20年以上ロリータファッションを愛し続けた筆者がロリータファッションの基礎知識とリアル過ぎるロリータ事情を語ります!これからロリータを着る人必読!現実とのバランスのとり方も含めてロリータについてまるっと学べるロリータ入門の決定版!
ロリータファッション入門 ~現実世界とのバランスを考えた楽しみ方~(全22ページ)はこちらから!
はじめに
第1章 魅力は何か?
第2章 流行の変遷
第3章 ジャンル
第4章 化粧・髪型・洋服のポイント
第5章 現実とのバランスを考えて楽しもう
第6章 ロリータを理解する
おわりに
著者:佐藤遊佳(さとう ゆうか)
高校卒業と同時にロリータファッションに目覚め、以来13年間私服ではずっとロリータ服やゴシック&ロリータ服を着続ける。鍼灸師として患者さんを診るかたわら、ロリータファッションの服飾小物、アクセサリーの個人作家として活動。現在は結婚し地元で鍼灸院を開業し、執筆活動もしている。
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この章では4ページにわたってロリータファッションが流行になった経緯から、流行が終息した現在の状況までをお伝えします。
前ページで説明した通り「下妻物語」の登場によってロリータファッションは大流行になりました。
それまではロリータ服を着るのは周囲の視線や世間体があって大変なことでしたが、流行により認知が広まったので比較的簡単にロリータテイストを取り入れることが出来るようになりました。それによりメリット・デメリットが生じました。
このページでは流行後のロリータ界の状況についてお伝えします。
▼2章で解説するロリータの流行と終息
①【流行した理由 ~下妻物語の登場~】
②【流行後の変化】当ページで解説
③【オタク文化との融合】
④【流行の終息と海外展開】
ロリータ「テイスト」が安価に楽しめるようになる
多くのロリータさんが好むリボン、レース、フリル。
ロリータファッションが流行する前、一般ブランドでそのようなテイストを織り交ぜたブランドはほぼ皆無でした。
あることにはあったのですが、ロリータ服同様に高価格なブランドが控えめにあしらうくらい。ですから、ロリータファッションをするためにはロリータ服ブランドから購入して着るか手作りするしかありませんでした。
私も含め多くの個人製作ブランドが乱立したのは、売っている大手ブランドが少なかったことも理由のひとつです。
ところが、「下妻物語」が流行して全国的な認知を得たロリータファッションは一般ブランドのデザインにも影響を与えました。
嶽本野ばらの小説で2004年に公開された映画。数々の日本の映画賞を受賞する。ロリータファッションブームの火付け役。
▼「下妻物語」Blu-ray(画像クリックで商品詳細へ)
▼下妻物語の影響で登場したロリータスタイル
By Greg – Flickr: IMG_6913, CC 表示-継承 2.0, Link
「流行」は即取り入れるのがファッション界。
リボン、レース、フリル、花柄など甘いロリータテイストが続々とデザインに取り入れられるようになったのです。
簡単にロリータ「テイスト」(ロリータ「っぽい」)服が着られる夢のような状態になりましたが、やはりどうしても完全なロリータ服とはいきませんでした。
ロリータ服ブランドが出すロリータ服と一般ブランドが出す甘めのテイストの服。
この差はかなり大きくてロリータ服はどんなに着崩しても「カジュアル」にはなりません。
▼一般ブランドが出す甘めのテイストの服の例。一般的に浮かないギリギリのラインの物が多い。
物によってはパーカーやスウェットなどのカジュアル素材も存在しますが、ロリータ服の醍醐味はなんといっても「やりすぎ上等」。
頭物から鞄、靴に至るまで引き算を知らないロリータ服は、絶対にカジュアルになり得ないのです。
一般ブランドの服はそこまで過剰な装飾はないものの、ロリータの流行後は格段に「可愛いモチーフ」が増えました。一般流通している生地と生産ラインを使いますから、値段も安価です。
ロリータ服ほど異質な感じは受けない、カジュアルにも着られる可愛さといったらいいでしょうか。
「カジュアルロリータブランド」という言葉が出来たくらい、以前と比べるととても気楽に着られる状況になりました。
ブームが生んだ「ブランド格差」
気軽にロリータテイストが楽しめるようになったのは嬉しい反面、気合を入れてロリータ服を着る人口が減って少し寂しい気持ちもあります。
