読んで楽しい落語の演目と知識 ~人気の演目から泣ける演目まで~

著者:なかむら治彦

本業は4コマ漫画家兼イラストレーター。学生時代から筋金入りの落語ファン。1998年「第1回新作落語大賞」に落語脚本を投稿し、大賞を受賞。その後は「尾張家はじめ」のペンネームで落語作家兼ライターを副業に。著書は『落語まんが寄席』(新星出版社)他。お問い合わせはこちらから

 

落語の演目数は数えきれないほど。そんな落語をいざ聴こうと思っても何を聴いたらいいかわからない・・・

そんなあなたに好みにピッタリと合った落語演目をご紹介!落語を聴く上で知っておくといい知識も大公開!読めば落語にハマる事間違い無し!!

 

はじめに

落語の脚本も手掛ける落語ファンの著者。「最初に聴く落語」について語ります・・・

はじめに ~落語の入口は百人百様~

 

第1章 落語の定番

まずは定番の落語、そして知っておくと落語をもっと楽しめる基礎知識をご紹介。皆が知っているあのギャグフレーズも落語から誕生していた!?

落語と言えばこの5つ! 【定番ギャグと「笑点」の落語】

落語を100倍楽しむ為の基礎知識 【職業・旅・お金】

落語を100倍楽しむ為の基礎知識 【キャラクター】

 

第2章 とにかく笑える落語演目集

落語と言えば「笑い」。でも笑える落語と言っても数は膨大で、さらにジャンルも様々。著者が厳選するあなたにピッタリの爆笑落語・滑稽噺を聴いてみましょう!

落語で笑おう!おすすめ演目29選 【爆笑編】

落語で笑おう!おすすめ演目26選 【あるある編】

 

第3章 色んなジャンルの落語演目集

落語は笑えるもの。でもそれだけではありません!デートで聴くのに良さそうな「恋愛」がテーマの落語やハラハラドキドキする落語、そして泣けるドラマチックな落語まで!おすすめ演目をご覧ください!

落語で恋愛!?感動する演目24選

ハラハラする落語!おすすめ演目25選

ドラマチックな落語!おすすめ演目14選

 

第4章 落語をもっと楽しむ

ブームとなりつつある落語。落語がテーマになっている映画・ドラマ・舞台は数知れず。なんとあの宝塚歌劇団まで落語をテーマに演じているのです。

落語が題材になった映画・ドラマ・舞台

 

落語で笑おう!おすすめ演目29選 【爆笑編】

Webon紹介目次著者
落語の演目数は数えきれないほど。そんな落語をいざ聴こうと思っても何を聴いたらいいかわからない・・・そんなあなたに好みにピッタリと合った落語演目をご紹介!落語を聴く上で知っておくといい知識も大公開!読めば落語にハマる事間違い無し!!

『読んで楽しい落語の演目と知識 ~人気の演目から泣ける演目まで~』はこちらから!

著者:なかむら治彦

本業は4コマ漫画家兼イラストレーター。学生時代から筋金入りの落語ファン。1998年「第1回新作落語大賞」に落語脚本を投稿し、大賞を受賞。その後は「尾張家はじめ」のペンネームで落語作家兼ライターを副業に。現在、隔月パズル雑誌『漢字道』(イード)で落語4コマを連載中。著書は『落語まんが寄席』(新星出版社)他。

お問い合わせはこちらから

 

『落語の演目と知識』目次へ  (全10ページ)

 

落語のストーリーには多かれ少なかれ、笑える要素が盛り込まれています。中でもとりわけ笑いの要素が強い落語を「滑稽噺(こっけいばなし)」という呼び方で分類します。

このページでは、数ある滑稽噺の中から、何も考えずにとにかく笑える内容の演目を次々に紹介してまいりましょう。

 

ドタバタ系滑稽噺

 

ここでいうドタバタ系滑稽噺とは、ストーリーの中でドタバタ要素が徐々に積み重なり、クライマックスで最も笑いが大きくなる、さながら喜劇の舞台のような落語のことです。

喜劇がお好きな方はドタバタ系滑稽噺の演目を聴いてみるといいでしょう。

 

 

そんなドタバタ系滑稽噺の中で身振り手振りのオーバーアクションで笑わせる落語演目をまずは5つご紹介していきます。

 

1.ちりとてちん

~あらすじ~

知ったかぶりで何でも通な感じを出す男に対して何人かの若い男たちが腐った豆腐を食わせてやろうと企む。腐った豆腐を騙して食わせて、知ったかぶり男は苦悶の表情を浮かべるが・・・

~概要~

江戸(東京)では「酢豆腐」と呼ばれる演目。NHK朝ドラ「ちりとてちん」の由来の一つとなった演目。

【著者談】『ちりとてちん』はここがポイント!

知ったかぶりで自慢たらしい男がこらしめられる図式は、ドラマの勧善懲悪に通じます。要は落語版『スカッとジャパン』です。

※スカッとジャパン・・・フジTVで放映中(2019年3月時点)のドラマ型バラエティ番組

最大の笑い所はクライマックスの七転八倒する表情。ここだけ切り取られると、聴いてない人には絶対「いじめだ」なんだと誤解されそうですが。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

audible・・・プロナレーターの朗読配信サービス。落語も豊富。1冊無料お試しあり。
spotify・・・音楽ストリーミングサービス。無料。(有料版有)
落語のすゝめ・・・落語専門ストリーミングサービス。月額648円。

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

2.反対俥(はんたいぐるま)

~あらすじ~

終電に間に合うように駅に行きたい男が人力車をつかまえる。最初は病弱な男が引く人力車をつかまえる。駅までいけないばかりか時間を食ってしまってさらに急いで駅までいかなければならなくなる。次の人力車は速そうな男をつかまえる事に成功。急いで人力車を走らせてもらい駅に着くが、その人力車を引く男はスピードが速過ぎてあっという間に目的駅を通り越しており遠くの駅に着いてしまう・・・

~概要~

江戸落語(東京)では『反対俥』だが上方落語(関西)では『いらち俥』という名で呼ばれる演目。目的地を通り過ぎてたどり着く地名は落語家によってまちまち。

【著者談】『反対俥』はここがポイント!

弱弱しい人力車夫が登場する前半と、超人レベルで脚の速い人力車夫が登場する後半の対比です。加えて後半はひたすらわかりやすいアクションギャグです。光景が想像できたらなお楽しめます。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

3.たいこ腹

~あらすじ~

とあるお店の若旦那が鍼(はり)治療を習ったので試しに誰かに治療をしてみたくなる。その白羽の矢が幇間(ほうかん:お座敷などで場を盛り上げる芸人)の男へ立つ。しかしその幇間は何度もその若旦那に大変な思いをさせられてきた事を思い出し今回の鍼治療も大変な事になるのではないかとドキドキするが・・・

~概要~

春風亭小朝が若い頃に得意とした演目。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

4.四人癖

~あらすじ~

癖を持つ4人の男が互いの癖を直そうとする。鼻の下をこする癖、目をこする癖、こぶしで手のひらを叩く癖、着物の袖口を引く癖がそれぞれにある。

~概要~

多くの落語家が演じる演目。『二人癖』という演目もある。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

5.手水(ちょうず)廻し

~あらすじ~

ある宿に大阪からお客さんが泊まりに来る。そのお客さんは朝、宿の従業員に「ちょうずを廻してほしい」と言う。しかし従業員や宿にいる人間は「ちょうず」がどのようなものかわからず「長頭(ちょうず)」と勘違いしてしまう・・・

~概要~

大阪の方言で「手水(ちょうず)」とは洗面道具の事。つまり「手水を廻してほしい」とは洗面道具を貸して欲しいという意味。この演目は方言が分かっていないといけないからか、関西(上方落語)で演じられる。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

これらの演目が、爆笑落語としてはおなじみです。

上記以外のドタバタ系滑稽噺として代表的なものを以下に4つ挙げます。

 

6.寄合酒

~あらすじ~

ある男がみんなで集まってお酒を飲もうと思いつく。しかし金がないので集まったそれぞれに酒の肴を持ち寄ってもらって宴会を開こうとする。しかし皆料理が苦手な男ばかりで持ち寄ったものがとんでもないものばかりになってしまう・・・

~概要~

寄合酒は「ん廻し(別名:運廻し)」という演目の前半部分。後半部分は「田楽喰い」という演目。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

7.猫と金魚

~あらすじ~

金魚鉢で飼っている金魚が猫に狙われていると思った主人(旦那)が番頭に対して「猫を追っ払ってくれ」と頼むがなかなか番頭が上手くやってくれず・・・

~概要~

世界初の落語専門作家となった高見沢路直(PN・高沢路亭、のちの漫画家・田河水泡)が作った新作落語。落語家の初代柳家権太楼(しょだい やなぎや ごんたろう)が演じる事で広まったと言われる。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

8.代書屋

~あらすじ~

代書屋に字が書けない男が履歴書を書いてほしいと頼みにくる。代書屋がその男の代わりに履歴書を書いてやろうとするが、代書屋の質問に対してとんちんかんな答えしか返ってこないので代書屋は困り果てる・・・

~概要~

上方落語の四代目桂米団治が、自身の体験をもとにして1930年代に創作した。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

9.軒付け

~あらすじ~

ある浄瑠璃好きの男が軒付けをしようとする。軒付けとは浄瑠璃が好きな人の家に行き、浄瑠璃を軒(のき)の下で披露する事である。いざ軒付けをしようとするが浄瑠璃に必要な三味線の伴走者が来ておらず・・・

~概要~

関西で演じられる演目。(上方落語)

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

これら9の演目が、滑稽噺の代表格でしょう。

ここで紹介した演目は確実に爆笑が取れるため演者も多く、寄席でよく聴けます。

ただし『5.手水廻し』と『9.軒付け』は上方落語(関西の落語)で、東京の落語家は演じません。

 

江戸落語と上方落語

落語は「上方落語」「江戸落語」で分けることができ、両者は「言葉遣い」や「演出」などが違う。例えば同じ内容の演目でもタイトルが違ったりする。

▼江戸と上方の違い一覧

江戸落語 上方落語
発祥地 江戸 関西(上方)
階級制度 見習い→前座→二つ目→真打ち なし
言葉 江戸弁 関西弁
道具 扇子・手ぬぐい 扇子・手ぬぐい・見台・ひざ隠し・小拍子
噺の演出の特徴 特になし ハメモノが入る演目が多い
江戸落語と上方落語について詳しくは「落語初心者入門」で! 江戸落語と上方落語について詳しくは「落語初心者入門」で!

