ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

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カンフー映画を見たことがありますか?ブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏は「俳優が武術をする」というよりは、「武術家が演技をする」と表現したほうがしっくりきます。カンフー映画鑑賞歴27年の著者が語ります!

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はじめに

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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この章(第2章)ではカンフー映画のスター俳優をご紹介。

このページではアイドル的な人気もあるカンフー映画スター俳優、ユン・ピョウ氏を紹介します。

 

▼紹介する9人のカンフー映画スター俳優

名前 人物概要 主な出演作品
1 ジミー・ウォング カンフー映画界のレジェンド 「片腕必殺剣」
2 ブルース・リー 「本物」のアクションスター 「燃えよドラゴン」
3 サモハン カンフー映画界の主要人物 「燃えよデブゴン」
4 ジャッキー・チェン 世界のジャッキー 「酔拳」「プロジェクトA」
5 ユン・ピョウ⇐当ページ カンフー映画アイドルスター 「ユン・ピョウinドラ息子カンフー」
6 ユン・ワー 中華圏芸能界屈指の名バイプレイヤー 「霊幻道士」
7 ラム・チェンイン 詠春拳の達人 「霊幻道士」
8 ジェット・リー 少林寺ブームの立役者 「少林寺」
9 ドニー・イェン 遅咲きのカンフー映画スター 「イップマン」

 

ユン・ピョウ(元彪)

生年月日 1957年7月26日
本名 夏令震(シャア・リン・ヂェン)
出身 香港
初期ヒット作 「猿拳」(1979)
出演日本作品 「孔雀王」「無問題2」
現在 俳優として活動

 

【ユン・ピョウってどんな俳優?】

私が小学生の頃は、アイドルのようなカッコいい兄ちゃんと思っていました。自分の中でユン・ピョウ氏だけ比較対象がなぜかジャニーズだったのを覚えています。

おそらく、日本ではアイドル扱いをされていたためだと思います。

ですが、「プロジェクトA」や「スパルタンX」を観てそのイメージが払拭されました。

ジャッキー氏やサモハン氏と息の合ったアクションやユン・ピョウ氏の身体を張ったスタントに本格的なアクションスターを感じました。足技がとにかく美しいです。

 

主な出演作品

発表年 タイトル
1972 「ドラゴン怒りの鉄拳」「アンジェラ・マオの女活殺拳」
1973 「燃えよドラゴン」
1975 「少林門」「スカイ・ハイ」
1976 「少林寺木人拳」
1978 「死亡遊戯」「燃えよデブゴン」
1979 「猿拳」「ツーフィンガー鷹」
1981 「ユン・ピョウinドラ息子カンフー」
1983 「チャンピオン鷹」「プロジェクトA」
1984 「スパルタンX」「五福星」
1985 「七福星」
1988 「孔雀王」
1989 「孔雀王アシュラ伝説」
1991 「香港魔界大作戦」「バカヤロー!4YOU!お前のことだよ」の 第3話「サギるなジャパン」
2002 「無問題2」
2016 「おじいちゃんはデブゴン」

 

ユン・ピョウ氏の略歴

誕生

 

男2人、女6人という兄妹の上から5番目に生まれる。

幼いころからカンフーの真似をするのが好きで、5歳でジャッキー・チェン氏やサモハン氏が所属する中国戯劇学院(ちゅうごく ぎげきがくいん)に入る。

 

中国戯劇学院

中国の京劇役者養成学校。著名な卒業生にジャッキー・チェン氏など。親元を離れた幼い子供が集った全寮制の学院。入学後には身体技を中心に演技力や表現力などかなり厳しい訓練を受けた。

 

ジャッキー・チェン氏やサモハン氏もいた「七小福(学内優秀成績者で構成されるグループ)」の最年少に選ばれる。

15歳で中国戯劇学院を修了した後に、1年間アメリカで京劇俳優をした後、香港に戻りサモハン氏の手引きで映画界へ入る。

 

京劇
京劇は歌、舞踊、セリフ、アクロバティックな立ち回りから成る中国の総合芸術であり、オペラやミュージカルに近い音楽劇。

 

スタントとしての下積み時代

 

ユン・ピョウ出演作品上、一番古いとされているのが、「ドラゴン怒りの鉄拳」(’72)とされているが、それ以前にも多くの作品にスタントや端役として出演していた。

 

▼ドラゴン怒りの鉄拳(画像クリックでDVD詳細へ)

 

スタントやスタントダブル(俳優の代わりに危険な動きなどを演じる役)の他、サモハン氏の助手として武術指導の経験を積む。

アンジェラ・マオの女活殺拳」(’72)、「燃えよドラゴン」(’73)、「少林門」(’75)、「スカイ・ハイ」(’75)、「少林寺木人拳」(’76)等、1970年~1977年ころまではアクションシーンにおいてはからみ役やスタントマン中心で役らしい役がない下積み時代だった。

 

▼少林門(画像クリックでDVD詳細へ)

▼少林寺木人拳(画像クリックでDVD詳細へ)

 

この頃、サモハン氏のスタント・武術指導チームの「洪家班(こうかはん)」に所属していたので、サモハン氏がユン・ピョウ氏に映画製作の基礎を教え込んだ。

1978年に転機が訪れ、ブルース・リー氏の死後、未完成であった「死亡遊戯」(’78)を完成させるにあたり、ゴールデン・ハーベスト社からサモハン等と共に起用された。

 

▼死亡遊戯(画像クリックでDVD詳細へ)

▼ブルー・スリー氏

(ブルース・リー氏について詳しくは前のページで!)

