ミルクグラス(ミルクガラス)入門 ~日常で使えるヴィンテージ食器~

ミルクグラスとは

ミルクグラスは魅力満載のヴィンテージ食器です。見た目が可愛い、ドリンクが透ける、手頃で丈夫、集めて楽しい、どんな料理にも合う…。知れば知る程ミルクグラスをきっと欲しくなることでしょう!

ミルクグラス(ミルクガラス)とは

第1章 種類

ミルクグラスはマグカップをはじめとして、プレートや保存容器など様々な種類の食器があります。この章では様々な種類のミルクグラスを紹介します。

ミルクグラスの種類
アドバタイジングカップとは
おすすめミルクグラスを紹介

第2章 ブランド

ミルクグラスはブランドごとに異なる特徴があります。お気に入りのミルクグラスを見つける際の参考にしてみてください。

ファイヤーキング パイレックス
ヘーゼルアトラス フェデラル グラスベイク
ジャネット・マッキー

第3章 購入方法

ミルクグラスを購入するにあたって、事前に知っておいた方がよい知識があります。保存状態による相場の違いなどを知っておくと、とても役に立つことでしょう。

ミルクグラスの購入方法
ミルクグラスのバックスタンプとは

第4章 マニアの世界

ミルクグラスは日常で使ったり、集めたりするだけが楽しみではありません。マニアックな楽しみ方もあるのです。

ミルクグラスの歴史
ミルクグラスが登場する映画

 

ミルクグラス写真館はこちら

著者が保有するミルクグラスの写真を集めました。見ているだけでワクワクするミルクグラスをとくとご覧ください!

アドバタイジングカップとは ~広告入りのミルクグラス~

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ミルクグラスは1950年頃のアメリカで誕生したヴィンテージ食器です。ミルクグラスはヴィンテージなのに丈夫でリーズナブル!ハイセンスで可愛くどんな料理にも合わすことができる「日常で使えるヴィンテージ食器」なのです!

『ミルクグラス入門~日常で使えるヴィンテージ食器~』はこちらから!

著者:大柴あまね

30代後半女性。10代の頃からミルクグラスの情報を収集。20代後半から購入しはじめ収集歴は10年程度。現在は定期的に専門店に通い流通をチェックしている。

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アドバタイジングカップとは

 

ミルクガラスのカップやボウルには企業広告やロゴの入ったものがあります。

これはアドバタイジング食器と呼ばれる分類ですが、企業広告が入っているものであればブランドの垣根を超えて「アドもの」「アドバタイズメント」などと呼ばれ親しまれています。

 

▼アドバタイジング食器:ボウル(画像クリックで商品詳細へ)

 

中でも広告入りのマグカップは「アドバタイジングカップ」と言い、「アドマグ」と省略して呼ばれております。アドマグ専門のコレクターもたくさんいます。

 

▼アドマグの例(画像クリックで商品詳細へ)

 

アドものは企業がチラシを撒くように顧客に配った完全に広告目的の食器です。1960年代からはじまり1980年まで製造され数多く出回りました。

配られた後は一般家庭で使用され、さらに企業マニアが収集するという過程を経て、現在たくさんのアドバタイズものが流通しています。

 

デザインによっては高値がついているもの、人気のものやレアなものなどがあります。自分の好きなものだけを集めるなどの楽しみ方があるのがアドバタイジングものの魅力です。

 

【コラム】当時のアドものの扱い

アドものが配られていた当時は「無料配布するフライヤー」というような扱いでした。マックでは朝マックのおまけだったそうです(おそらくコーヒーを入れてそのまま持って行くスタイルです)。また銀行やガソリンスタンドなどではオープン記念に渡すものでした。

アドマグは「無料でもらえて、つい家で使ってしまう食器」だったのだと思います。現在で言えば、エビスビールのおまけについてくる神泡グラスのようなものでしょうか。

既に生産されていないアドものですが、現在まで残っているのは各家庭か、配布している会社が保管していたものです。中には配布されず残っている未使用品もあったりします。とても貴重です。アドマグは無料配布品ですが、その時しか手に入らなかったものとしてレアになったものも数多くあります。

 

企業の系統別にアドマグを紹介

 

アドバタイジングものを作っていた企業の業態や業種には傾向がありました。以下では企業の系統別にアドバタイジングマグを紹介いたします。紹介しているマグは全て定番のものです。

 

