落語初心者のための基礎知識

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

まずは落語初心者のための基礎知識をお伝えします。

このページを読めば「落語とは何か」という基本的なことがわかり、なんとなく落語の全体像が見えてくるかと思います。

 

落語とは


By vera46 – originally posted to Flickr as rakugo, CC 表示 2.0, Link 

 

落語は江戸時代の日本で成立した伝統的な話芸です。

落語にはお決まりのストーリーがあり、内容は基本的に「滑稽で笑えるもの」となっています。(感動できるものもあります)

そして話の最後には「落ち(オチ)」がつくのが特徴となっています。

ちなみに落語では「話」を「噺(はなし)」とも表記します。

 

※決まり文句は言わない事も多くあります

 

また、落語家は着物を着て落語を演じるのが基本です。

ただ、落語家には階級があり「二つ目」以上の階級(下図参照)だと着物の上に羽織をはおっています。

落語を演じている最中に、落語家が羽織を脱ぐ時がありますがタイミングに明確な決まりはありません。

 

▼階級について詳しくは第1章の後のページで解説します!

 

落語の表現

 

落語は座布団の上に座っている落語家が1人で何役も演じて物語を展開します。

使用する道具は、基本的には扇子と手ぬぐいだけです。

扇子と手ぬぐいは様々な道具に見立てられます。扇子で「そばをすする箸」を表現したり、手ぬぐいを「財布」に見立てることもあります。

 

▼「扇子」で表現されるもの

扇子で表現されるもの 表現が見られる有名な演目
時そば/うどん屋
煙草 巌流島/粗忽の釘
そろばん 壺算/片棒
試し酒

▼「手ぬぐい」で表現されるもの

手ぬぐいで表現されるもの 表現が見られる有名な演目
財布 鰻のたいこ/堀の内
浮世床/稽古屋
短冊 崇徳院

 

落語家が1人で何役も演じ、お客さんの想像力によって物語が膨らんでいくというのも落語の魅力であり、こうしたスタイルのエンターテインメントは日本独自のものです。

 

また「落語はお決まりのストーリーがある」と先ほど説明しましたが、演じ手の表現によって同じ演目(ストーリー)でも全く違った魅力を堪能できます。

 

 

その為「お気に入りの落語家の方を1人見つけて、その落語家を掘り下げる」という楽しみ方もおすすめです。

当Webonでもおすすめの落語家や名人を紹介しておりますのこちらを参考に見つけていただければと思います。

▼名人紹介は第3章、第4章で!

 

落語の噺の構成

 

落語を観る上で知っておきたいのが噺の構成です。

決まった流れがあるので事前に知っておくと内容が入ってきやすくなると思います。

落語の噺は「①マクラ」「②本編」「③落ち(サゲ)」で構成されています。

 

 

「マクラ」から落語は始まります。

マクラは落語家さんのフリートークのような感じで、本編にちなんだ小噺をしたりします。マクラが盛り上がって本編に入らないなんてこともあったりします。

一般的なマクラの長さは5分~15分程度です。ただ、マクラの面白い落語家として有名な柳家小三治(やなぎや こさんじ)さんは1時間マクラをしゃべって落語は10分~15分なんてこともあります。

 

▼柳家小三治さん

▼小三治さんの詳しい解説は第4章にて

▼例)マクラの動画:桃月庵白酒さん

 

 

「本編」では「まんじゅうこわい」「天狗裁き」などのお決まりの演目が披露されます。

本編で演じられる演目は、古典落語か新作落語の2つに分けることができます。

「古典落語」は江戸中期から明治にかけて作られた演目で、その数は500~800あると言われています。また、大正時代以降に作られた落語は「新作落語」と言います。

 

▼古典落語と新作落語の違いは第1章の後のページで解説!

▼定番の演目の内容は第3章で解説!

 

 

「落ち(サゲ)」は噺の最後に持ってくる結びの言葉のことです。

落ち(オチ)を言って頭を下げて終わりになります。以下に「オチ」がどのようなものかを示しています。

その演目のネタバレを含んでいるので知りたくない方は飛ばしてください。

 

▼オチの例 ※ネタバレを含む

演目 あらすじ オチ(赤文字)
まんじゅうこわい 饅頭が怖いという男を怖がらせてやろうと饅頭攻めにする。しかし、男は饅頭を食べている。してやられた男たちは男に問う。 「お前は一体何がこわいんだ」
「ここらで渋いお茶が一番怖い」
天狗裁き ぶつぶつ言いながら寝ている八五郎に奥さんが「どんな夢を見てた」ときかれ「夢なんか見ていない」と答える。その後、おれにだったら夢の内容を教えることができるだろうと色んな人に問いただされて、最後は天狗にまで聞かれる。 大天狗は八五郎を山奥へと連れて行くと「どんな夢だ。教えないと八つ裂きにする」と言われる。「うー、助けてくれー」と言う八五郎。
そこへ「ちょいとお前さん起きよ。どんな夢見てたんだい」

 

落語は以上のように「①マクラ」「②本編」「③オチ」という構成で展開します。

これを知っていれば落語をより楽しむことができるでしょう。

 

 

さて、②の本編には「決まった噺がある」と説明しましたが、この噺の種類は大きく二つに分けることができるのです。以下では噺の種類二つに分けて紹介します。

 

噺の種類

 

落語の噺の種類は大きく分けると「滑稽噺」「人情噺」の二つです。

 

 

滑稽噺は「噺の終わりにオチがあるおもしろいおかしい落語」のことです。落語と聞いてイメージするのはこの滑稽噺だと思います。

人情噺は「ストーリー性を重視し心温まる人情を描いた落語」のことです。

どちらも特別な知識がなくても楽しめます。

初心者の方におすすめの噺も第3章で紹介してますので、まずはどんな噺があるか知るとよいと思います。

 

落語を観るには

 

落語の醍醐味はプロの落語家の公演を生で観ることです。

1年365日毎日、生の落語を観ることができる「落語定席(らくごじょうせき)」という場所があります。

落語定席は東京には「浅草演芸ホール」「鈴本演芸場」「新宿末廣亭」「池袋演芸場」の4つがあります。

大体、昼は12時頃にはじまり夜は21時頃まで行われています。昼と夜の2部制が基本ですが、ほとんどの寄席が昼と夜でお客さんを入れ替えをしません。

そのため12時に入り21時までの間、たっぷりと落語を楽しむことができます。

基本的に飲食は可能で、演芸場によってはお酒を飲むこともできます。

ちなみに寄席では大体1人15分~20分の長さで演じます。トリが「大ネタ」と呼ばれる30分以上の長さの演目を披露することもあります。

 

▼落語定席の基本情報

開催日 基本的に毎日
公演時間 12時頃~21時頃
相場 2500円~3000円
チケット購入方法 当日券のみ
落語の長さ 1人15分~20分程度

 

ここまでざっくりと落語の基礎知識についてお伝えしていきました。続いては落語の歴史についてお伝えします。落語への理解を深めてより落語を楽しんでいただければと思います。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

初心者におすすめ古典落語の演目11選 【人情噺編】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第2章では【定番編】【滑稽噺編】【人情噺編】に分けて3ページにわたって初心者におすすめの古典落語11選をご紹介しております。

前ページでは「滑稽噺」をご紹介しましたが、落語はおもしろおかしい滑稽噺だけではありません。

夫婦愛、親子愛、師弟愛など、人間の情愛を描いた「人情噺」と呼ばれる演目が数多くあります。

そんな人情噺の中でも初心者の方でもわかりやすい「名作」と呼ばれる古典落語を3つご紹介します。

 

初心者におすすめ古典落語11選 【人情噺編】

9 芝浜(しばはま)

あらすじ

 

腕はいいのに酒ばかり飲んでぜんぜん働かない魚屋の勝五郎。

いつものようにぐうたら寝ている勝五郎を女房が叩き越こし「今日こそは働いてくれ」と、魚河岸(うおがし=魚市場のある河岸のこと)へ仕入れに行かせる。

渋々出かける勝五郎。

しかし朝早すぎて一軒の問屋も開いていない。

時間を潰そうと浜に出て一服つけていると、すぐそこに革の財布が落ちている。中を見ると驚くような大金。

家に戻って女房に財布を見せ「これでもう働かなくても楽しく遊んで暮らせる」と浮かれる勝五郎。仲間を集めてさんざん飲んで、酔っぱらって寝てしまう。

 

 

翌日、女房に起こされた勝五郎は「昨日の酒代のツケをどうするんだ」と女房に言われ「例の拾った金で払えばいいだろ」と返すが、女房は「そんな財布は知らない。夢でも見たんじゃないのかい」と呆れる。

