ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

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カンフー映画を見たことがありますか?ブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏は「俳優が武術をする」というよりは、「武術家が演技をする」と表現したほうがしっくりきます。カンフー映画鑑賞歴27年の著者が語ります!

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はじめに

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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第1章ではカンフー映画とは何か、そしてカンフー映画の歴史について解説をしています。

このページではカンフー映画界のレジェンド「ジミー・ウォング」氏が活躍した時代のカンフー映画の歴史を解説をします。※カンフー映画の歴史を最初から知りたい方は第1章の最初のページからお読みください。

 

▼カンフー映画の歴史概要(リンククリックorタップで該当ページへ)

時代 主な出来事 主な俳優・女優
カンフー映画の始まり シヨウブラザーズ社の設立 チェンペイペイ
ジミー・ウォング時代(当ページ) 剣劇から拳脚アクションへ ジミー・ウォング
ブルース・リー時代 ゴールデンハーベスト社設立 / ブルース・リーの死 ブルース・リー
ジャッキー・チェン時代① 「蛇拳」「酔拳」ヒット ジャッキー・チェン
ジャッキー・チェン時代② ジャッキー・チェン略奪事件 / 「プロジェクトA」ヒット ジャッキー・チェン / サモハン / ユン・ピョウ
次世代スター時代 「少林寺」「イップマン」ヒット ジェット・リー / ドニー・イェン

 

ジミー・ウォング氏の時代

 

前のページで解説したように映画監督のキン・フー氏は「大酔侠」(1966)という映画をヒットさせ、カンフー映画の誕生に貢献しました。

 

大酔侠のヒット

「大酔侠」はカンフー映画を世界へ知らしめた香港の映画会社「シヨウブラザーズ」がヒットさせた”カンフー映画の元祖”とも言える作品。この作品を監督したのがキン・フー氏で香港映画界で新たなアクションスタイルを確立するなど、カンフー映画の誕生に貢献した。詳しくは前のページで解説。

▼大酔侠(画像クリックで商品詳細へ)

 

監督キン・フー氏はランラン・ショウ氏という企業家が立ち上げた香港映画会社「シヨウ・ブラザーズ」で「大酔侠」を撮影後、シヨウ・ブラザーズ社を去り台湾へ渡りました。

 

シヨウ・ブラザーズ社

ランラン・ショウ氏が立ち上げた香港の映画会社。後に「東洋のハリウッド」とも呼ばれる同社はカンフー映画の発展に大きく貢献した。詳しくは前のページで解説。

 

監督キン・フー氏の穴を埋めるべくシヨウ・ブラザーズ社は新たな才能ある監督を探し始めました。

そこで、1962年にシヨウ・ブラザーズ社へ入社していた新進気鋭のチャン・ツェー氏を監督へ抜擢しました。

 

チャン・ツェー氏(1923~2002)

香港・台湾の映画監督。カンフー映画などを多く手掛け、2002年に香港のアカデミー賞とも言われる「香港電影金像奨」にて生涯の功績を讃えられ「終身成就賞」を受賞。

 

彼は、「虎侠殲仇(フーシァジィェンチヨウ)」日本版(無し)英題(タイガーボーイ)(1966)という作品から武侠映画(ぶきょうえいが:武術に長け、義理を重んじる主人公の映画。詳しくは後述します)を手がけ、そこで一人のアクションスターであるジミー・ウォング氏と出会いました。

 

▼ジミー・ウォング氏

ジミー・ウォング氏について詳しくは第2章で!(このページは第1章)

 

ジミー・ウォング氏の黄金期

 

ジミー・ウォング氏との出会いから監督チャン・ツェー氏は、自身の剣劇映画(簡単に言えば剣で戦う映画)における理想を具現化する映画の製作に取り掛かりました。

そして打ち出したのは、ジミー・ウォング氏扮する片腕の剣士が主人公の「片腕必殺剣」(原題:獨臂刀(ドゥビーダオ))(1967)です。

 