 

著者のおすすめ!

 

Q. ドタバタ系滑稽噺の中で一番好きな演目はどれですか?

A. 自分が好きな落語と言いますか、笑える落語は全部好きですので、落語初心者に勧めることを前提に考えますと、設定がわかりやすいのは『1.ちりとてちん』ですね。

あと、ドタバタ系ではその光景が容易に想像できることも笑いを倍化する要素ですので、その意味では『7.猫と金魚』もいいかもしれません。

『猫と金魚』はギャグアニメのように軽快なテンポで進行する落語なので、おのおのの頭の中で自分なりのアニメキャラを動かしてもらえればよいかと思います。

 

▼ちりとてちんを聴く

amazonで探す  楽天で探す

 

▼猫と金魚を聴く

amazonで探す  楽天で探す

 

マシンガン系滑稽噺

 

ここでいうマシンガン系滑稽噺とは、テンポのよいギャグがマシンガンのごとく連続する落語のことです。

登場人物が一人ないし二人で進行することが多いため、ギャグの量が漫才並みに多いのが特徴です。

マシンガン系滑稽噺と漫才の共通点は「笑わせ所の数とテンポの早さ」です。

漫才がお好きな方は以下に紹介する演目を聴いてみると楽しめるかもしれません。

 

まずは新作落語を7つご紹介していきます。

 

古典落語と新作落語

古典落語と新作落語の定義は諸説あるため、一概には言えませんが、理解しやすい基準としましては、作者が明確なのが新作落語で、長年にわたり不特定多数の作者の手が加わって出来上がったのが古典落語という考え方です。

その一方で、一代限りで演者が途絶えるのが新作落語、何代もの演者によって口伝され継承されるのが古典落語、という考え方もあります。その意味では、昭和に完成した新作落語の中にも、多くの演者に受け継がれて既に古典化した演目もあります。2015年に亡くなった桂米朝師匠が1950年代に自作した新作落語『一文笛』などはその好例でしょう。

 

10.結婚式風景

~あらすじ~

とある結婚式で仲人や来賓がスピーチをするがそのスピーチがめちゃくちゃなものばかり・・・

~概要~

春風亭柳昇(しゅんぷうてい りゅうしょう:故人)師匠の自作。春風亭柳昇師匠は1960年代から2000年ごろまで活躍した落語家。

『結婚式風景』はここがポイント!

結婚式のスピーチを徹底的にギャグにしています。パロディ構造(結婚式のスピーチのパロディ)は無条件に笑えるものです。

聴く人の脳内にスピーチとはどんなものかの情報がインプットされていればより楽しめるでしょう。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

11.金満家族

~あらすじ~

お金が使いきれず困っている家族のところへ、またお金が入ってきて途方に暮れる・・・

~概要~

『結婚式風景』を作った柳昇師匠の弟子にあたる昔昔亭桃太郎(せきせきてい ももたろう)師匠の自作。

『金満家族』はここがポイント!

この演目もいわば現実のパロディです。例えて言えば、ドリフターズの「もしもこんな○○があったら?」の落語版ですね。あまりに非現実的すぎて笑ってしまうという感じです。

▼ドリフターズ

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

12.受験家族

~あらすじ~

浪人している息子の受験の日。息子の受験からの帰りを父親と母親は待つが話しをしているうちに息子のできの悪さがお互いのせいだと言い合いになる・・・

~概要~

昔昔亭桃太郎(せきせきてい ももたろう)師匠の自作。ファンでも聞いた事がある人が少ないと言われる。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

13.お見合い中

~あらすじ~

何度もお見合いに失敗してきた男「ジミカワ テツオ」がまたお見合いをすることに。次のお見合い相手は何でも派手な女性。全く趣味が合わず、会話も噛み合わないが・・・

~概要~

昔昔亭桃太郎(せきせきてい ももたろう)師匠の自作。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

14.宴会の花道

~あらすじ~

会社の宴会シーズン。いつも宴会では飲めない人も上司に飲まされる。そして飲まされた挙句吐きそうになると「吐くな」と怒られる。そこで飲めない男が「次は好きなお酒ではなく好きな食べ物を持ち寄って宴会をしよう」と提案し、それが採用されるが・・・

~概要~

昔昔亭桃太郎師匠と同じく柳昇門下で『笑点』の司会者として知られる春風亭昇太(しゅんぷうてい しょうた)師匠の自作。

▼春風亭昇太氏

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

15.力士の春

~あらすじ~

相撲大好き両親から貴乃花の名前をとって「貴の爪」と名付けられた息子。貴の爪を関取にしようと両親は相撲教育を始めるが・・・

~概要~

春風亭昇太師匠の新作落語。この落語を原作にした絵本も発売された。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

16.愛犬チャッピー

~あらすじ~

「チャッピー」と名付けられた柴犬の目線で主人との生活を語る。人間の勝手な言動に本音でツッコミを入れるチャッピーだが・・・

~概要~

春風亭昇太師匠の新作落語。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

続いて古典落語のマシンガン系滑稽噺を4つご紹介します。

 

17.堀の内

~あらすじ~

慌て者の男が自分のそそっかしさを信仰心で直そうと毎日堀の内にあるお寺へ参拝する事を妻と決める。そして早速堀の内のお寺まで行こうとするのだが道中そそっかしすぎてなかなか参拝が始まらない・・・

~概要~

そそっかしい男のエピソード集のような話。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

18.大安売り

~あらすじ~

街で若い衆が前から歩いてきた相撲取りへ声をかける。「関取さん、この前の場所はどうだった?」「勝ったり負けたりです。」このように会話が始まるがよくよく聞いてみると・・・

~概要~

テレビタレントとしても有名な六代目桂文枝(かつらぶんし)もかつて演じていた。

▼六代目 桂文枝

By Ogiyoshisan投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

19.色事根問

~あらすじ~

もてない男がモテ方を聞きに行く。一つ一つモテる条件を教えてもらうが自分にはどれも当てはまらない・・・

~概要~

関西で演じられる事が多い上方落語。『稽古屋』という噺の前半部分がこの演目。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

また、春になると寄席で必ず演じられる『長屋の花見』は、登場人物こそ多数ですが(2人の掛け合いではないですが)ギャグの連射具合では引けを取りません。

 

20.長屋の花見

~あらすじ~

お金の無い連中が花見をしようと思い立つ。いざ花見に来てみるとお金持ちの連中がいて、彼らとの落差に消沈する。そこで喧嘩をしているふりをしてお金持ちを追っ払い、その隙に食べ物や酒を奪う策略を考え付くが、喧嘩のフリのつもりが本当に喧嘩になってしまう・・・

~概要~

上方落語では「貧乏花見」という名前の演目。短縮して演じられたり、オチ(サゲ)がいくつかあったりする。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

著者のおすすめ!

Q. マシンガン系滑稽噺の中で一番好きな演目はどれですか?

A. 春風亭昇太師匠の新作『15.力士の春』または『16.愛犬チャッピー』でしょうか。初心者が誰にするか迷ったら「とりあえず知っている人から」といつも伝えています。(昇太師匠が『笑点』の司会者であることを知っている前提で書いていますが)

両方とも10分弱の短い落語なので、聴きやすいと思います。

 

▼力士の春を聴く

amazonで探す  楽天で探す

 

▼愛犬チャッピーを聴く

amazonで探す  楽天で探す

 

リズムネタ系滑稽噺

 

リズムネタ芸は現在のテレビでよく見かけますが、古典落語にもリズムネタと呼べる演目は存在します。

 

【コラム】リズムネタ系とは

リズムネタの定義の前に、かいつまんで落語を「上手く口演する」ということと、それを聴いて何を「上手い」と評価するかの関係についてご説明します。

落語は言葉を使う芸ですので、たとえばスラスラしゃべるのと、噛み噛みでしゃべるのとでは聴く側の印象度が天地ほど違います。かといって、早口すぎても聴く側に意味が伝わらないのでよくありません。

心地よいスピードで、イントネーションも明確で、さらに声のトーンの耳あたりがよいのが理想形です。これに落語の場合は「お話の内容」が加わりますから、前記の3つのポイントを上手にこなして「お話の内容」を伝えられる人が、すなわち優れた落語家さんとなるわけです。

以上をふまえまして、「リズムネタとは」です。

名人や達人と呼ばれる落語家さんは、いずれもスピードとイントネーションとトーンが優れていて、聴いていると音楽のBGMのような心地よさを感じられます。

加えて、落語では言葉を繰り返す演目と、息もつかずに言葉を一気に長々としゃべる「言い立て」と呼ばれる部分を含む演目があります。

『日本語ラップ』を想像して頂ければ、共通点が見つかると思いますが、心地よさから派生するリラックス感、そしてそこに盛り込まれる言葉や仕草のちょっとしたギャグが、笑いにつながるのです。

これから紹介する演目でいうと、前者(言葉を繰り返す演目)が『松竹梅』『高砂や』『平林』『紙屑屋』で、後者(「言い立て」と呼ばれる部分を含む演目)には『がまの油』が該当します。

それ以外に、『豊竹屋』は浄瑠璃と三味線の物真似で、浄瑠璃自体にメロディーがあります。

また『小言念仏』『夢八』はお話自体がリズムをきざんでいるので、聴いていてリズムと言葉や仕草が同化する楽しさを感じられます。

他にも三味線や太鼓によるお囃子をBGMにした落語も上方(関西)には数十種類あり、これなどはそのものズバリ、楽器演奏のリズムを使ったネタですが、カテゴリーが増えすぎるため今回は省略しました。

以上のように、聴いて心地よさを感じる落語の種類は多岐にわたり、分類すれば内容は全然違いますが、今回はこれらの演目を「リズムネタ系」ということですべてひとまとめにした次第です。

 

21.がまの油

~あらすじ~

がまの油を売る男が口上を演じる。怪しい口上ではあるがその口上で大儲けした男は飲み屋でべろべろになる。帰りがけに橋の上で口上を始めるが酔っている為変な口上を演じてしまう・・・

~概要~

元々は『両国八景』という長編落語の後半部分。ちなみに「がまの油」とは江戸時代に売られた傷などに塗る軟膏。「がま」はガマガエルの事だが「がまの油」の主成分はワセリン。

『がまの油』はここがポイント!

