家花緑
孫:小林十市(元バレエダンサー・俳優)
弟子 7代目立川談志(立川流の創設者)
10代目柳家小三治(人間国宝)
・5代目鈴々舎馬風(落語協会9代目会長)
昭和を代表する落語名人の1人であり、落語会初の人間国宝。描写力の巧みさから「蕎麦をすする動作は落語界随一」と称された。剣道の腕が立ち範士七段。芸術祭賞奨励賞、紫綬褒章、第12回日本放送演芸大賞功労賞などの受賞歴がある。

 

略歴

 

長野県生まれ浅草育ちの小さんさんは1933年「四代目 柳家小さん」に入門。

 

▼四代目 柳家小さん

 

栗のような顔をしていたことから「栗之助(くりのすけ)」という名前を師匠からつけられます。

前座時代の1936年(当時21歳の年)に徴兵され、陸軍二等兵となりますが、入営早々に同年に起きた「二・二六事件」に巻き込まれ、反乱軍の一員として警視庁を占拠。

 

▼落語家の階級

二・二六事件
1936年に起きたクーデーター未遂事件。陸軍の一部の青年将校が「昭和維新」と称して首相官邸、新聞社、警視庁を占拠した。子さんさんは、クーデーターのことを全く知らされておらず、上官に命じられるままに反乱軍の一員となった。

ちなみに、小さんさんは反乱軍に参加している時に上官より落語をやれと命じられ「子ほめ」を演じる。「面白くないぞッ!」のヤジに対して「そりゃそうです。演(や)っているほうだって、ちっとも面白くないんだから」と返したと言う。

 

その後、満州(日本が占領していた中国の東北部)へ送られますが無事に日本へ帰国し、3年3ヶ月の軍隊生活を終えます。

 

▼満州(赤枠内)

 

1939年(24歳の年)に「柳家小きん」の名で二つ目昇進を果たします。

軍隊生活での遅れを取り戻そうと必死になって落語修行に励んだ結果、三代目 三遊亭歌笑(さんゆうてい かしょう)と四代目 柳亭痴楽(りゅうてい ちらく)とともに「若手三羽烏」と呼ばれるまでになります。

しかし、1943年(28歳の年)に再び招集令状が来てしまい入隊。

ベトナムのハノイで捕虜になったとき、隣に座っていた兵士が流れ弾に当たって死亡し、わずか数十センチの差で助かった小さんさんは自らの「強運」に驚いたといいます。

 

 

1946年に無事帰国し、1947年(昭和22年:32歳の年)に九代目 柳家小三治(こさんじ)を襲名して真打昇進。

そして先代の急逝にともなって1950年(昭和25年:35歳の年)に「五代目 柳家小さん」を襲名します。

 

 

1972年(昭和47年:57歳の年)から落語協会会長に就任し、24年間にわたって会長の重責を果たします。

そして、1995年(平成7年:80歳の年)には落語界初の人間国宝となります。

 

人間国宝とは
文部科学大臣が認定した重要無形文化財(=音楽や工芸技術などで芸術的価値が高いもの)の保持者のこと。歌舞伎・陶芸・能楽などの分野に人間国宝は多数いる。

 

1996年(81歳の年)、脳梗塞で倒れますが、驚異的な回復を見せて数カ月で高座に復帰しています。

2002年(平成14年)、心不全のため死去。享年87歳。

 

五代目柳家小さんのココがすごい!

① 落語界初の人間国宝

 

五代目柳家小さんは、1995年(平成7年)に落語界初の人間国宝となります。

二度の軍隊生活によって同期からも大きく遅れをとってしまった小さんさんは、そのことをしばらく嘆いていたようです。そこから並々ならぬ努力で頭角を現し高評価を得るようになりました。

小さんさんは「人間性もすばらしい」と有名な師匠で「おおらかで優しく、心が温かい人」という評判です。

そのため門下も多く直弟子とそれぞれの孫弟子まで合わせると、現在の落語会の最大派閥です。

 

▼「直弟子」「孫弟子」とは

 

さらに小さん一門を離脱した立川談志一門(七代目 立川談志は小さんの元弟子)を含めると、その数は100人を軽く超えます。

小さんさんの人望あっての大派閥であるといえます。

落語協会会長として24年間その職務を勤め、落語界の発展に大きく貢献した実績なども含めて、まさになるべくしてなった人間国宝だと言えるのではないでしょうか。

 

② 描写力の巧みさ

 

小さんさんは「禁酒番屋(きんしゅばんや)」「長屋の花見」など、滑稽噺(面白おかしい演題)を得意とする落語家でした。

その巧みなしぐさや表情の豊かさはまさに一級品で、普通に喋っているだけでも笑ってしまいそうになる独特の雰囲気を持っています。

特に蕎麦をすする動作は落語界随一ともいわれていました。

小さんさんが蕎麦屋に入るとお客さんから「実際にはどんなふうに食べるんだ」と注目されるため食べずらかったというようなこともあったようですが、それほどの名人芸であったということでしょう。

その芸を味わうなら、やはり小さんさんが寄席の定番ネタとしていた「時そば」がおすすめです。

 

▼小さんさんの「時そば」収録CD:昭和の名人 古典落語名演集 五代目柳家小さん 十二

 

③ 剣道で学んだ「間」

 

小さんさんは小学生の頃から始めた剣道の道を、生涯にわたって追求してきた人です。

「北辰一刀流(ほくしん いっとうりゅう)」という流派の免許皆伝であり、範士七段(はんし ななだん)の位まで上り詰めた達人でもあります。

そんな小さんさんは剣道を通じて「噺の間」を学んだといっています。

 

「落語はお客さんに「ウケようウケよう」と思って演じると、かえって客からそれてしまう。そこで慌てて笑いをたたみかけるとさらに客は逃げる。

それは剣道も同じで「打とう打とう」と思って前に出ると打たれてしまう。逆に「さあ、どこでも打ちなさい」という気持ちで行くと、案外打たれないし、いい技も出てくる。」

というようなことをいっています。

小さんさんの落語を聴いていると「笑わせてやろう」という気負いがまったく感じられず、「力が抜けた自然体でそこに座っている」といった感じです。

だからこそ絶妙に面白い「すっとぼけた感」が登場人物に反映されているのだと思います。

 

その剣道に相通ずる「間」を味わうなら、小さんさんの十八番のひとつである「粗忽長屋(そこつながや)」をおすすめします。

荒唐無稽(こうとうむけい)な噺なので、お客さんに「バカバカしい」と思わせたらダメという難しい噺ですが、”八つぁん”と”熊さん”という2人のそこつ者(=そそっかしい人)を絶妙の会話の間で演じ分け、お客さんの笑いの波に乗ってトントンと噺を運んでいるところが実に見事です。

 

▼「粗忽長屋」は第2章で紹介!(現在第4章)

 

▼子さんさんの「粗忽長屋」収録CD:昭和の名人‾古典落語名演集 五代目柳家小さん 十三

 

次のページでは「粋な江戸っ子噺家」である「三代目古今亭志ん朝」を紹介します。

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三代目 古今亭志ん朝 【おすすめ落語名人9選】

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この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「粋な江戸っ子噺家」である「三代目 古今亭志ん朝」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

 三代目 古今亭志ん朝とは

名前 三代目 古今亭志ん朝(さんだいめ ここんてんしんちょう)
本名 美濃部 強次(みのべ きょうじ)
生年月日 1938年3月10日/没年2001年
家族 父親(師匠):五代目 古今亭志ん生
兄:十代目 金原亭馬生
弟子 ・古今亭志ん駒(ドラマ「大江戸捜査網」でも活躍)
・古今亭志ん輔(NHK「おかあさんといっしょ」に15年間レギュラー出演)
落語初心者が聴いてもわかりやすいのが特徴。戦後の東京落語家を代表する「落語四天王」の1人である。また「東の志ん朝、西の枝雀」と称されることもあった。「ビール」「焼きおにぎり」など数多くのCMに出演しており、高級ふりかけ「錦松梅」のCMのキャラクターとして知名度を獲得する。父は5代目古今亭志ん生。テレビ・映画にも数多く出演しフジテレビ「サンデー志ん朝」では司会をつとめる。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

 

略歴

 

父親は五代目 古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)、兄は十代目 金原亭馬生(きんげんてい ばしょう)という落語家の家に生まれた志ん朝さん。

 

▼五代目 古今亭志ん生

父親の五代目 古今亭志ん生は前のページで解説しています!

 

1957年(19歳になる年)に父親の志ん生に入門して落語家の道に入り前座名「朝太」を名乗ります。

1959年(21歳になる年)、朝太のまま「二つ目」昇進を果たします。

 

▼朝太時代の古今亭志ん朝さん

 

1962年(24歳になる年)、真打(しんうち)昇進を果たすとともに三代目古今亭志ん朝を襲名。

 

▼落語家の階級

階級について詳しくは第1章で解説しています!(現在第4章)

 

若い頃からその才能が注目され、みるみる頭角を現した志ん朝さんは入門からわずか5年という異例のスピードで真打となりました。

しかも36人抜きという快挙で、同じく天才と騒がれた七代目 立川談志(たてかわ だんし)を含めた先輩たちをごぼう抜きしました。

真打昇進以降、芸の輝きは一段と増し、七代目 立川談志、五代目 三遊亭円楽(さんゆうてい えんらく)、五代目 春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)とともに「江戸落語四天王」と称されました。

 

▼七代目立川談志

▼五代目三遊亭円楽

▼五代目春風亭柳朝

 

また、落語のみならず、俳優として数々のドラマ・舞台・映画に出演するほか、テレビ・ラジオの司会者などでも活躍。

 

▼出演映画「若い季節」

その圧倒的な実力・存在感から、自分の弟子・他の人の弟子を問わず多くの若手落語家の憧れの的でもありました。

2001年、病により63歳という若さで亡くなり、誰もがその早すぎる死を惜しみました。

 

三代目古今亭志ん朝のココがすごい!

