昆虫採集体験レポート③ 【2日目後半 公園】

Webon紹介目次著者
身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第4章)では4ページにわたって、筆者が実際に昆虫採集をおこなった様子を写真の数々と共にレポートしていきます。

子どもの時のように必死で虫を探すというよりも、散歩がてら景色を楽しみつつ気ままに昆虫採集をしていますので、そのつもりでのんびりとご覧になっていただければ幸いです。

このページでは公園にて昆虫採集を行っております。(前半戦は前のページで)

▼山の音

 

2日目後半の昆虫採集スタート

 

 

 

 

 

公園に移動して間もなく、モンキチョウの捕獲に成功。

 

モンキチョウの解説は第1章にて(現在は第4章) モンキチョウの解説は第1章にて(現在は第4章)

 

 

 

 

 

 

そして、さらに移動すると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはキアゲハ

 

キアゲハの解説は第1章にて(このページは第4章) キアゲハの解説は第1章にて(このページは第4章)

 

 

この公園にはさまざまな植物が植えられているので、見かける蝶の種類は先ほどの遊歩道よりも多彩です。

 

 

 

 

 

続いて草むらの方に向かいます。

 

 

 

草むらをかきわけると、ジョロウグモが網にかかったアブラゼミを捕食していました。

 

 

 

 

名称 ジョロウグモ
大きさ 体長 6~30mm
出現時期 9月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄
いる場所 山間部
写真 By KENPEI – KENPEI’s photo, CC 表示-継承 3.0, Link

 

 

小学生の頃、虫採りに夢中になっているときにトランクスの隙間から侵入され、半狂乱になってパンツの中から追い出したという苦い思い出があるせいか、ジョロウグモは未だに苦手です。

 

 

 

 

 

 

 

次に捕まえたのが、ヤマアカガエル

1日目に見つけたものは多分ニホンアカガエルじゃないかと思うのですが、こちらはヤマアカガエルでまず間違いないでしょう。

 

▼ヤマアカガエルの見分け方

 

こちらの公園ではいたるところでニホンアカガエルの姿を目にすることができました。おそらく、公園内を1週するだけで軽く100匹は見つけられるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

1日目にも捕獲したナツアカネです。

ナツアカネという名のとおり、この季節の水辺では何処でも見ることができます。

 

ナツアカネの解説は第1章にて(このページは第4章) ナツアカネの解説は第1章にて(このページは第4章)

 

 

次に見つけたのが、みなさんご存知シオカラトンボ

 

 

 

 

名称 シオカラトンボ
大きさ 体長 50~55mm
出現時期 5月~10月
分布 日本全土
いる場所 田・池などの水辺

 

もっとも身近なトンボの一種ではないでしょうか。

体が水色になるのは成熟した雄の個体だけで、雌は黄色っぽい目立たない体色をしています。

そのため雌や未成熟の雄の個体を俗に「ムギワラトンボ」と呼ぶことがありますが、分類学上ムギワラトンボという種は存在していません。

 

 

 

 

ふと足元に目をやると、アブラゼミが花壇の土留めにとまっていました。

 

 

 

 

名称 アブラゼミ
大きさ 体長 55~65mm
出現時期 7月~9月
分布 北海道・本州・四国・九州
いる場所 市街地・雑木林

 

写真ではわからないですが、地上からおよそ20cmという驚愕の低さのところにいます。

アスファルトが近いと余計に暑いと思うのですが、おそらく既に相当弱っているのでしょう。かなり近づいても逃げる素振りは見られません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が経つにつれて日差しが強まっていますが、風がよく通るので木陰にいればまったく暑さを感じることはありません。

1日目とは違い、絶好の虫採り日和です。

 

 

 

 

虫網を片手に気持ちよく散歩していると、小さな昆虫が目の前を横切りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらくハネカクシの一種でしょう。

ハネカクシは世界中におよそ6万種、日本国内だけで2,000種以上が棲息している極めて多様性の高い生き物で、1科あたりの種類の多さはゾウムシに次ぐといわれています。

つまり、アオバアリガタハネカクシのようなよほどメジャーなものでもない限り、筆者はハネカクシの仲間を見分けることができないということです。あしからず。

 

アオバアリガタハネカクシについては番外編で解説!(このページは第4章) アオバアリガタハネカクシについては番外編で解説!(このページは第4章)

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、なにか昆虫はいやしないかと木の幹を観察していると、意外な生き物を発見しました。

 

 

 

 

 

 

決して珍しくはないのですが、突然の遭遇に意表を突かれた思いです。

まさか、ニホンアマガエルが木の幹の上で休んでいるとは……。

やっぱりアマガエルは可愛いなあ。

 

 

 

 

思わぬ遭遇に喜んでいると、草むらを飛びまわる影が――

 

