2.5次元舞台の裏方観劇の楽しみ方② 【音響ブース】

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2.5次元舞台は映像・照明・音響などの「裏側」に注目するのがおすすめ!刀の効果音は刀の長さや種類によって音が変えられていたり、裏側に秘められた技術や工夫に目を向けると2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がります!観劇後は必ず「観劇ノート」を書いている観劇マニアが解説します!

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著者:零音(れおん)

小学生の時に劇団四季を見てから舞台の虜になっていく。現在はブロードウェイミュージカル・2.5次元ミュージカル・ストレートの舞台を観劇。観劇後は必ずキャスト・スタッフの方々に感想のお手紙を書くため、目を引いた所などは観劇ノートに書いている。裏方に注目し独学で勉強している。

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チケットが手に入った時、一番気になるのは座席の位置ですよね。

後ろの席だと「オペラグラスが無いと見えない」「細かい演出が見えない」などのデメリットがあります。

ただ、後部座席では「音響ブース」を見て楽しむことができるのです。

 

後部座席の楽しみ方「音響ブース」

 

私が後列の座席の時に一番楽しみにしているのは、座席後方に設置されている「音響ブース」です。

舞台が見渡せる場所に音響ブースがある理由は、音響効果のスタッフさんが舞台に合わせてその場で効果音をつけているからです。

あまりしげしげと眺めるのは憚られるのですが、ブースをよく見るとパソコンや様々な機材が並んでいます。

 

その中にキーボードのような機材があるのですが、これを使って効果音を操作しています。

各キーに音が設定されており、タイミングを見てキーを押します。

ここで難しいのは、動きが早くなった場面での音入れです。

特に集団での殺陣の場面は刀がぶつかる音や抜刀の音、小道具があれば小道具の音も同時に入れなければならないので、キー操作が複雑になります。

しかも、いちいちキーボードを見ながら操作したのでは間に合わないので、ブラインドタッチをする必要があります。

さらに、舞台上でアクシデントがあったり、アドリブが入ったとしても音がなければ不自然になる為、対応力も必要となります。

とても繊細なお仕事です。

こんな凄いお仕事をする方々が、座席の後ろから作品を支えているのです。観劇中に効果音が聞こえたら是非、座席の後ろの方を思い出してください。

また一つ楽しみが増えること間違いなしです。

 

「音響ブース」に注目するなら舞台「刀剣乱舞」がおすすめ

 

もし、皆さんが舞台「刀剣乱舞」を観劇に行くとしたら、音響ブースのキーボードを見てみてください。

有名な音響さんのヨシモトシンヤさんが担当だとしたら、キーボードに可愛いプクプクシールが貼ってあります。

 

 

これはブラインドタッチでも、どこに何の音のキーかが指先でわかるように貼ってあるそうで、指先の感覚で覚えてゆくそうです。

ご本人曰く「プクプクしたシールは可愛いものの方が多くて、自然と可愛いキーボードになるけど別に可愛いもの好きでは無い」そうです。

とても可愛いキーボードになっているので、お時間あればのぞいて見てください。

ヨシモトシンヤさんは、他にも数多くの作品に関わっており、うたのプリンスさまプロジェクトや舞台「GOZEN」などの担当をされています。

音響ブースのキーボードに特徴がある方なので、この方のブースを覗くのはおすすめです。

ちなみに、ヨシモトシンヤさんはSNSでは、劇場で機材設置をされている時や解体作業の時も画像付きでツイート更新されますので、とても参考になります。公演中にお手紙やプレゼントを受け取る頻度も高く、舞台ファンの間ではよく知られた人です。

 

【コラム】撮影スタッフさんにも注目

これまで紹介してきた方々以外で注目していただきたいのは、撮影スタッフさんです。ライブビューイングやDVD収録の時、ゲネプロの時にカメラやビデオで撮影されている方々です。注目すべき点は、時に地方公演から舞台写真がグッズとして販売される時があるのですが、商品として出される写真がとてもクオリティが高く、しっかりとキャラクターにフォーカスした写し方になっているため、毎回感動します。DVD撮影やライブビューイングでも、一番見せたいところやファンが見たいところをしっかり写していただけるので、時に素晴らしいコマ割り(場面の写し方)だと思うこともあります。ファン心理をとてもよく知っている方々だと思います。

 

ここまで座席後方から舞台を支えているスタッフについて、ご紹介しましたがいかがだったでしょうか。

これまであまり注目しなかった部分だとは思うのですが、注目するとても面白い部分だと思います。

 

舞台には沢山の「縁の下の力持ち」がいらっしゃいます。

2.5次元舞台の裏側に注目して観劇すると、これまでとは違った2.5次元舞台の楽しみ方ができるかと思います。

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2.5次元舞台の裏方観劇の楽しみ方① 【メイク・衣装・小道具・舞台セット】

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知れば知るほど面白い裏方観劇

 

表舞台に着目しつつも裏方がどの様な演出をしているかに着目する観劇方法を「裏方観劇」と言います。

このページでは裏方観劇で注目していただきたい「衣装・メイク・小道具」「舞台セット」についてご紹介します。どのような点に注目すべきかや、おすすめ作品などをご紹介します。

 

メイク・衣装・小道具

メイクの注目ポイント・おすすめ作品

 

