フランツ・リスト「パガニーニ大練習曲第6番」 初心者にもわかりやすく解説

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「クラシック音楽」と聞くとなんだか難しそうで敷居も高い。でもクラシック音楽を作っている作曲家だって人間です。面白いエピソードもたくさんあるんです。有名曲と作曲家を知りクラシック音楽を楽しみましょう!

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著者:めーぷる

国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから

 

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<まずは聴いてみよう!>

クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!

今回はフランツ・リスト「パガニーニ大練習曲第6番」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。また、聴きながら読むことでさらに理解が増すかと思います。

 

 

このページではフランツ・リストの作曲した「パガニーニ大練習曲第6番」についてご紹介します。

今までご紹介してきた「きらきら星変奏曲」「ピアノ協奏曲第2番」の2曲とは違い、メジャーな曲というわけではありませんが、非常に興味深い要素がたくさん詰まった曲です!

 

フランツ・リスト

▲フランツ・リスト

 

フランツ・リストは、クラシック音楽を語る上では欠かせない作曲家の一人だと言えます。

リストはオーストリア出身の音楽家・作曲家です。

リストは10歳の頃にはすでに自分でコンサートを開くなど、幼い時からピアノの演奏において神童ぶりを発揮していました。

10代の時点であのベートーヴェンからもその実力を絶賛されるなど、演奏家としては一流の域に既に達していました。

 

 

その後も順調に演奏家としてのキャリアを歩んでいき、次第に各地にリストの女性ファンが出現するようになります。

当時のファンというのは恐ろしいほどに熱狂的で、なんと「リストの入った浴槽に入っていた水ですら欲しがった」など、たくさんの伝説が残されています。

 

 

また、リストは演奏面においてのみならず、作曲面でも数々の名曲をこの世に残しています。

作曲した曲には自らの卓越した技巧を披露するための難曲が多く、今回ご紹介する「パガニーニ大練習曲」に収められている曲はどれもリストが残した難曲です。

また、リストは晩年になるとキリスト教に没頭するようになり、宗教的な側面が見られる曲を主に作曲するようになります。

当時の代表的な曲としては「エステ荘の噴水」という曲も挙げられます。興味のある方は「パガニーニ大練習曲第6番」と合わせて聴いてみる事で、その性格の違いというのを感じることが出来ることでしょう。

 

▼パガニーニ大練習曲第6番

▼エステ荘の噴水

エステ荘の噴水
「巡礼の年」というリストの曲集に収められた曲。この曲の半ばにはキリスト教新約聖書の一書であるヨハネ福音書から引用した「私が差し出した水は人の中で湧き出でる泉となり、永遠の生命となるであろう」言葉が掲げられている。

 

パガニーニとの出会い

▲ニコロ・パガニーニ

 

リストの人生を語る上で「パガニーニとの出会い」というのは欠かせません。

パガニーニはリストと同時期に活躍していたヴァイオリニストで、リストと同じくその卓越した演奏技術によって、一斉を風靡していました。

リストと同じく熱狂的なファンも多かったと言われています。

また、パガニーニは自身の超人的な技巧を披露するために数々の難曲を残しています。

このようにパガニーニは、あらゆる点でリストと非常によく似た人生を送っていたのです。

 

そんなある日リストはパガニーニの演奏会に赴き、彼の異次元の演奏技術に大きな影響を受けます。

リスト自身、すでにピアニストとしての名声を確立していたのですが、彼にとっても衝撃的な存在だったのです。

リストはパガニーニの演奏を聴いて、猛練習を始めます。その際に自分のための練習曲として作った曲集こそ、「パガニーニ大練習曲」なのです。

 

 

「パガニーニ」について詳しくは第2章バイオリン編で(このページは第1章ピアノ編)

 

パガニーニ大練習曲第6番

「パガニーニ大練習曲第6番」の構成

 

