『ミルクグラス入門~日常で使えるヴィンテージ食器~』はこちらから!
はじめに
ミルクグラス(ミルクガラス)とは ~毎日使えるヴィンテージ食器の魅力~
第1章 ミルクグラスの種類
第2章 ミルクグラス主要ブランド6選
第3章 ミルクグラスを購入する
ミルクグラスのバックスタンプとは ~ブランドと年代の見分け方~
第4章 ミルクグラスのマニアックな知識
『ミルクグラス入門』目次へ (全14ページ)
この章ではミルクグラスのややマニアックな内容である「歴史」「ミルクグラスが出てくる映画」についてお伝えします。
知ればさらにミルクグラスを楽しめることでしょう。このページではミルクグラスの歴史を解説いたします。
ミルクグラス(ミルクガラス)の誕生
「ミルクグラス(ミルクガラス)の歴史はアメリカの歴史」
そう言えるほど、ミルクグラス食器はアメリカの人々の生活に密着してきました。
1900年代のアメリカは大量生産の時代に突入しており、工場で美しいガラスを生産する技術が飛躍的に向上していった時代でした。
アメリカでは1920年代頃から自動車が普及するなど科学技術の発達により、生産にかかるコストが安くなり、あらゆる製品が安く手に入るようになった。それにともないガラスも大量生産できるようになった。
1932年にたくさんあったガラスボトル製造会社の一つであるジャネット社(Jeannette)は新しい食器シリーズ「キッチンウエアシリーズ」をリリースしました。
「キッチンウエアシリーズ」はクリアグラス(透明なグラス)などもありましたが、このシリーズにはミルクグラスが含まれていました。これがミルクグラスの歴史のはじまりです。(ちなみに、現在でも「キッチンウエアシリーズ」の入手は不可ではありませんが、ミルクグラス初期のものはかなり貴重なので、難しいかもしれません。持っていたら確実に長年のマニアです。)
ジャネット社は後にファイヤーキングで有名になるミルキーグリーンカラーのシリーズ「ジェダイ(Jadite)」の名付け親でもあります。ジャネット社がジェダイを開発し、それを真似して作ったアンカーホッキング社のファイヤーキング「ジェダイ」が人気を獲得します。
ミルクグラスの代表的なシリーズ。ファイヤーキングのジェダイ(翡翠色)は大人気となり、似たような商品が多く出回った。
▼ファイヤーキング ジェダイ
▼詳しいファイヤーキングの紹介ページ
このようにしてミルクグラスは誕生、そして人気を獲得し、1950年代からのアメリカの食卓にて多くが使用されたのでした。
ブランドごとに見るミルクグラスの歴史
しかし、ミルクグラスと一口に言ってもそれぞれの会社が出しているブランドごとに歴史も異なります。
以下ではミルクグラスの歴史を、主要ブランドである【グラスベイク】【フェデラル】【ヘーゼルアトラス】【ファイヤーキング】の4種類に分けてお伝えします。
歴史を知ればブランドへの愛着も深まるかもしれません。
ミルクグラスの年表一覧
※それぞれのブランドの歴史の解説は年表の下にございます。
年代 | グラスベイク | フェデラル | ヘーゼルアトラス | ファイヤーキング |
1853 | マッキーグラスカンパニー創業 | |||
1900 | フェデラル社創業 | |||
1902 | ヘーゼルアトラス社創業 | |||
1905 | アンカーホッキング社創業 | |||
1917 | 耐熱ガラスブランド「グラスベイク」誕生 | |||
1932 | ジャネット社によりミルクグラス初リリース | |||
1936 | ミルクグラス製造開始 | |||
1941 | 「ファイヤーキング」リリース | |||
1951 | マッキー社がサッチャーグラス社に買収 | |||
1956 | ヘーゼルアトラス社がCCC社に買収 | |||
1960~ | アドバタイジングマグが数多く出回る(1980年まで) | |||
1961 | サッチャーグラス社をジャネット社が買収 | |||
1980年 | フェデラル社買収、製造終了 | |||
1970年代 | ヘーゼルアトラス製造終了 | |||
1983 | グラスベイク製造終了 | |||
1986 | ファイヤーキング製造終了 |
グラスベイク(GLASBAKE)
1853年に創業したマッキー社(マッキーグラスカンパニー)は、1917年に耐熱ガラスブランド「グラスベイク」を生み出しました。
グラスベイクは、当時のライバルである「コーニング社のパイレックス」に対抗するために作られた「耐熱で冷蔵温度でも耐えられるクリアガラス」です。これが成功し、後にミルクガラスの製造に移行しました。
当時のミルクグラスは一番大きいマグでも9オンスでしたがグラスベイクブランドのマグは10オンス(約300ml)マグも作られました。また当時画期的だったカラーインク吹き付け技術を使ってプリントマグが多く生産されたのもグラスベイクの特徴です。
白ベースのマグに塗料を塗ってあるものは、全てカラーインクを吹き付ける方法で塗装されています。特に全面に塗られた単色の物やグラデーションのものは「カラーインク吹き付けマグ」とされます。この技術を使ってプリントマグを広めていったのです
グラスベイクは大人気となり、1951年にサッチャーグラス社に買収されるまで長く愛されていました。
▼グラスベイクのスープマグ
マッキー社のミルクグラス部門「グラスベイク」はサッチャーグラス社に買収されますが、買収から10年後(1961年)に先述のジャネット社(キッチンウェアシリーズを開発した会社)が買収しています。
1961年以降に製造されたグラスベイクは、マッキー社ではなくジャネット社のものです。そして、現在残っている貴重な食器たちもほとんどがジャネット社のものなのです。
とはいっても、現在ではそんなグラスベイクも数が大変少なくなっており、レアアイテムとしてコレクターに大事にされています。
ミルクグラスの歴史の中には、ミルクグラスの製造が自由に行われ人気を博した一方で、買収やガラス製造会社の閉鎖などもたくさんあったのでした。
フェデラル
現在でも大人気のガラス製造会社「フェデラル社(federal)」は1900年にアメリカのオハイオ州で創業しました。
フェデラル社は現在でも数多く残っている可愛らしい色合いの製品を製造しました。現在ではフェデラルのマグに似た食器が多くありますが、それはフェデラルのデザインがあまりに高評価で、1940年頃に各メーカーが真似したためといわれています。
ミルクグラスの他にクリアガラス製品もたくさん製造しており、大量生産の時代の波によって、1960年代~1980年にかけてフェデラル社のアドバタイジングマグは数多く出回りました。
▼アドバタイジングマグ(詳しい解説は第1章にて)
特にディズニーのキャラクターがプリントされたものや、有名企業のロゴが入ったアドバタイジングマグなど、1960~1980年は広告としてマグカップが使われ始めた時代でもありました。
▼アドバタイジングマグ(銀行のロゴが入っている)(画像クリックで商品詳細へ)
そんな企業のオーダーによって、フェデラル社のミルクグラスは瞬く間に人々の生活に入り込んでいきました。
ヘーゼルアトラス
▲ヘーゼルアトラス社
フェデラル社の創業から2年後の1902年に「ヘーゼルアトラス社(Hazel-Atlas)」が設立されました。
ヘーゼルアトラス社は食品保存用のガラス容器が主力でしたが、1936年よりミルクグラスの製造を開始し始めます。
ヘーゼルアトラス社のミルクグラスは、パステルカラーの可愛らしい色合いが子どもに人気となりましたが、1956年にCCC(コンチネンタル・カン・カンパニー)社に買収され、事実上の閉鎖となりました。
▼ヘーゼルアトラスのチャイルドマグ(子供向けのマグカップ)
しかしその人気は続き、CCC社の傘下となっても1970年代まで「ヘーゼルアトラス(Hazel-Atlas)」の名前で製造されていました。
現在でもその時の可愛いパステルカラーのミルクグラスたちが残っており、コレクターを中心に大事にされています。
ファイヤーキング(Fire-King)
フェデラル社とへーゼルアトラス社とほぼ同時期である1905年に創設されたのが、現在でもミルクグラスの製造販売を行う「アンカーホッキング社(Anchor Hocking)」です。創業当初は「ホッキンググラス社」という名前でした。
アンカーホッキング社は、ミルクグラス好きなら誰もが知っている「ファイヤーキング(Fire-King)」というミルクグラスブランドを手掛けた製造会社です。
▼ファイヤーキングのミルクグラス
アンカーホッキング社は、なんと日本のスーパーやホームセンターでも販売されている金魚鉢も手掛けているから驚きです。実は私たち日本人の生活にもなじみのある会社なのです。
アンカーホッキング社はクリアガラスを製造していましたが、1941年に手掛けたミルクグラスブランド「ファイヤーキング」が大ヒットしました。現在ではファイヤーキングだけのマニアもいることからも当時の人気ぶりが伺えます。
このファイヤーキングはミルクグラス製造が終了する1986年まで大量生産され続け、レストランやカフェをはじめ家庭用食器としてもとても愛されていました。
製造が終了してからも中古品として世の中に出回り、現在ではヴィンテージ食器の代表として愛され続けています。
このアンカーホッキング社は現在でもたくさんのガラス製品を製造しているガラス会社なのですが、近年では「ファイヤーキングジャパン」として復活し、耐熱皿や所ジョージさんをはじめとした有名タレントのカップも販売しています。
▼所ジョージさんとファイヤーキングが共同制作したカップ(画像クリックで商品詳細へ)
▼ファイヤーキングジャパン公式HP
引用:https://fireking-japan.com/
ミルクグラスは当時の面影を残しながらも現代版に形を変えて、新たな時代を歩んでいるのです。
以上、ミルクグラスの歴史を紹介いたしました、次のページではミルクグラスが出てくる映画を紹介いたします。マニアは映画に出てくるミルクグラスを映画の内容そっちのけで楽しんでいたりするのです。
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ミルクグラス(ミルクガラス)とは ~毎日使えるヴィンテージ食器の魅力~
第1章 ミルクグラスの種類
第2章 ミルクグラス主要ブランド6選
第3章 ミルクグラスを購入する
ミルクグラスのバックスタンプとは ~ブランドと年代の見分け方~
第4章 ミルクグラスのマニアックな知識