ゴールデン・ハーベスト社

1970年に設立された映画製作会社。大手香港映画会社ショウ・ブラザーズの制作本部長を務めていたレイモンド・チヨウとプロデューサーのレナード・ホーらが設立。

 

ユン・ピョウ氏は身軽で素早い動きのアクロバットを得意とし、足技の華麗さは、他のアクションスターと比べても抜きん出ている。

それに加え、ブルース・リー氏とも足技や体格も似ていたので、「死亡遊戯」において足技のシーンやオートバイアクションのシーンなどのブルース・リー氏のスタントマンとして採用された。

当時、ユン・ピョウ氏は武術指導として裏方を希望しており、「燃えよデブゴン」(’78)では武術指導に重点を置き、俳優としてはほんの数秒からみ役で出演していた。

 

▼燃えよデブゴン(画像クリックでDVD詳細へ。画像は「燃えよデブゴン2」(’80))

 

トップスターの仲間入り

 

しかしサモハン氏から「顔が良いから役者の方が向いている」と勧められ、サモハン監督の「猿拳」(’79)で主演デビューを果たした。

 

▼猿拳(画像クリックでDVD詳細へ)

 

この映画が大ヒットし、ユン・ピョウも一躍トップスターの仲間入りとなり、長い下積み時代に終止符を打つことができた。

この映画の出演を機に、「ツーフィンガー鷹」(’79)、「ユン・ピョウinドラ息子カンフー」(’81)等、次から次へと香港カンフー映画の主演が続くようになった。

 

▼ツーフィンガー鷹(画像クリックでDVD詳細へ)

▼ユン・ピョウinドラ息子カンフー(画像クリックでDVD詳細へ)

 

「自殺以外のスタントは何でもやれる」と豪語していただけあり、サッカーとカンフーを合体させた作品「チャンピオン鷹」(’83)では高所からのダイビングや燃え盛る炎の中へ飛び込むなど決死のスタントを自ら演じている。

 

▼チャンピオン鷹(画像クリックでDVD詳細へ)

 

そして、ジャッキー氏、サモハン氏と共に「プロジェクトA」(’83)、「スパルタンX」(’84)、「七福星」(’85)にも出演した。

 

▼プロジェクトA(画像クリックでDVD詳細へ)

▼スパルタンX(画像クリックでDVD詳細へ)

▼七福星(画像クリックで商品詳細へ)

 

優れた身体能力に加え、ハンサムなルックスであったため、80年代の日本におけるカンフー映画ブーム時期には、アイドルとしても人気があった。

来日も多く、1984年に「五福星」のプロモーションキャンペーンとして、ジャッキー氏、サモハン氏と共に日本武道館にてコンサートを開き会場を満席にさせた。

 

▼五福星(画像クリックでDVD詳細へ)

 

翌1985年には大阪、東京、福岡、名古屋にて「『チャンピオン鷹』公開記念 ユン・ピョウ オンステージ」を開催。

この「チャンピオン鷹」公開を記念して、東映(株)から「ユン・ピョウ オフィシャルファンクラブ」も設立される予定であったが、十分な準備ができずファンクラブの結成と運営を中止する旨が当時の映画パンフレットにて記載されている。

このような日本でのイベントだけでなく、ユン・ピョウ氏を特集した多くの雑誌や写真集も日本から出版されるほどの人気ぶりであった。

この80年代に築いた人気をもってして、ジャッキー氏、サモハン氏、ユン・ピョウ氏はトリオで話題になるようになった。

 

主体的な活動

 

このように、ユン・ピョウ氏はジャッキー氏やサモハン氏と共作が多く、彼らの弟分という扱いが印象的であったが、「香港魔界大作戦」(’91)では自ら監督に初挑戦するなど、主体的に発展するようになった。

 

▼香港魔界大作戦(画像クリックでDVD詳細へ)

 

邦画への出演もあり、日本の漫画を原作とした「孔雀王」(’88)、「孔雀王アシュラ伝説」(’89)や「バカヤロー!4YOU!お前のことだよ」の 第3話「サギるなジャパン」(’91)、70年代コメディカンフー映画を彷彿させるナインティナイン岡村隆史氏主演の「無問題2」(’02)にも出演。

 

▼孔雀王(画像クリックでDVD詳細へ)

