【格好良い昆虫】ランキングベスト5

Webon紹介目次著者
身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第3章)では【格好いい昆虫】【可愛い昆虫】【不思議な昆虫】について筆者が独断と偏見で選出したランキング形式でご紹介します。

いずれも日本(主に本州)に棲息する昆虫のみを対象としていますので、ぜひ観察対象などの参考にしていただければ幸いです。

このページでは、誰もが気になるであろう格好良い昆虫ベスト5をランキング形式でお伝えします。

 

第5位:ゲンゴロウ(ナミゲンゴロウ)


By Daiju Azuma投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, Link
名称 ゲンゴロウ
大きさ 全長 34~42mm
出現時期 4月~10月
分布 日本全土
いる場所 田んぼ・ため池
備考 「ナミゲンゴロウ」「オオゲンゴロウ」とも言う。

 

ゲンゴロウはタガメに次ぐ大型の水棲昆虫(すいせい こんちゅう=主に水中で生活する昆虫)です。

 

▼タガメ

 

ゲンゴロウの全長は4cmほどに達します。

 

▼4cmのもの:1円玉2枚の直径

 

水の抵抗を最小限に抑える流線型のフォルムと深緑色(ふかみどりいろ)の体色、オールのように発達した後肢を器用に使って水中を縦横無尽に泳ぎ回る姿は、陸上で生活する昆虫にはない独特の魅力を感じさせます。

 

▼ゲンゴロウが泳ぐ様子

 

ため池や水田などに棲息していますが、コンクリートによる護岸(ごがん)、農薬、ブラックバスやアメリカザリガニなどの外来種(がいらいしゅ:人為的に持ち込まれたその地域に元々いなかった種)の影響で、近年その棲息数は著しく減少しているとされています。

筆者も少年時代に探しまわりましたが、結局見つけられずに終わってしまいました。(本種によく似た「ガムシ」は見つけられたのですが……)

環境省によってレッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に指定されている希少種ですので、発見してもその場で観察するに留めるなど、種の保存を妨げないよう配慮が必要です。

 

レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類
「レッドリスト」とは環境省の定める絶滅の危機がある種のリスト。Ⅱ類は「絶滅の危険が増大している種」でⅠ類はさらに絶滅の危機に瀕している種。

 

第4位:オオスズメバチ

名称 オオスズメバチ
大きさ 全長 27~44mm
出現時期 4月~11月
分布 北海道~九州
いる場所 花の上・樹木

 

オオスズメバチは言わずと知れた日本最大のハチで、スズメバチの仲間としては世界でも最大の種にあたります。

 

ちなみに、ハチ目の世界最大種はオオベッコウバチで、大型のクモ類を専門に捕食する習性から別名「タランチュラ・ホーク」とも呼ばれています。

 

▼オオベッコウバチ(体長6cm以上)


By Mark Pellegrini (Raul654) – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, Link 

 

オオスズメバチはスズメバチ科最大種というスペックに加え、密林に潜むトラを思わせる黒と黄の毒々しいカラーリングと、耳にするだけで身がすくむような重苦しい羽音、獲物となる昆虫を容易に噛みちぎる強靭な顎など、厨二心(ちゅうにごころ)をくすぐる要素満点の昆虫であるといえるでしょう。

 

 

個人的には二度とお目にかかりたくない恐ろしい存在ですが、同時に抗(こう)しがたい魅力を備えた昆虫であることも否定できません。

 

第3位:シロスジカミキリ

名称 シロスジカミキリ
大きさ 全長 45~66mm
出現時期 6月~8月
分布 本州・四国・九州
いる場所 雑木林

 

シロスジカミキリの魅力はなんといっても、その整った顔貌です。

カミキリムシはイケメン揃いで知られていますが、大きな目(複眼)とがっしりとした顎をもつシロスジカミキリの顔面偏差値は、昆虫界でもトップクラスであるといえるでしょう。

 


By Alpsdake投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link 

 

成虫は生木(=地に生えている木)の樹皮を食べる性質があるため、コナラやクヌギなどの広葉樹林で見ることができます。

 

▼コナラ


By Σ64投稿者自身による作品, CC 表示 3.0, Link

▼クヌギ

 

またシロスジカミキリは国内最大のカミキリムシでもあり、その全長は6cmにも達します。

 