メイクに関しては、やはりどれだけ原作のキャラクターにキャストを近づけられるか、似せることができているかに注目すると良いと思います。

また、女性のお客様ならば、メイクの方法も学べると思います。(エラを目立たなくする方法や目を大きく見せる方法など)舞台メイクで一見派手に思えますが、アイラインの引き方やベースメイクなど参考にできる部分は結構たくさんあります。

 

メイクが凄かった舞台はミュージカル「SHOW BY ROCK!!」です。登場人物が人間ではなく、獣人(=動物と人間が混ざった人物)であるため、メイクもヘアセット(ウィッグ)もかなり特殊でしたが、原作に忠実に再現されていました。

特にウィッグは各キャラクター毎で、外ハネが凄かったり、前髪がとんがっていたりと、かなり特徴がある上に、獣人ですので頭の上に耳が生えています。

これを公演期間中維持するのは大変だったと思いますが、しっかり維持されていました。

▼ミュージカル「SHOW BY ROCK!!」ダイジェスト映像

 

衣装の注目ポイント・おすすめ作品


2.5次元舞台の衣装の注目ポイントは「再現性」と「動きやすさ」です。

2.5次元舞台で「再現性」は必須の要素ですが、再現性にこだわりすぎては、役者にとって動きにくい衣装となる事が多々あります。

そのため、「再現性」と「動きやすさ」に注目すると、衣装スタッフの工夫や技術力の高さが見れます。「動きやすさ」については実際に動いている役者を見て、立ち回りや歩き方など不自然でないかなどで観察することができます。

 

舞台「クジラの子らは砂上に歌う」の衣装は実際に存在しない世界観での物語です。キャラクターが着用している服は、とてもシンプルで麻の布に簡易的に紐を通しただけのような衣装ですが、布の動きがとても綺麗だった印象があります。

この作品はアクションがあったり、ダンスが組み込まれていたりするのですが、キャストが動くのに合わせて、衣装がひらひらと動くのがとても美しく見えました。

原作の世界観にあった生地を選び、なおかつ動いた時に線が美しく見えるような工夫がされていたのではないかと思います。使用されている生地がどんなものかを見るのも、衣装を楽しむ要素の一つではないかと考えています。

▼舞台「クジラの子らは砂上に歌う」trailer

 

殺陣が激しい作品では、キャストの動きやすさと再現性を両立させなければならない上に、キャストからの意見も取り入れなければならないので、どの部分に工夫が施されているのかを見るのも楽しみの一つです。

舞台「刀剣乱舞」の鶴丸国永という登場人物の衣装にはチェーンのようなものが付いていますが、最初に衣装さんがつけていたチェーンでは重く、アクションの時に影響が出るというキャストの意見を取り入れ、出来るだけ原作に忠実なチェーンで且つ重たくないものを、探して付け直すという一手間が加えられています。

ちなみに、ごく稀に衣装展示がされることもあるので、全公演終了後に実際に見て楽しむということもできます。

 

小道具の注目ポイント・おすすめ作品


小道具は、衣装と同じく舞台上の世界観を表現する上でとても大事な要素の一つです。

再現性も問われますが「客席からは小さすぎて見えないようなところも丁寧に作られていること」も注目すべき点であると思います。

舞台「憂国のモリアーティ」という作品では、登場人物であるシャーロックホームズのトランクにヴィンテージ加工を加えて古く見せています。

このトランクの中には物語後半で、ストーリーを進める上で重要なアイテムが入るのですが、開けた時に見えた中身もヴィンテージ加工がされていました。

このような見えないようなところにも、趣向を凝らしている点は、面白いと感じるところであり注目するべきポイントだと思います。

ちなみに、舞台「刀剣乱舞」の小道具展示を見たことがあるのですが、とても精密に作られたものが多く、舞台のためだけに作られたのが勿体無いと感じる位に、とても感動したことを覚えています。

▼ミュージカル『憂国のモリアーティ』 公演ダイジェスト映像

 

 

再現性を確認するならパンフレットがおすすめ

 

メイク・衣装・小道具は「再現性」を確認するのがおすすめです。

夢の世界だった場所を舞台の上で表現するために「再現性」には、惜しみない舞台技術が注がれており、その技術や工夫を感じることができるからです。

「再現性」を確認する上で、私がオススメしている楽しみ方は「公演のパンフレットを見ること」です。

大きいコンテンツ(「テニスの王子様」「刀剣乱舞」など)の舞台では、パンフレットをグッズとして販売している作品がほとんどです。

中にはネタバレになる内容が含まれているものもあるので、公演前には読まないという方や、公演終了後に欲しいと思ったら購入する方、色々いらっしゃるかと思いますので、パンフレットを見るタイミングはお好みで大丈夫です。

 

注目すべき点は、各メインキャストのキャラクター紹介のページです。ここではアップの写真や様々なアングルで撮影されている写真が使われているため、衣装の詳細な再現性やどんなメイクがされているのかがとても分かりやすい部分です。

また、小道具のラフ画や衣装のイメージ絵などが詳しく書かれているものもあります(「錆色のアーマ」など)。

 

【コラム】印象深いパンフレット

パンフレットは各公演でとても特色があり書いてあることもバラバラです。ただ、全てに共通しているのは、舞台の世界観や演出家・脚本家のコメント、キャラクターとキャスト紹介があることです。また、稽古場でのインタビューやキャストへのQ&Aなども記載されていることもあります。この稽古場でのインタビューや座談会などの記事から、舞台上での設定や一番力を入れている注目ポイント、裏話などの情報を得ることができます。特に印象的だったのは、舞台「錆色のアーマ」のパンフレットです。この公演のパンフレットでは各キャストが使用している小道具である武器のスケッチや設定資料が記載されていて、とても興味深かったです。小道具や大道具、衣装の設定資料はなかなか表に出ることがないので、どのような作り方がされているのか、どんな仕掛けがあるのかは、普通は知らないまま公演が終わってしまいますが、この時は舞台が始まる前に読んでいたので、小道具を細かいところまで観察することができ、とても楽しく観劇できました。

