ロリータファッションと【音楽】【文学】【オタク文化】の融合

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ロリータファッションを愛して20年以上の著者だから語れた!ロリータファッションをこれから始める方も、既にこよなく愛する方も必読の入門書!これを読めばロリータのすべてがわかる!?

ロリータファッション入門 ~現実世界とのバランスを考えた楽しみ方~(全22ページ)はこちらから!

著者:佐藤遊佳

高校卒業と同時にロリータファッションに目覚め、以来13年間私服ではずっとロリータ服やゴシック&ロリータ服を着続ける。鍼灸師として患者さんを診るかたわら、ロリータファッションの服飾小物、アクセサリーの個人作家として活動。現在は結婚し地元で鍼灸院を開業し、執筆活動もしている。

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ロリータファッションに限らず、全てのファッションにおいてジャンルの定義はあいまいです。おおよそのジャンルは分けられるけれど、細かなジャンル分けは「着ている本人がどう思っているか」次第なのです。とはいえ、ある程度の傾向はもちろん存在します。

この章ではロリータファッションのジャンルについて【定番】【ゴシック&ロリータファッション】【サブカルチャーと融合して生まれたジャンル】【ジャンルに対する考え方】に分けてご紹介いたします。

ロリータファッションは音楽、文学、さまざまなサブカルチャーとの関係性も深いファッションです。このページでは【音楽】【文学】【オタク文化】とロリータファッションの関係性や融合して生まれたジャンルについてご紹介致します。

 

【音楽】とロリータファッション

 

ロリータに限らずファッションは音楽と密接な関係を築いてきました。

ライブ会場に行けば共通のバンドのファンが分かるくらいファッションが連動していたり、どの系統の音楽が好きかで普段着る服の傾向が変わるほどです。

現在パンク・ロックファッションがパンク・ロック(1970年代半ばにアメリカで誕生した過激で攻撃的なロック)の音楽とは離れて、あくまでファッションのいちジャンルになっています。

▼パンクロックファッションの例

 

ロリータ、ゴシック&ロリータはヴィジュアル系ファンの女の子=バンギャさんが多く好んでいたファッションですが、こちらも現在では音楽から離れています。

 

ロリータさんの中には音楽と無関係に、いちファッションとして着ている方も多く居ます。

私がそういうタイプです。

着始めた当時(2000年頃)はヴィジュアル系全盛期で、私はヴィジュアル系を知らないままファッションから入りました。

着始めてしばらくしてからヴィジュアル系の存在を知り、それはそれで好きになりました。

 

厳密にいえば、バンギャさんたちの着こなしはライブハウスで動きやすいことが最優先なので「バンギャファッション」などと呼ばれ、ロリータ・ゴシックロリータファッションと区別されることもあります。

出演するバンドのメンバー(大半は男性)の衣装の系統も、オーソドックスなゴシックにパンクやロックの要素を加えた「V系ファッション」と呼ばれるものが多いようです。

▼パンクの要素を加えた「V系ファッション」の例

 

個性的で華やかなファッションですから、アーティストのライブ衣装に最適だったことも、ロリータファッションとヴィジュアル系を結び付けた理由のひとつでしょう。

2019年現在、ヴィジュアル系の流行は最盛期より落ち着いていますが、2000年台初頭はヴィジュアル系とロリータファッションの関係は非常に密接。雑誌の特集からもその雰囲気が伝わってきます。

▼2008年発売『もえるるぶ COOL JAPAN オタクニッポンガイド』ムックより


引用:2008年発売『もえるるぶ COOL JAPAN オタクニッポンガイド』ムック

 

【文学】とロリータファッション

 

ロリータファッションの名前の由来になったナボコフの「ロリータ」は、本当に名前だけの関係です。小説の中に特定のファッションが出てくるわけではありません。

 

ナボコフの「ロリータ」

1955年に刊行されたウラジミール・ナボコフの小説「ロリータ」はロリータの言葉の由来となっている。10代前半の少女特有の美しさや大人の女性になる前の愛らしいけれど残酷な面もある魅力について書かれており、それが少女趣味的な服を表す際に流用された

▼ナボコフの「ロリータ」について詳しい紹介は第2章にて!(現在、第3章)

