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ポーカーの一種、「テキサスホールデム」は海外では多くの大会が開かれる大人気ゲーム。そんなテキサスホールデムをルール・確率・戦略…と初心者の方でも簡単に理解できるよう解説します。読めば海外プレイヤーとも対等に渡り合えるようになる!?
「テキサスホールデム入門 ~魅力的な投資ゲーム~」はこちらから!
著者:國谷正明
テキサスホールデムのプレイ歴約4年。海外プレイヤーとのオンライン対戦を中心に洋書の教則本を読んで勉強。投資の要素が魅力の高度な知的ゲームであるテキサスホールデムの面白さを多くの人に伝えたいという思いがある。facebook(國谷)
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第1章ではテキサスホールデムのルールについてご説明いたしましたが、本章(第2章)ではテキサスホールデムをプレイする上で知っておくと勝利に近づける「確率」に関する基礎知識を
【オッズ・アウツ】【スターティングハンド】
というページに分けてお伝えしていきます。このページでは【オッズ・アウツ】について解説をします。
テキサスホールデムでは、運に恵まれた初心者が上級者に勝つこともありますが、長期的にみればより優れた技術をもったプレイヤーが勝つようにできています。
こちらのページでは『アウツ』『オッズ(ポットオッズ)』という考え方を用いて数学的に勝負するかどうか判断をするための、確率の求め方などをお伝えさせていただきます。
投資の判断
第1章「テキサスホールデムのルール 【ゲームの流れ】」でお伝えした通りテキサスホールデムは「2枚の手札と5枚のコミュニティカードの計7枚のうちの5枚で役を作るゲーム」です。
コミュニティカードは最初、3枚公開されます。(3枚公開段階のターンを「フロップ」と言います)
※プリフロップ・・・手札が2枚配られた段階のターン
そこから4枚目(4枚目公開段階のターンを「ターン」と言います)、5枚目(4枚目公開段階のターンを「リバー」と言います)と順番にめくられていきます。
自分のハンド(作れる役)がどのような形になるかは最後のカードが公開される「リバー」の段階まで明らかになりません。
そのためチップを獲得するには、この「リバー」に至るまでに「プリフロップ(2枚の手札が配られるターン)」→「フロップ」→「ターン」という3回のターンでフォールド(降りる)以外のアクションをし続けてゲームに残っていなければなりません。
時には自分の手持ちチップの全額を投資する必要に迫られることもあります。
「次のコミュニティカードを見るためにチップを投資するだけの価値がその手札にあるか」
――その判断をくだす際に大いに役立つのが『アウツ』という概念を利用した確率論です。
アウツとは
『アウツ』とは一言で言えば「勝利するために必要なカードの残り枚数」です。
アウツを知ると勝利の確率(勝率)を求めることができます。勝率の求め方がわかると数学的に正しい判断をすることができるのです。
以上の説明だけでは『アウツ』のイメージが沸かないかと思いますので、一度具体的な例を用いてアウツの枚数、つまり勝率を求めてみましょう。
アウツの求め方
例えば、手札(ハンド)が「5♠4♠」
そして、最初にめくられているコミュニティカード3枚が「J♠6♠3♡」だった時です。
このハンドには「フラッシュ」と「ストレート」という役を完成させられる可能性があります。
※フラッシュ・・・5枚同じ柄のカードが揃う役 ストレート・・・「34567」などの5枚の連続した数字のカードが揃う役
役については第1章で解説!(現在第2章)
なぜなら2枚の手札と3枚のコミュニティーカードで合わせて4枚の♠(スペード)が揃っていますから、フラッシュ(全て同じ柄の役)を完成させるためには次の4枚目のコミュニティーカードが公開される「ターン」か5枚目のコミュニティーカードが公開される「リバー」であと1枚の♠(スペード)が来ればOKです。
トランプは1つのスート(ハート・スペード・ダイヤ・クラブの柄の事)につき13枚のカードがあります。そのうちの4枚が既に出ていることから13-4=9枚の♠(スペード)カードを引くことができれば「フラッシュ」が完成することがわかります。
この9枚のスペードはフラッシュの「アウツ(勝利するために必要なカードの残り枚数)」です。
▼トランプの中にある残りの♠の枚数
※同じ柄のカードがあと1枚あればフラッシュが完成する手札(とコミュニティーカード)の状態のことを「フラッシュドロー」と言います。そのため「フラッシュのアウツ」=「フラッシュドローのアウツ」と言い換える事もできます。
また、手札に6543の数字が揃っていることから、ストレートを完成させるためには7もしくは2のカードが必要です。
