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第1章 テキサスホールデムのルール
第2章 テキサスホールデムの確率
第3章 テキサスホールデムの戦略
テキサスホールデムの戦略③ 【コンティニュエーションベット】
第4章 練習問題集
テキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】
テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】
第5章 実際にプレイしてみよう
番外編 専門用語集
『テキサスホールデム入門』目次へ (全18ページ)
第3章ではオンラインゲームなどで海外のプレイヤーと対等に勝負ができるようテキサスホールデムの「戦略」について
【ポジション】【プリフロップ】【コンティニュエーションベット】【フロップ以降】【プレイスタイル】
のページに分けて解説しています。
このページでは、テキサスホールデムの世界で既に常識となっているフロップ時に利用する【コンティニュエーションベット】という戦略を紹介していきます。
既に述べたように、テキサスホールデムのプレイヤー間はお互いの手札がわからないなど、持っている情報は異なります。
より多くの情報を読み取ることで数学的に正しいプレイが可能となり、己の情報を秘匿することで相手に選択肢を誤らせることが期待できます。
その場の状況から正確に情報を読み取ることができなければ、優れたポーカープレイヤーたりえないと言えるでしょう。
前ページテキサスホールデムの戦略 【プリフロップの判断】ではプリフロップにおける基本戦略についてお伝えしてまいりましたが、本ページでは、フロップにおいて有効なテクニック「コンティニュエーションベット」についてご説明していきます。
コンティニュエーションベット
フロップ(3枚のコミュニティーカードが公開された段階)において最も重要なテクニックのひとつに、「コンティニュエーションベット(Continuation Bet, 略称:C-bet)」があります。
コンティニュエーションベットとは、プリフロップ(手札が2枚配られた段階のターン)でベット(レイズ)していたプレイヤーが、手札が公開されたコミュニティーカードにヒットしていない(来てほしかったカードが来なかった)にもかかわらずハンドの強さを主張するベットのことです。
フラッシュ(5枚同じ柄のカードを揃える役)を目指しフロップで♡の柄のカードが来ることを期待してプリフロップでレイズ(賭け金を上乗せして賭ける)をしたとします。
このような状況で、フロップで公開される3枚のコミュニティーカードに♡が一枚もなかった場合でも降りることなく引き続きベット(ゲームに参加)し、「あたかも強い手札になったかのように見せる戦術」を「コンティニュエーションベット」と言います。
コンティニュエーションベットはブラフ(はったり)の一種です。プリフロップの段階でベットやレイズをしているということは、他のプレイヤーに「強い手札を持っている」という認識を持たれていることでしょう。
そんな状況でコンティニュエーションベットをすれば、相手は「コミュニティカードと合わさって、さらに強い役になったのかな」と考えることでしょう。 そのため、他のプレイヤーがそこそこ強い手札であるにも関わらずフォールドさせることができたりするという戦略です。
コンティニュエーションベットはプリフロップでベット(レイズ)をしたプレイヤーがフロップでも継続的にベットをするものであるため、コンティニュエーションベットをおこなうにはそのプレイヤーがプリフロップの段階でベット(レイズ)をしている必要があります。
つまりプリフロップでベットした額に加えてフロップでもベットするので少なくない金額を投資する事になります。
それではコンティニュエーションベットをする場合フロップ以降ではそのくらいの金額を賭ければいいのでしょうか?
コンティニュエーションベットで賭ける額
コンティニュエーションベットの額はポットの半分から3分の2程度の額が標準的な大きさであるとされています。(ポットの額が$1000なら、$500~$750程度)
もしも標準的な額より少なめにベットした場合には、下記のようなメリットとデメリットがあります。
【メリット】
あえてプリフロップにおけるベット(レイズ)と同程度の額をベットすれば、他のプレイヤーにコールまたはレイズをされた場合でも大きな投資を行っていないので、損失を抑えることが期待できます。
【デメリット】
一方で、本来ならフォールドさせられていたはずのプレイヤーに「そんなに強い手札ではないのかも」などと思われて、コールするオッズを与えてしまう(オッズ=「いくら払っていくら返ってくるかの比率」。そのプレイヤーの賭ける額が少ないとオッズは上がる。つまり投資に対するリターンが高くなるので多くのプレイヤーがゲームに参加してくる事になる)可能性もあるため、状況に応じて慎重に使い分ける必要があります。
このように、コンティニュエーションベットでポットを獲得するのには決して小さくないリスクを伴いますが、コンティニュエーションベットを続けることでテーブルコントロール(=テーブルイメージを駆使して場を支配すること)が容易になり、結果的に大きなリターンを期待できるようになります。
テーブルコントロールは後述する「フォールドエクイティ」と「フィアエクイティ」の獲得に直結する、非常に大切な要素です。
「フォールドエクイティ」と「フィアエクイティ」について解説する前に「コンティニュエーションベットを行うべきでない場合」について解説しておきます。
コンティニュエーションベットをしない方がいい時
以下の場合はコンティニュエーションベットを行うべきでないです。
① フロップ(3枚のコミュニティーカードが公開された段階のターン)で自分より先にレイズをしているプレイヤーがいるとき(理由:さらに多額のベットをしなくてはならない等)
② 多くのプレイヤーがポットに参加している場合(理由:多くのプレイヤーがショーダウン(最後の手札公開段階)まで行こうとしている等)
コンティニュエーションベットはブラフの一種であるため、他のプレイヤーにコールをされてショーダウン(最後の手札の公開段階)まで進んだときの勝率はかなり低くなることがこれらの理由です。
エクイティ
先程、「テキサスホールデムではテーブルコントロール(=テーブルイメージを駆使して場を支配すること)をうまくすることで、大きなリターンが期待できるようになる」とお伝えしました。
テーブルコントロールをする上で、『エクイティ』について知ることは大切です。
エクイティとは
「その時点における勝率とポットの大きさを掛けることで求められる期待値」
を指す用語です。
要は「勝負した場合に返ってくると思われる見込みの金額」のことです。
エクイティはその時点における勝率とポットの大きさの積によって求められます。ここで言う「勝率」とは「この手札なら統計的に見て何%で勝てるか」というものです。
式:勝率×ポットの大きさ=エクイティ
たとえば、プレイヤーAとBの一騎打ちで、それぞれの勝率が70%と30%で、ポットが$1,000だった場合。
プレイヤーAは$1,000×70%で$700のエクイティ
プレイヤーBは$1,000×30%で$300のエクイティ
があることがわかります。
また、エクイティには「フォールドエクイティ」と「フィアエクイティ」の2種類があります。
フォールドエクイティとフィアエクイティ
フォールドエクイティとは「相手をフォールドさせることによって得られるエクイティ」のことを指します。
たとえば、上記のようにプレイヤーAのエクイティ$700、プレイヤーBのエクイティ$300の時。(つまりBの手札がAの手札より劣っている場合)
ハンド(手札)の強さで劣っているプレイヤーBがプレイヤーAに対して「Bは強い手札を持っているかもしれない・・・」と思わせてフォールドさせたならば、プレイヤーBは$700のフォールドエクイティを得ることができます。
また、積極的に「レイズ(前のプレイヤーより上乗せして賭けること)」するなどのアグレッシヴなプレイによって積み上げたイメージで相手に恐怖を与えることにより、相手が本来「コール(前のプレイヤーと同額を賭けること)」や「レイズ」をすべき状況でフォールドしてしまうなどして、得られたエクイティを「フィアエクイティ」と呼びます。
テーブルコントロールの重要性
さて、コンティニュエーションベットとエクイティについて理解したところで最後にテーブルコントロールの重要性を「ポット(全員の賭けた金額の合計)を獲得する方法」という観点から見ていきましょう。
ポットを獲得するためには、下記の2通りの方法があります。
① ショーダウン(最後の手札公開の段階)で他のプレイヤーに勝利する
② 他のプレイヤーを全員フォールドさせる
前者①でポットを獲得するためには他のプレイヤーよりも強い役を完成させなければならず、その確率は決して高いとはいえません。
一方、後者②の方法ならたとえ最弱のハンド(役)でもベッティングアクション(コール・フォールド・レイズなどのアクション)で他のプレイヤーを圧倒することができれば(フォールドさせる事ができれば)ポットの獲得が可能であるため、前者と比べてその機会は格段に多いといえます。
つまり、テーブルコントロールをすることはポットを獲得する機会を格段に増やしてくれるといえるのです。
テーブルイメージを作り上げることはエクイティを得るために必要不可欠であり、先ほど解説したコンティニュエーションベットはテーブルコントロールを維持する上で有効な手段なひとつです。
アグレッシヴなプレイスタイルで知られるポーカープレイヤー、ガス・ハンセン氏は「テーブルコントロールを維持するためには75~80%の頻度でコンティニュエーションベットをおこなう必要がある」と語っています。
▼ガス・ハンセン氏の著書
まとめ
・プリフロップでベット(レイズ)したプレイヤーが、コミュニティーカードがヒットしていないにもかかわらずフロップでも継続的にベットをすることを「コンティニュエーションベット」という。
・コンティニュエーションベットの標準額はポットの半分から3分の2程度。
・およそ75~80%の頻度でコンティニュエーションベットをおこなうことでテーブルコントロールを維持することができる。
・ポットを獲得するためには、
①ショーダウンで他のプレイヤーに勝利する
②他のプレイヤーを全員フォールドさせる
という2通りの方法がある。
・相手をフォールドさせて得たエクイティを「フォールドエクイティ」と言う。
・アグレッシヴなテーブルイメージで相手を恐怖させて得たエクイティを「フィアエクイティ」と言う。
以上、フロップで使えるテキサスホールデムの戦略「コンティニュエーションベット」の解説でした。
次のページではフロップ以降で使える5つの戦略を解説していきます。
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