▼「片腕必殺剣」(画像クリックでDVD詳細へ)

 

この映画は空前のヒットを記録し、ジミー・ウォング氏を一夜にして香港映画界トップスターへと押し上げました。

 

 

その後も、監督チャン・ツェー氏は「大刺客」、「大女侠(原題:金燕子(ジンイェンズー)英題:ゴールデンシャロウ)」などのジミー・ウォング氏を主演とする作品を次々と撮影し成功を収め、シヨウ・ブラザーズ社をアジア最大の映画会社へと成長させていきました。

 

▼大刺客(画像クリックでDVD詳細へ)

▼大女侠(画像クリックでDVD詳細へ)

 

また、ジミー・ウォング氏も迫力あるアクションと悲壮感あふれるヒーロー像で観客を魅了し、「天皇巨星(てんのうきょせい:天皇級のビッグスターの意)」と呼ばれる香港随一のスーパースターとなりました。

 

俳優であるジミー・ウォング氏もまた、これまでの刀剣アクションが中心であった剣劇映画(詳しくは後述)に見切りをつけます。

そこで突き・蹴りを中心とする拳脚(けんきゃく)アクションである「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」(1969)で自ら監督を務め、1970年代に香港を席捲するカンフー映画ブームのきっかけを生み出しました。

 

▼「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」(画像クリックでDVD詳細へ)

 

このようにして武侠映画がだんだんと現在でよく観られるようなカンフー映画の形になっていくのでした。

 

【ちょっと補足コーナー】剣劇映画・武侠映画とは?

武侠映画とは

 

「カンフー映画」は原則として身体の技が見どころになるのに対し、「武侠映画」は主に刀剣を使ったアクションが見どころとなる映画です。

※武侠映画は「武術に長け、義理を重んじる主人公の物語」を定義とする場合もあります。

時代設定はざっくりですが、武侠映画の場合「秦の始皇帝時代から明朝、清朝」くらいまでの長い時代にわたっており、カンフー映画は「清朝末期から中華民国期」あたりに集中しているものが多いです。

 

 

剣劇映画とは

 

中国における剣劇映画とは、平たく言うと剣や槍などの武器を使った戦い(剣客、チャンバラ)による時代劇のことです。

剣劇映画は武侠映画も指しており(武侠映画の中でも剣客ものの映画を特定した呼び方だと私は解釈しています。)カンフー映画とは区別されています。

 

 

1960年代~1970年代において、シヨウ・ブラザーズ全盛期にキン・フー氏やチャン・ツェー氏を監督とした多くの作品が生み出されました。

(具体的な映画で言いますと、既にご紹介した通り「大酔侠」(’66)、「片腕必殺剣」(’67)になります。)

 

ちなみに、ここで言う剣劇映画の武器は、ヌンチャクやトンファー等、ブルース・リー氏らが使ったカンフー映画で見られるようなものは含まれておらず、刃物が付いた刀の類の武器を意味しています。

 

▼ブルース・リー氏とヌンチャク

▼トンファー

 

当時は中国の人気のある大衆小説(「武侠小説」とも言われます)を原作とした、英雄が剣で敵を倒して活躍する剣劇映画が主流となっていました。

 

そこへジミー・ウォング氏がそれまで主流であった剣を使ったアクションから、中国拳法と空手による素手での格闘を中心とした「吠えろ!ドラゴン、起て!ジャガー」(’69)を打ち出し、カンフー映画ブームの基礎を築いたと言われています。

その後、ブルース・リー氏やジャッキーチェン氏のようなカンフー映画の全盛期が到来しましたが、1980年代~1990年代には、清朝の時代の短編小説が原作の「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(’87)や中国の小説家・金庸の武侠小説を原作とした「スウォーズ・マン」シリーズ(’90~)がヒットし注目されました。

 