▼無問題2(画像クリックでDVD詳細へ)

 

今なお現役で活躍し続けており、近年の出演作ではサモハン氏監督、主演の「おじいちゃんはデブゴン」(’16)に出演。

 

▼おじいちゃんはデブゴン(画像クリックでDVD詳細へ)

 

ユン・ピョウ氏作品の視聴方法

 

発表年 タイトル 視聴可能動画配信サービス
1972 「ドラゴン怒りの鉄拳」 Hulu
1973 「燃えよドラゴン」
1975 「スカイ・ハイ」
1976 「少林寺木人拳」 Hulu
1978 「死亡遊戯」 Hulu
1979 「猿拳」
1979 「ツーフィンガー鷹」
1981 「ユン・ピョウinドラ息子カンフー」
1983 「チャンピオン鷹」
1983 「プロジェクトA」 Hulu
1984 「スパルタンX」 Hulu
1984 「五福星」 Hulu
1985 「七福星」 Hulu
1988 「孔雀王」
1989 「孔雀王アシュラ伝説」
1991 「香港魔界大作戦」
2002 「無問題2」
2016 「おじいちゃんはデブゴン」 Hulu

 

以上、ユン・ピョウ氏の紹介でした。

次のページでは中国の名バイプレイヤー、ユン・ワー氏を紹介していきます。

『カンフー映画入門』目次へ  (全38ページ)

 

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目次著者

はじめに

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

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第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

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ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

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ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

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第1章ではカンフー映画とは何か、そしてカンフー映画の歴史について解説をしています。

このページでは一大ブームを巻き起こしたカンフー映画スター俳優「ジャッキー・チェン」氏が活躍した時代のカンフー映画の歴史(前編)を解説をします。※カンフー映画の歴史を最初から知りたい方は第1章の最初のページからお読みください。

 

▼カンフー映画の歴史概要(リンククリックorタップで該当ページへ)

時代 主な出来事 主な俳優・女優
カンフー映画の始まり シヨウブラザーズ社の設立 チェンペイペイ
ジミー・ウォング時代 剣劇から拳脚アクションへ ジミー・ウォング
ブルース・リー時代 ゴールデンハーベスト社設立 / ブルース・リーの死 ブルース・リー
ジャッキー・チェン時代①⇐当ページ 「蛇拳」「酔拳」ヒット ジャッキー・チェン
ジャッキー・チェン時代② ジャッキー・チェン略奪事件 / 「プロジェクトA」ヒット ジャッキー・チェン / サモハン / ユン・ピョウ
次世代スター時代 「少林寺」「イップマン」ヒット ジェット・リー / ドニー・イェン

 

ジャッキー・チェン氏の時代

ジャッキー・チェン氏の起用

 

前ページで解説したように1970年代前半、香港の映画会社ゴールデン・ハーベスト社はブルース・リー氏と共にカンフー映画界の歴史を刷新しました。

 

▼ブルース・リー氏

ゴールデンハーベスト社
香港の映画制作会社。ブルース・リー氏主演の「ドラゴン危機一髪」などを制作し大ヒット。ブルース・リー氏とともにカンフー映画のブームを作り出した。詳しくは前のページで。

 

その快進撃の立役者の1人であるゴールデン・ハーベスト社の映画監督ロー・ウェイ氏は、1971年にブルース・リー氏を主演とする「ドラゴン危機一発」、「ドラゴン怒りの鉄拳」の記録的大ヒットで監督として注目を浴びました。

 

▼ドラゴン危機一髪(画像クリックでDVD詳細へ)

▼ドラゴン怒りの鉄拳(画像クリックで商品詳細へ)

 

しかしブルース・リー氏とロー・ウェイ監督は喧嘩別れをしてしまいます。

その後ロー・ウェイ監督は、ジミー・ウォング氏主演作品を撮るようになりました。

 

ジミー・ウォング氏(1943~)
カンフー映画ブームの基礎を作ったパイオニア的存在。ブルース・リー氏などのスターが出る前から活躍していたカンフー映画界のレジェンド。

▼ジミー・ウォング氏

 

そして、ロー・ウェイ氏は1975年にゴールデン・ハーベスト社から独立して「羅維影業公司(ロー・ウェイ・インイェ・ゴンスー)」を設立し、ジャッキー・チェン氏を起用した「少林寺木人拳」、「拳精」などの作品を監督して実力を発揮しました。

 

▼ジャッキー・チェン氏

▼少林寺木人拳(画像クリックでDVD詳細へ)

▼拳精(画像クリックでDVD詳細へ)


 

一方この頃、1967年にショウ・ブラザーズ社に入社し、1970年には「吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー」の助監督を務めていたウー・シーユェン氏は、自らの映画会社「シーゾナル・フィルム」を立ち上げました。

 

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ウー・シーユェン氏はロー・ウェイ監督の元にいるジャッキー・チェン氏に興味を抱き、ロー・ウェイ監督へジャッキー・チェン氏のレンタルを申し出ます。

