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スノーボードは道具によって滑りやすさが大きく変わります。自分がしたい滑り方に合った道具を選ぶ事で何倍もスノーボードを楽しむことができるのです!
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著者:風祭健
北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから
カービングターンとは
「カービングターン」とは板のエッジ(板の周囲についている金属部分)を使って滑り、雪面に一本の線を描くように滑るターンのことです。
略して「カービング」とも呼びます。
▲カービングターンをしている様子
カービングターンと言えば、レースなどの競技をイメージする方も多いかも知れません。
しかし、ターンの技術を競う「テクニカル選手権」という大会もあるくらい、ターン自体に魅了されている人達も多くいます。
カービングターンでは板をずらさないで、スピードを加速させるようにターンします。
圧雪車(雪をならして固める車)で綺麗に整備されたゲレンデを、猛スピードでターンを刻んでいく快感は、パウダースノー(粉状のさらさらの雪)のゲレンデを滑るのにも負けない気持ちよさがあります。
▼圧雪車の例
photo by JGSDF – 10式雪上車
パウダー好きも、パークというジャンプ台などがおいてある場所が好きな方も、カービングターンの経験があれば、一度その気持ちよさを感じたことがあるはずです。
そしてカービングターンは非常に道具の性能が重要になるジャンルでもあります。
一番道具の違いが出るジャンルと言っても過言ではないはずです。
ターン性能の高い板(ターンがしやすい板)を使うだけで、美しく高速なワンランク上のターンだって可能になります。
ということでこのページではカービングターンに向いている板がどのような板か、そしておすすめする板をご紹介していきます。
カービングに最適「アルペンボード」
「アルペンボード」というのをご存知でしょうか。
スラロームなどのレースの大会で使われているスキー靴のようなブーツを着用しているボードです。
▼スラロームの様子。スラロームは旗の間を通り抜けて、2本滑ったタイムの合計順位を競う競技。
「スキー靴のようなブーツ」とは、スキーで使用されるブーツのようにとても硬いプラスチック素材でできています。
足首の可動部分で少し曲がるのみで、他の部分は殆ど曲がりません。
「アルペン」「アルペンボード」とは
「アルペン」はスノーボードの競技のカテゴリーの一種。競技の中に先述したスラロームなどがあり、カービングターンを良く行うイメージが強い競技。
▼スラロームのイメージ
「アルペンボード(アルペン用のボード)」は、主にアルペンの競技者やインストラクターなどが使用する。ターン性能や高速性能を重視した作りとなっているのが特徴。
ボードの形状は、ウエスト(中腹)の幅が狭くテール(後ろ)の先端が水平になっているのが特徴。
▼アルペンボードの例
理想のカービングターン向けの板というは、「アルペンボード」をイメージしていただければ良いのですが、実はアルペンボードはあまり人気が無くなっています。
それは「他の滑りがしにくい」などの理由からです。
そんなアルペンボードに対して、普通のスノーボードのことは「フリースタイルボード」と呼びます。
フリースタイルボードの進化により「他の滑りもしやすい上にカービングターンにも向いている」ボードが誕生しています。
その為、ここではフリースタイルボードの中のカービングターン向けの板を紹介します。
つまり、以下で紹介する板は「アルペンボードのような高いカービングターン性能を持ったフリースタイルボード」となります。
カービングターン向けの板
上述したようにカービングターン向けの板とは、下記のような「アルペンボードのような高い性能を持ったフリースタイルボード」になります。
▼カーピングターン向けの板の特徴
- 硬い板(フレックスが硬い)
- 有効エッジが長い
- キャンバー形状・ディレクショナルボード
- 幅が細い
なぜこのような特徴を持った板が、カービングターン向けであるのかを詳しく解説していきます。
カービング向け板の特徴1 硬い板
スノーボードの板の硬さとはしなりやすさや、ねじりやすさのことを指します。
ちなみに、硬さの度合いは「フレックス」で表します。
柔らかい板だとターンをした時の減速が大きくなります。
その為、カービングターンには硬い板が向いていると言えるのです。
カービング向け板の特徴2 有効エッジが長い
有効エッジとは、上図のように板が実際に雪面に触れている部分のことを言います。
有効エッジが長いと、エッジが長く雪にグリップする(固定される)のでターンの際の安定感が高くなります。
カービング向け板の特徴3 「キャンバー形状」「ディレクショナル」
板を横から見た時の形状は、キャンバー形状のものが良いです。
また、板を真上から見た時のアウトラインの形状は、ディレクショナルというノーズ(前)側が長い板が良いです。
