aikoおすすめアルバム4選

Webon紹介目次著者

aikoの歌詞世界の魅力をファン歴20年の筆者が紹介!aikoに対して恋に恋する恋愛ソングばかりと感じているとすれば、それは誤解です。コアなファンにとってのaikoのキーワードである「哀愁」「渋み・エグみ」「普遍的な愛」に焦点を当てaikoの歌詞世界を解説!

『本当は深いaikoの歌詞 ~コアなファンが語る3つのキーワード~』はこちらから!

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

お問い合わせはこちらから

『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

このページを書いている2019年7月の時点でaikoがこれまでにリリースしたアルバムは計13枚です(ベストアルバムを除く)。

それぞれに特徴がありどれも聴きごたえのある作品ですが、今回のWebonのテーマである歌詞という点に着目して、次の4枚のおすすめアルバムを選びました。

▼歌詞に注目して選んだ!aikoおすすめアルバム4選!

リリース アルバム名
2002年 『秋 そばにいるよ』
2008年 『秘密』
2012年 『時のシルエット』
2016年 『May Dream』

 

スポンサーリンク

陰陽のバランスが絶妙な『秋 そばにいるよ』(2002)

▼アルバム『秋 そばにいるよ』収録曲

曲番号 曲名
1 マント
2 赤いランプ
3 海の終わり
4 陽と陰
5 鳩になりたい
6 おやすみなさい
7 今度までには
8 クローゼット
9 あなたと握手
10 相合傘(汗かきMix)
11 それだけ
12 木星
13 心に乙女

 

アルバム『桜の木の下』『夏服』が大ヒットしたのち、声帯結節という健康上のトラブルも経て、公私ともに落ち着いた時期にリリースされたのがこの4作目『秋 そばにいるよ』です。

そうした状況も関係してか、前2作では「明るく元気なaiko」が全面に押し出されていたのに対し、このアルバムはどちらかというと「陰」の部分を感じやすい作風になっています。

このアルバムはシングル「おやすみなさい」「あなたと握手」「今度までには」の3曲を含みますが、このうち「おやすみなさい」と「今度までには」は別れの歌です。

デビュー曲「あした」からこの時点までのシングル曲を振り返ってみると、「ラブソングのaiko」であるにもかかわらず、実は「おやすみなさい」以前に一度も、明確に別れそのものを歌った曲をシングルとして発表していません。

前作『夏服』までは比較的「陽」に偏ったイメージ戦略がなされていたと言えるでしょう。

『秋 そばにいるよ』はそうした縛りからある程度解放されています。

 

『秋 そばにいるよ』の1曲目を飾る「マント」の歌詞を見てみましょう。

 

夏草に委ねてあたし今を生きる
欲しかったもの手に入れたもの全て放り投げてしまえ
グッバイ

見上げた空を黄色く塗って
あるはずないものを創り出せばいい
傘をマントに綿毛の様にあたしはゆらゆら舞い落ちる

引用:aiko「マント」

 

一応歌詞の中に「あなた」が出てくる箇所もありますが、総じて「あたし」自身の生き方について語られており、「恋愛ソング」という枠には収まりません。

歌詞の内容も潔いので、恋に恋するような「甘さ」を期待して聴き始めると肩透かしを食らうかもしれません。

アルバムを厳かに締めくくるラスト2曲の歌詞にも注目してみましょう。ともに「宇宙」というキーワードが使われています。

 

2人の時間は宇宙の中で言うチリの様なものかもしれない
引用:aiko「木星」

宇宙の隅に生きるあたしの大きな愛は
今日まで最大限に注がれて
引用:aiko「心に乙女」

 

「宇宙」はaikoの歌詞の中でよく用いられる言葉です。

「ボーイフレンド」では次のような表現がありました。

 

テトラポット登っててっぺん先睨んで宇宙に靴飛ばそう
引用:aiko「ボーイフレンド」

 

「ボーイフレンド」における「宇宙」はテンションの高さや愛情の大きさといったポジティブなエネルギーの象徴でした。

一方、「木星」と「心に乙女」では自らの存在の小ささを示すキーワードとしても使われています。

「宇宙」という言葉を通して「ボーイフレンド」で描かれた「陽」の世界を違う角度から捉え直し、補完するような趣があります。

これまでのaikoの明るいイメージを、より多面的で奥深いものに変換しています。

 

前2作(『桜の木の下』『夏服』)ではアルバム本編の後に隠しトラックがあったものの、本編はあくまでヒットしたシングルを中心にアルバムが構成されていました。

『秋 そばにいるよ』は隠しトラックを用いず、アルバム曲によって本編がスッキリと結ばれていることから、アルバム単体としてのテーマ性がより追求されていることもうかがえます。

 

▼アルバム『秋 そばにいるよ』

 