① リズムと語り口

 

志ん朝さんは、語りのテンポの良さ、躍動的なリズムによる爽やかな語り口が何よりの魅力です。

歯切れのいい明るい江戸弁による、明晰(めいせき:はっきりしている)で明朗(めいろう:明るくほがらか)な言葉は粒立っており落語初心者が聴いても抜群にわかりやすいのでおすすめです。

※言葉が粒立つ・・・はっきりとしていて強調されるべきところがされているような喋り口の事

 

私は落語家の中でこの志ん朝さんが一番好きです。初めて聴いたその瞬間にハマりました。

とにかくその独特な話芸は一度聴けばその魅力に惹かれること間違いなしです。

 

▼志ん朝さんのリズムと語り口を堪能できる作品

⚫落語 The Very Best 極一席1000 居残り佐平次[CD]

 

「居残り佐平次(いのこり さへいじ)」は志ん朝さんの十八番演目ですが、志ん朝さん演じる「佐平次」の清々しいまでの「軽さ」が抜群に面白いです。

リズミカルでスピーディーな口調で調子よく人を丸め込む佐平次の魅力に要注目です。

 

② 本格的な江戸っ子

 

「江戸前のダンディズム」「粋な江戸っ子噺家」などといわれる志ん朝さんは、とにかく粋で本格的な江戸っ子落語家であったといいます。

江戸言葉を自在に操る志ん朝さんの話芸を聴いていると、そこにリアルな江戸の情景がありありと浮かび上がってきます。

なぜそうしたものが身についていたのかは、確かなことはわかりません。ただ、やはり「明治に生まれた芸人の家庭で育つ(父は落語家・五代目 古今亭志ん生)」という、宿命的な生い立ちが志ん朝さんの芸人としてのベースにあるのではないかと思います。

並みの芸人のように10代の後半から20代で弟子入りするのと、その家庭で生まれ育つのでは芸人として、そして人としての”成分”が違ってくるのではないでしょうか。

 

▼志ん朝さんの江戸っ子を堪能できる作品

⚫落語 The Very Best 極一席1000 船徳[CD]

 

上の「船徳」は志ん朝さん十八番の”若旦那もの”です。志ん朝さんが演じると江戸の情景がそのままそこに浮かび上がってきます。

 

⚫落語名人会(14)[CD]

 

こちらも志ん朝さんの十八番「芝浜」。志ん朝さんの気持ちのいい江戸弁によって、江戸に生きた夫婦の日常をリアルに描き出しています。

 

③ 芝居的な演技

 

志ん朝さんは、もともとは歌舞伎が大好きで役者を目指していましたが、父親である志ん生さんから反対され断念して落語家になった人です。

しかし落語家になってからも芝居好きは変わらず、役者としても舞台に映画に大活躍しました。

そんな志ん朝さんの落語には芝居の手法が多く取り入れられているといいます。

志ん朝さんは若手や周囲の人に「演技はクサくやらなければ駄目だ」といっていたそうです。わかりやすくいえば「歌舞伎のようにやる」ということ(大袈裟にやる、というニュアンス)。

「落語はお客にさんに伝わらなければ意味がない」と考えていた志ん朝さんは、「クサいということはわかりやすく演じるということ」だと考えていたそうです。

若手にもよく「若いうちからクサくやらなければ駄目だよ」とアドバイスしていたようです。この芝居的な「クサさ」も志ん朝さんの大きな魅力なのです。

 

▼志ん朝さんの芝居を堪能できる作品

⚫落語名人会 4 古今亭志ん朝 「文七元結(ぶんしち もっとい)」[CD]

 

志ん朝さんの「文七元結(ぶんしちもっとい)」は「究極の人情噺」といわれたほどの十八番演目で、芝居的な演技、クサさが随所に光る一席です。

例えばこの話の中の登場人物である「文七(ぶんしち)」が、与えられた財布を投げ捨てようと振りかぶった時に感触で『本物の金だ』と感づくくだりなどは、芝居がかったクサい演技以外の何者でもありません。

 

次のページでは破天荒な言動や行動で好き嫌いが分かれる落語家「七代目立川談志」を紹介します。

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六代目 三遊亭圓生 【おすすめ落語名人9選】

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この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「人情系の噺の第一人者」と言われる三遊亭圓生さんを紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

六代目三遊亭圓生とは

名前 六代目三遊亭圓生(ろくだいめ さんゆうてい えんしょう)
本名 山﨑 松尾
生年月日 1900年(明治33年)9月3日/没年 1979年(昭和54年)
弟子 ・5代目三遊亭圓楽(日本テレビ「笑点」の司会を務める)
昭和の代表的な落語名人の1人であり「人情系の噺の第一人者」と称される。皇居に招かれて宮中で落語を演じた初めての落語家。文化庁芸術祭大賞や芸術選奨文部大臣賞受賞、勲四等瑞宝章など華々しい受賞歴がある。テレビ・ドラマ・CMにも数多く出演し、ハウス食品の豆腐のCMに出演した際に発した「バカウマ」という言葉が話題となる。

 

略歴

 

大阪で生まれた圓生さんは、母親とともに東京に出て「子供義太夫(=義太夫をやる子供)」として寄席に出演します。

10歳頃に落語家に転身し「橘家圓童(たちばなや えんどう)」と名乗ります。

1920年(大正9年)「五代目橘家圓好」で真打昇進。

 

1941年(昭和16年)に「六代目三遊亭圓生(さんゆうてい えんしょう)」を襲名。

終戦直前、前のページで紹介した五代目古今亭志ん生(ここんて しんしょう)とともに、旧満州に慰問興行をするために渡りますが終戦となったため帰国できなくなり、約2年ほど満州で過ごします。

1947年(昭和22年)に寄席に復帰し、この頃から人気が出始め数々の賞を受賞します。

1965年(昭和40年)からは落語協会会長を7年近く務めました。

 

1978年(昭和53年)「落語協会分裂騒動」を引き起こし、その結果弟子を連れて落語協会を脱退してしまいます。

「落語協会分裂騒動」は実力に関係なく二つ目昇進から10年以上経てば真打に昇進できるという「大量真打昇進制度」に反対したことがきっかけとなって起こった騒動で、脱退後は新協会・落語三遊協会を設立します。

芸に厳しい圓生さんだからこそ、真打昇進への考え方も厳しかったのだろうと思われます。

 

六代目三遊亭圓生のココがすごい!

① 芸の鬼

 

圓生さんは芸の虫・芸の鬼と言われていたほど芸については厳しい人だったようで、いつでもどこでも落語の稽古をしていたそうです。

仕事のない日も机に向かって一日中、何かを読んだり書いたりしていたそうで、博覧強記(はくらんきょうき:物事を広く知っていること)の人であったといわれています。

稽古だけでなく、とにかく勉強熱心な人だったのだろうと思われます。

 

② 群を抜くネタ数の多さとクオリティ

 

持ちネタの多彩さ、そのクオリティの高さとともに「他の追随を許さない」といわれる圓生さん。

「軽い”滑稽噺”」から「色気たっぷりの”廓噺(くるわばなし)”」「鳴り物が入る”音曲噺”」そして「泣かせる”人情噺”」まで、様々な噺を口演しそのどれもが超一流だったといわれています。

圓生さんは落語の登場人物それぞれに愛情を注ぎ、練り上げていくことに並々ならぬエネルギーを持っていたそうです。

役者が役作りを行うように、丁寧に人物像を作り上げていく作業を最も意識的に行い、それぞれをいかにもそれらしく描写することで高い評価を受けていった人なのだろうと思います。

 

③ 落語家初の宮中御前口演

 

1973年(昭和48年)圓生さんは落語家として初めて宮中(きゅうちゅう)へ招かれて「御前口演」を行った人です。

初代三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)が明治天皇の御前で落語を披露したそうですが、宮中、いわゆる皇居に招かれて落語をやったのは圓生さんが初めてだそうです。

 

▼初代三遊亭圓朝については前ページで詳しく紹介!