探しても財布がないものだから女房の話を信じるしかない。

自分の情けなさを恥じ「これからは酒を断って真面目に仕事をする」と女房に誓う。

もともと腕はいい魚屋のこと、3年後には自分の店を構え、若い衆を雇うまでになる。

 

 

そして大晦日、勝五郎は女房と二人で除夜の鐘を聞きながら今までの苦労話をしていると、女房が大金の入った革の財布を取り出した。

「あれは夢じゃなかったんだよ、お前さん」

「でも、あのときおめえは夢だと・・・」

女房は手をついて謝りながら、なぜ嘘をついたのか、その理由を語り始める・・・。

 

–ネタバレ–

 

女房は勝五郎が「商いをやめて遊んで暮らす」というから、どうしようかと思って大家さんに相談に行った。そこで「夢だということにした方がいい」という助言をもらう。

女房は「なまけものに戻らないように隠してきた。腹が立つならぶつ蹴るしてもいい」と言うが、夫は女房の行動に感謝する。

女房は怒られると思っていたので、機嫌直しのためにお酒を用意していた。それを振る舞おうとする女房。

上機嫌で飲もうとする勝五郎だったが「だが待てよ」と躊躇する。

女房が「どうしたの?」と伺うと

「よそう、また夢になるといけねえ」と答える

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

人情噺といえば「芝浜」と答える人が多いほど人情噺の代表的な古典落語です。

勝五郎の女房は落語に登場する女房の中でも、これぞ「女房の鑑」という人物。

笑いどころも多く、でも最後はほろっとさせてくれる秀逸な噺です。昭和30年代には故・萬屋錦之介(よろずや・きんのすけ)主演で「江戸っ子繁昌記」というタイトルで映画化されているほど秀逸な噺です。

 

▼「江戸っ子繁昌記」(画像クリックで商品詳細へ)

▼筆者おすすめ「芝浜」を鑑賞できる作品

⚫柳家さん喬1「片棒」「芝浜」-「朝日名人会」ライヴシリーズ10(Amazon Music Unlimited)

 

10 子別れ

あらすじ

 

腕はいいのに酒ばかり飲んで働かない大工の熊五郎。

熊五郎は吉原(=幕府公認の遊郭(男性に性的サービスを行うお店がある区画))に居続けたあげく、しばらくぶりに家に帰ったが女房に謝るどころか女郎(遊郭で働く女性)ののろけ話をする始末。

ついに堪忍袋の緒が切れた女房は、息子の亀吉を連れて家を出てしまう。

 

 

その後吉原の女郎を後妻にするが、これがとんでもない悪妻でそのうち熊にも愛想を尽かして出て行ってしまう。

熊五郎は心を入れ替えて真面目に働くようになり数年後には暮らしも楽になった。

 

そんなある日、仕事先で別れた息子の亀吉に偶然出会う。

亀吉に母親のこと聞くと「再婚もせず貧しいながら女手一つで頑張っている」とのこと。

熊五郎は亀吉に小遣いをやり「明日二人で鰻を食べに行こう」と誘い「俺と会ったことはおっかさんには内緒にしろ」と言い聞かせて別れる。

 

家に帰った亀吉。もらったお金が母親に見つかってしまう。

ごまかそうとするが「亀吉が盗んだんじゃないか」と疑った母親は金づちでぶとうとするので、父親からもらったことを白状してしまう。

 

 

怒るどころか、真面目になった熊五郎の話を聞いて嬉しそうな様子の母親。

 

翌日、熊五郎と亀吉が鰻屋の二階で鰻を食べていると、いても立ってもいられなくなった母親が鰻屋を訪ねて来る。

親子三人水入らずとなり両親とも嬉しいはずだが、お互いもじもじとするばかりで会話が成り立たない。

そこで見かねた亀吉が二人の仲を取り持ち、二人は徐々にお互いの気持ちを打ち明け合う――。

 

–ネタバレ–

 

ヨリを戻すことを提案する熊五郎。そして承諾する母親。

「こどもがあればこそおめえとも、またヨリが戻るんだな」と熊五郎。

「ほんとうですよ。子供は夫婦のかすがい(2つの材木をつなぐためのコの字型の釘)って言う通りですよ」

すると亀吉が「えっ、あたいがかすがいかい?だから昨日おっかさんがあたいの頭を金づちでぶとうとしたんだ」

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

この「子別れ」はとても長い噺で、一般的には、上、中、下と三つに分けて演じられます。

上は「強飯の女郎買」、下は「子はかすがい」という題名です。いつの時代も家族の愛情は変わりません。

大人びた台詞を吐く亀吉、女房のいじらしさ、亭主の男としての照れが聞きどころの噺です。

 

▼筆者おすすめ「子別れ」が鑑賞できる作品

⚫柳家さん喬14「子別れ」-「朝日名人会」ライヴシリーズ94(Amazon Music Unlimited)

 

11 藪入り(やぶいり)

あらすじ

 

奉公(=住み込みで主人に仕えること)に出た息子の亀吉が、しばらくぶりに藪入り(年に二度の休暇)で帰って来る。

その前夜、父親はそわそわして寝つけない。

「あれも食べさせたいこれも食べさせたい」とうるさいのなんの。

 

 

まだ夜が明けないうちから、今度は息子と一緒に出かけたい場所を次々と挙げていき「落ち着け」と女房にたしなめられる。

そうしているうちにやっと夜が明ける。

父親が待ちきれない様子で家の前の掃除をしているところへ亀吉が帰って来る。

立派な挨拶をする息子に両親は感動。

 

 

息子を湯屋(=銭湯)へ送り出したあと、母親が亀吉の財布に大金が入っていることに気づく。

「ひょっとしたら店の金に手をつけたんじゃないか」と疑い、帰って来た亀吉を問い詰める。

口論となって父親は亀吉に手をあげ、母親はそれを制止し泣きながら問いただすと

「このごろペストが流行っているので、ネズミを捕まえて警察に持っていったら一匹十五円の懸賞に当たった。このお金は今日まで主人に預かってもらっていたけど、今日は藪入りだから持って帰って両親を喜ばせてやれと、主人が持たせてくれた」

というようなことを答える。

 

–ネタバレ–

 

両親はそれを聞いて安心する。

亀吉に父親は「これからも主人を大切にしなよ」と教える。そして

「これもやっぱりチュウ(忠とネズミの鳴き声をかけている)のおかげだ」

と言う。

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

息子が帰って来るのを心待ちにする両親の心情が伝わってくる、ほっこりした気持ちになる噺です。

うきうきが止まらず、とんちんかんな言動をする父親、それを温かく見守っている母親、立派に成長した息子、たがいに相手を思いやりながらも起こってしまう、気持ちのすれ違いが聞きどころです。

 

▼筆者おすすめ「藪入り」が鑑賞できる作品

⚫林家たい平落語集 井戸の茶碗/藪入り(CD)

 

この第2章ではおすすめ古典落語についてお伝えしました。

次の章(第3章)からは実際に落語を鑑賞する方法についてお伝えします。落語が行われている「寄席」は飲食もオーケーであり気軽に入れるところなので、ふらっと足を運んでいただければと思っております。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

初心者におすすめ古典落語の演目11選 【滑稽噺編】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第2章では【定番編】【滑稽噺編】【人情噺編】に分けて3ページにわたって初心者におすすめの古典落語11選を紹介しています。

 

このページでは、ただただ笑えるおもしろい落語を3つ紹介。

落語といえばやっぱり、おもしろおかしい「滑稽噺」!

難しいことは考えずに、とにかく笑えることが落語の魅力です。

 

初心者におすすめ古典落語11選 【滑稽噺編】

6 天狗裁き

あらすじ

 

家で寝ている八五郎は、笑ったりぶつぶつ言ったりしている。

それを見た女房が熊五郎を起こし「いったいどんな夢を見たんだい?」とたずねるが、熊五郎は「夢なんか見ていない」と言う。

 

 

嘘をつくなと問い詰めるが熊五郎は「見ていない」の一点張りで、ついには喧嘩になってしまう。

そこへ隣人が割って入り喧嘩をおさめる。しかし隣人もどんな夢なのか知りたくなり「女房に言えなくても、俺には言えるだろう」とたずねる。

しかし熊五郎は見ていないと言い、またもや喧嘩になるが今度は大家が来て仲裁をする。

 

女房と隣人の男を外へ出すと、大家が「親同然の大家になら言えるだろう」と迫る。

ここでも見ていないと答えると「だったら長屋から出ていけ」と無茶なことを言われ、困った熊五郎は奉行所(現在でいうところの裁判所)へ願い出る。

 

奉行の裁きにより長屋を出ていかなくてもよくなって熊五郎が喜んでいると、お奉行さまも「奉行になら喋れるだろう」と夢の話を聞きたがった。

「お奉行さまでも、見ていないものは喋れません」と答えると奉行の怒りを買って木に吊るされてしまう。

 

 

このまま死ぬのかと諦めかけたとき、一陣の風が吹いて熊五郎は飛ばされてしまう。

気がつけば山の中。

そして目の前には大天狗が立っていた。

 

 

–ネタバレ–

 

大天狗は八五郎を山奥へと連れて行くと「どんな夢だ。教えないと八つ裂きにする」と言われる。「うー、助けてくれー」と言う八号郎。

そこへ「ちょいとお前さん起きよ。どんな夢見てたんだい」

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

見ていない夢のことでいろんな人から責められ、思わぬ事態に陥ってしまう熊五郎にはとても気の毒ですが、思わず笑ってしまいます。

天狗が出てくる不思議な噺ですがスピーディーな展開で飽きさせません。

そして最後のオチは秀逸だと思います!