▼チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(画像クリックで商品詳細へ)

▼スウォーズ・マン(画像クリックで商品詳細へ)

 

2000年代に入ると「グリーンディスティニー」(’00)、「HERO」(’02)、「LOVERS」(’04)などの武侠映画が欧米諸国でもヒットし、再び脚光を浴びました。

 

▼グリーンディスティニー(画像クリックで商品詳細へ)

▼HERO(画像クリックで商品詳細へ)

▼LOVERS(画像クリックで商品詳細へ)

 

以上、ジミー・ウォング氏が活躍した時代のカンフー映画の歴史でした。次のページでは日本でもブレイクしたカンフー映画スター俳優の1人「ブルース・リー」氏が活躍した時代のカンフー映画について解説していきます。

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はじめに

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第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

第3章 カンフー映画を観る方法

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第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

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ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

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七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

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第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

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ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

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第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

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酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

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第5章 カンフー映画の寄り道話

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ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

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このページから第1章。第1章ではカンフー映画とは何か、そしてカンフー映画の歴史について解説をしていきます。

このページでは「カンフー映画とはどのような映画か」をお伝えするとともにカンフー映画の始まりについて解説をします。

 

▼カンフー映画の歴史概要(リンククリックorタップで該当ページへ)

時代 主な出来事 主な俳優・女優
カンフー映画の始まり(当ページ) シヨウブラザーズ社の設立 チェンペイペイ
ジミー・ウォング時代 剣劇から拳脚アクションへ ジミー・ウォング
ブルース・リー時代 ゴールデンハーベスト社設立 / ブルース・リーの死 ブルース・リー
ジャッキー・チェン時代① 「蛇拳」「酔拳」ヒット ジャッキー・チェン
ジャッキー・チェン時代② ジャッキー・チェン略奪事件 / 「プロジェクトA」ヒット ジャッキー・チェン / サモハン / ユン・ピョウ
次世代スター時代 「少林寺」「イップマン」ヒット ジェット・リー / ドニー・イェン

 

カンフー映画とは

 

日本のアクション映画は、古くは時代劇で剣術の殺陣(たて)や任侠ものが中心でした。

 

殺陣(たて)や任侠もの

殺陣(たて)とは剣などの武器を使った演技。

▼殺陣の様子

任侠ものの映画とは「仁義なき戦い」に代表されるようなやくざ社会を描いた映画のジャンルを指す。

▼仁義なき戦い(別Webonで解説してます)

 

またアメリカでは、銃社会という背景が影響力として働いており、ハードボイルかつスタイリッシュなガンアクションが想起されます。

 

一方、カンフー映画とは1960年代の中国・香港で生まれ、

俳優の身体能力を最大限に生かした肉体技が繰り出されるアクションシーンが特徴的な映画

の事を指します。

ストーリーは復讐や敵討ちのものが多く、その多くは誰が観てもわかりやすく飲み込みやすいものばかりです。

 

▼アクション映画の特徴(国別)

香港 日本 アメリカ
特徴 俳優の肉体技が中心 殺陣や任侠もの ガン(銃)アクション

 

カンフー映画の俳優

 

カンフー映画のスター俳優と言えば、ブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏。

今や日本の誰もが知っている代表的なアクション俳優です。

 

▼ブルー・スリー氏

ブルース・リー氏について詳しくは第2章で!(このページは第1章)

▼ジャッキー・チェン氏

 

カンフー映画は、主人公や登場人物が

「武術(多くは中国拳法)によって鍛え抜かれた肉体技を、いかに魅力的に見せるか」

が重要視され、映画の中で一番の見どころとされています。

 

「俳優が武術をする」というよりは、「武術家が演技をする」と表現したほうがしっくりくるジャンルです。

 

ただ、中には例外もあり「グランド・マスター」(2013)という作品において、俳優のチャン・チェン氏は「八極拳(カンフー拳法の一種)の遣い手」という役作りのために、伝統武術である八極拳を3年がかりで体得しました。