 

ちなみに昭和天皇両陛下の御前で披露したのは「御神酒徳利(おみきどっくり)」です。

また、圓生さんは、亡くなる半年前の1979年(昭和54年)3月には、歌舞伎座で落語家として始めての独演会を開催して大成功をおさめています。

 

御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ
旅籠(はたご=今で言うホテルのようなところ)で使用人の善六が掃除している時。善六はその家の家宝の御神酒徳利(=神前に供える徳利)を盗まれないように水瓶の中に沈めておいた。しかし善六はそのことを忘れてしまい、大事な御神酒徳利がなくなったと大騒ぎになる。

 

▼六代目三遊亭圓生「御神酒徳利」収録作品:六代目 三遊亭圓生 名演集 1 お神酒徳利/二十四孝

 

④ 人物描写と人情噺の第一人者

 

圓生さんの魅力は人物描写の巧みさと、それを活かした人情噺のうまさにあります。

人情系の噺の第一人者といわれる圓生さんは「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」「牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」「乳房榎(ちぶさえのき)」(いずれも初代三遊亭圓朝の作品)などを得意としていました。

ちなみに「牡丹灯籠」は、圓生さんの演目で私が特に好きな演目です。大袈裟な演出やむちゃくちゃな展開、余計なギャクなど、特別なことをやらずに安心して聴ける語り口が好きです。

 

▼「牡丹燈籠」収録作品:圓生百席(46)

 

また、圓生さんは芸の主眼を人物描写においており、登場人物の性格や感情の表現が無類にうまい人だったようです。

人物描写のうまさを感じれる演目は「死神」です。全体を通して死神のなんとも言えない不気味さが素晴らしいです

 

▼「死神」収録作品:六代目 三遊亭圓生(4)花筏/やかん/死神

 

⑤ 集大成のレコード

 

圓生さんは速記本(=落語や講談などが文字に起こされている刊行物)の「圓生全集」を出していました。

「『圓生全集』のレコード版を作りたい」というレコード会社からの要請を受け「三遊亭圓生 人情噺集成」と数ある持ちネタの中から自ら100席を選んだ「圓生百席」を6年間かけて作り上げました。

これらは高座(=演芸を演じる場所、またそこで演じること)をそのまま録音したものなどではなく、歌手の人がやっているようにスタジオで録音して作ったものでした。

芸事に妥協しない圓生さんは「とにかく最上のものを残したい」という強い思いで臨み、徹底的にこだわり抜いて完成させたといいます。

落語のレコードとしては最大級の規模(2つの作品集を合わせてLP115枚)で、価格も破格の高さでしたが、かなりの売り上げがあったそうで、これを真似て似たようなレコードを作る落語家が続出したといいます。

制作を始めたのは圓生さんが70歳を超えてからだったそうですが、編集にもすべて立ち合い、一文字もおろそかにせず、すべての噺を聴いて自分の芸を確かめたというからその熱量たるや驚くほかありません。

こうして完成した圓生さんの録音は、「最大至高の古典」といっても過言ではないでしょう。

 

筆者おすすめ作品

 

⚫圓生百席(55)真景累ヶ淵(しんけいかさねがぶち)~1「宗悦(そうえつ)殺し」~2「深見新五郎」

 

⚫圓生百席(23)品川心中(上・下)/死神

 

次のページでは落語界初の人間国宝となった「五代目柳家小さん(やなぎや こさん)」さんの紹介をします。

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初代 三遊亭圓朝 【おすすめ落語名人9選】

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この第4章では9人の落語の名人を紹介いたします。

落語は同じ演目でも演じる落語家が違えば全く違ったものになります。

「マクラが長い落語家」「蕎麦をすする動作は落語会随一」「酒を飲んで高座に上がっても面白い」など落語の名人はそれぞれ違った魅力があるので、ぜひ気になる落語家を見つけて実際に観ていただきたいです。

このページでは「初代三遊亭圓朝」を紹介します。

 

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初代三遊亭圓朝とは

名前 初代三遊亭圓朝(しょだい さんゆうていえんちょう)
本名 出淵 次郎吉(いずぶち じろきち)
生年月日 1839(天保10年)5月13日/没年1900年(明治33年)

 

初代三遊亭圓朝はそれまでの落語は芝居噺(しばいばなし:背景画や道具を用いて芝居のように見せる噺)が人気でした。

圓朝は道具を使う噺を弟子に譲り現在のような「扇子1本を使う喋り」を中心とした「素噺(すばなし)」というスタイルを確立し、それまでの落語の常識を変えました。これにより「近代落語の祖」と言われるようになりました。

 

略歴

 

のちに「近代落語の祖」と言われる大スター・初代三遊亭圓朝は天保10年(1839年)、江戸・湯島に落語家の初代橘屋圓太郎(しょだい たちばなや えんたろう)の息子として生まれました。

父親の影響もあり「落語家になりたい」と言った次郎吉少年でしたが、母親と兄に反対され、商家(=商人の家)に奉公(=住み込みで主人に仕えること)することになります。

絵師の歌川国芳(うたがわ くによし)に弟子入りして絵の修行をするなどしていましたが、結局は落語家になりました。

 

▼歌川国芳の自画像

 

9歳で父親の師匠である二代目三遊亭圓生に弟子入り。

安政2年(1855年)圓朝を名乗り、真打昇進を果たしました。

 

真打
落語家の階級の中で最も上。師匠と呼ばれるようになり、弟子を取ることができるようになる。

 

おもしろおかしい滑稽噺より、弟子入り先の三遊派のお家芸である芝居噺(背景画や道具を用いて芝居のように見せる噺)や怪談噺(幽霊、化物、死神などを扱う噺)で独自の世界を構築して人気を得ました。

そして、のちに扇子一本で演じる素噺(すばなし)に転向しました。

 

三遊亭圓朝のココがすごい!

① 多くの演目を創作

 

圓朝は多くの落語を創作したことでも知られています。

「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」「怪談牡丹燈籠」「塩原多助一代記」など長編の怪談噺、人情噺(=オチのない人情を主題とした噺)を多く創作しました。

笑いの多い噺ではない「文芸的」ともいえる作品群を創作し、それらを巧みな話術・表現力で口演しました。

 

② 師匠から嫉妬される

 

圓朝が落語の創作を始めるようになったきっかけは「圧倒的に落語が巧かった圓朝に嫉妬した師匠・三遊亭圓生からの嫌がらせ」であったといいます。

具体的にいうと、圓朝が高座でやろうとする演目を先に師匠がやってしまい、圓朝が演じる演目をなくしたのです。

このことから圓朝は他の落語家が演じられない演目を作ろうと決意し創作落語をたくさん生み出したのです。

 

③ 三題噺から名作を生む

 

初代三笑亭可楽(さんしょうてい からく)が始めたとされる「三題噺」というものがあります。これはお客さんからお題を3つもらい、それを使った落語をその場で作って演じるというものです。

落語の名作「芝浜(しばはま)」は圓朝が三題噺で作った演目といわれています。(『笹飾り』『増上寺の鐘』『革財布』という3つのお題で作られたと言われています)

また、今日でも多くの落語家に演じられている「鰍沢(かじかざわ)」も圓朝が三題噺で作った演目です。(こちらは『卵酒』『鉄砲』『毒消しの護符』」という3つのお題で作られたと言われています。)

 

落語の名作「芝浜」のあらすじ
腕はいいのに酒ばかり飲んでぜんぜん働かない魚屋の勝五郎。

ある日大金を拾ったことをいいことに、仲間を集めて酒を飲んで寝てしまう。翌日妻から「昨日の酒代どするのか?」と聞かれ「拾った金で払えばいいだろ」と言うと「そんな金はない、夢でも見たのでは?」と妻に言われる。

勝五郎は自分の情けなさを恥じて、真面目に仕事をするようになる。しかし、拾った金は実はあって、それは妻の「とある思い」からだった・・・。

▼芝浜の結末は第2章にて!(現在第4章)

 

▼筆者おすすめ「芝浜」収録作品:談志CD大全 21世紀BOX

▼筆者おすすめ「芝浜」収録作品:NHK落語名人選(11) 六代目 三遊亭円生 三年目・鰍沢)

 

④ 言文一致運動に影響を与える

 

落語の口演(公演)を速記し、出版したものを「速記本」といいます。

明治政府は国会を開設するにあたり、速記者(=省略した記号を用いて発言を素早く記録する人)を養成する必要に迫られ、見習いの速記者たちは寄席に通って当時を代表する随一の落語家である圓朝の口演を速記して練習しました。

速記本の第一号は圓朝の「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」でした。

これをきっかけに圓朝の落語以外の速記本にも人気が出て、速記本ブームが起こり、これにより明治以降の文学界の言文一致運動に大きな影響を与えました。

 

言文一致運動とは
明治時代のはじめの頃は、文章で使う「書き言葉」と日常生活で使う「話し言葉」は一致しておらず、文章を理解できるのは一部の知識階級だけでした。

時代とともに、読み書きをする人たちが増えて、その状況を不便に思う人たちが増えていきました。「言文一致運動」は、そんな不便な状況を打破するために「書き言葉」を「話し言葉」に近づけようとする文筆家が行った運動のことを指します。

 

ちなみに二葉亭四迷(ふたばてい しめい)の『浮雲(うきぐも)』は圓朝の速記本(圓朝の落語を写したもの)に影響を受けて書かれたといわれています。

 

二葉亭四迷

小説家、翻訳家。「日本の近代小説の開祖」と呼ばれる。代表作は「浮雲」。

▼二葉亭四迷『浮雲』明治20年頃に発表

 

 

⑤ 歌舞伎になり教科書に採用される

 