 

【編集部コラム】実は続編がある?
「天狗裁き」は長編落語である「羽団扇」の前半部分の物語が独立した演目です。

そのため「羽団扇」では「天狗裁き」の続編のような噺を聴くことができます。「羽団扇」では、天狗に脅されていたところからなんとか脱出した後に、七福神と遭遇するという奇想天外な展開になっています。

 

▼筆者おすすめ「天狗裁き」が鑑賞できる作品

⚫特選!!米朝落語全集 第四集(DVD)

 

 

7 粗忽長屋(そこつながや)

あらすじ

 

同じ長屋に住む、八五郎と熊五郎は兄弟のように仲がいい。

ある日、日課である浅草の観音様詣に来た八五郎はその帰りに道端の人だかりに気づく。人だかりに聞くところ、行き倒れだという。

死体を確認した八五郎は「こいつは今朝会った熊五郎だ」と言う。

 

 

しかし役人は「こいつは昨晩からここにいるから、お前が言ってるのとは別人だ」と説明するが、熊五郎は「当人は死んでるのを忘れてんだよ、当人をここへ連れて来るよ」などと言い残し、急いで長屋へ戻った。

 

八五郎から話を聞いた熊五郎は「そんなはずはない」と反論するが「お前は粗忽者(そそっかしい人)だから自分が死んだことに気づいてないんだ」などと言われ、納得してしまう。

自分の死体を引き取るために、熊五郎は八五郎と一緒に浅草観音へ向かうのだが・・・。

 

–ネタバレ–

 

死体を確認した後、死体が自分であると熊五郎は納得してしまう。

死骸を2人で持ち上げようとすると役人に、「(死骸は)お前さんじゃないんだから」と諭される。

「いいから遠慮するな、自分の死骸なんだから」と遠慮せずに死骸を抱いてしまうことを促す八五郎。

すると熊五郎が

「でも兄貴、なんだかわからなくなっちゃった。抱かれているのはたしかにおれだけれど、抱いてるおれは、一体どこのだれなんだろう」

と言う。

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

「当人が自分の死体を引き取りに行く」という、あまりに不思議な噺ですが、八五郎と熊五郎のすっとぼけたやりとりが最高に面白い落語です。

粗忽者(そこつもの)とは「そそっかしい人」のことで、落語には「粗忽の〇〇」という演目がたくさんあります。

その粗忽シリーズの中でも個人的に一番好きなのが「粗忽長屋」です。

ぜひこの不思議でバカバカしい世界観を味わってください。

 

他の粗忽シリーズの例

⚫粗忽の釘

上方落語では「宿替え」として演じられる。江戸落語では「粗忽の釘」。そそっかしい男が引っ越しを行い、トラブルを起こす噺。

⚫粗忽の使者

原話は1701年に出版された「軽口百登瓢箪」に収録された話。「尻ひねり」とも呼ばれる演目。粗忽者の侍が使者として偉い人の屋敷に出向きトラブルを巻き起こす。

 

▼筆者おすすめ「粗忽長屋」が鑑賞できる作品

⚫林家たい平 落語集「粗忽長屋」「干物箱」(CD)

 

8 代書屋

あらすじ

 

自分で字が書けない男が、代書屋(=本人の代わりに書類や手紙などの代筆を行う商売)のもとに履歴書を代わりに書いてくれとやって来る。

代書屋はさっそく仕事に取りかかるが、何を聞いてもトンチンカンな答えばかりで一向に前に進まない。

 

 

名前、生年月日、住所、何ひとつまともに答えることができない男に困り果てながらも、必死に履歴書を完成させようと代書屋は四苦八苦。

果たして履歴書は完成するのか・・・。

 

–ネタバレ–

 

これ以上聞いても意味がないと思った代書屋は、最後に「賞罰」を聞く。

罰がないかを確認するために聞いたが実は賞があると言う「大きな賞状もろて、新聞に写真入りで載った」と聞いて代書屋は驚く。

「一昨年の秋の新聞社主催の大食い大会で大きなボタ餅を八十六食べて優勝して賞状もろて新聞に写真入り・・・・・」

「そんなアホなこと書けるかいな」

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

もとは上方落語ですが現在は東京の落語家も演じています。

昭和の初めに四代目・桂米團治が作った新作落語ですが、今では古典に近い演目となっており多くの落語家が演じています。

 

▼四代目・桂米團治

 

代書屋は何人かの客が出てくる噺ですが最後までやることは希で、ほとんどが一人目の客のくだりで噺を切ります。(上記ネタバレ部分は一人目の客のくだりまで紹介)

とにかく笑いどころ満載の落語ですっとんきょうな掛け合いは爆笑ものです。

 

▼筆者おすすめ「代書屋」が鑑賞できる作品

⚫柳家権太楼2「不動坊火焔」「代書屋」-「朝日名人会」ライヴシリーズ22(Amazon Music Unlimited)

 

このページでは滑稽噺を紹介してきました。落語には夫婦愛、親子愛、師弟愛など、人間の情愛を描いた「人情噺」があります。次のページでは人情噺の中でも初心者の方でもわかりやすい「名作」と呼ばれる古典落語を紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

初心者におすすめ古典落語の演目11選 【定番編】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

ここまでの第1章では落語の基本的な情報をお伝えしてきました。

この第2章では【定番編】【滑稽噺編】【人情噺編】に分けて3ページにわたって初心者におすすめの11の古典落語をご紹介します。このページでは【定番編】と題して「定番の落語」と「個人的におすすめしたい落語」を紹介します。

古典落語の演目の数は現在寄席で演じられているのは200~300くらいと言われており、やる人がほとんどいないものも全部合わせると、その数は500とも800とも言われています。その中から厳選しておすすめします。

 

「古典落語って何?」などの演目の基礎知識は第1章で解説!(現在は第2章)

 

定番落語

 

まずは誰でも演目名だけは聞いたことがあるであろう有名な定番古典落語をご紹介します。とてもわかりやすくて短い噺ばかりなので、古典落語初心者でも楽しめますよ!

 

1 寿限無(じゅげむ)

あらすじ

 

とある若夫婦に男の子が生まれる。

息子に長生きしてほしいから縁起の良い名前をつけたいと、父親の八五郎は寺の和尚に相談しに行く。

和尚はいくつもの名前を候補として提案。

八五郎は「どれもおめでたいから全部つけちゃえ」ということで、息子はとんでもなく長い名前になってしまいます。

 

▼つけられた名前(一例)

寿限無、寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子 パイポ パイポ パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助 

 

縁起の良い名前のおかげか息子はすくすくと成長するが、両親や友達など周りの人たちは長い名前をいちいち呼ばなければならない。

 

–ネタバレ–

 

大きくなってわんぱくになった息子。ある日「八五郎の息子になぐられてこぶができた」と八五郎の家にいいつけにきた子がいた。

「あーん、あーん、あのねぇ、おばさんのところの寿限無寿限無、五劫のすりきれ・・・(中略)・・・長久命の長助が、あたいのあたまをぶって、こんな大きなこぶができたよ」

「あらまあ金ちゃんすまなかったね。あんたきいたかい、うちの寿限無寿限無、五劫のすりきれ・・・(中略)・・・長久命の長助が金ちゃんのあたまにこぶをこしらえたんだって」

「じゃあなにかい、うちのうちの限無寿限無、五劫のすりきれ・・・(中略)・・・長久命の長助がこぶをこしらえたっていうのか。どれ金坊見せてみろ。こぶなんかないじゃないか」

「あんまり名前が長いから、こぶがひっこんじゃった」

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

長い名前が引き起こしてしまうドタバタがシンプルで面白い噺です。

この噺を聴けばあなたも必ず「じゅげむじゅげむ~」と口にしたくなるはずです!

