パガニーニ「24の奇想曲第24番」 初心者にもわかりやすく解説

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「クラシック音楽」と聞くとなんだか難しそうで敷居も高い。でもクラシック音楽を作っている作曲家だって人間です。面白いエピソードもたくさんあるんです。有名曲と作曲家を知りクラシック音楽を楽しみましょう!

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著者:めーぷる

国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから

 

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<まずは聴いてみよう!>

クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!今回はパガニーニの「24の協奏曲第24番」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。

▼24の協奏曲第24番

 

 

このページでご紹介するのはパガニーニの「24の奇想曲第24番」です。

「史上最高のヴァイオリニスト」とも言われるパガニーニの生い立ちにも触れながら、この曲についてご紹介していきます。

第1章ピアノ編のページもご覧になっていた方は、あることに気づくことでしょう。

 

そうです、あのフランツ・リストの「パガニーニ大練習曲第6番」とほとんど同じメロディーを辿っている曲なのです。以前ご紹介した通り、この曲はリストの「パガニーニ大練習曲第6番」の元となった曲です。

 

▼フランツ・リストの「パガニーニ大練習曲第6番」

リストの「パガニーニ大練習曲第6番」は第1章ピアノ編で紹介!(このページは第2章バイオリン編)

 

実はこの曲をテーマとした曲を作っているのはリストだけではありません。

そこで、今回はこの曲の魅力にも触れつつ、それを編曲した他の作曲家の作品についてもご紹介することにしましょう。

 

パガニーニ

▲パガニーニ

 

パガニーニはイタリアのジェノヴァ出身の伝説的なヴァイオリニストです。

 

 

パガニーニは5歳の頃からヴァイオリンを弾き始めると、とてつもないスピードで成長し、13歳の頃にはもはやこの世の曲で弾くことの出来ない曲がなくなってしまったと言われています。

 

 

そのため、パガニーニはその頃から自作の練習曲でその腕を磨くようになっていったようです。

演奏会での彼のヴァイオリン演奏はあまりに巧みであったため

「まるで悪魔に魂を売り渡したようだ」

と言われていたようです。

 

彼の演奏というのは文字通り超人的な域に達しており、悪魔に魂を売り渡したとも噂され、彼の足が本当に地面に着いているのかどうかを本気で疑い、彼の演奏会中、ずっと足元を見つめていた観客がいた、など多くの伝説が残されています。

 

 

しかし、彼はもともと病弱で、40歳を手前にして体のいたる部分が蝕まれるようになっていきます。

そして、誤った治療法を実践し続けてしまった結果、稀代の天才は57歳にしてこの世を去りました。

 

24の奇想曲第24番

 

パガニーニの「24の奇想曲第24番」はパガニーニが作曲した曲だけあって、当然のことながら非常に高度な演奏技術が求められる曲となっています。

パガニーニが繰り出していた超絶技巧の面影というのを感じることができるでしょう。

特にこの曲で注目していただきたい箇所があります。

それは左手の「ピッチカート奏法」と「弦の上で弓をバウンドさせる奏法」を同じフレーズの中で交互に繰り出す変奏の部分です。

ではピッチカート奏法とは何か。初心者の方にも分かりやすく解説していきましょう。

 

変奏
テーマ(主題)の部分をもとにその旋律(メロディー)は変化させずに、リズムや拍子を変化させたり、装飾音を付けたりすることを変奏と言います。

例えばモーツァルトの「きらきら星変奏曲」だとアレンジが加えられており、きらきら星の「き~ら~き~ら~ほ~し~よ~♪」という馴染みのあるメロディはそのままに、急にテンポが早くなる部分があったりすると思います。これが「変奏」です。実際に聴いてみれば「変奏とは何か」が理解しやすいかと思います。

ちなみに変奏曲は当時「練習曲」としての意味合いが強かったので技術的に難しい曲が多くあります。

 

ピッチカート奏法とは

 

「ピッチカート」というのはヴァイオリンの弦を指で弾く奏法です。

このピッチカートですが、通常はヴァイオリンの弓を持つ右手で弦をはじいて音を出します。

 

▼ピッチカートのイメージ

 

しかし、この曲ではこのピッチカートを左手で行います。

ヴァイオリンにおいて左手というのは弦を押さえて音の高低を調整する役割を担っています。

この曲では左手がこの二つの役割を同時に果たすのです。

それだけでも大変だというのに、この曲ではさらに弓をバウンドさせる奏法も組み合わせているため、まさにヴァイオリニスト泣かせであるということができるでしょう。

 