圓朝の創作した「塩原多助一代記(しおばら たすけ いちだいき)」と「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」は歌舞伎化され、明治25年に東京歌舞伎座にて初めて演じられました。この舞台は五代目尾上菊五郎(おのえ きくごろう)が主演を務め大評判となりました。

また「塩原多助一代記」は勤勉がテーマで、教科書にも採用されました。

 

五代目尾上菊五郎

1844年生まれ、明治時代に活躍した歌舞伎役者。

 

▼筆者おすすめ「塩原多助一代記」収録作品:泣ける落語「塩原多助一代記~青春の別れ~」「幾代餅の由来」

 

▼筆者おすすめ「怪談牡丹燈籠」収録作品:五代目 古今亭志ん生(11)牡丹灯籠~刀屋/牡丹灯籠~お札はがし

 

三遊亭圓朝のおすすめ作品

 

三遊亭圓朝は大昔の落語家なので、その落語を録音で聴くことはできません。

けれど書籍・電子書籍では楽しむことができるので、ぜひ圓朝落語を読んで楽しんでみてください。

 

●『三遊亭円朝全集 42作品』

 

初代三遊亭圓朝の42作品を1冊に収録した作品集です。電子書籍では目次から目当ての作品に移動することができます。

 

次のページでは「五代目古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)」を紹介します。志ん生さんは「酔って高座に上がっても面白い」と言われる名人なのです。

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【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

海外のおすすめクラシックコンサート3選

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

クラシックコンサート初心者入門こちらから!

著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

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この第2章では、クラシックコンサートの種類についてお伝えしてきましたが、最後に海外のクラシックコンサートを紹介します。

海外まで足を延ばさないといけないため、初めてのクラシックコンサートとしてはハードルが高いでしょう。ただ、ここで紹介するコンサートはいずれも日本とは少し異なった雰囲気を感じることができるコンサートですので、いつかぜひ足を運んでいただければと思います。

 

1 ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート


photo by Gryffindor
▲ウィーン楽友協会(ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートの会場)

名称 ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート
日時 1月1日正午
料金 35ユーロ~1090ユーロ
(日本円で約4400円~13万7800円※変動有)
開催国/都市 オーストラリア/ウィーン
会場 ウィーン楽友協会

 

海外のクラシックコンサートの中でも、一年の始まりを告げるコンサートを「ニューイヤーコンサート」と言います。

ウィーンフィル・ニューイヤーコンサートは、は世界を代表する管弦楽団(オーケストラ)である「ウィーンフィルハーモニー管弦楽団」によって開かれるコンサートです。

指揮者として毎年大御所が招かれることでも話題になります。ちなみに2002年には初めて小澤征爾(おざわせいじ:世界を代表する日本人指揮者)氏が招かれました。

 

▼小澤征爾氏

 

このコンサートは第二次世界大戦の頃から始まり、約80年の歴史を誇っています。そのため、伝統が重んじられているコンサートです。

このコンサートは曲目も非常に練られていて、毎年シュトラウス協会の重鎮やシュトラウス研究家が議論に議論を重ねます。そして、ヨハンシュトラウス2世などシュトラウス一家の楽曲を中心としたプログラムが組まれます。

 

ヨハンシュトラウス2世
ヨハン・シュトラウス2世は、オーストラリアのウィーンで19世紀に活躍した指揮者・作曲家であり、産業革命期の市民階級に熱狂的に支持された。「美しき青きドナウ」などの有名なワルツの曲を生み出し。ヨーロッパで広く知られている。ちなみにシュトラウス協会はシュトラウスの楽曲などを普及する活動を行う協会。

 

このコンサートはどこをとっても素晴らしいのですが、特にアンコールでは「美しき青きドナウ」「ラデツキー行進曲」が演奏されるのが毎年の恒例となっています。

この2曲は紅白歌合戦の「蛍の光」と同じように、伝統として受け継がれ続けています。

 

▼美しき青きドナウ(※このコンサートの音源ではありません)

▼ラデツキー行進曲(※このコンサートの音源ではありません)

 

特にラデツキー行進曲はお客さんの手拍子に合わせて演奏されるため、ホール全体が普段のクラシック音楽の演奏会では感じることのできない一体感に包まれます。

手拍子をクラシックコンサートで行うのは、他のメジャーなコンサートでは他に例を見ない珍しいことです。

 

また、このコンサートでは、曲にちなんだユーモアあふれる演出というのも名物になっています。

もともと打楽器パートから始まった文化であるために、現在でも打楽器パートが中心となってユーモアな演出がなされています。

 

演出の例
・打楽器奏者の1人が、ブタ飼いのショパンの格好に扮装し豚を抱えて登場する。
・鍛冶屋の親方に扮装して飲み食いしつつ演奏
・山賊に扮装して演奏中に金品を楽員から盗む
・工事現場の作業員の格好をして爆破装置のスイッチを押す

 

最近では「シャンパン・ポルカ」という曲の演奏中に打楽器奏者たちが実際にシャンパンを開けて乾杯を交わす場面がありました。

何をしでかすかわからない打楽器パートには要注目です。

 

▼シャンパン・ポルカ(※このコンサートの音源ではありません)

 

▼ウィーン旅行参考(外部リンク)

楽天トラベル(ウィーン)

 

2 ザルツブルグ音楽祭


photo by Optimale CC 表示-継承 3.0

▲祝祭大劇場(メイン会場)

名称 ザルツブルグ音楽祭
開催時期 7月中旬から8月末
料金 30ユーロ~250ユーロ
(日本円約3700円~31600円※変動有)
開催国/都市 オーストラリア/ザルツブルグ
会場 ・祝祭大劇場
・モーツァルテウム
・ハウス・フェア・モーツァルト
・フェルゼンライトシューレ

 

海外のクラシックコンサートとして有名なものの一つが、ザルツブルグ音楽祭です。

オーストラリアにあるザルツブルグと言えば、モーツァルトの出生地としてクラシックファンにとってはおなじみの土地です。

7月中旬から8月末にかけての5週間、世界中から名だたるオーケストラ・指揮者・オペラ歌手・劇団が一堂に会します。

音楽祭が開催されている期間中は、ザルツブルグの町の中ではあらゆる場所でクラシックコンサートが開かれています。

壮麗なホールでのクラシックコンサートが開催されているのはもちろん、町の至る所でアマチュアのオーケストラ、演奏家がストリートミュージシャンのような形で活動しているため、とても音楽を身近に感じることができるでしょう。

 

また、クラシック音楽とは異なるのですが、ザルツブルグのミラベル庭園はあの「サウンド・オブ・ミュージック」のロケ地としても非常に有名です。

 

サウンド・オブ・ミュージック
1965年に公開され世界的に大ヒットしたアメリカ映画。世界で最も有名なミュージカル映画と言っても過言ではない。

▼ミラベル庭園

「ミラベル庭園」は別Webon「世界の絶景111選」でも紹介しています!興味のある方はご覧ください!

 

ミラベル庭園のバラのアーチの前ではアマチュアのオーケストラ・ビッグバンドがクラシックやジャズの演奏をしています。

 

▼バラのアーチ


photo by Avanova

 

運が良ければ、サウンドオブミュージックメドレーも聴くことができるので、そちらの方も要チェックです。

 

▼ザルツブルグ旅行参考(外部リンク)

楽天トラベル(ザルツブルグ)

 

3 ラヴァンナ音楽祭


photo by Herbert Frank
▲ラヴァンナの町並み

名称 ラヴェンナ音楽祭
開催時期 5月~7月
料金 10ユーロ~100ユーロ(約1200円~12600円※変動有)
開催国/都市 イタリア/ラヴァンナ
会場 パラッツォ・マウロ・アンドレなど

 

ラヴァンナ音楽祭は1990年から開催されているヨーロッパの中で最も権威のある音楽祭に数えられます。

この音楽祭ではクラシック音楽だけではなく、オペラ・ダンス・演劇・映画など様々なプログラムがあります。世界遺産に登録されているラヴァンナを取り巻く、歴史的建造物を含む様々な場所が会場になります。

 

▼ラヴァンナ旅行参考(外部リンク)

エクスペディア(ラヴァンナ)

 

さて、今回は海外のクラシックコンサートについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。ザルツブルグ、ウィーンはいずれもクラシック音楽の歴史を語るうえでは欠かすことのできない町です。

そんなクラシック音楽の聖地で、ぜひ本場の空気を味わってみてください。

 

さて、この第2章ではクラシックコンサートの種類について解説してきましたが、次の章(第3章)からは実際の「鑑賞方法」についてお伝えします。

次のページではまずは「選び方」について解説いたします。これを読めば自分が行きたいコンサートがきっと見つかることでしょう。

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クラシックコンサートのコンクール

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

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著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

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前ページでは、クラシックコンサートの種類についてお伝えしましたが、このページでは「コンクール」について詳しく解説します。

コンクールとはクラシック音楽の演奏家を目指すにあたって避けて通ることのできない、いわば「競技会」のようなものです。コンクールを観に行くというのもクラシック音楽を楽しむ方法としておすすめです。

 

クラシック音楽のコンクールとは

 