▼約6cmのもの:マッチ箱の横の長さ(5.6cm)

 

成虫の寿命はおよそ数ヶ月程度と短命ですので、ひとしきり観察が済んだらその場で放してやることが好ましいでしょう。

 

第2位:メンガタスズメ


By Viren Vaz (self) – Made by self in my own garden, CC 表示-継承 2.5, Link

名称 メンガタスズメ
大きさ 開翅長 90~120mm
出現時期 4月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄

 

メンガタスズメは日本を含めアジア全域に分布するスズメガの仲間で「面形天蛾(めんがたすずめ)」という名のとおり、背面にドクロのような模様が見られます。

映画「羊たちの沈黙」のポスターで目にしたことのある方も多いかもしれません。ジョディ・フォスター演じる捜査官クラリスの口にとまっている蛾がメンガタスズメです。

 

▼映画「羊たちの沈黙」

▼ジョディ・フォスター

by Georges Biard CC 表示-継承 3.0

 

成虫の奇怪な模様もさることながら、幼虫もまたインパクトが凄まじく、終齢時にはなんと10cmを超える巨体にまで成長します。

 

▼10cmのもの:官製はがきの横幅のサイズ

 

メンガタスズメは幼虫、成虫ともに身の危険を感じると「チチチチ……」という鳴き声を発する習性があるため、はじめて幼虫を見た方は大いに驚かれるかと思いますが、毒性はありませんので見つけたら優しくさわってみてください。

 

▼メンガタスズメの幼虫


By Viren Vaz (self) – Made by self in own garden, found on mussaenda, at bottom is entire caterpillar. Top left is the head with the true legs. top right is the tail with tubercles and middle right is the pattern on the dorsal surface., CC 表示-継承 2.5, Link 

 

近縁種にクロメンガタスズメがあり、腹部背面や後翅(こうし:後ろのはね)の模様で見分けることができますが、両者とも非常によく似ているため、外見での判別は難しいかもしれません。

 

▼クロメンメンガタスズメ


By Eric G Gagnon (Tobrook), Montreal, Canada – https://www.flickr.com/photos/hartsell/93701345/ or http://www.istockphoto.com/stock-photo-534621-death-head-sphinx-moth.php, CC 表示-継承 2.0, Link

 

第1位:ハンミョウ(ナミハンミョウ)

名称 ハンミョウ
大きさ 体長 18~22mm
出現時期 5月~8月
分布 本州~九州
いる場所 草地・草木

 

ハンミョウは七色に輝くタマムシのような体と長く鋭い大きな顎をもつ肉食性の甲虫(こうちゅう:堅い羽を持つ虫)で、本州以南において局所的に分布しています。

 

 

水辺に近い無舗装の林道などで見つかることが多いようですが、本種もゲンゴロウ同様、筆者が少年時代に探したものの結局見つけることのできなかった、憧れの昆虫でもあります。

 

鋭い顎をもつことから分かるように完全な肉食性で、機敏な動きで昆虫類を捕食します。

これほどまでに美しく、かつ凶悪さを感じさせる昆虫を筆者は他に知りません。
今でも機会があれば観察してみたい昆虫ナンバーワンです。

 

このページでは【格好いい昆虫】について紹介しました。次のページでは【可愛い昆虫】について紹介いたします。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

【街なか】の身近な昆虫を観察してみよう

Webon紹介目次著者
身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

この章(第2章)では一歩踏み込んで、実際に自然のなかに足を運ぶことを想定して【山野】【水辺】【街なか】【】とフィールドのタイプ別に、比較的簡単に見つけることのできる虫の種類と観察のポイントをお伝えしていきます。

このページでは【街なか】の昆虫を紹介します。

点在する公園内に緑地や場所によってはため池が整備されている市街地では、住宅街の只中でも多様な生き物の姿を観察することができます。

身近にいる昆虫を見つける喜びを体験し、観察することで昆虫との触れ合いを楽しんでいただければと思います。

 

シミ


By Syonnbori投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link 

名称 ヤマトシミ
大きさ 体長 約10mm
出現時期 1年中
分布 日本全土
いる場所 家・本棚

 

