東京のおすすめ落語スポット7選 【寄席の鑑賞方法②】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

落語初心者入門はこちらから!

著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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落語の一番の醍醐味は、寄席などでプロの落語家の高座(落語の公演)を観ることです。

この第3章では【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】と3ページにわたって寄席の鑑賞方法をお伝えしております。

このページでは東京都内のおすすめ落語スポットを紹介しますので、ぜひ足を運んで生の落語を楽しんでみてください!

 

落語定席

 

1年365日、毎日落語を聴くことができる演芸場のことを「落語定席(らくごじょうせき)」と言います。

東京には定席が4つしかありません。

以下に東京の4つの定席である「浅草演芸ホール」「鈴本演芸場」「新宿末廣亭」「池袋演芸場」を紹介します。

演芸場ごとに演目や出演する演者の違いは、ほとんどありません。

私は明確な使い分けは特になく、その時の気分であったりその演芸場の近くに行ったついでに行く、といった感じです。

 

【編集部コラム】ほろ酔いで見る落語
以下で紹介する定席は全て飲食オーケーです。また「浅草演芸ホール」「鈴本演芸場」に関してはアルコールを飲みながら落語を観ることができます。アルコールを飲みながら、ほろ酔い状態で落語を観て笑っている瞬間は著しく幸福度が高いです。おつまみには音が出て迷惑にならないように「乾き物」がおすすめです。

 

浅草演芸ホール

 

東京オリンピックが開催された昭和39(1964)年に「浅草フランス座」を増築してつくられた演芸場です。

東京にある寄席の中で国内外の観光客が最もたくさん訪れ、活気のある寄席で連日賑わっています。

売店では、弁当や飲み物、お菓子などを販売しており飲食しながら落語を楽しむこともできます。(お酒を飲むのもOKです)

浅草演芸ホールや落語芸術協会のオリジナルグッズや、人気番組『笑点』のグッズも販売しているので、記念にそれらのグッズを買ってみるのも楽しいと思います。

 

また、浅草園芸ホールは初心者におすすめの演芸場です。

浅草という場所柄、最も古き良き演芸場の雰囲気を味わうことができます。街全体も楽しい雰囲気ですので初心者の方も気軽に足を運びやすいと思います。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 浅草演芸ホール
料金 大人:2800円(3000円)
学生:2300円(2500円)
子供(4歳以上):1500円(1500円)
※()は特別興行の価格。また、団体割引もございます。以下の料金は夜割18:00~、19:00~
大人:2300円、1800円
学生:1800円、1500円
子供:1300円、1300円
公演時間 昼の部:11時40分~16時30分
夜の部:16時40分~21時00分
定休日 年中無休
公式ホームーページ http://www.asakusaengei.com/ticket/#ticket1
電話番号 03-3841-6545
所在地 ・東京都台東区浅草1-43-12 (六区ブロードウエイ 商店街中央)
・浅草駅から徒歩5分
飲食 可能(アルコールもOK)

 

鈴本演芸場


photo by User:Kentin  CC 表示-継承 3.0

 

鈴本演芸場は、東京の落語定席で最も歴史のある演芸場で、母体となった「軍談席本牧亭」という講釈場が誕生したのが安政4年(1857)です。

開席160年以上という伝統ある演芸場は独自の雰囲気を醸し出しており、そこで聴く落語は何とも言えない極上の味わいがあります。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 鈴本演芸場
料金 一般:2800円
学生:2500円(中学生以上、24歳まで・要学生証提示)
子供:1500円(未就学児はご入場不可、小学生のみ)
公演時間 昼の部:12時開場、12時30分開演~16時30分終演
夜の部:17時開場、17時30分開演~20時40分終演
※昼夜完全入替制
定休日 12月29日~31日
公式ホームページ http://www.rakugo.or.jp/annai.html
電話番号 03-3834-5906
所在地 ・東京都台東区上野2-7-12
・JR御徒町駅北口より徒歩5分/JR上野不忍口より徒歩10分
飲食 可能(アルコールもOK)

 

新宿末廣亭

 

居酒屋やバーが軒を連ねる新宿三丁目に佇む江戸情緒たっぷりの建築物。それが新宿末廣亭です。

1897年に創業した「堀江亭」を1910年に浪曲師・末広亭清風が買い取って「末廣亭」と改名したのが始まりです。

当時は明治通りに面した繁華街にありましたが戦争で焼失し、昭和21年に現在の場所に再建されました。末廣亭は現存する最古の木造建築の寄席でもあります。

 

毎週土曜の夜に開催されている若手の落語家による「深夜寄席」も人気です。通常の興行の木戸銭(入場料)は3,000円ですが、こちらは1,000円という手ごろな価格で落語を楽しむことができます。

仕事帰りにふらりと訪れてみるのも良し、寄席が終わったあとに飲みに行くのも良し。いろいろな楽しみ方ができる演芸場です。友達と行くにはおすすめです。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 新宿末広亭(新宿末廣亭)
料金 一般:3000円
シニア(65歳~):2700円
学生:2500円
小学生:2200円
友の会会員:2500円
平日一般三十名以上:2700円
公演時間 昼の部:12:00~16:30
夜の部:17:00~21:00
入場可能時間:11:00~19:45
定休日 12月30日、31日
公式ホームページ http://www.suehirotei.com/guide.html
電話番号 03-3351-2974
所在地 ・東京都新宿区新宿3丁目6
・地下鉄丸ノ内線・新宿線新宿三丁目駅より徒歩1分
飲食 可能(アルコールNG)

 

池袋演芸場

 

1951年創業の池袋演芸場。1990年から改築による約3年の休業を挟んで、1993年から再開。

会場が地下に移されたことによって唯一地下にある定席になりました。

また、全て桟敷席(ざじきせき:一段高く作られた板の間の席)でしたが、改装により椅子席に生まれ変わりました。

池袋演芸場は他の定席と比べて木戸銭の安さが特徴です。

 

▼料金比較表(特別料金や割引き除く)

演芸場 料金
池袋演芸場 一般:2500円
学生:2000円
子供:1500円
浅草演芸ホール 大人:2800円
学生:2300円
子供:1500円
鈴本演芸場 一般:2800円
学生:2500円
子供:1500円
新宿末広亭 一般:3000円
学生:2500円
小学生:2200円

 

また、浴衣&着物割引、学生服割引、シルバー割引などの各種割引もあります。

演者の持ち時間が長いことも池袋演芸場の大きな特徴です。出演者を絞ることでひとりひとりの持ち時間を長く設定しているそうです。

好きな落語家の噺をたっぷり聴きたいという人にはぴったりの寄席です。

 

詳細(料金・時間・場所)
演芸場 池袋演芸場
料金 ●1日~20日
一般:2500円
学生:2000円
子供:1500円
<特別割引>
○浴衣&着物割引:2000円
○学生服割引(中学生・高校生対象):1500円
○シルバー割引:65歳以上2000円(証明書提示)
○親子割引:子供料金が1000円になる。●21日~30日
・昼の部
一般/学生:2000円
子供:1500円
・夜の部
日毎に料金が変わる
○親子割引:子供料金が1000円になる
公演時間 ・上席(1日~10日)
昼の部:12時開場/12時30分開演
夜の部:17時開演/終演20時30分
※特別興行を除き、昼夜入替えなし
・中席(11日~20日)
昼の部:12時開場/12時30分開演
夜の部:17時開演/終演20時30分
※特別興行を除き、昼夜入替えなし
・下席(21日~30日)
昼の部:13時30分開場/14時開演
夜の部:17時30分開場/18時開演/20時30分終演
※昼夜入替えあり
定休日 12月29日~31日
公式ホームページ http://www.ike-en.com/index2.html
電話番号 03-3971-4545
所在地 ・JR池袋駅西口から徒歩3分
飲食 可能(アルコールNG)

 

筆者に聴きました!演芸場の疑問

デートで寄席を使うのはあり?