 

筆者おすすめ「寿限無」が聴ける作品

古典落語である「寿限無」を聴くなら林家たい平さんのCDがおすすめです。

▼林家たい平

人気演芸番組『笑点』でお馴染みのたい平さんですが、古典落語をこれほどわかりやすく演じてくれる落語家は他にいないと思います。たい平さんのCDは古典落語初心者の方にはおすすめなのです。

▼林家たい平落語集 たい平のはじめの一歩(CD)

 

2 まんじゅうこわい

あらすじ

 

町内の若い男たちが集まって嫌いなものや怖いものについて話をしている。

ずっと黙っている辰さんに、どんなものが怖いかと聞いたら

「こわいものなんかない」

と答える。

 

腹が立った男たちが本当にないのかとしつこく聞くと、辰さんは「まんじゅうが怖い」と打ち明ける。

それを聞いた男たちは「ちょいといたずらをしてやろう」と計略を練る。

辰さんを脅かしてやろうと菓子屋から大量に饅頭(まんじゅう)を買ってきて、まんじゅう攻めにするが・・・。

 

 

–ネタバレ–

 

饅頭と聞いただけで震えだす辰さんは、布団をかぶって寝てしまう。

男たちは辰さんを怖がらせようと「気付け薬だよ」と言って枕もとに大量の饅頭を置く。

男たちが辰さんを見てみると「まんじゅうが怖い」と言いながら辰さんは饅頭を食べている。

してやられた男たちは辰さんに問う「オイ!食うのをやめろ!本当は何が怖いんだ!?」

「ここらで渋いお茶が一番怖い」と辰さんは答える。

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

自分を酷い目に遭わそうとしていることを知ってか知らずかわかりませんが、まんまと連中を騙してしまう辰さんの頭の良さに思わず感心してしまいます。

小学校に呼ばれた落語家が子供たちの前で演じることも多い、万人を楽しませる秀逸な落語です。

 

筆者おすすめ「まんじゅうこわい」が聴ける作品

「まんじゅうこわい」は桂文珍さんがおすすめです。

桂文珍さんは、1980年代以降「ニューウェーブ落語」と称したパフォーマンスがヒットしテレビ17本のレギュラーを持つようになりました。

独演会のチケットは入手困難と言われています。そんな文珍さんの「まんじゅうこわい」を是非お聴きくださいませ。

▼桂文珍(15)「宿替え」/「饅頭こわい」-「朝日名人会」ライヴシリーズ28 Live

 

3 時そば

あらすじ

 

天秤棒をかついで歩くそば屋を、ある男が呼び止める。

 

▼天秤棒をかつぐ人

 

男はそばを注文。男は、割り箸・どんぶり・つゆ・麺、とにかく何でもかんでも褒めまくりながらそばを食べる。

男は食べ終わり、勘定を支払う時になって

「細かい銭で払う。手の上の銭を置くから手を出してくれ」

と言い、一枚一枚銭を店主の手の上に置いていく。

「十六文だったね。ひー、ふー、みー、よー、いつ、むー、なな、やー」

と8まで数えたタイミングでそば屋の店主に「今何時だい?」と尋ねる。

「9時」と店主が答えると、9を飛ばして「とお、じゅういち、じゅうに・・・」と数えはじめて勘定をごまかす。

 

 

その様子を陰からこっそり見ていた男がいた。

翌晩、男は小銭を用意し、昨晩見たの男の真似をしようとそばを食べに出かける。

昨晩の男のと同じように振る舞おうとするが、どうにもうまくいかない。

そして勘定を支払う段になって・・・。

 

–ネタバレ–

 

「じゃあいいかい、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、いまなんどきだい?」

「へえ、四刻(よっつ)で」

「いつつ、むっつ、ななつ、やっつ・・・」

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

「時そば」は上方落語の「時うどん」が東京に移植されてできた噺で、内容はほぼ同じです。そばをすするリアルな描写も楽しめます。

 

「時そば」をより楽しむための豆知識
「時そば」は江戸時代を舞台に描かれている噺です。当時は長屋(ながや)と呼ばれる集合住宅にひとり暮らしをしている男性がたくさんおりそば屋さんは繁盛していたそうです。
筆者おすすめ「時そば」が聴ける作品

「時そば」は柳家小三治(やなぎや こさんじ)さんの作品がおすすめです。

小三治さんは存命する唯一の人間国宝の落語家であり「最後の名人」とも称されています。飄々とした表情でぶっきら棒にしゃべる語り口や、芸に厳しい姿勢などもあり「孤高の落語家」とも呼ばれています。

▼落語名人会(37)~柳家小三治13 初天神/時そば(CD)

▼柳家小三治さんについては第4章で詳しく紹介しています!(現在第2章)

個人的におすすめな古典落語

 

ここからは私が初心者の人に個人的におすすめしたい古典落語をご紹介します。

 

4 はてなの茶碗

あらすじ

 

京都清水のとある茶店で、京都一の目利きと言われる「茶金」という男が茶を飲んでいた。

茶金はふと茶碗に目を止め、不思議そうにひねくり回しながら「はてな?」とつぶやく。

これを見ていた油屋(油を売る商売人)の男。

 

 

あの茶金が注目するなら値打ちがあるものに違いないと、半ば強引に茶店の主人から茶碗を買い取る。

 

その後、油屋は茶金の店に茶碗を持って行き、茶碗を見てもらうが「値打ちがない」と言われてしまう。

油屋は茶店で「茶金さんが不思議そうに茶碗を見ていたところを見ていた」と伝えると、茶金は「この茶碗はどこも割れていないのに水が漏れるのが不思議だった」と言い、油屋はがっかりする。

気の毒に思った茶金は茶碗を買い取る。

そしてこの茶碗のことを周囲の人間に話すと「割れていないのに漏れる茶碗の話」があっという間に広がる。関白という地位の高い人の耳に入り、この茶碗についての句を詠み上げるなどをして茶碗の価値が上がる。そして最終的に千両で売れてしまう。

 

–ネタバレ–

 

茶金さんは千両の半分を油屋に渡す。喜ぶ油屋。

数日後、茶金さんの店を訪れる油屋。

そして「十万八千両の儲けや!」と言う油屋。茶金さんが「なんやて?」と驚くと「水瓶の漏れるやつ。見つけて来た」と油屋。

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

価値のないはずの安い茶碗にどんどん値がついていく過程が面白い。

最後にまた油屋が現れる、楽しいオチ(サゲ)にも注目です。

 

筆者おすすめ「はてなの茶碗」が聴ける作品

「はてなの茶碗」は桂米朝さんの作品がおすすめです。

上方落語界初の人間国宝の米朝さん。巧みな話術とギャグセンスに溢れた米朝さんの「はてなの茶碗」を是非堪能ください。

▼特選!!米朝落語全集 第四集(DVD)

 

5 松山鏡

あらすじ

 

鏡のない松山村に、「正直正助」という男が住んでいた。

親孝行な正助の評判が領主に届き、ごほうびがもらえることに。

望みを聞かれた正助は、死んだ父親にもう一度会いたいと言う。

 

 

すると領主は、箱に入れた鏡を取り出す。

正助が箱の中を覗くと中の鏡に正助の顔が映る。

鏡を知らない正助は、父親に会えて大感動。

 

 

領主は他人には見せないようにと申しつけ、箱に入った鏡をほうびとして与える。

正助は納屋(=物置小屋)のつづらの中に箱を隠し、毎朝、毎晩、そこへ足を運び、鏡に向かって話しかける。

 

▼つづら


By Ocdp投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

それを不審に思った女房のお光が、正助の留守に納屋へ行き、つづらのふたを取って鏡に映った自分の顔を見る。

同じく鏡を見たことがないお光は、正助が女をかこっていると思いこみ、帰って来た正助を問い詰め、夫婦ゲンカに発展してしまう。

 

–ネタバレ–

 

ちょうど表を通りかかった尼さんが夫婦喧嘩の仲裁に入る。

事情を聴く尼さん。女房のお光は「あれは女だ」と言い、正助は「あれは父だと」言う。尼さんが「自分が会ってよく言い聞かせる」と鏡を覗く。

そして尼さんが「ふふふ、お光よ、正さんよ、喧嘩せねえがええよ。おめえらがあんまりえれえ喧嘩したで、中の女ぁ、尼になって詫びている」と言う。

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

鏡が珍しい時代ならではの噺です。

出てくる人物がすべて善人で、ほのぼのとした世界観が味わえます。

 

次のページでは、ただただ笑えるおもしろい落語である「滑稽噺」を3つ紹介したいと思います。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

六代目 三遊亭圓生 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「人情系の噺の第一人者」と言われる三遊亭圓生さんを紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