ちなみに、この頃、ロー・ウェイ監督はジャッキー・チェン氏を第二のブルース・リー氏に仕立てようとしており、ジャッキー・チェン氏自身もまた伸び悩んでいた頃でした。

 

 

「蛇拳」と「酔拳」の大ヒット

 

シーゾナル・フィルム社のウー・シーユェン氏は、ロー・ウェイ監督からジャッキー・チェン氏を2作品の映画に出演させる契約を取り付けることに成功します。

その第一弾として、清朝末期の広東(中国の地名)を背景にした「蛇拳(だけん)」(’78)を製作します。

 

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清朝と広東省
清朝は1644~1912年まで今の中国とモンゴル地域を支配していた王朝。1894年には日本と日清戦争で対立している。

▼現在の中国の広東省

 

「蛇拳」はそれまで多かったカンフー映画の復讐劇とは異なり、

「全く武術ができない主人公が厳しい訓練によって腕を磨き、成長し、最終的に強敵を打ち倒す」

という新たな痛快ストーリーを打ち出しました。

 

 

カンフー映画はこの作品によって、シリアスなストーリーの中にもコミカルなコメディ要素を取り入れることに成功し、これまで復讐劇が多く暗いイメージを持ったカンフー映画のイメージを一掃しました。

「相手をカンフーで倒す」というよりも「相手とコミュニケーションをとって倒す」という二拍子のカンフーはジャッキー氏映画における特徴の一つです。

 

 

この成功は、ジャッキー・チェン氏持ち前の「明るく愛嬌あるキャラクター」が作用したことも大きく影響しました。

さらにジャッキー・チェン氏の才能を大きく引き出す事にも成功した作品とも言えるでしょう。

この「蛇拳」の成功に続き、姉妹編として、ウー・シーユェン氏は中国伝統武術である『酔八仙拳(すいはっせんけん)』を主軸とした「酔拳(すいけん)」(’78)を製作しました。(蛇拳・酔拳ともに監督はユエン・ウーピン氏)

 

▼ユエン・ウーピン氏

photo by Slackerwood [Photo Credit: Debbie Cerda, for use with attribution]Master Yuen Woo-ping Uploaded by Teemeah

 

前作「蛇拳」にはまだシリアスな雰囲気が残っていましたが、そのシリアスさを完全に排除して、武術の素晴らしさは生かしたまま明るく楽しい作品に仕上げます。

「酔拳」はカンフー映画界に新風を吹き込んだ作品となりました。

 

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【コラム】「酔拳」の『酔八仙拳(すいはっせんけん)』ってどんな拳法?

▼酔拳のイメージ

酔八仙拳は一般には「酔拳」の呼び名で知られていますが、八人の仙人の酔態(酔った状態)を模した拳法であり、実際に飲酒して戦う拳法ではありません。

明代の中国で書かれた伝奇歴史小説の「水滸伝(スイコデン)」の登場人物である花和尚(カオシヨウ)こと魯知深(ロチシン)を酔八仙拳の伝説上の祖としています。

▼水滸伝

複雑で変化に富む千鳥足の歩法と月牙叉手(ゲツガサイシュ)と称する手法(お猪口を持つような手つき)が特徴です。

▼イメージ

八人の仙人(酔八仙)とは、

  • 呂洞賓(ロドウヒン、故事「邯鄲(カンタン)の夢」で盧生(ロセイ)に枕を与えた仙人)
  • 李鉄拐(リテツカイ、片足が不自由で杖を突く仙人)
  • 漢鐘離(カンショウリ、晋の将軍)
  • 藍彩和(ランサイワ、唐代に常に大きな花かごを持ち、片足だけ裸足でボロを着て歌い歩いていた仙人)
  • 張果老(チョウカロウ、常に白いロバに乗っている仙人)
  • 曹国舅(ソウコッキュウ、宋の曹太后の弟)
  • 韓湘子(カンショウシ、唐の詩人、横笛の名手)
  • 何仙姑(カセンコ、唯一の女仙人)

を指します。

酔八仙拳が世に知られるようになったのは、上海精武体育会(しゃんはい せいぶ たいいくかい:上海の体育学校)の教師であった陳維賢(チンイケン)が伝えたことによります。

酔八仙拳は地面を転がりながら戦うことを得意とした門派に属し、足場の悪い場所での戦いにも適すると言います。

また、先ほどイメージを示した月牙叉手(ゲツガサイシュ)と称する手法(お猪口を持つような手つき)は喉をつかんで破壊するものであり、実践時には人差し指をまげて突き出し急所を攻めるのに用いられます。

他の中国拳法の中でも最もユニークですが、その実態は緩急に富み、剛と柔の両面を備え、足腰の強さとバランスや柔軟性が要求される難易度の高い拳法です。現在では大会においての表演武術種目(採点競技)としてよく知られています。