 

Q. デートで寄席を使うのはありでしょうか?また、もし行くとしたら付き合う前の方がおすすめでしょうか?

A. デートで寄席はありだと思います。タイミングも付き合う前でも後でもかまいません。

ただ気をつけたいのが「演目や演者によって初心者にはわかりにくい場合がある」ということです。

対処法の1つとしては林家たい平(はやしや たいへい)さんや柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)さんなど、初心者にもわかりやすい落語をやっている人の独演会(落語会)に行くという手があります。

 

▼林家たい平さん

▼柳家喬太郎さん

 

もう1つの対処法はある程度演目の知識を頭に入れてから行くという楽しみ方です。

あるいは古典落語ではなく「新作落語」を演じる落語家の落語会に行くのもありです。新作落語ならコントを観ている感で知識なしで楽しめ、とてもわかりやすいです。

特に落語初心者同士のカップルであれば新作落語を観に行くのはおすすめです。

 

おすすめの席は?

 

Q. それぞれの演芸場でおすすめの席位置はありますでしょうか?また、前・真ん中・後ろで違いはあるのでしょうか?前の方の席だと笑わなかったら落語家さんからいじられそうな気がするのですが・・・。

A. それぞれの演芸場のおすすめの席位置というのはありませんが、共通しているのは、前のほうの席であればより落語家の息遣いを感じられるのでおすすめです。

細かい表情も見やすいです。ただ前の席だといじられる可能性はありますので、それが嫌な人は避けたほうがいいでしょう(ほとんどいじられることはないですが)。

笑う笑わないというのは個人の自由なので、どの席であっても違いはありません。

 

初心者におすすめの落語スポット3選

 

仕事帰りや用事のついでにふらっと立ち寄りやすいおすすめの落語スポットを紹介します。

 

1 らくごカフェ

 

古本街として有名な神田神保町にある、神田古書センターの5階に位置するのが「らくごカフェ」です。

日中はカフェとして営業していますが、夜は落語会が開催されています。

出演者はベテランから若手落語家まで多彩。

客席が約50席と小じんまりした作りなので、落語家との距離が近く、その臨場感がクセになりますよ!

 

名称 らくごカフェ
料金 ・1200円~2500円程度(落語のチケット)
・コーヒー500円
時間 ・月曜~土曜日の11時~18時はカフェタイム
定休日 ホームページ要確認
公式ホームページ https://rakugocafe.exblog.jp/
問い合わせ メール:rakugocafe@hotmail.co.jp
電話:03-6268-9818
所在地 ・東京都千代田区神田神保町2-3 神田古書センター 5F
・都営三田線・都営新宿線・半蔵門線神保町駅A6出口より徒歩1分

 

2 渋谷らくご


(引用元:渋谷らくご公式ホームページ

 

「渋谷らくご」は、渋谷区にある映画館・ユーロスペース内にあるライブホールの「ユーロライブ」で開催されている落語会です。

初心者でも気軽に立ち寄れる落語会を目指し、お笑い芸人のサンキュータツオさんを運営者として起用して、2014年11月にスタートしました。

渋谷という場所柄もあり、客層は女子率が高いので、女性でも気軽に落語を観に行ける落語新スポットです。

 

名称 渋谷らくご
料金 1000円~2500円程度
時間 要確認
定休日 要確認
公式ホームページ http://eurolive.jp/shibuya-rakugo/
電話番号 0120-240-540
所在地 ・渋谷区円山町1-5 KINOHAUS
・渋谷駅より徒歩約10分

 

3 そらまち亭


(引用:そらまち亭公式ホームページ

 

スカイツリーのお膝元・東京ソラマチの7階にある、美味しい料理と楽しい落語が楽しめる居酒屋です。

店内に設置された高座で、ねぎし三平堂(初代・林家三平が遺した品々を展示している資料館)プロデュースの落語や漫才などの演芸を楽しむことができます。

どの席からも演芸が観られるようにテレビモニターが設置されているので、お酒や料理と一緒に、まるでスポーツバーのように演芸を楽しめます。

 

名称 そらまち亭
料金 1000円~5000円
時間 営業時間/11:00-23:00
寄席スケジュール/18:30~(約30分間)
定休日 年中無休
公式ホームページ http://solamachitei.jp/
電話番号 03-5809-7047
所在地 ・東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン ソラマチ7F
・東武スカイツリーライン とうきょうスカイツリー駅すぐ

 

以上、東京都内の落語が365日観られる寄席と初心者おすすめスポットでした。

次のページではおすすめの落語家を紹介します。どの落語家さんを観るか迷った時に是非、参考にしてみてください。

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【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

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落語が題材の映画・ドラマ3選 【自宅で落語鑑賞②】

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落語の楽しみ方は、落語そのものを観る・聴くだけではありません。

映画や小説など、落語を題材にした作品を観たり読んだりすることで落語の世界に触れるというのも、落語の楽しみ方のひとつです。

このページでは落語を題材にしたおすすめのエンタメ作品を紹介するので、ぜひ手に取ってみてください!

以下で紹介する作品は古典落語の知識が一切なくても楽しめる作品となっております。

 

おすすめの落語を題材にした作品3選

1 しゃべれどもしゃべれども

タイトル しゃべれども しゃべれども
公開年月 2007年5月26日
上映時間 109分
監督/脚本 平山秀幸/奥寺佐渡子
出演 国分太一/香里奈/松重豊/森永悠希/八千草薫/伊東四朗/など

「しゃべれどもしゃべれども」は佐藤多佳子さんの同名小説が原作。

 

▼小説「しゃべれどもしゃべれども」(画像クリックで商品詳細へ)

TOKIOの国分太一さん主演で映画化され、2007年に公開されて話題になりました。

 

あらすじ

 

主人公は東京の下町に住み古典落語を愛する、二つ目の落語家・今昔亭三つ葉(国分太一)。

 

▼写真右が国分太一、写真左は十河五月役の香里奈

 

落語家として伸び悩んでいた彼のもとに「落語を習いたい」「話し方を教えてもらいたい」という3人がやって来る。

口下手で無愛想な・十河五月(香里奈)、勝気ゆえにクラスになじめず大阪から引っ越してきた少年・村林優(森永悠希)、コワモテの元プロ野球選手・湯河原太一(松重豊)。

▼湯河原太一役の松重豊

 

クセのある生徒ばかりで顔を合わせると3人は言い争いが絶えず、肝心の落語も一向に覚えられない。

落語指南がうまくいかないうえに、片思いしていた女性が結婚することを知ってショックを受ける主人公三つ葉。

 

そこで「自分は落語が好きだ」と再認識した三つ葉は、師匠の十八番である古典落語の演目「火焔太鼓(かえんだいこ)」への挑戦を決意する。

徐々に落語を話せるようになっていく生徒たちと、「火焔太鼓」の成功(=上手く喋りきるのはもちろんですが、師匠の真似事ではなく、自分ならではの「火焔太鼓」を演じるということ)を目指す三つ葉。果たしてそれぞれの思いは伝わるのか・・・。

 

みどころ

 

まさに落語の登場人物のような、一癖も二癖もある人たちの奮闘が、心にグッとくる感動をもたらします。

 

落語好きから見た国分太一さんの落語

 