恋から愛に変わる『秘密』(2008)

▼アルバム『秘密』収録曲

曲番号 曲名
1 You & Me both
2 二人
3 学校
4 キョウモハレ
5 横顔
6 秘密
7 ハルとアキ
8 星電話
9 恋道
10 星のない世界
11 シアワセ
12 ウミウサギ
13 約束

 

前ページではaikoが恋だけでなく愛も描いているということをお伝えしてきました。

『秘密』をおすすめアルバムとして選んだ理由は、デビュー当時のaikoの作品は「恋寄り」だったと思いますが、この作品は「恋から愛へ」という微妙な表現の移り変わりを、アルバム全体を通して描いているからです。

明確に分けられるわけではありませんが、『秘密』より前のアルバムはどちらかというと「一過性の恋」に比重が置かれていました。

若者が恋をしては失くす悲しみと、それでもまた新しい恋をする喜びが繰り返し描かれ、まさに「恋したくなる音楽」だったと言えるでしょう。

『秘密』ももちろん様々な「恋」を描いていますが、6曲目の表題曲「秘密」を通過したあたりから、グラデーションのように徐々に恋から愛へと比重が移っていきます。

カギとなるのが10曲目「星のない世界」と11曲目「シアワセ」でしょう。

アルバムの中でシングル曲が続くとそこだけ浮いてしまうことがありますが、この2曲はむしろうまく溶け込み、まるで一連の物語のように「一生ものの愛」の世界を紡いでいます。

 

過去も未来も心の底はいつも一人だと思ってたから
全部我慢してやっと溢れ出した涙に
本当の恋を初めて知った
とても大事な宝物をあたしはやっと手に入れたんだ
引用:aiko「星のない世界」

二人何処かで廻るストーリー 静かに終わりが来たとしても
最後にあなたが浮かんだら それが幸せに思える日なのです
引用:aiko「シアワセ」

 

これが12曲目「ウミウサギ」、そしてラストの「約束」へと違和感のない流れを作り出していきます。

スポンサーリンク

 

汗が首を歩いたゆっくりと 君の言葉にとても驚いて
「ずっと一緒にいようか?」だなんて
君が緊張しながら言うから
引用:aiko「ウミウサギ」

どんな事があっても忘れたりしない
幸せも痛みも永遠の約束
引用:aiko「約束」

 

「全編愛の歌」であっても決して浮つかない理由が、この「一生ものの愛」の表現にあります。

aikoのアルバムはしんみりとした曲で終わるのが常ですが、このアルバムも例外ではありません。

しかし、ただ単にしんみりするだけでなく、最後に温かい気持ちを残してくれます。

 

▼アルバム『秘密』

 

魅力満載の名盤『時のシルエット』(2012)

▼アルバム『時のシルエット』収録曲

曲番号 曲名
1 Aka
2 くちびる
3 白い道
4 ずっと
5 向かいあわせ
6 冷たい嘘
7 運命
8 恋のスーパーボール
9 クラスメイト
10 雨は止む
11 ドレミ
12 ホーム
13 自転車

 

初のベストアルバム『まとめ Ⅰ』『まとめ Ⅱ』(2011)を経て、翌年にリリースされたオリジナルアルバムが『時のシルエット』です。

ある意味、ベストアルバム以上にこれまでの集大成という位置付けにある作品ではないでしょうか。

期待を裏切らず、まさに集大成と呼べる内容になっています。

 

というのも、このWebonで解説してきた歌詞の3要素である「哀愁」「渋みとエグみ」「普遍的な愛」全てがまんべんなくバランスよく含まれ、なおかつaikoらしい明るさやかわいらしさも散りばめられているからです。

もしaikoを全く聞いたことがない人にベストアルバム以外で1枚だけおすすめするなら、おそらくこの『時のシルエット』を選ぶでしょう。

それだけ偏りのない、誤解されにくい作品です。

 

1曲目「Aka」とラスト13曲目の「自転車」の歌詞をピックアップしてご紹介します。

 

あなたがあたしの事をどう思っているのか
それはそれは毎日不安です
引用:aiko「Aka」

気持ちは昨日今日毎日変わって行く
明日あなたはあたしの事をどう思っていてくれるだろう
引用:aiko「自転車」

 

意図したわけではなくあくまで偶然とのことですが、どちらの歌詞も同じことを歌っています。

とはいえ、物語の持つ雰囲気は実は対照的です。

「Aka」は歌詞全体を通してみると、不安にさいなまれながらも幸福感に満ちた力強い一曲ですが、「自転車」は喪失について切々と歌ったものです。

幸福の中で幕を開けた物語が喪失で終わるという何とも切ないアルバム構成なのですが、歌詞がリンクすることによって両極端な2つの物語がつながり、聞き手に円環的なイメージを与えます。