モーツァルトの「きらきら星変奏曲」をご紹介した際に「変奏曲」の構成についてご紹介したのを覚えていらっしゃるでしょうか。

今回ご紹介しているリストの「パガニーニ大練習曲第6番」もこの変奏曲という形式を取っています。

この曲は第2章で紹介するパガニーニの「24の奇想曲第24番」という曲をピアノ用に編曲した曲であり、その曲も変奏曲の形式を取っているのです。

 

「変奏(変奏曲)」とは
テーマ(主題)の部分をもとにその旋律(メロディー)は変化させずに、リズムや拍子を変化させたり、装飾音を付けたりすることを変奏と言います。

モーツァルトの「きらきら星変奏曲」では、きらきら星の「き~ら~き~ら~ぼ~し~よ~♪」という馴染みのあるメロディはそのままですが、アレンジが加えられおり急に早くなったりする箇所があったりします。実際に聴いてみると理解しやすいと思います。

▼きらきら星変奏曲

ちなみに変奏曲は今回の「パガニーニ大練習曲」のように当時「練習曲」としての意味合いが強かったので技術的に難しい曲が多くあります。

 

「パガニーニ大練習曲」の魅力

 

「パガニーニ大練習曲第6番」は技術的に非常に難しい箇所が沢山あり、それを軽々と弾きこなす演奏者の姿というのは大変見応えがあります。

また、リストがこの「パガニーニ大練習曲第6番」を作曲するにおいて元となった(編曲した)パガニーニの「24の奇想曲第24番」と聴き比べてみることで、その魅力というのはより引き立つはずです。

リストの編曲における才能というものをより深く味わうことが出来るに違いありません。

 

▼リストの「パガニーニ大練習曲第6番」

▼パガニーニ「24の奇想曲第24番」

 

さて、今回はリスト「パガニーニ大練習曲第6番」についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。ぜひ、リストとパガニーニという同時代に生まれた稀代の音楽家の姿を思い浮かべつつ聞いてみてください。

 

Amazon music Unlimitedでも聴けます

 

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著者:めーぷる

国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから

モーツァルト「きらきら星変奏曲」 初心者にもわかりやすく解説

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<まずは聴いてみよう!>

クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!

今回は「きらきら星変奏曲」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。

 

 

今回はモーツァルトの作品「きらきら星変奏曲」について紹介いたします。「きらきら星」と言えば、誰もがそのメロディーを聴いたことがあることでしょう。

この曲はあの有名なメロディーが「モーツァルトの自由奔放な感性によって次々と変幻自在なアレンジが繰り出されていく」という非常に親しみやすく、面白味のある曲です。

それではモーツァルトの魔法が繰り出す世界に足を踏み入れてみましょう♪

 

モーツァルト

▲ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

 

モーツァルトは18世紀半ばにオーストリアのウィーンで生まれました。

 

ウィーン
クラシック音楽が盛んなオーストラリアの首都。ベートーヴェン・シューベルト・モーツァルトなど多くの作曲家が活躍し「音楽の都」とも呼ばれる。

 

3歳から現在のピアノの原型であるチェンバロという楽器に初めて触れます。

▼チェンバロ

 

モーツァルトは幼いころから音楽の才能を如何なく発揮し、国王の前で演奏会を行うなど早くからその名声を手にしました。

 

しかし、彼が秀でていたのはその演奏技術だけではありません。彼は5歳の時に初めての作品を制作し、その後は作曲の面でも大きな活躍を遂げます。

彼が制作する曲の一番の特徴は、彼の感性の豊かさが存分に発揮されている事です。

まるで幼い子供の視点に立っているかのような穢れのないクリアーな楽曲を数多く生み出しました。

 

今回の「きらきら星変奏曲」も彼の感性が遺憾なく生かされた作品です。

 

 

きらきら星

 

「きらきら星」というのは、もともと「きらきら星」という名前ではありませんでした。もともとの曲はフランスで流行していた恋のシャンソン(歌)で、特に題名はありませんでした。

 