当ページで紹介する作品の中で、最もプロの落語家に近い落語を演じている俳優が国分さんだと思います。正直、その上手さに驚きました。

笑わせてやろうという気負いがなく、その張りのある声と端正な語り口が光る「火焔太鼓」は思わず聴き入ってしまいます。

前半の下手に演じる落語と、クライマックスの「火焔太鼓」のレベルの落差に注目です。最後の「火焔太鼓」は圧巻の一言です。

 

 

2 ねぼけ

(引用元:http://neboke.info/)

タイトル ねぼけ
公開年月 2015年9月5日
上映時間 111分
監督・脚本 壱岐紀仁
出演 友部康志/村上真希/入船亭扇遊/大竹佳那/秋山勇次/など

▲予告編

 

「ねぼけ」は、クラウドファンディングの成功によって完成した映画です。

2017年にモントリオール世界映画祭で絶賛され、現地でアンコール上映を果たすほど話題となった映画です。

 

あらすじ

 

酒や女にうつつを抜かす、うだつのあがらない落語家・三語郎(友部康志)。

落語に本気になれず、自堕落な日々を送る三五郎は、当然稼ぎもない。

 

健気に三五郎を支える恋人の真海は三五郎との結婚を願っているが、二人の気持ちはすれ違うばかりでうまくいかない。

師匠である点雲も心配して叱咤激励するが三語郎には届かず、逃げまくったあげくに弟分の彼女にまで手を出してしまう。

 

何もかも思い通りにいかないことに苛立ちを募らせた三五郎は真海に当たってしまい、あまりのショックに真海は三語郎の前から忽然と姿を消してしまう。

失って初めて真海の存在の大切さに気づき、覚悟を決めて彼女の故郷へ向かう。

 

そして三五郎は神話の伝わる海辺で真海の秘められた過去を初めて知ることになる・・・。

 

みどころ

 

観ていて三語楼のあまりのダメ人間ぶりに腹が立ったのですが、その姿がどこか自分と重なり胸が締めつけられました。

人間は誰もがダメな部分を抱えながら必死で生きていて、周りの人に迷惑をかけてしまってどうしようもないんだけれど「それはそれで良し」という優しい落語の世界観に癒される作品。

「ねぼけ」は師匠役の入船亭扇遊さんの落語が見せ場なので、主役の友部さんによる落語の見せ場は特にありません。

ただ友部さんの愛嬌のあるしぐさや表情は抜群で、滑稽噺をやらせたらプロの落語家も顔負けの落語を披露するのではないかと思いました。

 

3 タイガー&ドラゴン

タイトル タイガー&ドラゴン
放送時間 金曜日22:00~22:54
放送期間 2005年4月15日~6月24日(全11回)
脚本 宮藤官九郎
出演 長瀬智也/岡田准一/西田敏行/銀粉蝶/安部サダヨ/など

 ※以上は2005年に放映された連続ドラマの詳細

 

『タイガー&ドラゴン』は、TOKIOの長瀬智也さんとV6の岡田准一さん主演のテレビドラマで、脚本はクドカンこと宮藤官九郎さんが担当。

ヤクザ兼落語家の男と元天才落語家の男。超個性的な2人を中心に展開する人情コメディの傑作です。

 

あらすじ

 

ヤクザの山崎虎児(長瀬智也)は子供の頃に両親が借金苦で自殺したことで「笑い」を忘れてしまった。

 

▼写真左、山崎虎児役の長瀬智也。写真右、谷中竜二役の岡田准一

 

ある日虎児は、浅草で落語家・林屋亭どん兵衛(西田敏行)の高座を偶然聴いて感動し、弟子入りを志願する。

 

▼林屋亭どん兵衛役の西田敏行

 

虎児が所属する組の組長から400万円の借金をしていたどん兵衛は虎児が落語の演目をひとつ習得するごとに10万円の授業料をもらい、それを「返済金」として虎児に支払うという奇妙な契約を交わす。

 

 

落語家とヤクザという二足のわらじを履く生活を始めた虎児だが、とにかく笑いの才能がなくてどうにもならない。

 

そんなとき、かつて落語の天才と呼ばれたどん兵衛の次男・谷中竜二(岡田准一)と出会う。

竜二はとある事件がきっかけで落語家を廃業し、今は裏原宿で売れない洋服店「ドラゴンソーダ」を経営しているが落語の腕は衰えていない・・・。

 

みどころ

 

どん兵衛が寄席の高座で演じる落語の演目と、リアルの話がうまくリンクするという構成が実に秀逸で落語のおもしろさとドラマとしてのおもしろさの両方を味わえる作品です。

落語をモチーフにした作品の中では、個人的には『タイガー&ドラゴン』が一番おすすめの作品です!

タイガー&ドラゴンは古典落語を好きになれる内容だと思います!

 

落語好きから見た長瀬智也さんと岡田准一さんの落語

 

岡田さんの落語は普通ですが、長瀬さんの落語はヤクザという役柄もありますが迫力が圧倒的です。長瀬さんならではの「眼ヂカラ」で、登場人物それぞれにパワーが宿り、子供を演じても女性を演じても、長瀬さんの独特の男らしさが反映されているところが非常に興味深くて面白いです。

決して器用な落語ではありませんが、落語界に生きる人々が実にイキイキと描写されているところは必見だと思います。プロの落語家でもなかなかこの迫力は出せないのではないでしょうか。

 

 

この第3章では落語の鑑賞方法についてお伝えしてきました。寄席で生の醍醐味を感じていただきたいですが、まずは気軽に自宅で楽しんでみてはどうでしょうか。

次のページから第4章です。第4章では落語の名人を紹介します。

落語は同じ演目でも演じ手によって全く違うものに見えます。ぜひ、お気に入りの名人の方を見つけてみてください。

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おすすめ落語CD・アプリ・ストリーミング 【自宅で落語鑑賞①】

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ここまでのページでは寄席での鑑賞方法についてお伝えしていきました。

落語の楽しみ方でおすすめなのは寄席や落語会に行くことですが、それ以外にも楽しむ方法はあります。

寄席や落語会に観に行くのはまだちょっとハードルが高いなぁ・・・という方、まずは動画や音声で落語に触れてみてください。

今回は自宅で気軽に落語を楽しむ方法を紹介します!

 

アプリ

 

落語を最も手軽に楽しむ方法は落語アプリだと思います。スマートフォンやタブレットなどの端末で、いつでもどこでも落語を楽しむことができます!

 

Spotify(スポティファイ)


(引用元:https://www.spotify.com/jp/)

 

『Spotify』は音楽ストリーミング配信サービスですが、落語のコンテンツも充実しているのでおすすめです。

立川志らく(たてかわ しらく)、春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)、三遊亭白鳥(さんゆうてい はくちょう)、など、今をときめく落語家のラインナップが豊富なのが特徴です。

 

▼立川志らく

▼春風亭一之輔

▼三遊亭白鳥

 

Spotifi公式サイト

 

Audible(オーディブル)


(引用元:https://www.audible.co.jp/)

 

ベストセラー小説からビジネス書、英字新聞まで、20以上の豊富なジャンルを音声で聴ける定額制サービスで、落語作品も数多く収録しています。

人間国宝・五代目柳家小さん(やなぎや こさん)さんも収録。

 

▼五代目柳家小さん

五代目柳家小さんについては第4章で解説!(現在は第3章)

昭和の大名人・五代目古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)も収録されています。

 

▼五代目古今亭志ん生

五代目古今亭志ん生については第4章で解説!(現在は第3章)

 

名だたるレジェンドたちの演目が手軽に聴けます。

 

