テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】

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ポーカーの一種、「テキサスホールデム」は海外では多くの大会が開かれる大人気ゲーム。そんなテキサスホールデムをルール・確率・戦略…と初心者の方でも簡単に理解できるよう解説します。読めば海外プレイヤーとも対等に渡り合えるようになる!?

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はじめに

テキサスホールデムとは

第1章 テキサスホールデムのルール

テキサスホールデムのルール 【ゲームの流れ】

テキサスホールデムのルール② 【アクション】

テキサスホールデムのルール③ 【ポジション】

テキサスホールデムの役(ハンド)一覧

テキサスホールデム3つのベットルールとゲーム形式

第2章 テキサスホールデムの確率

テキサスホールデムの確率 【オッズ・アウツ】

テキサスホールデムの確率 【スターティングハンド】

第3章 テキサスホールデムの戦略

テキサスホールデムの戦略① 【ポジションの重要性】

テキサスホールデムの戦略② 【プリフロップ時の判断】

テキサスホールデムの戦略③ 【コンティニュエーションベット】

テキサスホールデムの戦略④ 【フロップ以降の5の戦術】

テキサスホールデムの戦略⑤ 【プレイスタイル】

第4章 練習問題集

テキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】

テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】

第5章 実際にプレイしてみよう

テキサスホールデムポーカーおすすめアプリ3選

テキサスホールデムのおすすめ本と道具

番外編 専門用語集

テキサスホールデム専門用語集

著者:國谷正明

テキサスホールデムのプレイ歴約4年。海外プレイヤーとのオンライン対戦を中心に洋書の教則本を読んで勉強。投資の要素が魅力の高度な知的ゲームであるテキサスホールデムの面白さを多くの人に伝えたいという思いがある。facebook(國谷)

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本章(第4章)では引き続き、これまでの内容を踏まえた練習問題を出題していきます。

 

前ページテキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】よりも少し踏みこんだ内容となっておりますので、わからないときには該当するページを参考にしながらじっくりと考えてみてください。

 

アウツに関する問題集

 

アウツについて復習してから問題に挑みたい方は第2章より!(現在第4章)

 

アウツの問題①

 

あなたの手札がT♠6♠でフロップ(3枚のコミュニティーカードが公開された段階のターン)がA♠4♠K♢だったとき、何枚のアウツがあるか。

 

 

また、ターン(4枚目のコミュニティーカードが公開される段階のターン)でアウツを引くオッズはいくらか。

 

答え(クリックで回答を表示)

答:アウツは9枚、オッズはおよそ4:1

解説:フラッシュドロー(=同じ柄のカードをあと1枚引けばフラッシュが完成する手札のこと)であるため、1つのスート(柄)=13枚から場に出ている4枚を引いた9枚がアウツとなる。

ドローハンド(現状では強くないが、強くなる可能性がある手札)が「ターン」で完成する確率は、アウツの枚数÷(52-5(手札+コミュニティーカード))という式で求められ、今回だと9÷47=0.19=19%、オッズで表すと4.2:1であることがわかる。

※確率をオッズに直すには、1を確率で割り、その商から1を引く。つまり今回の場合は1÷0.19-1=約4.2倍=4.2:1

▼復習は第2章より(現在第4章)

 

アウツの問題②

 

あなたの手札が9♢8♣でフロップ(3枚のコミュニティーカードが公開された段階のターン)がQ♠T♡7♢だったとき、何枚のアウツがあるか。

※T=10

 

 

また、ターン(4枚目のコミュニティーカードが公開される段階のターン)でアウツを引くオッズはいくらか。

 

答え(クリックで回答を表示)

答:アウツは8枚、オッズはおよそ5:1

解説:今回の手札とコミュニティーカードではT987のオープンエンドストレートドロー(=6543のように前後2つの数字のどちらかを引けばストレートが完成するハンドのこと)であるため、同ナンバー=4枚(♡♠♢♣の各マーク)に2を掛けた8枚がアウツとなる。

「ターン」で完成する確率は8÷47=0.17=17%、オッズは1÷0.17-1=4.8倍=4.8:1であると求められる。

▼復習は第2章より。

 

アウツの問題③

 

あなたの手札が3♠2♠でフロップがJ♠6♡5♢だったとき、何枚のアウツがあるか。

 

 

また、ターンでアウツを引くオッズはいくらか。

 

答え(クリックで回答を表示)
答:アウツは4枚、オッズはおよそ11:1

解説:今回の手札とコミュニティーカードでは6532のガットショットストレートドロー(=8754のように間のひとつの数字を引かなければストレートが完成しないハンド)であるため、

同ナンバー=4枚(♡♠♢♣の各マーク数字の4)がアウツとなる。

ターンで完成する確率は4÷47=0.085=8.5%、オッズは1÷0.085=10.7倍=10.7:1であると求められる。

▼復習は第2章より

 

アウツの問題④

 

あなたの手札がK♠Q♠でフロップがJ♠T♠7♢だったとき、何枚のアウツがあるか。

 

 

また、ターンでアウツを引くオッズはいくらか。

 

答え(クリックで回答を表示)

答:アウツは15枚、オッズはおよそ2:1

解説:今回の手札とコミュニティーカードではK♠Q♠J♠T♠のオープンエンドフラッシュドロー(あと1枚でストレートかフラッシュが完成する状態。さらにストレートはAと9どちらが来ても完成する状態)であるため、9枚のフラッシュドローアウツと8枚のストレートドローアウツがある。17枚アウツがあるように思えるが両者に重なっているアウツ「A♠」「9♠」をディスリガード(無視)して、計15枚のアウツがあることが求められる。

「ターン」で完成する確率は15÷47=0.32=32%、オッズは1÷0.32-1=2.1倍=2.1:1であると求められる。

▼復習は第2章より

 

ポットオッズに関する問題集

 

ポットオッズについて復習してから問題に挑みたい方は第2章より!

 

ポットオッズの問題①

 

ブラインド(強制ベット)が$50/$100(つまりスモールブラインドが$50、ビッグブラインドが$100の強制ベットをした)のゲームで、プリフロップ(手札が2枚配られた段階のターン)で6人のプレイヤーがコールしてボタンのあなたまで回った。

 

 

そのとき、あなたがコールするときのポットオッズはいくらか。

 

答え(クリックで回答を表示)

答:8.5:1

解説:$50+$100+($100×6人)=$750のポットに$100をベットするとき、計$850のポットに$100を賭ける計算になるので、ポットオッズは850:100=8.5:1(=8.5倍)であると求められる。

▼復習は第2章より。

 

ポットオッズの問題②

 

ブラインド(強制ベット)が$50/$100(つまりスモールブラインドが$50、ビッグブラインドが$100の強制ベットをした)のゲームで、ビッグブラインドのあなたがフラッシュドロー(後一枚でフラッシュが完成する状態)をもっているとき、フロップ(3枚のコミュニティーカードが公開された段階のターン)でカットオフのプレイヤーが$300のベットをして、ボタンのプレイヤーがコール(同額を賭ける事)した。

 

 

ポットが$1,250だったとき、数学的に正しいプレイをするためにあなたがとるべきアクションは「コール(同額を賭ける)」か、フォールド(降りる)か。ただし、インプライドオッズ(相手の手札を読んで求める応用的なオッズ)は考慮しないこととする。

 

答え(クリックで回答を表示)

答:コール

解説:$1,250のポットに$300をコミット(投資)するとき、ポットオッズは(1250+300):300=5.2:1になる。

フラッシュドローのオッズ(4:1)がポットオッズを上回っているので、この状況では「コール」することが数学的に正しいプレイとなる。

▼復習は第2章より(インプライドオッズについても解説しています)

 

プロテクションベットに関する問題

 

プロテクションベットについて復習してから問題に挑みたい方は第3章より!

 

プロテクションベットの問題

 

ブラインドが$100/$200のゲームにおいて、手札がA♡9♣でフロップ(公開された3枚のコミュニティーカード)がA♠9♢8♣だったとき、アンダーザガンのあなたが600$をベットすると、オープンエンドストレートドロー(6543のように前後2つの数字のどちらかを引けばストレートが完成するハンドのこと)をもっているボタンがコールし、他のプレイヤーは全員フォールドした。

 

 

ターンはK♠、ポットが$2,600のとき、ボタンのプレイヤーをフォールドさせるためにあなたはいくらのベットをするべきか。

 

答え(クリックで回答を表示)
答: $1,000以上

解説:オープンエンドストレートドローが「リバー」で完成するオッズは4.8:1であるため(アウツ8枚÷残り46枚=0.17=17%が勝率、オッズは1÷0.17-1=4.8倍=4.8:1)、ボタンのプレイヤーをフォールドさせるには、ポットオッズを4.8:1よりも大きくする必要がある。

(計算しなくても済む「オッズ一覧表」はこちらに掲載)

Xをコールする額とすると(2600+2X):X=4.8:1という式からXの値を求めると4.8X=2600+2X→2.8X=2600→X=929となり、およそ$930のベットでオッズが均衡することが求められる。

実際のプレイでそこまで細かい計算をおこなうプレイヤーはいないので、ざっと$1,000のベットを打てば相手にフォールドさせるために必要なポットオッズを与えることができると考える。

相手に充分なスタック(手持ちチップ)があり、且つタイトなプレイヤー(すぐにフォールドする)でなければ(つまり強気なプレイヤーだと)プロテクションベットの成功率が低くなるので注意する。あなたのテーブルイメージ(そのテーブルでどのようなプレイをするのかの印象)も重要。

▼復習は第3章より

 

以上、テキサスホールデムが強くなる練習問題②でした。

次のページから第5章。第5章では実際にテキサスホールデムをプレイできるアプリやおすすめテキサスホールデム関連書籍・道具を紹介します。

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はじめに

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第1章 テキサスホールデムのルール

テキサスホールデムのルール 【ゲームの流れ】

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テキサスホールデムの戦略① 【ポジションの重要性】

テキサスホールデムの戦略② 【プリフロップ時の判断】

テキサスホールデムの戦略③ 【コンティニュエーションベット】

テキサスホールデムの戦略④ 【フロップ以降の5の戦術】

テキサスホールデムの戦略⑤ 【プレイスタイル】

第4章 練習問題集

テキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】

テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】

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第2章 テキサスホールデムの確率

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第3章ではオンラインゲームなどで海外のプレイヤーと対等に勝負ができるようテキサスホールデムの「戦略」について

ポジション】【プリフロップ】【コンティニュエーションベット】【フロップ以降】【プレイスタイル

のページに分けて解説しています。

このページではフロップ(3枚のコミュニティーカードが公開されている段階のターン)からポストフロップ(フロップ以降。つまり「ターン」「リバー」)で使える5つの戦術を紹介いたします。

 

 

1 セカンドバレル

 

前のページテキサスホールデムの戦略 【コンティニュエーションベット】でご紹介した「コンティニュエーションベット」に関連したテクニックに、「セカンドバレル」というものがあります。

 

コンティニュエーションベット
プリフロップ(手札が2枚配られた段階のターン)でベット(レイズ)していたプレイヤーが、手札がフロップで公開された3枚のコミュニティーカードにヒットしていない(来てほしかったカードが来なかった)にもかかわらずベットすることです。コンティニュエーションベットにより他のプレイヤーに「ヒットしなかった」と思わせない事で相手をフォールド(降りる)させる戦術です。

具体的に説明すると、最初に配られた2枚の手札がA♡8♡だったとします。フラッシュを目指し、フロップ(3枚のコミュニティーカード公開)で♡の柄のカードが来ることを期待してプリフロップでレイズをしました。

しかし、フロップでコミュニティーカードに♡が一枚もありませんでした。この時に引き続き賭け金をベットして、あたかも強い手札になったかのように見せるのが「コンティニュエーションベット」です。詳しくは前ページで解説していますので参考にしていただければと思います。

 

「セカンドバレル」は、

「フロップでコンティニュエーションベットを打ったプレイヤーがターン(4枚目のコミュニティーカードが公開されるターン)でも連続してコンティニュエーションベットをおこなったときのベットのこと」

を意味します。

 

 

セカンドバレルでは、「ターン(公開された4枚目のコミュニティーカード)」がスケアカード(=他のプレイヤーのアウツ(役を作るカード)である可能性が高いカード)だったとき、継続して強さを主張することでポットの獲得を狙います。

要は、セカンドバレルは強気なアクションで相手をゲームから降ろさせるのが狙いです。

セカンドバレルに相手がコール(同じ金額を賭ける)してリバー(5枚目のコミュニティーカードが公開されるターン)まで進んだとき、さらにコンティニュエーションベットを打つことを「サードバレル」と呼びます。

3度にわたってブラフをおこなうには相応のリスクが伴いますので、相手のプレイスタイルやスタック(手持ちチップ)の大きさなどを充分に考慮した上で慎重に判断してください。

 

▼コンティニュエーションベットのベッティングラウンドごとの呼び方

ベッティングラウンド 名称
フロップ コンティニュエーションベット
ターン セカンドバレル
リバー サードバレル

 

2 インフォメーションベット

 

インフォメーションベットは、

「ベットして相手の反応を伺いハンドの強さを探る戦術」

です。

 

インフォメーションベットは、オリジナルレイザー(プリフロップで最初にレイズを行った人)のアクションから相手と自分のハンドの強さを推測することを目的とするものです。

 

 

インフォメーションベットは自分がプリフロップでベット(レイズ)をしておらず、且つプリフロップでレイズをしたプレイヤーがフロップでコンティニュエーションベットをしなかった場合にベットをする事です。

 

 

インフォメーションベットの額はポットの3分の1から半分程度が標準的な大きさであるとされています。(ポットが$1000なら、ベット額は$300~$500程度)

ただし、ベットする額によって相手のアクションから推測できるハンドの範囲も変わってきます。

 

たとえば、ポットの半分にあたる大きさのベットに対してコールされた場合と、ポットの3分の2にあたる大きさのベットに対してコールされた場合とでは、

後者の方がより大きな金額をベットしていることから相手は強いハンドを示唆するアクションであると読み取ることができます。

 

 

相手のハンドの強さを予測することで後のアクションによる損失を最小限に抑えられるだけでなく、場合によっては「フォールドエクイティ」を得られる可能性もあるため、コンティニュエーションベットと併せてぜひ覚えておきたいテクニックです。

 

フォールドエクイティ
フォールドエクイティとは「相手をフォールドさせることによって得られるエクイティ」のことを指します。「エクイティ」とは、勝負した時に返ってくると金額の見込みを意味します。つまりフォールドエクイティを得るという事は相手が得られた金額を得ている、という事になります。

 

3 フローティング

 

フローティングとは、

「ポジションがある状況(アクションの順番が遅くポジションの優位性がある状況)で他のプレイヤーがコールやチェックといった弱気なアクションをしたとき、ポットの獲得を狙ってベット(レイズ)をする行為」

を指します。

 

 

要するに、たとえ自分が強い手札ではなかったとしても、相手が弱気なアクションをしているということなので、自分が「強いカードを持っている」と思わせれば相手は降りる可能性があるということです。

そういう状況で、「レイズ(金額を上乗せして賭ける)」などの強気なアクションをすることで、相手をフォールドさせてポッドを獲得しようとすることを「フローティング」と呼ぶのです。 

 

例えば、コンティニュエーションベットをおこなったプレイヤーAがセカンドバレル(=ターンでコンティニュエーションベットをすること)をせずに「ターン(4枚目の手札が公開される段階のターン)」でチェックをしている場合があるとします。

 

コンティニュエーションベット
プリフロップ(手札が2枚配られた段階のターン)でベット(レイズ)していたプレイヤーが、手札がフロップで公開された3枚のコミュニティーカードにヒットしていない(来てほしかったカードが来なかった)にもかかわらずベットすることです。コンティニュエーションベットにより他のプレイヤーに「ヒットしなかった」と思わせない事で相手をフォールド(降りる)させる戦術。詳しくは前ページで解説していますので参考にしていただければと思います。

 

こういう場合でポジションのある(アクションの順番が遅くポジションの優位性がある状況)プレイヤーがレイズ(つまり「インフォメーションベット」)を行うと、

プレイヤーAはコミュニティーカードにヒット(来てほしいカードが来ること)していない限り、「コール(同じ金額を賭ける)」することは簡単ではありません。※なぜ、簡単ではないかは下記で解説します。

そのため、インフォメーションベットは冷静にフォールドすることができる慎重なプレイヤーや、コンティニュエーションベットを多用するプレイヤーが相手だった場合は有効です。

 

ただし、マージナルハンド(現状では勝てそうにない微妙なハンド)でもレイズを躊躇しないマニアックなプレイヤーにはインフォメーションベットをしてもあっさりとレイズされてしまうので効果が期待できません。注意しましょう。

 

※プレイヤーAがコールするのが簡単でない理由

テキサスホールデムにおいて「チェック」はハンド(手札)の弱さを示す弱気なアクションであるとされます。

ハンドの強さを主張する強気なアクションであるセカンドバレルをせずにチェックをしたということは、無駄なベット(賭けること)を控えて「損失を最小限に抑える方針」に切り替えたことを示唆しています。

そのため、ハンドの強さを主張するプレイヤー(つまりインフォメーションベットをしたプレイヤー)のベットにコール(同額を賭ける)をするようなリスクの高いアクションをおこなうことは合理的ではないからです。

(ただし、コミュニティーカードにヒットしてハンド(手札)が強くなったことを悟られないように、敢えて弱気なアクション(この場合は「チェック」)をしている場合には、勝ったときの利益を最大化するために他のプレイヤーのベットに対して「コール」することが合理的なアクションとなります。)

 

4 プロテクションベット

 

プロテクションベットとは、

「現時点では勝っているが、他プレイヤーが強くなれば負けてしまう可能性が高いハンドを相手が持っていて、その相手にフォールドを促すベット」

をプロテクションベットといいます。

その名のとおりドローハンド(現状では強くないが、ターンやリバーの時に公開されるカードによって強くなる可能性がある手札)から自分のハンドを「プロテクト(守る)」することを目的におこなうベットです。

 

方法としては、相手のハンドを予測した上でポットオッズを計算し、オッズに合わなくなる大きさをベットします。要はベットの額を増やし、「勝負するには見合わない!」と相手に思わせるのです。

ポットオッズとは
ポットの大きさとそのポットを得るために必要な投資額の比率のことです。要するに「いくら払って、いくら返ってくるか」ということの比率。ポットオッズが大きいと積極的に勝負した方が得だが、小さいと強い役でなければ勝負しない方が良くなる(「オッズに合わない」となる)。

 

たとえば、自分の手札がQ♠T♢でフロップで公開されたカードがQ♡T♣4♢、ターンが7♡だったときに、相手が♡のスーティッド(同じ柄のカード)をもっていると仮定します。※T=10

 

 

相手は♡の柄が4つ揃っているフラッシュドロー(同じ柄が4枚揃っている状態。後一枚でフラッシュが完成する状態)なので、相手プレイヤーにはおよそ4:1のオッズ(勝率)があると推測できます。(4:1のオッズというのは、4回に1回は勝てるという状態を表します。)

※ここで言うオッズは「勝率」「役が完成する確率」の事です。以下で説明する「ポットオッズ」とは別のものになります。

オッズ(勝率)の求め方
トランプは全カードの枚数や、それぞれの柄の枚数が決まっているので、ターンの時点でフラッシュドロー(後一枚でフラッシュが完成する状態)だと最後のリバーでは1/4の確率でフラッシュが完成すると計算によって求める事ができます。

詳しいオッズの求め方については第2章で解説しております。一覧表で見れば、オッズも一目瞭然です。

 

勝率(オッズ)がポットオッズを上回っていると相手にプレイを続けさせる数学的根拠を与えてしまいます。第2章で解説しましたが「勝率>ポットオッズ」であれば勝負をした方が勝率に対してリターンが大きい事を示すからです。

そのため、自分のハンドをプロテクト(守る)するためには意図的にポットオッズを膨らませて相手をフォールドさせなければなりません。

 

仮にその時点のポット(全員の賭けた金額の合計)が$1,000だった場合、$550をベットすればポットは$1,550+$550は$2100になります。

ポットオッズは「ポット(ベットする額も含めたポット):ベット額」なので

2100:550=3.8:1

となります。

つまりポットオッズ(オッズ)は3.8倍という事になります。3.8回に1回勝てれば収支がプラスマイナスゼロになるという事なのでこのポットオッズの勝負に参加するには3.8回に1回以上勝てる勝率を持った手札で無ければなりません。

 

 

オッズ(ポットオッズ)が、3.8:1で、勝率が4:1です。3.8回に1回以上勝たなくてはならないオッズなのに手札の勝利する確率は4回に1回です。

要するに、勝率から考えるとこの勝負をすると収支がプラスマイナスでマイナスになってしまう状況を作れた訳です。

結果相手はフォールド(降りる)することになるのです。

このようにしてプロテクションベットでは相手にコールすることが数学的に正しくないポットオッズを与えることができます。

もちろん相手を含めた他プレイヤーのスタック(手持ちチップ)量やプレイスタイルによってはそれでも「コール(同額を賭ける)」をしてくることも考えられますので、状況を慎重に見極めた上で活用してください。

 

コールが正しくなる状況とは
相手のスタック(手持ちチップ)が少ないためポットコミット(冒頭で説明しているような、ポット(全員の賭けた金額の合計)に対してスタックが小さいため弱い手札でもコールがオッズに見合ってしまう状態のこと)している場合は、このような状況でも相手はコールが正しくなります。

また、同じように、アウツ(役を作るために必要なカードの残り枚数)やポットオッズなどの基本的な概念を理解していない初心者や、勝率の低いハンドでも強気なベットやレイズを繰り返すマニアックなプレイヤーを相手にしている場合もプロテクションベットの成功率は低くなります。

 

5 バリューベット

 

反対に、自分のハンドがナッツ(Nuts, =その状況における最高のハンド)であると確信できるとき、利益の最大化を目的におこなうベットを「バリューベット」(Value Bet)と呼びます。

相手がコールすることが正しくなる為の最も大きなベット額をしっかり見極めることで、ポットを獲得した際の利益を最大限まで膨らませることが可能となります。

※ギリギリまでポットオッズが小さくなりすぎないような額をベットし続ける。その結果相手の勝率が低い手札であってもポットオッズが大きいので勝率が低い手札でもフォールドせずにベットし続ける。例)ポットオッズ=10倍(10回に1回の勝利で±0)なら勝率が9倍(9回に1回勝てる)でも勝負に参加してくる。

 

要は、相手にこっちを強い手札だと思わせて降りられないようにしながら、ポットの額を吊り上げるためのベットがバリューベットです。

 

まとめ

 

【セカンドバレル】

・フロップでコンティニュエーションベットをおこなったプレイヤーがターンで続けて打ったコンティニュエーションベットを「セカンドバレル」、さらにリバーで打ったコンティニュエーションベットを「サードバレル」という。

 

【インフォメーションベット】

・オリジナルレイザーがフロップでコンティニュエーションベットをせず、自分がプリフロップでベット(レイズ)していないとき、オリジナルレイザーにアクションを強いて情報を引き出すためのベットを「インフォメーションベット」という。

・インフォメーションベットの標準額はポットの3分の1から半額程度だが、ベットの大きさによって特定できるハンドの範囲も異なる。

 

【フローティング】

・ポジションがある状況で他のプレイヤーがコールやチェックといった弱気なアクションをしたとき、ポットのスチールを狙ってベット(レイズ)をする行為を「フローティング」という。

 

【プロテクションベット】

・ドローハンドから自分のハンドをプロテクトするために大きめのベットをすることをプロテクションベットという。

 

【バリューベット】

・自分のハンドがナッツであるとき、相手がコールすることが正しくなるもっとも大きな額をベットして利益の最大化を図ることをバリューベットという。

 

 

以上、フロップ以降で利用できる5つの戦術でした。

次のページではテキサスホールデムのプレイスタイルを紹介すると共に戦略的にどのようなプレイスタイルが有効か解説していきます。

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第1章 テキサスホールデムのルール

テキサスホールデムのルール 【ゲームの流れ】

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テキサスホールデムの役(ハンド)一覧

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第2章 テキサスホールデムの確率

テキサスホールデムの確率 【オッズ・アウツ】

テキサスホールデムの確率 【スターティングハンド】

第3章 テキサスホールデムの戦略

テキサスホールデムの戦略① 【ポジションの重要性】

テキサスホールデムの戦略② 【プリフロップ時の判断】

テキサスホールデムの戦略③ 【コンティニュエーションベット】

テキサスホールデムの戦略④ 【フロップ以降の5の戦術】

テキサスホールデムの戦略⑤ 【プレイスタイル】

第4章 練習問題集

テキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】

テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】

第5章 実際にプレイしてみよう

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