前述(コラム)のように息もつかずに言葉を一気に長々としゃべる「言い立て」が特徴的です。がまの油売りの口上は、笑いとは別に話芸としても聴く価値があります。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

22.松竹梅

~あらすじ~

松五郎、梅吉、竹蔵という3人が出入り先(取引先のようなもの)のお店の娘の結婚式に「名前がめでたい」という事で呼ばれた。飲み食いするだけでは失礼だと思い、何かを披露しようと考えるが・・・

~概要~

現・笑点メンバー林家木久扇(はやしや きくおう)も演じる。

『松竹梅』はここがポイント!

謡曲とか、お座敷で結婚式の余興をする生活習慣とか、現代の人には想像しにくいかもしれませんが、時代劇映画のコメディシーンと思って聴いてもらえれば楽しめるかもしれません。「昔の長屋の婚礼はこんな感じだったのか」と想像しつつ。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

23.高砂や

~あらすじ~

もの知らずな男「八五郎」が結婚式の仲人を任されてしまう。着る服も無いので隠居に着物を借りにいったところ「ご祝儀として『高砂や』を歌うといい」と言われ教えてもらうが・・・

~概要~

『松竹梅』と同様に教えてもらった歌を歌う、という噺。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

24.豊竹屋

~あらすじ~

なんでもかんでも出来事を即興で義太夫節にしてしまう「豊竹屋節右衛門(とよたけや ふしえもん)」という男がいた。そこへどんな節(ふし:義太夫節)にも即興で口三味線(くちじゃみせん:口で三味線を真似る)ができる男が現れる・・・

~概要~

別題『豊竹屋節右衛門(とよたけや ふしえもん)』『節右衛門』。義太夫(義太夫節)とは浄瑠璃の一種で節をつけて語るもの。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

25.小言念仏

~あらすじ~

主人公の老人が仏前で念仏を唱える。その念仏の合間に「小言」を挟む。ついには妻に念仏の合間に頼み事をしだす・・・

~概要~

ストーリーがあるわけではなく様々な念仏の様子を演じる演目。落語家は扇子で台や床を叩き、木魚(もくぎょ:念仏の際に叩く木製の道具)に見立てながら演じる。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

26.夢八

~あらすじ~

いつも夢ばかり見ている八兵衛、通称夢八のもとへ「そこにいるだけでいい仕事」が舞い込む。そんないい話は無いと二つ返事で仕事を引き受ける夢八だったが実はその仕事には裏があった・・・

~概要~

別題『夢見の八兵衛』。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

以下、紹介する『平林』『紙屑屋』(別題『浮かれの屑より』)は同じ言葉を連発しているうちに言葉のリズムが快感になって、それが次第に笑いを生みます。

 

27.平林

~あらすじ~

とあるお店の丁稚(でっち:使い走り)が平林(ひらばやし)さんの家に手紙を届けてくれと頼まれる。行先を忘れないように「ヒラバヤシ、ヒラバヤシ、、」と唱えながら歩くがひょんなことで名前を忘れてしまう。手紙を読もうにも字が読めない丁稚は道行く人に字を読んでもらうが「それはタイラバヤシだよ」と言われてしまう・・・

~概要~

別題『字違い(じちがい)』『名違い(なちがい)』。オチ(サゲ)にはいくつかのバリエーションがある。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

28.紙屑屋(別題:浮かれの屑より)

~あらすじ~

道楽ばかりしているため勘当された若旦那が出入り先(取引先のようなもの)の棟梁(大工)に居候をしている。居候先でも遊んでばかりいるため紙屑屋(古紙回収業)に働きに行かされる。しかしその紙屑屋でも紙屑の仕訳をしている時に歌い出してしまい・・・

~概要~

上方落語(関西)では別題『浮かれの屑より』『天下一浮かれの屑より』。関西(上方)で演じられる時には演出が変わったりする。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

さらに以下の『野ざらし』のように途中で歌が入る演目を含めれば、リズムネタ系落語は結構な数に及びます。

 

29.野ざらし

~あらすじ~

夜、八五郎の隣の部屋に住む女性が嫌いな清十郎の部屋から女の声が聞こえてくる。次の日清十郎に問いただしてみると「あれは幽霊だ」と言う。清十郎が言うには川で釣りをしていたところ頭蓋骨が落ちていたため酒をかけたら夜にその頭蓋骨の幽霊が訪ねて来たらしい。八五郎は幽霊でも綺麗な女性ならと川に頭蓋骨を探しにいくがなかなか見つからない・・・

~概要~

別題『手向の酒(たむけのさけ)』、上方落語(関西)では『骨釣り(こつつり)』と呼ばれる。骨釣りは野ざらしを元に構成されており、根本は同じだが少し話が異なる。

▼視聴アプリ・サービス

audible spotify 落語のすゝめ

▼amazon/楽天で視聴(検索結果へ)

amazonで探す  楽天で探す

 

著者のおすすめ!

Q. リズムネタ系滑稽噺の中で初心者におすすめするとしたらどの演目ですか?

A. 落語初心者に勧めることを考えれば『21.がまの油』でしょうか。

大道芸の口上のすごさと、ストーリー構造のわかりやすさ(後半が前半のパロディになっている)は、初心者にも楽しんでもらえると思います。

 

▼がまの油を聴く

amazonで探す  楽天で探す

 

滑稽噺を聴くベストシチュエーション

 

最後に、ギャグ系落語を聴くにあたって、ベストのシチュエーションをお教えしましょう。

最もオススメなのは、寄席やホールの落語会で、大勢の人と一緒にライブで聴くことです。

生の落語に慣れない人は、始めこそ緊張が勝ってしまいがちですが、それでも生の落語を聴いて他の客と一斉に笑う気持ちよさは、動画サイトを見て一人で笑うのとは比較になりません。

特にリズムネタ系はライブの方が余計に楽しめるはずです。

なぜなら同じリズムに乗るにしても「集中力の度合」が違うのです。

映画や演劇を見る時、小さい画面で見るのと、目の前に広がる大空間を大音量で見るのとでは、見る側の「集中力」に大きな違いが出ます。

落語もそれと同様で、集中力が違えば高揚感も変わりますから、生でリズムとテンポのよいしゃべりを聴くと一層気持ちよくなってくるわけです。

 

 

おすすめ落語家【爆笑編】

 

現役で「爆笑派」と呼ばれる落語家さんを順不同で紹介しますと、まずマシンガン系の横綱格が2019年3月に四代目を襲名した三遊亭円歌(さんゆうてい えんか)師匠(旧名・三遊亭歌之介)。

 

▼四代目 三遊亭円歌

 

他にも爆笑派のおすすめ落語家さんは柳家権太楼師匠、三遊亭小遊三師匠、柳家喬太郎師匠、三遊亭白鳥師匠、三遊亭兼好師匠、笑福亭鶴光師匠、笑福亭福笑師匠、桂雀々師匠等々、ここには書き切れないほどいます。

もしあなたの家の近所の市民会館やホールに、ここで挙げた落語家さんが出演する落語会がありましたら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

以上、笑えるおすすめ落語演目【爆笑編】でした。

次のページでは笑えるおすすめ落語演目【あるある編】を紹介します。

『落語の演目と知識』目次へ  (全10ページ)



スポンサーリンク

目次著者

著者:なかむら治彦

本業は4コマ漫画家兼イラストレーター。学生時代から筋金入りの落語ファン。1998年「第1回新作落語大賞」に落語脚本を投稿し、大賞を受賞。その後は「尾張家はじめ」のペンネームで落語作家兼ライターを副業に。現在、隔月パズル雑誌『漢字道』(イード)で落語4コマを連載中。著書は『落語まんが寄席』(新星出版社)他。

お問い合わせはこちらから

関連Webon

十代目 柳家小三治 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

次のページではマクラが面白いと評判で「マクラの小三治」と呼ばれる「十代目 柳家小三治(やなぎや こさんじ)」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

十代目 柳家小三治とは

名前 十代目 柳家小三治(やなぎやこさんじ)
本名 郡山 剛蔵(こおりやま たけぞう)
生年月日 1939年(昭和14年)12月17日
弟子 ・7代目 柳亭 燕路 (林家彦六賞を受賞)
・柳家三三(芸術選奨新人賞(大衆芸能部門)受賞)
マクラが面白い落語家として有名で「マクラの小三治」と称される。1998年に小三治のマクラのみを集めた書籍「ま・く・ら」が出版されている。2014年には人間国宝に認定。芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章などの受賞歴を持つ。落語協会会長を務める。

 

略歴

 

学生時代から落語が大好きだったという小三治さん。高校時代にはラジオ東京の『しろうと寄席』で落語を演じ、15回連続の審査合格という快挙を果たしたそうです。

高校卒業後の1959年(20歳になる年)、のちに落語界初の人間国宝となる五代目 柳家小さん(やんぎや こさん)に入門。前座名「小たけ(こたけ)」を名乗ります。

 

▼師匠の五代目柳家小さん


▼柳家小さんの紹介は前ページにて!

 

 

1963年(24歳の年)に二つ目昇進を果たし「さん治」となります。

1969年(27歳の年)、17人抜きで真打昇進を果すとともに「十代目 柳家小三治(やなぎや こさんじ)」を襲名。

 

▼落語家の階級

落語家の階級について詳しくは第1章で!(現在第4章)

 

2010年(68歳の年)、 落語協会会長就任。四年間務めたのち、会長の座から勇退します。

2014年(72歳の年)、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されます。

存命する唯一の人間国宝の落語家であり「最後の名人」とも称される小三治さん。

飄々とした表情でぶっきら棒にしゃべる語り口や、芸に厳しい姿勢などもあり、「孤高の落語家」とも呼ばれています。

 

十代目柳家小三治のココがすごい!