このように前後2つの数字のどちらかを引けばストレートが完成するハンド(手札とコミュニティーカード)のことを「オープンエンドストレートドロー」と呼び、
8754のように間のひとつの数字を引かなければストレートが完成しないハンド(手札とコミュニティーカード)は「ガットショットストレートドロー」と呼ばれます。
1つのデッキ(52枚の)には同じ数字のカードが4枚あるので(♥♠♦♣の4枚)、オープンエンドストレートドローには8枚のアウツがあることがわかります。
▼8枚のアウツ
先ほど示したようにフラッシュドロー(同じスートのカードをあと1枚引けばフラッシュが完成するハンドのこと)のアウツが9枚、
オープンエンドストレートドロー(あと1枚の数字カード、しかも両端いずれかを引けばストレートが完成するハンドのこと)のアウツが8枚
ですが、オープンエンドフラッシュドロー(「フラッシュドロー」と「オープンエンドストレートドロー」が両立しているハンドのこと)の場合、両者のアウツの一部に重複しているカードがあるため、それらをディスリガード(無視)しなければなりません。
▼重複したアウツを無視
この例の場合では7♠と2♠をフラッシュドローのアウツからディスリガードします。
以上から、オープンエンドフラッシュドローには、9枚+8枚-2枚=15枚のアウツが存在することが求められます。
これにより「勝利するために必要なカードの残り枚数」(=アウツ)がわかりました。
アウツがわかれば勝率を導き出すことができます。
勝率の求め方
勝率を求める方法は
「デッキの枚数(トランプの総数は52枚)から手札(2枚)と場に出ているコミュニティカード(3~5枚)の枚数を引いた数でアウツを割る」
というものです。
▼勝率の求め方
※ここでは「勝率」としていますが厳密には「役が完成する確率」です。なぜなら役が完成しても相手にさらに強い役を作られてしまうと勝てないからです。
と言ってもなかなかイメージが沸かないかと思います。
実例で理解していきましょう。
先程に引き続き、手札が5♠4♠で最初に公開されているコミュニティカード3枚が、J♠6♠3♡だったときを例に解説していきます。
この場合のアウツは先ほど15枚と求めましたね。
そのため、上記の例を式にあてはめると
15(アウツの枚数)÷(52(トランプの総数)-2(手札)-3(コミュニティカード))=0.319=31.9%
つまりこの手札でフラッシュかストレートが完成する確率は31.9%だということがわかります。
(ちなみにですが少々難しい話をしますと「オッズ」で表すと2.1:1です。確率をオッズに直すには、1を確率で割り、その商から1を引いてください。つまり今回の場合1÷0.319-1=2.1倍=2.1:1となります。勝率を「オッズ」に直す事ができるとさらに下で解説しているポットオッズとの比較が容易になりますので頭の片隅に入れておきましょう。)
以上から、オープンエンドフラッシュドロー(フラッシュドローとオープンエンドストレートドローが両立しているハンドのこと)は勝率(フラッシュかストレートが完成する確率)31.9%なので、およそ3回に1回の割合でフラッシュもしくはストレートが完成するハンドであることがわかります。
▼3回に1回の割合でフラッシュもしくはストレートが完成するハンド
では、勝率を求めたところでこれをどう勝負するか判断の材料にするのでしょうか。以下で解説していきます。
オッズ(ポットオッズ)とは
数学的に正しい判断をくだすためには、勝率を求めるだけではまだ不充分です。
アウツを求めたら、次は『オッズ(ポットオッズ)』というものを計算します。
『ポットオッズ』とは、ポット(全員の賭け金の合計)の大きさとそのポットを得るために必要な投資額の比率のことです。
要するに「ポットオッズ=いくら払って、いくら返ってくるかということの比率」と言えます。
例えば、$600のポットでコール(=相手と同額のチップを賭けるアクション)するためには$100が必要、という場合があるとします。
$600のポットにコールで$100払う訳ですから、コールをした後のポットの合計は$600+$100=$700になります。
つまり、この場合は「ポットの$700を$100のコールで獲得できる可能性がある」ということになります。
これを『ポットオッズ』というものになおします。ポットオッズになおすと、何回のうち何回勝てば収支がプラスになるかがわかります。
ポットオッズは「いくら払って、いくら返ってくるかということの比率」なので「(600+100):100=700:100=7:1」になります。
つまり「オッズは7倍」となります。
※ポットオッズ=オッズです。またポットオッズ(オッズ)は「7:1」でも「7倍」でも同じ意味になります。
勝率(役が完成する確率)とポットオッズを求めたら、両者を照らし合わせてそのハンドをプレイし続けることが数学的に正しいかどうかを判断します。
勝率がポットオッズを上回っていればプレイし続けることが正しく、勝率がポットオッズを下回っていればプレイを続けるべきではありません。
▼今回の例の勝率とオッズ
具体的には、「オッズ(ポットオッズ)は7倍」でした。つまり7回に1回勝てば、収支がプラスマイナスゼロになり、7回に2回以上勝てるのであれば収支はプラスになるということになります。
そして、手札が5♠4♠でコミュニティカードが、J♠6♠3♡だった場合、勝率は31.9%でおよそ3回に1回勝てるという計算でした。
オッズ(ポットオッズ)が7倍(つまり7回に1回勝てば収支はプラマイゼロである状況)で、3回に1回も勝利することができるのですから、数学的に判断するとここは「コール」した方がよいということになるのです。
つまり今回の場合、勝率がポットオッズを大きく上回っているので、「プレイし続けることが数学的に正しい判断」であると言えるのです。
要は、勝率>ポットオッズならプレイし続けることが数学的に正しく、勝率<ポットオッズならプレイを続けるべきではないのです。
ちなみに、それまでのラウンド(ターン)で投資したチップはサンクコスト(=ポットを獲得しない限り取り返すことのできない費用)であるため、ポットオッズを求める際にはその時点で投資する費用のみを計算しますので注意してください。
【応用編】インプライドオッズ
上記の「アウツ」および「ポットオッズ」の求め方はあくまで基礎知識であり、より正確な判断をくだすためには、経験に基づいた推測によってさらに細かい計算をしなければなりません。
たとえば、引き続き同じ例(手札5♠4♠コミュニティカードJ♠6♠3♡)を取り説明すると、
フロップ(4枚目のコミュニティーカードがめくられた段階のターン)では他のプレイヤーが、自分より強いフラッシュやストレートを完成させている可能性があります。
つまりアウツ(役が完成するカード)を引いてフラッシュやストレートを完成させたからといって必ずしも勝っているとは言い切れないことがあります。
なので、予想される相手のハンドの強さに応じてアウツの範囲を狭めて考える必要があります。
また、ポットオッズ(オッズ)を求める際にはプレイヤーのポジションによって自分より後ろのポジションのプレイヤーのアクションを予測し、さらに正確な値を求めなければなりません。
▼ポジション
ポジションについては第1章で詳しく解説!(現在第2章)
このようにして求めたポットオッズを「インプライドオッズ(Implied Odds)」といいます。
初心者のうちはインプライドオッズを求めるのは難しいのでとりあえずそのようなものがあるという事を頭に入れておき、まずはアウツとポットオッズを正確に素早く計算できるようにすると良いでしょう。
オッズ一覧表
以下にアウツの枚数に応じたオッズの早見表を示します。この表を頭に入れておくと勝利に近づく事でしょう。
アウツの枚数 |
ターンでアウツがヒットする確率 |
リバーまでにアウツがヒットする確率 |
1 |
46:1 |
23:1 |
2(セット) |
23:1 |
11:1 |
3 |
15:1 |
7:1 |
4(ガットショットドロー) |
11:1 |
5:1 |
5 |
8:1 |
4:1 |
6 |
7:1 |
3:1 |
7 |
6:1 |
2.6:1 |
8(オープンエンドドロー) |
5:1 |
2.2:1 |
9(フラッシュドロー) |
4:1 |
1.9:1 |
10 |
3.7:1 |
1.6:1 |
11 |
3.3:1 |
1.4:1 |
12(ガットショットフラッシュドロー) |
3:1 |
1.2:1 |
13 |
2.6:1 |
1.1:1 |
14 |
2.4:1 |
1:1 |
15(オープンエンドフラッシュドロー) |
2.1:1 |
0.8:1 |
16 |
1.9:1 |
0.8:1 |
17 |
1.8:1 |
0.7:1 |
18 |
1.6:1 |
0.6:1 |
19 |
1.5:1 |
0.5:1 |
20 |
1.3:1 |
0.5:1 |
※セット・・・スリーカード
以上、テキサスホールデムの確率【オッズ・アウツ】でした。
次のページでは確率論に大きくかかわる【スターティングハンド】について解説をしていきます。
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目次著者
著者:國谷正明
テキサスホールデムのプレイ歴約4年。海外プレイヤーとのオンライン対戦を中心に洋書の教則本を読んで勉強。投資の要素が魅力の高度な知的ゲームであるテキサスホールデムの面白さを多くの人に伝えたいという思いがある。facebook(國谷)
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