 

「パガニーニ:24の奇想曲」の編曲

 

パガニーニの「24の奇想曲第24番」の編曲(改編した曲)は、以前ご紹介したリストの「パガニーニ第練習曲第6番」の他にもあらゆる音楽家達によって生み出されています。

 

リストの「パガニーニ第練習曲第6番」については第1章ピアノ編で!(このページは第2章バイオリン編)

 

その代表的なものとして、まずブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲Op.35」というのがあげられます。

 

ブラームス(1833-1897)
19世紀ドイツのピアニスト・作曲家。バッハやベートーベンと共に活躍。

▼ヨハネス・ブラームス

 

ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲Op.35」は全ての変奏において、パガニーニの原曲のメロディーを辿っているわけではなく、ブラームスが考え出した独自の旋律も組み合わせることで、少しロマン派の香りがするような編曲となっています。

リストによる編曲とはまた一味違った雰囲気を楽しむことができるでしょう。

 

 

もう一つ有名な編曲として、音楽家・ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲作品43」というのが挙げられます。

この曲は、オーケストラとピアノのために書かれた曲で、第1章でもご紹介したラフマニノフの「ピアノ協奏曲」に近い形態となっています。

 

 

曲全体にパガニーニの原曲の旋律を用いていますが、変奏自体は全てラフマニノフのオリジナルとなっています。

原曲よりもより一層ドラマティックな展開を楽しむことができます。

 

 

さて、今回はパガニーニの「24の奇想曲第24番」についてご紹介いたしましたがいかがでしたでしょうか。

この曲の編曲というのは今回ご紹介した以外にもたくさんあります。

様々な作曲家による編曲を聴き比べてみることで、音楽家それぞれの解釈の違いというのを楽しむことができるのではないでしょうか。

 

▼24の奇想曲第24番の楽譜

 

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スターダスト・レビューのライブの魅力 【高い音楽性と低い腰】

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「スターダスト・レビューが日本一のライブバンド」と言える理由を、数百本以上のライブに通い、ボーカル根本要のラジオを愛聴する筆者がお伝えいたします。スターダスト・レビューの「メンバー」「歴史」「魅力」など徹底解説!

スターダスト・レビュー入門 ~日本一のライブバンドと言える理由~ はこちらから

著者:しあ

40代後半女性。音楽が大好きでJ-POP K-POP 洋楽 演歌歌謡曲とさまざまな音楽を聴いています。ライブが大好きで今まで行ったライブは数百本。全部チケットの半券をとっているのでとても大切な想い出です。音楽はとても生活を豊かにしてくれるもの。私の好きなアーティストの魅力を知っていただければ、と思います。お問い合わせはこちらから

 

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このページから第2章。第2章ではスターダスト・レビューの魅力を解説していきます。知ればスターダスト・レビューにハマるはず。

このページではスターダスト・レビューの醍醐味ともいえる「ライブ」について紹介していきます。

 

スタレビライブの醍醐味

▲左から:柿沼、根本、林、寺田

 

スターダスト・レビューのライブの醍醐味は、なんといってもその「演奏力」「パフォーマンス力の高さ」と誰でもが楽しめる「エンターテインメント性」

メンバーが何より、お客さんみんなに楽しんでほしいと心から思ってライブを創り上げているので、その気持ちがこちらにも伝わります。

 

音楽だけじゃなく、笑いも必要と思っており、常にいろんな仕掛けでファンを楽しませたいと思っているんですね。

 

また、どんなにキャリアを積み重ねても決しておごらず、常に低姿勢。

 

1曲1曲終わるごとのお辞儀の深さ、ファンへの感謝の言葉。

この

「高い音楽性と低い腰」

これこそがスタレビの生命線であり、ここまでライブバンドとしてのキャリアを積み重ねることができた要因だと思うのです。

 

スタレビライブの魅力

▼スタレビの代表曲「木蘭の涙」

 

スタレビのライブはとにかく

「カッコいい!」

そして

「楽しい!」

これが一番の魅力かな、と思います。

初めて行く人はその演奏力の高さに驚くと思います。

CDで聴くよりも音の厚み、響きが素晴らしく、圧倒的です。

 

スタレビがライブに力を入れている理由

 

