昆虫採集体験レポート③ 【2日目後半 公園】

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身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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この章(第4章)では4ページにわたって、筆者が実際に昆虫採集をおこなった様子を写真の数々と共にレポートしていきます。

子どもの時のように必死で虫を探すというよりも、散歩がてら景色を楽しみつつ気ままに昆虫採集をしていますので、そのつもりでのんびりとご覧になっていただければ幸いです。

このページでは公園にて昆虫採集を行っております。(前半戦は前のページで)

▼山の音

 

2日目後半の昆虫採集スタート

 

 

 

 

 

公園に移動して間もなく、モンキチョウの捕獲に成功。

 

モンキチョウの解説は第1章にて(現在は第4章) モンキチョウの解説は第1章にて(現在は第4章)

 

 

 

 

 

 

そして、さらに移動すると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはキアゲハ

 

キアゲハの解説は第1章にて(このページは第4章) キアゲハの解説は第1章にて(このページは第4章)

 

 

この公園にはさまざまな植物が植えられているので、見かける蝶の種類は先ほどの遊歩道よりも多彩です。

 

 

 

 

 

続いて草むらの方に向かいます。

 

 

 

草むらをかきわけると、ジョロウグモが網にかかったアブラゼミを捕食していました。

 

 

 

 

名称 ジョロウグモ
大きさ 体長 6~30mm
出現時期 9月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄
いる場所 山間部
写真 By KENPEI – KENPEI’s photo, CC 表示-継承 3.0, Link

 

 

小学生の頃、虫採りに夢中になっているときにトランクスの隙間から侵入され、半狂乱になってパンツの中から追い出したという苦い思い出があるせいか、ジョロウグモは未だに苦手です。

 

 

 

 

 

 

 

次に捕まえたのが、ヤマアカガエル

1日目に見つけたものは多分ニホンアカガエルじゃないかと思うのですが、こちらはヤマアカガエルでまず間違いないでしょう。

 

▼ヤマアカガエルの見分け方

 

こちらの公園ではいたるところでニホンアカガエルの姿を目にすることができました。おそらく、公園内を1週するだけで軽く100匹は見つけられるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

1日目にも捕獲したナツアカネです。

ナツアカネという名のとおり、この季節の水辺では何処でも見ることができます。

 

ナツアカネの解説は第1章にて(このページは第4章) ナツアカネの解説は第1章にて(このページは第4章)

 

 

次に見つけたのが、みなさんご存知シオカラトンボ

 

 

 

 

名称 シオカラトンボ
大きさ 体長 50~55mm
出現時期 5月~10月
分布 日本全土
いる場所 田・池などの水辺

 

もっとも身近なトンボの一種ではないでしょうか。

体が水色になるのは成熟した雄の個体だけで、雌は黄色っぽい目立たない体色をしています。

そのため雌や未成熟の雄の個体を俗に「ムギワラトンボ」と呼ぶことがありますが、分類学上ムギワラトンボという種は存在していません。

 

 

 

 

ふと足元に目をやると、アブラゼミが花壇の土留めにとまっていました。

 

 

 

 

名称 アブラゼミ
大きさ 体長 55~65mm
出現時期 7月~9月
分布 北海道・本州・四国・九州
いる場所 市街地・雑木林

 

写真ではわからないですが、地上からおよそ20cmという驚愕の低さのところにいます。

アスファルトが近いと余計に暑いと思うのですが、おそらく既に相当弱っているのでしょう。かなり近づいても逃げる素振りは見られません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間が経つにつれて日差しが強まっていますが、風がよく通るので木陰にいればまったく暑さを感じることはありません。

1日目とは違い、絶好の虫採り日和です。

 

 

 

 

虫網を片手に気持ちよく散歩していると、小さな昆虫が目の前を横切りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おそらくハネカクシの一種でしょう。

ハネカクシは世界中におよそ6万種、日本国内だけで2,000種以上が棲息している極めて多様性の高い生き物で、1科あたりの種類の多さはゾウムシに次ぐといわれています。

つまり、アオバアリガタハネカクシのようなよほどメジャーなものでもない限り、筆者はハネカクシの仲間を見分けることができないということです。あしからず。

 

アオバアリガタハネカクシについては番外編で解説!(このページは第4章) アオバアリガタハネカクシについては番外編で解説!(このページは第4章)

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、なにか昆虫はいやしないかと木の幹を観察していると、意外な生き物を発見しました。

 

 

 

 

 

 

決して珍しくはないのですが、突然の遭遇に意表を突かれた思いです。

まさか、ニホンアマガエルが木の幹の上で休んでいるとは……。

やっぱりアマガエルは可愛いなあ。

 

 

 

 

思わぬ遭遇に喜んでいると、草むらを飛びまわる影が――

 

 

 

 

 

――緑色型のクルマバッタです。

 

 

 

 

 

 

名称 クルマバッタ
大きさ 体長 35~65mm
出現時期 7月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄
いる場所 公園・草原

 

 

1日目に見つけたクルマバッタモドキと酷似していますが、本種は背中が盛り上がっています。

 

 

わかりづらいかもしれませんが、赤丸で囲まれた部分が背中です。
並べて比較してみると、顔つきも若干違うような気がしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池沿いを歩いていると、ニシキゴイが近寄ってきました。

この公園の事務所では鯉の餌が売られているので、人を見ると餌がもらえると思って近づいてくるのかもしれません。

 

 

 

 

もう少し川を眺めていると・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて、カエルの卵を発見。

この界隈にはウシガエルが多く棲息しているので、おそらくウシガエルの卵でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筆者の推測を裏づけるかのように、池のほとりに佇むウシガエルの姿が。

目よりも大きな鼓膜があることから雄(オス)だと判別できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

公園内の池ではニシキゴイやウシガエルだけでなく、ミシシッピアカミミガメの姿も数多く見られました。

日本の自然がいかに外来種の侵略を受けているか、痛いほどに実感させられます。

 

気がつけばもう夕方……完結編に続く!

 

次のページでは、夜行性の昆虫を採集します。昼間に仕掛けた罠で昆虫を捕まえてみました。「昆虫を見つける喜び」のややディープな世界を体験してみてください。

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昆虫採集体験レポート① 【1日目 公園】

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北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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この章(第4章)では4ページにわたって、筆者が実際に昆虫採集をおこなった様子を写真の数々と共にレポートしていきます。

子どもの時のように必死で虫を探すというよりも、散歩がてら景色を楽しみつつ気ままに昆虫採集をしていますので、そのつもりでのんびりとご覧になっていただければ幸いです。

 

▼森の音

 

昆虫採集スタート!

 

まず訪れたのは県内の某公園。

この日は最高気温が35℃に達する猛暑日だったので家でおとなしく過ごしたかったのですが、用事のついでに立ち寄ってみることに。

 

 

 

 

 

 

水の流れる涼しげな音色にテンションが上がり、暑さを忘れて虫採り開始!

 

 

 

 

 

 

 

 

すると早速、草むらに生き物の気配が。

 

自慢ではありませんが、外出しているときには常に生き物の気配に目を光らせているので、よほど警戒心の強い生き物でなければ筆者のセンサーから逃れることはできません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

姿を現したのはニホンアカガエル

近縁(きんえん:近い種)のヤマアカガエルと見分けることが難しいですが、背側線を見る限りではニホンアカガエルのような……。

 

 

アカガエルは正直それほど好きなカエルではないので、同定(=種を判別すること)にもあまり自信がありません。

でもよく見るとやっぱり可愛いなあ。

 

【コラム】昆虫採集の時には昆虫以外の動植物にも目を向けてみよう!
昆虫採集は昆虫を捕まえることそれ自体よりも自然と触れ合うことに大きな魅力があります。そのため、動物や植物、風景など、昆虫採集の過程で目にしたものはすべてが観察の対象となり得ます。

昆虫採集だからといって「昆虫」という分類にとらわれず、その過程で出会った各々の好きな生き物を採取・観察することで昆虫採集はより充実したものになるといえます。

 

 

 

 

 

 

 

のんびり散策していると、花のつぼみにぶら下がっているセミの抜け殻を発見。
なにもそんな不安定なところで羽化(うか:さなぎから成虫になる事)しなくても……。

 

夏の匂いを楽しんでいるとき、自ら虫採り網に飛びこんできたうっかり屋さんがいました。

 

 

 

 

 

おそらく若いナツアカネでしょう。成熟すると、燃えるような真っ赤な体色に変化します。

アキアカネとよく似ていますが、胸の模様で見分けることができます。

 

▼ア「アキアカネ」「ナツアカネ」の見分け方

アキアカネ
名称
ナツアカネ
</By Alpsdake投稿者自身による作品File:アキアカネ メス Sympetrum frequens female s3.JPG, CC 表示-継承 3.0, Linktd>
写真
By Alpsdake投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

胸部の黒い三本線の真ん中の先端が尖っている。
見分けるポイント

胸部の黒い三本線の真ん中の先端が角ばっている。
アキアカネとナツアカネについては第1章で解説!(現在は第4章) アキアカネとナツアカネについては第1章で解説!(現在は第4章)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小川沿いを歩いていると、すこし先で何者かが川の中に飛びこむ音が。

 

 

 

ニホンアカガエルにしては大きかったような……持参していたタモ網で捕獲を試みます。

 

 

 

 

 

 

やっぱりな!

 

その正体はトウキョウダルマガエルでした。トノサマガエルとよく似ていますが、生息域が異なるので判別は容易です。ここは関東なので十中八九ダルマガエルでしょう。

こちらは個人的に好きなカエルなので持ち帰って飼育したいところですが、この暑さでの輸送は大きな危険を伴うため断念。

 

また会いにきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木陰の多い一帯にさしかかると、ひらひらと舞う黒い影が……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前の項でご紹介しましたハグロトンボです。全身が黒いのでおそらく雌(メス)の個体でしょう。

かなりの数が群生しているので、このあたりで繁殖しているに違いありません。

やっぱり格好良い!

 

ハグロトンボの解説は第1章にて(現在は第4章) ハグロトンボの解説は第1章にて(現在は第4章)

 

 

 

 

 

 

 

名称 ショウリュウバッタ
大きさ 体長 40~80mm
出現時期 6月~12月
分布 本州以南
いる場所 林緑・草地

 

草むらに潜んでいたショウリョウバッタ。定番ですね。

余談ですが、筆者はオスの成虫が飛ぶときに立てる「キリキリキリ……」という音が好きでたまりません。人間とって心地の良い周波数なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

同じく草むらにて。

ピンボケ気味で申し訳ありませんが、葉の上にとまった蜂を狙う蜘蛛の姿が。

どちらも詳しい種類まではわかりませんが、ハバチとコガネグモの類ではないかと思います。

 

ハバチはコガネグモに狙われていることを知ってか知らずか、次の瞬間にはどこかへと飛び去っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

昼間でも日が差さないじめじめした一帯。ぼろぼろのコンクリートが陰気な虫たちの気配を感じさせます。

 

 

 

 

 

 

コンクリート片をどかしてみると――

 

 

 

 

 

 

 

名称 オオヒラタシデムシ
大きさ 体長 18~32mm
出現時期 4月~10月
分布 北海道・本州・四国・九州
いる場所 山林

 

 

――いました。

オオヒラタシデムシは生き物の死骸を食べる地表の掃除屋です。

 

ゴキブリとゴミムシの中間のような成虫もなかなかに薄気味悪いですが、幼虫はさらにグロテスクです。興味がある方は是非検索してみてください。

 

 

しかし、ここでハプニング。

 

 

 

夏の暑さにやられて気分が悪くなってきました……。

久しぶりの虫採りにテンションが上がって喉の渇きを忘れていたことが原因だと思います。

熱中症になっては危ないので急いで撤退します。

 

 

 

 

 

 

 

 

名称 クルマバッタモドキ
大きさ 体長 32~65mm
出現時期 7月~11月
分布 本州~九州
いる場所 草地・土手

 

 

帰り際に見つけた褐色型のクルマバッタモドキ

 

トノサマバッタやクルマバッタとよく似ていますが、翅(はね)の模様と背中の盛り上がりで判別することができます。

 

▼トノサマバッタ(クルマバッタとクルマバッタモドキには模様がある)

▼クルマバッタ

 

翅に白い模様があり、背中が盛り上がっていないので、クルマバッタモドキとみて間違いないでしょう。

 

▼クルマバッタモドキ


By KENPEI – KENPEI’s photo, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

 

昆虫採集1日目はこれにて終了です。

炎天下での虫採りはデスクワーク続きのひ弱な体には酷だったようで、公園の1/4ほどをまわったところで無念の強制終了となってしまいました。

また日を改めて再挑戦です!

 

次のページでは、山中の遊歩道を訪れて昆虫採集を行います。

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