 

 

 

 

――緑色型のクルマバッタです。

 

 

 

 

 

 

名称 クルマバッタ
大きさ 体長 35~65mm
出現時期 7月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄
いる場所 公園・草原

 

 

1日目に見つけたクルマバッタモドキと酷似していますが、本種は背中が盛り上がっています。

 

 

わかりづらいかもしれませんが、赤丸で囲まれた部分が背中です。
並べて比較してみると、顔つきも若干違うような気がしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池沿いを歩いていると、ニシキゴイが近寄ってきました。

この公園の事務所では鯉の餌が売られているので、人を見ると餌がもらえると思って近づいてくるのかもしれません。

 

 

 

 

もう少し川を眺めていると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、カエルの卵を発見。

この界隈にはウシガエルが多く棲息しているので、おそらくウシガエルの卵でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筆者の推測を裏づけるかのように、池のほとりに佇むウシガエルの姿が。

目よりも大きな鼓膜があることから雄(オス)だと判別できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

公園内の池ではニシキゴイやウシガエルだけでなく、ミシシッピアカミミガメの姿も数多く見られました。

日本の自然がいかに外来種の侵略を受けているか、痛いほどに実感させられます。

 

気がつけばもう夕方……完結編に続く!

 

次のページでは、夜行性の昆虫を採集します。昼間に仕掛けた罠で昆虫を捕まえてみました。「昆虫を見つける喜び」のややディープな世界を体験してみてください。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

昆虫たちの【冬】の越し方

Webon紹介目次著者
身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第1章)では【】【】【】【】に分けて、季節ごとに身近に棲息する昆虫たちを紹介していきます。

寒い冬は昆虫たちにとって「死の季節」であり、生き抜くために様々な方法を駆使して冬を乗り越えています。

昆虫たちの冬の乗り越え方を知り、昆虫への興味をより深めていただきたく思います。

 

冬に見られる昆虫

 

【名称】ハナアブ
【大きさ】体長 14~16mm
【出現時期】4月~12月
【分布】日本全土
【いる場所】花の上
By Andreas Thomas Hein投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 【名称】オツネントンボ
【大きさ】体長 26~41mm
【出現時期】11月~4月
【分布】北海道~九州
【いる場所】沼・林に近い池
【名称】キタテハ
【大きさ】前翅長(ぜんしちょう) 3~8.5mm
【出現時期】4月~12月
【分布】北海道南西部~九州
【いる場所】草むら・花の上

 

冬の昆虫観察が困難な理由

 

冬は他の季節に比べて昆虫の観察が困難になります。

空気が乾燥し、気温が著しく低下する冬は多くの虫たちにとって「死の季節」であるといっても過言ではありません。昆虫の他、爬虫類や両棲類といった野生動物の観察が難しい冬の間はなんとも味気ない日々が続きます。

 

冬の観察が困難な理由は、昆虫が変温動物であるからです。

 

人間をふくむ哺乳類や鳥類は恒温動物です。恒温動物は外気温に左右されることなく一定の体温を保つことができます。

一方、昆虫などの変温動物は外部の温度によって体温が変化します。

 

 

動物が活動するには「熱」が必要です。熱がなくなれば基本的に動物は死んでしまいます。

恒温動物の場合は食料を食べるなどして自分の内から熱を生み出すことできます。

一方、変温動物である昆虫は内から熱を生み出すことができません。また、外気温により体温が変化してしまうため、気温が下がる冬を越すにはなんらかの工夫を凝らさなければ生き残ることができないのです。

 

昆虫の冬の越し方

 

昆虫が安全に冬を越すための方法は二つに大別されます。

 

① 暖かい場所を求めて移動

 

ひとつは「暖かい場所を求めて移動する」というもので、一部のチョウやトンボがこれに該当します。

日本にも棲息するウスバキトンボは「渡り」をする昆虫として有名で、近年の研究によってなんと7,100kmもの距離を移動していることが判明しました。

 

▼ウスバキトンボ

名称 ウスバキトンボ
大きさ 体長 45~55mm
出現時期 4月~9月
分布 北海道~沖縄
いる場所

 

これは生物界でも最長で、これまで最長の渡りをおこなうとされていたオオカバマダラの4,000kmを大きく上回る記録です。

 

【編集部の昆虫豆知識】オオカバマダラ

オオカバマダラは、冬の間は南へ渡りを行います。

「渡り鳥のように渡りを行う蝶」として有名な昆虫です。

 

 

夏は米国北部とカナダをすみかとし、毎年秋になるとカルフォルニア州とメキシコへ移動を行います。世代交代をしながら大移動します。

 

② 代謝を抑えた状態で寒さに耐える

 

もうひとつの方法が、代謝を抑えた状態で寒さに耐えるというものです。

 

代謝とは
代謝は生物が生命を維持するための体内で行われる化学反応のことです。人間の場合は脂肪をエネルギーに変えることで体を動かしていますが、これが代謝に該当します。

 

耐寒性の強い生物種であれば、成虫(=昆虫の最終形態)の状態でも冬を生き抜くことができます。ハチやアリ、テントウムシやカメムシがその例です。

彼らは樹皮の隙間や落ち葉の下でおしくらまんじゅうのように身を寄せ合うことで外気から身を守ります。ただ動かずに何も食べなければ飢え死にしてしまいますので、気温の高い時間には活動的になることもあります。

 

▼落ち葉の下で集まるテントウムシのイメージ

 

一方で、コオロギやカマキリといったバッタ目に属する昆虫は寒さに弱く、成虫の状態では冬を越せずに死んでしまいます。彼らは秋になると産卵して次の世代に命を託します。

代表的な例が、カマキリの卵です。

 

▼カマキリの卵

 

カマキリの卵は、泡状のタンパク質に包まれることで寒さや外敵から守られます。気温の上昇とともに休眠から覚めておびただしい数の幼虫が一斉に孵化します。

 

カブトムシやクワガタムシの幼虫が土の中や樹木の中で過ごすのも、寒さや外敵から身を守るためであるといわれています。

 

▼カブトムシの幼虫

 

また、ガやチョウの仲間は蛹(さなぎ)の状態で冬を過ごすものが多いですが、越冬できずに蛹のまま死んでしまうものも少なくありません。

 

▼蛹のアゲハチョウ

 

▼形態別、冬の越え方一覧

成虫 集団で物陰に隠れて身を寄せ合うなどして冬を越す。
成虫は死に、卵を生んで次の世代に託す。
幼虫 寒さや外敵から身を守るため、土や樹木の中で過ごす。
蛹越 蛹は食べる必要もなく厳しい冬を超すには適した状態。枝に同化していたりする。

 

寒さの厳しい冬の時期でも、比較的気温が高い日には一時的に冬眠からさめて日向ぼっこをしている生き物の姿を見ることができますので、そういう日には自然のなかに足を伸ばしてみるのも一興です。

また、樹皮の裏や土の中、落ち葉の裏をのぞいてみると休眠中の生き物と出会えることがありますが、越冬を妨げないためにも手短に観察を済ませたら速やかに元の状態に戻してやるようにしてください。

 

この章(第1章)では、四季ごとに昆虫を紹介いたしました。次の章(第2章)からは【山野】【水辺】【街なか】【】とフィールド別に見つけることができる昆虫を4ページにわたって紹介します。

次のページは【山野】で見つけることができる昆虫を紹介します。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

【春】の身近な昆虫 6選

Webon紹介目次著者
身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第1章)では【】【】【】【】にわけて、季節ごとに身近に棲息する昆虫たちを紹介していきます。

このページでは「春の昆虫」を紹介します。昆虫の魅力を知り、昆虫を見つける喜びを知っていただきたく思います。

また、昆虫は似た姿をしているのに種が違う昆虫が多数存在します。

こういった昆虫の見分け方を知っていると、昆虫を見つける喜びや楽しさがより深まると思います。適宜、似た昆虫の見分け方もお伝えしますので、こちらも参考になれば幸いです。

 

春になると昆虫が見られる

 

冬の寒さの中では昆虫は生き抜くことが困難です。そのため、昆虫たちは冬を越すために暖かい場所を求めて移動したり、土の中で過ごしたりします。

また昆虫の仲間には、冬を過ごすのに適した「蛹(さなぎ)」の形態で冬を越し、暖かくなってから羽化(=成虫になること)するものが多いです。

 

 

そのため冬は昆虫を見かけることが少なくなる季節ですが、春を迎えるとさまざまな種類の昆虫を目にすることができるようになります。

 

モンシロチョウ

名称 モンシロチョウ
大きさ 前翅長(ぜんしちょう) 25~30mm
出現時期 3~11月頃
分布 日本全土
いる場所 野原・畑

 

春に見られる最も代表的な昆虫のひとつが、モンシロチョウです。モンシロチョウの幼虫はキャベツやナノハナなどアブラナ科の植物を主食とするため、それらの植物が多い場所で頻繁に見られます。

 

▼モンシロチョウの幼虫


CC 表示 2.0, Link 

 

モンシロチョウは漢字で「紋白蝶」と表すことからもわかるように、白い羽に紋様があります。ちなみにモンシロチョウは羽化する季節によって紋様に違いができます。春に成虫になったモンシロチョウは黒の紋様が目立たず、夏に成虫になると黒の紋様が目立ちます。

 

 

▼モンシロチョウの動く様子

 

モンキチョウ

名称 モンキチョウ
大きさ 前翅長 23~26mm
出現時期 3~11月頃
分布 日本全土
いる場所 野原・畑

 

モンキチョウはモンシロチョウの近縁(=近い種)にあたります。

モンキチョウは漢字で書くと「紋黄蝶」です。「紋黄蝶」という名前のとおり黄色い羽が特徴的ですが雌(めす)の中には白みの強い個体もおり、モンシロチョウとの見間違えられることも少なくありません。

 

モンシロチョウとモンキチョウの見分け方

 

翅(ハネ)の縁の部分が黄色っぽく、触覚に白と黒の縞模様のあるものがモンシロチョウです。翅の縁と触覚がピンク色っぽいものがモンキチョウですので、見かけたときにはよく観察してみると良いでしょう。

 

 

モンシロチョウだと思っていたものが、よく見るとモンキチョウだった。なんてこともあるかもしれません。

 

▼モンキチョウが飛ぶ様子

 

キアゲハ/ナミアゲハ

名称 キアゲハ
大きさ 前翅長 52mm前後
出現時期 4月~10月頃
分布 屋久島以北 日本全土
いる場所 草地・山頂・海岸・市街地
備考 パセリ・ニンジン・みつばなどを食べる。

 

キアゲハもまた、春を代表する昆虫のひとつです。

ステンドグラスのような翅を優雅にはためかせる姿を見て、春の息吹を実感するという方も少なくないでしょう。

一般にアゲハチョウと呼ばれるナミアゲハとは異なる種であり「黄揚羽(きあげは)」の名のとおり翅の黄色味が強いことが特徴です。

 

▼ナミアゲハ

名称 ナミアゲハ
大きさ 前翅足 55mm前後
出現時期 4月~11月頃
分布 日本全土
いる場所 草原・公園の花
備考 単に「アゲハチョウ」と呼ばれることもある。都会の庭や鉢植えに卵を植え付けていることがある。

 

キアゲハとナミアゲハの見分け方

 

キアゲハとナミアゲハは羽の模様で見分けることができ、翅の付け根が黒っぽく塗りつぶされているものがキアゲハ、翅の付け根に細かい模様が入っているものがナミアゲハです。

 

 

幼虫はさらに見分けるのがが容易で、オレンジ色の紋が入った黒い縞模様をもつものがキアゲハ、全身が緑色で頭部後方に目玉模様があるものがナミアゲハというように見分けることができます。

 

 

ナナホシテントウ

名称 ナナホシテントウ
大きさ 体長 5~9mm
出現時期 3~11月
分布 日本全土
いる場所 草原・畑
備考 「日本で最もよく見られるテントウムシ」と言われている。

 

蛹(さなぎ)の状態で越冬するモンシロチョウやキアゲハと異なり、ナナホシテントウは成虫の状態で春を迎えます。

漢字で「七星天道」と表すことからわかるように、硬化した前翅(ぜんし)に七つの黒い斑点模様が入っていることが特徴です。

 

 

赤と黒の派手な外見は典型的な警戒色であり、身の危険を感じると黄色い毒液を分泌します。

また、野菜などの植物に群がるアブラムシを捕食する性質があることから、一般に「益虫(=害虫を食べるなど人間の役に立つ昆虫)」として扱われています。

 

▼ナナホシテントウが飛ぶ様子

 

ビロウドツリアブ

名称 ビロウドツリアブ
大きさ 体長 8~12mm
出現時期 3月~5月頃
分布 北海道~九州
いる場所 草地・林縁
備考 長い口先で花の蜜を吸う。

 

ビロウドツリアブの成虫は3~5月の間にしか見ることができないため、春の風情を強く感じさせる昆虫であるといえます。

昆虫に詳しくない方には馴染みのない昆虫かもしれません。

ツリアブの仲間は日本に10種ほど棲息しており、ホバリング(=空中の一点に静止した飛行状態)しながら花の蜜を吸っている姿が、まるで天から吊り下げされているように見えることから命名されたと言われています。

 

▼ビロウドツリアブが飛ぶ様子

 

漢字で書くと「天鵞絨吊虻(びろうどつりあぶ)」です。その名のとおりビロウドという織物のようになめらかな体毛が特徴的で、他のツリアブとは外見が大きく異なるため見分けるのは容易です。

 

▼他のツリアブの例:トラツリアブ


By Joan Quintana from Barcelona, Spain – Anastoechus nitidulus, CC 表示-継承 2.0, Link 

 

体長1cm程度の小さな昆虫ですが、よく見ると非常に愛くるしい姿をしていることがわかります。

 

次のページでは夏の身近な昆虫を紹介します。中には夏にしか見られない昆虫も多いのです。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

▼昆虫Youtuberの昆虫動画を観てみよう!