シミは家のなかでよく見ることのできる昆虫で、一般に害虫として扱われています。

書籍の装丁の糊付けされた部分を食す性質があり、また金属光沢のある鱗粉をまとい身をくねらせて動く姿が魚のように見えることから、漢字で「紙魚」と表されます。

書籍、特に古書を好んで食害し、また衣類やコメなどの穀物を食すこともあります。ただ、害虫として及ぼす被害はそれほど大きくはなく、どちらかというと外見や動きに起因する「不快害虫」としての側面が強いといえます。

 

【編集部の昆虫豆知識】本を食べる昆虫
シミは「本を食べる昆虫」として有名ですが、表面をなめるように、かじりとるように食べるのでポッコリと穴が開くようなことはありません。

同じく本を食べる虫として知られているのが「シバンムシ(死番虫)」です。シミと違って、トンネルを掘るように食べるので本に穴が開いてしまう可能性があります。またシバンムシは畳に穴を開けたりもします。

 

シミは夜行性で光を嫌う性質があるため、段ボール箱や収納の内部などで見つかるケースが多いですが、当然すべての家にシミが棲息しているはずもありませんので、長年住んでいて見たことがないのであれば発見できる確率は低いでしょう。

ゴキブリのように衛生的な問題もなく、噛む・刺すなどの攻撃を加えてくることもありませんので見つけたら、時にはぜひ手に取って観察してみてください。

シミは昆虫類のなかでも特に原始的な生き物であるといわれ、長い間その姿を変えていません。

このように性質を理解し、生物学的な分類を知ることで、一般に害虫といわれる生き物もその魅力が見えてくるのではないでしょうか。

 

アシナガバチ


photo by 孫鋒 林 Some rights reserved Link

名称 キアシナガバチ
大きさ 体長20~26mm
出現時期 4月~10月
分布 日本全土
いる場所 建物の軒先

 

アシナガバチは建物の軒先に営巣(えいそう:巣を作る事)することが多く、しばしば駆除の対象となっています。

全身に黒と黄の縞模様があることからスズメバチと混同されてしまいがちです。しかし凶暴なスズメバチと違い、アシナガバチは比較的温和な性格であるため、こちらから刺激しなければ襲われることはまずありません。

 

▼スズメバチ

 

ただ、巣を駆除されそうになると巣を守るため途端に攻撃的になります。アシナガバチに刺されるケースのほとんどが巣を駆除した際のことであるといわれています。

日本には11種のアシナガバチが棲息しており、キアシナガバチやセグロアシナガバチ、フタモンアシナガバチが代表的です。なかなかじっくり観察することが難しいため、外見での判別は困難です。

 

▼セグロアシナガバチ


By KENPEI – KENPEI’s photo, CC 表示-継承 3.0, Link 

▼フタモンアシナガバチ

 

巣を作っているアシナガバチを見かけたら、すこし離れたところから観察してみると良いでしょう。双眼鏡や単眼鏡があると便利ですが、スマホカメラのズーム機能でも代用することができます。

 

▼単眼鏡

 

巣作りの様子は非常に興味深く、思わず時間を忘れて見入ってしまいますが、刺されるとアナフィラキシーショック(=強いアレルギー反応でショック状態になること)で命に関わる事態にもなりかねませんので、くれぐれも注意を怠らないように気をつけてください。

 

▼巣を作る嬢王蜂


By Alvesgaspar投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

ハラビロカマキリ

名称 ハラビロカマキリ
大きさ 体長 45~65mm
出現時期 8月~11月
分布 本州・四国・九州・沖縄
いる場所 林緑・樹木

 

住宅街の至るところに昆虫が棲息しているということは、それらを捕食(ほしょく:捕まえて食べる)する生き物もまた姿を現すということを意味しています。

中でも被捕食者であり捕食者でもあるハラビロカマキリは、緑地や庭先だけでなく、ときには路上でも見かけることがあるほどのポピュラーな昆虫です。

大型で前翅(まえばね)に白い模様の入っているのが特徴です。

 

▼ハラビロカマキリ

 

カマキリの見分け方

 

全国的に生息するカマキリの仲間に、オオカマキリやヒナカマキリ、コカマキリ、ウスバカマキリ、チョウセンカマキリ、ヒメカマキリなどがありますが、大きさや前肢の模様などで見分けることができます。

 

名称/写真 大きさ 見分け方
オオカマキリ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

体長 70~95mm 大型。前翅に模様がなく、前肢の付け根部分が淡い黄色のもの。
チョウセンカマキリ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