数多くの曲を通して繰り返し描かれてきた、「不安と幸せは表裏一体」「始まりと終わりはセットである」というaikoの永遠のテーマをアルバム全体で体現しています。

 

「自転車」というタイトルですが、歌詞の中に「自転車」が登場するのは、やはりaikoらしく曲の終盤です。

実際にはもう見ることのできない自転車について語ることで、失ったものの鮮烈なイメージを呼び起こします。

誰かを失ったことのある人の心にまっすぐ突き刺さるラストシーンです。

その重みと愛おしさは、ぜひ実際に聴いて確かめてみてください。

 

▼アルバム『時のシルエット』

 

愛の意味を問う『May Dream』(2016)

▼アルバム『May Dream』収録曲

曲番号 曲名
1 何時何分
2 あたしの向こう
3 冷凍便
4 もっと
5 信号
6 夢見る隙間
7 愛だけは
8 好き嫌い
9 かけらの心
10 大切な今
11 合図
12 プラマイ
13 蒼い日

 

タイトルが示すように「Dream=夢」がテーマとなっているアルバムですが、通して聞いたときに耳に残るのは頻繁に繰り返される「愛」という言葉です。

そもそもaikoはラブソングライターなので「愛」や「恋」「好き」「愛してる」といったキーワードは多用される傾向にあるのですが、この『May Dream』では相対的に多いという印象を受けます。

言い換えれば、愛の表現が遠回しではなく直球なのです。

 

1曲目「何時何分」のサビ「愛してる愛してる だからね 好きだよ」に始まり、

「愛なんて知らない」(5.信号)と言い放ったかと思えば、

「あなたの愛だけで生きていたい」(6.夢見る隙間)

「変わらないこの愛だけは」(7.愛だけは)と力強く訴え、

時には「愛の形を壊してしまってよ」(11.合図)と攻めてきます。

まるで愛の定義に挑むかのようです。

「あたしの楽しみにしてるラジオ」(3.冷凍便)、

「ピアノの前に座って目をつぶって」(9.かけらの心)のように、aikoの私生活を思わせるようなフレーズもあり、

総じて「素直さ」や「距離の近さ」を感じる作品です。

そういったある種の「過剰さ」とバランスを取るかのように、最後は大きな余白を与える一曲で締めくくられます。

 

少し離れるね 元気でいようね
抱きしめてくれた熱い首に流れる優しいしるし
本当の言葉を2人だけの秘密を楽しい時を
いつかあたしもあなたに話すね あの日何を言いたかったか

また思い出すな 聞こえない 見えない 知らない ふりをただしていたね
一番星はずっと前に気付いてた そしてあたしたちだけを見ていた
いつかあたしに教えてほしい あの日何を願ったのか
引用:aiko「蒼い日」

 

大切な人との別離の歌ですが、二人の関係についてはもちろん、別れの理由も直接的な愛の言葉も語られません。

お互い核心に触れないままいつか再会することを願って離れていく様子が描かれるだけです。

アルバム全体を通して臆することなく「愛」や「恋」や「好き」というキーワードを散りばめてきたところへ、急にぽっかりと余白が生まれます。

「愛」という言葉が一切使われていないからこそ、そこに描かれる愛の形は一人ひとりの想像力にゆだねられます。静かな喪失感と余韻が残るエンディングです。

 

▼アルバム『May Dream』

 

おわりに

 

「歌詞」という観点からaikoの音楽を分析してきましたが、実際に曲を聴いたとき、または歌詞を読んだときに受け手が何を感じるかはそれぞれの自由です。

このWebonでの解釈にとらわれず、「私ならこの部分、もっと明るく感じるよ」という風に、一人ひとりの味わい方を見つけてほしいと思います。

『本当は深いaikoの歌詞』目次へ  (全8ページ)

 

目次著者

はじめに

実は誤解されているaikoのイメージ ~深遠な歌詞世界の魅力~

第1章 aikoという「存在」を理解する

aikoはなぜ誤解されるのか?

20周年を越えてなお愛される理由

第2章 aikoの歌詞世界を理解する3つのキーワード

① 哀愁

② 渋みとエグみ

③ 普遍的な愛

第3章 今聴くべきaikoおすすめ作品

隠れた名曲満載!カップリング曲

おすすめアルバム

著者:MAKO

1980年代生まれ。aikoのファン歴20年。aikoの楽曲は全曲カラオケで歌うことができる(息継ぎまで再現できる)。子供の頃から母親の影響で60~70年代の邦楽・洋楽を聴いて育つ。中学3年の時aikoと椎名林檎の楽曲に出会い、青春を捧げる勢いでのめり込む。洋邦問わず、深みのある詞を書く、艶っぽい声のシンガーソングライターが大好き。今一番気になるアーティストは吉澤嘉代子。

お問い合わせはこちらから