ニ代目 桂枝雀 【おすすめ落語名人9選】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「上方落語の爆笑王」である「二代目 桂枝雀」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

二代目 桂枝雀とは

名前 二代目 桂枝雀(かつら しじゃく)
本名 前田 達(まえだ とおる)
生年月日 1939年(昭和14年)8月13日/没年1999年(享年59)
弟子 ・桂南光(関西テレビのローカル生番組「痛快!エブリデイ」の総合司会を務める)
上方落語の代表的落語家であり「東の志ん朝、西の枝雀」と称された。客を爆笑させるスタイルの落語を得意とする。周囲の人々が「稽古ばかりしている人であった」と口を揃えるほどの努力家。英語落語の先駆者。松本人志や千原ジュニアなど大物お笑い芸人たちがリスペクトする存在。

 

略歴

 

兵庫県神戸市に生まれた枝雀さん。子供の頃から人を笑わせることが大好きで、学校でもクラスメイトや先生を笑わせていたといいます。

弟と漫才コンビを組んで出場した素人参加の漫才番組の常連となりました。

「爆笑をかっさらう少年兄弟漫才コンビ」として有名になっていたという程なので、その才能がいかに飛び抜けたものだったかがわかります。

※枝雀さんの弟は、のちに「マジカルたけし」という名で活躍する奇術師(マジシャン)になります。

 

1961年(22歳になる年)、小学生の頃から成績優秀だった枝雀さんは神戸大学に進学しますが、わずか1年で辞めてしまい、三代目 桂米朝(かつら べいちょう)に入門。「小米(こよね)」を名乗ります。

 

▼三代目 桂米朝

▼桂米朝さんについては前ページで解説!

 

1973年(34歳の年)、二代目 桂枝雀(かつら しじゃく)を襲名。

1984年(45歳の年)、東京の歌舞伎座で「桂枝雀独演会」を開催。上方(関西)の落語家として初めて歌舞伎座の舞台に立ちます。

 

▼歌舞伎座

 

枝雀さんは、同世代で大活躍していた三代目 笑福亭仁鶴(しょうふくてい にかく)や桂三枝(かつら さんし)らのようにテレビやラジオなどのメディアで名前を売ったのではなく、落語で全国を周ってメジャーになっていきました。

 

▼三代目 笑福亭仁鶴

▼桂三枝

 

笑いに徹底的にこだわった枝雀さんは、常に完璧な爆笑落語を追求していた人で、そのプレッシャーから鬱になり、入退院を繰り返します。

1998年(59歳の年)1月の高座を最後に休演。

その後も「以前より面白い落語を見せる」という意気込みで努力していたようですが、気力・体力が回復せず、1999年3日13日の夜、残念ながら自ら命を絶ってしまいます。

 

二代目 桂枝雀のココがすごい!

① 上方落語の爆笑王

 

枝雀さんは、笑いの多い落語を得意とする落語家がたくさんいる上方落語界においても、群を抜いて面白い落語家でした。

枝雀さんは小米(こよね)という芸名時代はわりと普通に落語をやっていたそうですが、枝雀を襲名した途端に芸風が激変し、豊かな表情と派手な身振り手振りを交えた爆笑落語へと舵をきっていったといいます。

その演じ方はとにかく尋常ではありません。

変幻自在の表情、オーバーなアクション、ときに座布団からはみ出しそうになったり、飛び上がったり、180度回転して背中を見せたり、床にドスンと頭をぶつけてみたりと、もうはちゃめちゃです。

その圧倒的なオリジナリティから生み出さられる面白さは「神の領域」ともいえるほど凄いものです。

 

② 海外でも大爆笑

 

枝雀さんは学生時代から英語が得意だったそうで、大人になってからも趣味で英語を勉強しているうちに、落語の演目を英語で演じる「英語落語」を手掛けるようになります。

1987年(48歳の年)には、ハワイ・バンクーバー・ロサンゼルスにて、初の英語落語での公演を行い、大成功をおさめます。

その後、約10年にわたり行った「英語落語海外公演」は笑いの本場イギリス(※「笑いの本場」についての考え方はいくつかあります)をはじめ多くの国で行いましたがどの国でも大ウケだったそうです。

国籍に関係なく、どこの会場でも、どんなお客さん相手でも大爆笑をかっさらう枝雀さんはまさに唯一無二の爆笑王であるといえます。

 

③ とにかく落語が好き

 

とにかく落語が大好きだった枝雀さん。

枝雀さんをよく知る人たちは「稽古ばかりしている人であった」と口を揃えます。

寝ているとき以外は落語の稽古をやっていたといわれる枝雀さんは、歩きながら稽古をするという癖があり、自宅の周りをブツブツ喋りながら歩いていることも多く、ときには不審者と間違われて通報されたこともあるそうです。

枝雀さんの一番弟子である桂南光(かつら なんこう)さんは「三百年の歴史のなかで、あれほど落語が好きな人はいない」とまでいっています。

 

▼桂南光さん

 

枝雀さんが凄いのは、それほどまでの稽古を「楽しんで」やっているという点です。

枝雀さんは「天才」と称される人ですが、才能はもちろんのこと「稽古を楽しみながらできる天才」だったともいえるのかもしれません。

 

桂枝雀の十八番 『代書』『宿替え』

 

誰も真似することのできない爆笑落語を築き上げた枝雀さんですが、持ちネタは60と決めていたといいます(年によっていくつか入れ替えることはある)。

その60の演目を徹底的に磨き上げて、とっかえひっかえしながら高座にかけていたそうですが、その中でも十八番中の十八番が『代書(だいしょ)』と『宿替え(やどがえ)』です。

※「代書」は「代書屋」とも呼ばれます。

 

枝雀さん曰くこの2つは「必ずウケるネタ」だそうで、私的にも分かりやすい内容で笑いどころの多い作品なので落語初心者にはおすすめしたい演目です。

注目のポイントは、枝雀さんの一挙手一投足すべてです。

最初から最後まで、その豊かな表情、派手な動き、妙な抑揚をつけた台詞回しなどなど、どれも見逃し厳禁です。

 

▼桂枝雀氏の『代書』『宿替え』が収録されている作品

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「代書(代書屋)」のあらすじなど詳しくは第2章で解説!(現在第4章)

 

次のページでは「マクラの小三治」と呼ばれる「十代目 柳家小三治(やなぎや こさんじ)」を紹介します。

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