ハンバーガー系

バーガーキング

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ハンバーガーショップでお馴染みの「バーガーキング」のマグです。ファイヤーキングのアドマグの中でもダントツの人気で、出回っていますがかなり高値がついています。

 

ファイヤーキング

アメリカのガラス製造メーカーであるアンカーホッキング社の看板商品となった耐熱用ミルクグラス。ヴィンテージ食器であり、国内・海外でたくさんのコレクターに愛されている。ファイヤーキングの詳しい解説は第2章の1ページ目にて

 

マクドナルド


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こちらもお馴染みのハンバーガーショップ「マクドナルド」のマグです。製造ブランドはファイヤーキングのものですが、流通数が多いので手を出しやすいアドものでしょう。

上の写真はカナダ版で、Mマークの下部に小さくカナダの赤いメープルリーフ(カエデの葉をあしらったカナダの国旗)が描かれています。

 


レストラン系

ボナンザ

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「ステーキハウスボナンザ」のマグです。

製造ブランドはファイヤーキング。ボナンザは積極的に広告として配っていたため、ボナンザのアドマグは特に多く出回っています。

ステーキハウスボナンザのものでも、マグの形違い、色違い、ロゴの大きさ違いなど、様々なデザインのものが存在します。当時のボナンザファンはたくさん集めていたことでしょう。

 

銀行系

ノースウエスタンバンク

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銀行系で人気の「ノースウエスタンバンク」のマグカップです。ノースウエスタンを示すように、方位磁石のNとWの間を矢印が示しているところがおしゃれですね。

こちらは色違いが数種類出回っています。ブランドはファイヤーキング、形はスタッキングマグ(上下に重ねることができるマグ)です。

 

スタッキングマグなどミルクグラスの形については前ページで解説! スタッキングマグなどミルクグラスの形については前ページで解説!

 

セキュリティバンクマグ


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「セキュリティバンクマグ」はグラスベイクというブランドが製造したアドマグです。

銀行系のマグは飲食店系よりも少し地味で落ち着いた印象があります。銀行の建物をそのまま描いたイラストがなんとも静けさを感じられるデザインです。

 

カフェ系

スタッキーズ

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ガソリンスタンドに併設されたコーヒーショップ「スタッキーズ」のアドマグ。こちらはファイヤーキングです。スタッキーズは可愛らしいカラーで今でも求める人が後を絶ちません。

 

ダンキンドーナツ


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「ダンキンドーナツ」はグラスベイクが手がけるアドマグです。ロゴのセンスが秀逸なダンキンドーナツのアドマグは現在でも人気で、プリントが剥がれやすいのでキレイに保存されたものは貴重品です。

 

自動車系

グッドイヤー

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タイヤメーカーの「グッドイヤー」のアドマグです。ファイヤーキングのDハンドルマグにプリントされているのは可愛い飛行船です。

 

Dハンドルマグ
取っ手(ハンドル)が「D」の形なのでこの名前で「Dハンドルマグ」と呼ばれている。

 

シェル石油

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日本でもおなじみの会社である「シェル石油」のアドマグです。現在良く見るロゴとはちょっと違うのが面白いところですね。

▼シェル石油のロゴ


By AntonioMartinOwn work, CC BY-SA 4.0, Link 

 

ロゴはファイヤーキングのリブドボトムマグにプリントされています。

 

リブボトムマグとは
リブ=波のような模様。ボトム=足の部分。ということでスタッキングマグ(足つきのマグ)の中でも足がなみなみになっているデザインのものを指します。

 

フォード

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自動車会社の「フォード」のロゴがプリントされたもの。

トライカウンティトラクターズという販売会社が当時フォード車を取り扱っていて、その時に製造されたアドマグです。(現在のトライカントリー社の公式HP

カップはファイヤーキングのDハンドル。

 

マグ以外のアドバタイジングもの

ハインツ

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ケチャップでお馴染みの食品メーカー「ハインツ」のアドバタイジングものです。こちらはなんと手のひらサイズのボウルにプリントされた珍しい一品。

ファイヤーキングのジェダイシリーズのチリボウルに赤で可愛らしくプリントされています。

 

ファイヤーキングのジェダイシリーズ

ミルクガラスの最も定番と言えるシリーズ。ミルクガラスが誕生して間もない頃に誕生し、大人気となった。あまりの人気ぶりから他社による類似品も多く出回った。ジェダイとは翡翠色のこと。

▼ファイヤーキング ジェダイ Dハンドルマグ

 

アドバタイジングのマグやボウルはここでは紹介しきれないくらい、とにかくたくさん流通しています。自分好みのものを探してみるのも楽しみ方のひとつ。

知っているロゴが集まると嬉しくなりますね。1960年代からはじまり1980年にアメリカで製造されたいたアドバタイジングものですが、当時どんな企業が活躍していたのか、楽しみながら眺めてみるのも良いでしょう。

 

次のページではおすすめミルクグラスを「朝食」「和食」などのシーン別に紹介いたしましす。

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ミルクグラスの種類 ~どんな色と形がある?~

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ミルクグラスは1950年頃のアメリカで誕生したヴィンテージ食器です。ミルクグラスはヴィンテージなのに丈夫でリーズナブル!ハイセンスで可愛くどんな料理にも合わすことができる「日常で使えるヴィンテージ食器」なのです!

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ミルクグラスはマグカップが多く流通しているので、マグカップのイメージが強いと思います。

ただ、ひとえにミルクグラスと言ってもプレートや保存容器など様々な食器が作られています。またマグカップにも様々な形状のものがあるのです。

ここではミルクグラスの食器の種類や形状についてお伝えします。ぜひお気に入りのミルクグラスを探す参考にしてくださいませ。

 

マグカップ

▲筆者のマグコレクションの棚

 

まずはマグカップを紹介いたします。

「ミルクグラスといえばマグカップ!」と言われるほど定番のアイテムです。マグカップだけのコレクターもいることから、数ある食器の中でも流通するミルクグラスの大半はマグカップです。

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ミルクグラス(ミルクガラス)の歴史

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ミルクグラスは1950年頃のアメリカで誕生したヴィンテージ食器です。ミルクグラスはヴィンテージなのに丈夫でリーズナブル!ハイセンスで可愛くどんな料理にも合わすことができる「日常で使えるヴィンテージ食器」なのです!

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この章ではミルクグラスのややマニアックな内容である「歴史」「ミルクグラスが出てくる映画」についてお伝えします。

知ればさらにミルクグラスを楽しめることでしょう。このページではミルクグラスの歴史を解説いたします。

 

ミルクグラス(ミルクガラス)の誕生

 

「ミルクグラス(ミルクガラス)の歴史はアメリカの歴史」

そう言えるほど、ミルクグラス食器はアメリカの人々の生活に密着してきました。

1900年代のアメリカは大量生産の時代に突入しており、工場で美しいガラスを生産する技術が飛躍的に向上していった時代でした。

 

大量生産の時代

アメリカでは1920年代頃から自動車が普及するなど科学技術の発達により、生産にかかるコストが安くなり、あらゆる製品が安く手に入るようになった。それにともないガラスも大量生産できるようになった。

 

1932年にたくさんあったガラスボトル製造会社の一つであるジャネット社(Jeannette)は新しい食器シリーズ「キッチンウエアシリーズ」をリリースしました。

「キッチンウエアシリーズ」はクリアグラス(透明なグラス)などもありましたが、このシリーズにはミルクグラスが含まれていました。これがミルクグラスの歴史のはじまりです。(ちなみに、現在でも「キッチンウエアシリーズ」の入手は不可ではありませんが、ミルクグラス初期のものはかなり貴重なので、難しいかもしれません。持っていたら確実に長年のマニアです。)

 

ミルクグラスとクリアグラスの違い
クリアグラスは透明なグラスです。ミルクグラスはクリアグラスに乳白色を混ぜ込んだものです。

 

ジャネット社は後にファイヤーキングで有名になるミルキーグリーンカラーのシリーズ「ジェダイ(Jadite)」の名付け親でもあります。ジャネット社がジェダイを開発し、それを真似して作ったアンカーホッキング社のファイヤーキング「ジェダイ」が人気を獲得します。

 

ファイヤーキングとは

ミルクグラスの代表的なシリーズ。ファイヤーキングのジェダイ(翡翠色)は大人気となり、似たような商品が多く出回った。

▼ファイヤーキング  ジェダイ

▼詳しいファイヤーキングの紹介ページ

 

このようにしてミルクグラスは誕生、そして人気を獲得し、1950年代からのアメリカの食卓にて多くが使用されたのでした。

 

ブランドごとに見るミルクグラスの歴史

 