▼audible公式サイト

 

CD・DVD

 

古典落語の楽しみ方のひとつとしておすすめしたいのは、1人の落語家を掘り下げていくことです。色々聴いていく中で「これは!」 と思う落語家をピックアップして、その落語家の高座を集中的に聴いていくというやり方です。

そんな一人の落語家を集中的に聴いていくというやり方や、亡くなっている昔の名人の大全集系を聴く場合などにはCD・DVDが最適です。

ここではおすすめのCD・DVDを2人の落語家さんと共に紹介します。

 

三代目古今亭志ん朝

 

私が特におすすめしたいのは、三代目古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)さんです。

昭和最後の名人と呼ばれる志ん朝さんは、軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ:会話の運びが軽快で洗練されていること)な江戸弁が魅力の落語家。

テンポの良さと絶妙な間で醸し出すおかしみは天下一品です。

落語初心者でも安心して聴けるわかりやすさとおもしろさを兼ね備えた落語家なので、その奥深さをぜひ味わってみてください。

 

▼【筆者おすすめ】志ん朝三十四席 DVD全8枚+CD全5枚

 

志ん朝さんの詳しい解説は第4章にて!(現在は第3章)

 

林家たい平

 

とにかく落語初心者におすすめしたいのは林家たい平さんです。

人気演芸番組『笑点』でお馴染みのたい平さんですが、古典落語をこれほどわかりやすく演じてくれる落語家は他にいないのではないでしょうか。

「小学生にもわかりやすい古典落語」を目指し、子どもの前で落語をすることも多いたい平さん。

そんな大人も子どもも聴いて楽しめるわかりやすいたい平さんの落語なら「難しくてよくわからない」と投げ出すことはないと断言できます。

ぜひ古典落語入門のバイブルとして、たい平さんの落語を聴いてみてください!

 

▼【筆者おすすめ】林家たい平落語集 たい平のはじめの一歩[CD]

また、たい平さんは、古典ではないですが「ドラえもん」の人気エピソードを落語にした『ドラ落語』というユニークなDVD も出しており、そちらも落語の新たな魅力を教えてくれる作品としておすすめです!

 

▼【筆者おすすめ】林家たい平の『ドラ落語』[DVD]

 

落語の楽しみ方は「落語そのもの」を観る・聴くだけではありません。「タイガー&ドラゴン」など落語を題材したエンタメ作品もおすすめです。出演者の方が演じる落語の上手さには驚きます。

次のページではそんな「落語を題材にした作品」のおすすめをご紹介していきます。

『落語初心者入門』目次へ  (全23ページ)

 

【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

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江戸落語と上方落語の5つの違い

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落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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落語は「江戸落語」「上方落語」で分けることができます。

両者の違いを知ることで「言葉遣い」や「演出の違い」を比較して楽しんだりすることができます。

例えば同じ内容の演目でもタイトルが違ったりします。

江戸落語では「時そば」と呼ばれる演目も、上方落語では「時うどん」になります。そして、落語中に行う「そば」と「うどん」のすすり方の動作が違うのです。

 

▼江戸と上方の違い一覧

江戸落語 上方落語
発祥地 江戸 関西(上方)
階級制度 見習い→前座→二つ目→真打ち なし
言葉 江戸弁 関西弁
道具 扇子・手ぬぐい 扇子・手ぬぐい・見台・ひざ隠し・小拍子
噺の演出の特徴 特になし ハメモノが入る演目が多い

 

江戸落語と上方落語の5つの違い

① 生まれ

 

江戸落語は、その名の通り江戸で生まれた落語です。

上方落語は、主に大阪で生まれた落語です。

 

上方落語は元禄期(1688年~1704年)頃に、京に露の五郎兵衛(つゆのごろべえ)、大坂に米沢彦八(よねざわひこはち)という人が現れ、神社の境内などで滑稽な話を披露するなどして活躍したのが始まりといわれています。

 

 

現在は京都の落語が衰退しています。

そのため、主に大阪で上演される落語のことを「上方落語」と呼ぶのです。

昔は「大阪落語」や「京都落語」と呼ばれていて、地域によって名称が違っていたようです。

 

上方落語は明治期に隆盛を迎えますが、昭和初期にはお笑い事務所である吉本興業の影響もあり演芸界が漫才中心となり落語人気にかげりが見え始めます。

戦後は上方落語を支えた人気落語家が相次いで亡くなると、落語の衰退が顕著になり「上方落語は滅んだ」ともいわれました。

しかし昭和末頃になると「六代目笑福亭松鶴」「三代目桂春團治」「三代目桂米朝」「五代目桂文枝」の4人が「上方落語の四天王」と呼ばれるようになり、上方落語の人気を復活させます。

 

▼六代目笑福亭松鶴

▼三代目桂春團治

▼三代目桂米朝

▼五代目桂文枝

現代の上方落語で主力を担うのは「桂一門」と「笑福亭一門」で、この2つの一門からは寄席だけでなくテレビでも活躍する多くの人気落語家たちが輩出されています。

 

② 階級制度

 

前ページの“落語家の階級”でも紹介しましたが、落語家には「真打」「二ツ目」「前座」という階級があります。

 

▼落語家の階級

 

ただしこれは江戸落語界だけの制度で、上方落語にはありません。

以前は上方落語にも「真打制度」はあったようですが、上方落語ブームが起こった昭和40年代に、その機能が事実上ストップしてしまいました。

現在は落語家内部の序列を表す「香盤」という仕組みが真打制度の代わりとなっており、基本的には芸歴によってそのランクが決まっているようです。

 

③ 言葉

 

基本的に江戸落語では江戸弁、上方落語では関西弁が使用されます。

ただ上方落語では登場人物によって「大阪言葉」や「京言葉」を使い分けることがあるといいます。

江戸落語では関西の言葉を喋る人物が登場する噺も多いため、江戸落語の落語家が関西弁を喋る機会もありますが、上方落語では江戸弁を喋る機会は多くはないようです。

そのため、関西出身ではない落語家が上方落語を覚えようとすると、関西弁から学ぶ必要があるため、苦労する人も多いといわれています。

 

④ 使用する道具

 

江戸落語も上方落語も、共通して使用する道具は、扇子と手ぬぐいです。

 

 

江戸落語では基本的にその二つの道具を使いながら、身振り手振りで描写をします。

 

ただ、上方落語には江戸落語で使用しない道具があります。

上方落語の場合は、まず落語家の前には「見台(けんだい)」と呼ばれる小さな机があります。見台の前には「ひざ隠し」と呼ばれる、落語家のひざを隠すための小さな衝立を置きます。

現代では、見台とひざ隠しの間にマイクを置いているそうです。

 

▼見台、および膝隠し。真ん中に黒い模様が書いてある方がひざ隠し。


photo by MASA CC 表示-継承 3.0

 

見台の上には「小拍子(こびょうし)」という道具が置いてあり、これで見台を叩いて音を鳴らして、場面転換を表現したり、戸を叩くときなどの効果音として使います。

 

 

⑤ 噺の特徴

 

江戸落語と違って上方落語では「ハメモノ」が入る演目が多くあります。

ハメモノとは「三味線や太鼓などの鳴り物を使用し、派手で陽気な雰囲気を出す演出方法」のことです。

旅の落語や歌舞伎を題材にした落語に入ることが多いです。

旅の落語「地獄八景亡者ノ戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」 では「その道中の陽気なこと」という台詞をきっかけに囃子(はやし)が入り、楽しくウキウキした気分を表現します。

