ペットとしての『エキゾチックアニマル』入門はこちらから
第1章 エキゾチックアニマルを深く知る
第2章 代表的なエキゾチックアニマルの種類
代表的な飼えるエキゾチックアニマル ~爬虫類 / 両棲類編~
第3章 定番エキゾチックアニマルの飼い方
エキゾチックアニマルの飼い方 ~ダイオウサソリ / バンパイアクラブ編~
第4章 エキゾチックアニマルを飼おう
著者:國谷正明
北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷) https://www.facebook.com/masaaki.kuniya.3344
『エキゾチックアニマル入門』目次へ (全17ページ)
前項では、エキゾチックアニマルのなかでもペットとして人気が高く流通量も多いポピュラーな動物種を、哺乳類や爬虫類など分類別にご紹介させていただきました。
この項では、エキゾチックアニマルを実際に飼ってみたいと考えている方に向けて、飼い方と飼育上の注意点を詳しくご紹介していきます。
フクロモモンガはどんな動物?
フクロモモンガは、有袋類です。有袋類は育児嚢(いくじのう)よ呼ばれるお腹の袋で子育てを行うのが特徴です。
▼有袋類である「カンガルー」が育児嚢(お腹の袋)で子育てする様子
フクロモモンガのようにペットとして飼育することのできる有袋類は非常に珍しく、繁殖に成功すれば育児嚢で子育てをする姿を観察することもできます。
全長およそ20cm、体重150g前後と非常に小柄で、飼育する際にもそれほど大きなスペースを必要としません。
▼フクロモモンガの全長:500mlペットボトルの高さ(約20cm)
昆虫類や果実を好んで捕食(ほしょく:つかまえて食べる)する雑食性ですが、ペットフード会社各社から専用の人工飼料が発売されるなど、エキゾチックアニマルのなかでは飼育しやすい部類であるといえます。
とはいえ、人に懐くかどうかは個体差が大きく、たとえ馴れにくい個体であったとしても終生飼育(生命を終えるまで飼うこと)する覚悟と責任感が必要となります。
野生下の寿命は5年前後とされていますが、飼育下では10年前後生きる個体も珍しくありません。
フクロモモンガの飼い方・必要なもの
必要なもの一覧
・床材
・餌皿
・水差し・隠れ家
・止まり木
・保温器具
・温度計
フクロモモンガを飼うには以上のものが必要になります。下記では、それぞれの詳細について解説いたします。
フクロウモモンガのケージの選び方
まず飼育する際のケージですが、フクロモモンガは樹上棲(樹木の上に棲む)の傾向が強いため、ある程度の高さを確保できるケージを用意する必要があります。最低でも60cm前後の高さがあることが望ましいです。
▼フクロモモンガ用のケージの例(画像クリックで商品詳細)
小動物や小鳥向けのケージを用いることが一般的ですが、爬虫類向けのガラスケージを用いる場合もあります。
▼爬虫類向けのガラスケージの例(画像クリックで商品詳細)
小動物/小鳥向けの金網ケージは通気性が高くフクロモモンガ特有の体臭がこもりにくいというメリットがありますが、冬場の保温がしづらいというデメリットもあります。
エアコンで室温を一括管理する、専用の保温器具でケージ内を局所的に暖めるなど、飼育スタイル適したケージを選択してください。
また、フクロモモンガは運動量の多い生き物ですので、部屋に放して遊ばせる時間をとれないという方は、十分な運動量を確保できるだけの大きなケージを用意する必要があります。
床材について
<床材の一例:ハムスターを飼う際には、木材をおがくず状にしたウッドチップが床材に使われることが多い>
床材には牧草やおがくず、紙ペレット、新聞紙などを用いることが一般的です。
▼牧草(画像クリックで商品詳細へ)
▼おがくず(画像クリックで商品詳細へ)
▼紙のペレット(画像クリックで商品詳細へ)
それぞれに異なるメリットやデメリットがありますが、床材は飼育者の好みによるところが大きいため、まずはひととおりの床材を試してみることをお勧めします。
フクロモモンガには床材を巣の材料として隠れ家に運び入れる習性がありますので、飼育している個体の好みも考慮してください。
注意点として、針葉樹のおがくずは生体のアレルギー反応を誘発するおそれがあるため、必ず広葉樹のおがくずを用いるようにしてください。
また、小動物/小鳥向けのケージについている床用の金網は使わないので事前に取り外しておきます。
▼広葉樹のおがくず(画像クリックで商品詳細)
巣箱と温度管理について
フクロモモンガは夜行性の生き物であるため、昼間は暗い隠れ家のなかでじっとしています。専用の寝袋か小動物用の巣箱を必ず用意してください。
複数飼育の場合は、フクロモモンガの数だけ隠れ家を用意します。
▼フクロモモンガ用寝床(画像クリックで商品詳細)
▼フクロモモンガ用巣箱(画像クリックで商品詳細)
フクロモモンガは寒さに弱く、その適温は24~28℃とされているため、エアコンなどで室内を一括で管理するという場合を除いて冬場は保温器具の設置が必須となります。
小動物/小鳥向けの保温電球やパネルヒーターが一般的ですが、爬虫類向けのガラスケージを用いる場合には過熱を防ぐためサーモスタットとの併用をお勧めします。
▼パネルヒーター(画像クリックで商品詳細)
▼サーモスタット(画像クリックで商品詳細)
保温器具を設置する際には、生体が適温を選択できるようケージ内に温度勾配を作ると良いでしょう。
餌について
フクロモモンガは雑食性であるため、昆虫など動物性の餌と果物や野菜といった植物性の餌をバランスよく与える必要があります。
餌用の昆虫類や季節の果物/野菜類に加えて、フクロモモンガ用人工飼料やフェレットフード、蜜食鳥(みつしょくちょう:ローリーやロリキートなどの動物種)用人工飼料、ペット用ミルクなどを適宜活用して、日々バリエーション豊かな餌を与えるように努めてください。
▼フクロモモンガフード(画像クリックで商品詳細)
▼モモンガミルク(画像クリックで商品詳細)
ネギ類や果物の種子、野生の昆虫類など、病気を引き起こす危険性のある食べ物も複数存在していますので、与えて良いかわからないものは獣医やショップの店員などに相談してから与えるようにすると安心です。
餌の与え方
餌を与えるのは活動をはじめる夕方から夜にかけて一日一回、十分な量を与えます。
また人間と同じように、個体による好き嫌いや気分によって食べなくなることもありますので、普段から観察を怠らず飼育している生体の個性を的確に把握しておきましょう。
フクロモモンガに限らず、ペットとして歴史の浅いエキゾチックアニマルは周囲に弱みを見せまいと、多少の不調であれば何事もないかのように振舞う習性があります。
異変に気づいたときには既に手遅れだったということも少なくありませんので、常に最悪の事態を想定して観察する癖をつけておくと良いでしょう。
上記の飼育方法は、多くの雑食性哺乳類に広く応用できるものですが、動物種によって細かな相違点がありますので、購入する前にショップの店員や飼育本、インターネットなどで充分に情報収集をしてください。
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