しかし、ミルクグラスと一口に言ってもそれぞれの会社が出しているブランドごとに歴史も異なります。

以下ではミルクグラスの歴史を、主要ブランドである【グラスベイク】【フェデラル】【ヘーゼルアトラス】【ファイヤーキング】の4種類に分けてお伝えします。

歴史を知ればブランドへの愛着も深まるかもしれません。

 

ミルクグラスの年表一覧

※それぞれのブランドの歴史の解説は年表の下にございます。

年代 グラスベイク フェデラル ヘーゼルアトラス ファイヤーキング
1853 マッキーグラスカンパニー創業
1900 フェデラル社創業
1902 ヘーゼルアトラス社創業
1905 アンカーホッキング社創業
1917 耐熱ガラスブランド「グラスベイク」誕生
1932 ジャネット社によりミルクグラス初リリース
1936 ミルクグラス製造開始
1941 「ファイヤーキング」リリース
1951 マッキー社がサッチャーグラス社に買収
1956 ヘーゼルアトラス社がCCC社に買収
1960~ アドバタイジングマグが数多く出回る(1980年まで)
1961 サッチャーグラス社をジャネット社が買収
1980年 フェデラル社買収、製造終了
1970年代 ヘーゼルアトラス製造終了
1983 グラスベイク製造終了
1986 ファイヤーキング製造終了

 

グラスベイク(GLASBAKE)

 

1853年に創業したマッキー社(マッキーグラスカンパニー)は、1917年に耐熱ガラスブランド「グラスベイク」を生み出しました。

グラスベイクは、当時のライバルである「コーニング社のパイレックス」に対抗するために作られた「耐熱で冷蔵温度でも耐えられるクリアガラス」です。これが成功し、後にミルクガラスの製造に移行しました。

当時のミルクグラスは一番大きいマグでも9オンスでしたがグラスベイクブランドのマグは10オンス(約300ml)マグも作られました。また当時画期的だったカラーインク吹き付け技術を使ってプリントマグが多く生産されたのもグラスベイクの特徴です。

 

【コラム】カラーインク吹き付けとは

白ベースのマグに塗料を塗ってあるものは、全てカラーインクを吹き付ける方法で塗装されています。特に全面に塗られた単色の物やグラデーションのものは「カラーインク吹き付けマグ」とされます。この技術を使ってプリントマグを広めていったのです

 

グラスベイクは大人気となり、1951年にサッチャーグラス社に買収されるまで長く愛されていました。

 

▼グラスベイクのスープマグ

 

マッキー社のミルクグラス部門「グラスベイク」はサッチャーグラス社に買収されますが、買収から10年後(1961年)に先述のジャネット社(キッチンウェアシリーズを開発した会社)が買収しています。

 

 

1961年以降に製造されたグラスベイクは、マッキー社ではなくジャネット社のものです。そして、現在残っている貴重な食器たちもほとんどがジャネット社のものなのです。

とはいっても、現在ではそんなグラスベイクも数が大変少なくなっており、レアアイテムとしてコレクターに大事にされています。

ミルクグラスの歴史の中には、ミルクグラスの製造が自由に行われ人気を博した一方で、買収やガラス製造会社の閉鎖などもたくさんあったのでした。

 

 

フェデラル

 

現在でも大人気のガラス製造会社「フェデラル社(federal)」は1900年にアメリカのオハイオ州で創業しました。

フェデラル社は現在でも数多く残っている可愛らしい色合いの製品を製造しました。現在ではフェデラルのマグに似た食器が多くありますが、それはフェデラルのデザインがあまりに高評価で、1940年頃に各メーカーが真似したためといわれています。

ミルクグラスの他にクリアガラス製品もたくさん製造しており、大量生産の時代の波によって、1960年代~1980年にかけてフェデラル社のアドバタイジングマグは数多く出回りました。

 

▼アドバタイジングマグ(詳しい解説は第1章にて)

 

特にディズニーのキャラクターがプリントされたものや、有名企業のロゴが入ったアドバタイジングマグなど、1960~1980年は広告としてマグカップが使われ始めた時代でもありました。

 

▼アドバタイジングマグ(銀行のロゴが入っている)(画像クリックで商品詳細へ)

 

そんな企業のオーダーによって、フェデラル社のミルクグラスは瞬く間に人々の生活に入り込んでいきました。

 

 

ヘーゼルアトラス


▲ヘーゼルアトラス社

 