きらきら星にはいくつもの歌詞が作られていき、その中の一つが

「ああ、お母さん、あなたに申しましょう (“Ah! vous dirai-je, maman”) 」

です。

これこそ正式な「きらきら星」なのです。

それをモーツァルトがピアノ用に編曲したのが、「きらきら星変奏曲」です。

 

きらきら星変奏曲

「変奏曲」とは

 

多くの方は「変奏曲」というワードを耳にしてもあまりピンと来ないのではないでしょうか。

「変奏」とはテーマ(主題)の部分をもとにその旋律(メロディー)は変化させずに、リズムや拍子を変化させたり、装飾音を付けたりすることです。

 

「変奏」をさらに噛み砕いて説明!
モーツァルトバージョンの「きらきら星変奏曲」だとアレンジが加えられており、きらきら星の「き~ら~き~ら~ほ~し~よ~♪」という馴染みのあるメロディはそのままに、急にテンポが早くなる部分があったりすると思います。これが「変奏」です。実際に聴いてみれば「変奏とは何か」が理解しやすいかと思います。

 

「変奏曲」とはそのような変奏を繰り返して進行して成り立っている楽曲のことです。

どの変奏でも必ずテーマの旋律が保たれたまま進行していくことが特徴です。

この変奏曲という形態はモーツァルトの他にもハイドンやシューマン、リストなどといった多くの偉大な作曲家が採用しています。

 

 

変奏曲というのは当時、練習曲としての意味合いが強かったので、技術的にも難しいものが多くなっています。

練習曲というと、つまらないものとして敬遠されがちですが、多くの人が練習曲として楽しく弾くことができるように、当時の作曲家たちは変奏曲のテーマとしてきらきら星のような簡単なメロディーを用いることが多かったようです。

 

「きらきら星変奏曲」の構成

 

きらきら星変奏曲の冒頭はまず、テーマ(みなさんがよく耳にするあの有名な箇所)から始まります。

そしてその後変奏の部分が始まり、全部で12の変奏が次々と繰り出されていきます。

また、この曲の変奏で重要な特徴として、長調(明るい曲調)の変奏だけでなく、短調(暗い曲調)の変奏も含まれているということが挙げられます。

 

変奏曲では基本的に同じ旋律を基調とした変奏が続くため、必然的に明るい曲調のみ、もしくは暗い曲調のみが続くことが多いです。

どの変奏もきらきら星の旋律(メロディー)だと「今は明るい曲調」「今は暗い曲調」と簡単にわかるようになっているので、聞いている人も楽しみやすい構成となっています。

 

きらきら星変奏曲の魅力

 

きらきら星変奏曲の魅力というのはなんといっても、あの有名な「きらきら星」の旋律を変幻自在に姿を変えながら進行していく面白さにあるでしょう。

次々と繰り出される変奏に思わず、モーツァルトの感性・発想力の豊かさに唸ってしまうことでしょう。

また、演奏する側にとっても、きらきら星変奏曲は練習曲として有用な曲です。楽しみながらピアノを上達させることができるという点でも非常に価値のある曲なのです。

 

 

このように「きらきら星変奏曲」を少し掘ってみてから聴くと今までとは違う聴き方ができると思います。是非もう一度聴いてみていただければと思います。

 

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ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」 初心者にもわかりやすく解説

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<まずは聴いてみよう!>

クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!

今回はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。また、聴きながら読むことでさらに理解が増すのでおすすめです。

【第1楽章】

【第2楽章】

【第3楽章】

 

 

このページでは作曲家ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」についてご紹介していきます。

ラフマニノフの協奏曲第2番は聞いたことがあるという人と言うのは多いはずです。

なぜなら4年前のソチオリンピック。フィギュアスケート・女子フリーで浅田真央選手がショートプログラムの失敗をものともしないような迫真の演技を見せたのを覚えているという方も少なくないでしょう。

その時浅田真央選手がフリースケーティングのプログラムとして用いた曲こそ、「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」だったのです。