六代目三遊亭圓生とは

名前 六代目三遊亭圓生(ろくだいめ さんゆうてい えんしょう)
本名 山﨑 松尾
生年月日 1900年(明治33年)9月3日/没年 1979年(昭和54年)
弟子 ・5代目三遊亭圓楽(日本テレビ「笑点」の司会を務める)
昭和の代表的な落語名人の1人であり「人情系の噺の第一人者」と称される。皇居に招かれて宮中で落語を演じた初めての落語家。文化庁芸術祭大賞や芸術選奨文部大臣賞受賞、勲四等瑞宝章など華々しい受賞歴がある。テレビ・ドラマ・CMにも数多く出演し、ハウス食品の豆腐のCMに出演した際に発した「バカウマ」という言葉が話題となる。

 

略歴

 

大阪で生まれた圓生さんは、母親とともに東京に出て「子供義太夫(=義太夫をやる子供)」として寄席に出演します。

10歳頃に落語家に転身し「橘家圓童(たちばなや えんどう)」と名乗ります。

1920年(大正9年)「五代目橘家圓好」で真打昇進。

 

1941年(昭和16年)に「六代目三遊亭圓生(さんゆうてい えんしょう)」を襲名。

終戦直前、前のページで紹介した五代目古今亭志ん生(ここんて しんしょう)とともに、旧満州に慰問興行をするために渡りますが終戦となったため帰国できなくなり、約2年ほど満州で過ごします。

1947年(昭和22年)に寄席に復帰し、この頃から人気が出始め数々の賞を受賞します。

1965年(昭和40年)からは落語協会会長を7年近く務めました。

 

1978年(昭和53年)「落語協会分裂騒動」を引き起こし、その結果弟子を連れて落語協会を脱退してしまいます。

「落語協会分裂騒動」は実力に関係なく二つ目昇進から10年以上経てば真打に昇進できるという「大量真打昇進制度」に反対したことがきっかけとなって起こった騒動で、脱退後は新協会・落語三遊協会を設立します。

芸に厳しい圓生さんだからこそ、真打昇進への考え方も厳しかったのだろうと思われます。

 

六代目三遊亭圓生のココがすごい!

① 芸の鬼

 

圓生さんは芸の虫・芸の鬼と言われていたほど芸については厳しい人だったようで、いつでもどこでも落語の稽古をしていたそうです。

仕事のない日も机に向かって一日中、何かを読んだり書いたりしていたそうで、博覧強記(はくらんきょうき:物事を広く知っていること)の人であったといわれています。

稽古だけでなく、とにかく勉強熱心な人だったのだろうと思われます。

 

② 群を抜くネタ数の多さとクオリティ

 

持ちネタの多彩さ、そのクオリティの高さとともに「他の追随を許さない」といわれる圓生さん。

「軽い”滑稽噺”」から「色気たっぷりの”廓噺(くるわばなし)”」「鳴り物が入る”音曲噺”」そして「泣かせる”人情噺”」まで、様々な噺を口演しそのどれもが超一流だったといわれています。

圓生さんは落語の登場人物それぞれに愛情を注ぎ、練り上げていくことに並々ならぬエネルギーを持っていたそうです。

役者が役作りを行うように、丁寧に人物像を作り上げていく作業を最も意識的に行い、それぞれをいかにもそれらしく描写することで高い評価を受けていった人なのだろうと思います。

 

③ 落語家初の宮中御前口演

 

1973年(昭和48年)圓生さんは落語家として初めて宮中(きゅうちゅう)へ招かれて「御前口演」を行った人です。

初代三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)が明治天皇の御前で落語を披露したそうですが、宮中、いわゆる皇居に招かれて落語をやったのは圓生さんが初めてだそうです。

 

▼初代三遊亭圓朝については前ページで詳しく紹介!

 

ちなみに昭和天皇両陛下の御前で披露したのは「御神酒徳利(おみきどっくり)」です。

また、圓生さんは、亡くなる半年前の1979年(昭和54年)3月には、歌舞伎座で落語家として始めての独演会を開催して大成功をおさめています。

 

御神酒徳利(おみきどっくり)のあらすじ
旅籠(はたご=今で言うホテルのようなところ)で使用人の善六が掃除している時。善六はその家の家宝の御神酒徳利(=神前に供える徳利)を盗まれないように水瓶の中に沈めておいた。しかし善六はそのことを忘れてしまい、大事な御神酒徳利がなくなったと大騒ぎになる。

 

▼六代目三遊亭圓生「御神酒徳利」収録作品:六代目 三遊亭圓生 名演集 1 お神酒徳利/二十四孝

 

④ 人物描写と人情噺の第一人者

 

圓生さんの魅力は人物描写の巧みさと、それを活かした人情噺のうまさにあります。

人情系の噺の第一人者といわれる圓生さんは「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」「牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」「乳房榎(ちぶさえのき)」(いずれも初代三遊亭圓朝の作品)などを得意としていました。

ちなみに「牡丹灯籠」は、圓生さんの演目で私が特に好きな演目です。大袈裟な演出やむちゃくちゃな展開、余計なギャクなど、特別なことをやらずに安心して聴ける語り口が好きです。

 

▼「牡丹燈籠」収録作品:圓生百席(46)

 

また、圓生さんは芸の主眼を人物描写においており、登場人物の性格や感情の表現が無類にうまい人だったようです。

人物描写のうまさを感じれる演目は「死神」です。全体を通して死神のなんとも言えない不気味さが素晴らしいです

 

▼「死神」収録作品:六代目 三遊亭圓生(4)花筏/やかん/死神

 

⑤ 集大成のレコード

 

圓生さんは速記本(=落語や講談などが文字に起こされている刊行物)の「圓生全集」を出していました。

「『圓生全集』のレコード版を作りたい」というレコード会社からの要請を受け「三遊亭圓生 人情噺集成」と数ある持ちネタの中から自ら100席を選んだ「圓生百席」を6年間かけて作り上げました。

これらは高座(=演芸を演じる場所、またそこで演じること)をそのまま録音したものなどではなく、歌手の人がやっているようにスタジオで録音して作ったものでした。

芸事に妥協しない圓生さんは「とにかく最上のものを残したい」という強い思いで臨み、徹底的にこだわり抜いて完成させたといいます。

落語のレコードとしては最大級の規模(2つの作品集を合わせてLP115枚)で、価格も破格の高さでしたが、かなりの売り上げがあったそうで、これを真似て似たようなレコードを作る落語家が続出したといいます。

制作を始めたのは圓生さんが70歳を超えてからだったそうですが、編集にもすべて立ち合い、一文字もおろそかにせず、すべての噺を聴いて自分の芸を確かめたというからその熱量たるや驚くほかありません。

こうして完成した圓生さんの録音は、「最大至高の古典」といっても過言ではないでしょう。

 

筆者おすすめ作品

 

⚫圓生百席(55)真景累ヶ淵(しんけいかさねがぶち)~1「宗悦(そうえつ)殺し」~2「深見新五郎」

 

⚫圓生百席(23)品川心中(上・下)/死神

 

次のページでは落語界初の人間国宝となった「五代目柳家小さん(やなぎや こさん)」さんの紹介をします。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

五代目 古今亭志ん生 【おすすめ落語名人9選】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「酔って高座に上がっても面白い」と言われる「古今亭志ん生」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

五代目古今亭志ん生とは

名前 五代目古今亭志ん生(ごだいめ ここんていしんしょう)
本名 美濃部 孝蔵(みのべ こうぞう)
生年月日 1890年(明治23年)6月5日/1973年(昭和48年)
家族 長男は十代目金原亭馬生(きんげんてい ばしょう)、次男は三代目古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)
弟子 ・10代目金原亭馬生(落語協会副会長を務める)
3代目古今亭志ん朝
戦後の東京落語界を代表する落語家の1人に数えられる。プロ野球選手の王貞治や長嶋茂雄と並ぶほどの人気があったと言われている。芸風は「天衣無縫(てんいむほう:技巧のあとがなく自然で美しいこと。天真爛漫の意)」と称される。

孫に女優の池波志乃であるが2019年にNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』で古今亭志ん生の妻役を演じる。ちなみに、同ドラマにおいて古今亭志ん生の役をビートたけしが演じる。ビートたけしは志ん生のことを「最も尊敬する落語家」と語っている。

 

略歴

 

東京・神田生まれの生粋の江戸っ子である志ん生さんは、子供の頃から父親に連れられて寄席通いをしていました。

11歳の時、素行が悪いため小学校を退学となり、奉公(お手伝いさん)に出されますがなかなかひとつのところに勤め続けることができず奉公先を転々とします。

そして酒や博打に手を出し家出して放蕩生活(ほうとうせいかつ)を続け、二度と実家へは戻らず親や兄弟の死に目にも会っていないとのことです。

 

放蕩生活を送っていた頃から芸事に関心を持つようになり、素人やセミプロの芸人集団に出入りするようになります。

1907年頃に三遊亭圓盛(さんゆうてい えんせい)に弟子入りし、三遊亭盛朝(せいちょう)を名乗り志ん生さんの落語家人生がスタートします。

そして1921年(大正10年)金原亭馬きん(きんばらてい ばきん)で真打昇進。1924年には講釈師に転向しますが、2年で落語家に復帰しています。

 

「講釈師」とは
日本の伝統芸能である「講談」を職業にする人。講談は、張り扇で釈台(=小さな机)ををパパンと叩きながら、歴史にちなんだ読み物を面白おかしく読んで聞かせる芸。

 

その後、何度も師匠と名前を変えながら、1939年(昭和14年)に「五代目古今亭志ん生」を襲名。

1957年(昭和32年)には8代目桂文楽(かつら ぶんらく)の後任として、4代目落語協会会長に就任します。

 

▼8代目桂文楽

 

五代目古今亭志ん生のココがすごい!