フェデラル社の創業から2年後の1902年に「ヘーゼルアトラス社(Hazel-Atlas)」が設立されました。

ヘーゼルアトラス社は食品保存用のガラス容器が主力でしたが、1936年よりミルクグラスの製造を開始し始めます。

ヘーゼルアトラス社のミルクグラスは、パステルカラーの可愛らしい色合いが子どもに人気となりましたが、1956年にCCC(コンチネンタル・カン・カンパニー)社に買収され、事実上の閉鎖となりました。

 

▼ヘーゼルアトラスのチャイルドマグ(子供向けのマグカップ)

 

しかしその人気は続き、CCC社の傘下となっても1970年代まで「ヘーゼルアトラス(Hazel-Atlas)」の名前で製造されていました。

現在でもその時の可愛いパステルカラーのミルクグラスたちが残っており、コレクターを中心に大事にされています。

 

 

ファイヤーキング(Fire-King)

 

フェデラル社とへーゼルアトラス社とほぼ同時期である1905年に創設されたのが、現在でもミルクグラスの製造販売を行う「アンカーホッキング社(Anchor Hocking)」です。創業当初は「ホッキンググラス社」という名前でした。

アンカーホッキング社は、ミルクグラス好きなら誰もが知っている「ファイヤーキング(Fire-King)」というミルクグラスブランドを手掛けた製造会社です。

 

▼ファイヤーキングのミルクグラス

 

アンカーホッキング社は、なんと日本のスーパーやホームセンターでも販売されている金魚鉢も手掛けているから驚きです。実は私たち日本人の生活にもなじみのある会社なのです。

 

アンカーホッキング社はクリアガラスを製造していましたが、1941年に手掛けたミルクグラスブランド「ファイヤーキング」が大ヒットしました。現在ではファイヤーキングだけのマニアもいることからも当時の人気ぶりが伺えます。

このファイヤーキングはミルクグラス製造が終了する1986年まで大量生産され続け、レストランやカフェをはじめ家庭用食器としてもとても愛されていました。

製造が終了してからも中古品として世の中に出回り、現在ではヴィンテージ食器の代表として愛され続けています。

 

このアンカーホッキング社は現在でもたくさんのガラス製品を製造しているガラス会社なのですが、近年では「ファイヤーキングジャパン」として復活し、耐熱皿や所ジョージさんをはじめとした有名タレントのカップも販売しています。

▼所ジョージさんとファイヤーキングが共同制作したカップ(画像クリックで商品詳細へ)

 

▼ファイヤーキングジャパン公式HP


引用:https://fireking-japan.com/

 

 

ミルクグラスは当時の面影を残しながらも現代版に形を変えて、新たな時代を歩んでいるのです。

以上、ミルクグラスの歴史を紹介いたしました、次のページではミルクグラスが出てくる映画を紹介いたします。マニアは映画に出てくるミルクグラスを映画の内容そっちのけで楽しんでいたりするのです。

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グラスベイクとは 【ミルクグラス主要ブランド6選】

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この章ではミルクグラス(ミルクガラス)の主要ブランド6種類をページごとに解説しています。

お気に入りのミルクグラスを選ぶ参考にしてください。そして、見て触って気に入ったものを買うのがよいでしょう。

このページでは「グラスベイク」について紹介いたします。

 

▼主要ブランド6選

ブランド名 社名 特徴
ファイヤーキング アンカーホッキング ファイヤーキングジェダイはミルクグラスの代表的存在。種類が豊富。
パイレックス コーニング ボウルやカップの周りをぐるりと覆う美しい模様。
ヘーゼルアトラス ヘーゼルアトラス 全体的に珍しい形のものが多い。刻印のシンプルさが魅力。
フェデラル フェデラル 各メーカーも真似する。堂々としたプリントデザイン。
グラスベイク マッキーグラスカンパニー 未来的なミルクグラスで人気獲得。スープに特化したマグがある。
ジャネット・マッキー ジャネット・マッキー とにかく古くてレア。

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フェデラルとは 【ミルクグラス主要ブランド6選】

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この章ではミルクグラス(ミルクガラス)の主要ブランド6種類をページごとに解説しています。

お気に入りのミルクグラスを選ぶ参考にしてください。そして、見て触って気に入ったものを買うのがよいでしょう。

このページでは「フェデラル」について紹介いたします。

 