① マクラが抜群に面白い

 

小三治さんは「マクラの小三治」と呼ばれているほど、マクラ(落語の導入部分で話すその落語家が考える小噺)が面白い落語家として有名です。

一般的にマクラは5分~15分程度ですが小三治さんのマクラはとにかく長く、1時間マクラをしゃべって落語は10~15分、ということもよくあります。

マクラだけしゃべって落語はやらないということもあり「落語が聴きたいのに関係のない話ばっかりして!」と怒るお客さんがいるのも事実ですが、そういうスタイルの小三治さんが好きというファンも多くいます。

フォークシンガーのなぎら健壱さんは小三治さんのマクラについて「もはや即興の新作落語」と言っていますが、まさにマクラそれ自体が落語一席に値するほどの「芸」になっているとも言える「究極のマクラ」です。

 

なぎら健壱

1952年生まれの日本のフォークシンガー。タレントとしても活動し「おつだねー」というフレーズがよくものまねされていた。

 

ちなみに小三治さんは1996年にトークだけをおさめた『めりけん留学奮戦記』『ニューヨークひとりある記』『玉子かけ御飯』という、3枚の随談(ずいだん:随筆風に気軽に話す話)CDを出しています。

 

⚫柳家小三治トークショー 1 ~めりけん留学奮戦記[CD]

⚫柳家小三治トークショー 2 ~ニューヨークひとりある記[CD]

⚫柳家小三治トークショー 3 ~玉子かけ御飯[CD]

⚫ま・く・ら (講談社文庫)

 

「ま・く・ら」は、小三治さんのマクラや随談のみを集めた書籍です。1998年に出版され、大ヒットしました。

② 可愛さを描く達人

 

小三治さんが演じる人々は、とにかく「可愛さ」があります。

特別に面白い台詞をいっているわけではないのに、その自然体の可愛らしさになぜか笑ってしまうのです。

考えごとをするときの仕草、驚いたときの表情、ちょっとした視線の動きなど、日常生活の中で誰もがやっている普通の言動なのに、なぜかとても可愛く見えて思わず笑ってしまうのです。

 

小三治さんの十八番に『長短(ちょうたん)』という演目があります。

これは、気の長い男(長七)が気の短い男(短七)の家を訪ねる噺で、何事もテンポよく進めたい短七が、長七のマイペースに調子を狂わされて焦れる様が面白い落語です。

この2人を小三治さんが演じるとなんとも愛くるしく、抜群に面白いのです。

長七のゆったりとした煙草の吸い方にイラついた短七が「煙草はこう吸え」とお手本を見せる一連の仕草と、プクーっとほっぺたを膨らませる表情の可笑しさは、小三治落語の真骨頂といえます。

 

また『あくび指南(しなん)』もおすすめです。

『あくび指南』は、あくびのやり方を教える先生と教わる弟子の掛け合いが面白い噺ですが、小三治さんの『あくび指南』は若手の頃からメチャクチャ面白いです。

あまりに爆笑を取るので、師匠の小さんさんが「あの噺はそんなに笑わせちゃいけねぇんだ」と呆れたというほどのネタです。

こちらも先生と弟子を絶妙の可愛らしさで表現している、小三治さんの十八番演目です。

 

▼柳家小三治さんの可愛らしさの表現を堪能できる作品

⚫落語研究会 柳家小三治大全 上 [DVD]

※『長短』が収録されています。

⚫「あくび指南」「不動坊火焔」(CD)

 

以上、このページで『落語初心者入門』は終わりです!

ここまで読んでいただきましてありがとうございました。落語は生で観てその醍醐味を感じるのがよいと思っております。このWebonを参考にぜひとも、実際に寄席に足を運んでいただければと思います。

もう一度はじめから読む(目次へ)

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

ニ代目 桂枝雀 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「上方落語の爆笑王」である「二代目 桂枝雀」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

二代目 桂枝雀とは

名前 二代目 桂枝雀(かつら しじゃく)
本名 前田 達(まえだ とおる)
生年月日 1939年(昭和14年)8月13日/没年1999年(享年59)
弟子 ・桂南光(関西テレビのローカル生番組「痛快!エブリデイ」の総合司会を務める)
上方落語の代表的落語家であり「東の志ん朝、西の枝雀」と称された。客を爆笑させるスタイルの落語を得意とする。周囲の人々が「稽古ばかりしている人であった」と口を揃えるほどの努力家。英語落語の先駆者。松本人志や千原ジュニアなど大物お笑い芸人たちがリスペクトする存在。

 

略歴

 

兵庫県神戸市に生まれた枝雀さん。子供の頃から人を笑わせることが大好きで、学校でもクラスメイトや先生を笑わせていたといいます。

弟と漫才コンビを組んで出場した素人参加の漫才番組の常連となりました。

「爆笑をかっさらう少年兄弟漫才コンビ」として有名になっていたという程なので、その才能がいかに飛び抜けたものだったかがわかります。

※枝雀さんの弟は、のちに「マジカルたけし」という名で活躍する奇術師(マジシャン)になります。

 

1961年(22歳になる年)、小学生の頃から成績優秀だった枝雀さんは神戸大学に進学しますが、わずか1年で辞めてしまい、三代目 桂米朝(かつら べいちょう)に入門。「小米(こよね)」を名乗ります。

 

▼三代目 桂米朝

▼桂米朝さんについては前ページで解説!

 

1973年(34歳の年)、二代目 桂枝雀(かつら しじゃく)を襲名。

1984年(45歳の年)、東京の歌舞伎座で「桂枝雀独演会」を開催。上方(関西)の落語家として初めて歌舞伎座の舞台に立ちます。

 

▼歌舞伎座

 

枝雀さんは、同世代で大活躍していた三代目 笑福亭仁鶴(しょうふくてい にかく)や桂三枝(かつら さんし)らのようにテレビやラジオなどのメディアで名前を売ったのではなく、落語で全国を周ってメジャーになっていきました。

 

▼三代目 笑福亭仁鶴

▼桂三枝

 

笑いに徹底的にこだわった枝雀さんは、常に完璧な爆笑落語を追求していた人で、そのプレッシャーから鬱になり、入退院を繰り返します。

1998年(59歳の年)1月の高座を最後に休演。

その後も「以前より面白い落語を見せる」という意気込みで努力していたようですが、気力・体力が回復せず、1999年3日13日の夜、残念ながら自ら命を絶ってしまいます。

 

二代目 桂枝雀のココがすごい!

① 上方落語の爆笑王

 

枝雀さんは、笑いの多い落語を得意とする落語家がたくさんいる上方落語界においても、群を抜いて面白い落語家でした。

枝雀さんは小米(こよね)という芸名時代はわりと普通に落語をやっていたそうですが、枝雀を襲名した途端に芸風が激変し、豊かな表情と派手な身振り手振りを交えた爆笑落語へと舵をきっていったといいます。

その演じ方はとにかく尋常ではありません。

変幻自在の表情、オーバーなアクション、ときに座布団からはみ出しそうになったり、飛び上がったり、180度回転して背中を見せたり、床にドスンと頭をぶつけてみたりと、もうはちゃめちゃです。

その圧倒的なオリジナリティから生み出さられる面白さは「神の領域」ともいえるほど凄いものです。

 

② 海外でも大爆笑

 

枝雀さんは学生時代から英語が得意だったそうで、大人になってからも趣味で英語を勉強しているうちに、落語の演目を英語で演じる「英語落語」を手掛けるようになります。

1987年(48歳の年)には、ハワイ・バンクーバー・ロサンゼルスにて、初の英語落語での公演を行い、大成功をおさめます。

その後、約10年にわたり行った「英語落語海外公演」は笑いの本場イギリス(※「笑いの本場」についての考え方はいくつかあります)をはじめ多くの国で行いましたがどの国でも大ウケだったそうです。

国籍に関係なく、どこの会場でも、どんなお客さん相手でも大爆笑をかっさらう枝雀さんはまさに唯一無二の爆笑王であるといえます。

 

③ とにかく落語が好き

 

とにかく落語が大好きだった枝雀さん。

枝雀さんをよく知る人たちは「稽古ばかりしている人であった」と口を揃えます。

寝ているとき以外は落語の稽古をやっていたといわれる枝雀さんは、歩きながら稽古をするという癖があり、自宅の周りをブツブツ喋りながら歩いていることも多く、ときには不審者と間違われて通報されたこともあるそうです。

枝雀さんの一番弟子である桂南光(かつら なんこう)さんは「三百年の歴史のなかで、あれほど落語が好きな人はいない」とまでいっています。

 

▼桂南光さん

 

枝雀さんが凄いのは、それほどまでの稽古を「楽しんで」やっているという点です。

枝雀さんは「天才」と称される人ですが、才能はもちろんのこと「稽古を楽しみながらできる天才」だったともいえるのかもしれません。

 

桂枝雀の十八番 『代書』『宿替え』

 

誰も真似することのできない爆笑落語を築き上げた枝雀さんですが、持ちネタは60と決めていたといいます(年によっていくつか入れ替えることはある)。

その60の演目を徹底的に磨き上げて、とっかえひっかえしながら高座にかけていたそうですが、その中でも十八番中の十八番が『代書(だいしょ)』と『宿替え(やどがえ)』です。

※「代書」は「代書屋」とも呼ばれます。

 

枝雀さん曰くこの2つは「必ずウケるネタ」だそうで、私的にも分かりやすい内容で笑いどころの多い作品なので落語初心者にはおすすめしたい演目です。

注目のポイントは、枝雀さんの一挙手一投足すべてです。

最初から最後まで、その豊かな表情、派手な動き、妙な抑揚をつけた台詞回しなどなど、どれも見逃し厳禁です。

 

▼桂枝雀氏の『代書』『宿替え』が収録されている作品

⚫桂枝雀落語大全 【第一期】 DVD-BOX 全10枚セット

「代書(代書屋)」のあらすじなど詳しくは第2章で解説!(現在第4章)

 

次のページでは「マクラの小三治」と呼ばれる「十代目 柳家小三治(やなぎや こさんじ)」を紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

三代目 桂米朝 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは1時間を超えるスケールの大きな噺の「地獄八景亡者戯」を得意とする「三代目 桂米朝」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

三代目 桂米朝とは

名前 三代目 桂米朝(さんだいめ かつらべいちょう)
本名 中川 清(なかがわ きよし)
生年月日 1925年11月6日/没年2015年
弟子 ・月亭可朝(コミックソングがレコード化され大ヒット)
2代目 桂枝雀(上方落語を代表する噺家として活躍)
・2代目 桂ざこば(毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー)
第二次世界大戦後滅びかけていた上方落語の復興に尽力した「上方落語四天王」の1人に数えられる。1987年紫綬褒章を受賞、1996年には人間国宝に認定され、2009年に演芸会初の文化勲章受章する。テレビやラジオにも多数出演し、お茶の間でも人気を博した。

 

経歴

 

