ミルクグラス(ミルクガラス)とは ~毎日使えるヴィンテージ食器の魅力~

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ミルクグラスは1950年頃のアメリカで誕生したヴィンテージ食器です。ミルクグラスはヴィンテージなのに丈夫でリーズナブル!ハイセンスで可愛くどんな料理にも合わすことができる「日常で使えるヴィンテージ食器」なのです!

『ミルクグラス入門~日常で使えるヴィンテージ食器~』はこちらから!

著者:大柴あまね

30代後半女性。10代の頃からミルクグラスの情報を収集。20代後半から購入しはじめ収集歴は10年程度。現在は定期的に専門店に通い流通をチェックしている。

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ミルクグラス(ミルクガラス)とは

基本情報

▲ファイヤーキング Dハンドルマグ

 

ミルクグラスは1950年頃のアメリカで誕生したヴィンテージ食器です。乳白色が練り込まれたガラスである「ミルクグラス」を使用した食器のことを指します。「ミルクガラス」とも呼ばれます。

 

相場 【ファイヤーキング ジェダイDハンドルマグ(上記写真右)の場合】
3000円~20000円程度
※品物の状態・色の違い・取扱店舗・傷の有無などで大きく変動
耐熱性 オーブンと冷蔵で使用可。直火と冷凍はNG。
電子レンジ 可能
食洗機 食洗器は可能。漂白剤はNG。
注意事項 冷えたタンブラーに熱いお湯を注ぐなど急激な温度差を伴う使用は厳禁。
種類 マグカップ/皿/ティーカップ/ボウルカップ&ソーサー/ベーキングプレート(焼き皿)/調理用ボウル/など

 

ミルクグラスは1950年代のアメリカで生まれました。

美しく可愛らしいミルク色のガラス食器は、アメリカの一般家庭だけでなく、数多くの飲食店で親しまれてきました。

もちろんその波ははるか遠くの日本にも。そして現代ではヴィンテージ食器として収集家や愛好家に長く愛されています。

 

【コラム】なぜ現在では生産されていない?

50年代を過ぎてからプラスチックが出回るようになり、主力になったためです。プラスチックは軽いため輸送費が安く、材料費も安い、また加工の手間も少ないとあってガラス加工は時代とともに減少していったと言われています。近年はアメリカのガラス会社であるアンカーホッキング社が「ファイヤーキングジャパン」として復活し、カップや耐熱皿を販売しております。また日本のオールドミルクガラス社も生産しています。(オールドミルクガラス公式サイト

 

ミルクグラスの特徴

▲ファイヤーキング コンコード

 

ミルクグラスは日本で昔から使われていた陶磁器とは違い、ガラス本来のつるつるとした手触りをしています。

土を感じる食器類とはまったく違う素材でありながら、カップのくびれやハンドのカーブが手のひらにフィットする使いやすさは、陶磁器とは違った使い心地でとても革新的なものでした。

ガラスというと「すぐ割れそう」「壊しそうで毎日使うのはちょっと怖い」という儚げなイメージがありますが、このミルクグラスはちょっと違います。

落としても簡単には割れないほど分厚く、

口当たりも丸みがあり、

とても丈夫な食器なのです。

この丈夫さがあったからこそ、現代まで割れずにその多くが長く残っているのでしょう。

ミルクグラスは注がれたドリンクが透けて見えます。中に入れた飲み物が外側から微かに透けて見える時も、飲む時に内側から外の光が透けて見える時も魅力的です。

 

▼ファイヤーキング リブボトムマグ

 

マグカップが多い

 

ちなみに、ミルクグラスを探してみると食器の中でも「マグカップ」を際立ってよく見ると思います。

これはマグカップばかり製造していたメーカーが多いためだと思います。

その理由は、ロゴ入りマグカップで広告したいという企業が多かったためです。広告入りマグを「アドバタイジングマグ」といいます。

 

▼アドバタイジングマグ

 

なので残っているマグカップにはマックやディズニー、銀行、病院、カフェなどのロゴが入っているものが多くあります。

これらはその企業が宣伝のために配ったものですが、後に「マクドナルドマニア(ミルクグラスに限らずあらゆるマクドナルドグッズを集めるマニア)」などの企業マニアによって集められ、今たくさん残っているというわけです。チラシの代わりになっていたので、製造数はかなりの数になったことが予想できます。

 

マグカップが多い理由は他にもあります。

マグカップ以外の食器、例えばプレート類は使用中に輸送中などに割れてしまう確率が高かったです。そのため輸送しても割れにくいマグカップが多く製造されたと言えるでしょう。

また商品の幅を広げることでコストもかかることを懸念し皿の型を用意しなかったメーカーがマグカップ以外を製造しなかったことも一因と思われます。

 

ミルクグラスの定番の緑色

▲写真右:ファイヤーキング ジェダイ

 

ミルクグラスのマグカップの中でも特に緑色のマグカップをよく目にすると思います。

これは、ミルクグラスが誕生から間もない時に、アメリカのガラス食器メーカー・ジャネット社が製造した「JADITE(ジェダイ)」が大人気となったため、ミルクグラスと言えばこの色になりました。

(ちなみに開発したのはジャネット社ではありますが、アンカーホッキング社が真似して緑色のマグカップを製造。「ジェダイをわが社の看板のひとつにしたい」という戦略が功を奏し「ミルクグラス=ファイヤーキング=ジェダイ」というイメージになりました。)