長年、スタレビはライブに力を入れてきました。それはCDの売り上げやTV出演を主な活動場所にしなかった・・・できなかったから。

でも、そのことで全国各地で確実にファンを増やし、そのライブパフォーマンスは年々高くなり、今では「日本屈指のライブバンド」と呼ばれています。

 

37年というキャリアに裏付けされた圧巻のライブパフォーマンスは、ぐいぐいと観客を引き込んでいきます。

「知らない曲はみんな新曲です」

と要さん。

 

曲を知らなくても大丈夫、それでも十二分に楽しめるのがスタレビライブなのです。

 

スタレビのライブは通常のツアーだと、3時間半~4時間近くなりますが、そんな長時間を感じさせない、全然飽きさせないライブです。

終盤にはまだまだ

「もっと聴きたい一緒にいたい」

と思いますし、それはスタレビも同じでなかなかステージから降りない。

 

要さんもまだまだ話たりないのか、話を引き延ばします。

そんな要さんのMCはとにかく長い、そしておもしろい!

毎回笑いすぎておなか痛いし、涙でメイクはとれるし(笑)

 

スタレビ根本要のMCを楽しめるCD・DVD
スターダスト・レビューの35周年(2016年時)記念ベスト・アルバムに、CDの特典として「MCD」というMC(ライブ中のトーク)だけが収録されたCDがつけられているアルバムがあります。

▼「スタ☆レビ」-LIVE&STUDIO- (初回限定盤)

根本要氏のトークを楽しみたいならラジオも!詳しくは第3章で!(現在第2章)

 

臨機応変な対応力

 

スタレビのすごいところは、臨機応変な対応力。

2008年9月大分県城島高原での野外ライブ。

 

入場直前に大雨が降りだしながらも決行となったこのライブは、急遽セットリスト(ライブで演奏する曲)を全部組みなおします。

雨に濡れ立ちっぱなしのファンのために、ジッと聞くバラードが無い即席セットリストに仕上げました。

のちに、要さんはこの城島のライブが

「どんな状況でも何でもやれるという、スタレビのバンド力をさらに上げるきっかけになったね」

と語っています。

 

リクエストボタンの存在

 

スタレビの発表曲は数百曲。

バンドのツアーは通常、同じセットリストで行うことが多いですがスタレビの場合は、基本のセットリストを元に各地によって数曲、日替わりメニューを入れてきます。

その日替わり曲のうちの2曲は事前に観客のリクエストで選ぶことも。

 

10曲ぐらいの候補曲の中から選ぶのですが、ライブ会場に設置されたリクエストボタンに曲目が出ていて、その中から聴きたい曲のボタンを押します。

 

▼リクエストボタンのイメージ

 

この時点でファンは、この10曲は今日のセットリストには入ってないことを悟り、確実に、絶対に自分の聴きたい曲のボタンを押します。

 

私も含め、みんなで悩みながらボタンを押しているこの光景は楽しいです。

このリクエストボタンはあちこちに設置されているので、押しそびれることはないし、開演ギリギリまで投票可能。

しかもメンバーは何の曲が選ばれているか、ステージ上でこの「日替わり曲コーナー」が始まるまで知りません。

 

ステージ上で要さんが投票数と共にランキング形式でパネルで発表します。

このドキドキ感がファンにとっては楽しいけれど、メンバーにとっては冷や冷やもの。

ツアーで初めて選ばれた曲が入ってくる可能性があるから。

 

「30公演目で初めてこの曲が選ばれました~」

なんて瞬間は、それぞれメンバーは自分のことでいっぱいいっぱい。

もちろんリクエスト候補曲を練習してはいるようですが、久しぶりだとパニックになってあたふたしている姿がおかしい。

それでも、一瞬にしてその曲の世界に引き込むのは本当に素晴らしい。

 

参加型ライブ

 

そしてスタレビのライブは参加型。「一緒に楽しく歌って、踊って」が基本。

でも、決して強制的ではなく、やらなければばらない、なんて雰囲気は一切なし。

「みんな、自分の楽しみ方で楽しめばいい」それがスタレビのスタイル。

 

もちろん周りに迷惑をかけず、配慮は大切。

アカペラ(楽器を使わず歌う)では、客席をパート分けしてファンもコーラスに参加。

みんなスタレビと一緒に歌って踊って、を楽しんでいます。

 

それは要さんが最後に言うメンバー紹介

「スターダスト・レビューの最高のバックダンサー&コーラスはお前らだ~~!!」

に表れています。

スタレビのライブは入り口は広く出口は狭く、一度この魅力にハマったらなかなか抜け出せそうにないのです。

 

次のページではスターダスト・レビューのMC根本要氏のしゃべりの魅力について解説していきます。

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スターダスト・レビューの歴史② 【光田健一在籍時】

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「スターダスト・レビューが日本一のライブバンド」と言える理由を、数百本以上のライブに通い、ボーカル根本要のラジオを愛聴する筆者がお伝えいたします。スターダスト・レビューの「メンバー」「歴史」「魅力」など徹底解説!

