落語初心者入門はこちらから!
著者:ミドケン
落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから
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この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。
このページでは、破天荒な言動や行動で好き嫌いが分かれる落語家「七代目 立川談志」を紹介します。
▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!
②【五代目 古今亭志ん生】
③【六代目 三遊亭圓生】
④【五代目 柳家小さん】
⑤【三代目 古今亭志ん朝】
⑥【七代目 立川談志】
⑦【三代目 桂米朝】
⑧【ニ代目 桂枝雀】
⑨【十代目 柳家小三治】
七代目立川談志とは
名前 | 七代目 立川談志(ななだいめたてかわだんし) |
本名 | 松岡 克由(まつおか かつよし) |
生年月日 | 戸籍上は1936年1月2日(実際は1935年12月2日生まれ)/没年2011年11月21日 |
弟子 | ・立川志の輔(「ためしてガッテン」の司会) ・立川談春(エッセイ「赤めだか」がTBSでドラマ化) ・立川志らく(2017年上半期のブレイクタレント部門1位にランクイン) |
「自身が司会を務めるでラジオ番組でゲストを残して途中で帰る」「居眠りした客を追い出す」など破天荒な行動が目立ち、好き嫌いが分かれる落語家。独自の落語の型を持ち落語家としての評価は著しく高い。日本テレビ「笑点」の初代司会者を務める。また同番組は談志が企画して実現したものである。ヘアバンドやメガネを愛用し、自身のあごや頬をなでたりする癖、また「やだね~」などの口癖があるなどの個性的な振る舞いがあり、よくものまねされる対象となった。 |
略歴
東京府東京市小石川区(現在の東京都文京区白山)に生まれた談志さん。1952年に高校を中退し、16歳で五代目柳家小さん(やなぎや こさん)に入門し「柳家小よし(やなぎや こよし)」と名乗ります。
▼五代目柳家小さん
1954年(18歳になる年)に二つ目昇進を果たし「柳家小ゑん(やなぎやこえん)」に改名。
▼落語家の階級
▼1959年柳家小ゑん時代の七代目立川談志
1963年(27歳の年)に「七代目 立川談志」を襲名して、真打昇進を果たします(襲名は七代目だが色々と思うところがあって、本人は五代目を自称している)。
談志さんは若手時代から「天才現る!」と騒がれ、早くからテレビなどのメディアにも進出し人気者となります。
落語家としては評価が高く「落語界の風雲児」「落語の革命家」「天才落語家」など、数々の異名を持ち多くの落語ファンから愛されました。
一方でその型破りで破天荒な言動から、好き嫌いがはっきりと分かれる落語家でもあります。
七代目立川談志のココが面白い!
① 政治家になる
押しも押されぬ人気落語家であった談志さんは、1969年(33歳の年)に衆議院議員選挙に出馬して世間を驚かせました。
前年の1968年に石原慎太郎・青島幸男・横山ノックなど、タレント候補といわれた人が全員当選しました。それを受けて談志さんは「タレント議員がブームなら、それに乗らない奴は芸人じゃない」という理由で出馬したと言います。
初めての選挙は落選しましたが、1971年(35歳の年)に参議院議員選挙に出馬して当選。
1975年(39歳の年)には沖縄開発庁政務次官になりますが、わずか1カ月で辞任します。二日酔いで記者会見に臨んだことが辞任の引き金となったようです。
記者から「公務と酒とどちらが大切なのか」と聞かれ「酒に決まってるだろ」と返したというから驚きですね。
結局、議員活動は参議院議員1期6年だけで終わりました。
② 落語立川流創立
1983年(47歳の年)真打昇進制度に不満を持ち(二つ目から真打に昇進する判断基準などがおかしいと)、落語協会会長であった師匠・柳家小さんと対立して破門となります。
同年、落語協会を脱会し「落語立川流」を創立。落語界初の家元制度(トップである家元が門下生に流儀を教えると共に免許を渡す制度)をつくり、上納金をとるようになりました。
そのことから談志さんは「家元」と呼ばれるようになったわけですが、ユニークなのは、3種類あるそのコース。
Aコースはプロの落語家(いわゆる一般的な弟子)。
Bコースは落語に興味を持っている文化人や芸能人。このBコースには、ビートたけし、高田文夫、赤塚不二夫、上岡龍太郎、山本晋也、横山ノックなど、錚々たるメンバーが顔をそろえています。ちなみに、入門すると落語を教えてもらえたり、立川○○という落語家の名前をもらうことができます。
Cコースは一般人が対象のコース。
立川流は「ためしてガッテン」の司会でおなじみの立川志の輔(しのすけ)「下町ロケット」などで役者としても活躍する立川談春(だんしゅん)、テレビにラジオに引っ張りだこの立川志らく(しらく)など、人気落語家を多く輩出する一門で、談志さん亡き後も、超個性派集団からは目が離せません。
談志の十八番① 『芝浜(しばはま)』
談志さんの十八番として真っ先に挙がる噺が『芝浜』です。
談志さんの『芝浜』は落語史に残る傑作であり、談志さん自身こだわりを持って演じていました。
注目なのは、従来の落語からすると過剰とも思えるほどの「感情移入の凄さ」です。
登場人物に完全に入り込み、実際にそこにその人物がいて喋っているのではないかと思わせるほどの圧倒的な迫力があります。
特に2007年によみうりホールで演じた「芝浜」は、「伝説の名演」として落語界で語り継がれています。
▼よみうりホールが入っている東京・有楽町駅前の「読売会館」
「落語の神様が談志に乗り移って登場人物に台詞を喋らせた」といわれるほど圧倒的に凄い「芝浜」であったそうです。
「芝浜」は、落語通ではない人でも最も談志落語の「凄み」を感じやすい演目だと思います。
▼2007年よみうりホールで行われた「伝説の名演」の「芝浜」が収録されている作品
⚫談志CD大全 21世紀BOX
談志の十八番② 『鼠穴』
談志さんの演者としての最大の魅力は、聴き手を噺の世界へ引きずり込む「迫真の演技力」です。
理不尽な目に遭った男の悲痛な叫びや怒りをリアルに描き出す演技力は抜群です。
その演技力は歳を重ねるごとに凄味を増し、研ぎ澄まされていきましたが、それを感じられる演目としておすすめしたいのは、談志さんの十八番「鼠穴(ねずみあな)」です。
この噺はただでさえドラマティックですが、そこに談志さんの迫真の演技力が存分に発揮されると、落語における「人情噺」の範疇を大きく飛び出し、強烈なドラマとなって聴く者の心を激しく揺さぶります。
無一文から築き上げた財産を一夜にして失い、絶望のどん底に突き落とされた男の悲痛な叫びをメリハリの効いた真に迫った演技でリアルに表現した談志さんの「鼠穴」。
落語の世界に引きずり込まれ、現実の世界に戻ってこられなくなるかもしれない。そんな一席です。
▼七代目立川談志「鼠穴(ねずみあな)」収録作品
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次のページでは1時間を超えるスケールの大きな噺の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」を得意とする「三代目桂米朝」を紹介します。
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