落語初心者入門はこちらから!
著者:ミドケン
落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから
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落語の楽しみ方は、落語そのものを観る・聴くだけではありません。
映画や小説など、落語を題材にした作品を観たり読んだりすることで落語の世界に触れるというのも、落語の楽しみ方のひとつです。
このページでは落語を題材にしたおすすめのエンタメ作品を紹介するので、ぜひ手に取ってみてください!
以下で紹介する作品は古典落語の知識が一切なくても楽しめる作品となっております。
おすすめの落語を題材にした作品3選
1 しゃべれどもしゃべれども
タイトル | しゃべれども しゃべれども |
公開年月 | 2007年5月26日 |
上映時間 | 109分 |
監督/脚本 | 平山秀幸/奥寺佐渡子 |
出演 | 国分太一/香里奈/松重豊/森永悠希/八千草薫/伊東四朗/など |
「しゃべれどもしゃべれども」は佐藤多佳子さんの同名小説が原作。
▼小説「しゃべれどもしゃべれども」(画像クリックで商品詳細へ)
TOKIOの国分太一さん主演で映画化され、2007年に公開されて話題になりました。
あらすじ
主人公は東京の下町に住み古典落語を愛する、二つ目の落語家・今昔亭三つ葉(国分太一)。
▼写真右が国分太一、写真左は十河五月役の香里奈
落語家として伸び悩んでいた彼のもとに「落語を習いたい」「話し方を教えてもらいたい」という3人がやって来る。
口下手で無愛想な・十河五月(香里奈)、勝気ゆえにクラスになじめず大阪から引っ越してきた少年・村林優(森永悠希)、コワモテの元プロ野球選手・湯河原太一(松重豊)。
▼湯河原太一役の松重豊
クセのある生徒ばかりで顔を合わせると3人は言い争いが絶えず、肝心の落語も一向に覚えられない。
落語指南がうまくいかないうえに、片思いしていた女性が結婚することを知ってショックを受ける主人公三つ葉。
そこで「自分は落語が好きだ」と再認識した三つ葉は、師匠の十八番である古典落語の演目「火焔太鼓(かえんだいこ)」への挑戦を決意する。
徐々に落語を話せるようになっていく生徒たちと、「火焔太鼓」の成功(=上手く喋りきるのはもちろんですが、師匠の真似事ではなく、自分ならではの「火焔太鼓」を演じるということ)を目指す三つ葉。果たしてそれぞれの思いは伝わるのか・・・。
みどころ
まさに落語の登場人物のような、一癖も二癖もある人たちの奮闘が、心にグッとくる感動をもたらします。
落語好きから見た国分太一さんの落語
当ページで紹介する作品の中で、最もプロの落語家に近い落語を演じている俳優が国分さんだと思います。正直、その上手さに驚きました。
笑わせてやろうという気負いがなく、その張りのある声と端正な語り口が光る「火焔太鼓」は思わず聴き入ってしまいます。
前半の下手に演じる落語と、クライマックスの「火焔太鼓」のレベルの落差に注目です。最後の「火焔太鼓」は圧巻の一言です。
2 ねぼけ
(引用元:http://neboke.info/)
タイトル | ねぼけ |
公開年月 | 2015年9月5日 |
上映時間 | 111分 |
監督・脚本 | 壱岐紀仁 |
出演 | 友部康志/村上真希/入船亭扇遊/大竹佳那/秋山勇次/など |
▲予告編
「ねぼけ」は、クラウドファンディングの成功によって完成した映画です。
2017年にモントリオール世界映画祭で絶賛され、現地でアンコール上映を果たすほど話題となった映画です。
あらすじ
酒や女にうつつを抜かす、うだつのあがらない落語家・三語郎(友部康志)。
落語に本気になれず、自堕落な日々を送る三五郎は、当然稼ぎもない。
健気に三五郎を支える恋人の真海は三五郎との結婚を願っているが、二人の気持ちはすれ違うばかりでうまくいかない。
師匠である点雲も心配して叱咤激励するが三語郎には届かず、逃げまくったあげくに弟分の彼女にまで手を出してしまう。