 

ところが、多くのロリータさんたちを虜にする文学が他に存在します。

それが「不思議の国のアリス」です。

文学をモチーフにしたロリータのファッションジャンルは、アリスが圧倒的に多いようです。他には白雪姫、シンデレラなどが多いでしょうか。

▼不思議の国のアリス

▼シンデレラ

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▼白雪姫

 

どれも愛らしい少女やお姫様が活躍する童話で、ロリータ服の装飾にぴったりのロマンチックなアイテムが多数登場します。

ティーパーティー・薔薇・トランプ・うさぎ・林檎・ガラスの靴…どれも華やかなプリント生地になり、ロリータ服を彩ってきました。

特にアリスの服はロリータ服のモチーフとしてぴったりだったためか、数多くの「アリスロリータ服」が作られています。ディズニー映画のイメージが強く、青や水色の服に白いエプロン、頭にはリボン。永遠の憧れコーディネートです。

▼アリスロリータ服の例(筆者撮影)

▼アリスロリータ服の例(筆者撮影)

▼アリスロリータ服の例(筆者撮影)

 

【オタク文化】とロリータファッション

 

前のページでも書いたので詳しくは割愛しますが、「ロリータファッション」と「オタク文化との融合」で生まれた新たなファッションジャンルは、いまや「COOL JAPAN」を代表するものとなっています。

ロリータ服にはもともと「タブリエ(エプロンドレスのこと)」と呼ばれるアイテムがあります。

中世ヨーロッパのメイド服は禁欲的で清楚なイメージが強かったので、最初はロリータ服の憧れモチーフでした。

▼タブリエのイメージ


photo by So_P,CC BY-ND 2.0

 

そして、エプロンはロリータのファッションアイテムとして、ロリータ界の超有名雑誌「ゴシック&ロリータバイブル」にも多く掲載されるようになりました。

▼ロリータ服におけるファッションアイテム「エプロン」(より)

引用:ゴシック&ロリータバイブル vol.1(バウハウスMOOK)

▼ロリータ服におけるファッションアイテム「エプロン」

引用:ゴシック&ロリータバイブル vol.2(バウハウスMOOK)

▼ロリータ服におけるファッションアイテム「エプロン」



引用:ゴシック&ロリータバイブル vol.3(バウハウスMOOK)

 

禁欲的で清楚なメイド服(タブリエ)はロリータの憧れのモチーフでしたが、オタク文化としてのメイド喫茶が流行するとこのイメージが変化します。

▼メイド喫茶のメイド店員


By Gdore投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

メイド服のエプロンは「給仕」のためのアイテムですが、タブリエはピクニックやティータイムを楽しむ為のアイテムです。

両者は似て非なるものなのです。このためロリータさんの中にはメイド服と混同されることを嫌う人が続出しましたが、ここまで浸透すると明確な線引きが困難かもしれません。

2005年に出版された植田裕子さん「ロリータ 衣食道楽」(マーブルトロン)にロリータファッションのエプロンの着こなしについて「アニメコスプレに見えてしまう危険が大きいのが難しいところ」という記述があります。

この内容から、ロリータをファッションとして着る人たちにとって、ロリータ服とメイドやコスプレのエプロンは全く別物だと考えられていたことがわかります。これは「コスプレとは違う」という意識を持って着ている全ロリータさんの意見の代弁のような内容であり、わたしもこの記載には納得できます。

ただ2019年現在では、流行が始まった当初よりも互いの反発は薄れて、メイド服も新たなファッションジャンルとして落ち着いてきたようです。

 

さて、ここまではロリータファッションのジャンルについて解説してまいりましたが、本来ロリータファッションはジャンル分けが不可能です。その理由や、ジャンル分けに対する考え方を次のページで解説いたします。

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著者:佐藤遊佳

高校卒業と同時にロリータファッションに目覚め、以来13年間私服ではずっとロリータ服やゴシック&ロリータ服を着続ける。鍼灸師として患者さんを診るかたわら、ロリータファッションの服飾小物、アクセサリーの個人作家として活動。現在は結婚し地元で鍼灸院を開業し、執筆活動もしている。

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