1925年(大正14年)関東州(現・中国)大連市に生まれた米朝さん。

 

 

1930年(昭和5年:5歳になる年)父親の実家がある兵庫県姫路市に一家で戻ります。

寄席好きだった父親の影響により、子供の頃から寄席に通ったり『落語全集』を読んだりと、かなりの落語少年だったといいます。

 

1943年(18歳の年)中学校を卒業後、上京して大東文化学院に入学。在学中に、寄席研究家で作家の正岡容(まさおか いるる)に弟子入りします。

1945年(20歳の年)、招集されて入隊しますが、急性肝臓炎にかかり入院。陸軍病院のベッドで終戦を向かえます。

終戦後、神戸市にある雑貨の卸会社の会社員となり、姫路から大阪に通いながら、落語会を主催するなどの活動を行います。

1947年(22歳の年)、プロの落語家になりたいとの思いが抑えきれなくなり、会社勤めをしながら四代目 桂米團治(かつら よねだんじ)に弟子入り。以後「三代目 桂米朝」を名乗ります。

 

▼四代目 桂米團治

 

昔は15~16歳で弟子入りするのが一般的だったので、このとき22歳であった米朝さんは、少し遅い弟子入りだったといえます。

兵庫の姫路の家から神戸の会社に通い、大阪で落語家修業の日々を送る米朝さんでしたが、気力は充実していても体力が続かなくなり、会社を辞めて大阪の師匠宅に内弟子(うちでし:住み込みの弟子)として住み込むことになります。

低迷しきっていた上方落語の復興を願い、若手時代から落語会や落語勉強会を主催するなど、力を尽くします。

1957年(32歳の年)、若手が中心となって「上方落語協会」を結成。米朝さんは副会長に就任。寄席のみならずタレントとしても人気となり、テレビやラジオの司会でも大活躍します。

 

▼桂米朝出演番組の例:「ハイ!土曜日です」1967年から桂米朝が司会を務める。40年続いたワイドショー番組。


photo by 松嶌徹  CC 表示-継承 4.0

 

1996年(71歳の年)、上方落語界では初の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されます。また、2009年(84歳の年)には、演芸界初の文化勲章受章者となります。

 

文化勲章とは
芸術、科学などの分野において文化の発展に著しく功績のあるものに授与される日本の勲章。賞は直接天皇から授与される。

 

2015年、肺炎のため89歳で死去。

 

桂米朝の十八番

『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』

 

米朝さんの得意演目の代表ともいえるのが「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」です。

この噺は、ほとんどやり手がいなかったものを米朝さんが発掘し、再構成したもので、通しでやると1時間を超える大作です。

途中でお囃子(=楽器による演奏)が入るのが特徴で、江戸落語では「地獄めぐり」と呼ばれています。

 

江戸落語
落語は「江戸落語」「上方落語」の2つに分けることができる。江戸落語は江戸発祥の落語であり、上方落語は上方(関西)発祥の落語である。両者は同じ演目でもタイトルが異なる場合がある。詳しくは第1章で解説(現在、第4章)。

 

「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」は全編に時事ネタを絡めたギャグが盛り込まれるスケールの大きな爆笑噺です。「1時間を越えるスケールの大きな噺」であるため力量が試される噺でもありますが、米朝さんはこの時事ネタが抜群に面白いのです。

特徴的なのは、特定の時事ネタをやるのではなく上演するその日にあった出来事を新聞などで調べ、ギャグとして噺の中にどんどん取り入れていくこと。

そのため、米朝さんの「地獄八景」は「1つとして同じものがない」とも言われています。

晩年の米朝さんは体力的な問題もあり、口座では落語をやらずに雑談だけをやるようになりましたが、これは「米朝噺」と呼ばれ、大いにお客さんを楽しませました。

そんな巧みな話術とギャグセンスに溢れた米朝さんの、ギャグ満載の地獄八景は、桂米朝という落語家を楽しむうえで絶対に外せない一席です。

 

▼桂米朝氏の「地獄八景」が鑑賞できる作品

⚫特選!!米朝落語全集 第十集 [DVD]

 

『一文笛』

 

「一文笛(いちもんぶえ)」は米朝さんの十八番であり、自身で作った新作落語でもあります。

 

新作落語とは
落語の演目は「古典落語」「新作落語」の2種類がある。新作落語は大正時代以降に作られた落語のこと。古典に比べてわかりやすく爆笑しやすいのが特徴。両者の違いは第1章で詳しく解説。

 

古い落語を掘り起こして復活させることが自分の役割だと思っていた米朝さんが「1つくらい自分でも作ってみたい」と思い、1955年(昭和30年)30歳のときに完成させたのがこの噺です。

古くからあった演目のように思われていますが、「後世に残る新しい古典落語」として、今日では東京の落語家でも演じる人がいる名作でもあります。

「一文笛」は、スリ師を主人公とした噺で、ストーリー性があるような大ネタではありませんが、巧な会話や見事などんでん返しに思わず唸ってしまう落語です。

落語作家としての桂米朝の凄さを味わえる一席です。

 

▼桂米朝氏の「一文笛」が鑑賞できる作品

⚫特選!!米朝落語全集 第二十四集 [DVD]

 

次のページでは「上方落語の爆笑王」である「二代目 桂枝雀(かつら しじゃく)」を紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

七代目 立川談志 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは、破天荒な言動や行動で好き嫌いが分かれる落語家「七代目 立川談志」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

七代目立川談志とは

名前 七代目 立川談志(ななだいめたてかわだんし)
本名 松岡 克由(まつおか かつよし)
生年月日 戸籍上は1936年1月2日(実際は1935年12月2日生まれ)/没年2011年11月21日
弟子 ・立川志の輔(「ためしてガッテン」の司会)
・立川談春(エッセイ「赤めだか」がTBSでドラマ化)
・立川志らく(2017年上半期のブレイクタレント部門1位にランクイン)
「自身が司会を務めるでラジオ番組でゲストを残して途中で帰る」「居眠りした客を追い出す」など破天荒な行動が目立ち、好き嫌いが分かれる落語家。独自の落語の型を持ち落語家としての評価は著しく高い。日本テレビ「笑点」の初代司会者を務める。また同番組は談志が企画して実現したものである。ヘアバンドやメガネを愛用し、自身のあごや頬をなでたりする癖、また「やだね~」などの口癖があるなどの個性的な振る舞いがあり、よくものまねされる対象となった。

 

略歴

 

東京府東京市小石川区(現在の東京都文京区白山)に生まれた談志さん。1952年に高校を中退し、16歳で五代目柳家小さん(やなぎや こさん)に入門し「柳家小よし(やなぎや こよし)」と名乗ります。

 

▼五代目柳家小さん


▼柳家小さんについて詳しくは前ページにて!

 

1954年(18歳になる年)に二つ目昇進を果たし「柳家小ゑん(やなぎやこえん)」に改名。

▼落語家の階級

落語家の階級については第1章で詳しく解説!(現在第4章)

▼1959年柳家小ゑん時代の七代目立川談志

 

1963年(27歳の年)に「七代目 立川談志」を襲名して、真打昇進を果たします(襲名は七代目だが色々と思うところがあって、本人は五代目を自称している)。

談志さんは若手時代から「天才現る!」と騒がれ、早くからテレビなどのメディアにも進出し人気者となります。

落語家としては評価が高く「落語界の風雲児」「落語の革命家」「天才落語家」など、数々の異名を持ち多くの落語ファンから愛されました。

一方でその型破りで破天荒な言動から、好き嫌いがはっきりと分かれる落語家でもあります。

 

七代目立川談志のココが面白い!

① 政治家になる

 

押しも押されぬ人気落語家であった談志さんは、1969年(33歳の年)に衆議院議員選挙に出馬して世間を驚かせました。

前年の1968年に石原慎太郎・青島幸男・横山ノックなど、タレント候補といわれた人が全員当選しました。それを受けて談志さんは「タレント議員がブームなら、それに乗らない奴は芸人じゃない」という理由で出馬したと言います。

初めての選挙は落選しましたが、1971年(35歳の年)に参議院議員選挙に出馬して当選。

1975年(39歳の年)には沖縄開発庁政務次官になりますが、わずか1カ月で辞任します。二日酔いで記者会見に臨んだことが辞任の引き金となったようです。

記者から「公務と酒とどちらが大切なのか」と聞かれ「酒に決まってるだろ」と返したというから驚きですね。

結局、議員活動は参議院議員1期6年だけで終わりました。

 

② 落語立川流創立

 

1983年(47歳の年)真打昇進制度に不満を持ち(二つ目から真打に昇進する判断基準などがおかしいと)、落語協会会長であった師匠・柳家小さんと対立して破門となります。

同年、落語協会を脱会し「落語立川流」を創立。落語界初の家元制度(トップである家元が門下生に流儀を教えると共に免許を渡す制度)をつくり、上納金をとるようになりました。

そのことから談志さんは「家元」と呼ばれるようになったわけですが、ユニークなのは、3種類あるそのコース。

Aコースはプロの落語家(いわゆる一般的な弟子)。

Bコースは落語に興味を持っている文化人や芸能人。このBコースには、ビートたけし、高田文夫、赤塚不二夫、上岡龍太郎、山本晋也、横山ノックなど、錚々たるメンバーが顔をそろえています。ちなみに、入門すると落語を教えてもらえたり、立川○○という落語家の名前をもらうことができます。

Cコースは一般人が対象のコース。

 

立川流は「ためしてガッテン」の司会でおなじみの立川志の輔(しのすけ)「下町ロケット」などで役者としても活躍する立川談春(だんしゅん)、テレビにラジオに引っ張りだこの立川志らく(しらく)など、人気落語家を多く輩出する一門で、談志さん亡き後も、超個性派集団からは目が離せません。

 

▼立川志の輔

▼立川談春

▼立川志らく

 

談志の十八番① 『芝浜(しばはま)』

 

談志さんの十八番として真っ先に挙がる噺が『芝浜』です。

談志さんの『芝浜』は落語史に残る傑作であり、談志さん自身こだわりを持って演じていました。

 

注目なのは、従来の落語からすると過剰とも思えるほどの「感情移入の凄さ」です。

登場人物に完全に入り込み、実際にそこにその人物がいて喋っているのではないかと思わせるほどの圧倒的な迫力があります。

特に2007年によみうりホールで演じた「芝浜」は、「伝説の名演」として落語界で語り継がれています。

 