歌舞伎が題材の落語「七段目」では、「やぁやぁ若旦那」というのが囃子のきっかけ台詞になります。しかし、人によって台詞が違ったり、噺によっても違うので、旅の落語の「その道中の~」のように定番の台詞はありません。

 

【編集部コラム①】関西の方が笑いに貪欲?
江戸落語は「しっかりと噺を聴かせる」スタイルで、人情の機微を描いた笑いを求める傾向にあると言われています。上方落語の方が、ストーリーが奇想天外であり派手で陽気、「笑わせる意識が強い」と言われています。ただ、現在は東西のボーダーレス化が進んでいるため両者の違いはないと言われています。

江戸落語 しっかりと噺を聴かせる。人情の機微を描いた笑い。
関西落語 派手で陽気。爆笑を取りに行く。
【編集部コラム②】演目の違い
冒頭でもお話した通り、同じ噺でも江戸と上方では少し違うケースがあります。

江戸では「時そば」で上方では「時うどん」になります。

「時そば」はタイトルが違うだけでなく、江戸の場合だとある男が勘定をごまかしてそれを見ていた他の人が真似して失敗するという流れになり、上方の場合だと兄貴分が勘定をうまくごまかしたのを見て弟分が真似して失敗するという流れになります。

また「たちぎれ」という噺は元々は上方落語ですが、今では東京に定着している演目です。江戸発祥の「酢豆腐」という噺は上方では「ちりとてちん」となっています。

 

東西のボーダーレス化

 

30年ほど前までは東京で上方落語を聴こうと思ったら、大物落語家が出演するホール落語や特別な落語会くらいしかなく、江戸落語を関西で聴く機会にいたってはほとんどありませんでした。

しかし今では、東京の寄席でも上方の落語家による高座を観られる機会も増え、東京の落語ファンも上方落語を楽しめるようになっています。

現代では、言葉の違いと落語に出てくる地名の違いくらいしかなく江戸落語と上方落語のボーダーレス化が進んでいるといえます。

 

以上、この章(第1章)では基礎知識についてお伝えしてきました。大分イメージが掴めてきたのではないでしょうか。

次の章(第2章)からは「初心者におすすめ古典落語11選」を紹介します。実際に古典落語の噺に触れて、聴きたい演目を見つけていただきたいと思います。

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落語家の階級

 

落語家には階級があります。

階級は「見習い」「前座」「二つ目」「真打ち」という順に昇進していきます。

 

このページでは、弟子入りからどのようの真打ちに昇進していくかを追っていき、階級ごとの役割などをお伝えいたします。

 

昇進の仕方

弟子入りする

 

落語家になるには特別な資格や試験などは必要ありません。

門戸は誰にでも開かれていますが、長い修行の期間があり落語家として精進を続けていく必要があります。

落語家になる道は、真打の落語家に弟子入りするところから始まります。

 

真打とは
寄席の最後の出番に出演できる資格を与えられた落語家。「師匠」という敬称で呼ばれ、弟子をとることが可能となる。三遊亭小遊三、林家木久翁、三遊亭好楽など笑点でお馴染みのメンバーも真打ち昇進を果たしている。

 

憧れている落語家、あるいは「この師匠は優しそうだから」など人によって師匠選びの基準は違いますが、まずは弟子入りしたい師匠を決めます。

(ちなみに上方(関西)の場合は階級制度がありません。そのため、上方ではある程度のベテランの師匠に弟子入りすることになります。)

 

そして、師匠の家を訪ねたり寄席の楽屋口で出待ちをするなどして、師匠に直接志願するのが一般的な弟子入り方法です。

家を訪ねた場合、その師匠の弟子に追い返されてしまうこともありますし、新しい弟子が入ることによって兄弟子は自分の仕事が減るので歓迎してくれる場合もあります。

弟子入り志願も「タイミングが大事」ということですね。

 

人によっては知り合いに紹介してもらう、というパターンもあります。

大学の落研(落語研究会)出身者であれば、すでに落語家として活躍している先輩に頼んで師匠を紹介してもらえることもあります。

 

 

見習い

 

晴れて弟子入りが許されたら落語家としての修行生活が始まります。

まずは「見習い」からスタートします。

入門して数ヶ月~1年くらいの間、師匠の家に通いながら掃除や洗濯などの家事をしたり、師匠のかばん持ちをしたりします。そうしてようやく前座になることができるのです。

 

昔は師匠の家に住み込んで修行をする「内弟子」が主流でしたが、今は住宅事情の違いなどもあって、「通い弟子」がほとんどです。

見習いのうちはまだ舞台に立つことはできません。

 

階級 見習い
舞台に立つ頻度 なし
昇進期間 数ヶ月~1年
やること 師匠の家に通いながら、掃除・洗濯などの家事、師匠のかばん持ちなど。

 

前座

 

落語家には大きく分けて「前座」「二ツ目」「真打」という三段階の階級制度があります。

見習い期間を経て前座になると、寄席の楽屋に入るようになります。楽屋というのは会場内にある演者のための控室のことです。

 

通い弟子は朝早くから師匠の家に行き、掃除や炊事などをこなしてから寄席へ出勤します。

寄席での前座の果たす役割は大きく、やることがたくさんあります。下記に一部記載しますが、数え上げればキリがありません。

 

▼前座がやること

楽屋に出入りする師匠たちの履き物の整理と管理/電話番/先輩たちへのお茶出し/着物をたたんだり着替えを手伝う/寄席では高座(寄席の舞台)進行の手伝い/太鼓などの鳴り物の演奏/高座へ出て行って座ぶとんを返す/メクリ(出身者の名前を書いた紙の札)を返す…

 

前座は毎日、師匠の家と寄席を行き来しながら落語漬けの日々を送り、落語を体に染み込ませるという修行期間なのです。

 

 

入門して数ヶ月すると前座として初高座に上がる(初めて舞台で落語を演じる)ことが多いですが、その判断は師匠次第なので「必ず数ヶ月で初高座に上がれる」というわけではありません。

ちなみに、前座は高座にあがって落語を披露できますがその頻度は人によって違います。また、前座の落語は一般的な寄席で見ることができます。

 

階級 前座
舞台に立つ頻度 たまに~毎日
昇進期間 3~5年
やること ・履き物の整理と管理、電話番、お茶出し、鳴り物の演奏、座ぶとん・メクリを返すなど。

・前座は毎日、師匠の家と寄席を行き来しながら、落語漬けの日々を送り、落語を体に染み込ませるという修行期間。

 

二ツ目

 

二ツ目になると、着物は前座時代の着流しではなく、自前の紋付き袴で高座に上がれるようになります。

 

▼着流し

▼紋付き袴

 

師匠の家や楽屋での雑用からも解放されますが、今度は自分で高座(寄席の舞台)の仕事を探す必要があります。

仲間と一緒に勉強会を開いたりしながら、先輩や寄席の支配人、テレビやラジオのプロデューサーから声をかけてもらえるように研鑽することが二ツ目の修行です。

芸を磨くだけでなく、自分の主催する落語会にお客さんを呼んだり、企業やお店などから仕事をもらう努力も必要です。

 

二ツ目は毎日楽屋へ行く必要がなくなるため、高座に上がる数も減ってしまいます。そのため、しっかりと噺の稽古をしなければライバルとの差は開く一方となります。

二ツ目の在留期間は10年~13年で、業界の事情によっては15年以上かかる場合もあるため、二ツ目の人数は決して少なくはありません。

しかし、ひとつの公演に二ツ目の枠をたくさん取ることはできないので、寄席への出演は狭き門となってしまうのです。

 