 

以上、ジャッキー・チェン氏が活躍した時代のカンフー映画の歴史でした。火が付いたジャッキー・チェン氏のカンフー映画はさらに人気になっていきます。次のページではその後のカンフー映画の歴史について解説をしていきます。

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はじめに

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

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第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

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ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

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第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

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ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

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七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

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第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

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ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

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第1章ではカンフー映画とは何か、そしてカンフー映画の歴史について解説をしています。

このページではカンフー映画界のレジェンド「ジミー・ウォング」氏が活躍した時代のカンフー映画の歴史を解説をします。※カンフー映画の歴史を最初から知りたい方は第1章の最初のページからお読みください。

 

▼カンフー映画の歴史概要(リンククリックorタップで該当ページへ)

時代 主な出来事 主な俳優・女優
カンフー映画の始まり シヨウブラザーズ社の設立 チェンペイペイ
ジミー・ウォング時代(当ページ) 剣劇から拳脚アクションへ ジミー・ウォング
ブルース・リー時代 ゴールデンハーベスト社設立 / ブルース・リーの死 ブルース・リー
ジャッキー・チェン時代① 「蛇拳」「酔拳」ヒット ジャッキー・チェン
ジャッキー・チェン時代② ジャッキー・チェン略奪事件 / 「プロジェクトA」ヒット ジャッキー・チェン / サモハン / ユン・ピョウ
次世代スター時代 「少林寺」「イップマン」ヒット ジェット・リー / ドニー・イェン

 

ジミー・ウォング氏の時代

 

前のページで解説したように映画監督のキン・フー氏は「大酔侠」(1966)という映画をヒットさせ、カンフー映画の誕生に貢献しました。

 

大酔侠のヒット

「大酔侠」はカンフー映画を世界へ知らしめた香港の映画会社「シヨウブラザーズ」がヒットさせた”カンフー映画の元祖”とも言える作品。この作品を監督したのがキン・フー氏で香港映画界で新たなアクションスタイルを確立するなど、カンフー映画の誕生に貢献した。詳しくは前のページで解説。

▼大酔侠(画像クリックで商品詳細へ)

 

監督キン・フー氏はランラン・ショウ氏という企業家が立ち上げた香港映画会社「シヨウ・ブラザーズ」で「大酔侠」を撮影後、シヨウ・ブラザーズ社を去り台湾へ渡りました。

 

シヨウ・ブラザーズ社

ランラン・ショウ氏が立ち上げた香港の映画会社。後に「東洋のハリウッド」とも呼ばれる同社はカンフー映画の発展に大きく貢献した。詳しくは前のページで解説。

 

監督キン・フー氏の穴を埋めるべくシヨウ・ブラザーズ社は新たな才能ある監督を探し始めました。

そこで、1962年にシヨウ・ブラザーズ社へ入社していた新進気鋭のチャン・ツェー氏を監督へ抜擢しました。

 

チャン・ツェー氏(1923~2002)

香港・台湾の映画監督。カンフー映画などを多く手掛け、2002年に香港のアカデミー賞とも言われる「香港電影金像奨」にて生涯の功績を讃えられ「終身成就賞」を受賞。

 

彼は、「虎侠殲仇(フーシァジィェンチヨウ)」日本版(無し)英題(タイガーボーイ)(1966)という作品から武侠映画(ぶきょうえいが:武術に長け、義理を重んじる主人公の映画。詳しくは後述します)を手がけ、そこで一人のアクションスターであるジミー・ウォング氏と出会いました。

 

▼ジミー・ウォング氏

ジミー・ウォング氏について詳しくは第2章で!(このページは第1章)

 

ジミー・ウォング氏の黄金期

 

ジミー・ウォング氏との出会いから監督チャン・ツェー氏は、自身の剣劇映画(簡単に言えば剣で戦う映画)における理想を具現化する映画の製作に取り掛かりました。

そして打ち出したのは、ジミー・ウォング氏扮する片腕の剣士が主人公の「片腕必殺剣」(原題:獨臂刀(ドゥビーダオ))(1967)です。

 

▼「片腕必殺剣」(画像クリックでDVD詳細へ)

 

この映画は空前のヒットを記録し、ジミー・ウォング氏を一夜にして香港映画界トップスターへと押し上げました。

 

 

その後も、監督チャン・ツェー氏は「大刺客」、「大女侠(原題:金燕子(ジンイェンズー)英題:ゴールデンシャロウ)」などのジミー・ウォング氏を主演とする作品を次々と撮影し成功を収め、シヨウ・ブラザーズ社をアジア最大の映画会社へと成長させていきました。

 

▼大刺客(画像クリックでDVD詳細へ)

▼大女侠(画像クリックでDVD詳細へ)

 

また、ジミー・ウォング氏も迫力あるアクションと悲壮感あふれるヒーロー像で観客を魅了し、「天皇巨星(てんのうきょせい:天皇級のビッグスターの意)」と呼ばれる香港随一のスーパースターとなりました。

 

俳優であるジミー・ウォング氏もまた、これまでの刀剣アクションが中心であった剣劇映画(詳しくは後述)に見切りをつけます。

そこで突き・蹴りを中心とする拳脚(けんきゃく)アクションである「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」(1969)で自ら監督を務め、1970年代に香港を席捲するカンフー映画ブームのきっかけを生み出しました。

 

▼「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」(画像クリックでDVD詳細へ)

 

このようにして武侠映画がだんだんと現在でよく観られるようなカンフー映画の形になっていくのでした。

 

【ちょっと補足コーナー】剣劇映画・武侠映画とは?

