【街なか】の身近な昆虫を観察してみよう

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身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第2章)では一歩踏み込んで、実際に自然のなかに足を運ぶことを想定して【山野】【水辺】【街なか】【】とフィールドのタイプ別に、比較的簡単に見つけることのできる虫の種類と観察のポイントをお伝えしていきます。

このページでは【街なか】の昆虫を紹介します。

点在する公園内に緑地や場所によってはため池が整備されている市街地では、住宅街の只中でも多様な生き物の姿を観察することができます。

身近にいる昆虫を見つける喜びを体験し、観察することで昆虫との触れ合いを楽しんでいただければと思います。

 

シミ


By Syonnbori投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link 

名称 ヤマトシミ
大きさ 体長 約10mm
出現時期 1年中
分布 日本全土
いる場所 家・本棚

 

シミは家のなかでよく見ることのできる昆虫で、一般に害虫として扱われています。

書籍の装丁の糊付けされた部分を食す性質があり、また金属光沢のある鱗粉をまとい身をくねらせて動く姿が魚のように見えることから、漢字で「紙魚」と表されます。

書籍、特に古書を好んで食害し、また衣類やコメなどの穀物を食すこともあります。ただ、害虫として及ぼす被害はそれほど大きくはなく、どちらかというと外見や動きに起因する「不快害虫」としての側面が強いといえます。

 

【編集部の昆虫豆知識】本を食べる昆虫
シミは「本を食べる昆虫」として有名ですが、表面をなめるように、かじりとるように食べるのでポッコリと穴が開くようなことはありません。

同じく本を食べる虫として知られているのが「シバンムシ(死番虫)」です。シミと違って、トンネルを掘るように食べるので本に穴が開いてしまう可能性があります。またシバンムシは畳に穴を開けたりもします。

 

シミは夜行性で光を嫌う性質があるため、段ボール箱や収納の内部などで見つかるケースが多いですが、当然すべての家にシミが棲息しているはずもありませんので、長年住んでいて見たことがないのであれば発見できる確率は低いでしょう。

ゴキブリのように衛生的な問題もなく、噛む・刺すなどの攻撃を加えてくることもありませんので見つけたら、時にはぜひ手に取って観察してみてください。

シミは昆虫類のなかでも特に原始的な生き物であるといわれ、長い間その姿を変えていません。

このように性質を理解し、生物学的な分類を知ることで、一般に害虫といわれる生き物もその魅力が見えてくるのではないでしょうか。

 

アシナガバチ


photo by 孫鋒 林 Some rights reserved Link

名称 キアシナガバチ
大きさ 体長20~26mm
出現時期 4月~10月
分布 日本全土
いる場所 建物の軒先

 

アシナガバチは建物の軒先に営巣(えいそう:巣を作る事)することが多く、しばしば駆除の対象となっています。

全身に黒と黄の縞模様があることからスズメバチと混同されてしまいがちです。しかし凶暴なスズメバチと違い、アシナガバチは比較的温和な性格であるため、こちらから刺激しなければ襲われることはまずありません。

 

▼スズメバチ

 

ただ、巣を駆除されそうになると巣を守るため途端に攻撃的になります。アシナガバチに刺されるケースのほとんどが巣を駆除した際のことであるといわれています。

日本には11種のアシナガバチが棲息しており、キアシナガバチやセグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチが代表的です。なかなかじっくり観察することが難しいため、外見での判別は困難です。

 

▼セグロアシナガバチ


By KENPEI – KENPEI’s photo, CC 表示-継承 3.0, Link 

▼フタモンアシナガバチ

 

巣を作っているアシナガバチを見かけたら、すこし離れたところから観察してみると良いでしょう。双眼鏡や単眼鏡があると便利ですが、スマホカメラのズーム機能でも代用することができます。

 

▼単眼鏡

 

巣作りの様子は非常に興味深く、思わず時間を忘れて見入ってしまいますが、刺されるとアナフィラキシーショック(=強いアレルギー反応でショック状態になること)で命に関わる事態にもなりかねませんので、くれぐれも注意を怠らないように気をつけてください。

 

▼巣を作る嬢王蜂


By Alvesgaspar投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

ハラビロカマキリ

名称 ハラビロカマキリ
大きさ 体長 45~65mm
出現時期 8月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄
いる場所 林緑・樹木

 