 

パンフレット以外でも、客席降り(=舞台を下りて客席で歌ったりする演出)がある舞台では、運良く通路側の座席であるとキャストとの距離が近くなる時があるので、この時に観察するのも良いと思います。

ただ、推しのキャストさんが近くに来るとドキドキしてしまって、見る余裕がないかもしれませんので、余裕のある方は是非見てみて下さい。

 

舞台セット

 

裏方観劇では「舞台セット」にも注目していただきたいです。

舞台セットは公演ごとに変わってきますが、セットは大きく分けて「動くセット」と「動かないセット」があります。

例えば「ミュージカルテニスの王子様」で「動くセット」は使われています。

試合中のネットがアンサンブル(=役がついていない人)やメインキャストによってセットが動かされています。

また、「弱虫ペダル」では、アンサンブルが可動式の台を動かして躍動感を演出しています。

ちなみに、舞台セットは重量がある上に、キャストが乗っている場合もあるので動かす際は注意が必要です。また、演出の一部なので少しのズレが大きなミスを引き起こす可能性もあり、アンサンブルはとても重要です。「動くセット」がある時は、アンサンブルの方に注目してみるのもおすすめです。

 

舞台セットに注目するなら「弱虫ペダル」がおすすめ

 

舞台セットに注目するなら舞台「弱虫ペダル」がおすすめです。

「弱虫ペダル」は、自転車競技を題材にした作品です。

試合中のコースや躍動感ある描写を立体的に舞台上で見せるのはとても骨が折れますし、なかなか難しいことです。

舞台セットはとても単純なのですが、キャストが立つ部分が少し斜めに作られたセットに駒がついていて、動かせる仕様になっています。

駒つきの舞台セットがあるおかげで傾斜のある坂道の勾配でのシーンを立体的に見せることが可能になり、効果的に見せることができています。

▼舞台『弱虫ペダル』箱根学園新世代、始動 公演ダイジェスト

 

また、舞台「機動戦士ガンダム00(ダブルオー)」では、ガンダムに乗り込んでの戦闘シーンで、キャストが乗り込むことができる縦型の可動式ボックスをガンダムに見立てて再現しており、なかなか新しい演出方法であると感じました。

今後、ロボットアニメや漫画を舞台化するにあたって、とても効果的な演出であり2.5次元舞台の可能性をより広げる画期的な方法であると思います。

▼舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』 発売告知PV

 

裏方観劇の面白みを少しだけご紹介しましたが、恐らくキャストの皆さんが演じているのを見たくて劇場に足を運んでいる方がほとんどだと思います。そのためなかなか細かいところまで見るのは難しいと思います。

また、一気にいろいろなところを見るのは大変だと思いますが、一度は違う角度から観劇するのも良いのではないでしょうか。

さて、このページでは「メイク・衣装・小道具・舞台セット」の楽しみ方についてお伝えしてきました。

次のページでは「音響ブース」の楽しみ方についてお伝えします。

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2.5次元舞台の音響効果の楽しみ方② 【効果音の作り方】

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前ページでは、舞台「刀剣乱舞」を例に挙げて、音響効果、特に「効果音」の工夫についてお伝えしてきました。

このページでは「効果音の作り方」についてご説明していきたいと思います。

効果音の作り方を知ることで、さらに音響効果についての理解が深まり、2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がることでしょう。

 

効果音はどうやって作っている?

 

音の作り方は様々な方法があり、人によって用いる手法は千差万別です。ここでは、基礎的な効果音の作り方の一種について解説いたします。

 

もし皆さんが効果音を作るとしたら何から始めますか?

例えば、ドアの開閉音を作るとしましょう。

「ドアを開ける音と閉める音を録音して、それをそのまま使用する方法」や「効果音を集めたサイトやCDの素材を引用する方法」などがあるかと思います。

前者の方法で音を作る場合は、様々な扉の開閉音をあらかじめ録音し、作品の中でどこに音を入れるのか、作品の世界観や年代などを考慮し、どんな音を入れるかを決定します。

録音した素材の中に当てはまる音がなければ、録音した効果音をミックス・加工して使用する事もあります。

そのままの音を使えれば良いのですが、一つの音に違和感があるだけで作品の良さが台無しになってしまう場合もあります。そのため、世界観を考えて音を作ることは重要になり、試行錯誤を重ねて効果音の完成を目指します。

 

以上が、ごく普通な効果音の作り方です。

2.5次元舞台の場合には「現実に存在しないものの音をどう作るか」ということを考えなければなりません。

 

現実に存在しないものの音をどう作るか

 