この二ツ目時代に怠けてしまって、落語家としてダメになっていく人もいます。

様々な苦労と努力を積み重ねながら芸の修行に励み、高座数をこなしながら己を鍛えていくのが二ツ目時代なのです。

この時期にどれだけ芸を磨きあげ、どんな方向性をつかむかで、真打以降の落語家人生に大きく影響するのです。

 

階級 二ツ目
舞台に立つ頻度 たまに~毎日
昇進期間 10~13年
やること ・自分で仕事を探す。

・仲間と一緒に勉強会を開いたりしながら、先輩や寄席の支配人、テレビやラジオのプロデューサーから声をかけてもらえるように研鑽する。

▼現在二つ目の立川吉笑さんのインタビュー映像

 

真打

 

真打とは、寄席の最後の出番(トリ)に出演できる資格を与えられた落語家です。

落語家の目標のひとつは真打になることですが、「ここからがスタート」と考える人がほとんどです。

現在、落語界には、落語家が所属する団体(協会)が5つありますが、真打への昇進は各団体の理事会で決定します。

 

【筆者コラム】落語家の団体はなぜ5つもある?
落語家の団体には「落語協会」「落語芸術協会」「円楽一門会」「落語立川流」「上方落語協会」の5種類があります。

最初は明治時代に設立された落語協会だけでしたが「金銭問題」「人間関係上のこと」「落語界の改革のため」など、いろいろな理由によって分裂や統合を繰り返して今のような状態になっています。

各団体はそれぞれ独自に興行を打ったり、二ツ目や真打の昇進の決定などを行っています。

 

真打の昇進は大体は芸歴の順番で決まりますが、二ツ目の年数が浅くても抜擢されて真打になる人もいます。

昔と違って大学卒業後に落語界に入門するケースが多くなっているので、四十歳前後に真打になる人も珍しくありません。

 

真打になって初めて「師匠」と呼ばれるようになり弟子を取ることも許されます。

真打になると落語家の晴れ舞台といえる「真打披露興行」(=新たに真打ちに昇進した落語家を披露するための公演)を行います。

「真打は名実ともに一人前の落語家である」と言えるかもしれませんが、実際には師匠として歩き始めたばかりなのです。

ここから先は肩書きが変わることもないので、ひたすら落語家として芸の道を追求していく無限の出世街道になります。

そのまま「名人」と呼ばれる落語家になれればよいのですか、真打に昇進したことで安心、あるいは慢心して、その後はパッとしない落語家が大半、というのが現状のようです。

 

階級 真打
舞台に立つ頻度 一概に言えませんが、売れっ子であればほぼ毎日
昇進期間 肩書きが変わることはない
やること ひたすら落語家として芸の道を追求

 

次のページでは古典落語と新作落語の違いについてお伝えします。古典落語と新作落語の魅力の違いを知れば、落語の楽しみ方が広がるでしょう。

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落語の演目の基礎知識 【古典落語と新作落語の違い】

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落語の演目は「古典落語」「新作落語」に分けられる

 

落語の演目の種類は「古典落語」と「新作落語」に分けることができます。

古典落語と新作落語の違いは何を基準に区別するのかというと、一言でいえば「年代」です。

「古典落語」は江戸中期から明治にかけて作られた演目で、「新作落語」は大正時代以降に作られた演目のことを指します。

 

 

以下では、古典落語と新作落語の特徴について詳しく解説していきます。

 

古典落語とは

 

古典落語とは「江戸中期から明治にかけて作られた演目」を指します。

 

古典落語は、決まった同じネタを色々な落語家さんが何度も行います。

ネタは、昔の落語家さんから新しい落語家さんへと引き継がれていきます。

長い年月をかけて師匠から弟子に受け継がれていくなかで、それぞれの時代の落語家によって練り上げられ、洗練されていくので、現代人の心にも響く名作が多いのです。

 

【編集部コラム】古典落語の進化
古典落語は先代から受け継がれてきた噺を全く同じに演じるという訳ではありません。ストーリーの大まかな流れは変わらなくても自分なりのアレンジを加え、登場人物の言葉遣いが変わったり、オチが変わったりすることがあります。そうして練り上げられているからこそ、現代人の心に響く名作が多いのです。

 

古典落語の演目の多くは江戸時代が舞台で、江戸庶民の暮らしぶりや江戸の文化、風俗を取り扱っているものが多くあります。

 

 

古典落語の数

 

演目の数ははっきりとはわかりませんが現在寄席で演じられているのは200~300くらいと言われており、やる人がほとんどいないものも全部合わせると、その数は500とも800とも言われています。

古典落語の多くは作者不明で、一部の演目を除いてそのほとんどは誰が作ったのかわかりません。

 

古典落語の種類

 

古典落語をジャンル分けすると、「滑稽噺」と「人情噺」の2種類があります。

 

滑稽噺

 

滑稽噺は「噺の終わりにオチがある、おもしろおかしい落語」のことです。

間抜けでドジな与太郎や、口が達者な江戸っ子、ぐうたらな若旦那などが活躍する噺でそのユニークな言動におかしみが滲み出て笑えます。

 

与太郎
落語に登場する架空の人物。楽天的な性格で失敗ばかり。「愚か者」の代名詞となっている。

 

一般的に落語と聞いてイメージするのはこの滑稽噺のほうでしょう。

 

滑稽噺のおすすめの演目は「天狗裁き」「粗忽長屋(そこつながや)」「代書屋(だいしょや)」です。こちらの演目については次の章(第2章)で解説いたします。

 

人情噺

 

人情噺は「ストーリー性を重視し、心温まる人情を描いた落語」のことをいいます。

扱うテーマは、夫婦愛や親子愛、友情がメインです。

オチはあるものとないものがありますが、あったとしても、取ってつけたような地口オチ(じぐちおち:ダジャレ)になっていることが多いです。

人情噺でおすすめの演目は「芝浜」「子別れ」「藪入り(やぶいり)」です。

こちらの演目についても次の章で解説しています。

 

古典落語の魅力

 

はじめに」でもお伝えしましたが「古典」と名前に付いていますが、特別な知識なく楽しめます。

江戸や明治、古典落語の世界に生きる人々の、のんびりとした日常に触れるのは「情報過多でストレスが多い現代人だからこそ価値がある」と考えています。

心が楽しいときでも寂しいときでも、古典落語がそばにあるだけでちょっとラクになれる、そんな不思議な力が古典落語にはあると私は思っています。

 

古典落語の魅力は「はじめに」のページで詳しく解説!

 

新作落語とは

 

「新作落語」は大正時代以降に作られた演目のこと」を指します。また「創作落語」ともいいます。

落語家自身による創作が多いですが、落語作家が作ったものもあります。次々に作られるので、数を把握することは不可能です。

 

落語作家
落語の脚本を作る人のこと。昭和のラジオやテレビの時代に演芸番組に携わり、台本を提供していた。現在で言う放送作家のような立ち位置。「玉川一郎」「古城一兵」らが活躍した。

 

新作落語はその時代の旬のトピックや時事ネタを取り入れて作られることが多いので、古典に比べて内容がわかりやすく、落語初心者でも爆笑できるという特徴があります。

 

 

新作落語の楽しみ方

 

また、作者である落語家独自の世界観が色濃く反映されるので、バラエティ豊かな噺を楽しむことができます。

基本的に噺の舞台は現代ですが、未来を描いたり、異次元の世界を描いたものなどもたくさんあり、「とにかくおもしろければいい!」といった感じで次々と生み出されています。