クラシック音楽のコンクールと言うと、あまり馴染みがないという方も多いでしょう。

クラシック音楽のコンクールでは、ピアノやフルート・ヴァイオリンなどの各々の部門でその技量を競います。

特に中学生以上になると、コンクールの成果がその後の演奏家のキャリアに直結するため、コンクールに挑戦する方は皆必死です。

基本的には数名の審査員がそれぞれの演奏の出来に応じた点数をつけ、それらを統合した評価によって、順位を付ける、もしくは次のステージ(本選、全国大会など)に進む権利を与えるかどうかを決めるのが一般的です。

 

▼コンクールの様子

 

楽しみ方

 

一般的なコンクールだと、演奏から数時間後に結果が貼り出されます。

その結果を予想して自分でも採点してみると、より一層楽しく聴くことができるでしょう。必ずしも審査員が出した結果が一番正しいとは限りません。

初心者だからと遠慮することなく各演奏を自分の中で評価することによって、それぞれの違いにも、より注意深くなることができるはずです。

 

自由曲部門と課題曲部門

 

クラシック音楽のコンクールには「自由曲部門が設けられているコンクール」と「課題曲部門が設けられているコンクール」もしくは「両方が設けられているコンクール」があります。

自由曲部門というのは「基本的に制限時間が決められていて、演奏者がその制限時間を使って自分が自由に選んだ曲を演奏してアピールする形式」です。

一方、課題曲部門というのは「コンクールの運営側が指定した課題曲を演奏する形式」になります。

 

 

自由曲部門の魅力

 

自由曲部門の場合、演奏者が自由に曲を選ぶことができるため、演奏者によって曲目も異なってきます。

したがって、様々な曲を楽しみたいという方におすすめです。

自由曲部門の場合、特に高校生部門ではクラシックの名曲(ショパンなど)をプログラムにチョイスする人も多いです。したがって、自分が知っている曲が演奏されることもあるでしょう。

また、自分が知らない曲が演奏されても、多くの曲を聴くことができるために、クラシック音楽の曲を色々と知る機会にもなるでしょう。

 

部門 特徴 魅力
自由曲部門 自分が選んだ曲を演奏する 色んな曲が聴けるので、様々な曲を楽しみたい人におすすめ。

 

課題曲部門の魅力

 

課題曲部門の場合、演奏者はコンクールの運営側から指定された曲の中から選んで演奏します。したがって、複数の演奏者が同じ曲を弾くことになります。

このため、課題曲部門では演奏者によって、同じ曲でも表現の仕方がずいぶん違うことを実感することでしょう。

テンポ、間の取り方など演奏者によって特徴があるはずです。

こういった違いに敏感になることによって「クラシック音楽を聴く耳」がどんどん養われていくはずです。

 

部門 特徴 魅力
課題曲部門 運営側が指定した曲を演奏する 同じ曲が演奏されるので、表現の違いを感じられクラシック音楽を聴く「耳」が養われる。

 

▼代表的なコンクールPTNA(課題曲)の様子

 

▼特徴と魅力一覧

部門 特徴 魅力
自由曲部門 自分が選んだ曲を演奏する 色んな曲が聴けるので、様々な曲を楽しみたい人におすすめ。
課題曲部門 運営側が指定した曲を演奏する 同じ曲が演奏されるので、表現の違いを感じられクラシック音楽を聴く「耳」が養われる。

 

代表的なコンクール

 

日本で代表的なコンクールとしては

「PTNA(ピアノ)」

「日本クラシック音楽コンクール」

「全日本学生音楽コンクール」

が挙げられます。

 

代表的コンクール 特徴 自由曲or課題曲
PTNA(ピティナ) ピアノコンクールのみですが、レヴェルは日本クラシック音楽コンクールよりもやや高いです。YouTubeで演奏の模様を積極的に配信しています。 課題曲
日本クラシック音楽コンクール 各楽器部門に分かれています。全日本学生音楽コンクールの次に規模の大きいコンクールです。 自由曲
全日本学生音楽コンクール 学生コンクールの中ではレヴェルが一番高く、規模も最大級。決勝はテレビ中継されます。 課題曲/全国大会では自由曲演奏可能

▼チケット情報

PTNA(ホームページ) 開催時期5月下旬~8月下旬
日本クラシック音楽コンクール(ホームページ) 開催時期7月下旬~12月
全日本学生音楽コンクール(ホームページ) 開催時期8月下旬~12月上旬

※開催時期は2018年を参考にしています。

 

もちろん、これら以外にもたくさんのコンクールが開催されていますが、まずは自分の近所でこの3つのコンクールが開かれていないかチェックしてみるとよいでしょう。

お近くのホールや市役所などにパンフレットが置いてあることが少なくないので、それを探してみる、もしくは地域名を含めて検索することによって調べることができます。

コンクールは、普通のコンサートとは一味違った観点でクラシック音楽を楽しむことができます。予約なしで無料で観れることも少なくないので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

次のページでは、海外のクラシックのコンサートを紹介します。なかなか足を運ぶハードルは高いですが、日本とは違った雰囲気を感じることができます。

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寄席の基礎知識 【寄席の鑑賞方法①】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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落語には様々な鑑賞方法があると思いますが、その中でも生で落語を鑑賞することができる「寄席」はおすすめです。

この第3章では寄席の鑑賞方法について3ページにわたって解説しております。【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】について知れば、実際に足を運びたくなることでしょう。

 

寄席とは

 

寄席(よせ)とは、落語や講談などの演芸を魅せるための劇場のことを言います。また、基本的には「寄席」とは小屋そのものを指しますが、興行自体を指すこともあります。

 

開催日

 

基本的に寄席は毎日やっています

昼と夜の2部制が基本で、「昼の部」は正午前から始まり、「夜の部」は午後5時前くらいから始まることが多いです。

ほとんどの寄席が入れ替え制ではないので、ずっと中にいて一日中たっぷり落語を楽しむことができます。

 

 

お正月は通常より多くの演者が出る「顔見せ興行」というのがあり、そのときは一日三部構成になることがあります。

落語を聴ける場所は、地域寄席やホール落語(「~会館」や「~ホール」など、通常は演芸を上演しない場所でやる落語)など、寄席以外にもあり、居酒屋や蕎麦屋、小学校などでやることもあります。

 

プログラム内容


▲プログラム

 

寄席のプログラムは、上席(毎月1日~10日)、中席(毎月11日~20日)、下席(毎月21日~30日)で内容が変わります。

初めて行くときは、好きな落語家や知っている落語家が出演するときに行くのが良いでしょう。

誰がどの演目をやるかについては、残念ながら事前に知ることはできません。

他の落語家と演目がかぶらないように、出番を待っている間にネタを決めるからです。

 

チケットの買い方

 

寄席のチケットは基本的に予約・前売りはなく、当日券(自由席)だけです。

寄席の入り口には木戸(券売所)があり、ここで木戸銭(入場料)を支払ってから寄席に入ります。

 

【編集者コラム】なぜ入場料を「木戸銭」と言う?
寄席の入り口のことを木戸と言います。その木戸をくぐって入場することから「木戸銭」と呼ばれる、と言われています

 

特別興行でない限り、木戸銭は2500円~3000円程度が相場です。

この金額で一日中楽しめると考えたら安いものですね!

 

 

寄席で会場に入るまでの流れ
①まずは木戸(入り口)でチケットを買います。

②入り口でチケットを渡す。半券とプログラムをもらい入場することができます。

③席は基本的には自由席 。好きな席に座りましょう。

 

マナー

 

マナーと言っても特別なことは何もありません。

普通に席に座って観るだけです。もちろん携帯電話の電源を切ったり、本番中は私語をしないなど最低限のマナーは守らなければいけませんが。

基本的に客席の出入りも自由ですが、他の方の観劇の邪魔にならないように、ひとつの演目が終わった直後(演芸と演芸の間)にするようにしましょう。

もちろん寄席にドレスコードなんてものはないので服装は自由です。

ただ「着物割引」などをやっている寄席もあるので、慣れてきたらチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

 

【Webon編集部男性の声】飲食OKの演芸場

コンサートや舞台に足を運ぶと、飲食が禁止されているところが多いでしょう。しかし、演芸場によっては、飲食がOKな場合もあるのです。私も友人と浅草演芸ホールに足を運んだ際に、お酒とを飲みながら落語を満喫しました。

そのまま聴いても落語は面白いですが、ほろ酔いで観る落語はまた違う贅沢な楽しみがあります。飲食は自由とはいえ、音を立てすぎると周囲の迷惑になってしまうので、おつまみは「乾き物」がおすすめです。

途中で甘い物が欲しい時もありますので「グミ」も噛んだ時に音が鳴らないので重宝します。

 

落語以外も楽しめる

 

寄席に出演する芸人は落語家だけではありません。

色物(いろもの)と呼ばれる、漫才や漫談、コント、マジック、紙切り、腹話術など、いろいろなジャンルの芸人が登場するので、とってもお得です。

まさに寄席は「芸の博覧会」と言えますね。

 

 

親子で楽しめる「親子寄席」

 

寄席はさまざまな年代の方が集まるところです。子供を連れた家族もよく見かけます。

ただし、あまり小さなお子さんだと途中で泣き出したり騒いだりして、他のお客さんの迷惑になることもあるので注意が必要です。

そもそも未就学児は基本的に寄席に入場できません

地域寄席や行政が主催する公演などでは、親子で本物の落語を楽しめる「親子寄席」が催されることもあるので、そのような機会を利用して子供と一緒に落語を楽しんでみるのも良いでしょう。

 

以上、寄席の鑑賞方法でした。

寄席に入るハードルが高くないことが伝わったのではないかと思います。次のページでは「都内おすすめ落語スポット」を紹介します。お酒を飲みながら落語を観られる場所があるなど、知れば知るほど実際に足を運びたくなるかと思います。

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人気のおすすめ落語家4選 【寄席の鑑賞方法③】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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この第3章では【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】と3ページにわたって寄席の鑑賞方法をお伝えしております。

このページでは人気と実力を兼ね備えた、いま人気の落語家を4人紹介します!