▼ソチ五輪の浅田真央選手

photo by David W. Carmichael CC 表示-継承 3.0

 

そのほかにも、テレビのBGMやCMとして用いられている場合も多いので、意識せずとも聞いたことがあると言う方も少なくないでしょう。

 

セルゲイ・ラフマニノフ

 

ラフマニノフは19世紀後半から20世紀にかけて活躍したロシアの作曲家です。

ラフマニノフはピアニストとしても活躍しており、彼の手は大きいうえ柔軟性も極めて高かったためおよそ12度、つまりドからソまで届いたという伝説の持ち主としても有名です。

 


※ドから1オクターブ上のソまでは約37センチ

 

ラフマニノフはその類稀な才能と自らの恵まれた手を武器にピアニストとして大きな成功をおさめ、あの「フランツ・リストに匹敵する」という声すら上がるほどのピアノの名手でした。

 

フランツ・リストとは
フランツ・リストはオーストリア出身の音楽家・作曲家。10歳の頃にはすでに自分でコンサートを開くなど、幼い時からピアノの演奏において神童ぶりを発揮していた。

10代でベートーヴェンからもその実力を絶賛。リストの入った浴槽の水を欲しがる程の熱狂的なファンも出現したという逸話も。

▼フランツ・リスト

 

そんな彼は非常に有名な曲を残していますが、彼の残している曲というのは彼が生きている時代には評価が大きく二分されてしまっていたというのもまた事実です。

彼の残した名曲の数々は彼の死後になって再評価されたものというのも少なくないのです。

そのような死後再評価された彼の作品の中の一つが今回ご紹介している「ピアノ協奏曲第2番」なのです。

 

 

ピアノ協奏曲第2番

「ピアノ協奏曲」とは

 

クラシック音楽の曲にはさまざまな形態がありますが、その中の一つに「ピアノ協奏曲」というものがあります。

ピアノ協奏曲とは簡単に言えば「1人で演奏するピアノが他の楽器と協力して奏でる」曲になります。

ピアノ協奏曲の場合、ソリスト(1人で演奏する人)用のピアノがオーケストラの前に設置されており、オーケストラの伴奏(補助的な演奏)に合わせて、ソリストが旋律(メロディー)を奏でていくという形態が基本になります。

 

▼ピアノ協奏曲の様子(一番前にいるピアノの奏者が「ソリスト」)

photo by Justin Ruckman from Charlotte, NC, USA – Rachmaninov Piano Concerto No. 2, Mvt. I CC 表示 2.0

 

ピアノ協奏曲の中にはオーケストラがメロディーを、ソリストがピアノで伴奏をするという場合もあるのですが、基本的にはソリストの奏でる旋律(メロディー)がメインで楽曲が進行していくと考えて差し支えないでしょう。

 

 

ピアノ協奏曲の魅力はなんといってもピアノとオーケストラの抜群のコンピネーションが織りなす「掛け合い」にあるということができます。

この「掛け合い」について説明すると少し長くなってしまうので初心者の方はとりあえずここま理解しておけば十分でしょう。

 

「ピアノ協奏曲第2番」の構成と魅力

 

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は第1楽章、第2楽章、第3楽章の3つから構成されています。

 

第1楽章は荘厳な雰囲気のなかで進行していきます。

▼「ピアノ協奏曲第2番」第1楽章

 

重厚感のあるメロディーはロシア正教(ロシアのキリスト教の一つ)の鐘の音をモチーフにしています。

第2楽章では第1楽章とは打って変わって、甘美なメロディーで情感たっぷりに進行していきます。

▼「ピアノ協奏曲第2番」第2楽章

 

第3楽章では自由奔放な性格と叙情的(じょじょうてき:情緒溢れるものを感じること)な性格が入り乱れながら早いテンポで小気味良く進んでいきます。

▼「ピアノ協奏曲第2番」第3楽章

 

 