現代を描くだけが新作ではなく、稀ではありますが、江戸を舞台にした作品もあり、これを「まげもの新作」と呼びます。

落語家には、古典しかやらない人もいれば、新作専門の人もいますし、古典も新作も両方やるという人もいます。最近では古典と新作のボーダーがあまりなくなり、両方やるという落語家も増えてきています。

 

古典と新作両方やる落語家
柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)さんは、古典と新作どちらも行います。新作落語では独自の世界観で楽しませてくれる爆笑必至です。また、古典落語にも定評があり喬太郎さんならではの解釈や演出を加え「喬太郎の古典」にしてしまうところがあります。喬太郎さんの魅力の解説は第3章にて!(現在第1章)

 

新作落語はどちらかというと、肩の力を抜いて聴ける爆笑ネタが多いですが、落語である以上は、やはりそこには普遍的なテーマやストーリー(夫婦愛、親子愛、友情、生と死、出世劇、逆転劇、転落人生など)があります。

 

時代を選ばないテーマやストーリーであるからこそ、演じられるたびに洗練されていき、将来的にはそれが古典と呼ばれる演目になり、後世までずっと残り続けていく可能性もあります。

新作落語を演じる落語家は、それが古典になることを目指しているというわけではありませんが、そうなる可能性があるという意識で聴いてみるというのも、新作落語の楽しみ方のひとつだと思います。

 

▼筆者おすすめ新作落語、春風亭昇太さんの「力士の春」収録作品

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次のページでは「江戸落語」と「上方落語」の違いについてお伝えします。内容は同じでも、江戸落語では「時そば」上方落語では「時うどん」と演目のタイトルが違ったりするのです。

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落語の歴史

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落語について理解を深めることで、より落語を楽しむことができるようになるでしょう。

このページでは「落語の歴史」について解説してまいります。

 

年表

 

時代 出来事
戦国時代(1467-1591) 御伽衆
元和9年(1623) 『醒睡笑』
元禄期(1688-1704) 寄席の原型「辻噺」
寛政期(1789-1801) 寄席の誕生
文化・文政期(1804-1830) 落語ブーム
天保期(1831-1845) 天保の改革で人気下火
安政期(1854-1860) 水野忠邦失脚、再び人気
江戸時代末期(1853-1869) 「近代落語の祖」が活躍
大正時代初期~中期(1912-1922) SPレコードで人気
大正12年(1923年) 関東大震災で寄席消失
大正14年(1925年) ラジオ開局
昭和16年(1941年) 太平洋戦争、53演目禁止
昭和26年(1951年) 放送法成立、ラジオテレビで落語

 

落語の歴史

始まりは戦国時代

 

戦国時代には、面白い話や芸をして笑わせる「御伽衆(おとぎしゅう)」と呼ばれる人たちがいました。

 

御伽衆は戦国大名に仕えていましたが豊臣秀吉も多くの御伽衆を抱えていました。その中のひとり安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)という僧侶は、秀吉の前でおもしろおかしいオチのついた話を披露して喜ばれていました。

 

豊臣秀吉
1537年-1598年。戦国時代から安土桃山時代の武将。天下統一を果たした。

 

文人、茶人としても知られている策伝は幼少の頃から聞き覚えた約1000話の笑い話を集めた『醒睡笑(せいすいしょう)』という書物を書きました。

収められている話は落語の元となったものも多くあり、こうしたことから策伝は「落語の祖」と呼ばれています。

 

▼「醒睡笑 全訳注」江戸時代の初期に編纂された「醒睡笑」ですが、現代語訳と解説付きで読むことができます。

 

落語家・寄席の起源

 

元禄期(1688年~1704年)になると有料で滑稽話を聞かせる人たちが、江戸や大坂、京という都市に登場します。

彼らはお寺や神社の境内、街頭などの人が集まる場所に席を設けて、料金を取っておもしろおかしい話を披露する「辻噺(つじばなし)」を行っていました。

この辻噺は寄席の原型でありそれを行う人たちが落語家の始まりといわれています。

 

寄席の誕生

 

寛政期(1781年~1801年)になると、寄席が誕生します。

それまでの話をする会といえば、いろいろな場所を借りながら不定期で開催をしていました。寄席の誕生により特定の場所で入場料を取るという現在の寄席のような形態になりました。

 

▼寄席のイメージ

 

本格的な商売となると演者側には客を飽きさせないよう演目に工夫をこらすことが求められるようになります。その結果、より芸が磨かれた落語家が次々と現れ、落語のレベルは上がり寄席も拡大していきました。

 

隆盛と衰退

 

文化・文政期(1804年〜1830年)には、芝居噺や怪談話、音曲噺なども始まり、江戸では落語ブームが起こり、隆盛を極めます。

 

音曲噺
噺の途中に三味線などのの伴奏が入り、演者の唄や演奏者による唄が入り噺が進む落語。「稽古屋」「植木のお化け」などの演目がある。

▼稽古屋を聴く(mp3、ストリーミング)

 

ところが、老中・水野忠邦による「天保の改革」が始まってしまいます。

 

▼水野忠邦(老中=幕府の政治を行う役職)

 

質素倹約(しっそけんやく)を推奨し庶民の娯楽も厳しく制限したこの改革によって、文政(1804~1830)末期には120軒以上あったといわれる寄席が15軒ほどになってしまい、落語人気も下火になっていきます。

 

しかし町人や大名達から激しい反対に遭い忠邦は失脚。落語は再び人気を得て、安政期(1854年〜1860年)には寄席の数も約170軒に達します。

 

落語を変えた三遊亭圓朝

 

幕末になると、「近代落語の祖」といわれる初代三遊亭圓朝が活躍します。

 

▼初代三遊亭圓朝

 

圓朝は三味線や太鼓などを使う歌舞伎を真似た「芝居噺」で人気となりましたが、明治時代になると政府は寄席での演劇などの行為を禁止します。

圓朝は道具を使う噺を弟子に譲り、現在のような「扇子1本を使う喋り」を中心とした「素噺(すばなし)」というスタイルを確立しそれまでの落語の常識を変えてしまいました。

徐々にこの「素噺」が主流となり鳴り物を使った「芝居噺」は廃れてゆくことになります。

 

戦争の影響

 

大正時代はレコードの発達により、SP盤(SPレコード)で人気を得る落語家も現れ始めます。

 

▼SP盤


photo by:MASA CC 表示-継承 3.0

 

しかし大正12年の関東大震災で多くの落語家が犠牲となり、寄席も焼失したため、しばらくは興行が行われていませんでした。

大正14年にラジオ局が開局し、落語の放送が始まるとラジオを聴いて落語に興味を持った人が寄席にも足を運ぶようになり、落語に再び注目が集まるようになります。

 

 

昭和になると太平洋戦争(昭和16年)が勃発し、落語界にも大きな打撃を与えます。

遊廓(ゆうかく)などをテーマにした廓噺(くるわばなし)など時局にそぐわないと判断された53もの演目が禁止となってしまうのです。

 

廓噺(くるわばなし)の補足
遊郭(ゆうかく:男性に性的なサービスを行う遊女が集められた区画)をテーマにし、有名な作品に「明烏」がある。

 

放送法が成立

 

昭和26年(1951年)に放送法が成立します。

この放送法成立によって、それまではNHKが中心となって進められていたテレビ放送でしたが民間放送の設置が認められました。

それにより愛知県の中部日本放送(現CBCラジオ)や日本テレビなどが放送を開始し、ラジオとテレビによる落語の新時代が幕を開けます。

 

ラジオをつければ落語が流れるといった状況になり、寄席の数も増えて落語界は活況を呈します。

やがてテレビの時代となり、初代林家三平や7代目立川談志などタレント的な落語家も現れるようになります。

 