▼主要ブランド6選

ブランド名 社名 特徴
ファイヤーキング アンカーホッキング ファイヤーキングジェダイはミルクグラスの代表的存在。種類が豊富。
パイレックス コーニング ボウルやカップの周りをぐるりと覆う美しい模様。
ヘーゼルアトラス ヘーゼルアトラス 全体的に珍しい形のものが多い。刻印のシンプルさが魅力。
フェデラル フェデラル 各メーカーも真似する。堂々としたプリントデザイン。
グラスベイク マッキーグラスカンパニー 未来的なミルクグラスで人気獲得。スープに特化したマグがある。
ジャネット・マッキー ジャネット・マッキー とにかく古くてレア。

 

フェデラル(Federal)とは

 

フェデラルはフェデラル社のガラスブランドです。

フェデラル社はミルクグラス創生期の1900年に創業し、1980年に買収されるまで80年に渡って可愛らしい食器を作り続けました。

たくさん揃えるとファイヤーキンググラスベイクのものとそっくりの形のマグもあります。これはフェデラルのデザインがあまりに高評価で、1940年頃(ミルクグラス全盛期)に各メーカーが真似したためといわれています。

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ヘーゼルアトラスとは 【ミルクグラス主要ブランド6選】

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お気に入りのミルクグラスを選ぶ参考にしてください。そして、見て触って気に入ったものを買うのがよいでしょう。

このページでは「ヘーゼルアトラス」について紹介いたします。

 

▼主要ブランド6選

ブランド名 社名 特徴
ファイヤーキング アンカーホッキング ファイヤーキングジェダイはミルクグラスの代表的存在。種類が豊富。
パイレックス コーニング ボウルやカップの周りをぐるりと覆う美しい模様。
ヘーゼルアトラス ヘーゼルアトラス 全体的に珍しい形のものが多い。刻印のシンプルさが魅力。
フェデラル フェデラル 各メーカーも真似する。堂々としたプリントデザイン。
グラスベイク マッキーグラスカンパニー 未来的なミルクグラスで人気獲得。スープに特化したマグがある。
ジャネット・マッキー ジャネット・マッキー とにかく古くてレア。

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パイレックスとは 【ミルクグラス主要ブランド6選】

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この章ではミルクグラス(ミルクガラス)の主要ブランド6種類をページごとに解説しています。

お気に入りのミルクグラスを選ぶ参考にしてください。そして、見て触って気に入ったものを買うのがよいでしょう。

このページでは「パイレックス」について紹介いたします。

 

▼主要ブランド6選

ブランド名 社名 特徴
ファイヤーキング アンカーホッキング ファイヤーキングジェダイはミルクグラスの代表的存在。種類が豊富。
パイレックス コーニング ボウルやカップの周りをぐるりと覆う美しい模様。
ヘーゼルアトラス ヘーゼルアトラス 全体的に珍しい形のものが多い。刻印のシンプルさが魅力。
フェデラル フェデラル 各メーカーも真似する。堂々としたプリントデザイン。
グラスベイク マッキーグラスカンパニー 未来的なミルクグラスで人気獲得。スープに特化したマグがある。
ジャネット・マッキー ジャネット・マッキー とにかく古くてレア。

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ミルクグラス(ミルクガラス)とは ~毎日使えるヴィンテージ食器の魅力~

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ミルクグラス(ミルクガラス)とは

基本情報

▲ファイヤーキング Dハンドルマグ

 

ミルクグラスは1950年頃のアメリカで誕生したヴィンテージ食器です。乳白色が練り込まれたガラスである「ミルクグラス」を使用した食器のことを指します。「ミルクガラス」とも呼ばれます。

 

相場 【ファイヤーキング ジェダイDハンドルマグ(上記写真右)の場合】
3000円~20000円程度
※品物の状態・色の違い・取扱店舗・傷の有無などで大きく変動
耐熱性 オーブンと冷蔵で使用可。直火と冷凍はNG。
電子レンジ 可能
食洗機 食洗器は可能。漂白剤はNG。
注意事項 冷えたタンブラーに熱いお湯を注ぐなど急激な温度差を伴う使用は厳禁。
種類 マグカップ/皿/ティーカップ/ボウルカップ&ソーサー/ベーキングプレート(焼き皿)/調理用ボウル/など

 

ミルクグラスは1950年代のアメリカで生まれました。

美しく可愛らしいミルク色のガラス食器は、アメリカの一般家庭だけでなく、数多くの飲食店で親しまれてきました。

もちろんその波ははるか遠くの日本にも。そして現代ではヴィンテージ食器として収集家や愛好家に長く愛されています。

 

【コラム】なぜ現在では生産されていない?