① 八方破れの芸風が50代で開花

 

志ん生さんは50代で人気が出た遅咲きの落語家です。

若い頃の志ん生さんは他の落語家からの評価もそれほど高いものではなく「喋りがうまくない」「人間描写がいい加減」「高座の出来不出来の波が激しい」などの評判もあったようです。

そのため志ん生さんの芸風は「八方破れ(=すきだらけに見える様子)の芸風」と言われていました。

しかし、通称「なめくじ長屋」と呼ばれるなめくじが出るジメジメとした貧乏長屋に住み、大好きなお酒を飲みながら放蕩無頼(ほうとうぶらい:勝手気ままに振舞って素行が悪い)の生活を続ける中で培った軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ:軽やかでおしゃれ)な語り口が受け入れられるようになり、50歳を過ぎて花開いたのです。

 

② 温かみのあるリアルな人間描写

 

志ん生さんの落語の大きな魅力のひとつは「リアルな描写力」です。

それはただ「演技力がある」というレベルの話ではありません。

落語の登場人物の多くが持つ「やりきれなさ」「絶望感」「ひもじさ」などが自然と伝わってくるのです。

 

「やりきれなさ」「絶望感」「ひもじさ」が伝わってくる演目

⚫文七元結(ぶんしち もっとい)

該当シーン1:働かずに借金を作るばかりの亭主を抱えているうえに、娘のお久がいなくなって泣いている女房のお兼。

該当シーン2:50両の大金をすられた長兵衛が身投げしようとする場面 。

▼収録作品:NHK落語名人選100 23 五代目 古今亭志ん生 「文七元結」

 

それは志ん生さん自身が「貧乏で借金まみれの生活を送ったこと」や「戦争中に満州に慰問に出たまま帰国できなくなって2年弱という期間を現地で過ごした」ことなど、様々な経験を経ているがゆえのものだと思います。

そうした経験が登場人物に反映されているからこそ、自然とリアルな「人間味」が出てくるのではないでしょうか。

 

特に「お酒が飲みたくしょうがない感じ」は天下一品です。

志ん生さんは「あ~」とか「う~」とか、声にならない声が絶妙で「あ~~」と軽くうめくような声をあげながらお酒を飲むしぐさは「本当に美味しそうなお酒だなぁ」と思わせてくれます。

聴き手の想像力を刺激する描写力のすごさは、神の領域といってもいいでしょう。

 

▼「お酒が飲みたくてしょうがない感じ」が堪能できる演目「親子酒」収録作品

⚫昭和の名人~古典落語名演集 五代目古今亭志ん生 二十一

 

③ そこにいるだけで面白い

 

志ん生さんはもはや「面白い」や「うまい」といった次元を越え、はるかその上をいっている人なのではないかと思います。

私は実際に生で志ん生さんの落語を観たわけではありませんが、高座に出てきただけでお客さんが「志ん生が出てきた!」と沸くような存在だったんじゃないかと思うのです。

落語の世界では「客は作品ではなく演者を聴きにくる」といわれることがありますが、志ん生さんはその最たる人で、座布団の上に座るまでに志ん生さんの世界が出来上がってしまう。そんな人ではなかったか、と思えてなりません。

 

④ 多すぎる改名

 

志ん生さんは何度も「師匠」と「名前」を変えていることでも有名です。

志ん生さんの若い頃についてはほとんど記録が残っておらず、本人の記憶も曖昧ですが、16回ほど改名しているそうです。

その目的は「借金取りから逃れることと、一向に芽が出ない状況を打開する願いを込めてのことだった」と言われています。

 

⑤ 酔って高座に上がる

 

お酒がとにかく大好きな志ん生さんは、お酒に関する様々なエピソードがありますが、酒に酔って高座に上がったことが何度かあるそうです。

1958年の「東横落語会」では酒に酔って大幅に遅刻をしたうえに、赤い顔のまま高座に上がり怪しい呂律で落語をやったといいます。

噺はあちこちに飛んでばらばらに乱れたけれど、その様子が滑稽極まりなくお客さんは爆笑し、その日一番の拍手を浴びたそうです。

高座でそのまま寝てしまうこともあったそうですが「寝ている姿も面白い」といわれていたそうで、高座で寝ても客が笑って許してくれる落語家は志ん生さんくらいではないでしょうか。

 

ますます味が出てくる晩年の志ん生さん

 

志ん生さんは1961年(昭和36年)末に脳出血で倒れ、翌年に高座復帰します。

それからの高座は以前の型破りな芸風がなりを潜め、ここを境に五代目志ん生の「病前」「病後」とも呼ばれるようになりました。

若いときの志ん生さんはしゃべりのスピードがかなり早いですが、晩年の志ん生さんはスピードが落ち、滑舌も悪く、間も少し長くなっています。

ただ、これが独特の味わいを醸し出しており、これはこれで「うまい芸だな」と思わせるものがあります。

 

志ん生の十八番

 

次のページで紹介する六代目三遊亭圓生(さんゆうてい えんしょう)と並び、戦後東京落語界の中では持ちネタの多さでも知られる志ん生さん。

「抜け雀」「二階ぞめき」「居残り佐平次」など十八番を挙げればキリがありませんが、中でも「火焔太鼓」は「志ん生の火焔太鼓か、火焔太鼓の志ん生か」といわれるほど、志ん生さんならではの絶品の一席です。

「火焔太鼓」では、女房に怒られたり呆れられたりする甚兵衛さんですが、女房に対するすっとぼけた返しが絶妙に面白いです。

打っても響かず、飄々としてつかみどころのない人物を演(や)らせたら志ん生さんの右に出るものはいません。その人物像を特に楽しめるのが「火焔太鼓」です。

 

▼筆者おすすめ作品

⚫古今亭志ん生 名演大全集 1[CD]

1. 火焔太鼓
2. 黄金餅
3. 後生うなぎ
4. どどいつ、小唄

 

次のページでは「人情系の噺の第一人者」と言われる三遊亭圓生さんを紹介します。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

クラシックコンサートの客層 【鑑賞方法⑤】

Webon紹介目次著者
クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

クラシックコンサート初心者入門こちらから!

著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

『クラシックコンサート初心者入門』目次へ  (全13ページ)

 

楽天チケット

 

クラシックコンサートに普段足を運ばない方は「一体どんな人が来ているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

このページではクラシックコンサートの客層について紹介します。クラシックコンサートの雰囲気をつかむのに役立つかと思います。

 

1 楽器を習う子供とその親

 

クラシックコンサートで良く見かけるのが、親子連れで来ている家族です。

このような家族の場合、子供が楽器を習っている場合が多いようです。楽器を習っている子供にとって、コンサートでプロの演奏を目の前にすることは、何よりモチベーションにつながります。

「将来、自分もこんなふうになりたい!」

と思うことで、普段の練習にもより一生懸命取り組むことができるでしょう。

 

また、親に楽器の経験があり、親が子供にも習わせたいと考えている場合もあるようです。

子供向けのプログラムが組まれたコンサートに連れていくことで、音楽に対して楽しいイメージをもってもらい「音楽を習うきっかけづくりにしたい」と考えているのでしょう。

実際、私が通っていたピアノ教室でもコンサートがきっかけでピアノを始めた男の子がいました。好奇心旺盛な子供にとっては刺激的な体験となりうるのでしょう。

 

2 音楽家を目指す学生

 

コンサートには意外と若い人もいるのです。

若い人の場合は、単に趣味としてコンサートに来ているだけでなく「将来は音楽家になる」と決心している音高生・音大生(音楽高校・音楽大学の生徒)である可能性があります。