ロリータ服ブランドはプリント生地やレースがオリジナルだったり、使う布の量が多いためどうしても高価になりがち。
ファストファッションが流行し、カジュアルロリータブランドが安価なロリータテイストを提供してくれるようになれば、どうしても押し負けてしまいます。
本当は同じロリータを愛好する者同士、みんな仲良く居られたらいいのですが、流行したことで亀裂が生じました。それが「ブランド格差」です。
特定のロリータ服ブランドのファンが、他のブランドの服を着ている人のことを見下す。
カジュアルロリータブランドの服を着ている人のことを「あんなのロリータじゃない」と馬鹿にする。そういった現象は(悲しいことですが)今現在もあります。
私自身、今より尖っていた若かりし頃はカジュアルロリータや後述するパクりブランドを着た人を馬鹿にしていました。
他人を不快にさせただろうと思うと反省しきりです。
実はロリータ服が流行し始めてから「デザインのパクりブランド」も台頭してきました。ロリータ服ブランドがデザイナーを使っていちからデザインした服、書き下ろしたオリジナルプリントを、そのまま流用して国外縫製してしまうブランドです。
そういったブランドは通常より安価ですから、何も知らない人やお金のない学生はそこから購入してしまうのです。
長年ロリータ服を着ている人はそういった内情に敏感で、パクりブランドから買うことを避ける人も多く、そこの服を着ている人のことを過剰に馬鹿にしました。
ブランド格差に対して気をつけたいこと
前述したように、ロリータファッションのブームにより安価にロリータファッションが楽しめるようになった一方で「ブランド格差」が生じ、カジュアルロリータを着ている方を馬鹿にするという風潮も生まれました。
そのことを踏まえて、これからロリータ服を着たいと思っている方、または既に着ている方にロリータファッションをより楽しむ上でお伝えしたいことがあります。
個人的な意見としては、ロリータ服は本来「学校や職場には着て来ることを全力で止められ、周囲から大注目されるくらい目立つ服」だと思っています。
それに対して、カジュアルロリータブランドなら学校や職場に行けたり、周囲から悪目立ちすることは避けられるでしょう。
自分自身の経済状況や生活環境を考え、どのブランドのどんな服を着るかは自分次第。人に迷惑さえかけなければ何を着ても自由です。
ただし、他人を馬鹿にするのは自由ですが、それを本人にわざわざ伝えるような行為はしなくてもいいことだと、今となっては思います(自戒を込めて)。
あのブランドの服が嫌い、あそこの服は本当のロリータじゃない、という言い方をSNSで発信するのは、相手ばかりか自分も傷つけるだけです。
ロリータファッションをこれから着る方、既に着ている方は以下のことに気をつけて楽しんでいただきたいと思っています。
【ブランド格差について気をつけたいこと】
- 着ている本人が「これはロリータです!」と言えば本人の自由。あえて否定するのはやめましょう。(という心境です。)
- 特定のブランドに対する批判は控えた方がよいでしょう。
- SNSやLINEで書くと結果的に自分の首を絞める可能性があります。
- あくまで自分の一意見として現実世界の友人と議論する程度にとどめた方がよいでしょう。
さてここまで2ページにわたってロリータファッションの流行についてお伝えしてきました。
ロリータファッションは流行に伴い、オタク文化と融合していきます。次のページではロリータファッションとオタク文化の関係、またロリータファッションとコスプレの違いについて解説いたします。
『ロリータファッション入門』目次へ (全22ページ)
はじめに
第1章 魅力は何か?
第2章 流行の変遷
第3章 ジャンル
第4章 化粧・髪型・洋服のポイント
第5章 現実とのバランスを考えて楽しもう
第6章 ロリータを理解する
おわりに
著者:佐藤遊佳(さとう ゆうか)
高校卒業と同時にロリータファッションに目覚め、以来13年間私服ではずっとロリータ服やゴシック&ロリータ服を着続ける。鍼灸師として患者さんを診るかたわら、ロリータファッションの服飾小物、アクセサリーの個人作家として活動。現在は結婚し地元で鍼灸院を開業し、執筆活動もしている。
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