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この章(第1章)は「スターダスト・レビューのメンバーと歴史」。

3ページに渡りスターダスト・レビューの歴史を紹介しています。このページでは三谷氏が脱退後~光田氏の脱退までを紹介します。

 

アルバム「艶」をリリース

 

三谷泰弘さんの脱退はスタレビにとって大きな打撃でした。

 

▼1994年にスタレビを脱退した三谷泰弘氏

 

スタレビのボーカル&ギターの根本要さんはバンドの解散も考えたのですが

「やはりバンドを続けたい、自分たちで頑張ろう」

と決意します。

 

「何十年もバンドを続けられてすごいですね」という問いには

「誰でも続けようと思えば続けられるよ。だって解散しなきゃいいんだもん(笑)」

と要さんらしい答えを返しています。

三谷さんが脱退するまでの数年間のスタレビサウンドは三谷色が強くキラキラしたイメージです。

 

▼根本要氏

 

三谷さん脱退後、スタレビは自分たちの音楽を再確認し、デジタルではなく生のバンドサウンドにこだわった「艶」(12thアルバム・1995年)というアルバムを発表します。

バラエティに富んだ、豊かな色を散りばめたアルバムとして「艶」と名付けたそうです。

 

▼アルバム「艶」

 

このアルバムの1曲目の「KEEP ON ROLLIN’」はスタレビらしい軽快なロックンロールナンバー。

 

この曲に新生スタレビの決意表明が表れている気がします。

私はこの曲が大好きで、セットリスト(ライブの曲順)にこの曲が入っているともう大興奮!

このアルバムのツアーグッズのキーホルダーに「Keep On Rollin’」の文字が刻まれていて、今でも大事にこのキーホルダーを持っています。

 

▼「艶」のツアー『STARDUST REVUE CONCERT TOUR 艶』

 

光田健一(みつだ けんいち)氏加入

 

このツアーからキーボードに光田健一(みつだ けんいち)さんがサポートとして加わります。

 

▼光田健一氏

 

光田さんは要さんより10歳も下で、素晴らしい音楽センスの持ち主。

メンバーが出したアイデアを、その音楽センスでどんどん実現化する光田さん。

 

「世の中にはこんなすごい人もいるんだなあ」

とメンバーは驚くばかり。

 

光田さんは両親ともに音楽に携わった仕事をしており、小さいころからクラシックを筆頭にたくさんの音楽に囲まれて育ちました。

東京芸術大学音楽部作曲科に在学していた経歴があり、絶対音感の持ち主で素晴らしい才能を持った光田さんはスタレビに様々なインスピレーションを与えることになります。

 

音楽を基礎から学んでいる光田さんとの出会いによって、スタレビの音楽はまた新たにいろんな可能性が広がっていくことになります。

ライブでもその音楽スキルの高さと、ルックスのかわいらしさからスタレビファンにも大人気だった光田さんを、1998年に正式メンバーとして迎えます。

新生スターダスト・レビューになってから初めてのライブで要さんはライブ後、大泣きしたそうです。

 

「これでいける、大丈夫だ」と。

 

そしてオリジナルアルバムの他、

光田さんが全曲アレンジを手掛けたアカペラアルバム『DEVOTION』(1999)

バラードなしのライブアルバム『No Ballds』(2001)

の発表など、より円熟した新しいスタレビの魅力は多くの称賛を受けその活動はとても順調でした。

 

そんな中、事務所独立というスタレビにとって新たなチャレンジも始まっていました。

 

事務所からの独立

 

2000年、スタレビは前事務所アップフロントエージェンシーから独立します。

 

自分たちのやりたいことだけをやれるように…

きちんと自分たちの音楽に集中できる環境で自分たちの目指す音楽をやり続けるために独立を決意したのです。

 