そしてなんと2012年には、中国吉林省(きつりんしょう)で行われた八極拳の全国大会において彼は優勝を果たしました。

これは、俳優が映画を通じて武術家になった一例です。

 

チャンチェン氏(1976~)

台湾出身の中国で活躍する俳優。主な出演作品に「レッドクリフ」など。2014年には監督業にも挑戦した。

▼チャン・チェン氏

photo by Sry85 CC 表示 2.5

▼グランド・マスター(画像クリックで商品詳細へ)

 

カンフー映画の始まり

 

カンフー映画が生み出された1960年代後半の香港は、文化大革命の影響により、社会状況は混乱した状態でした。

 

文化大革命

1966~1977年に終結宣言が行われるまで行われた中国の革命運動。国家主席の座を譲った前国家主席の毛沢東氏が復権のために学生などを煽動し、政府に対する暴力的な運動などが繰り返し行われた。

▼毛沢東氏

photo by Zhang Zhenshi CC 表示 2.0

 

文化大革命は経済に甚大な被害をもたらし、社会的不公平と貧富の差が生まれていました。

過酷な社会情勢下で、いかにお金をかけずに自力でビジネスを成功させるか。どのようにして日々食べていくかについて誰もが知恵を絞っていた時代です。

生活が懸かっていたからこそ、彼らのその熱意は並々ならぬものでした。

 

1958年に香港の企業家ランラン・ショウ氏が立ち上げた香港映画会社「シヨウ・ブラザーズ」は、文化大革命下で弾圧を受けていた中国の伝統音楽劇である「京劇映画」に見切りをつけます。

 

▼ランランショウ氏

京劇

京劇は歌、舞踊、セリフ、アクロバティックな立ち回りから成る中国の総合芸術であり、オペラやミュージカルに近い音楽劇です。

役者のきらびやかな衣装や派手な化粧に訓練された演技力、そして中国の伝統的な民族楽器の生演奏が舞台を華やかに盛り立てます。

起源は1790年「清」の時代、皇帝である乾隆帝(けんりゅうてい)の80歳を祝う為に安徽省(あんきしょう)の地方劇の4つの劇団が北京に進出し、大人気を博して定着したとされています。その後、他の地方劇や民間芸能の影響も受け、徐々に「京劇」の形を整えていきました。そして宮廷の支援を受けながら庶民層にも愛されて、首都・北京に君臨するようになりました。

▼京劇の様子

photo by d’n’c Some rights reserved

 

そしてシヨウ・ブラザーズ社は若者に支持され始めていた、話し言葉調の広東語映画界のカンフー映画に進出し始めました。(広東語は中国の広州や香港などで使われる言語)

 

▼広東語が使われている広州市と香港

 

1965年にシヨウ・ブラザーズ社は「邵氏影城(シャオシーインチォン)」と呼ばれる巨大スタジオを香港・清水湾に建設します。

 

▼邵氏影城

photo by Baycrest CC 表示-継承 2.5

▼邵氏影城の場所

 

そして30年間の間に700本の映画を製作し、多くの名監督・名優・名作を輩出し、香港映画の黄金時代を築き上げました。

この頃のシヨウ・ブラザーズ社は「東洋のハリウッド」と呼ばれました。

 

 

シヨウブラザーズ社のヒット作

 

シヨウ・ブラザーズ社が大きく成功を収めた代表作は「大酔侠(だいすいきょう)」(1966)でした。

 

大酔侠(1966)

上海出身の女優チェン・ペイペイ氏扮する女剣士が主役の京劇要素が入った映画。

▼大酔侠(映っているのがチェン・ペイペイ氏)

 

