【春】の身近な昆虫 6選

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身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第1章)では【】【】【】【】にわけて、季節ごとに身近に棲息する昆虫たちを紹介していきます。

このページでは「春の昆虫」を紹介します。昆虫の魅力を知り、昆虫を見つける喜びを知っていただきたく思います。

また、昆虫は似た姿をしているのに種が違う昆虫が多数存在します。

こういった昆虫の見分け方を知っていると、昆虫を見つける喜びや楽しさがより深まると思います。適宜、似た昆虫の見分け方もお伝えしますので、こちらも参考になれば幸いです。

 

春になると昆虫が見られる

 

冬の寒さの中では昆虫は生き抜くことが困難です。そのため、昆虫たちは冬を越すために暖かい場所を求めて移動したり、土の中で過ごしたりします。

また昆虫の仲間には、冬を過ごすのに適した「蛹(さなぎ)」の形態で冬を越し、暖かくなってから羽化(=成虫になること)するものが多いです。

 

 

そのため冬は昆虫を見かけることが少なくなる季節ですが、春を迎えるとさまざまな種類の昆虫を目にすることができるようになります。

 

モンシロチョウ

名称 モンシロチョウ
大きさ 前翅長(ぜんしちょう) 25~30mm
出現時期 3~11月頃
分布 日本全土
いる場所 野原・畑

 

春に見られる最も代表的な昆虫のひとつが、モンシロチョウです。モンシロチョウの幼虫はキャベツやナノハナなどアブラナ科の植物を主食とするため、それらの植物が多い場所で頻繁に見られます。

 

▼モンシロチョウの幼虫


CC 表示 2.0, Link 

 

モンシロチョウは漢字で「紋白蝶」と表すことからもわかるように、白い羽に紋様があります。ちなみにモンシロチョウは羽化する季節によって紋様に違いができます。春に成虫になったモンシロチョウは黒の紋様が目立たず、夏に成虫になると黒の紋様が目立ちます。

 

 

▼モンシロチョウの動く様子

 

モンキチョウ

名称 モンキチョウ
大きさ 前翅長 23~26mm
出現時期 3~11月頃
分布 日本全土
いる場所 野原・畑

 

モンキチョウはモンシロチョウの近縁(=近い種)にあたります。

モンキチョウは漢字で書くと「紋黄蝶」です。「紋黄蝶」という名前のとおり黄色い羽が特徴的ですが雌(めす)の中には白みの強い個体もおり、モンシロチョウとの見間違えられることも少なくありません。

 

モンシロチョウとモンキチョウの見分け方

 

翅(ハネ)の縁の部分が黄色っぽく、触覚に白と黒の縞模様のあるものがモンシロチョウです。翅の縁と触覚がピンク色っぽいものがモンキチョウですので、見かけたときにはよく観察してみると良いでしょう。

 

 

モンシロチョウだと思っていたものが、よく見るとモンキチョウだった。なんてこともあるかもしれません。

 

▼モンキチョウが飛ぶ様子

 

キアゲハ/ナミアゲハ

名称 キアゲハ
大きさ 前翅長 52mm前後
出現時期 4月~10月頃
分布 屋久島以北 日本全土
いる場所 草地・山頂・海岸・市街地
備考 パセリ・ニンジン・みつばなどを食べる。

 

キアゲハもまた、春を代表する昆虫のひとつです。

ステンドグラスのような翅を優雅にはためかせる姿を見て、春の息吹を実感するという方も少なくないでしょう。

一般にアゲハチョウと呼ばれるナミアゲハとは異なる種であり「黄揚羽(きあげは)」の名のとおり翅の黄色味が強いことが特徴です。

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▼ナミアゲハ

名称 ナミアゲハ
大きさ 前翅足 55mm前後
出現時期 4月~11月頃
分布 日本全土
いる場所 草原・公園の花
備考 単に「アゲハチョウ」と呼ばれることもある。都会の庭や鉢植えに卵を植え付けていることがある。

 

キアゲハとナミアゲハの見分け方

 

キアゲハとナミアゲハは羽の模様で見分けることができ、翅の付け根が黒っぽく塗りつぶされているものがキアゲハ、翅の付け根に細かい模様が入っているものがナミアゲハです。

 

 

幼虫はさらに見分けるのがが容易で、オレンジ色の紋が入った黒い縞模様をもつものがキアゲハ、全身が緑色で頭部後方に目玉模様があるものがナミアゲハというように見分けることができます。

 

 

ナナホシテントウ

名称 ナナホシテントウ
大きさ 体長 5~9mm
出現時期 3~11月
分布 日本全土
いる場所 草原・畑
備考 「日本で最もよく見られるテントウムシ」と言われている。

 

蛹(さなぎ)の状態で越冬するモンシロチョウやキアゲハと異なり、ナナホシテントウは成虫の状態で春を迎えます。

漢字で「七星天道」と表すことからわかるように、硬化した前翅(ぜんし)に七つの黒い斑点模様が入っていることが特徴です。

 

 

赤と黒の派手な外見は典型的な警戒色であり、身の危険を感じると黄色い毒液を分泌します。

また、野菜などの植物に群がるアブラムシを捕食する性質があることから、一般に「益虫(=害虫を食べるなど人間の役に立つ昆虫)」として扱われています。

 

▼ナナホシテントウが飛ぶ様子

 

ビロウドツリアブ

名称 ビロウドツリアブ
大きさ 体長 8~12mm
出現時期 3月~5月頃
分布 北海道~九州
いる場所 草地・林縁
備考 長い口先で花の蜜を吸う。

 

ビロウドツリアブの成虫は3~5月の間にしか見ることができないため、春の風情を強く感じさせる昆虫であるといえます。

昆虫に詳しくない方には馴染みのない昆虫かもしれません。

ツリアブの仲間は日本に10種ほど棲息しており、ホバリング(=空中の一点に静止した飛行状態)しながら花の蜜を吸っている姿が、まるで天から吊り下げされているように見えることから命名されたと言われています。

 

▼ビロウドツリアブが飛ぶ様子

 

漢字で書くと「天鵞絨吊虻(びろうどつりあぶ)」です。その名のとおりビロウドという織物のようになめらかな体毛が特徴的で、他のツリアブとは外見が大きく異なるため見分けるのは容易です。

 

▼他のツリアブの例:トラツリアブ


By Joan Quintana from Barcelona, Spain – Anastoechus nitidulus, CC 表示-継承 2.0, Link 

 

体長1cm程度の小さな昆虫ですが、よく見ると非常に愛くるしい姿をしていることがわかります。

 

次のページでは夏の身近な昆虫を紹介します。中には夏にしか見られない昆虫も多いのです。

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