人気のおすすめ落語家4選 【寄席の鑑賞方法③】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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この第3章では【基礎知識】【東京のおすすめスポット】【おすすめ落語家】と3ページにわたって寄席の鑑賞方法をお伝えしております。

このページでは人気と実力を兼ね備えた、いま人気の落語家を4人紹介します!

実際に寄席に落語を観に行くなら、ぜひこの人たちを観てほしいと思います。

 

1 春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)

生年月日 1978年1月28日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語
師匠 春風亭一朝

 

一之輔さんは、今最も人気のある落語家と言ってもいいかと思います。

「NHK新人演芸大賞落語部門大賞」や「文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞」など数々の賞を受賞し、若手の頃から頭角を現した一之輔さんは、2012年に21人抜きの抜擢で真打昇進を果たしました。

滑稽噺から人情噺まで200以上の持ちネタがあり、年間900席もの高座をこなす超売れっ子です。

 

熊さん(=熊五郎。様々な落語に登場するキャクターであり、乱暴者な性格)や与太郎(=落語の代表的な登場人物で、楽天的で呑気な性格)など、古典落語に出てくる人たちを現代風に変え、現代の人にもわかりやすい内容にして演じることでも知られています。

自分のことを「ひねくれもの」と言っている一之輔さんですが、人物描写にもそこがよく現れているような気がします。

 

 

一之輔さんの得意演目である「初天神」に出てくる子供の憎たらしさが私は大好きです。

「初天神」は一之輔さんの出演する寄席や独演会に行くと聴けるかもしれませんが、何を演じるか当日までわからないことが多いです。そのため、確実に聴くならCDです。「初天神」は下記CDに収録されています。

 

▼「初天神」が収録されてるCD:春風亭一之輔

 

おすすめ作品

芝浜とシバハマ【CD】

 

三遊亭圓朝(さんゆうてい えんちょう)が創作した古典落語の名作「芝浜」に一之輔さんが挑んでいます。

寄席のスタンダードナンバーである「代脈(だいみゃく)」収録した、進化が止まらない一之輔さんの魅力がぎっしり詰まった豪華二枚組です。

 

2 柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)

生年月日 1963年11月30日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語&新作落語
師匠 柳家さん喬

 

古典落語と新作落語、どちらも自在に演じ分ける喬太郎さん。

 

▼古典落語と新作落語の違いは第1章で解説(現在は第3章)

 

柳家喬太郎さんは、独自の世界観で楽しませてくれる爆笑必至の新作落語が最高です。

喬太郎さんは落語家になる前は大手書店のサラリーマンだったということもあり、サラリーマンの悲哀や、スポットライトが当たらないような人や趣味などを題材にしたネタを得意としています。

 

古典落語にも定評があり、喬太郎さんならではの解釈や演出を加え、「喬太郎の古典」にしてしまうところがあります。

表情や所作が抜群におもしろいので、生の寄席や動画で観るとより楽しめる落語家です。

大のウルトラマン好きであり、ウルトラマンをテーマにした落語会を開催したり、江戸川乱歩の作品を落語風に演じたりするなど、落語をさまざまな角度から見せてくれるエンターテイナーであることも喬太郎さんの魅力です。

 

 

おすすめ作品

 

柳家喬太郎 名演集1 寿限無/子ほめ/松竹梅 【CD】

誰でも知っている古典落語「寿限無」と古典のメジャー作品「子ほめ」「松竹梅」が収録されています。定番落語とメジャー作品がバランスよく入っているので、初心者の方におすすめです。

 

定番古典落語「寿限無」の噺の内容は第2章で解説!(現在は第3章)

 

3 立川志らく(たてかわ しらく)

生年月日 1963年8月16日
所属 落語立川流
ジャンル 古典落語&シネマ落語
師匠 立川談志

 