これらディレクショナルとキャンバー形状の板はエッジのグリップ性能が高く、雪面からの反発力も強いので、ターンの切り替えの時の加速力が優れます。
ちなみにパーク向けの板やパウダー向けの板などでも、カービングは無理なく可能です。特にパウダー向けの板は安定感も高いのでターン性能は低くありません。
ただ、どうしてもそれらの板だと、スピードも遅くなりますし、可能なことも限られてしまいます。
ですのでカービングターンが特に好きな方はディレクショナルとキャンバー形状の板にして加速力を付けるのが良いでしょう。
「パーク向け」「パウダー向け」の板については「パーク編」「パウダー編」で!(このページは「カービングターン編」)
カービング向け板の特徴4 幅が細い
板が細いとエッジと足が近くなるので、エッジに力を加えやすくなります。
ターンは、いかにエッジに加重するかが大切ですので、幅が細い板の方が向いています。
▼カービングターン向け板の特徴と理由
特徴 |
理由 |
硬い板 |
減速しにくい |
有効エッジが長い |
ターン時の安定感 |
キャンバー形状・ディレクショナル |
ターン切り替え時の加速力 |
幅が細い |
力を加えやすい |
カービングに特化した「ハンマーヘッド」
▲ハンマーヘッドシャーク
現在のテクニカル競技(スピードではなく技術を競う競技)の殆どの選手は、ハンマーヘッドという形状の板に乗っています。
板の先端がハンマーヘッドシャークの頭のような四角い形状をした板をハンマーヘッドと言います。
▼ハンマーヘッドの板(画像クリックで商品詳細へ)
▼普通の板
ハンマーヘッドボードはアルペンボードの様な見た目をしていて、ノーズ(先端)とテール(尾っぽ)の反り上がりが殆どないので、有効エッジの圧倒的な長さが特徴です。
有効エッジは長ければ長いほど、エッジを使った滑りであるカービングが滑りやすくなるのです。
普通のフリースタイルボードよりも10センチは長くなります。
ハンマーヘッドボードはカービングに特化した板として製作されているので、キャンバーやサイドカーブの形状、フレックスの硬さなどもターンに最適なものとなっているのがほとんどです。
「ターンだけできれば良い」という人にはおすすめの最適なモデルですので、ハンマーヘッドの板も検討してみてください。
カービングターン向けおすすめ板3選
ここからは実際にカービングターンでおすすめな板を3つ著者が厳選してご紹介いたします!
どんな板にすればいいか分からない初心者の方も、迷われている方も、是非ご参考にしていただければと思います!
1 OGASAKA「FC」
国産スノーボードメーカーであるOGASAKAが開発販売している「FC」という板です
OGASAKAの板は、質が良いことで有名です。滑走面が非常にきれいに作られていて滑りの良さが魅力です。
セミハンマーヘッド(ハンマーヘッドよりやや丸みを帯びている)のキャンバー形状の板で、カービング時のエッジグリップは抜群です。
セミハンマーですので、ハンマーヘッドよりもトリック性能(トリックのしやすさ)も備えた板です。
2 MOSS「TWISTER」
MOSSというメーカーの「TWISTER」というモデルです。
MOSSは古くからスノーボード開発を行っている老舗メーカーです。
MOSSも質の良さが特徴で、加速力とトップスピードが素晴らしいです。
この板はテクニカル選手権に出場する選手も多く使用しているボードで、ターン性能の高さに定評があります。
ハンマーヘッドで、アルペンボードなみのターン性能があります。
3 BURTON「Custom X」
BURTON(バートン)というメーカーの「Custom X」というモデルです。
BURTONのCustom Xは、高いターン性能が必要なハーフパイプの選手からも人気の高いカービング性能の高いモデルです。
▼ハーフパイプの様子
photo by BC Living
整備されたゲレンデでのカービングターン性能はハンマーヘッドの方が優れますが、フリーラン(ただ滑ること)をしながらターンを楽しみたい、という人にはこのBURTON Custo Xの方が最適です。
カービング向きの板は値段が高い?
カービング向きの板は、高速での滑りに重点を置いているので、滑走面の素材は質が優れたものを使用します。
滑走面の質の高さは、そのまま値段に直結する部分ですので、カービング向けとされている板は価格が高いものが多いです。
「予算がない」という人に個人的におすすめしているカービング向けの板があります。
それはパーク向けの板で、フレックス硬めのキャンバー形状のモデルです。
パーク向けの板は有効エッジが長く作られているので、長めのサイズを購入すれば意外とターンのグリップ力が高いです。
セットバックを入れれば(ビンディングをテール(後ろ)寄りに取り付ければ)、ディレクショナルボードのような、高いターン性能も発揮することができます。
実際に知り合いのテクニカル選手権で全日本に進出している選手でそのようなセッティングで乗っている人がいます。
ちょっと人と違う乗り方ができるもおすすめポイントです。
カービング以外の滑り方のおすすめ道具を知りたい方は目次へ!
目次著者
著者:風祭健
北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから