2.5次元舞台の音響効果の楽しみ方② 【効果音の作り方】

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2.5次元舞台は映像・照明・音響などの「裏側」に注目するのがおすすめ!刀の効果音は刀の長さや種類によって音が変えられていたり、裏側に秘められた技術や工夫に目を向けると2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がります!観劇後は必ず「観劇ノート」を書いている観劇マニアが解説します!

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著者:零音(れおん)

小学生の時に劇団四季を見てから舞台の虜になっていく。現在はブロードウェイミュージカル・2.5次元ミュージカル・ストレートの舞台を観劇。観劇後は必ずキャスト・スタッフの方々に感想のお手紙を書くため、目を引いた所などは観劇ノートに書いている。裏方に注目し独学で勉強している。

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前ページでは、舞台「刀剣乱舞」を例に挙げて、音響効果、特に「効果音」の工夫についてお伝えしてきました。

このページでは「効果音の作り方」についてご説明していきたいと思います。

効果音の作り方を知ることで、さらに音響効果についての理解が深まり、2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がることでしょう。

 

効果音はどうやって作っている?

 

音の作り方は様々な方法があり、人によって用いる手法は千差万別です。ここでは、基礎的な効果音の作り方の一種について解説いたします。

 

もし皆さんが効果音を作るとしたら何から始めますか?

例えば、ドアの開閉音を作るとしましょう。

「ドアを開ける音と閉める音を録音して、それをそのまま使用する方法」や「効果音を集めたサイトやCDの素材を引用する方法」などがあるかと思います。

前者の方法で音を作る場合は、様々な扉の開閉音をあらかじめ録音し、作品の中でどこに音を入れるのか、作品の世界観や年代などを考慮し、どんな音を入れるかを決定します。

録音した素材の中に当てはまる音がなければ、録音した効果音をミックス・加工して使用する事もあります。

そのままの音を使えれば良いのですが、一つの音に違和感があるだけで作品の良さが台無しになってしまう場合もあります。そのため、世界観を考えて音を作ることは重要になり、試行錯誤を重ねて効果音の完成を目指します。

 

以上が、ごく普通な効果音の作り方です。

2.5次元舞台の場合には「現実に存在しないものの音をどう作るか」ということを考えなければなりません。

 

現実に存在しないものの音をどう作るか

 

「現実にないものの音」を想像だけで作るのは、大変骨が折れる作業です。また、一つ作れば良いのではないのでさらに大変な作業となります。

例えば刀の効果音ひとつとっても、斬り方次第で様々な種類の音を流す必要があります。

舞台「刀剣乱舞」では、「大太刀」という大きすぎて人では振ることができない刀が出てきます。

通常の刀を使った殺陣シーンであれば、つける効果音は想像できそうですが、人が振れない様な大きい刀を振り回した時の音など、想像できません。

舞台「刀剣乱舞」の音響担当をされている方が、刀を振った時の効果音の作り方の動画をあげられていました。

大太刀の効果音は「まず刀の重さを表現するためにテニスラケットを振る音の音程を低くし、長めの竹ひごを降った音を加え、少し加工する事によって作った」そうです。

舞台で実際に観劇しましたが、本当に大太刀を振っているような音に聞こえ、それがまさかテニスラケットと竹ひごの音を基にして、加工して作った音とは思えないクオリティでした。

ちなみに、同じ音響効果の方が「銃声」の効果音を作る方法も紹介していました。ペットボトルを机に叩きつけて元となる音を録音し、それをパソコンのソフトで、「音を分解→音程を低くする→音の始まりの部分の調整→元の音の音程を更に低くしたものを重ねる→微調整」という流れで作成されていました。

 

このように、2.5次元舞台の効果音は、日常的にある音を加工して非日常的な音を作り上げる技術が使われています。刀の音に竹ひごが使われていたのは意外だったのではないでしょうか。

まだ、舞台化されていない作品を読みながら「これはどんな音がするのかな?」と考えたり、文字で表されている音について「どうすれば再現できるかな?」と、舞台化される時の効果音を想像しながら読むと原作を読む楽しみも増えます。実際に舞台化された時に、読みが当たったか確認するのも楽しみの一つ。

また、試行錯誤して一つの効果音を作り上げることは、効果音を作成する側の醍醐味でしょう。音響担当者によって少しずつ違うので、この違いに着目するのも面白いです。

「裏側」について知って見てみると、2.5次元舞台の見方が変わります。

 

さて、ここまでは音響効果の効果音に重きを置いて説明してきました。

次のページでは「ミュージカルと舞台の音楽の使われ方の違い」について解説いたします。

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2.5次元舞台の「映像技術」の注目するのがおすすめな理由

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2.5次元舞台は映像・照明・音響などの「裏側」に注目するのがおすすめ!刀の効果音は刀の長さや種類によって音が変えられていたり、裏側に秘められた技術や工夫に目を向けると2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がります!観劇後は必ず「観劇ノート」を書いている観劇マニアが解説します!

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2.5次元舞台に使用されている「映像技術」

 

2.5次元舞台を鑑賞するにあたって、原作を先に見た方は「現実世界で再現できないようなアクションやシーンを舞台でどう表現するのか?」という疑問を持たれることがあると思います。

実際に私も、何作品かは「絶対に再現は無理だろう」と思っていたものがありました。現実世界で、影分身などできるはずもないし、いきなり氷の柱を出現させたり、何の道具もなしに火をおこしたりはできません。

この物理的に再現することが難しい部分の演出方法で用いられているのが「映像技術」です。

このページでは2.5次元舞台の「映像技術」の使用方法や、映像技術を堪能する上でのおすすめ作品をご紹介します。「原作」と「再現された映像」を比較すると、映像スタッフや演出家がどういった点にこだわって映像を作っているかなどが想像でき、より楽しみ方が広がります。

 

映像技術の使用方法

 

2.5次元舞台では「プロジェクションマッピング」「スクリーン上に投影される映像」が用いられています。

まずはこれらの映像技術がどのように使用されているのかをお伝えします。

 

プロジェクションマッピング

 

プロジェクションマッピングは、プロジェクターで立体物の表面に映像を映し出す手法です。各地のイベントで建築物に投影されて用いられています。

舞台の場合は、舞台セットに直接ビル街などの町並みを投影するなど、シチュエーションを明確にするために用いられたりしています。

使用例としては、舞台「PSYCHO-PASS:virtue and Vice」があげられます。

▼舞台「PSYCHO-PASS:virtue and Vice」ゲネプロ映像

 

舞台「PSYCHO-PASS:virtue and Vice」は、「人々の精神が数値化された近未来」という世界観で、冒頭から映画マトリックスに出てくるような数字やアルファベットの羅列が背景に流れてきます。

さらに物語中盤には公園を表す精密な映像が流れたり、高層ビルが立ち並ぶ背景が映し出されたり、CGを駆使した映像がセットに映し出され、まるで実際に物語の中に入り込んだような錯覚を覚えます。

 

スクリーンに投影される映像

 

スクリーンに投影される映像は、「舞台上に投影される」という点ではプロジェクションマッピングと同じですが、キャストが映し出されたりするなど、「背景」ではなく「動画」が映し出されることが多いです。

例えば、ミュージカル「刀剣乱舞」の最初の作品である「阿津賀志山異聞」では、キャラクター紹介時に大きなスクリーンでアクションシーンが映し出され、映像と全く同じ動きで舞台上のキャストも動く演出方法が用いられています。

また、同作品で主人公が最後の敵と対峙した時に「真剣必殺」という技を出します。この時に原作のゲームと同じように、衣装に穴が開いたり、体に傷が入ったりする映像が映し出され、その後にキャストが同じ格好で舞台上に登場するという演出方法が用いられています。

▼ミュージカル「『刀剣乱舞』 ~阿津賀志山異聞~」ゲネプロ

 

映像技術を堪能する!おすすめ作品

 

「どのようなシチュエーションで映像技術が使われるているのか」という使用例にも目を向けると、より映像技術への理解が深まることでしょう。

2.5次元舞台の映像技術を堪能する上でおすすめの作品を、映像技術の使用例ごとにご紹介いたします。

 

① ストーリーの中(「NARUTO」「僕のヒーローアカデミア」)

 

アニメを原作としたストーリーを舞台で再現する上では映像技術を欠かすことができません。

ストーリーの中で映像技術が使用されている作品でおすすめなのが「NARUTO」や「僕のヒーローアカデミア」です。現実世界とはかけ離れた「技」などを映像技術によって見事に表現されています。

 

「NARUTO」では忍の技を表現するために使われています。

影分身の術や、大蛇のキャラクターの尾の部分などを舞台上のセットに投影する事によって、舞台上では表現が難しい演出を可能にしています。

舞台上での役者の動きとも合わせる必要があるため、細かい修正や打ち合わせなどが必要です。

▼舞台「NARUTO-ナルト-~暁の調べ~」公開ゲネプロ 映像技術を用いたシーン(0.30~)

 

また「僕のヒーローアカデミア」では、キャラクターそれぞれの「個性」と呼ばれる技をクリーン上に投影し、その映像に合わせて役者が技の動きをするという演出方法がされています。

▼舞台「僕のヒーローアカデミア The “Ultra” Stage」公演ダイジェスト映像

 

② 小道具(舞台「刀剣乱舞」)

 

さらに高度な演出として「小道具に映像を投影する」という方法も使われています。

例えば、舞台「刀剣乱舞」ではエンディングでキャスト全員が番傘を持って踊る場面があるのですが、その番傘に役名を投影し挨拶をする演出があります。

これはキャストの立ち位置や番傘を開く速度やタイミングなどが揃わなければ、成り立たない演出であるために、とても入念なリハーサルが繰り返されています。劇場も変わるので、舞台の幅が少しずつ違うことにも対応しなければなりません。

高度な映像技術により、現実にはない世界が舞台で表現されていること、また大きなアクシデントもなく無事に終わることができているのは、スタッフとキャストの皆さんの力あってこそです。映像技術では、そうしたスタッフさんとキャストさんの努力や技術にも目を向けると、さらに楽しみ方の幅が広がるでしょう。

▼舞台「『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ」Blu-ray/DVD CM(番傘の演出がある舞台「刀剣乱舞」)

 

映像技術を堪能するならDVDと舞台はどちらがおすすめ?

 

実際に劇場で鑑賞するとDVDと違い、舞台全体が見渡せるので、他のキャラクターが何をしているか、舞台全体で何を表現しているかを見ることができます。また、迫力や臨場感も劇場の方が感じられます。

観劇に行く際は、事前に原作を読んでから行くと「あのシーンはこんな演出の工夫がされているんだ!」「この部分の映像凄いな!」など新しい発見があると思います。

一方、DVDで鑑賞する場合は、映像を集中して見ることができるので、気になった部分を繰り返し見たり、詳細な映像技術を見ることができます。

劇場やDVDでは映像技術の楽しみ方に違いがあります。いずれにしろ、映像技術にも目を向けて映像スタッフさんの技術の結晶を楽しんでいただけたらと思います!

 

さて、ここまでは「照明」「映像技術」について解説してきましたが、次のページからは「音響効果」について解説いたします。音響効果こそ2.5次元舞台を作り上げる上で最も難しい部分だと思います。

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2.5次元舞台の音響効果の楽しみ方③ 【ミュージカルと舞台の音楽の使われ方の違い】

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これまでは音響効果の「効果音」に重きを置いて説明してきましたが、ここでは「音楽」についてもふれたいと思います。

ミュージカルでもストレートプレイ(=ミュージカルではない演劇)でも音楽は世界観を表現する場合に重要になってきますし、回想シーンや重要シーンではドラマチックな演出をすることができます。

ミュージカルとストレートプレイでは、音楽の使われ方や意味合いが異なる部分があります。

これらの違いを知ってから見ると、2.5次元舞台の楽しみ方の幅はさらに広がることでしょう。

 

「刀剣乱舞」に見るミュージカルと舞台での音楽の表現方法の違い

 

「刀剣乱舞」は、アニメ・映画と様々なメディアミックスを展開していますが、はじまりは「刀剣乱舞-ONLINE-」というゲーム。

「刀剣乱舞」というひとつの作品に対して、同時期に別の制作会社がそれぞれ舞台化しており、ミュージカル「刀剣乱舞」と舞台「刀剣乱舞」があり、キャストや内容は異なります。

ここではミュージカルと舞台の両方が作られている「刀剣乱舞」を例に、ミュージカルと舞台での音楽の使われ方の違いについて説明したいと思います。

舞台「刀剣乱舞」とミュージカル「刀剣乱舞」の音楽の使われ方の違いを知れば、その他の舞台とミュージカルの見方も変わるかと思います。

 

ミュージカル「刀剣乱舞」の音楽の使い方

 

ミュージカル「刀剣乱舞」の殺陣の場面では、登場人物の心情は歌やダンスで表現され、音楽に乗せて行われることがあります。

ミュージカル「刀剣乱舞」では重要なシーンなどで音楽が流れ、キャラクターの心情を歌やダンスで表現するという演出方法が多く使われるのです。

「刀剣乱舞 」の一番最初の作品である「阿津賀志山異聞」の本公演の前にトライアル公演(=本公演の前の試験的な公演)というものが行われていました。

「登場人物が矛盾を感じ、自分のあり方について考えていた」という重要な場面で、トライアル公演の時は台詞を言うだけの演出で、役者もどうすれば観客に伝わるのかを稽古時に試行錯誤しながら演じていました。

本公演時にはその場面が歌に変更になっており、より観客に感情が伝わりやすくなっていました。「台詞」にするか「歌(音楽)」にするかで、観客が受け取る印象は変わります。そういったことも考慮され、ミュージカルは作られているのです。

ミュージカルは、台詞で伝えなければならないこともある上に、歌やダンスも組み込まれるため「歌唱力」「音楽の解釈力」「ダンススキル」が求められます。

さらに芝居パートの後にはライブパートもあります。ゲームを原作としたそれぞれのキャラクターが「もしダンスや歌を歌ったらどうなるか」を想像して演出がされています。

「音楽」の要素に絡んで演者の技術や演出力が「ミュージカル」には要求されるのです。

▼ミュージカル「刀剣乱舞 ~阿津賀志山異聞~」ゲネプロ公開

 

舞台「刀剣乱舞」の音楽のつけかた

 

さて、ミュージカル「刀剣乱舞」の場合は、重要なシーンでは音楽が流れてキャラクターの心情をダンスや歌で伝えるということをお伝えしました。

舞台「刀剣乱舞」では重要な場面でも音楽が流れることもありますが、無音のままキャストが台詞を話すという演出方法がとられています。

また、舞台「刀剣乱舞 悲伝 結いの目の不如帰」の2人のキャラクターのそれぞれの思いがぶつかり合うラストシーンでは音楽ではなく、照明や殺陣などの演出で見せ場が作られていました。

舞台「刀剣乱舞」もミュージカル「刀剣乱舞」も演じるという部分では同じですが、舞台の方では、音楽ではなく台詞だけで観客にキャラクターの感情を伝えなければならないため演技力や物語の解釈力などが求められます。

▼舞台「刀剣乱舞 悲伝 結いの目の不如帰」ダイジェスト映像

 

重要なシーンを「音楽」で表現するシーンが多い「ミュージカル」と、「台詞」で重要なシーンを表現することが多い「舞台」。

どちらも演出家が違うため、物語の進め方や着眼点が全く違うので、違いを比較するのも面白い見方だと思います。

また、重要なシーンでの音楽の使われ方や、殺陣の場面の音楽の違いなどにも着目すると、舞台とミュージカルを比較する楽しみも感じられると思います。

「刀剣乱舞」は舞台もミュージカルもとても良い作品が多く、演出も素晴らしいので何回見直しても新しい発見ができます。

 

ここまで音響効果についてお伝えしてきましたが、次のページからは「裏方観劇」の魅力についてお伝えします。まずは、「メイク・衣装・小道具・舞台セット」で注目すべき点についてお伝えします。

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2.5次元舞台の「照明」に注目するのがおすすめな理由

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2.5次元舞台は映像・照明・音響などの「裏側」に注目するのがおすすめ!刀の効果音は刀の長さや種類によって音が変えられていたり、裏側に秘められた技術や工夫に目を向けると2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がります!観劇後は必ず「観劇ノート」を書いている観劇マニアが解説します!

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−舞台の幕が開く時、劇場の明かりが一斉に消され、舞台上の役者が明るい光の中物語を進めてゆく−

さて、演劇で欠かせない演出効果の一つが「照明」です。

特に2.5次元舞台にとっては、照明での見せ方によって原作イメージやキャラクターのイメージがガラッと変わることもあります。

ここでは、照明の劇中での使われ方や、照明に注目する上でのおすすめ作品をご紹介します。

 

2.5次元舞台の照明の注目すべきところ

 

2.5次元舞台はジャンル自体が新しいものです。さらにアニメや漫画という非現実の世界を表現するため、これまで使われてなかったような技術が組み込まれています。

実験段階のものやこれまでの技術の応用などの要素が盛り込まれており、最先端の舞台技術を堪能できる楽しさがあるのです。

2.5次元舞台の照明では

「現実世界ではありえない舞台を表現するための工夫」

「新たな舞台演出技術」

この2点に注目して観劇すると、2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がります。以下では実際にどのように照明が使われているのか、実例を挙げながら解説します。

 

照明を楽しむ上で注目すべき作品!照明での劇中での使われ方!

 

照明はキャストを照らすだけではなく、様々な用途で使用されています。その使い方を知ればきっと驚くことでしょう。

 

① 小道具を表現

 

照明を「小道具」を表現するために使用する舞台もあります。

その代表的な作品といえばやはり「ミュージカルテニスの王子様(通称:テニミュ)」でしょう。

試合中のボールがライトで表現されています。

▼試合中のボールをライトで表現している様子(0.08秒)

 

初めてテニミュを観劇した時に「ライトがボールになってる!」と感動した覚えがあります。

一口に「ライトでボールを表現する」といっても、簡単なことではありません。

「キャストのラケットの動き」と「ライトの動き」をうまく合わせないといけないので照明スタッフもキャストも大変だったと、これまで演じてきた方々がインタビューで答えています。

ここで使用されているライトの種類は「ピンスポットライト」。「ピンスポットライト」は主役やシーンごとの重要なキャラクターが際立つように当てられる照明です。

テニミュではライトを絞って小さくしてボールに見せています。こんな使い方があるなんて目から鱗でした。

▼一般的なピンスポットライトの使われ方のイメージ

 

ピンスポットライトは「どんな色で、どの位の明るさで、どの位の長さで」使うのかがとても難しく、高度なテクニックと入念なリハーサルが必要なのです!

もし、テニミュを見る機会があれば、ぜひ注目して見てください!

 

 

また、舞台「文豪ストレイドックス」では、登場人物が異能力という特殊能力を使いますが照明と映像により、原作に近くなるよう演出されています!

照明に模様をつけて異能力空間を再現したり、アンサンブル(=役がついていない人)の持つ布に照明を当て、うごめいている様に見せるという演出方法がされています。こちらもテニミュと合わせて注目してほしいです。

▼舞台「文豪ストレイドックス」公開ゲネプロ

 

② 様々な世界を背景で表現

 

照明は、季節の移り変わりの演出などでも活躍しています。

季節の移り変わりや場面の移り変わりは主に、舞台上の背景を変えることができる照明を使います。

例えば、森の中を表す場合は緑の照明を、海辺や青空の表現であれば青色や水色などの照明を使用します。

私がこれまで見てきた中で、最も綺麗だと感じた背景の照明は舞台「煉獄に笑う」の「村が焼け落ちるシーン」と「深い森の中のシーン」です。

「火事」「森」を表現する場合はバックスクリーンや舞台の後ろから、火事であれば「赤」、森であれば「緑」の照明を使用されることが多いのですが、この作品はに工夫が凝らされています。

火事を表現する場合、この作品では赤い照明だけでなく、炎が揺れる様や炎の大きさなどが投影された映像と連動してオレンジの照明が照らされるなどの工夫がされています。

そのため、本物の火がなくても、とても臨場感のある火事の現場が表現されているのです!

「深い森の中のシーン」を表現する場合は、この作品では緑を使うだけでなく、白色や木漏れ日や葉の濃淡なども表現されており、リアルな森の中のシーンが表現されています。

この作品では、キャラクターの登場シーンやアクションシーンなども魅力的な照明の使われ方をしていますのでおすすめです。

▼舞台「煉獄に笑う」(ゲネプロ)

 

2.5次元舞台に使用されている照明の種類

 

2.5次元舞台では様々な照明が使用されています。照明の種類の違いにも目を向けることで楽しみ方の幅が広がるでしょう。

照明はたくさんあるので、ここでは代表的な照明の中から「サスペンションライト」「バックサス」の2つの照明の使われ方について解説いたします。

 

① サスペンションライト

 

「サスペンションライト」は、舞台上部にある照明。主にスポットライトとして使用される照明です。

2.5 次元舞台では、回想シーンでの語りの人物や、違う空間にいるキャラクターが話す時によく照らされます。

「サスペンションライト」の使い方で、演出家がどこに重きを置いて演出したいと思っているかがよく分かります。

原作では軽く流されている場面でも、キャラクターの関係性を明確にするために、あえてサスペンションライトを当ててセリフを言う場面も見られたりします。

演出家の考えが垣間見えるという点だけでなく、原作との違いも見つけられるので、注目すると面白みがあると思います。

 

② バックサス

 

バックサスは、サス(=サスペンションライトの略)を客席に向けて照らす明かりです。

これは客席から見て逆光になるため舞台上が見えなくなる照明です。

バックサスは「戦いの前など素早く場面転換をしたい時」や「舞台上でキャラクターが時空移動するような内容の時」に使われています。

使用例としては、舞台「刀剣乱舞:悲伝結いの目の不如帰」です。物語終盤のシーンで、キャラクターがこれまでの時間を移動する場面がありますが、ここでバックサスが使われています。

バックサスは、注目すべきシーンの前や重要なシーンの前に使われることが多いです。バックサスの使われ方にもぜひ、注目してみてください。

 

DVDよりも現地鑑賞の方がおすすめ

 

DVDの鑑賞では、キャストメインで写るのでカメラワークによってどうしても切り取られる部分が出てきます。

そのため、演出の詳細な部分を見ようとしても見られない場合の方が多く、照明を観察する点では、DVDは劇場で鑑賞するより面白みは半減すると感じます。

劇場での鑑賞は、自分の好きな所を見ることができたり、常に舞台全体が見渡せたりするので、照明を見るのならば劇場での鑑賞をおすすめします。

 

ここまで、照明についてご紹介しました。

細かい部分かもしれませんが、少しでも原作の世界観に近づけようとたくさんの工夫がされています。

注目してみると2.5次元舞台の楽しみ方が広がると思います。

 

次のページでは2.5次元舞台の「映像技術」についてお伝えします。現実とはかけ離れた世界を舞台化するためには「映像技術」が欠かせないのです。

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2.5次元舞台の音響効果の楽しみ方① 【おすすめ作品 舞台「刀剣乱舞」】

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音響効果とは

 

音響効果とは「舞台上の演技に効果音をつけたり、映像と一緒に音楽を流したりする演出」のことです。

キャストさんたちの歌やセリフはピンマイクを通して客席に届きますが、小道具の音などは大きな舞台だと音が吸収されてしまい客席には聞こえません。

しかし、マントをバサッと翻している音がなかったり、刀で戦ってるのに、金属音がしなかったらリアル感がないですよね?

そこで用いられる演出が「音響効果」です。

「物語に合わせて音楽を流す」のも音響効果の一つですが、舞台では主に「効果音」の音響効果が用いられます。刀のつばぜり合いの音や鞘から刀を抜く音、ドアの音やマントの裾さばきの音などを流します。

 

音響効果に注目するのがおすすめな理由

 

私は2.5次元舞台を見る時はかならず音響効果に注目して観劇します。

その理由は、効果音と音楽こそ2.5次元舞台を作り上げる上で最も難しい部分であると考えているからです。

すでにアニメなどで音が作られている場合は、そこから連想したり、その音を用いて音を作り出すことは可能でしょう。

ただ、漫画や小説が原作だった場合、物語の中の「音」は想像することでしか作り出せません。

「漫画の世界の人物が武器を振り回す」などの音は、原作からヒントを得つつ「何から音を作るのか」「何と何を組み合わせて音を作るのか」「現実世界では何に近い音なのか」試行錯誤しながら探らなければなりません。しかもその音が、聞き手に伝わらなければ意味がないのです。また、舞台ではその場で役者の動きにも合わせて効果音を出す必要もあります。

このようなところは音響技術の腕の見せ所であり、注目すると面白いところであると感じています。

 

音響効果を堪能するなら!おすすめは舞台「刀剣乱舞」

私が総合的に音響効果が優れていると感じる作品は、舞台「刀剣乱舞」です。

この作品は、エンディングでキャストが番傘を持ち音楽に乗せて歌ったり踊ったりします。また、毎回担当の方が作品に沿った舞台オリジナルの曲を作曲されているので音楽でも楽しめますが、基本的にはストレートプレイ(=ミュージカルではない演劇)であるためミュージカルに比べると音楽は重要視されません。

舞台「刀剣乱舞」の音響効果で最も素晴らしいのは「効果音」です。

 

一度観劇された方はお分かりになるかと思いますが、初期の作品では出演する刀剣男子が6〜7人程度でしたが、「悲伝:結いの目の不如帰」(4作目)「慈伝:日日の葉よ散るらむ」(5作目)の2作品は出演する刀剣男子の人数が一気に増えます。

そのため、集団で行う殺陣シーンでは効果音をつけるのが大変難しいのですが、一つ一つのアクションに効果音が付いているのではないかというほど、ほぼ全ての部分に音が付いています。

▼舞台「『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」ダイジェスト映像

 

また、マントを被っているキャラクターのマントの音も、「翻す音」「走っている時にたなびく音」「少し払う音」など、行動によって全ての効果音が異なります。

刀に関する効果音も刀の長さや種類によって音を変えたり、刀の振り方や鞘からの出し方・収め方によっても音を変えているので、臨場感やリアル感を最大限楽しむことができます。

実際に刀剣乱舞の音響担当の方は「短刀、打刀、太刀、大太刀はシュン、ヒュン、ブゥン、ブォーンと全部イメージを変えている」とおっしゃっていました。つまり、それぞれの刀によって音を全て変えているということです。

なんとなく見ているとなかなか気づかないところかもしれませんが、「音響効果」にはこれほどまでに工夫が凝らされているのです。

もしこれから、アクションシーンのある2.5次元舞台を見る方は最初はストーリーを楽しんで、2回目は音に注目してみてはいかがでしょうか。

 

 

さて、このページでは舞台「刀剣乱舞」を例に挙げて、音響効果、特に「効果音」の工夫についてお伝えしてきました。

次のページでは「効果音の作り方」についてお伝えします。効果音の作り方を知ることで、さらに音響効果についての理解が深まり、2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がることでしょう。

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忍者的「逃げるが勝ち」で営業成功!

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忍者村と一般企業への就職で迷っていたという筆者・シータ氏。そんなシータ氏が送る忍者から学ぶコミニュケーション力シリーズ!日本の人気者、忍者が実は現代のビジネスマン、特に営業マンに使えるマインドや術を使っていた!?仕事を頑張るあなたも、忍者が好きなあなたも必読のWebonです!!

『忍者から学ぶ営業の極意』はこちらから!

はじめに

はじめに 〜私と忍者〜

第1章 忍者マインドで営業成功

逃げるが勝ち

信頼を生み出す

信じる力

第2章 忍術で営業成功

陽術と陰術

相術と五車の術

第3章 忍者を見習って営業成功!​

忍者流精神統一法

忍者流人脈術

著者:シータ

全国忍術大会出場歴有り。忍者好きながらも忍者の如く生きるため周囲には隠して生きる。だが、忍術や忍者に関することを知ってもらいたいという欲をおさえられず、ライターに扮している。普段は人の話を聴くことが多い。

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忍者マインド「逃げるが勝ち」

 

「逃げるが勝ち」という言葉がある。

日本人は「逃げることは恥」という価値観を持ちやすく、それが故に辛い会社・仕事を辞められなくなることもあるほどだ。

しかし、日本人の中で「逃げるが勝ち」を重要な価値観としていた者が昔から存在していた。

それが「忍者」である。

忍者は任務を達成するために「逃げること」を重視していたのである。

 

戦国武士の心得を書いた『軍法侍用集』という書には

忍びに行く人の心得として忍は人から離れて逃げることを恥と思う必要はない

という内容が書かれており、また忍びの心得を詠んだとされる『義盛百首』には

敵に見つかれば逃げて帰るのが勝ち

と書かれている。

 

忍者にまつわる書物はいくつかあるがその中で共通して書かれていることがある。それは「忍者は主君が戦に勝つために必要な情報収集をすることが第一の職務である」ということ。

忍者の任務遂行にあたっては、敵の城に忍び込み偵察を行ったり、情報を持っている者と接触したりと様々あるが、その任務の基本的な目的は「重要な情報を集め持ち帰ること」である。

 

 

任務中には、敵に存在がバレて、敵が情報を持ち帰らせまいと命を狙ってくることもある。

しかし、忍者はそのような時にも基本的に戦いをしない。

逃げることを最優先するのである。

忍術の一種に「虫遁の術(ちゅうとんのじゅつ)」や「人遁の術(じんとんのじゅつ)」といった「遁法(とんぽう)」という類があり、これらは敵の目を欺き逃げるための術である。

 

 

敵から逃げるための忍術の種類は多様であり、場面場面で使い分けるのである。

忍者はどうしても逃げ切れなくなった時だけ戦う。

逃げきって情報を持ち帰ることが忍者にとって何より大事で、目的達成こそが勝利なのである。

 

【コラム】忍者の情報は何に使われる?

敵の弱みや状況、作戦などを知り、できる限り自陣の数を減らさず、また労力を使わずに勝つための作戦を立てることに情報は使われる。情報の中には敵国の中で自陣の味方になってくれる人物などの情報もある。

 

営業に通ずる忍者の「逃げるが勝ち」マインド

 

忍者の「逃げるが勝ち」というマインドは現代の営業でも通ずるところがあるだろう。

「営業」とは「生命保険」「新聞」「自動車」などの製品やサービスを買ってもらうこと、というのが一般的な認識だ。ただ実質のところ営業がすることはそれだけではない。

もちろん最終的には「買ってもらう」ということが前提ではあるが、「買ってもらう」という目的を達成するまでの過程にはいくつものハードルが存在するのだ。

 

最終地点に至るまでには、まず「商談先や取引先が抱えているニーズ」や「相手もまだ認識していない課題」という情報を収集しなければいけないのである。

「情報の引き出し」や「課題整理」がないまま「売る」という行為に及ぶと、取り合ってもらえないことや時には怒らせてしまうこともある。

例えば、保険という商品でお客様がお子さんの教育費を貯蓄するために「学資保険」を検討していたとする。そういったお客さんの情報を引き出さずに「生命保険」の説明ばかりしていたら、お客さんも辟易してしまう。

つまり、営業の目的は「買ってもらう」ということであるが、ニーズや課題などの「情報収集」をすることは何かを買ってもらう上で最も重要な手段なのである。

 

 

また、飛び込み営業や訪問販売でも、見知らぬ者同士が出会ったその場で商談をすることになるのだが、ここで「逃げる」という技を使うことでうまくいく場合がある。

忍者の「逃げるが勝ち」という言葉には「戦いの構造から逃げる」という意味合いもある。

事前にアポイントをとった商談であっても、飛び込み営業や訪問販売では、相手にとってこちらは基本的に不審者である。警戒心を持って接してくるのが通常であろう。

そのような場面で「私は怪しいものですが、この商品いりませんか?」と言う営業マンはいないであろう。

忍者も敵に向かって「私は忍者です」とは言わない。

要するに「売ろう」という気持ちが全面にあると、対立構造ができてしまい相手は買う行為から身を引きやすくなる。

そのため最初は売りたい気持ちはひた隠しにしておいて、対立構造をさけ、その前に情報収集をすることが大事なのである。

 

具体的なコミュニケーション方法は後で紹介するが、ここで覚えてもらいたいことは「逃げる」というマインドが、営業にとっては重要だということだ。

忍者の任務と営業との違いは、相手と情報共有するかどうかである。忍者は相手に情報を与えずに情報収集をするが営業では相手に自分の素性を明かして情報収集を行う。

 

 

ただ、忍者も営業も得た情報を他者やライバル会社にばれないよう、または重要書類や機密文書を紛失や盗難に合わずに持ち帰る必要がある。

読者の方は容易に想像できることだろうが、これらも忍術から学べることがある。

このように忍者のマインドや術が営業に役立つ、という事がお分かりいただけただろう。引き続き、一緒に忍者から営業を学んでいくでござる・・・いくとしよう。

 

【コラム】忍者の働き方

忍者の第一の任務は情報収集。暗殺などの任務も主君の命によってはあるが、敵方も策を講じているため、暗殺が容易にできたわけではない。忍者はひとつの主君に忠義を尽くすという形で、現代でいうところの専属契約みたいなもの。フリーランスだと裏切者扱いされかねないだろう。

『忍者から学ぶ営業の極意』目次へ  (全8ページ)

目次著者

はじめに

はじめに 〜私と忍者〜

第1章 忍者マインドで営業成功

逃げるが勝ち

信頼を生み出す

信じる力

第2章 忍術で営業成功

陽術と陰術

相術と五車の術

第3章 忍者を見習って営業成功!​

忍者流精神統一法

忍者流人脈術

著者:シータ

全国忍術大会出場歴有り。忍者好きながらも忍者の如く生きるため周囲には隠して生きる。だが、忍術や忍者に関することを知ってもらいたいという欲をおさえられず、ライターに扮している。普段は人の話を聴くことが多い。

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aikoおすすめの名曲8選 ~隠れた名曲が満載のカップリング編~

Webon紹介目次著者

aikoの歌詞世界の魅力をファン歴20年の筆者が紹介!aikoに対して恋に恋する恋愛ソングばかりと感じているとすれば、それは誤解です。コアなファンにとってのaikoのキーワードである「哀愁」「渋み・エグみ」「普遍的な愛」に焦点を当てaikoの歌詞世界を解説!

『本当は深いaikoの歌詞 ~コアなファンが語る3つのキーワード~』はこちらから!

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

ここからは、このWebonを読んで「もっとaikoの曲を聴いてみたい!」と思った方、「aikoはけっこう好きだけど、シングル曲ぐらいしか知らない」という方に向けて、カップリング曲の中からぜひおすすめしたい隠れた名曲をご紹介します。

これまでにご紹介した「哀愁」「渋み・エグみ」「愛」という特徴がそれぞれわかりやすく描かれたものを選んでみました。

 

特徴別!aikoおすすめの名曲8選

切なさがいっぱい~哀愁を感じたいあなたにおすすめ

▼哀愁を感じたいあなたにおすすめの名曲3選

タイトル 収録
恋人 シングル「カブトムシ」1999
アイツを振り向かせる方法 シングル「桜の時」2000
ひまわりになったら シングル「二人」2008

 

3曲ともいわゆる「失恋ソング」です。

「恋人」は別れの場面と未練を丁寧に描き、「ひまわりになったら」は友達から恋人になった二人がまた友達へと戻って行く切なさを歌い上げています。

「アイツを振り向かせる方法」については以下で詳しく取り上げます。

 

ちょっぴり重い歌詞が魅力~渋み・エグみを感じたいあなたにおすすめ

▼渋み・エグミを感じたいあなたにおすすめの名曲3選

タイトル 収録
二時頃 シングル「ナキ・ムシ」1999
アルバム『まとめ Ⅰ』2011
こんぺいとう シングル「スター」2005
アルバム『aikoの詩。』2019
Do you think about me? シングル「戻れない明日」2010
アルバム『aikoの詩。』2019

 

3曲とも恋人に対する恨み言が歌詞になっていますが、aikoマジックにより過剰にドロドロせず、不思議とキュートに聞こえます。そのマジックの秘密については、「こんぺいとう」を例に以下で解説したいと思います。

 

落ち込んだ時元気をくれる~愛を感じたいあなたにおすすめ

▼愛を感じたいあなたにおすすめの名曲2選

タイトル 収録
テレビゲーム シングル「かばん」2004
アルバム『aikoの詩。』2019
未来を拾いに シングル「夢見る隙間」2015
アルバム『aikoの詩。』2019

 

恋愛がメインテーマではありませんが、aikoから聞き手へのメッセージが詰まった愛の曲です。

以下では「テレビゲーム」のみ取り上げますが、どちらも『aikoの詩。』に収録されているのでこの機会にぜひ聴いてみてはいかがでしょうか。

 

おすすめの曲の歌詞解説

 

ここまで紹介したおすすめの名曲のうち3曲を取り上げ、以下で歌詞の解説をさせていただきます。

 

パワフルだけど切ない「アイツを振り向かせる方法」

 

「アイツを振り向かせる方法」は第1章で少し触れましたが、aikoが初めて作詞作曲し、コンテストで披露したという重要な一曲です。

歌い出しのフレーズと元気いっぱいのボーカルは哀愁とは程遠く、非常にポジティブな失恋ソングという第一印象を受けます。

 

今の目標はただひとつ
アイツを振り向かせる事だけ
どしゃぶりの雨の中でアイツにフラれてはや二年
だけども だけれども 今でも心の隅で気になる
(中略)
けどあたしはフラれた身 だけどずっとずっと離れない
好きよ 後悔なんてダイキライ
だからやりたい事やらしてもらうわ

引用:aiko「アイツを振り向かせる方法」

 

ポジティブが過ぎて執着型になっている点が少し怖くはありますが、「この主人公は何が何でも相手を振り向かせる自信があるのだろう」という安心感があり、明るいメロディとともに聞き手を元気に鼓舞してくれます。

ところが歌詞は次のように締めくくられます。

 

本当は素直になりたい だけどなれないなれない 好きだから
(中略)
雨が止んで虹が出た時 きっと
アイツはあたしを思い出す
それまで気長に待つとしようか
十年でも二十年でも 
ずっとずっとずっと待ちましょう

引用:aiko「アイツを振り向かせる方法」

 

「今の目標」というフレーズで始まった歌詞が「十年」や「二十年」という途方もない年月に変わり、「振り向かせる」と息巻いていた語り手が「待ちましょう」と受け身に転じて幕を閉じました。

「五十年」や「百年」ではなく「十年でも二十年でも」というぎりぎり想像のつく範囲内の未来であるところに逆にリアリティがあります。

出だしは底抜けに明るく前向きだった語り手が「素直になれない」と本音を漏らし、結局最後は「待ち」の姿勢に落ち着きます。

「やりたい事やらしてもらうわ」と口では言いながらも、見込みのなさをどこかで理解しているのでしょう。

「前向きに突っ走る女の子」を描いていると見せかけて、むしろ「本当は何もできない女の子」が描かれていることがわかります。

 

「カブトムシ」で今の幸せと未来への不安を行ったり来たりしていたように、「今すぐ振り向かせるぞ!」という意気込みとあきらめの間をさまよいながら、遠すぎる未来に奇跡を祈る控えめな主人公の物語です。

ユーミンの「まちぶせ」の歌詞のような怖さもありますが、自信のなさを匂わせている点で「切なさ」が「怖さ」にやや勝っています。

しかしそんな歌詞もaikoのボーカルに乗せると暗い部分がそぎ落とされ、明るい失恋の応援歌へと姿を変えます。

聴いたときと歌詞を改めて読んだときの印象の違いが楽しめる作品です。

▼「アイツを振り向かせる方法」収録シングル『桜の時』

 

密やかな狂気に満ちた「こんぺいとう」

 

かわいらしいタイトルですが、「こんぺいとう」が意味するものに気付くと曲の印象がガラリと変わります。出だしは次の通りです。

 

白いペンで書いたから あなたはきっと気付かない
光に反射させれば見つかったかもしれない
突然かけてくる電話 こんな時間にどうかした?
いつもふりまわしてくれて どうもさようなら

引用:aiko「こんぺいとう」

 

「白いペンで書いた」という独特の表現が印象的ですが、それ以外は特に変わったところのない、恋の相手に見切りをつけた一場面です。

一体何が「こんぺいとう」なのか?二人の甘かった過去か?涙のことだろうか?と期待しながら聴いていると、次のような歌詞に出会います。

 

一緒に溺れてしまえるのなら それでもいいと思ってたの
悲しみから逃れる為に噛んだ 腕に赤いこんぺいとう

引用:aiko「こんぺいとう」

 

聴いているだけでは意味をつかみにくいですが、改めて歌詞を見てみるとずいぶんと狂気じみた内容であることがわかります。

悲しみを紛らわそうと自分の腕を噛み、その痕がこんぺいとうのようである、と何気なく歌っています。

先ほど、こんぺいとうとは「涙のことだろうか?」と予想しましたが、涙は歌詞の中で「ドロップ」と表現されています。

 

睫毛を通り堕ちるドロップ 唇に触れて味は苦い
忘れられない恋の味よ…

引用:aiko「こんぺいとう」

 

涙を「ドロップ」、傷痕を「こんぺいとう」と呼ぶことで、聞き手の頭の中を甘いアメ玉のイメージでいっぱいにする一方歌詞自体は全く甘くないという歪みがこの作品を楽しむ最大のポイントでしょう。

このようなエグみの強いタイプの曲はaikoのシングル表題曲には選ばれませんが、カップリングやアルバム曲にはさりげなく登場します。

シングル集『aikoの詩。』のDisc.4(カップリング集)に収録されているので、どうぞ味わってみてください。

▼「こんぺいとう」収録アルバム『aikoの詩。』

 

優しさであふれる「テレビゲーム」

 

「テレビゲーム」は「こんぺいとう」同様、『aikoの詩。』に収められています。

 

aikoの楽曲はその大半が「あたし」という一人称で書かれていますが、「テレビゲーム」は「僕」が語り手となる珍しい一曲です。

これによって主人公=aikoという印象が薄れ、ジェンダーレスな雰囲気に仕上がっています。

女性シンガーなら誰でも「僕」を用いれば同様の効果があるかというと、そうでもないでしょう。

「たまに“僕”という言葉を使うとより素直になれる」(2005 ソニー・マガジンズ『aikobon』p396)

とaiko自身も語っているように、普段「あたし」で語ることが当たり前になっているからこそ、まれに「僕」を使用した時の効果が大きいのではないでしょうか。

 

テレビゲームしに来ない? たまにはいいもんだよ
固くなった頭を優しく優しく解いてあげたい
(中略)
風は何も聞いてこないさ 秋の空は虚しいだけじゃない
君がどうすればいいか 多少の試練なんだ
僕はそう思うよ

引用:aiko「テレビゲーム」

 

恋する女性の切迫感を描いた楽曲とは違い、大切な誰かを受け止めようとする優しさに満ちた歌詞が印象的です。

設定は恋人に限らず、また性別も男女に限らず、年齢差も明示されていません。

あらゆる立場の聞き手が「僕」の言葉に身をゆだねリラックスできる、包容力のある作品です。

 

恋愛ソングのイメージに埋もれがちですが、実は「テレビゲーム」に限らずaikoの歌詞は優しさや愛情がベースにあります。

時に重く暗い感情を描いてもそれほど陰湿に聞こえないのは、こうした点も関係しているでしょう。

「テレビゲーム」はいつもの語り手(=あたし)という設定が解除されたことによって、それが一層わかりやすく表現されています。歌詞の後半を見てみましょう。

 

例えば僕を盾にして その大きな道を渡れるなら
裏切られても信じていられる君だからこそ
いいよいいよ

引用:aiko「テレビゲーム」

 

「盾にして」「裏切られても信じて」といったやや重みのあるフレーズを用いて、いわゆる「見返りを求めない愛」を描いています。

これがもし「あたし」によって語られると、いつもの恋愛ソングのイメージがつきまとって重く聞こえてしまうかもしれません。

「僕」が語ることによって、恋に悩むいつもの語り手=あたしのイメージがリセットされ、爽やかな印象だけが残ります。

aikoが「僕」を通して語ることで「素直になれる」のは、この「僕」という一人称の中和作用によるところが大きいでしょう。

 

▼「テレビゲーム」収録アルバム『aikoの詩。』

 

このように、aikoのカップリング曲にはシングル曲以上にユニークな表現が多く見られます。

一見明るくシンプルな曲も、じっくり歌詞を読んでみると意外な仕掛けが隠れているかもしれません。

次のページではおすすめのアルバムをピックアップしました。

さらに深くaikoの歌詞世界へ潜り込みたい方はぜひ参考にしてみてください。

『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

目次著者

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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aikoおすすめアルバム4選

Webon紹介目次著者

aikoの歌詞世界の魅力をファン歴20年の筆者が紹介!aikoに対して恋に恋する恋愛ソングばかりと感じているとすれば、それは誤解です。コアなファンにとってのaikoのキーワードである「哀愁」「渋み・エグみ」「普遍的な愛」に焦点を当てaikoの歌詞世界を解説!

『本当は深いaikoの歌詞 ~コアなファンが語る3つのキーワード~』はこちらから!

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

このページを書いている2019年7月の時点でaikoがこれまでにリリースしたアルバムは計13枚です(ベストアルバムを除く)。

それぞれに特徴がありどれも聴きごたえのある作品ですが、今回のWebonのテーマである歌詞という点に着目して、次の4枚のおすすめアルバムを選びました。

▼歌詞に注目して選んだ!aikoおすすめアルバム4選!

リリース アルバム名
2002年 『秋 そばにいるよ』
2008年 『秘密』
2012年 『時のシルエット』
2016年 『May Dream』

 

陰陽のバランスが絶妙な『秋 そばにいるよ』(2002)

▼アルバム『秋 そばにいるよ』収録曲

曲番号 曲名
1 マント
2 赤いランプ
3 海の終わり
4 陽と陰
5 鳩になりたい
6 おやすみなさい
7 今度までには
8 クローゼット
9 あなたと握手
10 相合傘(汗かきMix)
11 それだけ
12 木星
13 心に乙女

 

アルバム『桜の木の下』『夏服』が大ヒットしたのち、声帯結節という健康上のトラブルも経て、公私ともに落ち着いた時期にリリースされたのがこの4作目『秋 そばにいるよ』です。

そうした状況も関係してか、前2作では「明るく元気なaiko」が全面に押し出されていたのに対し、このアルバムはどちらかというと「陰」の部分を感じやすい作風になっています。

このアルバムはシングル「おやすみなさい」「あなたと握手」「今度までには」の3曲を含みますが、このうち「おやすみなさい」と「今度までには」は別れの歌です。

デビュー曲「あした」からこの時点までのシングル曲を振り返ってみると、「ラブソングのaiko」であるにもかかわらず、実は「おやすみなさい」以前に一度も、明確に別れそのものを歌った曲をシングルとして発表していません。

前作『夏服』までは比較的「陽」に偏ったイメージ戦略がなされていたと言えるでしょう。

『秋 そばにいるよ』はそうした縛りからある程度解放されています。

 

『秋 そばにいるよ』の1曲目を飾る「マント」の歌詞を見てみましょう。

 

夏草に委ねてあたし今を生きる
欲しかったもの手に入れたもの全て放り投げてしまえ
グッバイ

見上げた空を黄色く塗って
あるはずないものを創り出せばいい
傘をマントに綿毛の様にあたしはゆらゆら舞い落ちる

引用:aiko「マント」

 

一応歌詞の中に「あなた」が出てくる箇所もありますが、総じて「あたし」自身の生き方について語られており、「恋愛ソング」という枠には収まりません。

歌詞の内容も潔いので、恋に恋するような「甘さ」を期待して聴き始めると肩透かしを食らうかもしれません。

アルバムを厳かに締めくくるラスト2曲の歌詞にも注目してみましょう。ともに「宇宙」というキーワードが使われています。

 

2人の時間は宇宙の中で言うチリの様なものかもしれない
引用:aiko「木星」

宇宙の隅に生きるあたしの大きな愛は
今日まで最大限に注がれて
引用:aiko「心に乙女」

 

「宇宙」はaikoの歌詞の中でよく用いられる言葉です。

「ボーイフレンド」では次のような表現がありました。

 

テトラポット登っててっぺん先睨んで宇宙に靴飛ばそう
引用:aiko「ボーイフレンド」

 

「ボーイフレンド」における「宇宙」はテンションの高さや愛情の大きさといったポジティブなエネルギーの象徴でした。

一方、「木星」と「心に乙女」では自らの存在の小ささを示すキーワードとしても使われています。

「宇宙」という言葉を通して「ボーイフレンド」で描かれた「陽」の世界を違う角度から捉え直し、補完するような趣があります。

これまでのaikoの明るいイメージを、より多面的で奥深いものに変換しています。

 

前2作(『桜の木の下』『夏服』)ではアルバム本編の後に隠しトラックがあったものの、本編はあくまでヒットしたシングルを中心にアルバムが構成されていました。

『秋 そばにいるよ』は隠しトラックを用いず、アルバム曲によって本編がスッキリと結ばれていることから、アルバム単体としてのテーマ性がより追求されていることもうかがえます。

 

▼アルバム『秋 そばにいるよ』

 

恋から愛に変わる『秘密』(2008)

▼アルバム『秘密』収録曲

曲番号 曲名
1 You & Me both
2 二人
3 学校
4 キョウモハレ
5 横顔
6 秘密
7 ハルとアキ
8 星電話
9 恋道
10 星のない世界
11 シアワセ
12 ウミウサギ
13 約束

 

前ページではaikoが恋だけでなく愛も描いているということをお伝えしてきました。

『秘密』をおすすめアルバムとして選んだ理由は、デビュー当時のaikoの作品は「恋寄り」だったと思いますが、この作品は「恋から愛へ」という微妙な表現の移り変わりを、アルバム全体を通して描いているからです。

明確に分けられるわけではありませんが、『秘密』より前のアルバムはどちらかというと「一過性の恋」に比重が置かれていました。

若者が恋をしては失くす悲しみと、それでもまた新しい恋をする喜びが繰り返し描かれ、まさに「恋したくなる音楽」だったと言えるでしょう。

『秘密』ももちろん様々な「恋」を描いていますが、6曲目の表題曲「秘密」を通過したあたりから、グラデーションのように徐々に恋から愛へと比重が移っていきます。

カギとなるのが10曲目「星のない世界」と11曲目「シアワセ」でしょう。

アルバムの中でシングル曲が続くとそこだけ浮いてしまうことがありますが、この2曲はむしろうまく溶け込み、まるで一連の物語のように「一生ものの愛」の世界を紡いでいます。

 

過去も未来も心の底はいつも一人だと思ってたから
全部我慢してやっと溢れ出した涙に
本当の恋を初めて知った
とても大事な宝物をあたしはやっと手に入れたんだ
引用:aiko「星のない世界」

二人何処かで廻るストーリー 静かに終わりが来たとしても
最後にあなたが浮かんだら それが幸せに思える日なのです
引用:aiko「シアワセ」

 

これが12曲目「ウミウサギ」、そしてラストの「約束」へと違和感のない流れを作り出していきます。

 

汗が首を歩いたゆっくりと 君の言葉にとても驚いて
「ずっと一緒にいようか?」だなんて
君が緊張しながら言うから
引用:aiko「ウミウサギ」

どんな事があっても忘れたりしない
幸せも痛みも永遠の約束
引用:aiko「約束」

 

「全編愛の歌」であっても決して浮つかない理由が、この「一生ものの愛」の表現にあります。

aikoのアルバムはしんみりとした曲で終わるのが常ですが、このアルバムも例外ではありません。

しかし、ただ単にしんみりするだけでなく、最後に温かい気持ちを残してくれます。

 

▼アルバム『秘密』

 

魅力満載の名盤『時のシルエット』(2012)

▼アルバム『時のシルエット』収録曲

曲番号 曲名
1 Aka
2 くちびる
3 白い道
4 ずっと
5 向かいあわせ
6 冷たい嘘
7 運命
8 恋のスーパーボール
9 クラスメイト
10 雨は止む
11 ドレミ
12 ホーム
13 自転車

 

初のベストアルバム『まとめ Ⅰ』『まとめ Ⅱ』(2011)を経て、翌年にリリースされたオリジナルアルバムが『時のシルエット』です。

ある意味、ベストアルバム以上にこれまでの集大成という位置付けにある作品ではないでしょうか。

期待を裏切らず、まさに集大成と呼べる内容になっています。

 

というのも、このWebonで解説してきた歌詞の3要素である「哀愁」「渋みとエグみ」「普遍的な愛」全てがまんべんなくバランスよく含まれ、なおかつaikoらしい明るさやかわいらしさも散りばめられているからです。

もしaikoを全く聞いたことがない人にベストアルバム以外で1枚だけおすすめするなら、おそらくこの『時のシルエット』を選ぶでしょう。

それだけ偏りのない、誤解されにくい作品です。

 

1曲目「Aka」とラスト13曲目の「自転車」の歌詞をピックアップしてご紹介します。

 

あなたがあたしの事をどう思っているのか
それはそれは毎日不安です
引用:aiko「Aka」

気持ちは昨日今日毎日変わって行く
明日あなたはあたしの事をどう思っていてくれるだろう
引用:aiko「自転車」

 

意図したわけではなくあくまで偶然とのことですが、どちらの歌詞も同じことを歌っています。

とはいえ、物語の持つ雰囲気は実は対照的です。

「Aka」は歌詞全体を通してみると、不安にさいなまれながらも幸福感に満ちた力強い一曲ですが、「自転車」は喪失について切々と歌ったものです。

幸福の中で幕を開けた物語が喪失で終わるという何とも切ないアルバム構成なのですが、歌詞がリンクすることによって両極端な2つの物語がつながり、聞き手に円環的なイメージを与えます。

数多くの曲を通して繰り返し描かれてきた、「不安と幸せは表裏一体」「始まりと終わりはセットである」というaikoの永遠のテーマをアルバム全体で体現しています。

 

「自転車」というタイトルですが、歌詞の中に「自転車」が登場するのは、やはりaikoらしく曲の終盤です。

実際にはもう見ることのできない自転車について語ることで、失ったものの鮮烈なイメージを呼び起こします。

誰かを失ったことのある人の心にまっすぐ突き刺さるラストシーンです。

その重みと愛おしさは、ぜひ実際に聴いて確かめてみてください。

 

▼アルバム『時のシルエット』

 

愛の意味を問う『May Dream』(2016)

▼アルバム『May Dream』収録曲

曲番号 曲名
1 何時何分
2 あたしの向こう
3 冷凍便
4 もっと
5 信号
6 夢見る隙間
7 愛だけは
8 好き嫌い
9 かけらの心
10 大切な今
11 合図
12 プラマイ
13 蒼い日

 

タイトルが示すように「Dream=夢」がテーマとなっているアルバムですが、通して聞いたときに耳に残るのは頻繁に繰り返される「愛」という言葉です。

そもそもaikoはラブソングライターなので「愛」や「恋」「好き」「愛してる」といったキーワードは多用される傾向にあるのですが、この『May Dream』では相対的に多いという印象を受けます。

言い換えれば、愛の表現が遠回しではなく直球なのです。

 

1曲目「何時何分」のサビ「愛してる愛してる だからね 好きだよ」に始まり、

「愛なんて知らない」(5.信号)と言い放ったかと思えば、

「あなたの愛だけで生きていたい」(6.夢見る隙間)

「変わらないこの愛だけは」(7.愛だけは)と力強く訴え、

時には「愛の形を壊してしまってよ」(11.合図)と攻めてきます。

まるで愛の定義に挑むかのようです。

「あたしの楽しみにしてるラジオ」(3.冷凍便)、

「ピアノの前に座って目をつぶって」(9.かけらの心)のように、aikoの私生活を思わせるようなフレーズもあり、

総じて「素直さ」や「距離の近さ」を感じる作品です。

そういったある種の「過剰さ」とバランスを取るかのように、最後は大きな余白を与える一曲で締めくくられます。

 

少し離れるね 元気でいようね
抱きしめてくれた熱い首に流れる優しいしるし
本当の言葉を2人だけの秘密を楽しい時を
いつかあたしもあなたに話すね あの日何を言いたかったか

また思い出すな 聞こえない 見えない 知らない ふりをただしていたね
一番星はずっと前に気付いてた そしてあたしたちだけを見ていた
いつかあたしに教えてほしい あの日何を願ったのか
引用:aiko「蒼い日」

 

大切な人との別離の歌ですが、二人の関係についてはもちろん、別れの理由も直接的な愛の言葉も語られません。

お互い核心に触れないままいつか再会することを願って離れていく様子が描かれるだけです。

アルバム全体を通して臆することなく「愛」や「恋」や「好き」というキーワードを散りばめてきたところへ、急にぽっかりと余白が生まれます。

「愛」という言葉が一切使われていないからこそ、そこに描かれる愛の形は一人ひとりの想像力にゆだねられます。静かな喪失感と余韻が残るエンディングです。

 

▼アルバム『May Dream』

 

おわりに

 

「歌詞」という観点からaikoの音楽を分析してきましたが、実際に曲を聴いたとき、または歌詞を読んだときに受け手が何を感じるかはそれぞれの自由です。

このWebonでの解釈にとらわれず、「私ならこの部分、もっと明るく感じるよ」という風に、一人ひとりの味わい方を見つけてほしいと思います。

『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

目次著者

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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aikoの軌跡を通して知る。aikoはなぜ誤解されるのか?

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aikoの歌詞世界の魅力をファン歴20年の筆者が紹介!aikoに対して恋に恋する恋愛ソングばかりと感じているとすれば、それは誤解です。コアなファンにとってのaikoのキーワードである「哀愁」「渋み・エグみ」「普遍的な愛」に焦点を当てaikoの歌詞世界を解説!

『本当は深いaikoの歌詞 ~コアなファンが語る3つのキーワード~は』こちらから!

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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この章ではaikoのこれまでの軌跡を通してaikoが「誤解される理由」「20周年を越えてもなお愛される理由」をお伝えします。背景を知ることで、aikoの「歌詞」に切り込む意味を知っていただきたいと思います。

 

aikoの楽曲に対する「誤解」を増幅させている理由は、彼女がデビューしてからブレイクするまでの音楽界(特に女性シンガー界隈)の風潮が大きく関係していると感じております。

このページではaikoの一般的なイメージと深遠な歌詞世界とのギャップが生成されてきた過程を再確認していきましょう。

 

年表

▼このページで解説する出来事

年月 出来事
1995年5月 19歳の時にTEEN’S MUSIC FESTIVAL ’95「アイツを振り向かせる方法」でグランプリ受賞
1996年4月~ FM大阪のラジオパーソナリティとして活躍
1997年12月 インディーズアルバムリリース
1998年7月 メジャーデビュー
1999年8月 3rdシングル「花火」
1999年11月 4thシングル「カブトムシ」
2000年2月 5thシングル「桜の時」
2000年9月 6thシングル「ボーイフレンド」

 

デビューまで

 

2019年6月に発売されたシングル集『aikoの詩。』のジャケットには、ピアノに向かう4歳頃のaikoの写真が使われています。

▼シングル集『aikoの詩。』

歌手になる夢はこんなに小さな時からすでに芽生えていたとのこと。

「どうしたら歌手になれるか?」と模索する中、aikoが「シンガーソングライター」という形にたどりついたのは、意外にも高校を卒業した後のことでした。

音楽短大へと進んだaikoは19歳の時、生まれて初めて出場した音楽コンテスト、「TEEN’S MUSIC FESTIVAL」でグランプリを受賞します。ステージで歌ったのは自身が初めて作詞作曲した曲。

のちにシングル「桜の時」にカップリング曲として収録される、「アイツを振り向かせる方法」(コンテスト時の表記は「アイツをふりむかせる方法」)でした。

底抜けに明るい曲ですが、かすかに憂いのある歌詞が印象的です。まさにaikoの原点であり、すでに「ラブソング職人」としての魅力的な要素が詰まっています。

その後FM大阪のラジオパーソナリティとして活躍するようになったaikoは、1997年にはインディーズアルバム『astral box』のリリースも果たします。そして1998年、ついにメジャーデビュー。この年は、音楽業界にとっても非常にメモリアルな1年でした。

 

1998年の特異性

 

1998年は、実は「日本でCDが最も売れた年」。80年代から90年代にかけて花開いたJ-POPの、ある意味ピークとも言える時期でした。

その1998年の特異性をさらに際立たせているのが、この年にデビューしたアーティストたちの顔ぶれの豪華さ。

特徴的なのはいわゆる「歌姫」と呼ばれる女性ソロアーティストが多いことです。しかも、それぞれに抜きんでたインパクトを持っています。

「圧倒的な歌唱力」のMISIA、

「女子高生のカリスマ」浜崎あゆみ、

「エロティックで尖った表現力」の椎名林檎、

「アメリカ育ちの15歳バイリンガル、しかも2世シンガー」の宇多田ヒカル。

デビューから20年以上を経た今もなお、それぞれに活動を続けています。

そしてaikoも、1998年デビューの歌姫の一人でした。

しかしaikoの一般的なイメージは、前述の歌姫たちが武器とする「強烈な個性」や「他の追随を許さない○○」といったカテゴリーとは少し異なるのではないでしょうか。

aikoの最大の武器は、いわば「等身大の魅力」。

強烈な個性を放つ歌姫たちの中で、aikoの持つ「普通さ」や「身近さ」、「親しみやすさ」といった要素が、逆説的に「強烈な個性」として彼女の人気を不動のものにしたと言えます。

 

親しみやすさについての「誤解」

 

1999年発売の3rdシングル「花火」をきっかけにメディアへの出演が増えはじめ、「カブトムシ」「桜の時」とヒットが続きます。

▼aiko「花火」

 

2000年発売の「ボーイフレンド」はオリコン週間チャートで最高位2位を記録し、この年紅白歌合戦への初出場も果たしました。

▼aiko「ボーイフレンド」

 

こうして「ボーイフレンド」はaikoの楽曲をあまり聞いたことがない人々へも広まり、「明るいラブソングを歌う元気な女の子」としてのイメージが定着していきます。

小柄でかわいらしいルックス、関西人ならではのトークセンス、「ボーイフレンド」をはじめとするわかりやすいラブソング、その全てが「親しみやすさ」へとつながっていきます。

確かに「親しみやすさ」はaikoの大きな魅力の一つであり、個性であると言えます。しかしその大衆イメージによって、aikoの楽曲の魅力さえも「親しみやすさ」という枠の中に閉じ込められてしまったところがあります。

同期デビューのシンガーソングライターである椎名林檎や宇多田ヒカルの楽曲は、デビュー当時からその芸術性や奥深さがしばしばメディアで取り上げられてきました。

aikoも全くないわけではありませんが、そのような文脈で語られる機会は比較的少ないのが事実です。

こうした違いには、アーティストがブレイクする過程で定着してしまった「イメージ」というものが少なからず影響しているでしょう。

 

たとえばaikoの代名詞のようになっている「ボーイフレンド」ですが、実はこの曲はaikoの数ある楽曲の中でも群を抜いて明るく、歌詞の上でも「陽」の部分が全面に出ている、どちらかというと少数派の異色作です。

aikoの歌詞世界は「陰」と「陽」の絶妙なバランスが魅力であり、aikoの「陰」の表現はまさに「隠し味」として作品における重要な役割を果たしています。

※aikoの歌詞世界については第2章(現在第1章)にて解説いたします。

 

「明るさ」ももちろんaikoの魅力ですが、その「明るさ」の魅力を際立たせ根底から支えているのは、あまり表には出てこない、彼女の持つ「陰」の表現なのです。

「かわいい」「明るく元気」「共感しやすい」といったaikoの楽曲に対する「陽」のイメージは、大勢の人に受け入れられる「親しみやすさ」を育てました。

しかしそれと同時に、楽曲の奥深さに気付かせる機会を奪っている可能性があります。

ブレイクした時期が違えば、彼女が担うイメージや役割はもしかすると今とは少し違ったものになり、こういった「誤解」は生じなかったかもしれません。

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実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

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おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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aikoが20周年を越えてなお愛される理由

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aikoの歌詞世界の魅力をファン歴20年の筆者が紹介!aikoに対して恋に恋する恋愛ソングばかりと感じているとすれば、それは誤解です。コアなファンにとってのaikoのキーワードである「哀愁」「渋み・エグみ」「普遍的な愛」に焦点を当てaikoの歌詞世界を解説!

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第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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aikoの「変わらない」魅力

 

aikoの「親しみやすさ」は時にある種の「誤解」も招きますが、それが彼女の魅力であることは紛れもない事実です。

そして何よりすさまじいのは、その「親しみやすさ」がデビューから20年以上経った今でも変わらないことです。

「変わらない」というのはaikoを語る上で重要なキーワードです。

 

 

改めて振り返ってみると、メディアへの出演ペース、作品発表ペース、ライブ開催ペース、本人のビジュアルイメージ、作風、パッケージデザイン、ありとあらゆる点において、aikoにはデビュー以来大きなブランクや変化がないことに驚かされます。

具体的には、デビューからほぼ毎年シングルをリリースし続け、オリジナルアルバムも2年以上発表の間隔を空けることはほとんどなく、テレビ、ラジオをはじめとするあらゆるメディアにコンスタントに出演。

ほぼ毎年全国ツアーを行い、SNSが普及した今なお携帯会員に向けて自らメールを配信し、大幅に活動範囲を広げることもなく、いつの日も等身大のラブソングを作り、歌い続ける……。

見方によっては「マンネリ」とも捉えられかねない活動スタイルですが、aikoの「変わらなさ」は、もはやブランドの証と言っても過言ではありません。

 

一方で、同期デビューの歌姫たちの歩みは変化に富んでいます。

メディアへの出演頻度が時期によって大きく増減したり、場合によっては活動休止期間があったり、作風やビジュアルイメージがアルバムごとに大きく変化したり、活動の幅を大きく広げたり……。

20余年という月日、それも若者から大人へと成長するプロセスの中で音楽活動を行っているのですから、ある意味起きて当然の現象でしょう。

 

 

それを踏まえれば、aikoが「変わらない」のは偶然でもましてやマンネリでもなく、本人があえて変わらないことを選び、意識的に歩んできた結果だとわかります。

そして、その過程をあくまで自然に見せているところが、プロフェッショナル・aikoの真骨頂と言えるでしょう。

作風、ビジュアル、リスナーとの距離、全てが変わらずに保たれてきたという安心感は、マンネリどころか、結果としてファンとの信頼関係をますます強めています。

 

「深化する」歌詞世界の魅力

 

しかしいくらaikoが変わらないからといって、何一つ変わらないわけではありません。

その変化を最もわかりやすく実感できるのが、まさにこのWebonのテーマである彼女の「歌詞世界」なのです。

それは変化というより「深化」と呼ぶにふさわしいものです。

 

aikoの歌詞にはデビュー当初から小説的な奥行きや情緒がありますが、彼女が年齢を重ねるにつれ、また新しいアルバムが発表されるたびに、その味わいはより豊かなものになっています。

しかしこのことは、ファン以外にはあまり知られていないのが現状です。

 

前のページでご紹介した「親しみやすさ」というイメージに加え、aikoに対して「誤解」を招きやすいのが、「恋愛の曲ばかり」というやや浮ついたイメージでしょう。

事実として、aikoの歌詞は恋愛をテーマにしたものが大半です。全楽曲のうち99%以上が恋愛をテーマにしていると言ってもおおげさではありません。

aiko自身、ややネガティブなニュアンスで「恋愛の曲しか書けない」と語ることがあります。このようなイメージが先行してしまうと、リスナー層がある程度狭まってしまうのは仕方のないことです。

 

確かに、たまたま見た音楽番組で出だしの部分を聴いただけでは、aikoの「深化」を実感することはできないかもしれません。

しかし一見浮ついた「恋に恋する恋愛ソング」は、あくまでaikoの深遠な歌詞世界への入り口です。

aikoが描く本質は、「恋愛」というフィルターを通した「愛」そのものなのです。

そのことをお伝えするために、いよいよ次のページからは具体的にaikoの歌詞世界をご案内します。

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はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

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1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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