武侠映画とは

 

「カンフー映画」は原則として身体の技が見どころになるのに対し、「武侠映画」は主に刀剣を使ったアクションが見どころとなる映画です。

※武侠映画は「武術に長け、義理を重んじる主人公の物語」を定義とする場合もあります。

時代設定はざっくりですが、武侠映画の場合「秦の始皇帝時代から明朝、清朝」くらいまでの長い時代にわたっており、カンフー映画は「清朝末期から中華民国期」あたりに集中しているものが多いです。

 

 

剣劇映画とは

 

中国における剣劇映画とは、平たく言うと剣や槍などの武器を使った戦い(剣客、チャンバラ)による時代劇のことです。

剣劇映画は武侠映画も指しており(武侠映画の中でも剣客ものの映画を特定した呼び方だと私は解釈しています。)カンフー映画とは区別されています。

 

 

1960年代~1970年代において、シヨウ・ブラザーズ全盛期にキン・フー氏やチャン・ツェー氏を監督とした多くの作品が生み出されました。

(具体的な映画で言いますと、既にご紹介した通り「大酔侠」(’66)、「片腕必殺剣」(’67)になります。)

 

ちなみに、ここで言う剣劇映画の武器は、ヌンチャクやトンファー等、ブルース・リー氏らが使ったカンフー映画で見られるようなものは含まれておらず、刃物が付いた刀の類の武器を意味しています。

 

▼ブルース・リー氏とヌンチャク

▼トンファー

 

当時は中国の人気のある大衆小説(「武侠小説」とも言われます)を原作とした、英雄が剣で敵を倒して活躍する剣劇映画が主流となっていました。

 

そこへジミー・ウォング氏がそれまで主流であった剣を使ったアクションから、中国拳法と空手による素手での格闘を中心とした「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」(’69)を打ち出し、カンフー映画ブームの基礎を築いたと言われています。

その後、ブルース・リー氏やジャッキーチェン氏のようなカンフー映画の全盛期が到来しましたが、1980年代~1990年代には、清朝の時代の短編小説が原作の「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(’87)や中国の小説家・金庸の武侠小説を原作とした「スウォーズ・マン」シリーズ(’90~)がヒットし注目されました。

 

▼チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(画像クリックで商品詳細へ)

▼スウォーズ・マン(画像クリックで商品詳細へ)

 

2000年代に入ると「グリーンディスティニー」(’00)、「HERO」(’02)、「LOVERS」(’04)などの武侠映画が欧米諸国でもヒットし、再び脚光を浴びました。

 

▼グリーンディスティニー(画像クリックで商品詳細へ)

▼HERO(画像クリックで商品詳細へ)

▼LOVERS(画像クリックで商品詳細へ)

 

以上、ジミー・ウォング氏が活躍した時代のカンフー映画の歴史でした。次のページでは日本でもブレイクしたカンフー映画スター俳優の1人「ブルース・リー」氏が活躍した時代のカンフー映画について解説していきます。

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第1章 カンフー映画とは

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ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

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第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

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このページから第1章。第1章ではカンフー映画とは何か、そしてカンフー映画の歴史について解説をしていきます。

このページでは「カンフー映画とはどのような映画か」をお伝えするとともにカンフー映画の始まりについて解説をします。

 

▼カンフー映画の歴史概要(リンククリックorタップで該当ページへ)

時代 主な出来事 主な俳優・女優
カンフー映画の始まり(当ページ) シヨウブラザーズ社の設立 チェンペイペイ
ジミー・ウォング時代 剣劇から拳脚アクションへ ジミー・ウォング
ブルース・リー時代 ゴールデンハーベスト社設立 / ブルース・リーの死 ブルース・リー
ジャッキー・チェン時代① 「蛇拳」「酔拳」ヒット ジャッキー・チェン
ジャッキー・チェン時代② ジャッキー・チェン略奪事件 / 「プロジェクトA」ヒット ジャッキー・チェン / サモハン / ユン・ピョウ
次世代スター時代 「少林寺」「イップマン」ヒット ジェット・リー / ドニー・イェン

 

カンフー映画とは

 

日本のアクション映画は、古くは時代劇で剣術の殺陣(たて)や任侠ものが中心でした。

 