スタッフとタクシーに乗っているときに電話がかかってきて何やら良さげなニュースがあったよう。

「『なんだ?俺たちのことか?』と思ったら同じ事務所のKANちゃんのことだった(笑)」と。

スタレビの事務所を作って自分たちのためだけに動いてくれるスタッフが欲しかったんだ、と要さん。

 

KAN


CD売上累計201万枚以上の大ヒット曲「愛は勝つ」でお馴染みの日本のシンガーソングライター

後にKAN氏とスタレビは『SSKB』というユニットを組むことになります。第3章で紹介!(現在第1章)

 

アップフロントでスタレビについてくれていた鬼木氏が、現事務所「ラプソディ」の社長となりスタレビはまた新しい一歩を踏み出します。

要さんは

「お金もかかるし、正直簡単に独立できると思わなかった。でも鬼木さんがいろいろ計算してくれたら何とか大丈夫で、アップフロントとも話し合ってあっさり独立を認めてくれて円満退社です。本当に感謝してますし、自分たちの責任で音楽をやっていくんだと改めて思いました」

と。

 

光田氏の脱退

 

そして順調に進んでいたスタレビの活動に、新たな危機が・・・。

2001年11月、アルバム「Style」のレコーディング中に光田さんは突然スタレビを脱退します。

この事はファンの間で大騒ぎになり、今でもその衝撃を覚えています。

当時はネットが普及し始めていて、どこかからの発言が発端で噂が広まり、スタレビも光田さんも急遽コメントを発表しました。

 

実は光田さんはスタレビのサポートメンバーの時から自身のソロ活動やプロジェクトがあったそうです。

スタレビの正式メンバーとなってからも、マネージメントはスタレビ側ではなく、それまで通り光田さん側のマネージメントに所属していました。

 

要さんからの説明は

「決して仲たがいや金銭の問題などのトラブルではなく、マネージメントが上手くいかなくなってしまった。マネージメントが二つあることは難しかった」

とありました。

 

私たちにははかり知れない本人たちも上手く説明できないさまざまな理由、実情があるのでしょうが、双方ともにこれまでの感謝と最大のエールを綴っていました。

その言葉通り、今でも光田さんは仲間であり、初代キーボーディストの三谷さん同様、イベントに参加もしています。

 

「Style」完成

 

こうしてスタレビにとってもファンにとっても衝撃的な、レコーディング途中の脱退という出来事を乗り越えてアルバム「Style」(16thアルバム・2002年)を完成させるのでした。

制作時には急遽、元メンバーの三谷さんにサポート求めましたが、快く参加してくれています。

 

▼元メンバーの三谷泰弘氏

 

「Style」は真っ白なジャケットが印象的なのですが、その通り「新生スタレビ」という感じがとても漂っています。

 

▼Styleのアルバムジャケット

 

三谷さん脱退後のアルバム「艶」とはまた違う、新しさ。

もし、光田さんが脱退していなかったらこんなアルバムになっていなかったのか、それとも初めからこんなアルバムの予定だったのか、ジャケットはこうだったのか・・・。

全てが必然に思えてしまうアルバムです。

全体的にとてもシンプルでストレートなアルバムで、すべて根本要の作詩作曲。

これまではほとんど自分達でアルバムプロデュースをしてきましたが、初めて外部プロデューサーにエレファントカシマシなどを手掛けた熊谷昭氏を立て、制作したアルバムです。

 

エレファントカシマシ
1981年結成、日本のロックバンド。代表曲に「今宵の月のように」など。

▼エレファントカシマシ

 

要さんは作詩したものをことごとく熊谷氏に却下され、こてんぱんに詩の部分を鍛えられます。

書きあがった詩に対して

「根本君はしゃべりは面白いのに、詩は全然おもしろくないね。まだ、本気で書いてない。本音を書いてない。つくろってない本当の心からのラブソングが見たい」

などど何度も書き直しをさせられます。

 

要さんはこの時のことを

「本当に苦労した。だってラブソングって言っても、俺なんてそんなに恋愛経験ないしさぁ・・・」

と語っています。

アマチュア時代からデビュー後も歌詞に特別な思い入れがなかった要さんですが、熊谷氏との出会いによって要さんの作詩に対する意識はとても高いものになっていったそうです。

 

次のページではこの後のスターダスト・レビューから現在までの歴史を紹介します。

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