2017年上半期のブレイクタレント部門1位にランクインし、今やすっかりテレビでもお馴染みの人となっている志らくさん。

師匠の7代目立川談志さんの影響かどうかはわかりませんが、そのひねくれ方、毒の強さは一級品です。

 

▼7代目立川談志さん

 

90年代には仲間の落語家たちと「“超”放送禁止落語界」と銘打った、差別用語連発の演目を披露する寄席を開催したというのだから驚きますね。

 

志らくさんは古典落語を演じる落語家ですが、真打昇進後に「シネマ落語」を開拓。

これは、ローマの休日を「吉原の休日」、タクシードライバーを「人力車」など、有名な映画の舞台を江戸時代に変えて演じるというもので、映画監督や映画評論家としても活躍する志らくさんならではの、エンターテイメント性あふれる落語です。

シネマ落語は定期的に公演が行われているので、古典落語がどうしてもとっつきにくいという方は、まずシネマ落語を聴いてみるのもありだと思います。

 

▼シネマ落語の参考情報

おすすめ作品

 

⚫志らく 第五集「青菜」「粗忽長屋」「品川心中 上下」 【DVD】

 

落語DVD 初の自身解説の副音声が入っています。

噺の解釈や演出の狙いから、自身へのダメだしまで、さまざまなことを落語と同時進行で解説。自身による立川志らく批評が楽しめる貴重な作品集です。

 

4 桃月庵白酒(とうげつあん はくしゅ)

生年月日 1968年12月26日
所属 落語協会
ジャンル 古典落語
師匠 五街道雲助

▼まくらを披露する桃月庵白酒さん

 

よく声が通り、聴き心地の良さが抜群の落語家です。

子供や酔っぱらい、泥棒、花魁(おいらん)まで、リアリティ溢れる人物描写が非常にわかりやすく、噺の筋がわからない人(落語初心者で噺を理解するのが難しい人)でも理解しやすいと思います。

丸顔でふっくらとした愛嬌のある風貌ですが、マクラ(演目に入るまえの小話)では、ちょっと毒っ気のある話を繰り広げるのも特徴。

そのギャップと舌鋒鋭い(ぜっぽうするどい:弁舌が鋭い)本格的な落語で聴く者を圧倒します。

地味な演目でも楽しく聴かせる天才、そんな白酒さんの、新感覚爆笑古典は必見です!

 

おすすめ作品

 

⚫毎日新聞落語会 桃月庵白酒3「らくだ」「死神」【Amazon Music Unlimited&CD】

この先いったいどうなるのかとハラハラドキドキさせられる「らくだ」と、ひと癖もふた癖ある死神の言動が面白い「死神」。

白酒流にアレンジされた古典落語の名作を存分に楽しめます。

 

以上、落語初心者でも楽しめるおすすめの落語家さん4選でした。

次のページは自宅での落語鑑賞方法についてお伝えします。落語は生の醍醐味を感じていただきたいですが、アプリやストリーミングを活用すれば自宅でも楽しむことができるのです。

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おすすめ落語CD・アプリ・ストリーミング 【自宅で落語鑑賞①】

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ここまでのページでは寄席での鑑賞方法についてお伝えしていきました。

落語の楽しみ方でおすすめなのは寄席や落語会に行くことですが、それ以外にも楽しむ方法はあります。

寄席や落語会に観に行くのはまだちょっとハードルが高いなぁ・・・という方、まずは動画や音声で落語に触れてみてください。

今回は自宅で気軽に落語を楽しむ方法を紹介します!

 

アプリ

 

落語を最も手軽に楽しむ方法は落語アプリだと思います。スマートフォンやタブレットなどの端末で、いつでもどこでも落語を楽しむことができます!

 

Spotify(スポティファイ)


(引用元:https://www.spotify.com/jp/)

 

『Spotify』は音楽ストリーミング配信サービスですが、落語のコンテンツも充実しているのでおすすめです。

立川志らく(たてかわ しらく)、春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)、三遊亭白鳥(さんゆうてい はくちょう)、など、今をときめく落語家のラインナップが豊富なのが特徴です。

 

▼立川志らく

▼春風亭一之輔

▼三遊亭白鳥

 

Spotifi公式サイト

 

Audible(オーディブル)


(引用元:https://www.audible.co.jp/)

 

ベストセラー小説からビジネス書、英字新聞まで、20以上の豊富なジャンルを音声で聴ける定額制サービスで、落語作品も数多く収録しています。

人間国宝・五代目柳家小さん(やなぎや こさん)さんも収録。

 

▼五代目柳家小さん

五代目柳家小さんについては第4章で解説!(現在は第3章)

昭和の大名人・五代目古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)も収録されています。

 

▼五代目古今亭志ん生

五代目古今亭志ん生については第4章で解説!(現在は第3章)

 

名だたるレジェンドたちの演目が手軽に聴けます。

 

▼audible公式サイト

 

CD・DVD

 

古典落語の楽しみ方のひとつとしておすすめしたいのは、1人の落語家を掘り下げていくことです。色々聴いていく中で「これは!」 と思う落語家をピックアップして、その落語家の高座を集中的に聴いていくというやり方です。

そんな一人の落語家を集中的に聴いていくというやり方や、亡くなっている昔の名人の大全集系を聴く場合などにはCD・DVDが最適です。

ここではおすすめのCD・DVDを2人の落語家さんと共に紹介します。

 

三代目古今亭志ん朝

 

私が特におすすめしたいのは、三代目古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)さんです。

昭和最後の名人と呼ばれる志ん朝さんは、軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ:会話の運びが軽快で洗練されていること)な江戸弁が魅力の落語家。

テンポの良さと絶妙な間で醸し出すおかしみは天下一品です。

落語初心者でも安心して聴けるわかりやすさとおもしろさを兼ね備えた落語家なので、その奥深さをぜひ味わってみてください。

 

▼【筆者おすすめ】志ん朝三十四席 DVD全8枚+CD全5枚

 

志ん朝さんの詳しい解説は第4章にて!(現在は第3章)

 

林家たい平

 

とにかく落語初心者におすすめしたいのは林家たい平さんです。

人気演芸番組『笑点』でお馴染みのたい平さんですが、古典落語をこれほどわかりやすく演じてくれる落語家は他にいないのではないでしょうか。

「小学生にもわかりやすい古典落語」を目指し、子どもの前で落語をすることも多いたい平さん。

そんな大人も子どもも聴いて楽しめるわかりやすいたい平さんの落語なら「難しくてよくわからない」と投げ出すことはないと断言できます。

ぜひ古典落語入門のバイブルとして、たい平さんの落語を聴いてみてください!

 

▼【筆者おすすめ】林家たい平落語集 たい平のはじめの一歩[CD]

また、たい平さんは、古典ではないですが「ドラえもん」の人気エピソードを落語にした『ドラ落語』というユニークなDVD も出しており、そちらも落語の新たな魅力を教えてくれる作品としておすすめです!

 

▼【筆者おすすめ】林家たい平の『ドラ落語』[DVD]

 

落語の楽しみ方は「落語そのもの」を観る・聴くだけではありません。「タイガー&ドラゴン」など落語を題材したエンタメ作品もおすすめです。出演者の方が演じる落語の上手さには驚きます。

次のページではそんな「落語を題材にした作品」のおすすめをご紹介していきます。

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【落語作品が数多く聴ける。無料体験あり】

 

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落語家の階級

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落語家の階級

 

落語家には階級があります。

階級は「見習い」「前座」「二つ目」「真打ち」という順に昇進していきます。

 

このページでは、弟子入りからどのようの真打ちに昇進していくかを追っていき、階級ごとの役割などをお伝えいたします。

 

昇進の仕方

弟子入りする

 

落語家になるには特別な資格や試験などは必要ありません。

門戸は誰にでも開かれていますが、長い修行の期間があり落語家として精進を続けていく必要があります。

落語家になる道は、真打の落語家に弟子入りするところから始まります。

 

真打とは
寄席の最後の出番に出演できる資格を与えられた落語家。「師匠」という敬称で呼ばれ、弟子をとることが可能となる。三遊亭小遊三、林家木久翁、三遊亭好楽など笑点でお馴染みのメンバーも真打ち昇進を果たしている。

 

憧れている落語家、あるいは「この師匠は優しそうだから」など人によって師匠選びの基準は違いますが、まずは弟子入りしたい師匠を決めます。

(ちなみに上方(関西)の場合は階級制度がありません。そのため、上方ではある程度のベテランの師匠に弟子入りすることになります。)

 

そして、師匠の家を訪ねたり寄席の楽屋口で出待ちをするなどして、師匠に直接志願するのが一般的な弟子入り方法です。

家を訪ねた場合、その師匠の弟子に追い返されてしまうこともありますし、新しい弟子が入ることによって兄弟子は自分の仕事が減るので歓迎してくれる場合もあります。

弟子入り志願も「タイミングが大事」ということですね。

 

人によっては知り合いに紹介してもらう、というパターンもあります。

大学の落研(落語研究会)出身者であれば、すでに落語家として活躍している先輩に頼んで師匠を紹介してもらえることもあります。

 

 

見習い

 

晴れて弟子入りが許されたら落語家としての修行生活が始まります。

まずは「見習い」からスタートします。

入門して数ヶ月~1年くらいの間、師匠の家に通いながら掃除や洗濯などの家事をしたり、師匠のかばん持ちをしたりします。そうしてようやく前座になることができるのです。

 

昔は師匠の家に住み込んで修行をする「内弟子」が主流でしたが、今は住宅事情の違いなどもあって、「通い弟子」がほとんどです。

見習いのうちはまだ舞台に立つことはできません。

 

階級 見習い
舞台に立つ頻度 なし
昇進期間 数ヶ月~1年
やること 師匠の家に通いながら、掃除・洗濯などの家事、師匠のかばん持ちなど。

 

前座

 

落語家には大きく分けて「前座」「二ツ目」「真打」という三段階の階級制度があります。

見習い期間を経て前座になると、寄席の楽屋に入るようになります。楽屋というのは会場内にある演者のための控室のことです。

 

通い弟子は朝早くから師匠の家に行き、掃除や炊事などをこなしてから寄席へ出勤します。

寄席での前座の果たす役割は大きく、やることがたくさんあります。下記に一部記載しますが、数え上げればキリがありません。

 

▼前座がやること

楽屋に出入りする師匠たちの履き物の整理と管理/電話番/先輩たちへのお茶出し/着物をたたんだり着替えを手伝う/寄席では高座(寄席の舞台)進行の手伝い/太鼓などの鳴り物の演奏/高座へ出て行って座ぶとんを返す/メクリ(出身者の名前を書いた紙の札)を返す…

 

前座は毎日、師匠の家と寄席を行き来しながら落語漬けの日々を送り、落語を体に染み込ませるという修行期間なのです。

 

 

入門して数ヶ月すると前座として初高座に上がる(初めて舞台で落語を演じる)ことが多いですが、その判断は師匠次第なので「必ず数ヶ月で初高座に上がれる」というわけではありません。

ちなみに、前座は高座にあがって落語を披露できますがその頻度は人によって違います。また、前座の落語は一般的な寄席で見ることができます。

 

階級 前座
舞台に立つ頻度 たまに~毎日
昇進期間 3~5年
やること ・履き物の整理と管理、電話番、お茶出し、鳴り物の演奏、座ぶとん・メクリを返すなど。

・前座は毎日、師匠の家と寄席を行き来しながら、落語漬けの日々を送り、落語を体に染み込ませるという修行期間。

 

二ツ目

 

二ツ目になると、着物は前座時代の着流しではなく、自前の紋付き袴で高座に上がれるようになります。

 

▼着流し

▼紋付き袴

 

師匠の家や楽屋での雑用からも解放されますが、今度は自分で高座(寄席の舞台)の仕事を探す必要があります。

仲間と一緒に勉強会を開いたりしながら、先輩や寄席の支配人、テレビやラジオのプロデューサーから声をかけてもらえるように研鑽することが二ツ目の修行です。

芸を磨くだけでなく、自分の主催する落語会にお客さんを呼んだり、企業やお店などから仕事をもらう努力も必要です。

 

二ツ目は毎日楽屋へ行く必要がなくなるため、高座に上がる数も減ってしまいます。そのため、しっかりと噺の稽古をしなければライバルとの差は開く一方となります。

二ツ目の在留期間は10年~13年で、業界の事情によっては15年以上かかる場合もあるため、二ツ目の人数は決して少なくはありません。

しかし、ひとつの公演に二ツ目の枠をたくさん取ることはできないので、寄席への出演は狭き門となってしまうのです。

 

この二ツ目時代に怠けてしまって、落語家としてダメになっていく人もいます。

様々な苦労と努力を積み重ねながら芸の修行に励み、高座数をこなしながら己を鍛えていくのが二ツ目時代なのです。

この時期にどれだけ芸を磨きあげ、どんな方向性をつかむかで、真打以降の落語家人生に大きく影響するのです。

 

階級 二ツ目
舞台に立つ頻度 たまに~毎日
昇進期間 10~13年
やること ・自分で仕事を探す。

・仲間と一緒に勉強会を開いたりしながら、先輩や寄席の支配人、テレビやラジオのプロデューサーから声をかけてもらえるように研鑽する。

▼現在二つ目の立川吉笑さんのインタビュー映像

 

真打

 

真打とは、寄席の最後の出番(トリ)に出演できる資格を与えられた落語家です。

落語家の目標のひとつは真打になることですが、「ここからがスタート」と考える人がほとんどです。

現在、落語界には、落語家が所属する団体(協会)が5つありますが、真打への昇進は各団体の理事会で決定します。

 

【筆者コラム】落語家の団体はなぜ5つもある?
落語家の団体には「落語協会」「落語芸術協会」「円楽一門会」「落語立川流」「上方落語協会」の5種類があります。

最初は明治時代に設立された落語協会だけでしたが「金銭問題」「人間関係上のこと」「落語界の改革のため」など、いろいろな理由によって分裂や統合を繰り返して今のような状態になっています。

各団体はそれぞれ独自に興行を打ったり、二ツ目や真打の昇進の決定などを行っています。

 

真打の昇進は大体は芸歴の順番で決まりますが、二ツ目の年数が浅くても抜擢されて真打になる人もいます。

昔と違って大学卒業後に落語界に入門するケースが多くなっているので、四十歳前後に真打になる人も珍しくありません。

 

真打になって初めて「師匠」と呼ばれるようになり弟子を取ることも許されます。

真打になると落語家の晴れ舞台といえる「真打披露興行」(=新たに真打ちに昇進した落語家を披露するための公演)を行います。

「真打は名実ともに一人前の落語家である」と言えるかもしれませんが、実際には師匠として歩き始めたばかりなのです。

ここから先は肩書きが変わることもないので、ひたすら落語家として芸の道を追求していく無限の出世街道になります。

そのまま「名人」と呼ばれる落語家になれればよいのですか、真打に昇進したことで安心、あるいは慢心して、その後はパッとしない落語家が大半、というのが現状のようです。

 

階級 真打
舞台に立つ頻度 一概に言えませんが、売れっ子であればほぼ毎日
昇進期間 肩書きが変わることはない
やること ひたすら落語家として芸の道を追求

 

次のページでは古典落語と新作落語の違いについてお伝えします。古典落語と新作落語の魅力の違いを知れば、落語の楽しみ方が広がるでしょう。

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