▼よみうりホールが入っている東京・有楽町駅前の「読売会館」

 

「落語の神様が談志に乗り移って登場人物に台詞を喋らせた」といわれるほど圧倒的に凄い「芝浜」であったそうです。

「芝浜」は、落語通ではない人でも最も談志落語の「凄み」を感じやすい演目だと思います。

 

▼2007年よみうりホールで行われた「伝説の名演」の「芝浜」が収録されている作品

⚫談志CD大全 21世紀BOX

「芝浜」のあらすじなど、詳しくは第2章で解説!(現在第4章)

 

談志の十八番②  『鼠穴』

 

談志さんの演者としての最大の魅力は、聴き手を噺の世界へ引きずり込む「迫真の演技力」です。

理不尽な目に遭った男の悲痛な叫びや怒りをリアルに描き出す演技力は抜群です。

その演技力は歳を重ねるごとに凄味を増し、研ぎ澄まされていきましたが、それを感じられる演目としておすすめしたいのは、談志さんの十八番「鼠穴(ねずみあな)」です。

この噺はただでさえドラマティックですが、そこに談志さんの迫真の演技力が存分に発揮されると、落語における「人情噺」の範疇を大きく飛び出し、強烈なドラマとなって聴く者の心を激しく揺さぶります。

無一文から築き上げた財産を一夜にして失い、絶望のどん底に突き落とされた男の悲痛な叫びをメリハリの効いた真に迫った演技でリアルに表現した談志さんの「鼠穴」。

落語の世界に引きずり込まれ、現実の世界に戻ってこられなくなるかもしれない。そんな一席です。

 

▼七代目立川談志「鼠穴(ねずみあな)」収録作品

⚫立川談志プレミアム・ベスト 落語CD集「饅頭怖い」「ねずみ穴」

 

次のページでは1時間を超えるスケールの大きな噺の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を得意とする「三代目桂米朝」を紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

五代目 柳家小さん 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「蕎麦をすする動作は落語界随一」と謳われた落語家「柳家小さん(やなぎや こさん)」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

五代目 柳家小さんとは

名前 五代目 柳家小さん(ごだいめ やなぎや こさん)
本名 小林 盛夫(こばやし もりお)
生年月日 1915年(大正4年)1月2日/没年2002年
家族 息子:6代目柳家小さん
娘:小林喜美子(元タレント)
孫:柳家花緑
孫:小林十市(元バレエダンサー・俳優)
弟子 7代目立川談志(立川流の創設者)
10代目柳家小三治(人間国宝)
・5代目鈴々舎馬風(落語協会9代目会長)
昭和を代表する落語名人の1人であり、落語会初の人間国宝。描写力の巧みさから「蕎麦をすする動作は落語界随一」と称された。剣道の腕が立ち範士七段。芸術祭賞奨励賞、紫綬褒章、第12回日本放送演芸大賞功労賞などの受賞歴がある。

 

略歴

 

長野県生まれ浅草育ちの小さんさんは1933年「四代目 柳家小さん」に入門。

 

▼四代目 柳家小さん

 

栗のような顔をしていたことから「栗之助(くりのすけ)」という名前を師匠からつけられます。

前座時代の1936年(当時21歳の年)に徴兵され、陸軍二等兵となりますが、入営早々に同年に起きた「二・二六事件」に巻き込まれ、反乱軍の一員として警視庁を占拠。

 

▼落語家の階級

二・二六事件
1936年に起きたクーデーター未遂事件。陸軍の一部の青年将校が「昭和維新」と称して首相官邸、新聞社、警視庁を占拠した。子さんさんは、クーデーターのことを全く知らされておらず、上官に命じられるままに反乱軍の一員となった。

ちなみに、小さんさんは反乱軍に参加している時に上官より落語をやれと命じられ「子ほめ」を演じる。「面白くないぞッ!」のヤジに対して「そりゃそうです。演(や)っているほうだって、ちっとも面白くないんだから」と返したと言う。

 

その後、満州(日本が占領していた中国の東北部)へ送られますが無事に日本へ帰国し、3年3ヶ月の軍隊生活を終えます。

 

▼満州(赤枠内)

 

1939年(24歳の年)に「柳家小きん」の名で二つ目昇進を果たします。

軍隊生活での遅れを取り戻そうと必死になって落語修行に励んだ結果、三代目 三遊亭歌笑(さんゆうてい かしょう)と四代目 柳亭痴楽(りゅうてい ちらく)とともに「若手三羽烏」と呼ばれるまでになります。

しかし、1943年(28歳の年)に再び招集令状が来てしまい入隊。

ベトナムのハノイで捕虜になったとき、隣に座っていた兵士が流れ弾に当たって死亡し、わずか数十センチの差で助かった小さんさんは自らの「強運」に驚いたといいます。

 

 

1946年に無事帰国し、1947年(昭和22年:32歳の年)に九代目 柳家小三治(こさんじ)を襲名して真打昇進。

そして先代の急逝にともなって1950年(昭和25年:35歳の年)に「五代目 柳家小さん」を襲名します。

 

 

1972年(昭和47年:57歳の年)から落語協会会長に就任し、24年間にわたって会長の重責を果たします。

そして、1995年(平成7年:80歳の年)には落語界初の人間国宝となります。

 

人間国宝とは
文部科学大臣が認定した重要無形文化財(=音楽や工芸技術などで芸術的価値が高いもの)の保持者のこと。歌舞伎・陶芸・能楽などの分野に人間国宝は多数いる。

 

1996年(81歳の年)、脳梗塞で倒れますが、驚異的な回復を見せて数カ月で高座に復帰しています。

2002年(平成14年)、心不全のため死去。享年87歳。

 

五代目柳家小さんのココがすごい!

① 落語界初の人間国宝

 

五代目柳家小さんは、1995年(平成7年)に落語界初の人間国宝となります。

二度の軍隊生活によって同期からも大きく遅れをとってしまった小さんさんは、そのことをしばらく嘆いていたようです。そこから並々ならぬ努力で頭角を現し高評価を得るようになりました。

小さんさんは「人間性もすばらしい」と有名な師匠で「おおらかで優しく、心が温かい人」という評判です。

そのため門下も多く直弟子とそれぞれの孫弟子まで合わせると、現在の落語会の最大派閥です。

 

▼「直弟子」「孫弟子」とは

 

さらに小さん一門を離脱した立川談志一門(七代目 立川談志は小さんの元弟子)を含めると、その数は100人を軽く超えます。

小さんさんの人望あっての大派閥であるといえます。

落語協会会長として24年間その職務を勤め、落語界の発展に大きく貢献した実績なども含めて、まさになるべくしてなった人間国宝だと言えるのではないでしょうか。

 

② 描写力の巧みさ

 

小さんさんは「禁酒番屋(きんしゅばんや)」「長屋の花見」など、滑稽噺(面白おかしい演題)を得意とする落語家でした。

その巧みなしぐさや表情の豊かさはまさに一級品で、普通に喋っているだけでも笑ってしまいそうになる独特の雰囲気を持っています。

特に蕎麦をすする動作は落語界随一ともいわれていました。

小さんさんが蕎麦屋に入るとお客さんから「実際にはどんなふうに食べるんだ」と注目されるため食べずらかったというようなこともあったようですが、それほどの名人芸であったということでしょう。

その芸を味わうなら、やはり小さんさんが寄席の定番ネタとしていた「時そば」がおすすめです。

 

▼小さんさんの「時そば」収録CD:昭和の名人 古典落語名演集 五代目柳家小さん 十二

 

③ 剣道で学んだ「間」

 

小さんさんは小学生の頃から始めた剣道の道を、生涯にわたって追求してきた人です。

「北辰一刀流(ほくしん いっとうりゅう)」という流派の免許皆伝であり、範士七段(はんし ななだん)の位まで上り詰めた達人でもあります。

そんな小さんさんは剣道を通じて「噺の間」を学んだといっています。

 

「落語はお客さんに「ウケようウケよう」と思って演じると、かえって客からそれてしまう。そこで慌てて笑いをたたみかけるとさらに客は逃げる。

それは剣道も同じで「打とう打とう」と思って前に出ると打たれてしまう。逆に「さあ、どこでも打ちなさい」という気持ちで行くと、案外打たれないし、いい技も出てくる。」

というようなことをいっています。

小さんさんの落語を聴いていると「笑わせてやろう」という気負いがまったく感じられず、「力が抜けた自然体でそこに座っている」といった感じです。

だからこそ絶妙に面白い「すっとぼけた感」が登場人物に反映されているのだと思います。

 

その剣道に相通ずる「間」を味わうなら、小さんさんの十八番のひとつである「粗忽長屋(そこつながや)」をおすすめします。

荒唐無稽(こうとうむけい)な噺なので、お客さんに「バカバカしい」と思わせたらダメという難しい噺ですが、”八つぁん”と”熊さん”という2人のそこつ者(=そそっかしい人)を絶妙の会話の間で演じ分け、お客さんの笑いの波に乗ってトントンと噺を運んでいるところが実に見事です。

 

▼「粗忽長屋」は第2章で紹介!(現在第4章)

 

▼子さんさんの「粗忽長屋」収録CD:昭和の名人‾古典落語名演集 五代目柳家小さん 十三

 

次のページでは「粋な江戸っ子噺家」である「三代目古今亭志ん朝」を紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

三代目 古今亭志ん朝 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「粋な江戸っ子噺家」である「三代目 古今亭志ん朝」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

 三代目 古今亭志ん朝とは

名前 三代目 古今亭志ん朝(さんだいめ ここんてんしんちょう)
本名 美濃部 強次(みのべ きょうじ)
生年月日 1938年3月10日/没年2001年
家族 父親(師匠):五代目 古今亭志ん生
兄:十代目 金原亭馬生
弟子 ・古今亭志ん駒(ドラマ「大江戸捜査網」でも活躍)
・古今亭志ん輔(NHK「おかあさんといっしょ」に15年間レギュラー出演)
落語初心者が聴いてもわかりやすいのが特徴。戦後の東京落語家を代表する「落語四天王」の1人である。また「東の志ん朝、西の枝雀」と称されることもあった。「ビール」「焼きおにぎり」など数多くのCMに出演しており、高級ふりかけ「錦松梅」のCMのキャラクターとして知名度を獲得する。父は5代目古今亭志ん生。テレビ・映画にも数多く出演しフジテレビ「サンデー志ん朝」では司会をつとめる。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

 

略歴

 

父親は五代目 古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)、兄は十代目 金原亭馬生(きんげんてい ばしょう)という落語家の家に生まれた志ん朝さん。

 

▼五代目 古今亭志ん生

父親の五代目 古今亭志ん生は前のページで解説しています!

