『身近な昆虫の観察入門』目次へ (全17ページ)
この章(第4章)では4ページにわたって、筆者が実際に昆虫採集をおこなった様子を写真の数々と共にレポートしていきます。
子どもの時のように必死で虫を探すというよりも、散歩がてら景色を楽しみつつ気ままに昆虫採集をしていますので、そのつもりでのんびりとご覧になっていただければ幸いです。
このページでは公園にて昆虫採集を行っております。(前半戦は前のページで)
▼山の音
2日目後半の昆虫採集スタート
公園に移動して間もなく、モンキチョウの捕獲に成功。
そして、さらに移動すると・・・
こちらはキアゲハ。
この公園にはさまざまな植物が植えられているので、見かける蝶の種類は先ほどの遊歩道よりも多彩です。
続いて草むらの方に向かいます。
草むらをかきわけると、ジョロウグモが網にかかったアブラゼミを捕食していました。
名称 | ジョロウグモ |
大きさ | 体長 6~30mm |
出現時期 | 9月~11月 |
分布 | 本州・四国・九州・沖縄 |
いる場所 | 山間部 |
写真 | By KENPEI – KENPEI’s photo, CC 表示-継承 3.0, Link |
小学生の頃、虫採りに夢中になっているときにトランクスの隙間から侵入され、半狂乱になってパンツの中から追い出したという苦い思い出があるせいか、ジョロウグモは未だに苦手です。
次に捕まえたのが、ヤマアカガエル。
1日目に見つけたものは多分ニホンアカガエルじゃないかと思うのですが、こちらはヤマアカガエルでまず間違いないでしょう。
▼ヤマアカガエルの見分け方
こちらの公園ではいたるところでニホンアカガエルの姿を目にすることができました。おそらく、公園内を1週するだけで軽く100匹は見つけられるのではないでしょうか。
1日目にも捕獲したナツアカネです。
ナツアカネという名のとおり、この季節の水辺では何処でも見ることができます。
次に見つけたのが、みなさんご存知シオカラトンボ。
名称 | シオカラトンボ |
大きさ | 体長 50~55mm |
出現時期 | 5月~10月 |
分布 | 日本全土 |
いる場所 | 田・池などの水辺 |
もっとも身近なトンボの一種ではないでしょうか。
体が水色になるのは成熟した雄の個体だけで、雌は黄色っぽい目立たない体色をしています。
そのため雌や未成熟の雄の個体を俗に「ムギワラトンボ」と呼ぶことがありますが、分類学上ムギワラトンボという種は存在していません。
ふと足元に目をやると、アブラゼミが花壇の土留めにとまっていました。
名称 | アブラゼミ |
大きさ | 体長 55~65mm |
出現時期 | 7月~9月 |
分布 | 北海道・本州・四国・九州 |
いる場所 | 市街地・雑木林 |
写真ではわからないですが、地上からおよそ20cmという驚愕の低さのところにいます。
アスファルトが近いと余計に暑いと思うのですが、おそらく既に相当弱っているのでしょう。かなり近づいても逃げる素振りは見られません。
時間が経つにつれて日差しが強まっていますが、風がよく通るので木陰にいればまったく暑さを感じることはありません。
1日目とは違い、絶好の虫採り日和です。
虫網を片手に気持ちよく散歩していると、小さな昆虫が目の前を横切りました。
おそらくハネカクシの一種でしょう。
ハネカクシは世界中におよそ6万種、日本国内だけで2,000種以上が棲息している極めて多様性の高い生き物で、1科あたりの種類の多さはゾウムシに次ぐといわれています。
つまり、アオバアリガタハネカクシのようなよほどメジャーなものでもない限り、筆者はハネカクシの仲間を見分けることができないということです。あしからず。
続いて、なにか昆虫はいやしないかと木の幹を観察していると、意外な生き物を発見しました。
決して珍しくはないのですが、突然の遭遇に意表を突かれた思いです。
まさか、ニホンアマガエルが木の幹の上で休んでいるとは……。
やっぱりアマガエルは可愛いなあ。
思わぬ遭遇に喜んでいると、草むらを飛びまわる影が――
――緑色型のクルマバッタです。
名称 | クルマバッタ |
大きさ | 体長 35~65mm |
出現時期 | 7月~11月 |
分布 | 本州・四国・九州・沖縄 |
いる場所 | 公園・草原 |
1日目に見つけたクルマバッタモドキと酷似していますが、本種は背中が盛り上がっています。
わかりづらいかもしれませんが、赤丸で囲まれた部分が背中です。
並べて比較してみると、顔つきも若干違うような気がしますね。
池沿いを歩いていると、ニシキゴイが近寄ってきました。
この公園の事務所では鯉の餌が売られているので、人を見ると餌がもらえると思って近づいてくるのかもしれません。
もう少し川を眺めていると・・・
続いて、カエルの卵を発見。
この界隈にはウシガエルが多く棲息しているので、おそらくウシガエルの卵でしょう。
筆者の推測を裏づけるかのように、池のほとりに佇むウシガエルの姿が。
目よりも大きな鼓膜があることから雄(オス)だと判別できます。
公園内の池ではニシキゴイやウシガエルだけでなく、ミシシッピアカミミガメの姿も数多く見られました。
日本の自然がいかに外来種の侵略を受けているか、痛いほどに実感させられます。
気がつけばもう夕方……完結編に続く!
次のページでは、夜行性の昆虫を採集します。昼間に仕掛けた罠で昆虫を捕まえてみました。「昆虫を見つける喜び」のややディープな世界を体験してみてください。
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はじめに
第1章 季節から見つける
第2章 フィールドから見つける
第3章 特徴から見つける
第4章 実際に見つけに行く
番外編
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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