「現実にないものの音」を想像だけで作るのは、大変骨が折れる作業です。また、一つ作れば良いのではないのでさらに大変な作業となります。

例えば刀の効果音ひとつとっても、斬り方次第で様々な種類の音を流す必要があります。

舞台「刀剣乱舞」では、「大太刀」という大きすぎて人では振ることができない刀が出てきます。

通常の刀を使った殺陣シーンであれば、つける効果音は想像できそうですが、人が振れない様な大きい刀を振り回した時の音など、想像できません。

舞台「刀剣乱舞」の音響担当をされている方が、刀を振った時の効果音の作り方の動画をあげられていました。

大太刀の効果音は「まず刀の重さを表現するためにテニスラケットを振る音の音程を低くし、長めの竹ひごを降った音を加え、少し加工する事によって作った」そうです。

舞台で実際に観劇しましたが、本当に大太刀を振っているような音に聞こえ、それがまさかテニスラケットと竹ひごの音を基にして、加工して作った音とは思えないクオリティでした。

ちなみに、同じ音響効果の方が「銃声」の効果音を作る方法も紹介していました。ペットボトルを机に叩きつけて元となる音を録音し、それをパソコンのソフトで、「音を分解→音程を低くする→音の始まりの部分の調整→元の音の音程を更に低くしたものを重ねる→微調整」という流れで作成されていました。

 

このように、2.5次元舞台の効果音は、日常的にある音を加工して非日常的な音を作り上げる技術が使われています。刀の音に竹ひごが使われていたのは意外だったのではないでしょうか。

まだ、舞台化されていない作品を読みながら「これはどんな音がするのかな?」と考えたり、文字で表されている音について「どうすれば再現できるかな?」と、舞台化される時の効果音を想像しながら読むと原作を読む楽しみも増えます。実際に舞台化された時に、読みが当たったか確認するのも楽しみの一つ。

また、試行錯誤して一つの効果音を作り上げることは、効果音を作成する側の醍醐味でしょう。音響担当者によって少しずつ違うので、この違いに着目するのも面白いです。

「裏側」について知って見てみると、2.5次元舞台の見方が変わります。

 

さて、ここまでは音響効果の効果音に重きを置いて説明してきました。

次のページでは「ミュージカルと舞台の音楽の使われ方の違い」について解説いたします。

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2.5次元舞台の「映像技術」の注目するのがおすすめな理由

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2.5次元舞台に使用されている「映像技術」

 

2.5次元舞台を鑑賞するにあたって、原作を先に見た方は「現実世界で再現できないようなアクションやシーンを舞台でどう表現するのか?」という疑問を持たれることがあると思います。

実際に私も、何作品かは「絶対に再現は無理だろう」と思っていたものがありました。現実世界で、影分身などできるはずもないし、いきなり氷の柱を出現させたり、何の道具もなしに火をおこしたりはできません。

この物理的に再現することが難しい部分の演出方法で用いられているのが「映像技術」です。

このページでは2.5次元舞台の「映像技術」の使用方法や、映像技術を堪能する上でのおすすめ作品をご紹介します。「原作」と「再現された映像」を比較すると、映像スタッフや演出家がどういった点にこだわって映像を作っているかなどが想像でき、より楽しみ方が広がります。

 

映像技術の使用方法

 

2.5次元舞台では「プロジェクションマッピング」「スクリーン上に投影される映像」が用いられています。

まずはこれらの映像技術がどのように使用されているのかをお伝えします。

 

プロジェクションマッピング

 

プロジェクションマッピングは、プロジェクターで立体物の表面に映像を映し出す手法です。各地のイベントで建築物に投影されて用いられています。

舞台の場合は、舞台セットに直接ビル街などの町並みを投影するなど、シチュエーションを明確にするために用いられたりしています。

使用例としては、舞台「PSYCHO-PASS:virtue and Vice」があげられます。

▼舞台「PSYCHO-PASS:virtue and Vice」ゲネプロ映像

 

舞台「PSYCHO-PASS:virtue and Vice」は、「人々の精神が数値化された近未来」という世界観で、冒頭から映画マトリックスに出てくるような数字やアルファベットの羅列が背景に流れてきます。

さらに物語中盤には公園を表す精密な映像が流れたり、高層ビルが立ち並ぶ背景が映し出されたり、CGを駆使した映像がセットに映し出され、まるで実際に物語の中に入り込んだような錯覚を覚えます。

 

スクリーンに投影される映像

 

スクリーンに投影される映像は、「舞台上に投影される」という点ではプロジェクションマッピングと同じですが、キャストが映し出されたりするなど、「背景」ではなく「動画」が映し出されることが多いです。

例えば、ミュージカル「刀剣乱舞」の最初の作品である「阿津賀志山異聞」では、キャラクター紹介時に大きなスクリーンでアクションシーンが映し出され、映像と全く同じ動きで舞台上のキャストも動く演出方法が用いられています。

また、同作品で主人公が最後の敵と対峙した時に「真剣必殺」という技を出します。この時に原作のゲームと同じように、衣装に穴が開いたり、体に傷が入ったりする映像が映し出され、その後にキャストが同じ格好で舞台上に登場するという演出方法が用いられています。

▼ミュージカル「『刀剣乱舞』 ~阿津賀志山異聞~」ゲネプロ

 

映像技術を堪能する!おすすめ作品

 

「どのようなシチュエーションで映像技術が使われるているのか」という使用例にも目を向けると、より映像技術への理解が深まることでしょう。

2.5次元舞台の映像技術を堪能する上でおすすめの作品を、映像技術の使用例ごとにご紹介いたします。

 

① ストーリーの中(「NARUTO」「僕のヒーローアカデミア」)

 

アニメを原作としたストーリーを舞台で再現する上では映像技術を欠かすことができません。

ストーリーの中で映像技術が使用されている作品でおすすめなのが「NARUTO」や「僕のヒーローアカデミア」です。現実世界とはかけ離れた「技」などを映像技術によって見事に表現されています。

 

「NARUTO」では忍の技を表現するために使われています。

影分身の術や、大蛇のキャラクターの尾の部分などを舞台上のセットに投影する事によって、舞台上では表現が難しい演出を可能にしています。

舞台上での役者の動きとも合わせる必要があるため、細かい修正や打ち合わせなどが必要です。

▼舞台「NARUTO-ナルト-~暁の調べ~」公開ゲネプロ 映像技術を用いたシーン(0.30~)

 

また「僕のヒーローアカデミア」では、キャラクターそれぞれの「個性」と呼ばれる技をクリーン上に投影し、その映像に合わせて役者が技の動きをするという演出方法がされています。

▼舞台「僕のヒーローアカデミア The “Ultra” Stage」公演ダイジェスト映像

 

② 小道具(舞台「刀剣乱舞」)

 

さらに高度な演出として「小道具に映像を投影する」という方法も使われています。

例えば、舞台「刀剣乱舞」ではエンディングでキャスト全員が番傘を持って踊る場面があるのですが、その番傘に役名を投影し挨拶をする演出があります。

これはキャストの立ち位置や番傘を開く速度やタイミングなどが揃わなければ、成り立たない演出であるために、とても入念なリハーサルが繰り返されています。劇場も変わるので、舞台の幅が少しずつ違うことにも対応しなければなりません。

高度な映像技術により、現実にはない世界が舞台で表現されていること、また大きなアクシデントもなく無事に終わることができているのは、スタッフとキャストの皆さんの力あってこそです。映像技術では、そうしたスタッフさんとキャストさんの努力や技術にも目を向けると、さらに楽しみ方の幅が広がるでしょう。

▼舞台「『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ」Blu-ray/DVD CM(番傘の演出がある舞台「刀剣乱舞」)

 

映像技術を堪能するならDVDと舞台はどちらがおすすめ?

 

実際に劇場で鑑賞するとDVDと違い、舞台全体が見渡せるので、他のキャラクターが何をしているか、舞台全体で何を表現しているかを見ることができます。また、迫力や臨場感も劇場の方が感じられます。

観劇に行く際は、事前に原作を読んでから行くと「あのシーンはこんな演出の工夫がされているんだ!」「この部分の映像凄いな!」など新しい発見があると思います。

一方、DVDで鑑賞する場合は、映像を集中して見ることができるので、気になった部分を繰り返し見たり、詳細な映像技術を見ることができます。

劇場やDVDでは映像技術の楽しみ方に違いがあります。いずれにしろ、映像技術にも目を向けて映像スタッフさんの技術の結晶を楽しんでいただけたらと思います!

 

さて、ここまでは「照明」「映像技術」について解説してきましたが、次のページからは「音響効果」について解説いたします。音響効果こそ2.5次元舞台を作り上げる上で最も難しい部分だと思います。

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2.5次元舞台の音響効果の楽しみ方③ 【ミュージカルと舞台の音楽の使われ方の違い】

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これまでは音響効果の「効果音」に重きを置いて説明してきましたが、ここでは「音楽」についてもふれたいと思います。

ミュージカルでもストレートプレイ(=ミュージカルではない演劇)でも音楽は世界観を表現する場合に重要になってきますし、回想シーンや重要シーンではドラマチックな演出をすることができます。

ミュージカルとストレートプレイでは、音楽の使われ方や意味合いが異なる部分があります。

これらの違いを知ってから見ると、2.5次元舞台の楽しみ方の幅はさらに広がることでしょう。

 

「刀剣乱舞」に見るミュージカルと舞台での音楽の表現方法の違い

 

「刀剣乱舞」は、アニメ・映画と様々なメディアミックスを展開していますが、はじまりは「刀剣乱舞-ONLINE-」というゲーム。

「刀剣乱舞」というひとつの作品に対して、同時期に別の制作会社がそれぞれ舞台化しており、ミュージカル「刀剣乱舞」と舞台「刀剣乱舞」があり、キャストや内容は異なります。

ここではミュージカルと舞台の両方が作られている「刀剣乱舞」を例に、ミュージカルと舞台での音楽の使われ方の違いについて説明したいと思います。

舞台「刀剣乱舞」とミュージカル「刀剣乱舞」の音楽の使われ方の違いを知れば、その他の舞台とミュージカルの見方も変わるかと思います。

 

ミュージカル「刀剣乱舞」の音楽の使い方

 

ミュージカル「刀剣乱舞」の殺陣の場面では、登場人物の心情は歌やダンスで表現され、音楽に乗せて行われることがあります。

ミュージカル「刀剣乱舞」では重要なシーンなどで音楽が流れ、キャラクターの心情を歌やダンスで表現するという演出方法が多く使われるのです。

「刀剣乱舞 」の一番最初の作品である「阿津賀志山異聞」の本公演の前にトライアル公演(=本公演の前の試験的な公演)というものが行われていました。

「登場人物が矛盾を感じ、自分のあり方について考えていた」という重要な場面で、トライアル公演の時は台詞を言うだけの演出で、役者もどうすれば観客に伝わるのかを稽古時に試行錯誤しながら演じていました。

本公演時にはその場面が歌に変更になっており、より観客に感情が伝わりやすくなっていました。「台詞」にするか「歌(音楽)」にするかで、観客が受け取る印象は変わります。そういったことも考慮され、ミュージカルは作られているのです。

ミュージカルは、台詞で伝えなければならないこともある上に、歌やダンスも組み込まれるため「歌唱力」「音楽の解釈力」「ダンススキル」が求められます。

さらに芝居パートの後にはライブパートもあります。ゲームを原作としたそれぞれのキャラクターが「もしダンスや歌を歌ったらどうなるか」を想像して演出がされています。

「音楽」の要素に絡んで演者の技術や演出力が「ミュージカル」には要求されるのです。

▼ミュージカル「刀剣乱舞 ~阿津賀志山異聞~」ゲネプロ公開

 

舞台「刀剣乱舞」の音楽のつけかた

 

さて、ミュージカル「刀剣乱舞」の場合は、重要なシーンでは音楽が流れてキャラクターの心情をダンスや歌で伝えるということをお伝えしました。

舞台「刀剣乱舞」では重要な場面でも音楽が流れることもありますが、無音のままキャストが台詞を話すという演出方法がとられています。

また、舞台「刀剣乱舞 悲伝 結いの目の不如帰」の2人のキャラクターのそれぞれの思いがぶつかり合うラストシーンでは音楽ではなく、照明や殺陣などの演出で見せ場が作られていました。

舞台「刀剣乱舞」もミュージカル「刀剣乱舞」も演じるという部分では同じですが、舞台の方では、音楽ではなく台詞だけで観客にキャラクターの感情を伝えなければならないため演技力や物語の解釈力などが求められます。

▼舞台「刀剣乱舞 悲伝 結いの目の不如帰」ダイジェスト映像

 

重要なシーンを「音楽」で表現するシーンが多い「ミュージカル」と、「台詞」で重要なシーンを表現することが多い「舞台」。

どちらも演出家が違うため、物語の進め方や着眼点が全く違うので、違いを比較するのも面白い見方だと思います。

また、重要なシーンでの音楽の使われ方や、殺陣の場面の音楽の違いなどにも着目すると、舞台とミュージカルを比較する楽しみも感じられると思います。

「刀剣乱舞」は舞台もミュージカルもとても良い作品が多く、演出も素晴らしいので何回見直しても新しい発見ができます。

 

ここまで音響効果についてお伝えしてきましたが、次のページからは「裏方観劇」の魅力についてお伝えします。まずは、「メイク・衣装・小道具・舞台セット」で注目すべき点についてお伝えします。

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2.5次元舞台の音響効果の楽しみ方① 【おすすめ作品 舞台「刀剣乱舞」】

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2.5次元舞台は映像・照明・音響などの「裏側」に注目するのがおすすめ!刀の効果音は刀の長さや種類によって音が変えられていたり、裏側に秘められた技術や工夫に目を向けると2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がります!観劇後は必ず「観劇ノート」を書いている観劇マニアが解説します!

『2.5次元舞台の「裏側」の楽しみ方 ~照明・映像・音響・裏方観劇を知る~』(全8ページ)はこちらから!

著者:零音(れおん)

小学生の時に劇団四季を見てから舞台の虜になっていく。現在はブロードウェイミュージカル・2.5次元ミュージカル・ストレートの舞台を観劇。観劇後は必ずキャスト・スタッフの方々に感想のお手紙を書くため、目を引いた所などは観劇ノートに書いている。裏方に注目し独学で勉強している。

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音響効果とは

 

音響効果とは「舞台上の演技に効果音をつけたり、映像と一緒に音楽を流したりする演出」のことです。

キャストさんたちの歌やセリフはピンマイクを通して客席に届きますが、小道具の音などは大きな舞台だと音が吸収されてしまい客席には聞こえません。

しかし、マントをバサッと翻している音がなかったり、刀で戦ってるのに、金属音がしなかったらリアル感がないですよね?

そこで用いられる演出が「音響効果」です。

「物語に合わせて音楽を流す」のも音響効果の一つですが、舞台では主に「効果音」の音響効果が用いられます。刀のつばぜり合いの音や鞘から刀を抜く音、ドアの音やマントの裾さばきの音などを流します。

 

音響効果に注目するのがおすすめな理由

 

私は2.5次元舞台を見る時はかならず音響効果に注目して観劇します。

その理由は、効果音と音楽こそ2.5次元舞台を作り上げる上で最も難しい部分であると考えているからです。

すでにアニメなどで音が作られている場合は、そこから連想したり、その音を用いて音を作り出すことは可能でしょう。

ただ、漫画や小説が原作だった場合、物語の中の「音」は想像することでしか作り出せません。

「漫画の世界の人物が武器を振り回す」などの音は、原作からヒントを得つつ「何から音を作るのか」「何と何を組み合わせて音を作るのか」「現実世界では何に近い音なのか」試行錯誤しながら探らなければなりません。しかもその音が、聞き手に伝わらなければ意味がないのです。また、舞台ではその場で役者の動きにも合わせて効果音を出す必要もあります。

このようなところは音響技術の腕の見せ所であり、注目すると面白いところであると感じています。

 

音響効果を堪能するなら!おすすめは舞台「刀剣乱舞」

私が総合的に音響効果が優れていると感じる作品は、舞台「刀剣乱舞」です。

この作品は、エンディングでキャストが番傘を持ち音楽に乗せて歌ったり踊ったりします。また、毎回担当の方が作品に沿った舞台オリジナルの曲を作曲されているので音楽でも楽しめますが、基本的にはストレートプレイ(=ミュージカルではない演劇)であるためミュージカルに比べると音楽は重要視されません。

舞台「刀剣乱舞」の音響効果で最も素晴らしいのは「効果音」です。

 

一度観劇された方はお分かりになるかと思いますが、初期の作品では出演する刀剣男子が6〜7人程度でしたが、「悲伝:結いの目の不如帰」(4作目)「慈伝:日日の葉よ散るらむ」(5作目)の2作品は出演する刀剣男子の人数が一気に増えます。

そのため、集団で行う殺陣シーンでは効果音をつけるのが大変難しいのですが、一つ一つのアクションに効果音が付いているのではないかというほど、ほぼ全ての部分に音が付いています。

▼舞台「『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰」ダイジェスト映像

 

また、マントを被っているキャラクターのマントの音も、「翻す音」「走っている時にたなびく音」「少し払う音」など、行動によって全ての効果音が異なります。

刀に関する効果音も刀の長さや種類によって音を変えたり、刀の振り方や鞘からの出し方・収め方によっても音を変えているので、臨場感やリアル感を最大限楽しむことができます。

実際に刀剣乱舞の音響担当の方は「短刀、打刀、太刀、大太刀はシュン、ヒュン、ブゥン、ブォーンと全部イメージを変えている」とおっしゃっていました。つまり、それぞれの刀によって音を全て変えているということです。

なんとなく見ているとなかなか気づかないところかもしれませんが、「音響効果」にはこれほどまでに工夫が凝らされているのです。

もしこれから、アクションシーンのある2.5次元舞台を見る方は最初はストーリーを楽しんで、2回目は音に注目してみてはいかがでしょうか。

 

 

さて、このページでは舞台「刀剣乱舞」を例に挙げて、音響効果、特に「効果音」の工夫についてお伝えしてきました。

次のページでは「効果音の作り方」についてお伝えします。効果音の作り方を知ることで、さらに音響効果についての理解が深まり、2.5次元舞台の楽しみ方の幅が広がることでしょう。

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2.5次元舞台の異例の存在 【刀剣乱舞】

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2.5次元舞台はアニメやゲームを舞台化した作品であり、近年ブームが起きています。その理由や作品を知ればきっと劇場に足を運びたくなることでしょう。

『2.5次元舞台』入門はこちらから!

著者:ゆうり藍

20代後半女性2.5次元舞台を中心に観劇が大好きなフリーライター。多い時で年間50公演以上観ることも。好きな作品は「ミュージカル テニスの王子様」「刀剣乱舞」「TRUMP」シリーズ「破壊ランナー」など。

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twitter【ゆうり藍】https://twitter.com/yuriran1

 

 



 

「刀剣乱舞」は2.5次元舞台の中では異例の存在なのです。

「刀剣乱舞」というひとつの作品に対して、同時期に別の制作会社がそれぞれ舞台化しており「ミュージカル 刀剣乱舞」「舞台 刀剣乱舞」ではキャストや内容が異なるものなのです。

今回は、そんな異例の存在である「刀剣乱舞」について解説いたします。

 

「刀剣乱舞」とは


(引用元:http://games.dmm.com/detail/tohken/)

 

現在、アニメや映画と様々な展開をみせる刀剣乱舞ですが、元のはじまりは「刀剣乱舞-ONLINE-」というゲームです。

「刀剣乱舞-ONLINE-」は、2015年1月にブラウザゲーム(=インターネット上でインストールしないで遊べるゲーム)としてリリースされた女性を中心に大ヒットしました。内容は「刀剣男士」として擬人化された名高い名刀を育成するというもの。

魅力的な男性キャラクターはファンの心を掴み、ゲームを飛び越えてアニメ、コミックス、そして2.5次元舞台へと世界を広げています。

 

2.5次元舞台で異例の作品

 

「刀剣乱舞」の舞台化は異例の道程を辿っています。

まず、2015年10月にネルケプランニング(=舞台の制作会社)制作のミュージカル「刀剣乱舞」が上演されました。

 

▼ネルケプランニング公式ホームページ


(引用:https://www.nelke.co.jp/

 

その後、2016年5月にマーベラス(=ゲーム制作を主とした会社)制作の舞台「刀剣乱舞」が上演され、以降ミュージカル版と舞台(ストレートプレイ)版が別々に上演を重ねながらシリーズ化しています。

 

▼マーベラス公式ホームページ


(引用:https://www.marv.jp/

 

それぞれ登場するキャラクターも異なり、キャスト・スタッフもまったく違う体制でそれぞれ制作されています。

1つの原作に対して、同時期に別の制作会社がそれぞれ舞台化をするのは異例のことです。

 

 

なお、「刀剣乱舞」はアニメ作品も別々の会社が制作した「活撃 刀剣乱舞」と「刀剣乱舞 花丸」という2シリーズが存在します。

 

▼アニメ「活撃 刀剣乱舞」

 ▼アニメ「刀剣乱舞 花丸」

 

このように2つの2.5次元舞台が制作された背景として、原作ゲームである「刀剣乱舞」にはっきりとしたストーリーが存在しないことがあると考えられます。

「刀剣乱舞」には『刀剣の付喪神(つくもがみ:道具に宿る神や精霊)である刀剣男士の力を借りて、歴史を改変しようとする歴史修正主義者と戦う』という大枠の設定しかありません。

この設定とキャラクターのビジュアルとボイス、ゲーム中に登場するシステムが原作の要素であり、それを踏まえていればどんな物語でも作ることができるのが「刀剣乱舞」という作品の特徴であり魅力です。