実際に寄席に落語を観に行くなら、ぜひこの人たちを観てほしいと思います。

 

1 春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)

生年月日 1978年1月28日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語
師匠 春風亭一朝

 

一之輔さんは、今最も人気のある落語家と言ってもいいかと思います。

「NHK新人演芸大賞落語部門大賞」や「文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞」など数々の賞を受賞し、若手の頃から頭角を現した一之輔さんは、2012年に21人抜きの抜擢で真打昇進を果たしました。

滑稽噺から人情噺まで200以上の持ちネタがあり、年間900席もの高座をこなす超売れっ子です。

 

熊さん(=熊五郎。様々な落語に登場するキャクターであり、乱暴者な性格)や与太郎(=落語の代表的な登場人物で、楽天的で呑気な性格)など、古典落語に出てくる人たちを現代風に変え、現代の人にもわかりやすい内容にして演じることでも知られています。

自分のことを「ひねくれもの」と言っている一之輔さんですが、人物描写にもそこがよく現れているような気がします。

 

 

一之輔さんの得意演目である「初天神」に出てくる子供の憎たらしさが私は大好きです。

「初天神」は一之輔さんの出演する寄席や独演会に行くと聴けるかもしれませんが、何を演じるか当日までわからないことが多いです。そのため、確実に聴くならCDです。「初天神」は下記CDに収録されています。

 

▼「初天神」が収録されてるCD:春風亭一之輔

 

おすすめ作品

芝浜とシバハマ【CD】

 

三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)が創作した古典落語の名作「芝浜」に一之輔さんが挑んでいます。

寄席のスタンダードナンバーである「代脈(だいみゃく)」収録した、進化が止まらない一之輔さんの魅力がぎっしり詰まった豪華二枚組です。

 

2 柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)

生年月日 1963年11月30日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語&新作落語
師匠 柳家さん喬

 

古典落語と新作落語、どちらも自在に演じ分ける喬太郎さん。

 

▼古典落語と新作落語の違いは第1章で解説(現在は第3章)

 

柳家喬太郎さんは、独自の世界観で楽しませてくれる爆笑必至の新作落語が最高です。

喬太郎さんは落語家になる前は大手書店のサラリーマンだったということもあり、サラリーマンの悲哀や、スポットライトが当たらないような人や趣味などを題材にしたネタを得意としています。

 

古典落語にも定評があり、喬太郎さんならではの解釈や演出を加え、「喬太郎の古典」にしてしまうところがあります。

表情や所作が抜群におもしろいので、生の寄席や動画で観るとより楽しめる落語家です。

大のウルトラマン好きであり、ウルトラマンをテーマにした落語会を開催したり、江戸川乱歩の作品を落語風に演じたりするなど、落語をさまざまな角度から見せてくれるエンターテイナーであることも喬太郎さんの魅力です。

 

 

おすすめ作品

 

柳家喬太郎 名演集1 寿限無/子ほめ/松竹梅 【CD】

誰でも知っている古典落語「寿限無」と古典のメジャー作品「子ほめ」「松竹梅」が収録されています。定番落語とメジャー作品がバランスよく入っているので、初心者の方におすすめです。

 

定番古典落語「寿限無」の噺の内容は第2章で解説!(現在は第3章)

 

3 立川志らく(たてかわ しらく)

生年月日 1963年8月16日
所属 落語立川流
ジャンル 古典落語&シネマ落語
師匠 立川談志

 

2017年上半期のブレイクタレント部門1位にランクインし、今やすっかりテレビでもお馴染みの人となっている志らくさん。

師匠の7代目立川談志さんの影響かどうかはわかりませんが、そのひねくれ方、毒の強さは一級品です。

 

▼7代目立川談志さん

 

90年代には仲間の落語家たちと「“超”放送禁止落語界」と銘打った、差別用語連発の演目を披露する寄席を開催したというのだから驚きますね。

 

志らくさんは古典落語を演じる落語家ですが、真打昇進後に「シネマ落語」を開拓。

これは、ローマの休日を「吉原の休日」、タクシードライバーを「人力車」など、有名な映画の舞台を江戸時代に変えて演じるというもので、映画監督や映画評論家としても活躍する志らくさんならではの、エンターテイメント性あふれる落語です。

シネマ落語は定期的に公演が行われているので、古典落語がどうしてもとっつきにくいという方は、まずシネマ落語を聴いてみるのもありだと思います。

 

▼シネマ落語の参考情報

おすすめ作品

 

⚫志らく 第五集「青菜」「粗忽長屋」「品川心中 上下」 【DVD】

 

落語DVD 初の自身解説の副音声が入っています。

噺の解釈や演出の狙いから、自身へのダメだしまで、さまざまなことを落語と同時進行で解説。自身による立川志らく批評が楽しめる貴重な作品集です。

 

4 桃月庵白酒(とうげつあん はくしゅ)

生年月日 1968年12月26日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語
師匠 五街道雲助

▼まくらを披露する桃月庵白酒さん

 

よく声が通り、聴き心地の良さが抜群の落語家です。

子供や酔っぱらい、泥棒、花魁(おいらん)まで、リアリティ溢れる人物描写が非常にわかりやすく、噺の筋がわからない人(落語初心者で噺を理解するのが難しい人)でも理解しやすいと思います。

丸顔でふっくらとした愛嬌のある風貌ですが、マクラ(演目に入るまえの小話)では、ちょっと毒っ気のある話を繰り広げるのも特徴。

そのギャップと舌鋒鋭い(ぜっぽうするどい:弁舌が鋭い)本格的な落語で聴く者を圧倒します。

地味な演目でも楽しく聴かせる天才、そんな白酒さんの、新感覚爆笑古典は必見です!

 

おすすめ作品

 

⚫毎日新聞落語会 桃月庵白酒3「らくだ」「死神」【Amazon Music Unlimited&CD】

この先いったいどうなるのかとハラハラドキドキさせられる「らくだ」と、ひと癖もふた癖ある死神の言動が面白い「死神」。

白酒流にアレンジされた古典落語の名作を存分に楽しめます。

 

以上、落語初心者でも楽しめるおすすめの落語家さん4選でした。

次のページは自宅での落語鑑賞方法についてお伝えします。落語は生の醍醐味を感じていただきたいですが、アプリやストリーミングを活用すれば自宅でも楽しむことができるのです。

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東京のおすすめ落語スポット7選 【寄席の鑑賞方法②】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

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落語の一番の醍醐味は、寄席などでプロの落語家の高座(落語の公演)を観ることです。

この第3章では【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】と3ページにわたって寄席の鑑賞方法をお伝えしております。

このページでは東京都内のおすすめ落語スポットを紹介しますので、ぜひ足を運んで生の落語を楽しんでみてください!

 

落語定席

 

1年365日、毎日落語を聴くことができる演芸場のことを「落語定席(らくごじょうせき)」と言います。

東京には定席が4つしかありません。

以下に東京の4つの定席である「浅草演芸ホール」「鈴本演芸場」「新宿末廣亭」「池袋演芸場」を紹介します。

演芸場ごとに演目や出演する演者の違いは、ほとんどありません。

私は明確な使い分けは特になく、その時の気分であったりその演芸場の近くに行ったついでに行く、といった感じです。

 

【編集部コラム】ほろ酔いで見る落語
以下で紹介する定席は全て飲食オーケーです。また「浅草演芸ホール」「鈴本演芸場」に関してはアルコールを飲みながら落語を観ることができます。アルコールを飲みながら、ほろ酔い状態で落語を観て笑っている瞬間は著しく幸福度が高いです。おつまみには音が出て迷惑にならないように「乾き物」がおすすめです。

 

浅草演芸ホール

 

東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年に「浅草フランス座」を増築してつくられた演芸場です。

東京にある寄席の中で国内外の観光客が最もたくさん訪れ、活気のある寄席で連日賑わっています。

売店では、弁当や飲み物、お菓子などを販売しており飲食しながら落語を楽しむこともできます。(お酒を飲むのもOKです)

浅草演芸ホールや落語芸術協会のオリジナルグッズや、人気番組『笑点』のグッズも販売しているので、記念にそれらのグッズを買ってみるのも楽しいと思います。

 