殺陣(たて)や任侠もの

殺陣(たて)とは剣などの武器を使った演技。

▼殺陣の様子

任侠ものの映画とは「仁義なき戦い」に代表されるようなやくざ社会を描いた映画のジャンルを指す。

▼仁義なき戦い(別Webonで解説してます)

 

またアメリカでは、銃社会という背景が影響力として働いており、ハードボイルかつスタイリッシュなガンアクションが想起されます。

 

一方、カンフー映画とは1960年代の中国・香港で生まれ、

俳優の身体能力を最大限に生かした肉体技が繰り出されるアクションシーンが特徴的な映画

の事を指します。

ストーリーは復讐や敵討ちのものが多く、その多くは誰が観てもわかりやすく飲み込みやすいものばかりです。

 

▼アクション映画の特徴(国別)

香港 日本 アメリカ
特徴 俳優の肉体技が中心 殺陣や任侠もの ガン(銃)アクション

 

カンフー映画の俳優

 

カンフー映画のスター俳優と言えば、ブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏。

今や日本の誰もが知っている代表的なアクション俳優です。

 

▼ブルー・スリー氏

ブルース・リー氏について詳しくは第2章で!(このページは第1章)

▼ジャッキー・チェン氏

 

カンフー映画は、主人公や登場人物が

「武術(多くは中国拳法)によって鍛え抜かれた肉体技を、いかに魅力的に見せるか」

が重要視され、映画の中で一番の見どころとされています。

 

「俳優が武術をする」というよりは、「武術家が演技をする」と表現したほうがしっくりくるジャンルです。

 

ただ、中には例外もあり「グランド・マスター」(2013)という作品において、俳優のチャン・チェン氏は「八極拳(カンフー拳法の一種)の遣い手」という役作りのために、伝統武術である八極拳を3年がかりで体得しました。

そしてなんと2012年には、中国吉林省(きつりんしょう)で行われた八極拳の全国大会において彼は優勝を果たしました。

これは、俳優が映画を通じて武術家になった一例です。

 

チャンチェン氏(1976~)

台湾出身の中国で活躍する俳優。主な出演作品に「レッドクリフ」など。2014年には監督業にも挑戦した。

▼チャン・チェン氏

photo by Sry85 CC 表示 2.5

▼グランド・マスター(画像クリックで商品詳細へ)

 

カンフー映画の始まり

 

カンフー映画が生み出された1960年代後半の香港は、文化大革命の影響により、社会状況は混乱した状態でした。

 

文化大革命

1966~1977年に終結宣言が行われるまで行われた中国の革命運動。国家主席の座を譲った前国家主席の毛沢東氏が復権のために学生などを煽動し、政府に対する暴力的な運動などが繰り返し行われた。

▼毛沢東氏

photo by Zhang Zhenshi CC 表示 2.0

 

文化大革命は経済に甚大な被害をもたらし、社会的不公平と貧富の差が生まれていました。

過酷な社会情勢下で、いかにお金をかけずに自力でビジネスを成功させるか。どのようにして日々食べていくかについて誰もが知恵を絞っていた時代です。

生活が懸かっていたからこそ、彼らのその熱意は並々ならぬものでした。

 

1958年に香港の企業家ランラン・ショウ氏が立ち上げた香港映画会社「シヨウ・ブラザーズ」は、文化大革命下で弾圧を受けていた中国の伝統音楽劇である「京劇映画」に見切りをつけます。

 

▼ランランショウ氏

京劇

京劇は歌、舞踊、セリフ、アクロバティックな立ち回りから成る中国の総合芸術であり、オペラやミュージカルに近い音楽劇です。

役者のきらびやかな衣装や派手な化粧に訓練された演技力、そして中国の伝統的な民族楽器の生演奏が舞台を華やかに盛り立てます。

起源は1790年「清」の時代、皇帝である乾隆帝(けんりゅうてい)の80歳を祝う為に安徽省(あんきしょう)の地方劇の4つの劇団が北京に進出し、大人気を博して定着したとされています。その後、他の地方劇や民間芸能の影響も受け、徐々に「京劇」の形を整えていきました。そして宮廷の支援を受けながら庶民層にも愛されて、首都・北京に君臨するようになりました。

▼京劇の様子

photo by d’n’c Some rights reserved

 

そしてシヨウ・ブラザーズ社は若者に支持され始めていた、話し言葉調の広東語映画界のカンフー映画に進出し始めました。(広東語は中国の広州や香港などで使われる言語)

 

▼広東語が使われている広州市と香港

 

1965年にシヨウ・ブラザーズ社は「邵氏影城(シャオシーインチォン)」と呼ばれる巨大スタジオを香港・清水湾に建設します。

 

▼邵氏影城

photo by Baycrest CC 表示-継承 2.5

▼邵氏影城の場所

 

そして30年間の間に700本の映画を製作し、多くの名監督・名優・名作を輩出し、香港映画の黄金時代を築き上げました。

この頃のシヨウ・ブラザーズ社は「東洋のハリウッド」と呼ばれました。

 