この曲は伝統的な3楽章構成をとっています。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は極めて技巧的な箇所が多く、演奏家としても一流であったラフマニノフの技巧に匹敵するテクニックが要求され、ピアノ曲の中でも屈指の難曲です。

 

また、ラフマニノフのピアノ協奏曲というのはラフマニノフが20代前半の時に作曲されました。

ラフマニノフがピアノ協奏曲第2番を制作した時はラフマニノフはまだ作曲家として駆け出しの時期でした。

そのため、ピアノ協奏曲第2番というのはラフマニノフにとっては処女作と位置付けることのできる作品なのです。

当時は批評家たちの酷評に晒されることも多くありましたが、その後その魅力が再認識され、今日では名曲として親しまれています。

 

 

さて、このページではラフマニノフのピアノ協奏曲第2番について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

今までこの曲のことを知っていた人も、そうでなかった人も、今回の内容を踏まえて聴くことで新しい世界が開けてくることでしょう。

是非、多くのクラシック音楽に触れていただければと思います。

 

 

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クラシック音楽初心者入門 ~有名曲・作曲家を学ぼう!~

はじめに

クラシック音楽を聴きますか?テレビ番組やCMなどで使われて、身近にあるけれど難しそうで敷居が高い… そんな方は多くありませんか?

クラシック音楽は有名な曲や名前を聞いたことの作曲家の背景を知ると全く異なる聴こえ方がしてくるのです。そして何よりその背景が面白い!このWebonを読み終える時にはあなたもきっとクラシック音楽にハマっている事間違い無し!

はじめに ~クラシック音楽と他音楽の違い~

第1章 ピアノ編

まずはピアノで演奏されているクラシックを聴いてみましょう!曲に作られた背景があるのはもちろんの事、作曲家たちにも興味深い人生背景があるのです。人間味あふれる作曲家たちと、聴きごたえのあるクラシック音楽を是非お楽しみください!

モーツァルト「きらきら星変奏曲」
ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」
フランツ・リスト「パガニーニ大練習曲第6番」
ショパン「バラード1番」

第2章 バイオリン編

第2章はバイオリンで奏でられるクラシックの名曲とその作曲家たちをご紹介いたします。ピアノと異なる音色、そして楽器が違えば曲の背景も違います。それらの違いを楽しみながら、天才音楽家たちと名曲を学んでいきましょう!

クライスラー「前奏曲とアレグロ」
バッハ「トッカータとフーガ」
パガニーニ「24の奇想曲第24番」
ブルッフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」

第3章 オーケストラ編

第3章では多くの楽器で演奏する「オーケストラ」の名曲・作曲家をご紹介!ピアノ・バイオリンには無い良さが詰まったオーケストラの名曲の背景を知り、実際に聴いてみる事でオーケストラにもハマるはず!作曲家の人生もやはり面白いので注目です。

ラフマニノフ「交響曲第2番」
チャイコフスキー「くるみ割り人形」
ベートーヴェン「交響曲第7番」
シベリウス「フィンランディア」

著者 めーぷる

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はじめに ~クラシック音楽と他音楽の違い~

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クラシック音楽の現状

 

はじめまして。めーぷると申します。

私は、現在国立大学の医学部に通っておりますが、小さいころからピアノとヴァイオリンを習っており、学校から帰ってきてからの時間のほとんどを練習に費やし、様々なコンクールにも挑戦してきました。

私のこれまでの人生は「クラシック音楽とともにあった」と言っても過言ではありません。

それほどクラシック音楽が生み出す世界観というものにのめり込んできました。

しかしながら、これまで自分の身の回りには「クラシック音楽に興味を持っている友人」はほとんどいませんでした。

自分にとって家族のような存在であるクラシック音楽も、現代社会では敬遠されがちであるというのが現実だったのです。

 

クラシック初心者入門で伝えたいこと

 

これまでの人生の多くをクラシック音楽に捧げてきたからこそ、私はクラシック音楽の魅力というものをより多くの方々に知ってもらえるようにしたいのです。

一種の使命感のようなものでもあるのかもしれません。

 