また、浅草園芸ホールは初心者におすすめの演芸場です。

浅草という場所柄、最も古き良き演芸場の雰囲気を味わうことができます。街全体も楽しい雰囲気ですので初心者の方も気軽に足を運びやすいと思います。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 浅草演芸ホール
料金 大人:2800円(3000円)
学生:2300円(2500円)
子供(4歳以上):1500円(1500円)
※()は特別興行の価格。また、団体割引もございます。以下の料金は夜割18:00~、19:00~
大人:2300円、1800円
学生:1800円、1500円
子供:1300円、1300円
公演時間 昼の部:11時40分~16時30分
夜の部:16時40分~21時00分
定休日 年中無休
公式ホームーページ http://www.asakusaengei.com/ticket/#ticket1
電話番号 03-3841-6545
所在地 ・東京都台東区浅草1-43-12 (六区ブロードウエイ 商店街中央)
・浅草駅から徒歩5分
飲食 可能(アルコールもOK)

 

鈴本演芸場


photo by User:Kentin  CC 表示-継承 3.0

 

鈴本演芸場は、東京の落語定席で最も歴史のある演芸場で、母体となった「軍談席本牧亭」という講釈場が誕生したのが安政4年(1857)です。

開席160年以上という伝統ある演芸場は独自の雰囲気を醸し出しており、そこで聴く落語は何とも言えない極上の味わいがあります。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 鈴本演芸場
料金 一般:2800円
学生:2500円(中学生以上、24歳まで・要学生証提示)
子供:1500円(未就学児はご入場不可、小学生のみ)
公演時間 昼の部:12時開場、12時30分開演~16時30分終演
夜の部:17時開場、17時30分開演~20時40分終演
※昼夜完全入替制
定休日 12月29日~31日
公式ホームページ http://www.rakugo.or.jp/annai.html
電話番号 03-3834-5906
所在地 ・東京都台東区上野2-7-12
・JR御徒町駅北口より徒歩5分/JR上野不忍口より徒歩10分
飲食 可能(アルコールもOK)

 

新宿末廣亭

 

居酒屋やバーが軒を連ねる新宿三丁目に佇む江戸情緒たっぷりの建築物。それが新宿末廣亭です。

1897年に創業した「堀江亭」を1910年に浪曲師・末広亭清風が買い取って「末廣亭」と改名したのが始まりです。

当時は明治通りに面した繁華街にありましたが戦争で焼失し、昭和21年に現在の場所に再建されました。末廣亭は現存する最古の木造建築の寄席でもあります。

 

毎週土曜の夜に開催されている若手の落語家による「深夜寄席」も人気です。通常の興行の木戸銭(入場料)は3,000円ですが、こちらは1,000円という手ごろな価格で落語を楽しむことができます。

仕事帰りにふらりと訪れてみるのも良し、寄席が終わったあとに飲みに行くのも良し。いろいろな楽しみ方ができる演芸場です。友達と行くにはおすすめです。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 新宿末広亭(新宿末廣亭)
料金 一般:3000円
シニア(65歳~):2700円
学生:2500円
小学生:2200円
友の会会員:2500円
平日一般三十名以上:2700円
公演時間 昼の部:12:00~16:30
夜の部:17:00~21:00
入場可能時間:11:00~19:45
定休日 12月30日、31日
公式ホームページ http://www.suehirotei.com/guide.html
電話番号 03-3351-2974
所在地 ・東京都新宿区新宿3丁目6
・地下鉄丸ノ内線・新宿線新宿三丁目駅より徒歩1分
飲食 可能(アルコールNG)

 

池袋演芸場

 

1951年創業の池袋演芸場。1990年から改築による約3年の休業を挟んで、1993年から再開。

会場が地下に移されたことによって唯一地下にある定席になりました。

また、全て桟敷席(ざじきせき:一段高く作られた板の間の席)でしたが、改装により椅子席に生まれ変わりました。

池袋演芸場は他の定席と比べて木戸銭の安さが特徴です。

 

▼料金比較表(特別料金や割引き除く)

演芸場 料金
池袋演芸場 一般:2500円
学生:2000円
子供:1500円
浅草演芸ホール 大人:2800円
学生:2300円
子供:1500円
鈴本演芸場 一般:2800円
学生:2500円
子供:1500円
新宿末広亭 一般:3000円
学生:2500円
小学生:2200円

 

また、浴衣&着物割引、学生服割引、シルバー割引などの各種割引もあります。

演者の持ち時間が長いことも池袋演芸場の大きな特徴です。出演者を絞ることでひとりひとりの持ち時間を長く設定しているそうです。

好きな落語家の噺をたっぷり聴きたいという人にはぴったりの寄席です。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 池袋演芸場
料金 ●1日~20日
一般:2500円
学生:2000円
子供:1500円
<特別割引>
○浴衣&着物割引:2000円
○学生服割引(中学生・高校生対象):1500円
○シルバー割引:65歳以上2000円(証明書提示)
○親子割引:子供料金が1000円になる。●21日~30日
・昼の部
一般/学生:2000円
子供:1500円
・夜の部
日毎に料金が変わる
○親子割引:子供料金が1000円になる
公演時間 ・上席(1日~10日)
昼の部:12時開場/12時30分開演
夜の部:17時開演/終演20時30分
※特別興行を除き、昼夜入替えなし
・中席(11日~20日)
昼の部:12時開場/12時30分開演
夜の部:17時開演/終演20時30分
※特別興行を除き、昼夜入替えなし
・下席(21日~30日)
昼の部:13時30分開場/14時開演
夜の部:17時30分開場/18時開演/20時30分終演
※昼夜入替えあり
定休日 12月29日~31日
公式ホームページ http://www.ike-en.com/index2.html
電話番号 03-3971-4545
所在地 ・JR池袋駅西口から徒歩3分
飲食 可能(アルコールNG)

 

筆者に聴きました!演芸場の疑問

デートで寄席を使うのはあり?

 

Q. デートで寄席を使うのはありでしょうか?また、もし行くとしたら付き合う前の方がおすすめでしょうか?

A. デートで寄席はありだと思います。タイミングも付き合う前でも後でもかまいません。

ただ気をつけたいのが「演目や演者によって初心者にはわかりにくい場合がある」ということです。

対処法の1つとしては林家たい平(はやしや たいへい)さんや柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)さんなど、初心者にもわかりやすい落語をやっている人の独演会(落語会)に行くという手があります。

 

▼林家たい平さん

▼柳家喬太郎さん

 

もう1つの対処法はある程度演目の知識を頭に入れてから行くという楽しみ方です。

あるいは古典落語ではなく「新作落語」を演じる落語家の落語会に行くのもありです。新作落語ならコントを観ている感で知識なしで楽しめ、とてもわかりやすいです。

特に落語初心者同士のカップルであれば新作落語を観に行くのはおすすめです。

 

おすすめの席は?

 

Q. それぞれの演芸場でおすすめの席位置はありますでしょうか?また、前・真ん中・後ろで違いはあるのでしょうか?前の方の席だと笑わなかったら落語家さんからいじられそうな気がするのですが・・・。

A. それぞれの演芸場のおすすめの席位置というのはありませんが、共通しているのは、前のほうの席であればより落語家の息遣いを感じられるのでおすすめです。

細かい表情も見やすいです。ただ前の席だといじられる可能性はありますので、それが嫌な人は避けたほうがいいでしょう(ほとんどいじられることはないですが)。

笑う笑わないというのは個人の自由なので、どの席であっても違いはありません。

 

初心者におすすめの落語スポット3選

 

仕事帰りや用事のついでにふらっと立ち寄りやすいおすすめの落語スポットを紹介します。

 

1 らくごカフェ

 

古本街として有名な神田神保町にある、神田古書センターの5階に位置するのが「らくごカフェ」です。

日中はカフェとして営業していますが、夜は落語会が開催されています。

出演者はベテランから若手落語家まで多彩。

客席が約50席と小じんまりした作りなので、落語家との距離が近く、その臨場感がクセになりますよ!

 

名称 らくごカフェ
料金 ・1200円~2500円程度(落語のチケット)
・コーヒー500円
時間 ・月曜~土曜日の11時~18時はカフェタイム
定休日 ホームページ要確認
公式ホームページ https://rakugocafe.exblog.jp/
問い合わせ メール:rakugocafe@hotmail.co.jp
電話:03-6268-9818
所在地 ・東京都千代田区神田神保町2-3 神田古書センター 5F
・都営三田線・都営新宿線・半蔵門線神保町駅A6出口より徒歩1分

 

2 渋谷らくご


(引用元:渋谷らくご公式ホームページ

 

「渋谷らくご」は、渋谷区にある映画館・ユーロスペース内にあるライブホールの「ユーロライブ」で開催されている落語会です。

初心者でも気軽に立ち寄れる落語会を目指し、お笑い芸人のサンキュータツオさんを運営者として起用して、2014年11月にスタートしました。

渋谷という場所柄もあり、客層は女子率が高いので、女性でも気軽に落語を観に行ける落語新スポットです。

 

名称 渋谷らくご
料金 1000円~2500円程度
時間 要確認
定休日 要確認
公式ホームページ http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/
電話番号 0120-240-540
所在地 ・渋谷区円山町1-5 KINOHAUS
・渋谷駅より徒歩約10分

 

3 そらまち亭


(引用:そらまち亭公式ホームページ

 

スカイツリーのお膝元・東京ソラマチの7階にある、美味しい料理と楽しい落語が楽しめる居酒屋です。

店内に設置された高座で、ねぎし三平堂(初代・林家三平が遺した品々を展示している資料館)プロデュースの落語や漫才などの演芸を楽しむことができます。

どの席からも演芸が観られるようにテレビモニターが設置されているので、お酒や料理と一緒に、まるでスポーツバーのように演芸を楽しめます。

 

名称 そらまち亭
料金 1000円~5000円
時間 営業時間/11:00-23:00
寄席スケジュール/18:30~(約30分間)
定休日 年中無休
公式ホームページ http://solamachitei.jp/
電話番号 03-5809-7047
所在地 ・東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン ソラマチ7F
・東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅すぐ

 

以上、東京都内の落語が365日観られる寄席と初心者おすすめスポットでした。

次のページではおすすめの落語家を紹介します。どの落語家さんを観るか迷った時に是非、参考にしてみてください。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

落語が題材の映画・ドラマ3選 【自宅で落語鑑賞②】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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落語の楽しみ方は、落語そのものを観る・聴くだけではありません。

映画や小説など、落語を題材にした作品を観たり読んだりすることで落語の世界に触れるというのも、落語の楽しみ方のひとつです。

このページでは落語を題材にしたおすすめのエンタメ作品を紹介するので、ぜひ手に取ってみてください!