何もかも思い通りにいかないことに苛立ちを募らせた三五郎は真海に当たってしまい、あまりのショックに真海は三語郎の前から忽然と姿を消してしまう。
失って初めて真海の存在の大切さに気づき、覚悟を決めて彼女の故郷へ向かう。
そして三五郎は神話の伝わる海辺で真海の秘められた過去を初めて知ることになる・・・。
みどころ
観ていて三語楼のあまりのダメ人間ぶりに腹が立ったのですが、その姿がどこか自分と重なり胸が締めつけられました。
人間は誰もがダメな部分を抱えながら必死で生きていて、周りの人に迷惑をかけてしまってどうしようもないんだけれど「それはそれで良し」という優しい落語の世界観に癒される作品。
「ねぼけ」は師匠役の入船亭扇遊さんの落語が見せ場なので、主役の友部さんによる落語の見せ場は特にありません。
ただ友部さんの愛嬌のあるしぐさや表情は抜群で、滑稽噺をやらせたらプロの落語家も顔負けの落語を披露するのではないかと思いました。
3 タイガー&ドラゴン
タイトル | タイガー&ドラゴン |
放送時間 | 金曜日22:00~22:54 |
放送期間 | 2005年4月15日~6月24日(全11回) |
脚本 | 宮藤官九郎 |
出演 | 長瀬智也/岡田准一/西田敏行/銀粉蝶/安部サダヨ/など |
※以上は2005年に放映された連続ドラマの詳細
『タイガー&ドラゴン』は、TOKIOの長瀬智也さんとV6の岡田准一さん主演のテレビドラマで、脚本はクドカンこと宮藤官九郎さんが担当。
ヤクザ兼落語家の男と元天才落語家の男。超個性的な2人を中心に展開する人情コメディの傑作です。
あらすじ
ヤクザの山崎虎児(長瀬智也)は子供の頃に両親が借金苦で自殺したことで「笑い」を忘れてしまった。
▼写真左、山崎虎児役の長瀬智也。写真右、谷中竜二役の岡田准一
ある日虎児は、浅草で落語家・林屋亭どん兵衛(西田敏行)の高座を偶然聴いて感動し、弟子入りを志願する。
▼林屋亭どん兵衛役の西田敏行
虎児が所属する組の組長から400万円の借金をしていたどん兵衛は虎児が落語の演目をひとつ習得するごとに10万円の授業料をもらい、それを「返済金」として虎児に支払うという奇妙な契約を交わす。
落語家とヤクザという二足のわらじを履く生活を始めた虎児だが、とにかく笑いの才能がなくてどうにもならない。
そんなとき、かつて落語の天才と呼ばれたどん兵衛の次男・谷中竜二(岡田准一)と出会う。
竜二はとある事件がきっかけで落語家を廃業し、今は裏原宿で売れない洋服店「ドラゴンソーダ」を経営しているが落語の腕は衰えていない・・・。
みどころ
どん兵衛が寄席の高座で演じる落語の演目と、リアルの話がうまくリンクするという構成が実に秀逸で落語のおもしろさとドラマとしてのおもしろさの両方を味わえる作品です。
落語をモチーフにした作品の中では、個人的には『タイガー&ドラゴン』が一番おすすめの作品です!
タイガー&ドラゴンは古典落語を好きになれる内容だと思います!
落語好きから見た長瀬智也さんと岡田准一さんの落語
岡田さんの落語は普通ですが、長瀬さんの落語はヤクザという役柄もありますが迫力が圧倒的です。長瀬さんならではの「眼ヂカラ」で、登場人物それぞれにパワーが宿り、子供を演じても女性を演じても、長瀬さんの独特の男らしさが反映されているところが非常に興味深くて面白いです。
決して器用な落語ではありませんが、落語界に生きる人々が実にイキイキと描写されているところは必見だと思います。プロの落語家でもなかなかこの迫力は出せないのではないでしょうか。
この第3章では落語の鑑賞方法についてお伝えしてきました。寄席で生の醍醐味を感じていただきたいですが、まずは気軽に自宅で楽しんでみてはどうでしょうか。
次のページから第4章です。第4章では落語の名人を紹介します。
落語は同じ演目でも演じ手によって全く違うものに見えます。ぜひ、お気に入りの名人の方を見つけてみてください。
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