 

シヨウブラザーズ社のヒット作

 

シヨウ・ブラザーズ社が大きく成功を収めた代表作は「大酔侠(だいすいきょう)」(1966)でした。

 

大酔侠(1966)

上海出身の女優チェン・ペイペイ氏扮する女剣士が主役の京劇要素が入った映画。

▼大酔侠(映っているのがチェン・ペイペイ氏)

 

その大酔侠を撮影した監督、キン・フー氏は若い頃から中国の伝統音楽劇である京劇に傾倒(けいとう:ある物事に熱中する事)しており、この大酔侠では「剣劇映画(けんげきえいが)」(剣を用いた戦いをする映画)に「京劇」の要素を取り入れて脚色しました。

 

※イラストはイメージです

 

例えば、相手の体から刀を抜くと血がビュウッと吹き出たり、腕が切り落とされたりという残酷描写が演出として加えられました。

そしてこのような本格的な「剣術アクション」と「素早い編集」が融合する事によって、「京劇アダプテーション」と呼ばれる新しいアクション映画のスタイルを打ち出しました。

 

 

この「大酔侠」という作品は香港・東南アジアで驚異的にヒットし、監督による演出がいかに意味を有するかということを知らしめることになりました。

 

そしてこの成功などをきっかけに、シヨウ・ブラザーズ社は後に世界的に有名になる『カンフー映画』と呼ばれるジャンルの作品を次々に製作し「香港映画=カンフー映画」という認識が定着しました。

 

カンフー映画とは何か、カンフー映画がどのように始まっていったのか、お分かりいただけましたでしょうか。

次のページからはカンフー映画の現在までの変遷、カンフースター俳優たちの活躍した時代を紹介していきます!

次のページではカンフー映画界のレジェンド「ジミー・ウォング」氏が活躍した時代を解説していきます。

『カンフー映画入門』目次へ  (全38ページ)

 

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目次著者

はじめに

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

お問い合わせはこちらから

カンフー映画入門 ~観れば観るほど強くなる!?~

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。お問い合わせはこちらから

 

 

カンフー映画を見たことがありますか?カンフー映画とは香港で発展した映画で、「俳優が武術をやっているのではなく一流の武術家が演技をしているのである」と著者は言います。

カンフー映画に既にハマっている方もまだの方も「カンフー映画入門 ~観れば観るほど強くなる!?~」で是非カンフー映画を観て、もっと楽しんでください!

 

~~カンフー映画はスター達と共に、どのようにして生まれ、現在に至るまでにどのように進化を遂げていったのか。そして、多くの人が虜になってしまうほどの魅力とはどこからやってくるのか。カンフー映画の歴史や作品、スター達を取り上げつつ、その真相に迫ってみたいと思います。~~
はじめに「はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~」より

 

はじめに

日本でもブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏といった名前は知っている方がほとんどでしょう。彼らは「カンフー映画」のスターなのです。カンフー映画に興味を持ったあなた、まずは「カンフー映画にハマってカンフーを始めてしまった」という著者のカンフー映画に対する意見を聞いてみましょう!

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

 

1章 カンフー映画とは

カンフー映画とはどのような映画なのか。そして伝統のあるカンフー映画の歴史を知る事でカンフー映画をより楽しむ事ができます!是非ここでカンフー映画の基礎・歴史について学びカンフー映画を深くまで楽しんでください!

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

 

2章 カンフー映画スター俳優9選

過去から現在に至るまでカンフー映画のスターはそれぞれ個性を発揮してきました。これだけは知っておきたい!というスター9人を著者が厳選して紹介します!

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

 

第3章 カンフー映画を観る方法

最近では動画配信サービスが充実してきた為自宅ですぐに映画を観られるようになりました。どの動画配信サービスがカンフー映画の取り揃えが良いのか、そして著者はどのようにしてカンフー映画を観ているのか、徹底解説します!

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

 

第4章 おすすめカンフー映画13選

ここでは著者おすすめのカンフー映画を13作品ご紹介いたします!見どころから裏話まで、メジャーな楽しみ方からマニアックな楽しみ方までを解説!

これを読んでお気に入りのカンフー作品を見つけてください!

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

 

第5章 カンフー映画の寄り道話

カンフー映画は様々な方面から見てみても面白いものです。ここではスターの少年期や女性カンフー映画スター、そして日本のアクションスターをご紹介!読めばあなたもカンフー映画通!?

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

 

第6章 カンフーを習おう!

カンフー映画を観たらきっとカンフーを習いたくなるはず!何を隠そう著者もカンフー映画を観てカンフーを習ったそうです。是非こちらで「カンフーとは何か」を知り、実際に体を動かしてみてください!!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

 

【カンフー映画の取り揃えが豊富なのは「TSUTAYA TV」&「TSUTAYA DISCAS」!】