体長 60~85mm 大型で前翅に模様がないが、前肢の付け根部分が濃い黄色のもの。
コカマキリ


By Opencage]] – http://opencage.info/pics/large_4892.asp, CC 表示-継承 2.5, Link 

体長 45~60mm 中型で前肢の2箇所に黒い模様がある。茶色のものが多く、緑色は稀。

ウスバカマキリ


By I, Zwentibold, CC 表示-継承 3.0, Link 

体長 47~65mm 中型だが前肢に1箇所しか黒い模様がない。
ヒメカマキリ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, Link 

体長 25~32mm 小型で後翅が長く前翅からはみ出している。

 

カマキリを見つけた際には、以上の特徴を参考に細部を観察し、見分けることに挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

このページでは【街なか】の昆虫を紹介いたしました。

次のページでは【夜】の昆虫を紹介します。夜行性の昆虫である「オオミズアオ」の夜の闇に浮かび上がる翅(はね)は幻想的であり昆虫が苦手な方でも思わず息を呑むのではないでしょうか。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

【山野】の身近な昆虫を観察してみよう

Webon紹介目次著者
身近な昆虫の魅力を知り、子供の頃のように昆虫を見つけることに喜びを感じられるようになれば、毎日の生活にささやかな幸せが増えることでしょう。

國谷正明氏による『身近な昆虫の観察入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。「ノワール文学」「エキゾチックアニマル」「東映実録映画」などのコンテンツ作成も手掛ける。お問い合わせはこちらから
facebook(國谷)

 

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)

 

 

第1章では、わたしたちにとって身近な昆虫たちを季節別でご紹介してまいりました。

この章(第2章)では一歩踏み込んで、実際に自然のなかに足を運ぶことを想定して【山野】【水辺】【街なか】【】といったフィールドのタイプ別に、比較的簡単に見つけることのできる虫の種類と観察のポイントをお伝えしていきます。

身近にいる昆虫を見つける喜びを体験し、観察することで昆虫との触れ合いを楽しんでいただければと思います。

このページでは山野(=山や野原)に生息する昆虫についてお伝えします。

 

山野に棲息する昆虫

 

まずは山野に棲息する昆虫について。

草木が生い茂る山野は「野生動物の宝庫」であるといっても過言ではありません。よほど注意を怠らないかぎり、相当数の昆虫を観察することができるでしょう。

季節にもよりますが、花の近くにはチョウやハチ、さらにはそれらを捕食しようと待ち構えるカマキリが。

 

▼花の近くで見られる昆虫

【名称】モンシロチョウ
【大きさ】前翅長(ぜんしちょう) 25~30mm
【出現時期】 3~11月頃
【分布】 日本全土
【いる場所】 野原・畑
【解説】春の身近な昆虫 6選
【名称】ハナアブ
【大きさ】体長 14~16mm
【出現時期】4月~12月
【分布】日本全土
【いる場所】花の上
【名称】オオカマキリ
【大きさ】体長 68~95mm
【出現時期】8月~11月
【分布】北海道・本州・四国・九州
【いる場所】野原

 

草むらにはコオロギやバッタ、アリや小さな甲虫たちがところ狭しと這いまわっています。

 

甲虫(コウチュウ)とは
甲虫目の昆虫の総称を甲虫と言う。甲虫目には、カブトムシ、クワガタムシ、ハンミョウ・ホタル・テントウムシなどが該当する。外骨格が「クチクラ」という細胞で作られた丈夫な膜で形成されているのが特徴。

▼甲虫


By Bugboy52.40投稿者自身による作品 (from User:Fir0002 images), CC 表示-継承 3.0, Link

 

▼草むらで見られる昆虫

【名称】トノサマバッタ
【大きさ】体長 48~65mm
【出現時期】6月~10月
【分布】日本全土
【いる場所】草地
【名称】クロオオアリ
【大きさ】体長 7~12mm
【出現時期】4月~10月
【分布】日本全土
【いる場所】草原

 

石や倒木をひっくり返せば、ヤスデやゴミムシ、ワラジムシなどがもぞもぞと蠢(うごめ)き、広葉樹には樹液を目当てにチョウやカナブン、スズメバチが集まります。

 

昆虫を見つけたら

 