プレイヤーそれぞれの本丸(このゲーム中で基地や拠点にあたるもの)やキャラクターである刀剣男士がいるように、それぞれのメディアミックス作品にもそれぞれの本丸と刀剣男士がいるのです。

そのため、ミュージカル版と舞台版は、原作を再現するという2.5次元舞台の使命を全うしつつ、それぞれのオリジナリティを出しながら上演されています。

 

ミュージカル「刀剣乱舞」

 

ミュージカル「刀剣乱舞」(通称「刀ミュ」)は2015年の「阿津賀志山異聞」トライアル公演を皮切りにコンスタントに上演が続けられています。

▼ミュージカル「刀剣乱舞」「阿津賀志山異聞」トライアル公演(画像クリックで商品詳細へ)

 

2018年10月までに本公演を6公演、劇中の楽曲を披露するライブ公演が4公演披露されています。

「刀ミュ」の特徴として伝統的な大衆演劇のスタイルにのっとって、1部をお芝居、2部をショーの形式で行うことが挙げられます。

 

「刀ミュ」1部と2部の違いを詳しく!
1部と2部の大きな違いは「ストーリーがあるかないか」です。

1部は過去の歴史的なイベントをテーマに敵と戦う話となっています。2部は「現代の戦い」と称して、観客に向けてアイドルのように歌って踊るという設定になっています。

2部は客席とのコールアンドレスポンスがあったり、キャラクター同士の掛け合いがあったりします。

 

2部で「現代の戦い」と称してアイドルのように歌い踊る刀剣男士たちに、観客は「なぜ?」と困惑しつつ引き込まれていきます。

それは「刀剣乱舞」という「自由な世界」では、刀を持たずに歌って踊る刀剣男士が「アリ」だと感じられるからです。

それだけ舞台上のキャストたちは説得力をもって刀剣男士を演じきってくれています。

また、「刀ミュ」は1作目の「阿津賀志山異聞」と4作目の「つはものどもがゆめのあと」で源義経と彼にまつわる人間たちをテーマにしています。

 

源義経
平安時代末期の武将。父は平氏との戦である「平治の乱」で破れて命を落とす。後に、兄の源頼朝とともに平氏を滅ぼす。幼い時の名前は「牛若丸」。「弁慶」という乱暴者を返り討ちにした有名な逸話がある

 

また、テーマは同じですが同じ時代を別の角度から描かれています。例えば、テーマは「源義経と彼にまつわる人間たち」ですが、源義経を中心にスポットを当てて描かれる作品があれば、周囲の人間にスポットを当てて描かれる作品もあります。

それにより同じ歴史的な出来事に抱く印象が変わるだけでなく、刀剣男士たちについても様々な面が見えてきます。

 

1作目と4作目では共通の刀剣男士が登場しますが、両作品で抱く印象は変わっていきます。

「刀ミュ」は刀剣男士たちのキャラクターに厚みを与えて私たち観客の前に現してくれるのです。

 

▼ミュージカル「刀剣乱舞」~真剣乱舞祭2016~ 映像

 

<この作品を観る方法>

▼サービス名クリックorタップで公式サイトへ進めます。

サービス名 購入方法
dアニメストア ・定額配信。月額400円(税抜き)で見放題。初回31日は無料で見放題
amazon ・Blu-ray/DVD
DMM.com ・ダウンロード

※2.5次元舞台で人気作を劇場で鑑賞したいと考える場合は、先行販売でチケットを獲得することをおすすめします。

 

先行販売でのチケット獲得方法については下記のページ(次の章)にて解説! 先行販売でのチケット獲得方法については下記のページ(次の章)にて解説!

 

舞台「刀剣乱舞」

 

舞台「刀剣乱舞」(通称「刀ステ」)は「虚伝 燃ゆる本能寺」というタイトルからスタートし、2018年10月現在5作品が上演されています。

 

▼作品一覧

作数 作品名 初演
1作目 虚伝 燃ゆる本能寺 2016年5月
2作目 義伝 暁の独眼竜 2017年6月
3作目 外伝 此の夜らの小田原 2017年11月
4作目 ジョ伝 三つら星刀語り 2017年12月
5作目 悲伝 結いの目の不如帰 2018年6月

▼舞台「刀剣乱舞」虚伝 燃ゆる本能寺 ダイジェスト映像

 

「刀ステ」は1公演ごとが独立した物語でありながら、シリーズ全体としては三日月宗近と山姥切国広というキャラクターに迫りながら成長や関係性の深化を描いています。

「刀剣乱舞」は史跡(歴史上価値の高い遺跡)がゲームのステージになっており、歴史そのものをゲームの舞台として見ることのできる作品です。

「刀ステ」でも本能寺の変や関ヶ原の合戦、永禄の変といった歴史的なイベントを主題にして物語が繰り広げられます。

そして歴史ものというのは悲劇はつきものです。

本作でも刀剣男士にとって昔の主である織田信長や足利義輝は歴史の中で死んでいきます。

そうした主を守れなかった悲しみや悔しさから刀剣男士の成長や変化を情感たっぷりに表現しているのが「刀ステ」の良さです。

また、「刀ステ」で重要な要素となっているのが殺陣(たて:刀で切り合う劇。チャンバラのようなもの)です。

殺陣を得意とした役者も多く参加している本作では、スピード感と迫力ある殺陣が魅力となっています。臨場感のある戦闘シーンは演劇だからこそ体験できるものの1つです。

 

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