私も音大志望だった頃はその一人でした。

 

音高生・音大生にとって、クラシックコンサートに足を運ぶことはモチベーションアップにつながります。それだけでなく、プロの演奏を見て自分の演奏の参考にしようとしていることが多いようです。

多くのプロの演奏を聴くことで、自分の演奏を多角的に見つめ直すことができるのです。

 

3 クラシックの教育関係者

 

クラシックコンサートに足を運ぶ人の中には、講師の方など、クラシック音楽の教育に携わる人もいます。

自分の生徒がコンクールで演奏する曲がプログラムに含まれているコンサートに足を運び、自らの指導に役立てようとしている場合もよくあります。

また、コンサートに出演する方から直々にお誘いを受け、コンサートに足を運ぶという場合も少なくないようです。

 

4 クラシック好きのお年寄り

 

クラシックコンサートに足を運ぶ人の中にはクラシック音楽が好きなお年寄りも少なくありません。

若いうちはポップな音楽をよく聴く人が多いですが、年を重ねてくると、そのようなテンションが高めの曲から、クラシック音楽のような落ち着いた音楽にシフトしていく人が少なくないようです。

コンサートに行く理由として、まだまだYouTubeを日常的に利用するお年寄りがそれほど多いわけではないことも挙げられるのかもしれません。

 

クラシックコンサートというのは、趣味で楽しんでいるような人から、本格的にクラシック音楽に取り組んでいる人まで、幅広い層が楽しんでいます。

クラシック音楽に詳しくなくても楽しめるイベントなので、気負う必要など全くないのです。

以上、このWebonではクラシックコンサートの楽しみ方や鑑賞方法などをお伝えしてきました。敷板が高くないことが伝わり、実際に会場に足を運んでいただければ幸いです。

『クラシックコンサート初心者入門』目次へ  (全13ページ)

 

楽天チケット

 

クラシックコンサートの楽しみ方② 【バンドライブとの違い】

Webon紹介目次著者
クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

クラシックコンサート初心者入門こちらから!

著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

『クラシックコンサート初心者入門』目次へ  (全13ページ)

 

楽天チケット

 

クラシックコンサートでは「臨場感」や「リアルな音」が得られますが、それはバンドのライブなどでも同じです。しかし、クラシック音楽のコンサートというのはバンドのライブとは一線を画しているところがあります。

このページでは、バンドのライブと比較することでクラシックコンサートならではの楽しみ方を明らかにしていきます。

 

バンドのライブとの相違点

 

「ライブ」というと、一般的にはバンドのリサイタルをイメージする方が多いことでしょう。

しかし「ライブ」とはもともと英語で「生」という意味です。従って「クラシックコンサートも一種のライブである」ということが言えます。

前のページでコンサートの魅力は「音楽が生み出されるまさにその場に立ち会うことができる事である」とお伝えしましたが、バンドのライブもここは共通です。

両者の大きな違いは「お客さんと演者が一体になって盛り上がるかどうか」だと言えると思います。

 

 

一般的なバンドのライブというのは、ファンたちが、そのバンドオリジナルのうちわやタオル等のファングッズを持って一緒に盛り上がるというイメージだと思います。

ボーカルの人とファンが一緒に歌うこともできますし、音楽に合わせてジャンプするなど体を動かすことも可能です。

 

しかし、クラシックコンサートというのはそのようなイベントとは性質を異にしています。

クラシックコンサートでは観客は自分の席にじっと座って演奏を聴くことに集中しなければなりません。また、演奏が終わった後の拍手を除くと、演奏に対するレスポンスをコンサート中に見せるということはマナー違反になってしまいます。

したがって、クラシックコンサートというのはライブのように、演奏者とファンが一体となって作り上げられるものではありません。

クラシックコンサートでは観客はじっと座って演奏を聴くこと、集中することが求められるのです。

 

クラシックコンサートならではの魅力


photo by Quincena Musical

 

さて、クラシックコンサートではなぜ、観客はじっと座って演奏を聴くことに集中することが求められるのでしょうか。

クラシックコンサートにおいては音楽を作り上げるのは演奏者だけです。

クラシックコンサートは「作曲者のメッセージを汲み取った演奏者がそれを表現する場」なのです。演奏者が汲み取ったメッセージを表現するプロセスには、観客が介入する余地がありません。

観客に求められることは「演奏者が表現したものをありのままに受け取ろうとする姿勢」なのです。

そのように聞くと、バンドのライブが好きだという方などからすると、なんだか物足りないような気がしてしまうかもしれません。

しかし、クラシックコンサートでは「演奏者が表現したものをありのままに受け取ろうとする姿勢を求められること」にこそ魅力があると言えます。

 

ライブの場合は基本的に「盛り上がること」に主眼を置いており、音楽そのものの質というのはそこまで問われません。観客が最も盛り上がることができる形へ自在に変化していくわけです。

しかし、クラシックコンサートというのはどちらかというと美術館鑑賞のようなもので「受け取ったものに対して鑑賞者がどのような感じ方をするのかということ」に主眼が置かれています。

そのため、演奏者は音の一つ一つに細やかな気配りをし、演奏の質を保証する必要があるのです。

バンドにもこのような要素がない訳ではないですが、クラシック音楽ではそこにより重きが置かれているのです。

 

 

ぜひ、実際にコンサートに足を運ぶ際は、一つ一つの音に耳を傾けて演奏者の内に秘める感情の揺れ動き・自らの作品に対する解釈の発露を感じ取ってみてくださいませ。きっとそのような楽しみ方は、バンドのライブではなかなかできないものなのではないかと思います。

 

さて、今回はクラシックコンサートの魅力をバンドと比較してみてきましたが、次のページではCDやYouTubeと比較することで、さらにクラシックコンサートの魅力を明らかにしていきましょう。

『クラシックコンサート初心者入門』目次へ  (全13ページ)

 

楽天チケット

 

寄席の基礎知識 【寄席の鑑賞方法①】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

落語には様々な鑑賞方法があると思いますが、その中でも生で落語を鑑賞することができる「寄席」はおすすめです。

この第3章では寄席の鑑賞方法について3ページにわたって解説しております。【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】について知れば、実際に足を運びたくなることでしょう。

 

寄席とは

 

寄席(よせ)とは、落語や講談などの演芸を魅せるための劇場のことを言います。また、基本的には「寄席」とは小屋そのものを指しますが、興行自体を指すこともあります。

 

開催日

 

基本的に寄席は毎日やっています

昼と夜の2部制が基本で、「昼の部」は正午前から始まり、「夜の部」は午後5時前くらいから始まることが多いです。

ほとんどの寄席が入れ替え制ではないので、ずっと中にいて一日中たっぷり落語を楽しむことができます。

 

 

お正月は通常より多くの演者が出る「顔見せ興行」というのがあり、そのときは一日三部構成になることがあります。

落語を聴ける場所は、地域寄席やホール落語(「~会館」や「~ホール」など、通常は演芸を上演しない場所でやる落語)など、寄席以外にもあり、居酒屋や蕎麦屋、小学校などでやることもあります。

 

プログラム内容


▲プログラム

 

寄席のプログラムは、上席(毎月1日~10日)、中席(毎月11日~20日)、下席(毎月21日~30日)で内容が変わります。

初めて行くときは、好きな落語家や知っている落語家が出演するときに行くのが良いでしょう。

誰がどの演目をやるかについては、残念ながら事前に知ることはできません。

他の落語家と演目がかぶらないように、出番を待っている間にネタを決めるからです。

 

チケットの買い方

 

寄席のチケットは基本的に予約・前売りはなく、当日券(自由席)だけです。

寄席の入り口には木戸(券売所)があり、ここで木戸銭(入場料)を支払ってから寄席に入ります。

 

【編集者コラム】なぜ入場料を「木戸銭」と言う?
寄席の入り口のことを木戸と言います。その木戸をくぐって入場することから「木戸銭」と呼ばれる、と言われています

 

特別興行でない限り、木戸銭は2500円~3000円程度が相場です。

この金額で一日中楽しめると考えたら安いものですね!