以下で紹介する作品は古典落語の知識が一切なくても楽しめる作品となっております。

 

おすすめの落語を題材にした作品3選

1 しゃべれどもしゃべれども

タイトル しゃべれども しゃべれども
公開年月 2007年5月26日
上映時間 109分
監督/脚本 平山秀幸/奥寺佐渡子
出演 国分太一/香里奈/松重豊/森永悠希/八千草薫/伊東四朗/など

「しゃべれどもしゃべれども」は佐藤多佳子さんの同名小説が原作。

 

▼小説「しゃべれどもしゃべれども」(画像クリックで商品詳細へ)

TOKIOの国分太一さん主演で映画化され、2007年に公開されて話題になりました。

 

あらすじ

 

主人公は東京の下町に住み古典落語を愛する、二つ目の落語家・今昔亭三つ葉(国分太一)。

 

▼写真右が国分太一、写真左は十河五月役の香里奈

 

落語家として伸び悩んでいた彼のもとに「落語を習いたい」「話し方を教えてもらいたい」という3人がやって来る。

口下手で無愛想な・十河五月(香里奈)、勝気ゆえにクラスになじめず大阪から引っ越してきた少年・村林優(森永悠希)、コワモテの元プロ野球選手・湯河原太一(松重豊)。

▼湯河原太一役の松重豊

 

クセのある生徒ばかりで顔を合わせると3人は言い争いが絶えず、肝心の落語も一向に覚えられない。

落語指南がうまくいかないうえに、片思いしていた女性が結婚することを知ってショックを受ける主人公三つ葉。

 

そこで「自分は落語が好きだ」と再認識した三つ葉は、師匠の十八番である古典落語の演目「火焔太鼓(かえんだいこ)」への挑戦を決意する。

徐々に落語を話せるようになっていく生徒たちと、「火焔太鼓」の成功(=上手く喋りきるのはもちろんですが、師匠の真似事ではなく、自分ならではの「火焔太鼓」を演じるということ)を目指す三つ葉。果たしてそれぞれの思いは伝わるのか・・・。

 

みどころ

 

まさに落語の登場人物のような、一癖も二癖もある人たちの奮闘が、心にグッとくる感動をもたらします。

 

落語好きから見た国分太一さんの落語

 

当ページで紹介する作品の中で、最もプロの落語家に近い落語を演じている俳優が国分さんだと思います。正直、その上手さに驚きました。

笑わせてやろうという気負いがなく、その張りのある声と端正な語り口が光る「火焔太鼓」は思わず聴き入ってしまいます。

前半の下手に演じる落語と、クライマックスの「火焔太鼓」のレベルの落差に注目です。最後の「火焔太鼓」は圧巻の一言です。

 

 

2 ねぼけ

(引用元:http://neboke.info/)

タイトル ねぼけ
公開年月 2015年9月5日
上映時間 111分
監督・脚本 壱岐紀仁
出演 友部康志/村上真希/入船亭扇遊/大竹佳那/秋山勇次/など

▲予告編

 

「ねぼけ」は、クラウドファンディングの成功によって完成した映画です。

2017年にモントリオール世界映画祭で絶賛され、現地でアンコール上映を果たすほど話題となった映画です。

 

あらすじ

 

酒や女にうつつを抜かす、うだつのあがらない落語家・三語郎(友部康志)。

落語に本気になれず、自堕落な日々を送る三五郎は、当然稼ぎもない。

 

健気に三五郎を支える恋人の真海は三五郎との結婚を願っているが、二人の気持ちはすれ違うばかりでうまくいかない。

師匠である点雲も心配して叱咤激励するが三語郎には届かず、逃げまくったあげくに弟分の彼女にまで手を出してしまう。

 

何もかも思い通りにいかないことに苛立ちを募らせた三五郎は真海に当たってしまい、あまりのショックに真海は三語郎の前から忽然と姿を消してしまう。

失って初めて真海の存在の大切さに気づき、覚悟を決めて彼女の故郷へ向かう。

 

そして三五郎は神話の伝わる海辺で真海の秘められた過去を初めて知ることになる・・・。

 

みどころ

 

観ていて三語楼のあまりのダメ人間ぶりに腹が立ったのですが、その姿がどこか自分と重なり胸が締めつけられました。

人間は誰もがダメな部分を抱えながら必死で生きていて、周りの人に迷惑をかけてしまってどうしようもないんだけれど「それはそれで良し」という優しい落語の世界観に癒される作品。

「ねぼけ」は師匠役の入船亭扇遊さんの落語が見せ場なので、主役の友部さんによる落語の見せ場は特にありません。

ただ友部さんの愛嬌のあるしぐさや表情は抜群で、滑稽噺をやらせたらプロの落語家も顔負けの落語を披露するのではないかと思いました。

 

3 タイガー&ドラゴン

タイトル タイガー&ドラゴン
放送時間 金曜日22:00~22:54
放送期間 2005年4月15日~6月24日(全11回)
脚本 宮藤官九郎
出演 長瀬智也/岡田准一/西田敏行/銀粉蝶/安部サダヨ/など

 ※以上は2005年に放映された連続ドラマの詳細

 

『タイガー&ドラゴン』は、TOKIOの長瀬智也さんとV6の岡田准一さん主演のテレビドラマで、脚本はクドカンこと宮藤官九郎さんが担当。

ヤクザ兼落語家の男と元天才落語家の男。超個性的な2人を中心に展開する人情コメディの傑作です。

 

あらすじ

 

ヤクザの山崎虎児(長瀬智也)は子供の頃に両親が借金苦で自殺したことで「笑い」を忘れてしまった。

 

▼写真左、山崎虎児役の長瀬智也。写真右、谷中竜二役の岡田准一

 

ある日虎児は、浅草で落語家・林屋亭どん兵衛(西田敏行)の高座を偶然聴いて感動し、弟子入りを志願する。

 

▼林屋亭どん兵衛役の西田敏行

 

虎児が所属する組の組長から400万円の借金をしていたどん兵衛は虎児が落語の演目をひとつ習得するごとに10万円の授業料をもらい、それを「返済金」として虎児に支払うという奇妙な契約を交わす。

 

 

落語家とヤクザという二足のわらじを履く生活を始めた虎児だが、とにかく笑いの才能がなくてどうにもならない。

 

そんなとき、かつて落語の天才と呼ばれたどん兵衛の次男・谷中竜二(岡田准一)と出会う。

竜二はとある事件がきっかけで落語家を廃業し、今は裏原宿で売れない洋服店「ドラゴンソーダ」を経営しているが落語の腕は衰えていない・・・。

 

みどころ

 

どん兵衛が寄席の高座で演じる落語の演目と、リアルの話がうまくリンクするという構成が実に秀逸で落語のおもしろさとドラマとしてのおもしろさの両方を味わえる作品です。

落語をモチーフにした作品の中では、個人的には『タイガー&ドラゴン』が一番おすすめの作品です!

タイガー&ドラゴンは古典落語を好きになれる内容だと思います!

 

落語好きから見た長瀬智也さんと岡田准一さんの落語

 

岡田さんの落語は普通ですが、長瀬さんの落語はヤクザという役柄もありますが迫力が圧倒的です。長瀬さんならではの「眼ヂカラ」で、登場人物それぞれにパワーが宿り、子供を演じても女性を演じても、長瀬さんの独特の男らしさが反映されているところが非常に興味深くて面白いです。

決して器用な落語ではありませんが、落語界に生きる人々が実にイキイキと描写されているところは必見だと思います。プロの落語家でもなかなかこの迫力は出せないのではないでしょうか。

 

 

この第3章では落語の鑑賞方法についてお伝えしてきました。寄席で生の醍醐味を感じていただきたいですが、まずは気軽に自宅で楽しんでみてはどうでしょうか。

次のページから第4章です。第4章では落語の名人を紹介します。

落語は同じ演目でも演じ手によって全く違うものに見えます。ぜひ、お気に入りの名人の方を見つけてみてください。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

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目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから