落語の演目の基礎知識 【古典落語と新作落語の違い】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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落語の演目は「古典落語」「新作落語」に分けられる

 

落語の演目の種類は「古典落語」と「新作落語」に分けることができます。

古典落語と新作落語の違いは何を基準に区別するのかというと、一言でいえば「年代」です。

「古典落語」は江戸中期から明治にかけて作られた演目で、「新作落語」は大正時代以降に作られた演目のことを指します。

 

 

以下では、古典落語と新作落語の特徴について詳しく解説していきます。

 

古典落語とは

 

古典落語とは「江戸中期から明治にかけて作られた演目」を指します。

 

古典落語は、決まった同じネタを色々な落語家さんが何度も行います。

ネタは、昔の落語家さんから新しい落語家さんへと引き継がれていきます。

長い年月をかけて師匠から弟子に受け継がれていくなかで、それぞれの時代の落語家によって練り上げられ、洗練されていくので、現代人の心にも響く名作が多いのです。

 

【編集部コラム】古典落語の進化
古典落語は先代から受け継がれてきた噺を全く同じに演じるという訳ではありません。ストーリーの大まかな流れは変わらなくても自分なりのアレンジを加え、登場人物の言葉遣いが変わったり、オチが変わったりすることがあります。そうして練り上げられているからこそ、現代人の心に響く名作が多いのです。

 

古典落語の演目の多くは江戸時代が舞台で、江戸庶民の暮らしぶりや江戸の文化、風俗を取り扱っているものが多くあります。

 

 

古典落語の数

 

演目の数ははっきりとはわかりませんが現在寄席で演じられているのは200~300くらいと言われており、やる人がほとんどいないものも全部合わせると、その数は500とも800とも言われています。

古典落語の多くは作者不明で、一部の演目を除いてそのほとんどは誰が作ったのかわかりません。

 

古典落語の種類

 

古典落語をジャンル分けすると、「滑稽噺」と「人情噺」の2種類があります。

 

滑稽噺

 

滑稽噺は「噺の終わりにオチがある、おもしろおかしい落語」のことです。

間抜けでドジな与太郎や、口が達者な江戸っ子、ぐうたらな若旦那などが活躍する噺でそのユニークな言動におかしみが滲み出て笑えます。

 

与太郎
落語に登場する架空の人物。楽天的な性格で失敗ばかり。「愚か者」の代名詞となっている。

 

一般的に落語と聞いてイメージするのはこの滑稽噺のほうでしょう。

 

滑稽噺のおすすめの演目は「天狗裁き」「粗忽長屋(そこつながや)」「代書屋(だいしょや)」です。こちらの演目については次の章(第2章)で解説いたします。

 

人情噺

 

人情噺は「ストーリー性を重視し、心温まる人情を描いた落語」のことをいいます。

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扱うテーマは、夫婦愛や親子愛、友情がメインです。

オチはあるものとないものがありますが、あったとしても、取ってつけたような地口オチ(じぐちおち:ダジャレ)になっていることが多いです。

人情噺でおすすめの演目は「芝浜」「子別れ」「藪入り(やぶいり)」です。

こちらの演目についても次の章で解説しています。

 

古典落語の魅力

 

はじめに」でもお伝えしましたが「古典」と名前に付いていますが、特別な知識なく楽しめます。

江戸や明治、古典落語の世界に生きる人々の、のんびりとした日常に触れるのは「情報過多でストレスが多い現代人だからこそ価値がある」と考えています。

心が楽しいときでも寂しいときでも、古典落語がそばにあるだけでちょっとラクになれる、そんな不思議な力が古典落語にはあると私は思っています。

 

古典落語の魅力は「はじめに」のページで詳しく解説!

 

新作落語とは

 

「新作落語」は大正時代以降に作られた演目のこと」を指します。また「創作落語」ともいいます。

落語家自身による創作が多いですが、落語作家が作ったものもあります。次々に作られるので、数を把握することは不可能です。

 

落語作家
落語の脚本を作る人のこと。昭和のラジオやテレビの時代に演芸番組に携わり、台本を提供していた。現在で言う放送作家のような立ち位置。「玉川一郎」「古城一兵」らが活躍した。

 

新作落語はその時代の旬のトピックや時事ネタを取り入れて作られることが多いので、古典に比べて内容がわかりやすく、落語初心者でも爆笑できるという特徴があります。

 

 

新作落語の楽しみ方

 

また、作者である落語家独自の世界観が色濃く反映されるので、バラエティ豊かな噺を楽しむことができます。

基本的に噺の舞台は現代ですが、未来を描いたり、異次元の世界を描いたものなどもたくさんあり、「とにかくおもしろければいい!」といった感じで次々と生み出されています。

現代を描くだけが新作ではなく、稀ではありますが、江戸を舞台にした作品もあり、これを「まげもの新作」と呼びます。

落語家には、古典しかやらない人もいれば、新作専門の人もいますし、古典も新作も両方やるという人もいます。最近では古典と新作のボーダーがあまりなくなり、両方やるという落語家も増えてきています。

 

古典と新作両方やる落語家
柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)さんは、古典と新作どちらも行います。新作落語では独自の世界観で楽しませてくれる爆笑必至です。また、古典落語にも定評があり喬太郎さんならではの解釈や演出を加え「喬太郎の古典」にしてしまうところがあります。喬太郎さんの魅力の解説は第3章にて!(現在第1章)

 

新作落語はどちらかというと、肩の力を抜いて聴ける爆笑ネタが多いですが、落語である以上は、やはりそこには普遍的なテーマやストーリー(夫婦愛、親子愛、友情、生と死、出世劇、逆転劇、転落人生など)があります。

 

時代を選ばないテーマやストーリーであるからこそ、演じられるたびに洗練されていき、将来的にはそれが古典と呼ばれる演目になり、後世までずっと残り続けていく可能性もあります。

新作落語を演じる落語家は、それが古典になることを目指しているというわけではありませんが、そうなる可能性があるという意識で聴いてみるというのも、新作落語の楽しみ方のひとつだと思います。

 

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次のページでは「江戸落語」と「上方落語」の違いについてお伝えします。内容は同じでも、江戸落語では「時そば」上方落語では「時うどん」と演目のタイトルが違ったりするのです。

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