 

 

寄席で会場に入るまでの流れ
①まずは木戸(入り口)でチケットを買います。

②入り口でチケットを渡す。半券とプログラムをもらい入場することができます。

③席は基本的には自由席 。好きな席に座りましょう。

 

マナー

 

マナーと言っても特別なことは何もありません。

普通に席に座って観るだけです。もちろん携帯電話の電源を切ったり、本番中は私語をしないなど最低限のマナーは守らなければいけませんが。

基本的に客席の出入りも自由ですが、他の方の観劇の邪魔にならないように、ひとつの演目が終わった直後(演芸と演芸の間)にするようにしましょう。

もちろん寄席にドレスコードなんてものはないので服装は自由です。

ただ「着物割引」などをやっている寄席もあるので、慣れてきたらチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

 

【Webon編集部男性の声】飲食OKの演芸場

コンサートや舞台に足を運ぶと、飲食が禁止されているところが多いでしょう。しかし、演芸場によっては、飲食がOKな場合もあるのです。私も友人と浅草演芸ホールに足を運んだ際に、お酒とを飲みながら落語を満喫しました。

そのまま聴いても落語は面白いですが、ほろ酔いで観る落語はまた違う贅沢な楽しみがあります。飲食は自由とはいえ、音を立てすぎると周囲の迷惑になってしまうので、おつまみは「乾き物」がおすすめです。

途中で甘い物が欲しい時もありますので「グミ」も噛んだ時に音が鳴らないので重宝します。

 

落語以外も楽しめる

 

寄席に出演する芸人は落語家だけではありません。

色物(いろもの)と呼ばれる、漫才や漫談、コント、マジック、紙切り、腹話術など、いろいろなジャンルの芸人が登場するので、とってもお得です。

まさに寄席は「芸の博覧会」と言えますね。

 

 

親子で楽しめる「親子寄席」

 

寄席はさまざまな年代の方が集まるところです。子供を連れた家族もよく見かけます。

ただし、あまり小さなお子さんだと途中で泣き出したり騒いだりして、他のお客さんの迷惑になることもあるので注意が必要です。

そもそも未就学児は基本的に寄席に入場できません

地域寄席や行政が主催する公演などでは、親子で本物の落語を楽しめる「親子寄席」が催されることもあるので、そのような機会を利用して子供と一緒に落語を楽しんでみるのも良いでしょう。

 

以上、寄席の鑑賞方法でした。

寄席に入るハードルが高くないことが伝わったのではないかと思います。次のページでは「都内おすすめ落語スポット」を紹介します。お酒を飲みながら落語を観られる場所があるなど、知れば知るほど実際に足を運びたくなるかと思います。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

人気のおすすめ落語家4選 【寄席の鑑賞方法③】

Webon紹介目次著者
落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

この第3章では【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】と3ページにわたって寄席の鑑賞方法をお伝えしております。

このページでは人気と実力を兼ね備えた、いま人気の落語家を4人紹介します!

実際に寄席に落語を観に行くなら、ぜひこの人たちを観てほしいと思います。

 

1 春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)

生年月日 1978年1月28日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語
師匠 春風亭一朝

 

一之輔さんは、今最も人気のある落語家と言ってもいいかと思います。

「NHK新人演芸大賞落語部門大賞」や「文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞」など数々の賞を受賞し、若手の頃から頭角を現した一之輔さんは、2012年に21人抜きの抜擢で真打昇進を果たしました。

滑稽噺から人情噺まで200以上の持ちネタがあり、年間900席もの高座をこなす超売れっ子です。

 

熊さん(=熊五郎。様々な落語に登場するキャクターであり、乱暴者な性格)や与太郎(=落語の代表的な登場人物で、楽天的で呑気な性格)など、古典落語に出てくる人たちを現代風に変え、現代の人にもわかりやすい内容にして演じることでも知られています。

自分のことを「ひねくれもの」と言っている一之輔さんですが、人物描写にもそこがよく現れているような気がします。

 

 

一之輔さんの得意演目である「初天神」に出てくる子供の憎たらしさが私は大好きです。

「初天神」は一之輔さんの出演する寄席や独演会に行くと聴けるかもしれませんが、何を演じるか当日までわからないことが多いです。そのため、確実に聴くならCDです。「初天神」は下記CDに収録されています。

 

▼「初天神」が収録されてるCD:春風亭一之輔

 

おすすめ作品

芝浜とシバハマ【CD】

 

三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)が創作した古典落語の名作「芝浜」に一之輔さんが挑んでいます。

寄席のスタンダードナンバーである「代脈(だいみゃく)」収録した、進化が止まらない一之輔さんの魅力がぎっしり詰まった豪華二枚組です。

 

2 柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)

生年月日 1963年11月30日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語&新作落語
師匠 柳家さん喬

 

古典落語と新作落語、どちらも自在に演じ分ける喬太郎さん。

 

▼古典落語と新作落語の違いは第1章で解説(現在は第3章)

 

柳家喬太郎さんは、独自の世界観で楽しませてくれる爆笑必至の新作落語が最高です。

喬太郎さんは落語家になる前は大手書店のサラリーマンだったということもあり、サラリーマンの悲哀や、スポットライトが当たらないような人や趣味などを題材にしたネタを得意としています。

 

古典落語にも定評があり、喬太郎さんならではの解釈や演出を加え、「喬太郎の古典」にしてしまうところがあります。

表情や所作が抜群におもしろいので、生の寄席や動画で観るとより楽しめる落語家です。

大のウルトラマン好きであり、ウルトラマンをテーマにした落語会を開催したり、江戸川乱歩の作品を落語風に演じたりするなど、落語をさまざまな角度から見せてくれるエンターテイナーであることも喬太郎さんの魅力です。

 

 

おすすめ作品

 

柳家喬太郎 名演集1 寿限無/子ほめ/松竹梅 【CD】

誰でも知っている古典落語「寿限無」と古典のメジャー作品「子ほめ」「松竹梅」が収録されています。定番落語とメジャー作品がバランスよく入っているので、初心者の方におすすめです。

 

定番古典落語「寿限無」の噺の内容は第2章で解説!(現在は第3章)

 

3 立川志らく(たてかわ しらく)

生年月日 1963年8月16日
所属 落語立川流
ジャンル 古典落語&シネマ落語
師匠 立川談志

 

2017年上半期のブレイクタレント部門1位にランクインし、今やすっかりテレビでもお馴染みの人となっている志らくさん。

師匠の7代目立川談志さんの影響かどうかはわかりませんが、そのひねくれ方、毒の強さは一級品です。

 

▼7代目立川談志さん

 

90年代には仲間の落語家たちと「“超”放送禁止落語界」と銘打った、差別用語連発の演目を披露する寄席を開催したというのだから驚きますね。

 

志らくさんは古典落語を演じる落語家ですが、真打昇進後に「シネマ落語」を開拓。

これは、ローマの休日を「吉原の休日」、タクシードライバーを「人力車」など、有名な映画の舞台を江戸時代に変えて演じるというもので、映画監督や映画評論家としても活躍する志らくさんならではの、エンターテイメント性あふれる落語です。

シネマ落語は定期的に公演が行われているので、古典落語がどうしてもとっつきにくいという方は、まずシネマ落語を聴いてみるのもありだと思います。

 

▼シネマ落語の参考情報

おすすめ作品

 

⚫志らく 第五集「青菜」「粗忽長屋」「品川心中 上下」 【DVD】

 

落語DVD 初の自身解説の副音声が入っています。

噺の解釈や演出の狙いから、自身へのダメだしまで、さまざまなことを落語と同時進行で解説。自身による立川志らく批評が楽しめる貴重な作品集です。

 

4 桃月庵白酒(とうげつあん はくしゅ)

生年月日 1968年12月26日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語
師匠 五街道雲助

▼まくらを披露する桃月庵白酒さん

 

よく声が通り、聴き心地の良さが抜群の落語家です。

子供や酔っぱらい、泥棒、花魁(おいらん)まで、リアリティ溢れる人物描写が非常にわかりやすく、噺の筋がわからない人(落語初心者で噺を理解するのが難しい人)でも理解しやすいと思います。

丸顔でふっくらとした愛嬌のある風貌ですが、マクラ(演目に入るまえの小話)では、ちょっと毒っ気のある話を繰り広げるのも特徴。

そのギャップと舌鋒鋭い(ぜっぽうするどい:弁舌が鋭い)本格的な落語で聴く者を圧倒します。

地味な演目でも楽しく聴かせる天才、そんな白酒さんの、新感覚爆笑古典は必見です!

 

おすすめ作品

 

⚫毎日新聞落語会 桃月庵白酒3「らくだ」「死神」【Amazon Music Unlimited&CD】

この先いったいどうなるのかとハラハラドキドキさせられる「らくだ」と、ひと癖もふた癖ある死神の言動が面白い「死神」。

白酒流にアレンジされた古典落語の名作を存分に楽しめます。

 

以上、落語初心者でも楽しめるおすすめの落語家さん4選でした。

次のページは自宅での落語鑑賞方法についてお伝えします。落語は生の醍醐味を感じていただきたいですが、アプリやストリーミングを活用すれば自宅でも楽しむことができるのです。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)
 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

目次著者

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから