クラシックコンサートの楽しみ方③ 【CD・YouTubeとの比較】

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

クラシックコンサート初心者入門こちらから!

著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

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コンサートに行かなくてもOK?

 

前のページまで2ページに渡りクラシックコンサートの楽しみ方について解説してきました。

ただ、まだ会場に足を運んだことがない方は「別にコンサートに行かなくても、CDでもクラシック音楽は聴けるし、YouTubeなら映像付きで楽しむこともできるんじゃない?」と考える方もいるのではないでしょうか。

もしそうであれば、そのご指摘は「ごもっともである」と言えます。

実際、クラシック音楽を楽しむ方法について「どれが正解である」ということは断言することはできません。その人の趣味嗜好などが関わってくる部分が少なからずあるからです。

ただし、クラシックコンサートの会場でしか体験できない楽しみや魅力があるのです。

 

ということで、今回はクラシックの主要な楽しみ方である

「CD」「YouTube」「クラシックコンサート」

の楽しみ方を比較し、クラシックコンサートの魅力について迫っていくことにしましょう。

 

クラシックの楽しみ方比較

1 CD

まず、CDによるクラシック音楽の楽しみ方について見ていきましょう。

CDというのは映像が提供されないため、流れている音楽に対して、聴覚を集中させることができます。

したがって「音楽そのものに対してもっとも真正面から取り組むことのできる楽しみ方」であると言えます。

 

また、当たり前のことですが、CDは一度購入すれば何回でもそのコンテンツを楽しむことができます。1回きりのコンサートとは対照的です。

同じ演奏を何度も聴くことによって、毎回新たな発見をすることができるのもCDの魅力であると言えるのです。

 

 

【編集部コラム①】CDはコレクションの楽しみもある
CDは「コレクション」する楽しみがあります。

私の友人の父親はクラシックやジャズがとても好きです。膨大な数のCDやレコードが収納された棚に囲まれた部屋で、お気に入りの作品を選んで聴いている様子はとても幸せそうに見えます。このような楽しみ方は、コンサートホールやYouTubeでも堪能することのできないCDならではのクラシックの楽しみ方だと思います。

また、コレクションを充実させるため、サイン付きCDを手に入れるという方法もあると思います。クラシックの世界では演奏者によるCDのサイン会が開かれることがあります。2016年6月にチェロの妖精「Nana」が紀尾井ホールでのコンサート後にCDのサイン会を行いました。こうしたイベントに足を運んでみるのも、また一興なのではないでしょうか。

 

おすすめCD

 

基本的に「Deutsche Grammophon(ドイツグラモフォン) 」から出ているCDはおすすめです。

Deutsche Grammophonは、1898年に創設した世界で最も歴史のあるクラシック音楽レーベルです。規模の大きい会社で、また非常に音質が高いので、初心者にもおすすめできます。

▼【おすすめCD】ショパン:ワルツ集(画像クリックで商品詳細へ)

発売日 2016年9月7日
収録時間 61分
演奏者 アリス=紗良・オット
備考 アリス=紗良・オットは1988年生まれのドイツ出身のピアニストです。数々の受賞歴を誇り「世界で最も多忙なピアニスト」とも言われる。TBSのドキュメンタリー番組「情熱大陸」にも出演。

 

2 YouTube

 

YouTubeといえば、現在世界で最も巨大な動画メディアであり、おそらく知らない人はほとんどいないかと思います。

一部のコンテンツを除くと、無料でコンテンツを楽しむことができるために、クラシック音楽を手軽に楽しむことができます。

 

YouTubeの場合、CDと違って動画であるために、演奏している様子を見ることができます。

したがって、CDと違って視覚的にも楽しむことができるのです。演奏者が醸し出す独特の雰囲気をCDよりも感じることができると思います。

また、CDと同じく何回でも楽しむことができるのも魅力であると言えるでしょう。繰り返し鑑賞することによって得られるものもあるはずです。

 

一方で、YouTubeにはデメリットもあります。

それは音質の問題です。もちろん、PCのスピーカーの質に大きく左右される部分はありますが、YouTubeは基本的には動画として楽しむことに主眼を置いているために、音が実際の演奏とはかなり異なるという場合も少なからずあります。

したがって「音」そのものを追求する人にとっては物足りない部分もあることでしょう。

 

 

おすすめYouTubeチャンネル

 

近年、YouTubeにはクラシック音楽が聴ける動画が次々と投稿されております。中には違法でアップロードされたものも多くあります。

そんな中、下記のチャンネルはショパン協会公式の映像ですので、安心してご覧いただけます。

 

【編集部コラム②】ネットでのクラシックの楽しみ方
インターネットでクラシックを楽しむ方法はYouTubeだけではございません。

⚫OTTABA

「OTTAVA」は24時間無料でクラシックを聴くことができるクラシック専門のラジオ局です。ホームページ上でワンクリックで再生できる他、YouTube上でLiveで聴くことも可能です。(OTTAVA公式サイト

⚫ナクソス・ミュージック・ライブラリー (NML)

NMLはクラシックに特化した定額制の音楽配信サービスです。2018年12月現在の配信CD数は125,967 (1,927,755曲)であり月額税込1998円で楽しむことができます。クラシック音楽専門サービスだからこそのサイト設計がされています。(NML公式サイト

⚫AmazonMusic

AmazonMusicは定額制の音楽サービスです。こちらでは「読書しながら聴くクラシック」「朝に聴く爽やかなクラシック」「仕事がはかどるクラシック」などのテーマに沿った選曲がされています。気分に合わせたクラシックを聴くことができます。(AmazonMusic公式サイト

 

3 コンサート

 

CDとYouTubeで音楽を楽しむ方法について見てきましたが、それを踏まえつつ、コンサートでクラシック音楽を楽しむ魅力があるのかについて見ていきましょう。

 

コンサートでクラシック音楽を楽しむ一番の魅力はその臨場感であるということが言えるでしょう。

コンサートでは、演奏者によって音が生み出される現場に居合わせることができるのです。音が紡がれていく「まさにその時」に立ち会うことで感じられる空気感というのは他では味わうことのできないものです。

また「音」についてもコンサートホールという音楽のために作られた場所において、聴くことができます。

 

「コンサートホール」の音
音楽を聴く施設には、ライブハウスのように様々な場所があると思います。「コンサートホール」はオーケストラによる演奏をすることを中心として設計されております。壁などにあたってお客さんに届く反射音なども計算されて作られているため、コンサートホールでしか味わうことのできない音があるのです。


photo by Barret Anspach

 

また、コンサートでは生の音を聞くことができるために、CDやYouTubeでは感じられない「リアルな音」を楽しむことができるのは言うまでもないでしょう。

コンサートでは、CDのように何度も繰り返し同じ音を聴くことができないですが、その場でしかできない体験をすることができるのです。

 

また、クラシックコンサートは、注目ポイントを知っておくとさらに楽しむことができます。こちらについて詳しい解説は、第1章の1ページ目で(現在第1章の3ページ目)でしています。

 

楽しみ方比較一覧

CD ・映像がないため聴覚を集中させ音楽そのものに対して、真正面から取り組むことができる
・同じ演奏を何度も聴けるので、毎回新たな発見をすることができる
・音質が良い
YouTube ・演奏を視覚的にも楽しむことができ、演奏者が醸し出す独特の雰囲気をより感じやすくなる
・何回も楽しめる
・音質が良くないので「音」そのものを追求する人にとっては物足りない
クラシックコンサート ・一番の魅力は臨場感
・コンサートホールという音楽のために作られた場所で聴くため、クラシックの最もリアルな音を聴くことができる
・何度も同じ演奏は聴けないからこその体験ができる

 

クラシックコンサートに限らず、各々の鑑賞方法の特徴をしっかりと理解して、クラシック音楽を楽しむことができるとよいと思います。

次のページではコンサートホールの歴史について解説します。クラシックコンサートの会場であるコンサートホールについて理解を深めることで、さらに楽しむことができるのです。

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クラシックコンサートのマナーと服装 【鑑賞方法③】

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

クラシックコンサート初心者入門こちらから!

著者:めーぷる

国立大学医学部生。プログラマーとライターの仕事も手掛ける。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており高3の夏頃まではプロのピアニストを目指していた。クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しむ。お問い合わせはこちらから

 

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ここまで「クラシックコンサートの選び方」「より楽しむための4つの事前準備」についてお伝えしてきましたが、このページではクラシックコンサートの会場でのマナーについて解説します。

マナーと言ってもそれほど難しいものではありません。肩の力をスッと抜いてお読みください。

 

マナー一覧

 

マナー ポイント
服装 特に決まりはない。目立つような服や音が立つようなナイロン素材は避ける。女性ならワンピース。男性ならスーツが無難。
曲が終わるまでは極力我慢する。
寝てもよいか 寝てもよいがいびきには注意。
物音を立てない ・ビニール袋は極力避ける
・携帯はバイブレーションも注意
・パンフレットはバックか椅子の下にしまう
拍手 周りが拍手をし始めたら自分も拍手をし始め、周りの拍手がまばらになり始めたら自分も拍手をやめる。周りに合わせるのが無難。
遅刻した場合 入り口のドアの前にいる係の人に遅刻した旨を伝え、曲と曲の間にササっと入る。
トイレに行きたくなったら トイレに行くことは可能だが、できるだけ曲の間に入退出する。

 

服装

 

服装は特に規定のものはないのですが、変に目立ってしまうような服装や「ガサガサ」と音を立ててしまうナイロン製のものなどは避けたほうが無難でしょう。

不安ならば、女性はワンピース、男性はスーツやジャケットを着用すればよいのではないでしょうか。

また、そこまできちんとした服装でなくとも、国内で開かれるコンサートでは、ニットなどのカジュアルめの服装でも浮くことは全くないので大丈夫です。

一方、海外のクラシックコンサートでは、ロングドレスなど本格的な服装で行く方が多いようです。そのため、海外のコンサートに行かれる場合は、カジュアルな服装は避けた方がよいでしょう。

 

▼国内のコンサートならば下記のようなカジュアルな格好でも全く問題なし!

 

 

咳/居眠り

 

コンサートの最中に、どうしても喉がイガイガするということもあるかもしれません。

しかし、咳を我慢できそうな時には、その曲が終わるまで我慢するようにしましょう。もちろん、生理現象として突発的に出てしまう場合は仕方ありません。

ちなみに、クラシックコンサートの会場では、曲と曲の間では、それまで咳を我慢していた方や、次の曲の前にのどの調子を整えたいという方が一斉に咳をし始めます。

少々奇妙な光景である気がするかもしれませんが、これもコンサート中に他の人の鑑賞の妨げにならないための配慮なのです。

また、演奏中に寝てしまうのも問題ないですが「いびきをかく」などは迷惑になるのでそこだけは注意です。

 

物音

 

クラシックコンサートの演奏中に物音を立てるのは禁物です。

先ほどご紹介した咳もその一つです。例えば音を立てるようなビニール袋に何かを入れて持ち込むのも極力避ける方がよいでしょう。

また、ケータイに関しても、マナーモードにしていても、バイブレーションの音が迷惑になる可能性があります。極力電源を切るようにしましょう。

クラシックコンサートでは、多くの人が音を立てないように気を遣っています。音を立ててしまうと、雰囲気を壊してしまいかねません。そのため、音を立てないよう細心の注意を払いましょう。

 

音に注意するもののその他の例
・会場の入口で配布されるパンフレット等(椅子の下に入れる、バックにしまう)
・腕時計のアラーム
・音が鳴るようなキーホルダー

 

拍手

 

クラシックコンサートでは演奏が終わる毎に拍手をします。

拍手のタイミングは、周りが拍手をし始めたら自分も拍手をし始める、周りの拍手がまばらになり始めたら自分も拍手をやめる、といったように周りに合わせるのが無難です。

よく真っ先に拍手を始めようとしたり、最後まで長々と拍手をしたりしている方がいるのですが、浮いてしまうので、避けたほうが良いでしょう。

また、全演奏が終わった後の拍手中に「ブラボー!」と叫ぶ文化が地域に関係なくあるのですが、マストではありません。

実際、叫ぶ人はせいぜい数人です。

 

遅刻/トイレ

 

クラシックコンサートには時間に余裕をもって到着することが望ましいのですが、不測の事態で遅刻してしまうこともあるかもしれません。

そのような場合は、入り口のドアの前にいる係の人にその旨を伝え、曲と曲の間にササっと入るようにしましょう。

また、途中でトイレに行くことも可能ですが、できるだけ曲の間に入退出するのがマナーです。

 

ご紹介したマナーをきちんと守りつつ、クラシックコンサートを楽しんでください。

次のページでは終演後の楽しみ方についてお伝えします。事前に知っておけばよりクラシックコンサートが楽しめることでしょう。

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クラシックコンサートの楽しみ方④ 【コンサートホールの歴史】

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クラシックコンサートに興味があっても「敷居が高い」「拍手のタイミングとかわからない」などの不安から、行くことを躊躇している方も多いのではないでしょうか。そんな不安を払拭し、さらにはより楽しむ方法をお伝えします。

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前のページの最後では「『コンサートホール』に注目すれば、よりコンサートが楽しめる」とお伝えしました。

このページでは「コンサートホール」の歴史をお伝えします。コンサートホールへの理解を深めれば、さらにクラシックコンサートの楽しみ方が広がることでしょう。

 

コンサートホールの誕生


photo by Jorge Franganillo
▲コンサートホールの例:ベルリン・フィルハーモニー

 

19世紀以前のヨーロッパではクラシック音楽というのはもともと王侯貴族が楽しむためのものでした。したがって、クラシック音楽は当時、一般市民にとってはあまり馴染みがない存在だったのです。

▼18世紀頃のヨーロッパの貴族

 

しかし、19世紀(1801年~1900年)を境にクラシック音楽というのは次第に「民衆もターゲットに含んだ娯楽」としての性格を見せ始めます。

そして、クラシック音楽がポピュラーになり始めたこの時代「一般市民でもお金さえ払えば、気軽に音楽を楽しむことのできる場所」として、コンサートホールが誕生するようになったのです。

クラシックが市民の間でも広まった理由
民衆の間でクラシック音楽がポピュラーになった要因は「産業革命」にあります。

蒸気機関の開発などの技術革新により、それまでの封建的な社会構造(簡単に言えば生まれによって貴賤が決まる極端な縦社会)が資本主義社会へと移行し、貴族に代わって市民が台頭するようになっていきました。

そして、それまではクラシック音楽は難解で市民には理解しずらいものでしたが「ホモフォニー」という、市民にもわかりやすく楽しめる表現形式が台頭してきたこと、この2点がクラシックがポピュラーになった理由と言えるでしょう。

 

19世紀に誕生したコンサートホールの例として下記のようなものがございます。

1880~1900年頃に誕生したコンサートホールの例

ベルリン・フィルハーモニー (1882)<ドイツ>
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス (1884)<ドイツ>
ウィーン楽友協会大ホール (1870)<オーストリア>
アムステルダムのコンセルトヘボウ (1888)<オランダ>
ボストンのシンフォニーホール (1900)<アメリカ>


 

アメリカのボストンにもホールが誕生していた事などからヨーロッパだけではなく、アメリカ大陸にもクラシック音楽の熱狂が伝わっていたということがわかります。

 

20世紀にはいるとコンサートホールにも少し変化が見られるようになります。具体的には聴衆が楽しむためだけではなく、コンサートを開く主催者も運営がしやすいような工夫が施されるようになったのです。

それまでのコンサートホールは、シューボックス型でした

シューボックス型は客席の場所によって音響的に良い悪いの差異が非常に大きいため、良い席というのは限られていました。そのため、空席が一定数できていたのです。

しかし、20世紀になるとヴィンヤード型という新しいタイプのコンサートホールが作られるようになり、音響的な問題が改善されました。

その結果、主催者側の収益アップにもつながったのです。

 

「シューボックス型」「ヴィンヤード型」
シューボックス型は直方体の形をしているホールで、ヴィンヤード型は席が段々畑のような形で配置されているホールとなっております。

▼シューボックス型の例(ウィーン楽友協会大ホール)


photo by Anna & Michal

▼ヴィンヤード型(ベルリン・フィルハーモニー)


photo by keriluamox Some rights reserved

 

サロンコンサート

 

ここまでコンサートホールが誕生するまでの歴史を見てきましたが、クラシック音楽の歴史をたどると、クラシック音楽のコンサートが開かれていたのは壮大なコンサートホールにおいてのみではないのです。

 


▲貴族の家にて、サロンでピアノを弾くショパン(当時19歳)の絵

 

ショパン(1810-1849)やリスト(1811-1886)が活躍していた時代というのはサロンコンサートというのも頻繁に開かれていました。

ショパン・リストが活躍していた時代
当時は、貴族が才能ある音楽家のパトロンになっていた時代。貴族たちは、音楽家たちを自分の家のサロンに招いて才能を競い合わせていたといいます。ちなみに、「ピアノの魔術師」と称されるリストに対して、ショパンは「ピアノの詩人」として両者が対比されていたことは有名な話。この話は『クラシック音楽初心者入門』のWebonで詳しく紹介。

 

サロンというのはもともとフランス語で「部屋」や「空間」を意味する言葉です。

この言葉の意味から分かるように、サロンコンサートというのはコンサートホールで開かれるような大規模なコンサートとは違います。

サロンコンサートはコンサートホールよりもはるかに狭い部屋で行われ、コンサートホールで得られるような特別な音響効果もありませんでした。

その分、サロンコンサートはコンサートホールよりも場所代が安く、よりチケット代を安く抑えることができました。そのため、一般民衆にとっても当時のクラシック音楽界のスターの演奏をお手頃に目近で聴くことのできる格好の場所だったのです。

 

そして、サロンコンサートで有名なクラシックの音楽家といえばショパン、リスト、パガニーニらが挙げられるでしょう。

▼フレデリック・ショパン

▼フランツ・リスト

▼ニコロ・パガニーニ

 

彼らは演奏家としての実力はもちろん、一種のビジネスセンスにも非常に長けていました。

そのビジネスセンスを生かし、チケットを安く抑える代わりに、より多くの聴衆を獲得することができたのです。

当然収益も相当なものでした。彼らはこのサロンコンサートを通してミュージシャンとしてのファン層を広げることに成功したのです。

最近になって、サロンコンサートの存在意義が見直され始めているようなので、クラシック音楽を楽しみたいという方はサロンコンサートも視野に入れてみるとよいのかもしれません。

 

コンサートホールの歴史の変遷一覧

年代 出来事
1830年頃 ショパン(当時19歳)が王侯貴族の家のサロンでピアノを弾く。▼その時の様子

1800年中頃 王侯貴族が楽しむための音楽だったクラシックが、一般市民にも広まる
1882年 ドイツにベルリン・フィルハーモニー誕生(ドイツ)
1884年 ドイツにケヴァントハウス誕生
1900年 アメリカのボストンに「シンフォニーホール」誕生
1960年以降 ヴィンヤード型のコンサートホールがドイツ各地に作られる。

 

コンサートホールの歴史を知ると、コンサートホールもより楽しめるかと思います。

さて、この章ではクラシックコンサートの楽しみ方について解説してまいりましたが、次の第2章からはクラシックコンサートの種類についてお伝えします。種類を知ってお気に入りのコンサートを見つけてみてくださいませ。

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