その大酔侠を撮影した監督、キン・フー氏は若い頃から中国の伝統音楽劇である京劇に傾倒(けいとう:ある物事に熱中する事)しており、この大酔侠では「剣劇映画(けんげきえいが)」(剣を用いた戦いをする映画)に「京劇」の要素を取り入れて脚色しました。

 

※イラストはイメージです

 

例えば、相手の体から刀を抜くと血がビュウッと吹き出たり、腕が切り落とされたりという残酷描写が演出として加えられました。

そしてこのような本格的な「剣術アクション」と「素早い編集」が融合する事によって、「京劇アダプテーション」と呼ばれる新しいアクション映画のスタイルを打ち出しました。

 

 

この「大酔侠」という作品は香港・東南アジアで驚異的にヒットし、監督による演出がいかに意味を有するかということを知らしめることになりました。

 

そしてこの成功などをきっかけに、シヨウ・ブラザーズ社は後に世界的に有名になる『カンフー映画』と呼ばれるジャンルの作品を次々に製作し「香港映画=カンフー映画」という認識が定着しました。

 

カンフー映画とは何か、カンフー映画がどのように始まっていったのか、お分かりいただけましたでしょうか。

次のページからはカンフー映画の現在までの変遷、カンフースター俳優たちの活躍した時代を紹介していきます!

次のページではカンフー映画界のレジェンド「ジミー・ウォング」氏が活躍した時代を解説していきます。

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はじめに

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第1章 カンフー映画とは

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

第2章 カンフー映画スター俳優9選

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

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第3章 カンフー映画を観る方法

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第4章 おすすめカンフー映画13選

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

第5章 カンフー映画の寄り道話

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

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第6章 カンフーを習おう!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

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カンフー映画入門 ~観れば観るほど強くなる!?~

著者:HARUKA

大阪府出身。趣味はドラム。中国武術は現在見習い中です。好きな映画ジャンルはダントツでカンフー映画!小学生の頃にジャッキー映画にはまり、今に至る。カンフースターは映画「霊幻道士」の道士役ラム・チェンイン氏が一番好きです。多くの人に新旧問わずカンフー映画に興味を持ってもらえたら嬉しいです。お問い合わせはこちらから

 

 

カンフー映画を見たことがありますか?カンフー映画とは香港で発展した映画で、「俳優が武術をやっているのではなく一流の武術家が演技をしているのである」と著者は言います。

カンフー映画に既にハマっている方もまだの方も「カンフー映画入門 ~観れば観るほど強くなる!?~」で是非カンフー映画を観て、もっと楽しんでください!

 

~~カンフー映画はスター達と共に、どのようにして生まれ、現在に至るまでにどのように進化を遂げていったのか。そして、多くの人が虜になってしまうほどの魅力とはどこからやってくるのか。カンフー映画の歴史や作品、スター達を取り上げつつ、その真相に迫ってみたいと思います。~~
はじめに「はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~」より

 

はじめに

日本でもブルース・リー氏やジャッキー・チェン氏といった名前は知っている方がほとんどでしょう。彼らは「カンフー映画」のスターなのです。カンフー映画に興味を持ったあなた、まずは「カンフー映画にハマってカンフーを始めてしまった」という著者のカンフー映画に対する意見を聞いてみましょう!

はじめに ~カンフー映画を楽しもう!~

 

1章 カンフー映画とは

カンフー映画とはどのような映画なのか。そして伝統のあるカンフー映画の歴史を知る事でカンフー映画をより楽しむ事ができます!是非ここでカンフー映画の基礎・歴史について学びカンフー映画を深くまで楽しんでください!

カンフー映画とは 【カンフー映画の歴史①】

ジミー・ウォング氏の時代 【カンフー映画の歴史②】

ブルース・リー氏の時代 【カンフー映画の歴史③】

ジャッキー・チェン氏の時代「酔拳・蛇拳」 【カンフー映画の歴史④】

ジャッキー・チェン氏の時代「プロジェクトA」 【カンフー映画の歴史⑤】

ジェット・リー氏とドニー・イェン氏の時代 【カンフー映画の歴史⑥】

 

2章 カンフー映画スター俳優9選

過去から現在に至るまでカンフー映画のスターはそれぞれ個性を発揮してきました。これだけは知っておきたい!というスター9人を著者が厳選して紹介します!