50年代を過ぎてからプラスチックが出回るようになり、主力になったためです。プラスチックは軽いため輸送費が安く、材料費も安い、また加工の手間も少ないとあってガラス加工は時代とともに減少していったと言われています。近年はアメリカのガラス会社であるアンカーホッキング社が「ファイヤーキングジャパン」として復活し、カップや耐熱皿を販売しております。また日本のオールドミルクガラス社も生産しています。(オールドミルクガラス公式サイト

 

ミルクグラスの特徴

▲ファイヤーキング コンコード

 

ミルクグラスは日本で昔から使われていた陶磁器とは違い、ガラス本来のつるつるとした手触りをしています。

土を感じる食器類とはまったく違う素材でありながら、カップのくびれやハンドのカーブが手のひらにフィットする使いやすさは、陶磁器とは違った使い心地でとても革新的なものでした。

ガラスというと「すぐ割れそう」「壊しそうで毎日使うのはちょっと怖い」という儚げなイメージがありますが、このミルクグラスはちょっと違います。

落としても簡単には割れないほど分厚く、

口当たりも丸みがあり、

とても丈夫な食器なのです。

この丈夫さがあったからこそ、現代まで割れずにその多くが長く残っているのでしょう。

ミルクグラスは注がれたドリンクが透けて見えます。中に入れた飲み物が外側から微かに透けて見える時も、飲む時に内側から外の光が透けて見える時も魅力的です。

 

▼ファイヤーキング リブボトムマグ

 

マグカップが多い

 

ちなみに、ミルクグラスを探してみると食器の中でも「マグカップ」を際立ってよく見ると思います。

これはマグカップばかり製造していたメーカーが多いためだと思います。

その理由は、ロゴ入りマグカップで広告したいという企業が多かったためです。広告入りマグを「アドバタイジングマグ」といいます。

 

▼アドバタイジングマグ

 

なので残っているマグカップにはマックやディズニー、銀行、病院、カフェなどのロゴが入っているものが多くあります。

これらはその企業が宣伝のために配ったものですが、後に「マクドナルドマニア(ミルクグラスに限らずあらゆるマクドナルドグッズを集めるマニア)」などの企業マニアによって集められ、今たくさん残っているというわけです。チラシの代わりになっていたので、製造数はかなりの数になったことが予想できます。

 

マグカップが多い理由は他にもあります。

マグカップ以外の食器、例えばプレート類は使用中に輸送中などに割れてしまう確率が高かったです。そのため輸送しても割れにくいマグカップが多く製造されたと言えるでしょう。

また商品の幅を広げることでコストもかかることを懸念し皿の型を用意しなかったメーカーがマグカップ以外を製造しなかったことも一因と思われます。

 

ミルクグラスの定番の緑色

▲写真右:ファイヤーキング ジェダイ

 

ミルクグラスのマグカップの中でも特に緑色のマグカップをよく目にすると思います。

これは、ミルクグラスが誕生から間もない時に、アメリカのガラス食器メーカー・ジャネット社が製造した「JADITE(ジェダイ)」が大人気となったため、ミルクグラスと言えばこの色になりました。

(ちなみに開発したのはジャネット社ではありますが、アンカーホッキング社が真似して緑色のマグカップを製造。「ジェダイをわが社の看板のひとつにしたい」という戦略が功を奏し「ミルクグラス=ファイヤーキング=ジェダイ」というイメージになりました。)

 

ファイヤーキング

アメリカのガラス製造メーカーであるアンカーホッキング社の看板商品となった耐熱用ミルクグラス。ヴィンテージ食器であり、国内・海外でたくさんのコレクターに愛されている。ファイヤーキングの詳しい解説は第2章の1ページ目にて

 

あまりに人気だっため他社も真似し「Jad-ite」や「Jade-ite」と微妙に名前を変えて販売していたため、結果似た色のものがたくさん出回ることとなりました。

ファイヤーキングは当時のアメリカでも大人気でしたが、現代の日本人が特に好きで、日本はこれに偏って流通しています。

そのため日本人が買ってくれるからという理由でバイヤーもたくさん仕入れています。現地のアメリカではもう無くなってきており、そのほとんどを日本人コレクターが所有しているという話をバイヤーさんから聞きました。

 

ミルクグラスが広まった経緯

 

1950年頃のアメリカはベビーブームの真っ只中であったにも関わらず、この一見落として割れてしまいそうな印象のガラス食器が家庭用食器として急速に広まっていきました。

