aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード 【① 哀愁】

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aikoの歌詞世界の魅力をファン歴20年の筆者が紹介!aikoに対して恋に恋する恋愛ソングばかりと感じているとすれば、それは誤解です。コアなファンにとってのaikoのキーワードである「哀愁」「渋み・エグみ」「普遍的な愛」に焦点を当てaikoの歌詞世界を解説!

『本当は深いaikoの歌詞 ~コアなファンが語る3つのキーワード~』はこちらから!

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

aikoの一般的なイメージはおそらく「かわいい」「明るい」「元気」といったものが中心でしょう。ただ、aikoの楽曲に親しんできた一ファンの視点から分析すると、「ラブソング職人aiko」としての魅力は小説的ともいえる「深遠な歌詞世界」の中にこそ表れていると感じます。

この章ではaikoのイメージに対する誤解を解くため、aikoが描く歌詞の世界を「哀愁」「渋みとエグみ」「普遍的な愛」という3つのキーワードに分けて解説いたします。

このページでは「哀愁」というキーワードからaikoの歌詞世界の魅力を解説します。

 

aikoの歌詞を読み解くキーワード「哀愁」

 

「aikoの歌を聴くと好きな人を思い出して胸がきゅんとする」「昔の恋を思い出して切なくなる」…そんな感想をよく耳にします。

「切なさ」を感じられるかどうかは、ラブソングの価値を測る上で重要な要素です。

一方で「切ないラブソング」の定義は幅広く、失恋や片思いをテーマとしていれば、たいてい「切ない」というキャッチコピーがついてしまうのも事実です。

そのせいか「切ないラブソング」という言葉自体に特に重みはなく、かえってありきたりな印象を与えることさえあります。

本当の切なさを感じられるラブソングと、ありきたりなラブソングとを隔てるものは何でしょうか。

 

aikoの歌詞を読み解くことで浮かび上がってくるキーワードは「哀愁」です.

aikoの歌詞は「好きな人に会えなくて寂しい」「好きすぎて苦しい」などのラブソングにありがちな場面を切り取る一方で、決して「恋している今」だけにフォーカスしないという特徴があります。

常に離れたところから客観的に「恋している今の自分」を見つめている別の視点があり、それはたいてい「終わりを知っている自分」です。

 

 

「終わりを知っている自分」は、時に「生き死にレベル」までリスナーを連れて行ってしまいます。

それはもはや「切なさ」というラブソングに多用されがちなキーワードでは伝えきれない、「哀愁」と呼ぶにふさわしい情感です。

「切なさ」を越えたこの「哀愁」こそがaikoのラブソングを真に切ないものにしていると思っています。

ここからは具体的にaikoの歌詞を分析し「哀愁」の秘密に迫りたいと思います。

 

歌詞に見る哀愁の例①「カブトムシ」

▲aiko「カブトムシ」music video short version

 

まずはaikoの代表曲の一つである「カブトムシ」の歌詞に注目してみましょう。

aikoの曲をあまり詳しく知らない人も、「少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ」というサビのフレーズを耳にしたことがあるでしょう。

好きな人へのまっすぐな思いを歌い上げていることから、結婚式のBGMに使用する人もいると聞きます。改めて歌詞を見てみましょう。

 

悩んでる身体が熱くて 指先は凍える程冷たい
「どうした はやく言ってしまえ」 そう言われてもあたしは弱い
あなたが死んでしまって あたしもどんどん年老いて
想像つかないくらいよ そう 今が何より大切で…

引用:aiko「カブトムシ」

 

語り手は「悩んでる身体」や「指先」の温度を通してリアルタイムの「今」を感じながらも、次の瞬間には「あなたが死んで」「あたしもどんどん年老いて」しまった「人生の終わり」へと唐突に視点を移動させます。

「想像つかないくらいよ 今が何より大切で」と一旦「今」に戻ってくるものの、2番の歌詞では季節の移り変わりの描写とともに、視点は再び未来へと移っていきます。

 

強い悲しいこと全部心に残ってしまうとしたら
それもあなたと過ごしたしるし そう 幸せに思えるだろう

引用:aiko「カブトムシ」

 

語り手は「あなた」と過ごした日々が終わる日を再び想像します。

数分間のうちに「今」の幸福感と「終わり」への不安を行ったり来たりしながら、「生涯忘れることはないでしょう」というリフレインとともに曲はエンディングを迎えます。

曲の前半に出てくる「死」というヘビーワードによって、リスナーは否応なく終わりを意識させられ、この曲が単なる幸せなラブソングではないことに気がつきます。

この曲で描かれる恋の終わりは「死」であり、「あなた」が死んだ後の「あたし」の心境にまで描写が及んでいます。「恋する今」だけにフォーカスしたラブソングとは一線を画した、ある種の切迫感が漂う作品です。

 

歌詞に見る哀愁の例②「シアワセ」

▲aiko「シアワセ」music video short version

 

もう一つ例を挙げましょう。

2007年リリースのシングル「シアワセ」の冒頭の歌詞です。

 

隣で眠ってるあなたの口が開く そして笑った
どんな夢見てるの?気になる…出来ればあたしが出てきたらいいのに

引用:aiko「シアワセ」

 

隣で眠る好きな人を見つめて幸せをかみしめている描写や「シアワセ」というタイトルのイメージからか、この曲もまた結婚式で使われることが多いようです。ところがサビの歌詞を見てみると、一筋縄ではいかないことがわかります。

 

二人何処かで廻るストーリー 生涯離れてしまっても
あなたの一歩になるならば 幸せに思える日が来るのです
(中略)
二人何処かで廻るストーリー 静かに終わりが来たとしても
最後にあなたが浮かんだら それが幸せに思える日なのです

引用:aiko「シアワセ」

 

「カブトムシ」同様、繰り返し「終わり」の予感がつづられています。むしろ覚悟はできていて、それすらも幸せに感じられるという、刹那的な恋愛感情を越えた愛情の描写です。

「最後にあなたが浮かんだら」というフレーズは、まるで「あなた」がいなくなった後の「あたし」の人生の終わりの場面を語っているようで、一気に哀愁が漂います。AメロやBメロがフワフワした幸福感に満ちているだけに、コントラストが際立っています。

 

こうした描き方はaikoの楽曲において頻繁に見られる特徴でありながら、あまり一般には認知されていません。

ともすれば重く暗くなりかねないモチーフを含んでいるにもかかわらず、あくまで親しみやすいポップスとしての形態を保っているのはなぜでしょうか。

第1章で言及した「明るく元気」など彼女の「イメージ」が関係していることはもちろんですが、親しみやすいポップスとしての形態を保っているのは、歌詞の表現が内省的であることが理由の一つでしょう。

主人公である「あたし」は未来への不安や終わりへの恐れを感じつつも、歌詞の言葉が「あなた」へ投げかけられることはありません。「マイナスな感情ほど内に秘める」というのもaikoの歌詞の特徴です。

一歩間違えれば深い情念になり得る感情の表現を内省にとどめることで、そこに「媚び」や「あざとさ」が生じるのを防ぎ、爽やかさが保たれています。

さりげない「哀愁」の表現で切なさを増幅させながらも、決して「恨み節」ではない内省的な語りをベースとすることで、受け入れられやすい「真に切ないラブソング」が完成しているのです。

 

以上、このページでは「哀愁」というキーワードからaikoの歌詞世界の魅力を解説しました。

次のページではaikoの「渋みとエグみ」というキーワードからaikoの歌詞世界の魅力を解説します。

『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

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はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

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昆虫採集体験レポート④ 【夜の虫採り】

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身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第4章)では4ページにわたって、筆者が実際に昆虫採集をおこなった様子を写真の数々と共にレポートしています。

昆虫採集レポートの締めくくりは、夜の虫採りです。

と言っても、夜間に昆虫採集をおこなうのではなく、昼の間に仕掛けた罠を翌朝に回収して夜行性の昆虫を採集したいと思います。

昆虫採集には「ノムラホイホイ」という罠を使います。ご参考になれば幸いです。

 

夜行性の昆虫を採集

 

今回、仕掛けた罠はこちら――

 

 

――人呼んで「ノムラホイホイ」です。

ノムラホイホイとは、甲虫研究者の野村周平氏が考案した昆虫採集のためのトラップで、2Lサイズのペットボトルを細工して作成します。

詳しい作り方と使用例はハネカクシ談話会のホームページに記載がありますので、興味のある方は調べてみてください。

参考リンク:ハネカクシ談話会ホームページ

 

ノムラホイホイは非常に汎用性(はんようせい)が高いトラップで、中に入れる餌を変えることであらゆる昆虫の採集に応用することができます。

今回は夏の昆虫採集の定番カブトムシとクワガタムシを狙い、バナナを餌に使用します。

 

本当はバナナに焼酎やドライイースト等を加えて本格的なトラップを仕掛けたいところですが、今回は道中のコンビニで購入したバナナをそのまま投入するというシンプルなスタイルを敢行しました。

 

果たして、バナナだけでカブトムシやクワガタムシは捕まえられるのでしょうか。

 

 

 

 

2日目の昆虫採集レポートを終えたその流れで、近くの雑木林に分け入ります。

しかし、このあたりは針葉樹(しんようじゅ)が多く、なかなか広葉樹林(こうようじゅりん)が見当たらない。

 

【編集部コラム】広葉樹と針葉樹
カブトムシは広葉樹を好みます。広葉樹と針葉樹は「葉の形」で見分けることができます。広葉樹は葉が広く平たいものが主となります。針葉樹は、葉っぱが細長いものが主になります。

▼広葉樹

▼針葉樹

 

 

ようやく見つけた目ぼしいスポットにノムラホイホイを設置します。

 

 

 

 

・・・

・・・

・・・

 

 

 

 

中にはバナナ1本を皮ごと投入しました。

 

 

 

 

 

 

 

3つ用意したノムラホイホイのうち2本は雑木林に、残りの1本は近所の住宅街にある公園に設置しました。

 

 

 

 

 

駄目で元々ですが、池があって緑も豊かなので意外にありなんじゃないかと期待をこめつつ、その日は帰途につきました。

 

 

・・・

・・・

・・・

 

 

そして翌日。

早朝4:30に起き、かるく支度をして家を出ます。

 

 

 

 

まずは近所の公園から。

 

 

 

 

果たして取れているんでしょうか。

 

 

 

 

ノムラホイホイを確認してみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

結果はノーヒット。

そこには傷んだバナナがあるばかりでした。

まあ駄目で元々だと気を取り直して、昨日の雑木林に向かいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは1箇所目。結果は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――またもやノーヒット。

先ほどとの違いといえば、傷んだバナナにアリがたかっていることくらい。

今回は失敗だ。やっぱりバナナだけじゃ駄目なのか?

それ以前に設置場所の問題か?

などと考えながら、最後のトラップの中身を確認します。

 

 

 

 

中を覗くと、やはり何もいない……もはや写真を撮ることさえ忘れています。

 

 

 

諦めて回収したトラップを持参した袋にしまおうとしたとき、ふと黒っぽいなにかがバナナの隙間から顔を出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

――いた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かかっていたのは2匹のコクワガタでした。

どちらも雄ですが、コクワガタにしてもかなり小ぶり……。

 

大成功とは言い難い結果ですが、目標としていたクワガタムシを捕まえることができたので、まあ及第点といったところでしょうか。

なんの加工もしていないバナナを放り込んで一晩放置するだけでもクワガタムシを採取することができるのですから、やはりノムラホイホイは優れたトラップなのだと思います。

 

 

このたびは3回にわたる昆虫採集のなかで、カエルや魚を含む23種の生き物を捕まえることができました。

散歩がてらの虫採りでこれだけの生き物を観察できるのですから、本腰を入れて昆虫採集に挑めば相当数の生き物を捕まえられるはずです。

 

拙いレポートですが、昆虫採集の楽しさの一端をみなさまにお伝えすることができれば幸いです。

 

このWebonでは、昆虫の魅力についてお伝えしてきました。次のページでは、最終ページの「番外編」として昆虫好きの筆者でさえ生理的な嫌悪感をおぼえてしまうような、いい意味で気持ち悪い虫たちをご紹介していきます。

よりディープな昆虫の世界を覗きたい方はご覧くださいませ。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)