ジミー・ウォング(王羽) 【カンフー映画スター俳優9選①】

ブルース・リー(李小龍) 【カンフー映画スター俳優9選②】

サモハン(洪金寶、サモ・ハン・キンポー) 【カンフー映画スター俳優9選③】

ジャッキー・チェン(成龍) 【カンフー映画スター俳優9選④】

ユン・ピョウ(元彪) 【カンフー映画スター俳優9選⑤】

ユン・ワー(元華) 【カンフー映画スター俳優9選⑥】

ラム・チェンイン(林正英) 【カンフー映画スター俳優9選⑦】

ジェット・リー(李 連杰) 【カンフー映画スター俳優9選⑧】

ドニー・イェン(甄子丹) 【カンフー映画スター俳優9選⑨】

 

第3章 カンフー映画を観る方法

最近では動画配信サービスが充実してきた為自宅ですぐに映画を観られるようになりました。どの動画配信サービスがカンフー映画の取り揃えが良いのか、そして著者はどのようにしてカンフー映画を観ているのか、徹底解説します!

カンフー映画を観る方法 【動画配信サービス比較】

 

第4章 おすすめカンフー映画13選

ここでは著者おすすめのカンフー映画を13作品ご紹介いたします!見どころから裏話まで、メジャーな楽しみ方からマニアックな楽しみ方までを解説!

これを読んでお気に入りのカンフー作品を見つけてください!

燃えよドラゴン(1973) 【おすすめカンフー映画13選①】

片腕カンフー対空飛ぶギロチン(1975) 【おすすめカンフー映画13選②】

酔拳(1978) 【おすすめカンフー映画13選③】

豚(とん)だカップル拳(1979) 【おすすめカンフー映画13選④】

ユン・ピョウinドラ息子カンフー(1981) 【おすすめカンフー映画13選⑤】

少林寺(1982) 【おすすめカンフー映画13選⑥】

霊幻道士(1985) 【おすすめカンフー映画13選⑦】

プロジェクトA(1983) 【おすすめカンフー映画13選⑧】

スパルタンX(1984) 【おすすめカンフー映画13選⑨】

七小福(夢に生きた子供達)(1988) 【おすすめカンフー映画13選⑩】

シティーハンター(1993) 【おすすめカンフー映画13選⑪】

イップ・マン 序章(2008) 【おすすめカンフー映画13選⑫】

捜査官X(2011) 【おすすめカンフー映画13選⑬】

 

第5章 カンフー映画の寄り道話

カンフー映画は様々な方面から見てみても面白いものです。ここではスターの少年期や女性カンフー映画スター、そして日本のアクションスターをご紹介!読めばあなたもカンフー映画通!?

『七小福』とは 【ジャッキー達の子供時代】

アンジェラ・マオ 【女性カンフー映画スター3選①】

ノラ・ミャオ 【女性カンフー映画スター3選②】

ムーン・リー 【女性カンフー映画スター3選③】

千葉真一 【日本のアクションスター俳優①】

真田広之 【日本のアクションスター俳優②】

 

第6章 カンフーを習おう!

カンフー映画を観たらきっとカンフーを習いたくなるはず!何を隠そう著者もカンフー映画を観てカンフーを習ったそうです。是非こちらで「カンフーとは何か」を知り、実際に体を動かしてみてください!!

カンフー(功夫)とは

カンフーの種類 【長拳・南拳・太極拳】

大阪のカンフー教室・カンフー漫画「拳児」

 

【カンフー映画の取り揃えが豊富なのは「TSUTAYA TV」&「TSUTAYA DISCAS」!】