そこで、このWebonでは、私はみなさんにクラシック音楽の持つ魅力を名曲を紹介しながらお伝えしていきたいと思います。

これを読めば普段、クラシック音楽そのものを楽しむことがほとんどない方にとってクラシック音楽の魅力を知る契機となるでしょう。

また、これから楽器を始めたいという方にとっては自分の目標を設定するにあたって非常に価値があることでしょう。

 

始めのころはクラシックを聴いてもピンと来ないかもしれませんが、これから紹介する名曲を通してクラシック音楽に触れることで、きっとみなさんがいままで知りえなかった新しい世界を少しずつ知ることができるはずです。

 

クラシック音楽と他音楽の違い

 

ここからはクラシック音楽にあまり馴染みが無かった方のために「クラシック音楽と他ジャンルの音楽との違い」を分かりやすくお伝えしたいと思います。

 

1 クラシック音楽は「発掘する」もの

 

他ジャンルの音楽の場合、その曲の作者がこの世に存在している場合が多いです。

その為作曲者がどのような意図・メッセージを込めて曲を書いたのかなどを、作曲者本人、もしくはあらゆる情報媒体を介して容易に、かつ正確に知ることができます。

例えばJ-popやロックであれば歴史がクラシックに比べれば浅いのであなたが知った曲についての情報はどこかにあるでしょう。

 

しかし、クラシック音楽の場合は数百年前の音楽であり、作曲者がこの世を去ってから多くの月日が流れているために、その曲に込められた意図・メッセージというのは楽譜という「化石」の一部を手掛かりに、私たちが「発掘」して読み解いていかねばならないのです。

その結果、演奏者によって異なる解釈が生まれるのです。

もちろん聴くだけでも解釈は生まれますのでとにかく多くの解釈が生まれる、というのがクラシック音楽と他音楽の大きな違いとなるのです。

 

 

2 クラシック音楽は静寂で生まれる

 

クラシック音楽と他ジャンルの音楽には演奏の場においても大きな違いがあります。

他のジャンルの音楽というのはたいてい賑やかな場、つまり喧騒の中で生み出されるものです。

例えばバンドミュージックであれば皆で演奏して作り上げていきます。ジャズの即興であれば「演奏中」という喧騒の中で生まれます。

 

それに対して、クラシック音楽というのは静寂の中で紡がれていきます

作曲者が譜面に向かい、一人で作成する。それを演奏者は個々で奏でる。そして静寂のコンサートホールで演奏が行われる・・・

それを妨げるものは一切ないのです。

静寂の中で紡がれる一つ一つの音を通して、演奏者が内に秘める感情の揺れ動き・自らの作品に対する解釈の発露(はつろ:心の中の思いなどがあらわになること)を楽しむことができることにこそ、クラシック音楽の真の魅力が詰まっているのです。

 

 

クラシック楽曲の魅力

 

ここまでクラシック音楽と他の音楽との違いをお伝えいたしましたが、クラシック音楽と一口に言ってもそれぞれの楽曲にはそれぞれの個性的な魅力があります。

例えば、きらきら星変奏曲では、有名な「きらきら星」の旋律を変幻自在に姿を変えながら進行していく面白さがあります。

また、「パガニーニ大練習曲第6番」は技術的に非常に難しい箇所が沢山あり、それを軽々と弾きこなす演奏者の姿というのは大変見応えがあったりします。

そのような曲ごとの魅力的なポイントに注目することで、きっとクラシックの楽しみ方は変わってくるはずです。

 

 

また、それぞれの曲が作成されるには様々な背景があり、それを知って曲を聴くことで普通に聴いていたのでは感じることができないクラシックの世界に出会うことができます。

名曲を通じて、このようなクラシック音楽の魅力を感じていただければと思っております。

それでは、次のページから実際にクラシック音楽の名曲をご紹介しながら誰にでも分かりやすくクラシック音楽の魅力について解説をさせていただきます。

 

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