 

ファイヤーキング

アメリカのガラス製造メーカーであるアンカーホッキング社の看板商品となった耐熱用ミルクグラス。ヴィンテージ食器であり、国内・海外でたくさんのコレクターに愛されている。ファイヤーキングの詳しい解説は第2章の1ページ目にて

 

あまりに人気だっため他社も真似し「Jad-ite」や「Jade-ite」と微妙に名前を変えて販売していたため、結果似た色のものがたくさん出回ることとなりました。

ファイヤーキングは当時のアメリカでも大人気でしたが、現代の日本人が特に好きで、日本はこれに偏って流通しています。

そのため日本人が買ってくれるからという理由でバイヤーもたくさん仕入れています。現地のアメリカではもう無くなってきており、そのほとんどを日本人コレクターが所有しているという話をバイヤーさんから聞きました。

 

ミルクグラスが広まった経緯

 

1950年頃のアメリカはベビーブームの真っ只中であったにも関わらず、この一見落として割れてしまいそうな印象のガラス食器が家庭用食器として急速に広まっていきました。

それは丈夫である他にも、子供が好んで使いたがるような見た目の可愛らしさにも人気の秘密があったのです。

食器業界は当時、塗料の吹き付け技術が向上し色をはっきりとキレイに出すことに成功しました。

そのおかげで、ミルクグラスはガラスとは思えないほどのカラフルさで大人気となりました。

加えて細かな装飾のついたものなど、ミルクグラスは一般家庭で毎日使われるものでありながら、美しさも楽しめるデザインで人々の目を楽しませていました。

 

【コラム】それまでの食器

ガラス製造業はミルクグラスよりも先にクリアガラス(透明なガラス)から始まりました。

▼1940年代のクリアグラス

当時の技術では透明度がまだ甘く、キレイとは言えませんでした。古いガラスを見ますと、透明ではありますがガラスの中によじれや屈折を感じるものがありガラス製造技術の未熟さを感じることができます。現在の窓ガラスのようにゆがみのない透明のガラスを創り出す事ができなかったのです。

▼当時のグラス:ガラスよれが見られる

▼当時のグラス:不純物が混入が見られる

加えてインクをきれいに出したり長持ちさせたりする技術もまだ進んでいなかったので、ミルクグラスのカラフルな色は劇的な進化だと言えると思います。写真は私が持っている当時のクリアガラスなのですが、かなり割れやすくインクも剥げやすくなっています。

 

置いておくだけでワクワクするようなカラフルな食器を見ると、ミルクグラスが作られた当時のアメリカは、人々が家庭に寄り添い、子供が多く、元気のある時代であったことが伝わってきます。

また、ガラス表面を凹凸加工して植物や人を描いているカップなど美しい装飾の施されたものもたくさんあるため、家庭レベルの食器だけでなく、街のカフェや格式のあるレストランでも使用されていたことが伺えます。

 

【装飾の施されたカップ:凹凸加工の例】

▼エンボス加工(裏面を押し上げて浮かす加工)が施されたカップ

 

このようにミルクグラスを眺めているだけで、当時の時代背景も手に取るように分かり、古き良きアメリカを身近に感じることができるのです。そんなところもミルクグラスの大きな魅力です。

 

ミルクグラスの魅力

 

そんなミルクグラスの最大の特徴は、今でも家庭で日常的に使えるということ。

なんと言ってもミルクグラスは「毎日使えるヴィンテージ食器」なのです!

ミルクグラスは本来スーパーマーケットや雑貨店で安く販売されていた家庭用食器だったことから、とにかく丈夫で長持ちするものとして作られました。

おかげで現在でもその可愛らしさを楽しむことができるのです。

 

アンティーク食器と言えば、西洋アンティーク食器を連想し「値段が高くて敷居が高い」と思ってしまう方もいます。

ただ、ミルクグラスは、週末のマーケットやフリマアプリなどで気軽に手に入れることができます。西洋アンティーク食器は美術品の域にあるため、そのような扱いはされないのではないでしょうか。(購入方法については第3章で解説。)

ミルクグラスは高価なものばかりではないため、敷居が低く日常に取り入れやすいのが特徴であると言えるでしょう。

 

美しく眺めて楽しむ美術品ではなく、あくまでも「使うもの」として愛されています。

また様々な形や色、デザインがあるため、どんなお料理にも合います。食卓にもぴったりなのです。アメリカで生まれたミルクグラスですが、日本食が多く提供される食卓にもしっくりくるミルクグラスもあるのです。

様々な場面にぴったりとなじむミルクグラスが、探せばきっと見つかることでしょう。

 

第4章1ページ目でシーン別におすすめのミルクグラスを紹介! 第4章1ページ目でシーン別におすすめのミルクグラスを紹介!

 

このWebonでは「毎日使いたくなるミルクグラスとはどんなものなのか」「どうやって入手したら良いのか」その魅力や使い方を余すことなくお伝えしていきます。今まで触れたことのなかった方にも興味をもっていただけたら幸いです。

 

次の章ではミルクグラスの種類についてお伝えいたします。まずは「ミルクグラスにはどんな色や形があるのか?」という基本的なことをお伝えいたします。

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