それは丈夫である他にも、子供が好んで使いたがるような見た目の可愛らしさにも人気の秘密があったのです。

食器業界は当時、塗料の吹き付け技術が向上し色をはっきりとキレイに出すことに成功しました。

そのおかげで、ミルクグラスはガラスとは思えないほどのカラフルさで大人気となりました。

加えて細かな装飾のついたものなど、ミルクグラスは一般家庭で毎日使われるものでありながら、美しさも楽しめるデザインで人々の目を楽しませていました。

 

【コラム】それまでの食器

ガラス製造業はミルクグラスよりも先にクリアガラス(透明なガラス)から始まりました。

▼1940年代のクリアグラス

当時の技術では透明度がまだ甘く、キレイとは言えませんでした。古いガラスを見ますと、透明ではありますがガラスの中によじれや屈折を感じるものがありガラス製造技術の未熟さを感じることができます。現在の窓ガラスのようにゆがみのない透明のガラスを創り出す事ができなかったのです。

▼当時のグラス:ガラスよれが見られる

▼当時のグラス:不純物が混入が見られる

加えてインクをきれいに出したり長持ちさせたりする技術もまだ進んでいなかったので、ミルクグラスのカラフルな色は劇的な進化だと言えると思います。写真は私が持っている当時のクリアガラスなのですが、かなり割れやすくインクも剥げやすくなっています。

 

置いておくだけでワクワクするようなカラフルな食器を見ると、ミルクグラスが作られた当時のアメリカは、人々が家庭に寄り添い、子供が多く、元気のある時代であったことが伝わってきます。

また、ガラス表面を凹凸加工して植物や人を描いているカップなど美しい装飾の施されたものもたくさんあるため、家庭レベルの食器だけでなく、街のカフェや格式のあるレストランでも使用されていたことが伺えます。

 

【装飾の施されたカップ:凹凸加工の例】

▼エンボス加工(裏面を押し上げて浮かす加工)が施されたカップ

 

このようにミルクグラスを眺めているだけで、当時の時代背景も手に取るように分かり、古き良きアメリカを身近に感じることができるのです。そんなところもミルクグラスの大きな魅力です。

 

ミルクグラスの魅力

 

そんなミルクグラスの最大の特徴は、今でも家庭で日常的に使えるということ。

なんと言ってもミルクグラスは「毎日使えるヴィンテージ食器」なのです!

ミルクグラスは本来スーパーマーケットや雑貨店で安く販売されていた家庭用食器だったことから、とにかく丈夫で長持ちするものとして作られました。

おかげで現在でもその可愛らしさを楽しむことができるのです。

 

アンティーク食器と言えば、西洋アンティーク食器を連想し「値段が高くて敷居が高い」と思ってしまう方もいます。

ただ、ミルクグラスは、週末のマーケットやフリマアプリなどで気軽に手に入れることができます。西洋アンティーク食器は美術品の域にあるため、そのような扱いはされないのではないでしょうか。(購入方法については第3章で解説。)

ミルクグラスは高価なものばかりではないため、敷居が低く日常に取り入れやすいのが特徴であると言えるでしょう。

 

美しく眺めて楽しむ美術品ではなく、あくまでも「使うもの」として愛されています。

また様々な形や色、デザインがあるため、どんなお料理にも合います。食卓にもぴったりなのです。アメリカで生まれたミルクグラスですが、日本食が多く提供される食卓にもしっくりくるミルクグラスもあるのです。

様々な場面にぴったりとなじむミルクグラスが、探せばきっと見つかることでしょう。

 

第4章1ページ目でシーン別におすすめのミルクグラスを紹介! 第4章1ページ目でシーン別におすすめのミルクグラスを紹介!

 

このWebonでは「毎日使いたくなるミルクグラスとはどんなものなのか」「どうやって入手したら良いのか」その魅力や使い方を余すことなくお伝えしていきます。今まで触れたことのなかった方にも興味をもっていただけたら幸いです。

 

次の章ではミルクグラスの種類についてお伝えいたします。まずは「ミルクグラスにはどんな色や形があるのか?」という基本的なことをお伝えいたします。

『ミルクグラス入門』目次へ  (全14ページ)



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目次著者

著者:大柴あまね

30代後半女性。10代の頃からミルクグラスの情報を収集。20代後半から購入しはじめ収集歴は10年程度。現在は定期的に専門店に通い流通をチェックしている。

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