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第1章 テキサスホールデムのルール
第2章 テキサスホールデムの確率
第3章 テキサスホールデムの戦略
テキサスホールデムの戦略③ 【コンティニュエーションベット】
第4章 練習問題集
テキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】
テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】
第5章 実際にプレイしてみよう
番外編 専門用語集
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第3章ではオンラインゲームなどで海外のプレイヤーと対等に勝負ができるようテキサスホールデムの「戦略」について
【ポジション】【プリフロップ】【コンティニュエーションベット】【フロップ以降】【プレイスタイル】
のページに分けて解説しています。
このページではフロップ(3枚のコミュニティーカードが公開されている段階のターン)からポストフロップ(フロップ以降。つまり「ターン」「リバー」)で使える5つの戦術を紹介いたします。
1 セカンドバレル
前のページテキサスホールデムの戦略 【コンティニュエーションベット】でご紹介した「コンティニュエーションベット」に関連したテクニックに、「セカンドバレル」というものがあります。
具体的に説明すると、最初に配られた2枚の手札がA♡8♡だったとします。フラッシュを目指し、フロップ(3枚のコミュニティーカード公開)で♡の柄のカードが来ることを期待してプリフロップでレイズをしました。
しかし、フロップでコミュニティーカードに♡が一枚もありませんでした。この時に引き続き賭け金をベットして、あたかも強い手札になったかのように見せるのが「コンティニュエーションベット」です。詳しくは前ページで解説していますので参考にしていただければと思います。
「セカンドバレル」は、
「フロップでコンティニュエーションベットを打ったプレイヤーがターン(4枚目のコミュニティーカードが公開されるターン)でも連続してコンティニュエーションベットをおこなったときのベットのこと」
を意味します。
セカンドバレルでは、「ターン(公開された4枚目のコミュニティーカード)」がスケアカード(=他のプレイヤーのアウツ(役を作るカード)である可能性が高いカード)だったとき、継続して強さを主張することでポットの獲得を狙います。
要は、セカンドバレルは強気なアクションで相手をゲームから降ろさせるのが狙いです。
セカンドバレルに相手がコール(同じ金額を賭ける)してリバー(5枚目のコミュニティーカードが公開されるターン)まで進んだとき、さらにコンティニュエーションベットを打つことを「サードバレル」と呼びます。
3度にわたってブラフをおこなうには相応のリスクが伴いますので、相手のプレイスタイルやスタック(手持ちチップ)の大きさなどを充分に考慮した上で慎重に判断してください。
▼コンティニュエーションベットのベッティングラウンドごとの呼び方
ベッティングラウンド | 名称 |
フロップ | コンティニュエーションベット |
ターン | セカンドバレル |
リバー | サードバレル |
2 インフォメーションベット
インフォメーションベットは、
「ベットして相手の反応を伺いハンドの強さを探る戦術」
です。
インフォメーションベットは、オリジナルレイザー(プリフロップで最初にレイズを行った人)のアクションから相手と自分のハンドの強さを推測することを目的とするものです。
インフォメーションベットは自分がプリフロップでベット(レイズ)をしておらず、且つプリフロップでレイズをしたプレイヤーがフロップでコンティニュエーションベットをしなかった場合にベットをする事です。
インフォメーションベットの額はポットの3分の1から半分程度が標準的な大きさであるとされています。(ポットが$1000なら、ベット額は$300~$500程度)
ただし、ベットする額によって相手のアクションから推測できるハンドの範囲も変わってきます。
たとえば、ポットの半分にあたる大きさのベットに対してコールされた場合と、ポットの3分の2にあたる大きさのベットに対してコールされた場合とでは、
後者の方がより大きな金額をベットしていることから相手は強いハンドを示唆するアクションであると読み取ることができます。
相手のハンドの強さを予測することで後のアクションによる損失を最小限に抑えられるだけでなく、場合によっては「フォールドエクイティ」を得られる可能性もあるため、コンティニュエーションベットと併せてぜひ覚えておきたいテクニックです。
3 フローティング
フローティングとは、
「ポジションがある状況(アクションの順番が遅くポジションの優位性がある状況)で他のプレイヤーがコールやチェックといった弱気なアクションをしたとき、ポットの獲得を狙ってベット(レイズ)をする行為」
を指します。
要するに、たとえ自分が強い手札ではなかったとしても、相手が弱気なアクションをしているということなので、自分が「強いカードを持っている」と思わせれば相手は降りる可能性があるということです。
そういう状況で、「レイズ(金額を上乗せして賭ける)」などの強気なアクションをすることで、相手をフォールドさせてポッドを獲得しようとすることを「フローティング」と呼ぶのです。
例えば、コンティニュエーションベットをおこなったプレイヤーAがセカンドバレル(=ターンでコンティニュエーションベットをすること)をせずに「ターン(4枚目の手札が公開される段階のターン)」でチェックをしている場合があるとします。
こういう場合でポジションのある(アクションの順番が遅くポジションの優位性がある状況)プレイヤーがレイズ(つまり「インフォメーションベット」)を行うと、
プレイヤーAはコミュニティーカードにヒット(来てほしいカードが来ること)していない限り、「コール(同じ金額を賭ける)」することは簡単ではありません。※なぜ、簡単ではないかは下記で解説します。
そのため、インフォメーションベットは冷静にフォールドすることができる慎重なプレイヤーや、コンティニュエーションベットを多用するプレイヤーが相手だった場合は有効です。
ただし、マージナルハンド(現状では勝てそうにない微妙なハンド)でもレイズを躊躇しないマニアックなプレイヤーにはインフォメーションベットをしてもあっさりとレイズされてしまうので効果が期待できません。注意しましょう。
テキサスホールデムにおいて「チェック」はハンド(手札)の弱さを示す弱気なアクションであるとされます。
ハンドの強さを主張する強気なアクションであるセカンドバレルをせずにチェックをしたということは、無駄なベット(賭けること)を控えて「損失を最小限に抑える方針」に切り替えたことを示唆しています。
そのため、ハンドの強さを主張するプレイヤー(つまりインフォメーションベットをしたプレイヤー)のベットにコール(同額を賭ける)をするようなリスクの高いアクションをおこなうことは合理的ではないからです。
(ただし、コミュニティーカードにヒットしてハンド(手札)が強くなったことを悟られないように、敢えて弱気なアクション(この場合は「チェック」)をしている場合には、勝ったときの利益を最大化するために他のプレイヤーのベットに対して「コール」することが合理的なアクションとなります。)
4 プロテクションベット
プロテクションベットとは、
「現時点では勝っているが、他プレイヤーが強くなれば負けてしまう可能性が高いハンドを相手が持っていて、その相手にフォールドを促すベット」
をプロテクションベットといいます。
その名のとおりドローハンド(現状では強くないが、ターンやリバーの時に公開されるカードによって強くなる可能性がある手札)から自分のハンドを「プロテクト(守る)」することを目的におこなうベットです。
方法としては、相手のハンドを予測した上でポットオッズを計算し、オッズに合わなくなる大きさをベットします。要はベットの額を増やし、「勝負するには見合わない!」と相手に思わせるのです。
たとえば、自分の手札がQ♠T♢でフロップで公開されたカードがQ♡T♣4♢、ターンが7♡だったときに、相手が♡のスーティッド(同じ柄のカード)をもっていると仮定します。※T=10
相手は♡の柄が4つ揃っているフラッシュドロー(同じ柄が4枚揃っている状態。後一枚でフラッシュが完成する状態)なので、相手プレイヤーにはおよそ4:1のオッズ(勝率)があると推測できます。(4:1のオッズというのは、4回に1回は勝てるという状態を表します。)
※ここで言うオッズは「勝率」「役が完成する確率」の事です。以下で説明する「ポットオッズ」とは別のものになります。
詳しいオッズの求め方については第2章で解説しております。一覧表で見れば、オッズも一目瞭然です。
勝率(オッズ)がポットオッズを上回っていると相手にプレイを続けさせる数学的根拠を与えてしまいます。第2章で解説しましたが「勝率>ポットオッズ」であれば勝負をした方が勝率に対してリターンが大きい事を示すからです。
そのため、自分のハンドをプロテクト(守る)するためには意図的にポットオッズを膨らませて相手をフォールドさせなければなりません。
仮にその時点のポット(全員の賭けた金額の合計)が$1,000だった場合、$550をベットすればポットは$1,550+$550は$2100になります。
ポットオッズは「ポット(ベットする額も含めたポット):ベット額」なので
2100:550=3.8:1
となります。
つまりポットオッズ(オッズ)は3.8倍という事になります。3.8回に1回勝てれば収支がプラスマイナスゼロになるという事なのでこのポットオッズの勝負に参加するには3.8回に1回以上勝てる勝率を持った手札で無ければなりません。
オッズ(ポットオッズ)が、3.8:1で、勝率が4:1です。3.8回に1回以上勝たなくてはならないオッズなのに手札の勝利する確率は4回に1回です。
要するに、勝率から考えるとこの勝負をすると収支がプラスマイナスでマイナスになってしまう状況を作れた訳です。
結果相手はフォールド(降りる)することになるのです。
このようにしてプロテクションベットでは相手にコールすることが数学的に正しくないポットオッズを与えることができます。
もちろん相手を含めた他プレイヤーのスタック(手持ちチップ)量やプレイスタイルによってはそれでも「コール(同額を賭ける)」をしてくることも考えられますので、状況を慎重に見極めた上で活用してください。
また、同じように、アウツ(役を作るために必要なカードの残り枚数)やポットオッズなどの基本的な概念を理解していない初心者や、勝率の低いハンドでも強気なベットやレイズを繰り返すマニアックなプレイヤーを相手にしている場合もプロテクションベットの成功率は低くなります。
5 バリューベット
反対に、自分のハンドがナッツ(Nuts, =その状況における最高のハンド)であると確信できるとき、利益の最大化を目的におこなうベットを「バリューベット」(Value Bet)と呼びます。
相手がコールすることが正しくなる為の最も大きなベット額をしっかり見極めることで、ポットを獲得した際の利益を最大限まで膨らませることが可能となります。
※ギリギリまでポットオッズが小さくなりすぎないような額をベットし続ける。その結果相手の勝率が低い手札であってもポットオッズが大きいので勝率が低い手札でもフォールドせずにベットし続ける。例)ポットオッズ=10倍(10回に1回の勝利で±0)なら勝率が9倍(9回に1回勝てる)でも勝負に参加してくる。
要は、相手にこっちを強い手札だと思わせて降りられないようにしながら、ポットの額を吊り上げるためのベットがバリューベットです。
まとめ
【セカンドバレル】
・フロップでコンティニュエーションベットをおこなったプレイヤーがターンで続けて打ったコンティニュエーションベットを「セカンドバレル」、さらにリバーで打ったコンティニュエーションベットを「サードバレル」という。
【インフォメーションベット】
・オリジナルレイザーがフロップでコンティニュエーションベットをせず、自分がプリフロップでベット(レイズ)していないとき、オリジナルレイザーにアクションを強いて情報を引き出すためのベットを「インフォメーションベット」という。
・インフォメーションベットの標準額はポットの3分の1から半額程度だが、ベットの大きさによって特定できるハンドの範囲も異なる。
【フローティング】
・ポジションがある状況で他のプレイヤーがコールやチェックといった弱気なアクションをしたとき、ポットのスチールを狙ってベット(レイズ)をする行為を「フローティング」という。
【プロテクションベット】
・ドローハンドから自分のハンドをプロテクトするために大きめのベットをすることをプロテクションベットという。
【バリューベット】
・自分のハンドがナッツであるとき、相手がコールすることが正しくなるもっとも大きな額をベットして利益の最大化を図ることをバリューベットという。
以上、フロップ以降で利用できる5つの戦術でした。
次のページではテキサスホールデムのプレイスタイルを紹介すると共に戦略的にどのようなプレイスタイルが有効か解説していきます。
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テキサスホールデムが強くなる練習問題① 【ハンド・アクション・ポット編】
テキサスホールデムが強くなる練習問題② 【アウツ・オッズ・プロテクションベット編】
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