住宅街の至るところに昆虫が棲息しているということは、それらを捕食(ほしょく:捕まえて食べる)する生き物もまた姿を現すということを意味しています。

中でも被捕食者であり捕食者でもあるハラビロカマキリは、緑地や庭先だけでなく、ときには路上でも見かけることがあるほどのポピュラーな昆虫です。

大型で前翅(まえばね)に白い模様の入っているのが特徴です。

 

▼ハラビロカマキリ

 

カマキリの見分け方

 

全国的に生息するカマキリの仲間に、オオカマキリやヒナカマキリ、コカマキリ、ウスバカマキリ、チョウセンカマキリ、ヒメカマキリなどがありますが、大きさや前肢の模様などで見分けることができます。

 

名称/写真 大きさ 見分け方
オオカマキリ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

体長 70~95mm 大型。前翅に模様がなく、前肢の付け根部分が淡い黄色のもの。
チョウセンカマキリ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

体長 60~85mm 大型で前翅に模様がないが、前肢の付け根部分が濃い黄色のもの。
コカマキリ


By Opencage]] – http://opencage.info/pics/large_4892.asp, CC 表示-継承 2.5, Link 

体長 45~60mm 中型で前肢の2箇所に黒い模様がある。茶色のものが多く、緑色は稀。

ウスバカマキリ


By I, Zwentibold, CC 表示-継承 3.0, Link 

体長 47~65mm 中型だが前肢に1箇所しか黒い模様がない。
ヒメカマキリ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link 

体長 25~32mm 小型で後翅が長く前翅からはみ出している。

 

カマキリを見つけた際には、以上の特徴を参考に細部を観察し、見分けることに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

このページでは【街なか】の昆虫を紹介いたしました。

次のページでは【夜】の昆虫を紹介します。夜行性の昆虫である「オオミズアオ」の夜の闇に浮かび上がる翅(はね)は幻想的であり昆虫が苦手な方でも思わず息を呑むのではないでしょうか。

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【水辺】の身近な昆虫を観察してみよう

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この章(第2章)では一歩踏み込んで、実際に自然のなかに足を運ぶことを想定して【山野】【水辺】【街なか】【】とフィールドのタイプ別に、比較的簡単に見つけることのできる虫の種類と観察のポイントをお伝えしていきます。

身近にいる昆虫を見つける喜びを体験し、観察することで昆虫との触れ合いを楽しんでいただければと思います。

このページではため池水田といった【水辺】で観察することのできる昆虫についてご紹介していきます。

 

▼ため池

 

カブトエビ

名称 カブトエビ
大きさ 体長 200~300mm
出現時期 6月~8月
分布 関東・中部地方以西
いる場所 水田

 

田植えの終わった田んぼでかならずといっていいほど見ることのできる生き物がカブトエビです。(カブトエビは甲殻類に分類されるので厳密にいうと昆虫ではありませんが、で述べているように、ここでは一般に「虫」として認識されている節足動物を含めて取り扱います。)

 

▼田んぼ

 

カブトエビはその一生を田んぼの中で過ごします。

カブトエビの卵は乾燥状態で何年も生き延びることができるため、収穫が終わり固まった田んぼの中でも死んでしまうことはありません。

田植えの季節になって水が入れられると卵が孵化し、水中のプランクトンなどを捕食して成長していきます。

 

【編集部の昆虫豆知識】カブトエビ

カブトエビの寿命は一ヶ月程だと言われています。カブトエビの成体(=成長して生殖ができるようになった状態の生物)は6月~8月の間だけ見ることができます。

カブトエビは一生のうちに300~1000個の卵を生むと言われています。田んぼの水が入る時期に生んだ卵のうちの3割だけが孵化します。一度に全て孵化しないのは種を絶滅させないためです。例えば、農薬をまかれて孵化したカブトエビは死んだとしても、卵は死ぬことはないのです。こうしてカブトエビは「生きた化石」と言われる程、長い間生き残ってきたのです。

 

 

餌を探して動きまわるカブトエビが水底をかきまわすことで農業の邪魔になる雑草の生育が抑えられます。それにより稲の発育を促す効果が期待できます。

成体はおよそ3cmほどに成長します。

 

▼約3cm:SDカードの縦の長さ

 

水田のなかをちょろちょろと動きまわる姿を観察することができますが、採取する際には稲を傷つけないよう慎重におこなってください。

 

日本にはアジアカブトエビ、アメリカカブトエビ、ヨーロッパカブトエビの三種が棲息しており、アジアカブトエビ以外は外来種(がいらいしゅ:人為的にその地域に入ってきた生物)であるとされています。顕微鏡レベルで観察する必要があるため、外見上で見分けることは困難です。

 

▼アジアカブトエビ


By Jack4740 at English Wikipedia, CC BY-SA 3.0, Link 

▼アメリカカブトエビ


Copyrighted free use, Link 

▼ヨーロッパカブトエビ


By Stijn Ghesquiere, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

水田を眺めていれば、ちょろちょろと動きまわるカブトエビの姿を容易に見つけられるはずです。

カブトエビは「生きた化石」と呼ばれ、2億年以上の太古から変わらない姿で現存しています。

その原始的で完成された形態は、見る者に進化の霊異を感じさせることでしょう。

 

マツモムシ

名称 マツモムシ
大きさ 体長 11.5~14mm
出現時期 4月~10月
分布 北海道・本州・四国・九州
いる場所 ため池・田んぼ

 

マツモムシはため池や田んぼ、まれに水たまりなどでも見ることができる水棲昆虫(すいせい こんちゅう=主に水中で生活する昆虫)です。体長1cm前後の小さな昆虫です。

 

▼1cmのもの:1円玉の半径

 

水面に仰向けに張りついている姿にはどこか愛嬌があり、眺めていて飽きることがありません。

 

水に落ちた虫などを捕食する肉食性の昆虫で、長い口吻(こうふん:くちさきの意)を獲物に刺して消化液を分泌し、どろどろに溶けた肉質を吸いこみます。

小柄ながら攻撃性が高く、捕まえようとすると刺してきますので、なるべく素手では触らないようにしてください。

 


By コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Keisotyoだと推定されます(著作権の主張に基づく)  CC 表示-継承 3.0, Link 

 

近縁種(きんえんしゅ=生物の分類で近い存在にあたる種)にキイロマツモムシやコマツモムシなどがありますが、大きさや色味で容易に判別することができます。

マツモムシは水面を注意深く観察すれば、見つけることができるかもしれません。

仰向けで水面に貼りつくマツモムシをじっと見つめていると、まるで水中が水面という分厚い壁によって隔てられた別世界であるかのような錯覚に陥ってしまいます。

自然に対する畏怖(いふ)を思い出させてくれるという意味でも、ぜひ観察してほしい昆虫のひとつです。

 

ミズカマキリ


By Daiju Azuma投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, Link 

名称 ミズカマキリ
大きさ 体長 40~50mm
出現時期 4月~10月
分布 日本全土
いる場所 水田

 

ミズカマキリはカメムシの仲間に分類される昆虫ですが、カマキリのような鎌をもっていることからその名がつけられました。……カマキリよりもむしろナナフシに似ていると思うのは筆者だけでしょうか。

 

▼ナナフシ

 

捕食の際にはマツモムシと同じように長い口吻(こうふん:くちさきの意)を獲物の体に突き刺しますが、素手で掴んでも刺されることはまずありません。

細長い茶褐色の体で枯れ草や枝と同化しているので、注意深く探さないと見つからないかもしれませんが、ため池や水田、水路やよどんだ水たまりなど、さまざまな水辺で観察することができます。

 


余談ですが、筆者が小学生の頃はプールの授業中によく遭遇しました。今になって考えると、塩素殺菌された水のなかでよく生きていられたものだと思います。

近縁種(=生物の分類で近い存在にあたる種)にヒメミズカマキリとマダラアシミズカマキリがあります。

ヒメミズカマキリは体長の長さに比べて呼吸管(こきゅうかん)が明らかに短いのが特徴です。マダラアシミズカマキリは足に黒い斑点の模様があります。

 

 

目視で見つけることは難しいですが、タモ網などで水中の枯れ草などをガサガサすると捕獲できることがありますので、根気強く探してみてください。

 

▼タモ網

 

違う生き物を探していてミズカマキリが網に入ってきたときなどは、小さな感動さえおぼえます。

 

ネグロセンブリ

名称 ネグロセンブリ
大きさ 前翅長 15mm
出現時期 6月~7月
いる場所 水辺

 

ネグロセンブリはセンブリ科に属する生物種で、カゲロウに近い昆虫であるといえます。

 

▼カゲロウ

 

「ネグロセンブリ」は、おそらくほとんどの人は耳にしたこともない名前かと思います。それもそのはずでセンブリ科の昆虫は日本でわずか七種しか見つかっていません。

かといって珍しい昆虫なのかというとそんなこともなく、春先に水辺を散策しているとかなりの確率で遭遇することができます。

 

カゲロウの仲間と同じように幼虫時代を川や池沼などの水中ですごし、成虫(=昆虫の最終形態)になると地上を飛びまわるようになります。

幼虫は水中の石や堆積した落ち葉の裏などに潜んでいますが、カゲロウの幼虫はどれも似たような外見をしているため、かなりの経験を積まなければ見極めは難しいでしょう。

また、センブリの仲間は成虫になっても非常によく似た姿をしており、特に本種と近縁のクロセンブリは色味も変わらないため、外見上での見極めはほとんど困難であるといえます。

 

その他水辺で見られる昆虫一覧

 

By mojimojisan – Mojimojisan, CC 表示 3.0, Link 【名称】ハラビロトンボ
【大きさ】体長 50mm
【出現時期】5月~10月
【分布】北海道~種子島
【いる場所】浅い池
【名称】オニヤンマ
【大きさ】体長 95~100mm
【出現時期】6月~10月
【分布】日本全土
【いる場所】渓流付近
【名称】アキアカネ
【大きさ】体長 35~45mm
【出現時期】6月~12月
【分布】北海道~九州
【いる場所】 池・水田
【解説】【秋】の身近な昆虫5選

 

このページでは【水辺】の昆虫を紹介いたしました。

次のページでは【街なか】の昆虫を紹介します。住宅街でも様々な昆虫を見つけることができるのです。

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【山野】の身近な昆虫を観察してみよう

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身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
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『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

第1章では、わたしたちにとって身近な昆虫たちを季節別でご紹介してまいりました。

この章(第2章)では一歩踏み込んで、実際に自然のなかに足を運ぶことを想定して【山野】【水辺】【街なか】【】といったフィールドのタイプ別に、比較的簡単に見つけることのできる虫の種類と観察のポイントをお伝えしていきます。

身近にいる昆虫を見つける喜びを体験し、観察することで昆虫との触れ合いを楽しんでいただければと思います。

このページでは山野(=山や野原)に生息する昆虫についてお伝えします。

 

山野に棲息する昆虫

 

まずは山野に棲息する昆虫について。

草木が生い茂る山野は「野生動物の宝庫」であるといっても過言ではありません。よほど注意を怠らないかぎり、相当数の昆虫を観察することができるでしょう。

季節にもよりますが、花の近くにはチョウやハチ、さらにはそれらを捕食しようと待ち構えるカマキリが。

 

▼花の近くで見られる昆虫

【名称】モンシロチョウ
【大きさ】前翅長(ぜんしちょう) 25~30mm
【出現時期】 3~11月頃
【分布】 日本全土
【いる場所】 野原・畑
【解説】春の身近な昆虫 6選
【名称】ハナアブ
【大きさ】体長 14~16mm
【出現時期】4月~12月
【分布】日本全土
【いる場所】花の上
【名称】オオカマキリ
【大きさ】体長 68~95mm
【出現時期】8月~11月
【分布】北海道・本州・四国・九州
【いる場所】野原

 

草むらにはコオロギやバッタ、アリや小さな甲虫たちがところ狭しと這いまわっています。

 

甲虫(コウチュウ)とは
甲虫目の昆虫の総称を甲虫と言う。甲虫目には、カブトムシ、クワガタムシ、ハンミョウ・ホタル・テントウムシなどが該当する。外骨格が「クチクラ」という細胞で作られた丈夫な膜で形成されているのが特徴。

▼甲虫


By Bugboy52.40投稿者自身による作品 (from User:Fir0002 images), CC 表示-継承 3.0, Link

 

▼草むらで見られる昆虫

【名称】トノサマバッタ
【大きさ】体長 48~65mm
【出現時期】6月~10月
【分布】日本全土
【いる場所】草地
【名称】クロオオアリ
【大きさ】体長 7~12mm
【出現時期】4月~10月
【分布】日本全土
【いる場所】草原

 

石や倒木をひっくり返せば、ヤスデやゴミムシ、ワラジムシなどがもぞもぞと蠢(うごめ)き、広葉樹には樹液を目当てにチョウやカナブン、スズメバチが集まります。

 

昆虫を見つけたら

 

昆虫を発見したら、まずは手にとってじっくりと観察したいところです。

ただ、中には毒を持っていたりする危険な昆虫もいたりします。そのため、その昆虫が人間にとって有害かどうか判断が難しい場合には、素手で触ることは避けましょう。

手袋を着用してから動かないように抑えておくか、触れないようにして網からかごに移す、虫採り網の上から観察するに留めるなどの配慮をすると良いでしょう。

 

 

採取した昆虫は飼う気がなければその場」放すようにしてください。

日本に棲息している種類だからといって本来の生息域と異なる場所に放すことは遺伝子汚染を引き起こし、長い目で見れば生態系の多様性を狭める事態をもたらしかねません。

 

遺伝子汚染とは
本来はその地域に生息していない生物が、他の場所から移入されたことにより、その地域に生息していた生物の特異性が失われること。近年はメダカの絶滅を危惧し、別の地域からメダカを放流したことにより在来種(ざいらいしゅ:元々いた種)の駆逐が進むことになるなどの問題が起きたりしている。

 

生物種の同定(=名前や種名を調べたりすること)が目的であれば、3つの方法があります。

① ポケットサイズの昆虫図鑑を持参してその場で同定する。

② スマホやデジカメ等で写真を撮影して帰宅後に同定する。

③ ある程度の目星をつけられる知識があるのなら、観察した記憶を頼りに後日同定する。

捕まえた昆虫を持ち帰りたくなる気持ちもわかりますが、遊び場を「原状回復」することが、大人の虫採りのマナーではないでしょうか。

 

採集にあると便利な道具

 

採集および観察にあたっては、虫あみや虫かごはもちろんですが、土を掘り起こすためのシャベルや、安全に昆虫を保定(=動かないようにおさえること)するための手袋などもあると便利かもしれません。

 

 

また中~小型の甲虫をメインに採集するのであれば、虫かごの代わりに釣り用のルアーケースを利用すると一匹ずつ区分けされたスペースに隔離できるため、昆虫同士の喧嘩などを防ぐことができます。

 

▼釣り用ルアーケースの例(画像クリックで商品詳細へ)

 

 

また、場所によっては昼間でも薄暗いポイントがありますので、懐中電灯やペンライトも用意しておくと良いでしょう。詳しく観察する際にはLEDライト付きのジュエリールーペが便利です。

 

▼LEDライト付きのジュエリールーペ(画像クリックで商品詳細へ)

 

観察する際の注意点

 

野外で生き物を観察する際の注意点ですが、ハチや毛虫、ヒルやダニといった有害な生き物からの被害を最小限に抑えるためにも、真夏でもなるべく長袖と長ズボンを着用し帽子を被って頭部を保護します。

 

スズメバチ


▲スズメバチ

 

特にスズメバチは昆虫採集において遭遇し得るもっとも恐ろしい昆虫であるといえるので、常に周囲の状況に注意を配りいつでも遠ざかれるような心構えを整えてください。

スズメバチは動いているものに反応する習性があるので、接近されてもパニックにならず、ゆっくりとしゃがんでスズメバチが通りすぎるのをじっと待ちましょう。

 

 

また、黒などの濃い色味にも反応するので、自然のなかに足を運ぶ際にはなるべく白っぽい服装を着用するとより安全でしょう。

ちなみに筆者の場合ですが、このままでは刺されてしまう、逃げ切れそうにないというときには、スズメバチが大群でなければ持参している虫採り網でスズメバチを捕獲し、網の上から踏み潰してしまいます。

できることならば無用な殺生はしたくありませんが、こちらの命にも関わることですから、そう悠長なことは言っていられません。

 

毒蛇(どくへび)

 

マムシやヤマカガシといった毒蛇の襲撃に備えて丈の長い長靴を履いていくのもベターです。いざというときに顔や首などの急所を保護するタオルや、水分補給用の飲み物も忘れないようにしてください。

 

▼マムシ

▼ヤマカガシ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

第1章(現在は第2章)でご紹介した昆虫はいずれも山野で見ることができますので、実際に見つけてみて昆虫を見つける喜びを堪能していただければと思います。

 

次のページでは「ため池」「水田」などの【水辺】で見ることができる昆虫を紹介します。

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