昆虫を発見したら、まずは手にとってじっくりと観察したいところです。

ただ、中には毒を持っていたりする危険な昆虫もいたりします。そのため、その昆虫が人間にとって有害かどうか判断が難しい場合には、素手で触ることは避けましょう。

手袋を着用してから動かないように抑えておくか、触れないようにして網からかごに移す、虫採り網の上から観察するに留めるなどの配慮をすると良いでしょう。

 

 

採取した昆虫は飼う気がなければその場」放すようにしてください。

日本に棲息している種類だからといって本来の生息域と異なる場所に放すことは遺伝子汚染を引き起こし、長い目で見れば生態系の多様性を狭める事態をもたらしかねません。

 

遺伝子汚染とは
本来はその地域に生息していない生物が、他の場所から移入されたことにより、その地域に生息していた生物の特異性が失われること。近年はメダカの絶滅を危惧し、別の地域からメダカを放流したことにより在来種(ざいらいしゅ:元々いた種)の駆逐が進むことになるなどの問題が起きたりしている。

 

生物種の同定(=名前や種名を調べたりすること)が目的であれば、3つの方法があります。

① ポケットサイズの昆虫図鑑を持参してその場で同定する。

② スマホやデジカメ等で写真を撮影して帰宅後に同定する。

③ ある程度の目星をつけられる知識があるのなら、観察した記憶を頼りに後日同定する。

捕まえた昆虫を持ち帰りたくなる気持ちもわかりますが、遊び場を「原状回復」することが、大人の虫採りのマナーではないでしょうか。

 

採集にあると便利な道具

 

採集および観察にあたっては、虫あみや虫かごはもちろんですが、土を掘り起こすためのシャベルや、安全に昆虫を保定(=動かないようにおさえること)するための手袋などもあると便利かもしれません。

 

 

また中~小型の甲虫をメインに採集するのであれば、虫かごの代わりに釣り用のルアーケースを利用すると一匹ずつ区分けされたスペースに隔離できるため、昆虫同士の喧嘩などを防ぐことができます。

 

▼釣り用ルアーケースの例(画像クリックで商品詳細へ)

 

 

また、場所によっては昼間でも薄暗いポイントがありますので、懐中電灯やペンライトも用意しておくと良いでしょう。詳しく観察する際にはLEDライト付きのジュエリールーペが便利です。

 

▼LEDライト付きのジュエリールーペ(画像クリックで商品詳細へ)

 

観察する際の注意点

 

野外で生き物を観察する際の注意点ですが、ハチや毛虫、ヒルやダニといった有害な生き物からの被害を最小限に抑えるためにも、真夏でもなるべく長袖と長ズボンを着用し帽子を被って頭部を保護します。

 

スズメバチ


▲スズメバチ

 

特にスズメバチは昆虫採集において遭遇し得るもっとも恐ろしい昆虫であるといえるので、常に周囲の状況に注意を配りいつでも遠ざかれるような心構えを整えてください。

スズメバチは動いているものに反応する習性があるので、接近されてもパニックにならず、ゆっくりとしゃがんでスズメバチが通りすぎるのをじっと待ちましょう。

 

 

また、黒などの濃い色味にも反応するので、自然のなかに足を運ぶ際にはなるべく白っぽい服装を着用するとより安全でしょう。

ちなみに筆者の場合ですが、このままでは刺されてしまう、逃げ切れそうにないというときには、スズメバチが大群でなければ持参している虫採り網でスズメバチを捕獲し、網の上から踏み潰してしまいます。

できることならば無用な殺生はしたくありませんが、こちらの命にも関わることですから、そう悠長なことは言っていられません。

 

毒蛇(どくへび)

 

マムシやヤマカガシといった毒蛇の襲撃に備えて丈の長い長靴を履いていくのもベターです。いざというときに顔や首などの急所を保護するタオルや、水分補給用の飲み物も忘れないようにしてください。

 

▼マムシ

▼ヤマカガシ


By Yasunori Koide投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link 

 

第1章(現在は第2章)でご紹介した昆虫はいずれも山野で見ることができますので、実際に見つけてみて昆虫を見つける喜びを堪能していただければと思います。

 

次のページでは「ため池」「水田」などの【水辺】で見ることができる昆虫を紹介します。

『身近な昆虫の観察入門』目次へ  (全17ページ)