初代林家三平
1922年生まれの落語家、1966年~1972年に起きた演芸ブーム(テレビ番組を中心としたお笑いブーム)の火付け役かつ中心的存在。「昭和の爆笑王」として知られる。
7代目立川談志
1936年生まれの落語家。国民的人気番組「笑点」の企画者であり初代司会者。

立川談志について詳しい解説は第4章にて!(現在は第1章)

 

そんな落語家たちの人気もあって寄席も賑わい、それ以降の落語ブームはテレビによって生まれるようになるのです。

 

落語がどのように始まり発展していったのか、お分かりいただけたでしょうか。

何度も危機を乗り越え、その時代を代表する落語家たちによって発展し、今日の落語に繋がっているのです。

酸いも甘いも嚙み分けた歴史ある芸能だからこそ、時代を問わず多くの人々を魅了するのだと思います。

 

次のページでは「落語家の階級」についてお伝えします。落語家がどのように昇進していくかを知ると落語家さんの見え方が変わり、より落語が楽しめるかと思います。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

落語の魅力とは

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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落語の魅力

 

皆さんは落語を聴いたことがあるでしょうか。

「なんだか難しそう」「おもしろくなさそう」

というイメージを持っている方も多いかと思います。

 

しかし、そんな先入観で落語を敬遠しているとしたら非常にもったいないですよ!

 

落語は江戸時代から伝承されている伝統的な話芸ですが「誰が聴いてもわかりやすく、おもしろい芸能」なのです。

落語には、遊び人やお調子者、酒で失敗する人、働かない人、間抜けな泥棒など、いわゆる“ダメ人間”といわれるような人がたくさん出てきます。

そんな人々が生き生きと生活していて、そのなかで泣き笑い、憎しみ苦しみ、そうした人生の妙味をあらゆる角度から見せてくれる、それが落語の魅力です。

「人生捨てたもんじゃないよね」

と思わせてくれる人間賛歌としての価値が落語にはあります。

 

 

そんな落語を聴けば「人情の素晴らしさ」「人生の楽しさ」などを感じられるはずです。

たった1人の落語家が演じる話芸で、比類なき人間模様を味わいながら笑ったり感動したりする時間を過ごせることは幸せなことだと思いませんか。

 

▼落語を演じているシーン

想像力で広がる物語

 

落語で使う小道具は、基本的には扇子と手ぬぐいだけです。扇子を使って「パイプ」や「そばをすする箸」を表現したり、手ぬぐいを「財布」に見立てることもあります。

座布団の上に座っている落語家が1人で何役も演じながら話術だけで物語を展開していく落語は、あらゆる芸能のなかで最もシンプルな芸だといえるでしょう。

 

落語家はよく「落語ってのはお客さんの想像力に寄りかかった芸能なんです」という言い方をします。

お客さんの想像力によって物語が膨らんでいくというのも落語の魅力であり、こうしたスタイルのエンターテインメントは日本独自のものです。

 

古典落語のすすめ

 

落語には「古典落語」と「新作落語」があります。

 

「古典落語」と「新作落語」の違い
両者の違いは作成された時期です。

古典落語は、江戸時代~昭和に作成された作品。

新作落語は、戦後~現在に作成された作品。

詳しくは第1章で解説。(現在「はじめに」)

 

このWebonでは古典落語を中心に解説していきます。

「古典」と聞くとなんだか難しそうに感じるかもしれませんが、特別な知識がなくても古典落語は十分に楽しめます。

情報過多で何かとストレスの多い現代人だからこそ、江戸や明治に生きる人々、古典落語の世界に生きる人々の、のんびりとした日常に触れる価値があるのではないでしょうか。

心が楽しいときでも寂しいときでも、古典落語がそばにあるだけで、ちょっとラクになれる、そんな不思議な力が古典落語にはあると私は思っています。

つまり古典落語は「一生つきあっていける芸能」なのです!

 

何も考えずにただぼうっと聴くだけでよいのです。

難しいことはなにもありません。

 

落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて、落語(特に古典)の魅力についてわかりやすく伝えていきたいと思っています。

私は10年ほど前に古典落語にハマって以来ほぼ毎日落語を聴いていますが、飽きるどころかますますその世界に魅了され深みにハマっていっています。

この究極のエンターテインメントである落語の魅力が、1人でも多くの方に伝われば幸いです。

 

次の章(第1章)からは落語の基礎知識を紹介します。まずは落語の全体像を掴んでみてください。「難しくない」ということが伝わるはずです。

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落語に対して「難しい」という印象をお持ちの方も多いかもしません。ただ、落語は「誰が聴いてもわかりやすく、面白い芸能」なのです。

このWebonでは、10年程前よりほぼ毎日落語を聴いている筆者が魅力的な落語の世界についてお伝えします。

 

~~(落語には)“ダメ人間”といわれるような人がたくさん出てきます。そんな人々が生き生きと生活していて、そのなかで泣き笑い、憎しみ苦しみ、そうした人生の妙味をあらゆる角度から見せてくれる、それが落語の魅力です。「人生捨てたもんじゃないよね」と思わせてくれる人間賛歌としての価値が落語にはあります。~~
はじめに「落語の魅力とは」より

 

 

はじめに

落語は難しいものではありません。「誰が聴いてもわかりやすくおもしろい芸能」なのです。この章では落語の魅力についてお伝えします。

落語の魅力とは

 

第1章 基礎知識

落語は基礎知識を知っておくとさらに楽しめると思います。この章を読めば落語の全体像が掴めることでしょう。

落語初心者のための基礎知識

落語の歴史

落語家の階級

落語の演目の基礎知識 【古典落語と新作落語の違い】

江戸落語と上方落語の5つの違い

 

第2章 おすすめ古典落語

落語にはどんな噺があるかを解説します。「定番編」「滑稽噺編」「人情噺編」に分けて紹介します。聴いてみたい作品を見つけていただきたいです。

初心者におすすめ古典落語の演目11選 【定番編】

初心者におすすめ古典落語の演目11選 【滑稽噺編】

初心者におすすめ古典落語の演目11選 【人情噺編】

 

第3章 鑑賞方法

落語の魅力を知るには生で観るのが一番です。落語を鑑賞できる場所である「寄席」は基本飲食も可能で気軽に楽しめます。この章では寄席、そして自宅での鑑賞方法についてお伝えします。

寄席の基礎知識 【寄席の鑑賞方法①】

東京のおすすめ落語スポット7選 【寄席の鑑賞方法②】

人気のおすすめ落語家4選 【寄席の鑑賞方法③】

おすすめ落語CD・アプリ・ストリーミング 【自宅で落語鑑賞①】

落語が題材の映画・ドラマ3選 【自宅で落語鑑賞②】

 

第4章 おすすめ落語名人

落語は同じ演目でも演じる落語家が違えば見え方が変わります。落語の名人には「蕎麦をすする動作は落語会随一」「酒を飲んで高座に上がっても面白い」などそれぞれ違った個性や魅力があるのです。

初代 三遊亭圓朝 【おすすめ落語名人9選】

五代目 古今亭志ん生 【おすすめ落語名人9選】

六代目 三遊亭圓生 【おすすめ落語名人9選】

五代目 柳家小さん 【おすすめ落語名人9選】

三代目 古今亭志ん朝 【おすすめ落語名人9選】

七代目 立川談志 【おすすめ落語名人9選】

三代目 桂米朝 【おすすめ落語名人9選】

ニ代目 桂枝雀 【おすすめ落語名人9選】

十代目 柳家小三治 【おすすめ落語名人9選】