 

1957年(19歳になる年)に父親の志ん生に入門して落語家の道に入り前座名「朝太」を名乗ります。

1959年(21歳になる年)、朝太のまま「二つ目」昇進を果たします。

 

▼朝太時代の古今亭志ん朝さん

 

1962年(24歳になる年)、真打(しんうち)昇進を果たすとともに三代目古今亭志ん朝を襲名。

 

▼落語家の階級

階級について詳しくは第1章で解説しています!(現在第4章)

 

若い頃からその才能が注目され、みるみる頭角を現した志ん朝さんは入門からわずか5年という異例のスピードで真打となりました。

しかも36人抜きという快挙で、同じく天才と騒がれた七代目 立川談志(たてかわ だんし)を含めた先輩たちをごぼう抜きしました。

真打昇進以降、芸の輝きは一段と増し、七代目 立川談志、五代目 三遊亭円楽(さんゆうてい えんらく)、五代目 春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)とともに「江戸落語四天王」と称されました。

 

▼七代目立川談志

▼五代目三遊亭円楽

▼五代目春風亭柳朝

 

また、落語のみならず、俳優として数々のドラマ・舞台・映画に出演するほか、テレビ・ラジオの司会者などでも活躍。

 

▼出演映画「若い季節」

その圧倒的な実力・存在感から、自分の弟子・他の人の弟子を問わず多くの若手落語家の憧れの的でもありました。

2001年、病により63歳という若さで亡くなり、誰もがその早すぎる死を惜しみました。

 

三代目古今亭志ん朝のココがすごい!

① リズムと語り口

 

志ん朝さんは、語りのテンポの良さ、躍動的なリズムによる爽やかな語り口が何よりの魅力です。

歯切れのいい明るい江戸弁による、明晰(めいせき:はっきりしている)で明朗(めいろう:明るくほがらか)な言葉は粒立っており落語初心者が聴いても抜群にわかりやすいのでおすすめです。

※言葉が粒立つ・・・はっきりとしていて強調されるべきところがされているような喋り口の事

 

私は落語家の中でこの志ん朝さんが一番好きです。初めて聴いたその瞬間にハマりました。

とにかくその独特な話芸は一度聴けばその魅力に惹かれること間違いなしです。

 

▼志ん朝さんのリズムと語り口を堪能できる作品

⚫落語 The Very Best 極一席1000 居残り佐平次[CD]

 

「居残り佐平次(いのこり さへいじ)」は志ん朝さんの十八番演目ですが、志ん朝さん演じる「佐平次」の清々しいまでの「軽さ」が抜群に面白いです。

リズミカルでスピーディーな口調で調子よく人を丸め込む佐平次の魅力に要注目です。

 

② 本格的な江戸っ子

 

「江戸前のダンディズム」「粋な江戸っ子噺家」などといわれる志ん朝さんは、とにかく粋で本格的な江戸っ子落語家であったといいます。

江戸言葉を自在に操る志ん朝さんの話芸を聴いていると、そこにリアルな江戸の情景がありありと浮かび上がってきます。

なぜそうしたものが身についていたのかは、確かなことはわかりません。ただ、やはり「明治に生まれた芸人の家庭で育つ(父は落語家・五代目 古今亭志ん生)」という、宿命的な生い立ちが志ん朝さんの芸人としてのベースにあるのではないかと思います。

並みの芸人のように10代の後半から20代で弟子入りするのと、その家庭で生まれ育つのでは芸人として、そして人としての”成分”が違ってくるのではないでしょうか。

 

▼志ん朝さんの江戸っ子を堪能できる作品

⚫落語 The Very Best 極一席1000 船徳[CD]

 

上の「船徳」は志ん朝さん十八番の”若旦那もの”です。志ん朝さんが演じると江戸の情景がそのままそこに浮かび上がってきます。

 

⚫落語名人会(14)[CD]

 

こちらも志ん朝さんの十八番「芝浜」。志ん朝さんの気持ちのいい江戸弁によって、江戸に生きた夫婦の日常をリアルに描き出しています。

 

③ 芝居的な演技

 

志ん朝さんは、もともとは歌舞伎が大好きで役者を目指していましたが、父親である志ん生さんから反対され断念して落語家になった人です。

しかし落語家になってからも芝居好きは変わらず、役者としても舞台に映画に大活躍しました。

そんな志ん朝さんの落語には芝居の手法が多く取り入れられているといいます。

志ん朝さんは若手や周囲の人に「演技はクサくやらなければ駄目だ」といっていたそうです。わかりやすくいえば「歌舞伎のようにやる」ということ(大袈裟にやる、というニュアンス)。

「落語はお客にさんに伝わらなければ意味がない」と考えていた志ん朝さんは、「クサいということはわかりやすく演じるということ」だと考えていたそうです。

若手にもよく「若いうちからクサくやらなければ駄目だよ」とアドバイスしていたようです。この芝居的な「クサさ」も志ん朝さんの大きな魅力なのです。

 

▼志ん朝さんの芝居を堪能できる作品

⚫落語名人会 4 古今亭志ん朝 「文七元結(ぶんしち もっとい)」[CD]

 

志ん朝さんの「文七元結(ぶんしちもっとい)」は「究極の人情噺」といわれたほどの十八番演目で、芝居的な演技、クサさが随所に光る一席です。

例えばこの話の中の登場人物である「文七(ぶんしち)」が、与えられた財布を投げ捨てようと振りかぶった時に感触で『本物の金だ』と感づくくだりなどは、芝居がかったクサい演技以外の何者でもありません。

 

次のページでは破天荒な言動や行動で好き嫌いが分かれる落語家「七代目立川談志」を紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

六代目 三遊亭圓生 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「人情系の噺の第一人者」と言われる三遊亭圓生さんを紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

六代目三遊亭圓生とは

名前 六代目三遊亭圓生(ろくだいめ さんゆうてい えんしょう)
本名 山﨑 松尾
生年月日 1900年(明治33年)9月3日/没年 1979年(昭和54年)
弟子 ・5代目三遊亭圓楽(日本テレビ「笑点」の司会を務める)
昭和の代表的な落語名人の1人であり「人情系の噺の第一人者」と称される。皇居に招かれて宮中で落語を演じた初めての落語家。文化庁芸術祭大賞や芸術選奨文部大臣賞受賞、勲四等瑞宝章など華々しい受賞歴がある。テレビ・ドラマ・CMにも数多く出演し、ハウス食品の豆腐のCMに出演した際に発した「バカウマ」という言葉が話題となる。

 

略歴

 

大阪で生まれた圓生さんは、母親とともに東京に出て「子供義太夫(=義太夫をやる子供)」として寄席に出演します。

10歳頃に落語家に転身し「橘家圓童(たちばなや えんどう)」と名乗ります。

1920年(大正9年)「五代目橘家圓好」で真打昇進。

 

1941年(昭和16年)に「六代目三遊亭圓生(さんゆうてい えんしょう)」を襲名。

終戦直前、前のページで紹介した五代目古今亭志ん生(ここんて しんしょう)とともに、旧満州に慰問興行をするために渡りますが終戦となったため帰国できなくなり、約2年ほど満州で過ごします。

1947年(昭和22年)に寄席に復帰し、この頃から人気が出始め数々の賞を受賞します。

1965年(昭和40年)からは落語協会会長を7年近く務めました。

 

1978年(昭和53年)「落語協会分裂騒動」を引き起こし、その結果弟子を連れて落語協会を脱退してしまいます。

「落語協会分裂騒動」は実力に関係なく二つ目昇進から10年以上経てば真打に昇進できるという「大量真打昇進制度」に反対したことがきっかけとなって起こった騒動で、脱退後は新協会・落語三遊協会を設立します。

芸に厳しい圓生さんだからこそ、真打昇進への考え方も厳しかったのだろうと思われます。

 

六代目三遊亭圓生のココがすごい!

① 芸の鬼

 

圓生さんは芸の虫・芸の鬼と言われていたほど芸については厳しい人だったようで、いつでもどこでも落語の稽古をしていたそうです。

仕事のない日も机に向かって一日中、何かを読んだり書いたりしていたそうで、博覧強記(はくらんきょうき:物事を広く知っていること)の人であったといわれています。

稽古だけでなく、とにかく勉強熱心な人だったのだろうと思われます。

 

② 群を抜くネタ数の多さとクオリティ

 

持ちネタの多彩さ、そのクオリティの高さとともに「他の追随を許さない」といわれる圓生さん。

「軽い”滑稽噺”」から「色気たっぷりの”廓噺(くるわばなし)”」「鳴り物が入る”音曲噺”」そして「泣かせる”人情噺”」まで、様々な噺を口演しそのどれもが超一流だったといわれています。

圓生さんは落語の登場人物それぞれに愛情を注ぎ、練り上げていくことに並々ならぬエネルギーを持っていたそうです。

役者が役作りを行うように、丁寧に人物像を作り上げていく作業を最も意識的に行い、それぞれをいかにもそれらしく描写することで高い評価を受けていった人なのだろうと思います。

 

③ 落語家初の宮中御前口演

 

1973年(昭和48年)圓生さんは落語家として初めて宮中(きゅうちゅう)へ招かれて「御前口演」を行った人です。

初代三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)が明治天皇の御前で落語を披露したそうですが、宮中、いわゆる皇居に招かれて落語をやったのは圓生さんが初めてだそうです。

 

▼初代三遊亭圓朝については前ページで詳しく紹介!

 

ちなみに昭和天皇両陛下の御前で披露したのは「御神酒徳利(おみきどっくり)」です。

また、圓生さんは、亡くなる半年前の1979年(昭和54年)3月には、歌舞伎座で落語家として始めての独演会を開催して大成功をおさめています。

 

御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ
旅籠(はたご=今で言うホテルのようなところ)で使用人の善六が掃除している時。善六はその家の家宝の御神酒徳利(=神前に供える徳利)を盗まれないように水瓶の中に沈めておいた。しかし善六はそのことを忘れてしまい、大事な御神酒徳利がなくなったと大騒ぎになる。

 

▼六代目三遊亭圓生「御神酒徳利」収録作品:六代目 三遊亭圓生 名演集 1 お神酒徳利/二十四孝

 

④ 人物描写と人情噺の第一人者

 

圓生さんの魅力は人物描写の巧みさと、それを活かした人情噺のうまさにあります。

人情系の噺の第一人者といわれる圓生さんは「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」「牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」「乳房榎(ちぶさえのき)」(いずれも初代三遊亭圓朝の作品)などを得意としていました。

ちなみに「牡丹灯籠」は、圓生さんの演目で私が特に好きな演目です。大袈裟な演出やむちゃくちゃな展開、余計なギャクなど、特別なことをやらずに安心して聴ける語り口が好きです。

 

▼「牡丹燈籠」収録作品:圓生百席(46)

 

また、圓生さんは芸の主眼を人物描写においており、登場人物の性格や感情の表現が無類にうまい人だったようです。

人物描写のうまさを感じれる演目は「死神」です。全体を通して死神のなんとも言えない不気味さが素晴らしいです

 

▼「死神」収録作品:六代目 三遊亭圓生(4)花筏/やかん/死神

 

⑤ 集大成のレコード

 

圓生さんは速記本(=落語や講談などが文字に起こされている刊行物)の「圓生全集」を出していました。

「『圓生全集』のレコード版を作りたい」というレコード会社からの要請を受け「三遊亭圓生 人情噺集成」と数ある持ちネタの中から自ら100席を選んだ「圓生百席」を6年間かけて作り上げました。

これらは高座(=演芸を演じる場所、またそこで演じること)をそのまま録音したものなどではなく、歌手の人がやっているようにスタジオで録音して作ったものでした。

芸事に妥協しない圓生さんは「とにかく最上のものを残したい」という強い思いで臨み、徹底的にこだわり抜いて完成させたといいます。

落語のレコードとしては最大級の規模(2つの作品集を合わせてLP115枚)で、価格も破格の高さでしたが、かなりの売り上げがあったそうで、これを真似て似たようなレコードを作る落語家が続出したといいます。

制作を始めたのは圓生さんが70歳を超えてからだったそうですが、編集にもすべて立ち合い、一文字もおろそかにせず、すべての噺を聴いて自分の芸を確かめたというからその熱量たるや驚くほかありません。

こうして完成した圓生さんの録音は、「最大至高の古典」といっても過言ではないでしょう。

 

筆者おすすめ作品

 

⚫圓生百席(55)真景累ヶ淵(しんけいかさねがぶち)~1「宗悦(そうえつ)殺し」~2「深見新五郎」

 

⚫圓生百席(23)品川心中(上・下)/死神

 

次のページでは落語界初の人間国宝となった「五代目柳家小さん(やなぎや こさん)」さんの紹介をします。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

初代 三遊亭圓朝 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9人の落語の名人を紹介いたします。

落語は同じ演目でも演じる落語家が違えば全く違ったものになります。

「マクラが長い落語家」「蕎麦をすする動作は落語会随一」「酒を飲んで高座に上がっても面白い」など落語の名人はそれぞれ違った魅力があるので、ぜひ気になる落語家を見つけて実際に観ていただきたいです。

このページでは「初代三遊亭圓朝」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

初代三遊亭圓朝とは

名前 初代三遊亭圓朝(しょだい さんゆうていえんちょう)
本名 出淵 次郎吉(いずぶち じろきち)
生年月日 1839(天保10年)5月13日/没年1900年(明治33年)

 

初代三遊亭圓朝はそれまでの落語は芝居噺(しばいばなし:背景画や道具を用いて芝居のように見せる噺)が人気でした。

圓朝は道具を使う噺を弟子に譲り現在のような「扇子1本を使う喋り」を中心とした「素噺(すばなし)」というスタイルを確立し、それまでの落語の常識を変えました。これにより「近代落語の祖」と言われるようになりました。

 

略歴

 

のちに「近代落語の祖」と言われる大スター・初代三遊亭圓朝は天保10年(1839年)、江戸・湯島に落語家の初代橘屋圓太郎(しょだい たちばなや えんたろう)の息子として生まれました。

父親の影響もあり「落語家になりたい」と言った次郎吉少年でしたが、母親と兄に反対され、商家(=商人の家)に奉公(=住み込みで主人に仕えること)することになります。

絵師の歌川国芳(うたがわ くによし)に弟子入りして絵の修行をするなどしていましたが、結局は落語家になりました。

 

▼歌川国芳の自画像

 

9歳で父親の師匠である二代目三遊亭圓生に弟子入り。

安政2年(1855年)圓朝を名乗り、真打昇進を果たしました。

 

真打
落語家の階級の中で最も上。師匠と呼ばれるようになり、弟子を取ることができるようになる。

 

おもしろおかしい滑稽噺より、弟子入り先の三遊派のお家芸である芝居噺(背景画や道具を用いて芝居のように見せる噺)や怪談噺(幽霊、化物、死神などを扱う噺)で独自の世界を構築して人気を得ました。

そして、のちに扇子一本で演じる素噺(すばなし)に転向しました。

 

三遊亭圓朝のココがすごい!

① 多くの演目を創作

 

圓朝は多くの落語を創作したことでも知られています。

「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」「怪談牡丹燈籠」「塩原多助一代記」など長編の怪談噺、人情噺(=オチのない人情を主題とした噺)を多く創作しました。

笑いの多い噺ではない「文芸的」ともいえる作品群を創作し、それらを巧みな話術・表現力で口演しました。

 

② 師匠から嫉妬される

 

圓朝が落語の創作を始めるようになったきっかけは「圧倒的に落語が巧かった圓朝に嫉妬した師匠・三遊亭圓生からの嫌がらせ」であったといいます。

具体的にいうと、圓朝が高座でやろうとする演目を先に師匠がやってしまい、圓朝が演じる演目をなくしたのです。

このことから圓朝は他の落語家が演じられない演目を作ろうと決意し創作落語をたくさん生み出したのです。

 

③ 三題噺から名作を生む

 

初代三笑亭可楽(さんしょうてい からく)が始めたとされる「三題噺」というものがあります。これはお客さんからお題を3つもらい、それを使った落語をその場で作って演じるというものです。

落語の名作「芝浜(しばはま)」は圓朝が三題噺で作った演目といわれています。(『笹飾り』『増上寺の鐘』『革財布』という3つのお題で作られたと言われています)

また、今日でも多くの落語家に演じられている「鰍沢(かじかざわ)」も圓朝が三題噺で作った演目です。(こちらは『卵酒』『鉄砲』『毒消しの護符』」という3つのお題で作られたと言われています。)

 

落語の名作「芝浜」のあらすじ
腕はいいのに酒ばかり飲んでぜんぜん働かない魚屋の勝五郎。

ある日大金を拾ったことをいいことに、仲間を集めて酒を飲んで寝てしまう。翌日妻から「昨日の酒代どするのか?」と聞かれ「拾った金で払えばいいだろ」と言うと「そんな金はない、夢でも見たのでは?」と妻に言われる。

勝五郎は自分の情けなさを恥じて、真面目に仕事をするようになる。しかし、拾った金は実はあって、それは妻の「とある思い」からだった・・・。

▼芝浜の結末は第2章にて!(現在第4章)

 

▼筆者おすすめ「芝浜」収録作品:談志CD大全 21世紀BOX

▼筆者おすすめ「芝浜」収録作品:NHK落語名人選(11) 六代目 三遊亭円生 三年目・鰍沢)

 

④ 言文一致運動に影響を与える

 

落語の口演(公演)を速記し、出版したものを「速記本」といいます。

明治政府は国会を開設するにあたり、速記者(=省略した記号を用いて発言を素早く記録する人)を養成する必要に迫られ、見習いの速記者たちは寄席に通って当時を代表する随一の落語家である圓朝の口演を速記して練習しました。

速記本の第一号は圓朝の「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」でした。

これをきっかけに圓朝の落語以外の速記本にも人気が出て、速記本ブームが起こり、これにより明治以降の文学界の言文一致運動に大きな影響を与えました。

 

言文一致運動とは
明治時代のはじめの頃は、文章で使う「書き言葉」と日常生活で使う「話し言葉」は一致しておらず、文章を理解できるのは一部の知識階級だけでした。

時代とともに、読み書きをする人たちが増えて、その状況を不便に思う人たちが増えていきました。「言文一致運動」は、そんな不便な状況を打破するために「書き言葉」を「話し言葉」に近づけようとする文筆家が行った運動のことを指します。

 

ちなみに二葉亭四迷(ふたばてい しめい)の『浮雲(うきぐも)』は圓朝の速記本(圓朝の落語を写したもの)に影響を受けて書かれたといわれています。

 

二葉亭四迷

小説家、翻訳家。「日本の近代小説の開祖」と呼ばれる。代表作は「浮雲」。

▼二葉亭四迷『浮雲』明治20年頃に発表

 

 

⑤ 歌舞伎になり教科書に採用される

 

圓朝の創作した「塩原多助一代記(しおばら たすけ いちだいき)」と「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」は歌舞伎化され、明治25年に東京歌舞伎座にて初めて演じられました。この舞台は五代目尾上菊五郎(おのえ きくごろう)が主演を務め大評判となりました。

また「塩原多助一代記」は勤勉がテーマで、教科書にも採用されました。

 

五代目尾上菊五郎

1844年生まれ、明治時代に活躍した歌舞伎役者。

 

▼筆者おすすめ「塩原多助一代記」収録作品:泣ける落語「塩原多助一代記~青春の別れ~」「幾代餅の由来」

 

▼筆者おすすめ「怪談牡丹燈籠」収録作品:五代目 古今亭志ん生(11)牡丹灯籠~刀屋/牡丹灯籠~お札はがし

 

三遊亭圓朝のおすすめ作品

 

三遊亭圓朝は大昔の落語家なので、その落語を録音で聴くことはできません。

けれど書籍・電子書籍では楽しむことができるので、ぜひ圓朝落語を読んで楽しんでみてください。

 

●『三遊亭円朝全集 42作品』

 

初代三遊亭圓朝の42作品を1冊に収録した作品集です。電子書籍では目次から目当ての作品に移動することができます。

 

次のページでは「五代目古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)」を紹介します。志ん生さんは「酔って高座に上がっても面白い」と言われる名人なのです。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから